JP2674426B2 - フィルム自動現像機のフィルム案内装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、撮影済のフィルムを
現像処理するフィルム自動現像機のフィルム案内装置に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】フィルムを現像処理するフィルム自動現
像機には、パトローネから引き出されたフィルムの先端
をリーダに接続し、そのリーダを先行してフィルムを現
像部に移送するリーダ方式と、パトローネから引き出さ
れたフィルムをそのままの状態で現像部に移送するリー
ダレス方式とが存在する。

【０００３】リーダレス方式のフィルム自動現像機にお
いては、リーダ方式のフィルム自動現像機に比較して準
備に手間がかからず、また、リーダ方式の場合は、リー
ダの重みによってフィルムが引き出されて感光する危険
があるが、リーダを用いないため、フィルムが引き出さ
れるおそれがなく、安全に処理することができるという
特徴を有する。

【０００４】ところで、撮影済のフィルムは、使用した
カメラや保存期間等の要因でフィルム先端部に種々の巻
きぐせがついている。このようなフィルムをそのままの
状態でフィルムを現像部に誘導するガイド溝に差し込む
ことはきわめて困難であり、その差し込み途中において
フィルムの先端が折れ曲がり、つまるおそれがある。

【０００５】そのような不都合の発生を未然に防止する
ため、くせ直しすることが行なわれる。くせ直しの方法
には、巻きぐせを手で延ばす方法、フィルムに熱を加え
て矯正する方法、専用のホルダーに巻き替え方法があ
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところで、手で延ばす
フィルムのくせ直しにおいては、誤まってフィルムに折
れ目を発生させ、処理中にフィルムがつまることがあ
り、また、延ばし時にフィルムが引き出されて露光する
危険がある。

【０００７】一方、熱による矯正や専用ホルダーを使用
する方法においては、新たな部品が必要となり、コスト
高となる問題がある。

【０００８】また、いずれの方法も、フィルムをセット
するまでに時間を要し、フィルムの現像処理能力を低下
させる問題がある。

【０００９】この発明は上記の問題点を解決し、フィル
ム先端の巻きぐせを簡単にくせ直しすることができるよ
うにしてフィルムのセット時間の短縮化を図ることを技
術的課題としている。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、この発明においては、開閉自在の蓋を有するフィ
ルム挿入ボックスの内部に、パトローネを支持するホル
ダーと、そのホルダー上のパトローネから引き出された
フィルムの両側部を案内してそのフィルムを現像部に誘
導するガイド溝と、上記ホルダーとガイド溝のフィルム
入口間に配置され、フィルムをガイド溝に案内するフィ
ルムガイドとを設けたフィルム自動現像機のフィルム案
内装置において、前記ホルダーおよびフィルムガイドの
それぞれにフィルムの押し付けによりそのフィルムを幅
方向にカールさせる円弧状の案内面を設けた構成を採用
したのである。

【００１１】

【作用】上記のように構成すれば、パトローネから引き
出されたフィルムの先端部をホルダーおよびフィルムガ
イドの案内面に押し付けることにより、フィルムが幅方
向にカールし、そのカールによって巻きぐせが延ばさ
れ、しかもフィルムに腰が生じるため、フィルムを案内
面に沿って滑らせることにより、フィルムの先端部をフ
ィルムガイドからガイド溝内に挿入することができる。

【００１２】

【実施例】以下、この発明の実施例を添付図面に基づい
て説明する。

【００１３】図１に示すように、フィルム挿入ボックス
１は、前側上部に開口２を有し、その開口２を開閉する
Ｌ形の蓋３の下部はピン４を中心に回動自在に支持さ
れ、上記蓋３を閉じることによってフィルム挿入ボック
ス１の内部は暗所とされる。

【００１４】フィルム挿入ボックス１の内部にはブラケ
ット５が設けられている。ブラケット５は一対の側壁６
を有し、各側壁６の前側上部に案内孔７が設けられてい
る。案内孔７は側壁６の上縁で開口し、その開口から案
内孔７内にパトローネＰのスプールＳの端部を上方から
落し込めるようになっている。

【００１５】一対の側壁６の上部間には、支持枠８が取
付けられている。支持枠８は、図５に示すように、水平
な支持板８ａを有し、その支持板８ａの一側に側板８ｂ
が設けられている。側板８ｂの上部にはピン８ｃが設け
られ、そのピン８ｃでホルダー９の後部が回動自在に支
持されている。

【００１６】ホルダー９はスプリング１０によって上方
に引き上げられ、上面の一部がブラケット５に設けたス
トッパ１１に押し付けられている。

【００１７】ホルダー９の前部には案内孔７に落し込ま
れたパトローネＰを支持する円弧状の受部１２が設けら
れている。また、ホルダー９の前部には円弧状の案内面
１３が設けられている。

【００１８】受部１２上に載置されるパトローネＰ内の
フィルムＦは、上記案内面１３に沿って下方に引き出さ
れる。そのフィルムＦの引き出し路にはフィルムガイド
１４と、フィルムＦの両側部を案内してフィルム挿入ボ
ックス１に接続された現像部１５に向けてフィルムＦを
誘導するガイド溝２３とが設けられ、そのガイド溝２３
に両側部が挿入されたフィルムＦは、送り装置としての
一対の送りローラ１６ａ、１６ｂによって現像部１５に
送り込まれ、複数のガイドローラ１７によって案内され
る。

