JP2679587B2 - 自動合焦装置 - Google Patents
自動合焦装置Info
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- JP2679587B2 JP2679587B2 JP5227550A JP22755093A JP2679587B2 JP 2679587 B2 JP2679587 B2 JP 2679587B2 JP 5227550 A JP5227550 A JP 5227550A JP 22755093 A JP22755093 A JP 22755093A JP 2679587 B2 JP2679587 B2 JP 2679587B2
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- Measurement Of Optical Distance (AREA)
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、撮影レンズの透過光を
測定することにより所定焦点面からの被写体像の像面ず
れ量を求めて自動合焦させる自動合焦装置に関する。 【0002】 【従来の技術とその問題点】撮影レンズの透過光を測定
して、撮影レンズの所定焦点面、例えばフィルム面と、
実際の被写体結像面との像面ずれ量を算出するTTL式
等の焦点検出装置が種々提案されており、モーター等の
レンズ駆動手段を有する装置にあっては、算出された像
面ずれ量に応じて撮影レンズの合焦用レンズを駆動して
撮影レンズを自動合焦させ得る。この場合の合焦させる
に必要なレンズの移動量△xは、算出された像面ずれ量
を△Bfで表すと、 【数1】 △x=△Bf/K ・・・(1) により算出することができる。ここで、Kはレンズ移動
量△xと像面ずれ量ΔBfとを対応づける像面移動量変
換係数(以下、単に変換係数と呼ぶ)と呼ばれる情報で
ある。 【0003】ここで、上述した変換係数Kは、交換レン
ズの種類、例えばその焦点距離の相違や、合焦方式(合
焦操作の際、撮影レンズを構成するレンズ素子の全体を
移動するのか、または前群繰出しのように、その一部の
みを移動する方式)の相違等により異なるのが一般的で
あり、交換レンズ毎に特定の変換係数Kを予め設定する
必要がある。 【0004】また、同一の撮影レンズにおいても、ズー
ムレンズのように焦点距離が可変のレンズにあっては、
変換係数Kが設定された焦点距離に対応して変化するた
め、特開昭59-140408号公報に開示されているように、
焦点距離領域を複数の領域に分割し、その分割された焦
点距離領域毎に最適な変換係数Kを設定している。 【0005】しかしながら、このように交換レンズ毎
に、あるいはズームレンズ等では焦点距離領域毎に、像
面ずれ量△Bfを合焦用レンズの移動量△xに変換する
為の変換係数Kを設定しても以下に述べる欠点を有して
いた。すなわち、変換係数は、正確には交換レンズを構
成するレンズ素子のパワー配置と物点距離とにより算出
される値である。すなわち、物点(被写体)の位置に対
応するカメラ側での像面ずれ量の大きさによっても変換
係数は変化することになる。カメラ等に搭載されるマイ
クロコンピュータ等の計算機では、変換係数を求めるた
めに交換レンズ毎にそのレンズのパワー配置と物点距離
とに基づき膨大な計算を必要とし、さらに対象となる物
点距離も正確に判明されているわけではなく、事実上、
このような計算機では正確な演算を実行できない。そこ
で、上述した各領域で設定される変換係数は、合焦点近
傍の値を代表値とするのが一般的であり、従って、像面
ずれ量が大きくなるに従って実際の変換係数が変化する
場合には、上述した従来例でも問題が残されている。 【0006】例えばカメラについて考えてみると、像面
ずれ量が比較的大きい初期の合焦用レンズ配置状態にお
いて像面ずれ量を求めて自動合焦させる場合、前後ピン
により、合焦域を著しくオーバーランしたり、あるいは
逆に行き足りず等を引き起こし、何回も測距を繰り返さ
ないと合焦域に達しない。従って、像面ずれ量が正確に
求められている場合でも、合焦応答性が非常に遅くな
り、すなわち高速合焦応答が得られないばかりか、レン
ズの駆動が円滑に行なわれず、その結果、円滑な操作感
が損われていた。特に、ズームレンズの代表的構成であ
る前群繰出し型のレンズ構成ではこのような像面ずれ量
による変換係数の変化が著しく問題であった。 【0007】ここで、図5(a),(b)を参照して変
換係数Kと像面ずれ量△Bfとの関係について詳述す
る。図5(a),(b)は、物点位置およびレンズ配置
により像面移動量変換係数Kが異なる様子を示したもの
であり、図5(a)は、遠点に焦点整合されている時の
合焦用レンズ1aのレンズ配置を実線Lで示し、その状
態で近点を見た時の像面ずれ量△Bf1等を破線Sで示
す。一方、図5(b)は、同様に、近点に焦点整合され
ている時の合焦用レンズ1aのレンズ配置を実線Sで示
し、その状態で遠点を見た時の像面ずれ量△Bf2等を破
線Lで示す。図5(a),(b)を参照すると、破線状
態から、すなわち非整合状態から焦点整合状態となるた
めの合焦用レンズ1aの移動量△xが、 (a) 遠点→近点の場合 +x1 (b) 近点→遠点の場合 −x1 であり、レンズ移動量の絶対値が等しいにもかかわら
ず、それぞれの非整合状態での像面ずれ量が、 【数2】 |△Bf1|≠|△Bf2| ・・・(2) であることがわかる。換言すれば、同一の像面ずれ量|
△Bf|が得られても、合焦に至るまでに要するレンズ
移動量|△x|は必ずしも等しくならない。また、ズー
ムレンズ等の焦点距離可変のレンズにあっては、焦点距
離によって変換係数Kが大きく変化するという問題があ
る。 【0008】本発明の目的は、レンズの種類やズームレ
ンズにおける焦点距離に拘わらず正確で応答が速い自動
合焦装置を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】〈請求項1〉 一実施例の構成を示す図1に対応づけて本発明を説明す
ると、請求項1の発明は、撮影光学系1の結像面と所定
焦点面との間の像面のずれ量ΔBfを検出する焦点検出
手段5,6と、像面ずれ量ΔBfを撮影光学系1の合焦
