JP2678791B2 - 移動体の現在位置表示装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、移動体の現在位置を求めながら、予め画面
に写し出された道路地図上に移動体の現在位置を表示す
る移動体の現在位置表示装置に関する。

従来技術 従来、後で詳しく説明するが、例えば不案内地域など
における自動車等の移動体の運転時に、走行予定コース
から外れて運転者が道に迷うことがないように適切なガ
イダンスを行なわせるため、移動体の走行にともない、
距離センサと方向センサとを用いて移動体の走行距離と
進行方向とをそれぞれ検出しながら、移動体の２次元座
標上における現在市を演算によって求め、その移動体の
走行にともない刻々と変化する現在位置を予め画面に写
し出されている道路地図上に点情報によって逐次更新し
ながら表示させることにより、運転者に現在位置の確認
を行なわせることができるようにした移動体の現在位置
表示装置が開発されている。

このような移動体の現在位置表示装置では、移動体の
走行状態にしたがって距離検出および方向検出をなす際
における各検出精度などを要因とした位置誤差の発生が
否めず、移動体の走行が進むにしたがってその誤差が累
積されて更新表示される現在位置が地図上の道路から次
第に外れていき、自車が地図上におけるどの道路上を走
行しているのかを判断することができなくなってしまう
という問題がある。

同様のことは、地図のデフォルメによっても生ずる。

そのため従来では、地図上における道路のパターンと
移動体の走行にしたがって逐次更新される現在位置のデ
ータを記憶保持させることにより得られる走行軌跡のパ
ターンとのマッチング手段をとることによって、誤差に
より地図上の道路から外れて表示されている現在位置の
修正を行なわせるようにしている。

その具体的なマッチング手段としては、例えば、移動
体の走行軌跡と地図上の道路との各パターンをそれぞれ
折線近似して、その折線近似された各線分の位置，長
さ，方向などの特徴量をそれぞれ求め、その各求められ
た線分の特徴量を比較することによって両パターンのマ
ッチングをとるようにしている（特開昭61−243318号公
報参照）。

あるいはまた、移動体の走行軌跡と地図上の道路との
各パターンをそれぞれ等長ベクトル化して、その各ベク
トルの特徴量にしたがって両パターンのマッチングをと
るようにしている（特開昭64−41997号公報参照）。

このようなマッチング手段をとる場合、従来では、画
面に表示させる道路地図のデータと、予めマッチング処
理のアルゴリズムに応じて、例えば折線近似あるいは等
長ベクトル化されたマッチング処理に使用する地図デー
タとをそれぞれ同一の地図情報記憶媒体に記憶するよう
にして、フォーマットの統一化が図られている。

しかし、このように表示用の道路地図のデータとマッ
チング処理用の地図データとを対応させて１つの地図情
報記憶媒体にフォーマットの統一化を図りながら記憶さ
せるのでは、画面に表示される道路地図が同一種である
にもかかわらず、各種マッチング処理のアルゴリズムの
種類に応じてそれぞれフォーマットの統一化が図られた
地図情報記憶媒体を複数用意して、マッチング処理のア
ルゴリズムが変わるごとにそのフォーマットの統一化が
図られた地図情報記憶媒体を交換する必要があるものと
になっている。

同様に、画面に表示される道路地図として、例えば商
用，観光用などの複数種類のものがある場合、マッチン
グ処理のアルゴリズムが同一であるにもかかわらず、画
面に表示される道路地図の種類に応じてそれぞれフォー
マットの統一化が図られた地図情報記憶媒体を複数用意
して、画面に表示される道路地図の種類が変わるごとに
そのフォーマットの統一化が図られた地図情報記憶媒体
を交換する必要があるものとなっている。

目的 本発明は以上の点を考慮してなされたもので、各種表
示用の道路地図のデータと各種マッチング処理用の地図
データとを分離して、それぞれの地図データを別途に設
けられた各専用の地図情報記憶媒体に記憶させるように
して、マッチング処理のアルゴリズムまたは画面に表示
される道路地図の種類の変化にそれぞれ独立して対応す
ることができるようにした移動体の現在位置表示装置を
提供するものである。

