JP2681664B2 - 拡散スペクトル受信機 - Google Patents

拡散スペクトル受信機

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靖夫 永積
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株式会社ゼネラルリサーチオブエレクトロニックス
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、直接拡散変調方式を用いた拡散スペクトル
受信器のPNトラッキング機構に関する。
拡散スペクトル通信方式とは、一般的に、ベースバン
ド情報信号がその帯域幅の何倍かの帯域幅に拡散されて
伝送されるようにする通信方式である。帯域幅の拡張は
情報信号自体と広帯域符号化信号即ちシュードノイズと
の両者で搬送波を変調することにより達成される。直接
拡散変調方式では、情報信号帯域幅に比しビット速度が
相当に大であるディジタル符号系列を用いて搬送波を変
調する。
(従来技術の説明) 直接拡散方式の拡散スペクトル通信に用いられるPNト
ラッキング機構には、DLL、タウ・ディザーループ等を
用いた方式が多い。典型的に、DLLはフィードバックル
ープに、ループフィルタと電圧制御クロック(VCC)とP
N符号発生器とを用いている遅延ロックドループであ
り、またタウ・ディザーループはDLL内にディザー周波
数に応じる移相器を組み入れたものである。これらを用
いる方法は、一般的に、受信信号から直接的にコードタ
イミングを検出することは行なわず、復調後の信号に含
まれる特定の成分のレベルのみに着目してクロック周波
数のフィードバック制御を行なうという点においては共
通しており、このため制御回路がデリケートかつ複雑な
構成とならざるを得ないといった難点があった。また、
これら方式とは別にコヒーレント搬送波追跡方式と呼ば
れるものも一部では採用されている。第1図はこのよな
搬送波ロック追跡方式を用いる従来技術の受信器の例で
ある(R.C.Dixon著、立野敏等訳「スペクトラム拡散通
信方式」第228頁、図6・25に記載)。この場合は上記
の方式とは異なって、受信信号とローカルに生成したシ
ュードノイズとの相関を直接的に観測し、ローカルクロ
ックの位相を正確に維持することを狙ったものである
が、搬送波周波数とチップクロックがコヒーレントな関
係に保たれていないとロックを失ってしまうため機能し
ないといった難点を持っており、あまり一般的な方式で
はないといわれている。
(発明の技術的課題) 本発明は、形式的には、この後者のコヒーレント搬送
波ロック追跡方式に最も近いが、新たに補完シュードノ
イズの概念を創案することによって、搬送波にたいし
て、コヒーレンスな関係にないチップクロックを使用し
ても正常に機能し、しかも直接的に受信信号中のシュー
ドノイズクロックタイミングから同期をとる形式のトラ
ッキング方式を実現するものである。
(技術的課題を達成する発明の具体的手段) 上記課題を達成するため、本発明の拡散スペクトル受
信機は、送信信号のスペクトル拡散に用いているシュー
ドノイズのコード列の全て又は一部と同一のコード列を
受信信号のスペクトル逆拡散のために複製した参照シュ
ードノイズを発生する手段と、上記参照シュードノイズ
の生成に使用するチップクロックの周期と特定の関係を
有する周期信号と上記参照信号とを2を法として加算す
ることにより補完シュードノイズを生成する手段と、上
記補完シュードノイズで局部周波数信号を変調する第1
平衡変調手段と、第1平衡変調手段の出力で受信信号を
変調する第2平衡変調手段と、第2平衡変調手段の出力
から上記周期信号を抽出する手段と、抽出された周期信
号の位相を検出し、この位相と前記チップクロックの位
相を一致させるように制御する手段と、を備えたことを
要旨とする。
ここで、参照シュードノイズとは、送信器において送
信信号のスペクトル拡散に用いているシュードノイズの
コード列の全てまたは一部と同一のコード列を受信器内
で受信信号の逆拡散に用いるために複製したものを意味
しする。
また参照シュードノイズX、補完シュードノイズY及
び前記周期信号Zは相互補完関係、即ちXとYを2を法