用レンズ1aの移動量Δxに変換するための特定の変換
係数K0と、その変換係数K0を補正するための複数の
補正係数Cm(m=1,2,・・)とを予め記憶する記
憶手段7と、この記憶手段7に記憶されている特定の変
換係数K0と複数の補正係数Cm(m=1,2,・・)
とに基づいて、焦点検出手段5,6により検出された像
面ずれ量ΔBfから合焦用レンズ1aの移動量Δxを算
出するレンズ移動量算出手段8と、このレンズ移動量算
出手段8により算出された移動量Δxに基づいて合焦用
レンズ1aを駆動制御するレンズ駆動手段9とを備え、
複数の補正係数Cmは、特定の変換係数K0を像面ずれ
量ΔBfの関数として補正するための像面ずれ量ΔBf
の各次数項の係数である。 〈請求項2〉 請求項2の発明は、変倍光学系1の結像面と所定焦点面
との間の像面のずれ量ΔBfを検出する焦点検出手段
5,6と、変倍光学系1の焦点距離領域をn個の領域に
分割して前記焦点距離領域を検出する焦点距離検出手段
7と、像面ずれ量ΔBfを変倍光学系1の合焦用レンズ
1aの移動量Δxに変換するための各焦点距離領域ごと
の特定の変換係数K0(i)(i=1〜n)と、その変
換係数K0(i)を補正するための各焦点距離領域ごと
の複数の補正係数Cm(i)(i=1〜n,m=1,
2,・・)とを予め記憶する記憶手段7と、この記憶手
段7に記憶されている各焦点距離領域ごとの特定の変換
係数K0(i)および複数の補正係数Cm(i)の内、
焦点距離検出手段7で検出された焦点距離領域の特定の
変換係数K0(i)と複数の補正係数Cm(i)とに基
づいて、焦点検出手段5,6により検出された像面ずれ
量ΔBfから合焦用レンズ1aの移動量Δxを算出する
レンズ移動量算出手段8と、このレンズ移動量算出手段
8により算出された移動量Δxに基づいて合焦用レンズ
1aを駆動制御するレンズ駆動手段9とを備え、複数の
補正係数Cm(i)は、特定の変換係数K0(i)を像
面ずれ量ΔBfの関数として補正するための像面ずれ量
ΔBfの各次数項の係数である。 【0010】 【作用】特定の変換係数K0と、その変換係数K0を像
面ずれ量ΔBfの関数として補正する場合の像面ずれ量
ΔBfの各次数項の係数である複数の補正係数Cm(m
=1,2,・・)とを予め設定して記憶しておき、これ
らの係数K0とCmにより像面ずれ量ΔBfを撮影光学
系1の合焦用レンズ1aの移動量Δxに変換して合焦用
レンズ1aを駆動制御する。これにより、撮影光学系の
各レンズ素子の配置と物点距離とに応じた正確な合焦用
レンズの移動量Δxを算出でき、合焦精度と合焦応答性
を向上させることができる。また、変倍光学系1の焦点
距離領域をn個の領域に分割し、各分割領域ごとの特定
の変換係数K0(i)(i=1〜n)と、各分割領域ご
との特定の変換係数K0(i)を像面ずれ量ΔBfの関
数として補正するための像面ずれ量ΔBfの各次数項の
係数である複数の補正係数Cm(i)(m=1,2,・
・)とを予め設定して記憶しておく。そして、変倍光学
系1の焦点距離領域を検出し、検出焦点距離領域の特定
の変換係数K0(i)と複数の補正係数Cm(i)とに
基づいて像面ずれ量ΔBfから合焦用レンズ1aの移動
量Δxに変換して合焦用レンズ1aを駆動制御する。こ
れにより、変倍光学系の焦点距離が変化しても変倍光学
系の各レンズ素子の配置と物点距離とに応じた正確な合
焦用レンズの移動量Δxを算出でき、合焦精度と合焦応
答性を向上させることができる。 【0011】なお、本発明の構成を説明する上記課題を
解決するための手段および作用の項では、本発明を分り
やすくするために実施例の図を用いたが、これにより本
発明が実施例に限定されるものではない。 【0012】 【実施例】以下、添付の図面を参照して本発明の一実施
例について説明する。図1は本発明に係る自動合焦装置
の一構成例を示すブロック図である。図中、1はカメラ
ボディに着脱可能な撮影レンズであり、光軸方向に沿っ
て移動可能な合焦用レンズ素子1aを有する。撮影レン
ズ1を透過した光束は、カメラボディに配設され、中央
部が半透過であるクイックリターンミラー2およびサブ
ミラー3を介して焦点検出用の受光部5に導かれる。受
光部5の出力は像面ずれ量算出部6に入力され、所定焦
点面、ここではフィルム面4からの像面ずれ量△Bfが
前後ピンの符号を含めて算出される。7は撮影レンズ1
中に設けられたROM等から構成されるレンズ情報格納
部であり、撮影レンズ1に固有の変換係数に関する情
報、すなわち、特定の像面移動量変換係数K0(以下、
特定の変換係数または単に変換係数と呼ぶ)および補正
係数C0が予め格納されている。これらの係数について
は後述する。 【0013】8はレンズ移動量算出部であり、前述の像
面ずれ量算出部6より算出された像面ずれ量△Bfおよ
び上述のレンズ情報格納部7より伝達される各係数(K
0,C0)を受け、合焦に至るまでに必要な合焦用レンズ
1aの移動量△xを次式にして算出する。 【数3】 △x=△Bf/{K0(1+C0・△Bf)} ・・・(3) (3)式の導き方については後述する。ここで、△xは
合焦用レンズ1aの光軸方向の移動量を表わし、符号は
繰り出す方向を正とする。尚、△Bfの符号は、所定焦
点面、ここではフィルム面4より後側(図面上、右手
側)の場合を正とする。 【0014】9は合焦用レンズ駆動制御部であり、レン
ズ移動量算出部8の出力△xに基づき、駆動用モータ1
0を制御し、合焦用レンズ1aを駆動する。本実施例で
は、上述の出力△xが正である場合に、モータ10を正
転させて合焦用レンズ1aを繰り込むよう作動させる。
そして、この制御部9はカウンタを有し、合焦用レンズ
1aの光軸方向の移動量に比例したパルスを発生するパ
ルス発生部11より出力されるパルス数をカウントし、
そのカウント値がレンズ移動量△xと一致した時にモー
タ10を停止させる。 【0015】ここで、図1中、像面ずれ量算出部6,レ
ンズ移動量算出部8およびレンズ駆動制御部9はカメラ
ボディ側に設けられたマイコン(ボディマイコン)で構
成されて各種の演算が実行される。また、レンズ情報格
納部7はレンズ側に設けられたマイコン(レンズマイコ
ン)内のROMにより構成される。なお、これら各マイ
コンはシリアル転送機能を有し、レンズ情報格納部7に