構成 以下、添付図面を参照して本発明の一実施例について
詳述する。

本発明による移動体の現在位置表示装置は、第１図に
示すように、移動体のタイヤの回転に応じて単位走行距
離ごとにパルス信号を出力する距離センサ１と、ヨー方
向変化の角速度を検出して移動体の走行にともなう方向
の変化量に比例した信号を出力するレート式による方向
センサ２と、距離センサ１からのパルス信号数をカウン
トして移動体の走行距離を計測するとともに、方向セン
サ２の出力信号にしたがってその進行方向をわり出すこ
とにより、移動体の一定走行距離ごとにおけるＸ−Ｙ座
標上の現在位置を演算によって逐次求める第１の演算処
理装置（マイクロコンピュータ）３と、移動体の走行に
したがって刻々変化する現在位置のデータを順次格納
し、移動体の有限の連続位置情報としてそれを記憶保持
する走行軌跡記憶装置４と、予め商用，観光用などの複
数種類による表示用の道路地図のデータが格納されてい
る第１の地図情報記憶媒体５と、その記憶媒体５から地
図データを選択的に読み出す第１の記憶媒体再生装置６
と、その読み出された地図データにもとづいて所定の道
路地図が写し出された画面上に移動体の現在位置を、必
要に応じて走行軌跡および現在位置における移動体の進
行方向などとともに表示する表示装置７と、その表示の
制御を行なわせる表示制御装置（ECU）８と、マッチン
グ処理のアルゴリズムの選択指定を行なわせ、表示装置
７に表示させる道路地図の選択指定およびその表示され
た地図上における移動体の出発点の設定を行なわせ、ま
た走行軌跡および現在位置における移動体の進行方向な
どの表示指令を選択的に与え、画面に表示されている地
図および走行軌跡の方向変換，その表示位置のシフト，
地図および走行軌跡の部分拡大表示，表示縮尺率の選択
などの表示形態の設定変更などを適宜行なわせることの
できる操作装置９と、予め複数種類のマッチング処理の
アルゴリズムに対応したマッチング処理用の地図データ
が格納されている第２の地図情報記憶媒体10と、その記
憶媒体10から地図データを選択的に読み出す第２の記憶
媒体再生装置11と、走行軌跡記憶装置４に格納された走
行軌跡のデータと第２の地図情報記憶媒体10から読み出
されたマッチング処理用の地図データとにもとづいて移
動体の走行軌跡と地図上の道路との各パターンのマッチ
ング処理をなして、そのマッチングがとられた道路上に
移動体の現在位置が表示されるように、前記第１の演算
処理装置によって算出される現在位置のデータを修正す
る第２の演算処理装置（マイクロコンピュータ）12とよ
って構成されている。

なお、表示制御装置８は、表示用の道路地図のデータ
および現在位置のデータにもとづいて表示装置７の画面
に地図および移動体の現在位置を表示させるとともに、
操作装置９から入力される操作指令に応じてその画面の
表示形態を適宜変化させる。

このように構成されたものでは、選択的に読み出され
た道路地図が表示装置７の画面に映し出されるととも
に、その地図上において設定された出発点からの移動体
の走行にしたがい、第１の演算処理装置３によって、予
め設定された地図の縮尺率に応じてＸ−Ｙ座標上におけ
る現在位置が刻々と演算によって求められていく。

その求められた現在位置のデータが第２の演算処理装
置12に引き渡されたうえで、走行軌跡記憶装置４に逐次
送られて記憶され、一連の走行軌跡のデータとして更新
的に保持される。

そして、第２の演算処理装置12において、後述するよ
うに、移動体の走行軌跡と地図上の道路との各パターン
のマッチング処理が実行され、マッチングがとられた道
路上に走行軌跡が一致するように、走行軌跡とともに移
動体の現在位置のデータ修正がなされる。

その現在位置の修正されたデータが現在検出されてい
る方向のデータとともに表示制御装置８に与えられ、そ
の制御下において、例えば、第２図に示すように、表示
装置７の画面に写し出された道路地図上に移動体の現在
位置を示す表示マークM1およびその現在位置における移
動体の進行方向を示す表示マークM2が、また走行軌跡の
表示指令が出されているときには走行軌跡の表示マーク
M3が移動体の走行状態に追従して模擬的に表示される。
図中、Ｓは移動体の出発点を示している。

その際、第２の演算処理装置12においてマッチング処
理による移動体の現在位置の修正を行なわせない場合に
は、第３図に示すように、前述した累積誤差によって現
在位置および走行軌跡が移動体の走行が進むにしたがっ
て地図上の道路から次第に外れていき、しまいには移動
体が地図上のどの地点を走行しているのかを判断するこ
とができなくなってしまう。

同様のことは、画面に写し出されている地図のデフォ
ルメによって、移動体の現在位置が道路上から外れるこ
とによっても生ずる。

しかして、第２の演算処理装置12においてマッチング
処理による移動体の現在位置の修正を行なわせることに
より、第４図に示すように、パターンのマッチングがと
られた地図上の道路から外れることがないように、移動
体の現在位置が必要に応じて走行軌跡とともに表示され
ることになる。

なお、そのマッチング処理のアルゴリズムとしては、
前述したように、例えば、移動体の走行軌跡と地図上の
道路との各パターンをそれぞれ折線近似または等長ベク
トル化などして、その折線近似または等長ベクトル化な
どされた各線分の位置，長さ，方向などの特徴量にした
がって両パターンのマッチングをとるものが適用され
る。

このようなものにあって、本発明では、画面に表示さ
れる道路地図のデータが記憶されている第１の地図情報
記憶媒体５とは別途に、マッチング処理の適用アルゴリ
ズムに応じて地図上の道路が折線近似または等長ベクト
ル化などされたマッチング処理用の地図データが記憶さ
れた第２の地図情報記憶媒体10を設けたことを特徴とし
ている。