にして加算(2進法加算)すると、Zになる関係にあ
る。
X☆Y=Z(☆は2を法とする加算をあらわす)あるい
はY=X☆Z、例えば、 X Y Z 0 0 0 0 1 1 1 0 1 1 1 0 である。
周期信号Zは参照シュードノイズXの生成に使用する
チップクロック周期の、例えば、Zの(n−2)乗倍
(nは自然数)周期成分、又はこれに一定の時間遅れを
付けた信号である。
従って補完シュードノイズは、参照シュードノイズ及
びチップクロックから公知の方法で容易に得ることがで
きる。また本発明は上記位相同期化ループを2 (実施例の説明) 第2図は本発明の原理を説明する最も単純な構成の実
施例を示す。10はクロックコントローラであり、これか
ら供給されたクロック(CLK)によりシュードノイズ発
生器(PNG)12は参照シュードノイズ(PNR)と補完シュ
ードノイズ(PNC)とを発生する。ここで、参照シュー
ドノイズとは、送信器において送信信号のスペクトル拡
散に用いているシュードノイズのコード列の全てまたは
一部と同一のコード列を受信器内で受信信号の逆拡散に
用いるため複製したものをいい、補完シュードノイズと
は、1系列の参照シュードノイズに2を法としてこれを
加え合わせたとき、参照シュードノイズの生成に使用し
ているチップクロック周期の2(n-2)倍(n=自然数)の
周期成分が主に得られるようなノイズ信号、またはこれ
に一定の時間遅れを付加したものをいう。従って補完シ
ュードノイズPNCを用いて受信信号を平衡変調すると、
この受信信号は参照シュードノイズのコード列と全て又
は一部と同一のコード列のシュードノイズでスペクトル
拡散されたものなので、得られる変調信号は受信信号の
ベースバンド信号をPNCの構成に従って、CLK/4、CLK/
2、CLK、2CLKなどのいずれかの周波数成分を含むものに
変換した信号となる。そして同期がほぼ完了すると、上
記変調信号は上記周波数成分を主体とする信号になる。
従って上記変調信号をBPFに通して所定の周波数成
分、例えばCLK/2を抽出すれば、この周波数成分の大小
によって同期の状態を判別でき、さらには上記周波数成
分の抽出信号の位相とCLKとの位相差は平均的にみれば
同期のずれ量に比例するので、この位相差を検出し、そ
の検出信号で位相差を零とするようにCLK周波数を制御
するフィードバックループを有するPLL回路を構成する
ことができ、すでに確立されている技術を用いて容易に
かつ安定的にシュードノイズのトラッキングが可能とな
る。
シュードノイズ発生器12からのPNC及びPNRの信号は平
衡変調器14、16でローカル周波数信号f localと変調さ
れ、ついで平衡変調器18、20においてアンテナ22、帯域
フィルタ(BPF)24、増幅器26からの受信信号と変調さ
れる。平衡変調器18からの信号はREF信号としてクロッ
クコントローラ10にフィードバックされ、また平衡変調
器20からの信号は低域フィルタ(LPF)28を介して出力
信号として出力される。
第3図は第2図の実施例で同期時にREF出力の主成分
がCLK/2となる場合の各信号の波形例を示す。
同図において先ず受信器内部のクロックコントローラ
10で生成したクロックCLK(第3図a)によって駆動さ
れたPNG12はPNR(第3図b)を出力し、またこのPNRとC
LK/2との補完演算をすることによりPNC(第3図c)を
出力し、このPNCは平衡変調器14に加えられて局部周波
数信号f localを変調し、その出力は更に平衡変調器18
に加えられて受信信号を変調する。今受信信号に含まれ
る送信側のシュードノイズ即ち入来信号変調コードPN*
がPNRより時間τだけ進んでいる状態を考えると、PN*
をPNCで変調した信号REFは第3図eの波形となり、これ
はCLK/2の波形そのものまたはそれをτ/2、τだけ進め
たパルスの集合体となる。従って、グループディレイτ
gをもったクロックコントローラ10内の適切な帯域フィ
ルタ(例えば第4図のBPF30)によりCLK/2に対しτg/2
程度の位相進みをもったCLK/2の周波数信号を平衡変調
器18の変調出力から抽出することができる。前述したよ
うに上記位相進み量は同期のずれ量をあらわしているの
で、上記変調出力をクロックコントローラ10にフィード