格納された係数情報がボディマイコンにシリアルに転送
される。 【0016】次に、変換係数K0および補正係数C0につ
いて説明する。特定の変換係数K0については、合焦点
近傍での合焦用レンズ1aの微少移動量△xに対する像
面の微少移動量△Bfの比として、 【数4】 K0=△Bf/△x ;合焦点近傍 ・・・(4) で表わされ、補正係数C0については、像面ずれ量△Bf
に従い変化する変換係数Kを補正する為の補正係数を表
わすものであり、これら2つの係数としては、各種の撮
影レンズに固有な値が設定される。 【0017】ここで、前群繰出し型ズームレンズの一例
について図2を参照して説明する。図2は、遠点と近点
との中間位置に被写体が位置した場合における、変換係
数Kの像面ずれ量△Bfに対する曲線Lを示す。図よ
り、変換係数Kは、像面ずれ量△Bf=0での変換係数
KをK0とし、傾きmをC0・K0と表わした時、 【数5】 K=m・△Bf+K0 =K0(m・△Bf/K0+1) =K0(C0・△Bf+1) ・・・(5) の直線近似より表わされた線Mに非常に合致することが
わかる。そこで、前群繰出し型ズームレンズの一例で
は、変換係数Kを上記(5)式で算出し、レンズ移動量
△xを(1),(5)式により 【数6】 △x=△Bf/K =△Bf/K0(C0・△Bf+1) ・・・(6) で算出することができる。なお、特定の変換係数K0
は、上述したような合焦点近傍の値を用いているが、そ
れに限定されることはなく、例えば、適宜、図2に示す
ように任意の1点K0”を用いてもよい。 【0018】図6は、前群繰出し型ズームレンズの諸デ
ータの数値例を示す。この図6から、被写体位置にかか
わらず、合焦点近傍での変換係数K(=K0)は、即ち
遠点〜近点における△Bf=0に対応する変換係数K
は、(イ),(ホ),(リ)即ち1.065〜1.052とほぼ一
定であることがわかる。そこで、レンズ情報格納部7に
格納する変換係数K0として上記値の平均値あるいは、
変換係数K0の最も大きな値、ここでは遠点での合焦位
置における変換係数K0(=1.065)の値(イ)を用いる
ことができる。 【0019】一方、補正係数C0は、(6)式を変形し
て得られる次式に、 【数7】 C0=1/(△x・△K0)−1/△Bf ・・・(7) 図6の任意の数値を代入して求めることができる。例え
ば、物点位置が遠点にあり、合焦用レンズ位置が近点合
焦位置にあった場合、即ち、(リ)→(ト)の近点→遠
点合焦では、図6より、K0=1.052、C0=0.0255、ま
た、物点位置が近点にあり、合焦用レンズ位置が遠点合
焦位置にあった場合、即ち、(イ)→(ハ)の遠点→近
点合焦では、同様にK0=1.065、C0=0.0256となり、
両者の平均値を補正係数C0として用いることができ
る。なお、必ずしも平均値を用いなくてもよい。 【0020】このようにして算出された変換係数Kに基
づいて上記(6)式により算出されるレンズ移動量△x
の誤差は、1%程度であり、焦点検出精度が高ければ、
例えば像面ずれ量△Bfを約5mmとし、合焦域を±5
0μm程度とした場合、1回の測距動作で合焦域まで合
焦用レンズを駆動することができる。 【0021】これに対して、合焦点近傍の変換係数K0
を用いて像面ずれ量△Bfにより補正しない場合には、
例えば変換係数K0を図6の遠点合焦時の値(イ);K0
=1.065を用いるとすれば、近点→遠点あるいは遠点→
近点において、それぞれ20%弱の誤差を含み、測距に
2〜3回必要であるばかりか、近点→遠点[(リ)→
(ト)]への合焦時の変換係数がK(=0.915)<K0
(=1.065)であり、この場合、算出される△xは、△
x=△Bf/Kであるので必ずオーバーランしようとす
る。そこで、オーバーランをさけるため、変換係数K0
として図6内の最大値(この例では(ハ);K=1.25
6)を選定すると、逆に遠点→近点への合焦時に相当の
行き足らずとなり、いずれにしてもスムーズな合焦駆動
ができない。 【0022】なお、至近点が近い撮影レンズや、合焦方
式が異なる(リアフォーカス,インナーフォーカス等)
様々なレンズにあっては、像面ずれ量△Bfに対する変
換係数Kの変化が必ずしも線型でなく、図3に示すよう
に曲線Lである場合も多いが、この場合でも、像面ずれ
量△Bf=0における曲線の接線Mにて線型近似を行な
えば簡単な演算で駆動誤差の非常に少ないレンズ移動量
△xを算出することができる。 【0023】また、接線を求めにくい場合、例えば図4
に示すように合焦用レンズ配置毎に像面ずれ量△Bfの
線L1〜L3が多少異なる場合では、それら各変換係数値
群を越えないような一本の直線Mを定めてそれに基づい
て、変換係数K0,補正係数C0を求めてもよい。この場
合にも、絶対にオーバーランすることがない。 【0024】さらに、撮影レンズがズームレンズ(変倍
光学系)の如き、焦点距離可変のレンズにあっては、上
述の変換係数K0および補正係数C0の値が設定焦点距離
に応じて変化するため、不図示のズームエンコーダによ
り焦点距離を微少領域fo〜fiに分割し、その分割され
た焦点距離領域fiに対して1対の係数情報K0(f
i),C0(fi)を定めることもできる。なお、このよ
うに、撮影レンズがズームレンズであり、かつレンズ情
報格納部にズームポジションに応答する焦点距離情報を
有する場合、例えばワイド側の焦点距離をfw,その時
の合焦用レンズ位置無限遠での変換係数KをK0(fw)
とした時、設定焦点距離fでの変換係数K0(f)を、 【数8】 K0=(f/fw)2・K0(fw) ・・・(8) と表わすことができるので、ズームポジション(分割さ
れた焦点距離領域)の数がi個とすれば、上述のように
K0(i),C0(i)と定めた場合の情報量2iに対して
K0(fw),C0(i)と(i+1)個の情報量でよくメ
モリ容量を節約できる。 【0025】さらにまた、マクロレンズ等の高い結像倍
率での撮影が可能なレンズにあっては、撮影距離により
変換係数K0および補正係数C0が著しく変化するので、
分割された撮影距離領域liに応じ、すなわち、不図示
の撮影距離エンコーダにより合焦用レンズ位置を複数の
領域に分割し、その距離領域毎に1対の係数情報K0
