JP2675112B2 - 電気腐食切断機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は特許請求の範囲第１項の前段に規定する電
気腐食切断機に関する。

周知のように、電気腐食切断機の電極は直径が0.02〜
0.35mmの範囲の細い線材である。切断処理の間、この線
材は供給ボビンから巻き解かれる。加工品の上下に位置
する複雑な機構の内部で、この電極は捩じったり引っ張
ったりされる。その張力は例えば16ニュートンにもな
る。更に、この電極の位置を正確に維持するダイアモン
ドやサファイアは、特に円錐状の切断部でこの線電極に
大きな摩擦を与える機構の中に設けてあるので、線電極
はその引張強度まで張力を受ける。繰返周波数が250Hz
までのパルスに対して数百アンペアにまでなる動作電流
は細いワイパー接触子により細い線電極に導入される。
動作の電流の繊維領域は非常に狭い。動作電流が大きく
て温度上昇があるため、加工品と線電極の間に特異な腐
食通過が生じる誘電絶縁物の領域を冷却する必要があ
る。冷却のこの難点は、電流の通過領域も電気腐食も受
け、これが破壊を早める点にある。更に、電流の通過領
域は線電極への摩擦を増加させる。腐食処理の間で周知
の線電極は動作間隙中の以下の力により逆に影響を受け
る。つまり、誘電体流の流れや気泡から生じる静電力、
スパーク放電力および機械的な力である。作業間隙の前
記力は望ましくない終電曲の振動を発生させ、この張力
は引っ張られた線電極の約1kHzの周りの自然周波数の範
囲にある。これは、腐食処理の効率を係数２〜３ほど低
下させる。他の難点は、周知の線電極上で物質が作業間
隔のスパーク放電により望ましくない方法で除去れる
（電極の消耗）点にある。これは、細い終電極の直径を
更に細くする。この難点は線電極の供給速度を早くして
も、補償できない。何故なら、この速度は材料の特性、
例えば線電極の弾性率により著しく制限されるからであ
る。更に、線電極は上記の効果でその限界に既に曝され
るが、腐食処理中の、例えば短絡やアーク放電のような
予期できない問題により消耗するからである。

この発明の課題は、周知の線電極の上記難点を克服
し、更に実際の作業処理に柔軟な状態で適合させること
にある。

上記の課題は、特許請求の範囲第１項の特徴部分によ
って解決されている。

この発明の具体例を添付図面に基づきより詳しく説明
する。ここに示すのは、 第１図、この発明の電極の一実施例を用いて切断装置
全体の断面図、 第２図、電極の第二実施例の断面図、 である 第１図は電極１を示し、この電極はノズル３を離れ、
加工品２の作業間隔13を通して集合容器５へ進む。ノズ
ル３は液体または粉粒状の媒体20を有する圧力容器４に
連通している。媒体20は水銀またはグラファイトの粉体
から成るか、あるいは液体のポリマーであってもよい。
これ等のポリマーは、周知のように、非常に良好な導電
性を有する共重合体と呼ばれている。媒体20は、例えば
銅、クロム、銀等のような拡散する金属を含む水銀化合
物である。更に、媒体20は、例えばタンタル等のような
不溶解性金属を含む水銀化合物で構成されていてもよ
い。媒体20は液体状、粉粒体状、ゲル状またはペースト
状、あるいはそれ等の汲み合わせの粘性を有していても
よい。この実施例では媒体20は水銀である。この媒体は
ポンプ11により加圧下で圧力容器４へ汲み出され、遮断
装置18,19が開くと、ノズル３を経由して排出される。
ノズル３の内部は、ノズル３から出るジェット電極が所
望の断面を有するように形成されている。この断面は、
円形、楕円形、三角形、正方形、長方形または多角形で
あってもよい。断面の形状は、加工品２を腐食切断する
間に要求される個々の要請に依存する遮断装置は、スラ
イダ18を動作させ、ノズル３を開閉させる駆動部19から
成る。ジェット１は非常に早い速度でノズルを離れるの
で、ジェットは捕集容器５に達するまで、加工品２の作
業間隙13を通過する通路でその形状を維持し、このジェ
ットは作業間隙自体内でそこに働く機械的および電気的
な力により影響されることはない。この速度は大体２〜
20m/secの範囲にある。これ等のデータは水銀にしか当
てはまらない。媒体20の他の化合仏では、より軽い比重
のため、ジェット１の排出速度がより早い。従って、こ
の速度は使用している媒体20の比重に比例する。この発
明のジェット電極１の移動速度は周知の線電極の速度よ
り百倍早い。このジェット電極１の高速度は以下で説明
する利得をもたらす。周知のように、電気腐食作業の電
圧と加工品に印加される。これは、第１図に腐食発電機
12により表されている。この発電機は腐食処理に必要な
パルス、電圧、電流、ディーティを与える。これ等のこ
とは周知であるから、これ以上の説明をしない。第１図
によれば、発電機12と一方の電極の間、および発電機12
と他方の加工品の間の電気接続はバイファイラー同軸ケ
ーブルで行われる。このケーブルの一方の極は接続端子
14の電極に接続されている。このケーブルの他方の極は
加工品２の接続端子16に接続されている。更に、捕集容
器５は接続端子15を介してこの供給ケーブルの第一極に
接続されている。加工品２の作業間隙13を通過するジェ
ット電極１の移動速度が非常に早いため、電極１と加工
品３の表面の間のスパークの放電通路が長くなり、その
断面は低減する。より小さい断面のため、放電エネルギ
はより集中し、従って加工品２の表面から材料をより多
く破壊させることができる。こうして、電気腐食切断の
効率が改善される。何故なら、材料の除法が線電極に比
べて増加するからである。