バックし、位相進み量を検出し、これが零となるように
CLK周波数を制御すれば、τ=0となるような第3図f
に示すほぼ完全な同期状態を実現できる。他方、同期が
外れている状態では、例えば第3図gに示すような波形
しか得られないためCLK/2の周波数成分は極端に減少
し、このPLLループの動作機能は解消される。また、信
号に重畳された紛らわしい雑音もPNRとの相関が顕著で
ない限り、第3図gの場合と同様に結果的にCLK/2の成
分をわずかしか含まないので、位相制御の過程に影響を
与えることはほとんどない。
第4図は第2図に示したクロックコントローラ10の詳
細を示す。同一の参照番号は同一の回路要素を示す。第
4図でクロックコントローラ10は帯域フィルタ(BPF)3
0と位相検出器32と低域フィルタ(LPF)34と電圧制御ク
リスタル発振器(VCXO)36と1/N分周器38とからなる。
位相検出器32、LPF34、分周器38は周知のPLL位相制御回
路を構成する。帯域フィルタ30は上述したように所定の
グループディレイを有し、例えば2CLK、CLK、CLK/2、CL
K/4等の2の(n−1)乗のチップクロック周波数成分
の予め選択された成分、例えば前記CLK/2の周波数成分
を抽出する機能を有し、REFからCLK/2に対して前記位相
差を有する周波数信号を抽出する。位相検出器32はこの
位相差を検出しチップクロックCLKを制御し、位相差を
零となるようにして同期をとる。
(発明の作用効果) 上述した本発明の構成を持ってすれば、上述した従来
技術の欠点が好ましく解消される。遅延ロックドループ
あるいはタウ・ディザーループ等を使用する従来方式に
比し、本発明では、参照シュードノイズ、そのチップク
ロック周期の2の(n−2)乗倍の周期成分とを基準と
した相互補完関係にある補完シュードノイズを用いて受
信信号を変調し、その変調出力を用いてチップクロック
のPLL位相制御を行なって同期をとるようにしているの
で、受信信号から直接に同期をとるためのコードタイミ
ングを検出していることになり、構成が簡単になり、複
雑でデリケートな制御ループを使用する必要がない。ま
たPLL位相制御回路において、上記変調出力から前記周
期成分を抽出して位相検出を行なっているので、その抽
出手段として高いQの共振回路から成るBPFを使用する
ことができるから、短時間の外乱で同期ロックが外れる
ことはなくなる。従って従来の搬送波ロック追跡方式の
場合のように送信器からの信号を、コード及び搬送波の
周波数コヒーレント関係を維持した状態で受信しなけれ
ばならない必要性はなくなる。
【図面の簡単な説明】
第1図は従来の搬送波ロック追跡方式の拡散スペクトル
受信器のブロック図である。 第2図は本発明の拡散スペクトル受信器のブロック図で
ある。 第3図a−gは第2図の構成の動作を説明するための種
々の動作波形図である。 第4図は第2図の構成の一部の回路のより詳細な構成を
示すブロック図である。 図で、10はクロックコントローラ、12はシュードノイズ
発生器、18は平衡変調器、30は帯域フィルタを示す。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】送信信号のスペクトル拡散に用いているシ
    ュードノイズのコード列の全て又は一部と同一のコード
    列を受信信号のスペクトル逆拡散のために複製した参照
    シュードノイズを発生する手段と、上記参照シュードノ
    イズの生成に使用するチップクロックの周期と特定の関
    係を有する周期信号と上記参照信号とを2を法として加
    算することにより補完シュードノイズを生成する手段
    と、上記補完シュードノイズで局部周波数信号を変調す
    る第1平衡変調手段と、第1平衡変調手段の出力で受信
    信号を変調する第2平衡変調手段と、第2平衡変調手段
    の出力から上記周期信号を抽出する手段と、抽出された
    周期信号の位相を検出し、この位相と前記チップクロッ
    クの位相を一致させるように制御する手段と、を備えた
    ことを特徴とする拡散スペクトル受信機。
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