(li),C0(li)を定めることもできる。 【0026】以上の説明では、レンズ移動量△xを除算
形式で求めるようにしたが、乗算形式の方が演算が容易
である場合には、 【数9】 △x=K0’・(1+C0’・△Bf)・△Bf ・・・(9) として求めてもよい。 【0027】また、レンズ情報格納部としてROMを用
いる場合に、その容量に余裕が有る場合には、像面ずれ
量△Bfの一次の係数のみならず、 【数10】 △x=△Bf/{K0(1+C1・△Bf+C2・△Bf2)} ・・・(10) のように、高次の係数まで求めて、各レンズ毎に最適の
補正係数を求めることができる。 【0028】なお、変換係数Kを上述したような演算に
より求めるのではなく、像面ずれ量△Bfに対して変換
係数KをROM等の記憶装置にテーブルとして予め設定
することも可能であるが、カメラ本体のROMにかかる
テーブルを設定する場合には、すべての交換レンズに対
し、像面ずれ量△Bfに対する変換係数Kのテーブルを
用意しなければならず、膨大な容量を必要とする。ま
た、レンズ内のROMに上記テーブルを設定した場合で
あってもカメラ本体側で検出される像面ずれ量△Bfの
情報を逐一レンズ側に転送してテーブルを参照する必要
があり、従って、本実施例では変換係数Kを上記式
(5)により求めるものである。 【0029】以上の実施例の構成において、撮影レンズ
1が撮影光学系および変倍光学系を、合焦用レンズ素子
1aが合焦用レンズを、受光部5および像面ずれ量算出
部6が焦点検出手段を、レンズ情報格納部7が記憶手段
および焦点距離検出手段を、レンズ移動量算出部8がレ
ンズ移動量算出手段を、レンズ駆動制御部9がレンズ駆
動手段をそれぞれ構成する。 【0030】 【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、特
定の変換係数K0と、その変換係数K0を像面ずれ量Δ
Bfの関数として補正するための像面ずれ量ΔBfの各
次数項の係数である複数の補正係数Cm(m=1,2,
・・)とを予め設定して記憶している。これらの係数K
0と複数のCmにより像面ずれ量ΔBfを撮影光学系の
合焦用レンズの移動量Δxに変換して合焦用レンズを駆
動制御するようにしたので、撮影光学系の各レンズ素子
の配置と物点距離とに応じた正確な合焦用レンズの移動
量Δxを算出でき、合焦精度と合焦応答性を向上させる
ことができる。特に、像面ずれ量ΔBfが大きい時に
は、複数の補正係数CmがあるためにΔBfをレンズ移
動量Δxに変換する際に、より高精度に変換できる。し
たがって、撮影レンズの合焦外れ量が大きくても正確な
レンズ移動量が求まるために、自動合焦制御の応答性、
精度が向上する。また、本発明は、変倍光学系の焦点距
離領域をn個の領域に分割し、各分割領域ごとの特定の
変換係数K0(i)(i=1〜n)と、各分割領域ごと
の特定の変換係数K0(i)を像面ずれ量ΔBfの関数
として補正するための像面ずれ量ΔBfの各次数項の係
数である複数の補正係数Cm(i)(m=1,2,・
・)とを予め設定して記憶しておく。そして、変倍光学
系の焦点距離領域の特定の変換係数K0(i)と複数の
補正係数Cm(i)とに基づいて像面ずれ量ΔBfから
合焦用レンズの移動量Δxに変換して合焦用レンズを駆
動制御するようにしたので、変倍光学系の焦点距離が変
化しても変倍光学系の各レンズ素子の配置と物点距離と
に応じた正確な合焦用レンズの移動量Δxを算出でき、
上述のごとく同様に合焦精度と合焦応答性を向上させる
ことができる。
測定することにより所定焦点面からの被写体像の像面ず
れ量を求めて自動合焦させる自動合焦装置に関する。 【0002】 【従来の技術とその問題点】撮影レンズの透過光を測定
して、撮影レンズの所定焦点面、例えばフィルム面と、
実際の被写体結像面との像面ずれ量を算出するTTL式
等の焦点検出装置が種々提案されており、モーター等の
レンズ駆動手段を有する装置にあっては、算出された像
面ずれ量に応じて撮影レンズの合焦用レンズを駆動して
撮影レンズを自動合焦させ得る。この場合の合焦させる
に必要なレンズの移動量△xは、算出された像面ずれ量
を△Bfで表すと、 【数1】 △x=△Bf/K ・・・(1) により算出することができる。ここで、Kはレンズ移動
量△xと像面ずれ量ΔBfとを対応づける像面移動量変
換係数(以下、単に変換係数と呼ぶ)と呼ばれる情報で
ある。 【0003】ここで、上述した変換係数Kは、交換レン
ズの種類、例えばその焦点距離の相違や、合焦方式(合
焦操作の際、撮影レンズを構成するレンズ素子の全体を
移動するのか、または前群繰出しのように、その一部の
みを移動する方式)の相違等により異なるのが一般的で
あり、交換レンズ毎に特定の変換係数Kを予め設定する
必要がある。 【0004】また、同一の撮影レンズにおいても、ズー
ムレンズのように焦点距離が可変のレンズにあっては、
変換係数Kが設定された焦点距離に対応して変化するた
め、特開昭59-140408号公報に開示されているように、
焦点距離領域を複数の領域に分割し、その分割された焦
点距離領域毎に最適な変換係数Kを設定している。 【0005】しかしながら、このように交換レンズ毎
に、あるいはズームレンズ等では焦点距離領域毎に、像
面ずれ量△Bfを合焦用レンズの移動量△xに変換する
為の変換係数Kを設定しても以下に述べる欠点を有して
いた。すなわち、変換係数は、正確には交換レンズを構
成するレンズ素子のパワー配置と物点距離とにより算出
される値である。すなわち、物点(被写体)の位置に対
応するカメラ側での像面ずれ量の大きさによっても変換
係数は変化することになる。カメラ等に搭載されるマイ
クロコンピュータ等の計算機では、変換係数を求めるた
めに交換レンズ毎にそのレンズのパワー配置と物点距離
とに基づき膨大な計算を必要とし、さらに対象となる物
点距離も正確に判明されているわけではなく、事実上、
このような計算機では正確な演算を実行できない。そこ
で、上述した各領域で設定される変換係数は、合焦点近
傍の値を代表値とするのが一般的であり、従って、像面
ずれ量が大きくなるに従って実際の変換係数が変化する
場合には、上述した従来例でも問題が残されている。 【0006】例えばカメラについて考えてみると、像面