この発明による電極の高速ジェット１が流れ込む捕集
容器５は加工品２の下に設置されている。このジェット
の運動エネルギが大きいので、このジェットは偏向領域
６によりそらされ、捕集容器５の底にあるリザーバ７に
集まる。第１図には、ただ一つの偏向領域６が示してあ
るが、もちろん大きな運動エネルギを低減させる多数の
このような領域を儲けてもよい。同じ目的のため一つま
たはそれ以上の通路を設けることも考えられる。リザー
バー７中の水銀は排出円管９を経由して処理装置８に移
される。この装置には、水銀から望ましくない粒子を濾
過するため周知の濾過器、例えば遠心濾過器または液体
濾過器が設置されている。この浄化処理の後、水銀をポ
ンプ11で圧力容器４に汲み取る。上に述べたように、他
の媒体20を使用すれば、遠心濾過器または他の濾過器を
処理装置８に設置してもよい。

ノズル３の口と加工品２の表面の間の距離を要求に応
じて増加または減少させることができると言う事実を指
摘しておく。

第２図は圧力容器４上に多数のノズル３を備えた第二
の実施例を示す。これ等のノズルの二つのみを示す。他
のノズルは引用数字31,32,33,34,35と37の位置に配置さ
れている。圧力容器４は円筒形で、軸線の周りに回転す
る。入口45は円管10を経由してポンプ11に接続してい
る。圧力容器４の内壁は、弾性的な材料のライニングが
施してあり、溝付開口46を有する。この開口はライニン
グの全長を横断している。この開口を横断して円周上に
は、ライニング41に固定連結する浮遊体42がある。この
浮遊体の内部には中空空間44がある。この浮遊体の目的
は、媒体20中に浮き、浮力により常時溝46の上部位置を
維持するためにある。溝46のところでのみノズル３は媒
体20の供給を受ける。他のノズルは閉じている。媒体20
によりライニング41へ加わる圧力のため、ライニングは
圧力容器４の円筒面に向けて加圧されるので、閉じたノ
ズルを気密シールする。下向きのノズルのみが電極のジ
ェット１を形成でき、電気腐食切断を行う。下側のノズ
ルは作業位置にあり、他のノズルは非作業位置にある。
第２図の実施例は多重器具を形成する。各ノズルは他の
断面や他の円周を持っていてもよい。実際の腐食処理の
要求に応じて、最も好ましいノズルを作業位置に導入で
きる。これは、圧力容器４の圧力を零まで減少させるこ
とにより、ライニング41が圧力容器４の内面から分離す
る。その後は、望ましい断面と望ましい形状を有するノ
ズルが作業位置に来るように円筒状の圧力容器４を回転
させる。こうして、圧力容器に全圧力が再び加わる。作
業に位置にないノズルは、再びライニング41によって封
止される。

第１図と第２図に関連して言えることは、作業位置に
あるノズル３を加工品２の表面に垂直になるように、そ
の作業位置で垂直に下へ必ずしも向ける必要のない点に
ある。ノズル３が加工品の表面に対して０〜50゜の範囲
の角度になるように、両方の実施例での圧力容器４を回
転させてもよい。ノズルの作業位置は上記の範囲にあ
る。ノズルのそのような傾斜位置は、ジェット電極１が
加工品２に円錐状の切断を加える場合に必要になる。第
１図の圧力容器４は、特に示していない回転装置内に吊
るされている。この圧力容器は個々の角度位置に切り換
える必要があるだけである。第２図の圧力容器４は回転
可能に配設されている。しかし、ここでは、溝46をライ
ニング41の浮遊体42に対して幾何学的に付属させること
を変更する必要があり、溝がノズル３を上に述べた範囲
内で媒体20と共に提供することを保証する。