しかして、第２の演算処理装置12において、走行軌跡
記憶装置４から読み出した移動体の走行軌跡のデータに
したがってその走行軌跡を折線近似または等長ベクトル
化などし、その処理された走行軌跡のデータと第２の地
図情報記憶媒体10から読み出したマッチング処理用の地
図データとにもとづいて、地図上の道路と走行軌跡との
各パターンのマッチングがとられる。

このように本発明によれば、マッチング処理のアルゴ
リズムに応じて、予め地図上の道路が折線近似または等
長ベクトル化などされたマッチング処理用の地図データ
が記憶された第２の地図情報記憶媒体10を設けるように
しているので、第２の演算処理装置12においてそれぞれ
折線近似または等長ベクトル化などされた地図上の道路
と移動体の走行軌跡との各パターンのマッチングをとる
際の処理負担が有効に軽減される。

また、その第２の地図情報記憶媒体10に記憶される地
図データとしては、表示を何ら考慮する必要がないの
で、マッチング処理のアルゴリズムに応じた最適なデー
タとすることができる。

また、第１の地図情報記憶媒体５と第２の地図情報記
憶媒体10とによってマッチング処理用の地図データと画
面に表示される道路地図のデータとが分離されているの
で、マッチング処理のアルゴリズムを変更する際には、
表示用の地図データはそのままとし、第２の地図情報記
憶媒体10を交換するだけで容易に対応することができる
ようになる。

さらに、マッチング処理用の地図データはそのままと
し、画面に表示される道路地図の種類を商用、観光用な
どに独立して変更することができるようになる。

なお、第２の地図情報記憶媒体10に複数種類のマッチ
ング処理のアルゴリズムに応じた地図データをそれぞれ
記憶させておき、操作装置９からの入力操作によってそ
のアルゴリズムを指定させて、第２の演算処理装置12の
制御下において、その指定されたアルゴリズムにしたが
う所定のマッチング処理用の地図データを第２の地図情
報記憶媒体10から選択的に読み出すようにすることも可
能である。

また、第１図に示した本発明による移動体の現在位置
表示装置の構成によれば、多量のデータを取り扱うマッ
チング処理を、移動体の現在位置を算出する第１の演算
処理装置３および表示制御装置８とは別途に設けた第２
の演算処理装置12によって専用的に行なわせているの
で、移動体の現在位置の算出や表示のための本来の処理
能力を何ら低下させることなく、そのマッチング処理を
並列的に行なわせることができるようになる。

したがって、移動体の現在位置表示装置全体として高
速での処理が可能となり、リアルタイム性をもって、画
面に表示された地図の道路上にマッチング処理によって
修正された移動体の現在位置を表示させることができる
ようになる。

効果 以上、本発明による移動体の現在位置表示装置にあっ
ては、移動体の走行軌跡のデータと地図データとにもと
づいて走行軌跡と地図上の道路とに関する各パターンの
マッチングをとって、そのパターンのマッチングがとら
れた地図の道路上の移動体の現在位置が表示されるよう
に修正する際、画面に表示される道路地図のデータが記
憶される記憶媒体と前記マッチングの処理に用いられる
地図データが記憶される記憶媒体とをそれぞれ別途に設
けて、各種表示用の道路地図のデータと各種マッチング
処理用の地図データとを分離するようにしているため、
マッチング処理のアルゴリズムまたは画面に表示される
道路地図の種類の変化にそれぞれ独立して対応すること
ができるという優れた利点を有している。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による移動体の現在位置表示装置の一実
施例を示すブロック構成図、第２図は同実施例における
表示画面の一例を示す図、第３図は移動体の現在位置が
道路上から外れて表示されている状態を示す図、第４図
はマッチング処理によって移動体の現在位置および走行
軌跡が地図上の道路に合せ込まれた状態を示す図であ
る。 １……距離センサ、２……方向センサ、３……第１の演
算処理装置、４……走行軌跡記憶装置、５……第１の地
図情報記憶媒体、６……第１の記憶媒体再生装置、７…
…表示装置、８……表示制御装置、９……操作装置、10
……第２の地図情報記憶媒体、11……第２の記憶媒体再
生装置、12……第２の演算処理装置

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】移動体の走行距離および進行方向をそれぞ
   れ検出しながら、移動体の走行にともない刻々変化する
   ２次元座標上の現在位置を逐次演算によって求め、その
   求められた現在位置のデータを記憶保持させて移動体の
   走行軌跡を求めながら、予め記憶媒体から道路地図のデ
   ータが読み出されて所定の道路地図が表示された画面上
   に移動体の現在位置の更新表示を行なわせる移動体の現
   在位置表示装置において、走行軌跡のデータと地図デー
   タとにもとづいて走行軌跡と地図上の道路とに関する各
   パターンのマッチングをとる手段と、そのパターンのマ
   ッチングがとられた地図の道路上に移動体の現在位置が
   表示されるように修正する手段とをとり、画面に表示さ
   れる道路地図のデータが記憶される記憶媒体と前記マッ
   チングの処理に用いられる地図データが記憶される記憶
   媒体とをそれぞれ別途に設けたことを特徴とする移動体
   の現在位置表示装置。