ずれ量が比較的大きい初期の合焦用レンズ配置状態にお
いて像面ずれ量を求めて自動合焦させる場合、前後ピン
により、合焦域を著しくオーバーランしたり、あるいは
逆に行き足りず等を引き起こし、何回も測距を繰り返さ
ないと合焦域に達しない。従って、像面ずれ量が正確に
求められている場合でも、合焦応答性が非常に遅くな
り、すなわち高速合焦応答が得られないばかりか、レン
ズの駆動が円滑に行なわれず、その結果、円滑な操作感
が損われていた。特に、ズームレンズの代表的構成であ
る前群繰出し型のレンズ構成ではこのような像面ずれ量
による変換係数の変化が著しく問題であった。 【0007】ここで、図5(a),(b)を参照して変
換係数Kと像面ずれ量△Bfとの関係について詳述す
る。図5(a),(b)は、物点位置およびレンズ配置
により像面移動量変換係数Kが異なる様子を示したもの
であり、図5(a)は、遠点に焦点整合されている時の
合焦用レンズ1aのレンズ配置を実線Lで示し、その状
態で近点を見た時の像面ずれ量△Bf1等を破線Sで示
す。一方、図5(b)は、同様に、近点に焦点整合され
ている時の合焦用レンズ1aのレンズ配置を実線Sで示
し、その状態で遠点を見た時の像面ずれ量△Bf2等を破
線Lで示す。図5(a),(b)を参照すると、破線状
態から、すなわち非整合状態から焦点整合状態となるた
めの合焦用レンズ1aの移動量△xが、 (a) 遠点→近点の場合 +x1 (b) 近点→遠点の場合 −x1 であり、レンズ移動量の絶対値が等しいにもかかわら
ず、それぞれの非整合状態での像面ずれ量が、 【数2】 |△Bf1|≠|△Bf2| ・・・(2) であることがわかる。換言すれば、同一の像面ずれ量|
△Bf|が得られても、合焦に至るまでに要するレンズ
移動量|△x|は必ずしも等しくならない。また、ズー
ムレンズ等の焦点距離可変のレンズにあっては、焦点距
離によって変換係数Kが大きく変化するという問題があ
る。 【0008】本発明の目的は、レンズの種類やズームレ
ンズにおける焦点距離に拘わらず正確で応答が速い自動
合焦装置を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】〈請求項1〉 一実施例の構成を示す図1に対応づけて本発明を説明す
ると、請求項1の発明は、撮影光学系1の結像面と所定
焦点面との間の像面のずれ量ΔBfを検出する焦点検出
手段5,6と、像面ずれ量ΔBfを撮影光学系1の合焦
用レンズ1aの移動量Δxに変換するための特定の変換
係数K0と、その変換係数K0を補正するための複数の
補正係数Cm(m=1,2,・・)とを予め記憶する記
憶手段7と、この記憶手段7に記憶されている特定の変
換係数K0と複数の補正係数Cm(m=1,2,・・)
とに基づいて、焦点検出手段5,6により検出された像
面ずれ量ΔBfから合焦用レンズ1aの移動量Δxを算
出するレンズ移動量算出手段8と、このレンズ移動量算
出手段8により算出された移動量Δxに基づいて合焦用
レンズ1aを駆動制御するレンズ駆動手段9とを備え、
複数の補正係数Cmは、特定の変換係数K0を像面ずれ
量ΔBfの関数として補正するための像面ずれ量ΔBf
の各次数項の係数である。 〈請求項2〉 請求項2の発明は、変倍光学系1の結像面と所定焦点面
との間の像面のずれ量ΔBfを検出する焦点検出手段
5,6と、変倍光学系1の焦点距離領域をn個の領域に
分割して前記焦点距離領域を検出する焦点距離検出手段
7と、像面ずれ量ΔBfを変倍光学系1の合焦用レンズ
1aの移動量Δxに変換するための各焦点距離領域ごと
の特定の変換係数K0(i)(i=1〜n)と、その変
換係数K0(i)を補正するための各焦点距離領域ごと
の複数の補正係数Cm(i)(i=1〜n,m=1,
2,・・)とを予め記憶する記憶手段7と、この記憶手
段7に記憶されている各焦点距離領域ごとの特定の変換
係数K0(i)および複数の補正係数Cm(i)の内、
焦点距離検出手段7で検出された焦点距離領域の特定の
変換係数K0(i)と複数の補正係数Cm(i)とに基
づいて、焦点検出手段5,6により検出された像面ずれ
量ΔBfから合焦用レンズ1aの移動量Δxを算出する
レンズ移動量算出手段8と、このレンズ移動量算出手段
8により算出された移動量Δxに基づいて合焦用レンズ
1aを駆動制御するレンズ駆動手段9とを備え、複数の
補正係数Cm(i)は、特定の変換係数K0(i)を像
面ずれ量ΔBfの関数として補正するための像面ずれ量
ΔBfの各次数項の係数である。 【0010】 【作用】特定の変換係数K0と、その変換係数K0を像
面ずれ量ΔBfの関数として補正する場合の像面ずれ量
ΔBfの各次数項の係数である複数の補正係数Cm(m
=1,2,・・)とを予め設定して記憶しておき、これ
らの係数K0とCmにより像面ずれ量ΔBfを撮影光学
系1の合焦用レンズ1aの移動量Δxに変換して合焦用
レンズ1aを駆動制御する。これにより、撮影光学系の
各レンズ素子の配置と物点距離とに応じた正確な合焦用
レンズの移動量Δxを算出でき、合焦精度と合焦応答性
を向上させることができる。また、変倍光学系1の焦点
距離領域をn個の領域に分割し、各分割領域ごとの特定
の変換係数K0(i)(i=1〜n)と、各分割領域ご
との特定の変換係数K0(i)を像面ずれ量ΔBfの関
数として補正するための像面ずれ量ΔBfの各次数項の
係数である複数の補正係数Cm(i)(m=1,2,・
・)とを予め設定して記憶しておく。そして、変倍光学
系1の焦点距離領域を検出し、検出焦点距離領域の特定
の変換係数K0(i)と複数の補正係数Cm(i)とに
基づいて像面ずれ量ΔBfから合焦用レンズ1aの移動
量Δxに変換して合焦用レンズ1aを駆動制御する。こ
れにより、変倍光学系の焦点距離が変化しても変倍光学
系の各レンズ素子の配置と物点距離とに応じた正確な合
焦用レンズの移動量Δxを算出でき、合焦精度と合焦応
答性を向上させることができる。 【0011】なお、本発明の構成を説明する上記課題を
解決するための手段および作用の項では、本発明を分り
やすくするために実施例の図を用いたが、これにより本
発明が実施例に限定されるものではない。 【0012】 【実施例】以下、添付の図面を参照して本発明の一実施
例について説明する。図1は本発明に係る自動合焦装置