第１図と第２図はただ一つのノズル３を作業位置に示
しているが、ジェット電極１が同じ加工品２を共通にし
かも同時に切断する数個のノズルを設けてもよい。

Claims (12)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】切断加工中に電極（１）と加工品（２）を
   作業間隙（13）ほど互いに離した状態に常時維持し、作
   業電流を腐食発電機（12）から電極（１）と加工品
   （２）の間に供給する条件下で少なくとも１つの電極
   （１）を用いて加工品（２）を切断する電気腐食切断機
   において、前記電極（１）を加圧されてノズル（３）か
   ら噴射し、前記ノズルの断面で形成された高導電性の媒
   体（20）のジェットとして形成し、前記媒体（20）が液
   体状、ゲル状、ペースト状または粉体状の状態の少なく
   とも一つ、あるいはそれ等の組み合わせ状態にあること
   を特徴とする電気腐食切断機。
2. 【請求項２】ジェットを発生させるノズル（３）を加工
   品（２）の一方の表面の近くに配置し、このジェットを
   集める容器（５）を加工品の他方の表面の近くに配置し
   たことを特徴とする請求の範囲第１項に記載の電気腐食
   切断機。
3. 【請求項３】ノズル（３）の口は、加工品（２）の一方
   の面に対して僅かに調節可能な間隔にして配置されてい
   ることを特徴とする請求の範囲第１項または第２項に記
   載の電気腐食切断機。
4. 【請求項４】ノズル（３）は口から出るジェットに対し
   て所定の断面を与え、この断面は作業間隔（13）を通過
   するジェットの通路で不変であることを特徴とする請求
   項の範囲第１項に記載の電気腐食切断機。
5. 【請求項５】多数のノズル（３）を加工品の一方の表面
   に配置し、少なくとも一つのノズルを作業位置に向けて
   移動できることを特徴とする請求項の範囲第１項または
   第４項に記載の電気腐食切断機。
6. 【請求項６】ノズル（３）は同じ断面または異なった断
   面または形状を有することを特徴とする請求の範囲第５
   項に記載の電気腐食切断機。
7. 【請求項７】少なくとも一つのノズル（３）は媒体（2
   0）を入れる圧力容器（４）の上に配置されていること
   を特徴とする請求の範囲第1,5,6項のいずれか１項に記
   載の電気腐食切断機。
8. 【請求項８】圧力容器（４）上のノズル（３）は作業位
   置または非作業位置に移動でき、媒体（20）の流出は封
   止装置（18,19）で調整されることを特徴とする請求の
   範囲１〜７項のいずれか１項に記載の電気腐食切断機。
9. 【請求項９】圧力容器（４）は円筒形で回転可能であ
   り、封止装置は溝（46）を有する弾性的なライニング
   （41）から成り、このライニングは作業位置のノズル
   （３）が溝（46）を経由して圧力容器（４）の媒体（2
   0）に連通するように浮遊体（42,44）に接続されている
   ことを特徴とする請求の範囲第１〜第８項のいずれか１
   項に記載の電気腐食切断機。
10. 【請求項１０】腐食発電機（12）により供給される作業
    電流の電気導体（14）は、大部分の領域にわたりノズル
    （３）に接続されていることを特徴とする請求の範囲第
    １〜９項のいずれ１項に記載の電気腐食切断機。
11. 【請求項１１】捕集容器（５）の開口は加工品の他方の
    面に対して僅かな間隔に配置され、捕集容器（５）の内
    部に配設された少なくとも一つの偏向領域（６）または
    少なくとも一つの偏向通路は、ジェットの運動エネルギ
    を低減させるため、作業間隔（13）から出たジェット
    （１）をそらすことを特徴とする請求の範囲第２項に記
    載の電気腐食切断機。
12. 【請求項１２】捕集容器（５）中に捕集される媒体（2
    0）は再使用するため処理装置（８）中で浄化され、ポ
    ンプ（11）によりノズルの圧力容器（４）に汲み取られ
    ることを特徴とする請求の範囲第２項または第11項に記
    載の電気腐食切断機。