の一構成例を示すブロック図である。図中、1はカメラ
ボディに着脱可能な撮影レンズであり、光軸方向に沿っ
て移動可能な合焦用レンズ素子1aを有する。撮影レン
ズ1を透過した光束は、カメラボディに配設され、中央
部が半透過であるクイックリターンミラー2およびサブ
ミラー3を介して焦点検出用の受光部5に導かれる。受
光部5の出力は像面ずれ量算出部6に入力され、所定焦
点面、ここではフィルム面4からの像面ずれ量△Bfが
前後ピンの符号を含めて算出される。7は撮影レンズ1
中に設けられたROM等から構成されるレンズ情報格納
部であり、撮影レンズ1に固有の変換係数に関する情
報、すなわち、特定の像面移動量変換係数K0(以下、
特定の変換係数または単に変換係数と呼ぶ)および補正
係数C0が予め格納されている。これらの係数について
は後述する。 【0013】8はレンズ移動量算出部であり、前述の像
面ずれ量算出部6より算出された像面ずれ量△Bfおよ
び上述のレンズ情報格納部7より伝達される各係数(K
0,C0)を受け、合焦に至るまでに必要な合焦用レンズ
1aの移動量△xを次式にして算出する。 【数3】 △x=△Bf/{K0(1+C0・△Bf)} ・・・(3) (3)式の導き方については後述する。ここで、△xは
合焦用レンズ1aの光軸方向の移動量を表わし、符号は
繰り出す方向を正とする。尚、△Bfの符号は、所定焦
点面、ここではフィルム面4より後側(図面上、右手
側)の場合を正とする。 【0014】9は合焦用レンズ駆動制御部であり、レン
ズ移動量算出部8の出力△xに基づき、駆動用モータ1
0を制御し、合焦用レンズ1aを駆動する。本実施例で
は、上述の出力△xが正である場合に、モータ10を正
転させて合焦用レンズ1aを繰り込むよう作動させる。
そして、この制御部9はカウンタを有し、合焦用レンズ
1aの光軸方向の移動量に比例したパルスを発生するパ
ルス発生部11より出力されるパルス数をカウントし、
そのカウント値がレンズ移動量△xと一致した時にモー
タ10を停止させる。 【0015】ここで、図1中、像面ずれ量算出部6,レ
ンズ移動量算出部8およびレンズ駆動制御部9はカメラ
ボディ側に設けられたマイコン(ボディマイコン)で構
成されて各種の演算が実行される。また、レンズ情報格
納部7はレンズ側に設けられたマイコン(レンズマイコ
ン)内のROMにより構成される。なお、これら各マイ
コンはシリアル転送機能を有し、レンズ情報格納部7に
格納された係数情報がボディマイコンにシリアルに転送
される。 【0016】次に、変換係数K0および補正係数C0につ
いて説明する。特定の変換係数K0については、合焦点
近傍での合焦用レンズ1aの微少移動量△xに対する像
面の微少移動量△Bfの比として、 【数4】 K0=△Bf/△x ;合焦点近傍 ・・・(4) で表わされ、補正係数C0については、像面ずれ量△Bf
に従い変化する変換係数Kを補正する為の補正係数を表
わすものであり、これら2つの係数としては、各種の撮
影レンズに固有な値が設定される。 【0017】ここで、前群繰出し型ズームレンズの一例
について図2を参照して説明する。図2は、遠点と近点
との中間位置に被写体が位置した場合における、変換係
数Kの像面ずれ量△Bfに対する曲線Lを示す。図よ
り、変換係数Kは、像面ずれ量△Bf=0での変換係数
KをK0とし、傾きmをC0・K0と表わした時、 【数5】 K=m・△Bf+K0 =K0(m・△Bf/K0+1) =K0(C0・△Bf+1) ・・・(5) の直線近似より表わされた線Mに非常に合致することが
わかる。そこで、前群繰出し型ズームレンズの一例で
は、変換係数Kを上記(5)式で算出し、レンズ移動量
△xを(1),(5)式により 【数6】 △x=△Bf/K =△Bf/K0(C0・△Bf+1) ・・・(6) で算出することができる。なお、特定の変換係数K0
は、上述したような合焦点近傍の値を用いているが、そ
れに限定されることはなく、例えば、適宜、図2に示す
ように任意の1点K0”を用いてもよい。 【0018】図6は、前群繰出し型ズームレンズの諸デ
ータの数値例を示す。この図6から、被写体位置にかか
わらず、合焦点近傍での変換係数K(=K0)は、即ち
遠点〜近点における△Bf=0に対応する変換係数K
は、(イ),(ホ),(リ)即ち1.065〜1.052とほぼ一
定であることがわかる。そこで、レンズ情報格納部7に
格納する変換係数K0として上記値の平均値あるいは、
変換係数K0の最も大きな値、ここでは遠点での合焦位
置における変換係数K0(=1.065)の値(イ)を用いる
ことができる。 【0019】一方、補正係数C0は、(6)式を変形し
て得られる次式に、 【数7】 C0=1/(△x・△K0)−1/△Bf ・・・(7) 図6の任意の数値を代入して求めることができる。例え
ば、物点位置が遠点にあり、合焦用レンズ位置が近点合
焦位置にあった場合、即ち、(リ)→(ト)の近点→遠
点合焦では、図6より、K0=1.052、C0=0.0255、ま
た、物点位置が近点にあり、合焦用レンズ位置が遠点合
焦位置にあった場合、即ち、(イ)→(ハ)の遠点→近
点合焦では、同様にK0=1.065、C0=0.0256となり、
両者の平均値を補正係数C0として用いることができ
る。なお、必ずしも平均値を用いなくてもよい。 【0020】このようにして算出された変換係数Kに基
づいて上記(6)式により算出されるレンズ移動量△x
の誤差は、1%程度であり、焦点検出精度が高ければ、
例えば像面ずれ量△Bfを約5mmとし、合焦域を±5
0μm程度とした場合、1回の測距動作で合焦域まで合
焦用レンズを駆動することができる。 【0021】これに対して、合焦点近傍の変換係数K0
を用いて像面ずれ量△Bfにより補正しない場合には、
例えば変換係数K0を図6の遠点合焦時の値(イ);K0
=1.065を用いるとすれば、近点→遠点あるいは遠点→
近点において、それぞれ20%弱の誤差を含み、測距に
2〜3回必要であるばかりか、近点→遠点[(リ)→
(ト)]への合焦時の変換係数がK(=0.915)<K0
(=1.065)であり、この場合、算出される△xは、△
x=△Bf/Kであるので必ずオーバーランしようとす
る。そこで、オーバーランをさけるため、変換係数K0
として図6内の最大値(この例では(ハ);K=1.25
6)を選定すると、逆に遠点→近点への合焦時に相当の
行き足らずとなり、いずれにしてもスムーズな合焦駆動
ができない。 【0022】なお、至近点が近い撮影レンズや、合焦方
式が異なる(リアフォーカス,インナーフォーカス等)
様々なレンズにあっては、像面ずれ量△Bfに対する変
換係数Kの変化が必ずしも線型でなく、図3に示すよう
に曲線Lである場合も多いが、この場合でも、像面ずれ
量△Bf=0における曲線の接線Mにて線型近似を行な
えば簡単な演算で駆動誤差の非常に少ないレンズ移動量
△xを算出することができる。 【0023】また、接線を求めにくい場合、例えば図4
に示すように合焦用レンズ配置毎に像面ずれ量△Bfの
線L1〜L3が多少異なる場合では、それら各変換係数値
群を越えないような一本の直線Mを定めてそれに基づい
て、変換係数K0,補正係数C0を求めてもよい。この場
合にも、絶対にオーバーランすることがない。 【0024】さらに、撮影レンズがズームレンズ(変倍
光学系)の如き、焦点距離可変のレンズにあっては、上
述の変換係数K0および補正係数C0の値が設定焦点距離
に応じて変化するため、不図示のズームエンコーダによ
り焦点距離を微少領域fo〜fiに分割し、その分割され
た焦点距離領域fiに対して1対の係数情報K0(f
i),C0(fi)を定めることもできる。なお、このよ
うに、撮影レンズがズームレンズであり、かつレンズ情
報格納部にズームポジションに応答する焦点距離情報を
有する場合、例えばワイド側の焦点距離をfw,その時
の合焦用レンズ位置無限遠での変換係数KをK0(fw)
とした時、設定焦点距離fでの変換係数K0(f)を、 【数8】 K0=(f/fw)2・K0(fw) ・・・(8) と表わすことができるので、ズームポジション(分割さ
れた焦点距離領域)の数がi個とすれば、上述のように
K0(i),C0(i)と定めた場合の情報量2iに対して
K0(fw),C0(i)と(i+1)個の情報量でよくメ
モリ容量を節約できる。 【0025】さらにまた、マクロレンズ等の高い結像倍
率での撮影が可能なレンズにあっては、撮影距離により
変換係数K0および補正係数C0が著しく変化するので、
分割された撮影距離領域liに応じ、すなわち、不図示
の撮影距離エンコーダにより合焦用レンズ位置を複数の
領域に分割し、その距離領域毎に1対の係数情報K0
(li),C0(li)を定めることもできる。 【0026】以上の説明では、レンズ移動量△xを除算
形式で求めるようにしたが、乗算形式の方が演算が容易
である場合には、 【数9】 △x=K0’・(1+C0’・△Bf)・△Bf ・・・(9) として求めてもよい。 【0027】また、レンズ情報格納部としてROMを用
いる場合に、その容量に余裕が有る場合には、像面ずれ
量△Bfの一次の係数のみならず、 【数10】 △x=△Bf/{K0(1+C1・△Bf+C2・△Bf2)} ・・・(10) のように、高次の係数まで求めて、各レンズ毎に最適の
補正係数を求めることができる。 【0028】なお、変換係数Kを上述したような演算に
より求めるのではなく、像面ずれ量△Bfに対して変換
係数KをROM等の記憶装置にテーブルとして予め設定
することも可能であるが、カメラ本体のROMにかかる
テーブルを設定する場合には、すべての交換レンズに対
し、像面ずれ量△Bfに対する変換係数Kのテーブルを
用意しなければならず、膨大な容量を必要とする。ま
た、レンズ内のROMに上記テーブルを設定した場合で
あってもカメラ本体側で検出される像面ずれ量△Bfの
情報を逐一レンズ側に転送してテーブルを参照する必要
があり、従って、本実施例では変換係数Kを上記式
(5)により求めるものである。 【0029】以上の実施例の構成において、撮影レンズ
1が撮影光学系および変倍光学系を、合焦用レンズ素子
1aが合焦用レンズを、受光部5および像面ずれ量算出
部6が焦点検出手段を、レンズ情報格納部7が記憶手段
および焦点距離検出手段を、レンズ移動量算出部8がレ
ンズ移動量算出手段を、レンズ駆動制御部9がレンズ駆
動手段をそれぞれ構成する。 【0030】 【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、特
定の変換係数K0と、その変換係数K0を像面ずれ量Δ
Bfの関数として補正するための像面ずれ量ΔBfの各
次数項の係数である複数の補正係数Cm(m=1,2,
・・)とを予め設定して記憶している。これらの係数K
0と複数のCmにより像面ずれ量ΔBfを撮影光学系の
合焦用レンズの移動量Δxに変換して合焦用レンズを駆
動制御するようにしたので、撮影光学系の各レンズ素子
の配置と物点距離とに応じた正確な合焦用レンズの移動
量Δxを算出でき、合焦精度と合焦応答性を向上させる
ことができる。特に、像面ずれ量ΔBfが大きい時に
は、複数の補正係数CmがあるためにΔBfをレンズ移
動量Δxに変換する際に、より高精度に変換できる。し
たがって、撮影レンズの合焦外れ量が大きくても正確な
レンズ移動量が求まるために、自動合焦制御の応答性、
精度が向上する。また、本発明は、変倍光学系の焦点距
離領域をn個の領域に分割し、各分割領域ごとの特定の
変換係数K0(i)(i=1〜n)と、各分割領域ごと
の特定の変換係数K0(i)を像面ずれ量ΔBfの関数
として補正するための像面ずれ量ΔBfの各次数項の係
数である複数の補正係数Cm(i)(m=1,2,・
・)とを予め設定して記憶しておく。そして、変倍光学
系の焦点距離領域の特定の変換係数K0(i)と複数の
補正係数Cm(i)とに基づいて像面ずれ量ΔBfから
合焦用レンズの移動量Δxに変換して合焦用レンズを駆
動制御するようにしたので、変倍光学系の焦点距離が変
化しても変倍光学系の各レンズ素子の配置と物点距離と
に応じた正確な合焦用レンズの移動量Δxを算出でき、
上述のごとく同様に合焦精度と合焦応答性を向上させる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例の構成を示すブロック図。
【図2】遠点と近点との中間位置に被写体が位置した場
合における、変換係数Kの像面ずれ量△Bfに対する曲
線Lの一例を示す図。 【図3】遠点と近点との中間位置に被写体が位置した場
合における、変換係数Kの像面ずれ量△Bfに対する曲
線Lの他の例を示す図。 【図4】合焦用レンズの配置ごとの、変換係数Kの像面
ずれ量△Bfに対する曲線Lを示す図。 【図5】物点位置および合焦用レンズの配置によって像
面移動量変換係数Kが異なる様子を示す図。 【図6】前群繰出し型ズームレンズの諸データの数値例
を示す図。 【符号の説明】 1a 合焦用レンズ素子 5 受光部 6 像面ずれ量算出部 7 レンズ情報格納部 8 レンズ移動量算出部 9 レンズ駆動制御部 10 駆動用モータ 11 パルス発生部
合における、変換係数Kの像面ずれ量△Bfに対する曲
線Lの一例を示す図。 【図3】遠点と近点との中間位置に被写体が位置した場
合における、変換係数Kの像面ずれ量△Bfに対する曲
線Lの他の例を示す図。 【図4】合焦用レンズの配置ごとの、変換係数Kの像面
ずれ量△Bfに対する曲線Lを示す図。 【図5】物点位置および合焦用レンズの配置によって像
面移動量変換係数Kが異なる様子を示す図。 【図6】前群繰出し型ズームレンズの諸データの数値例
を示す図。 【符号の説明】 1a 合焦用レンズ素子 5 受光部 6 像面ずれ量算出部 7 レンズ情報格納部 8 レンズ移動量算出部 9 レンズ駆動制御部 10 駆動用モータ 11 パルス発生部
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.撮影光学系の結像面と所定焦点面との間の像面のず
れ量ΔBfを検出する焦点検出手段と、 像面ずれ量ΔBfを前記撮影光学系の合焦用レンズの移
動量Δxに変換するための特定の変換係数K0と、その
変換係数K0を補正するための複数の補正係数Cm(m
=1,2,・・)とを予め記憶する記憶手段と、 この記憶手段に記憶されている前記特定の変換係数K0
と前記複数の補正係数Cm(m=1,2,・・)とに基
づいて、前記焦点検出手段により検出された像面ずれ量
ΔBfから前記合焦用レンズの移動量Δxを算出するレ
ンズ移動量算出手段と、 このレンズ移動量算出手段により算出された移動量Δx
に基づいて前記合焦用レンズを駆動制御するレンズ駆動
手段とを備え、 前記複数の補正係数Cmは、前記特定の変換係数K0を
像面ずれ量ΔBfの関数として補正するための像面ずれ
量ΔBfの各次数項の係数であ ることを特徴とする自動
合焦装置。 2.変倍光学系の結像面と所定焦点面との間の像面のず
れ量ΔBfを検出する焦点検出手段と、前記変倍光学系の焦点距離領域をn個の領域に分割して
前記焦点距離領域 を検出する焦点距離検出手段と、 像面ずれ量ΔBfを前記変倍光学系の合焦用レンズの移
動量Δxに変換するための前記各焦点距離領域ごとの特
定の変換係数K0(i)(i=1〜n)と、その変換係
数K0(i)を補正するための前記各焦点距離領域ごと
の複数の補正係数Cm(i)(i=1〜n,m=1,
2,・・)とを予め記憶する記憶手段と、 この記憶手段に記憶されている前記各焦点距離領域ごと
の前記特定の変換係数K0(i)および前記複数の補正
係数Cm(i)の内、前記焦点距離検出手段で検出され
た焦点距離領域の特定の変換係数K0(i)と複数の補
正係数Cm(i)とに基づいて、前記焦点検出手段によ
り検出された像面ずれ量ΔBfから前記合焦用レンズの
移動量Δxを算出するレンズ移動量算出手段と、 このレンズ移動量算出手段により算出された移動量Δx
に基づいて前記合焦用レンズを駆動制御するレンズ駆動
手段とを備え、 前記複数の補正係数Cm(i)は、前記特定の変換係数
K0(i)を像面ずれ量ΔBfの関数として補正するた
めの像面ずれ量ΔBfの各次数項の係数であ ることを特
徴とする自動合焦装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5227550A JP2679587B2 (ja) | 1993-09-13 | 1993-09-13 | 自動合焦装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5227550A JP2679587B2 (ja) | 1993-09-13 | 1993-09-13 | 自動合焦装置 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP61012391A Division JP2681912B2 (ja) | 1986-01-22 | 1986-01-22 | 自動合焦装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06175004A JPH06175004A (ja) | 1994-06-24 |
JP2679587B2 true JP2679587B2 (ja) | 1997-11-19 |
Family
ID=16862660
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5227550A Expired - Lifetime JP2679587B2 (ja) | 1993-09-13 | 1993-09-13 | 自動合焦装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2679587B2 (ja) |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS58217907A (ja) * | 1982-06-12 | 1983-12-19 | Nippon Seimitsu Kogyo Kk | ズームレンズのフォーカシング方法 |
JPS6278519A (ja) * | 1985-10-02 | 1987-04-10 | Canon Inc | 自動合焦装置 |
-
1993
- 1993-09-13 JP JP5227550A patent/JP2679587B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JPH06175004A (ja) | 1994-06-24 |
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