【００１９】フィルムガイド１４は、ブラケット５にね
じ止めされている。このフィルムガイド１４には上下に
貫通する細長いフィルム案内孔１８と、そのフィルム案
内孔１８に対して交差方向に延びるカッタ案内孔１９と
が設けられている。また、フィルム案内孔１８のフィル
ム入口側にはガイド片２０が形成され、そのガイド片２
０の前側に円弧状の案内面２１が設けられている。

【００２０】フィルムＦを現像部１５に送り込む前記一
対の送りローラ１６ａ、１６ｂのうち、一方の送りロー
ラ１６ａはブラケット５に支持され、図示省略したモー
タによって図１の矢印方向に回転される。他方の送りロ
ーラ１６ｂは、蓋３に連結された板ばね２２の先端部に
回転自在に支持され、その板ばね２２の弾力によって一
方の送りローラ１６ａに押し付けられている。

【００２１】上記送りローラ１６ａ、１６ｂによって現
像部１５に送り込まれるフィルムＦの後端はパトローネ
ＰのスプールＳに連結され、上記フィルムＦの後端部が
パトローネＰの外部に引き出されると、フィルムＦはカ
ッタ装置２４によって切断される。

【００２２】カッタ装置２４として、ここでは、図１お
よび図３に示すように、フィルムＦの後端がスプールＳ
を引き下げるフィルムテンションの増加によりピン８ｃ
を中心にホルダー９を下方向に回動させ、そのホルダー
９でＬ形レバー２５の一端を押し下げ、ピン２６を中心
とする上記レバー２５の回動により、そのレバー２５の
他端に設けた係合爪２７と前記支持板８ａ上のピン２８
を中心として揺動自在に設けた刃物取付板２９の係合板
部３０との係合を解除し、その刃物取付板２９に連結し
たスプリング３１の弾力により上記ピン２８を中心に刃
物取付板２９をフィルムＦに向けて揺動させ、上記刃物
取付板２９に取付けた刃板３２をカッタ案内孔１９から
フィルムＦに向けて移動させてフィルムＦを瞬時に切断
するようにしているが、カッタ装置２４はこれに限定さ
れるものではない。

【００２３】例えば、フィルムＦの移送路に、固定の刃
板とソレノイドの作動により固定刃板に向けて移動され
る可動刃板とを設け、ホルダー９の下方向への揺動時に
リミットスイッチを作動させ、ソレノイドの励磁により
可動刃板を固定刃板に向けて移動させてフィルムを切断
するようにしたカッタ装置であってもよい。

【００２４】実施例で示すカッタ装置においては、フィ
ルム切断後の刃板３２を元の待機位置に戻すため、図３
および図５に示すように、蓋３の下端に連設した突片３
３に突軸３４を設け、上記蓋３の開放による突軸３４の
ピン４を中心とする回転運動により駆動アーム３５を介
して軸３６を同図の矢印方向に回転させ、その軸３６に
取付けた押圧レバー３７の押圧片３７ａを介して軸３６
に対して回転自在に支持された連動ピン３８を軸３６と
同方向に回転させ、その連動ピン３８が係合板部３０を
後方に押圧する作動により刃物取付板２９を後方に揺動
させるようにしている。そして、上記係合板部３０がレ
バー２５の係合爪２７のテーパ縁３９を押圧する作用に
よりレバー２５を下方向に揺動させ、係合板部３０が係
合爪２７を通過したとき、レバー２５をキックスプリン
グ４０の弾力により上方に揺動させ、係合爪２７に係合
板部３０の先端を係合させるようにしている。

【００２５】実施例で示すフィルム移送装置は上記の構
造から成り、パトローネＰ内のフィルムＦの現像に際し
ては、図２に示すように、蓋３を開放し、パトローネＰ
から引き出されたフィルムＦの先端部をフィルムガイド
１４のフィルム案内孔１８内からガイド溝２３に挿入し
てパトローネＰをホルダー９の受部１２上に載置し、そ
の後、蓋３を閉じてフィルムＦの先端部を一対の送りロ
ーラ１６ａ、１６ｂで挾持し、その送りローラ１６ａ、
１６ｂの回転によってフィルムＦを現像部１５に送り込
む。

【００２６】ホルダー９に対するパトローネＰのセット
時、フィルムＦの先端部に巻きぐせがついていると、フ
ィルムガイド１４のフィルム案内孔１８およびガイド溝
２３に対するフィルムＦの先端部の挿入が困難になり、
無理に挿入すると、先端部が折れ曲がり、つまりを生じ
る。

【００２７】そこで、巻きぐせのついているフィルムＦ
のセットに際しては、フィルムＦの先端部をホルダー９
の案内面１３およびガイド片２０の案内面２１に押し付
け、その押し付け状態を保持しつつフィルムＦをパトロ
ーネＰと共に下方向に移動させる。

【００２８】ホルダー９の案内面１３およびガイド片２
０の案内面２１にフィルムＦの先端部を押し付けること
により、フィルムＦは幅方向にカールして巻きぐせが直
されると共に、フィルムＦに腰が生じ、フィルムＦをパ
トローネＰと共に引き下げることにより、フィルムＦの
先端部をフィルム案内孔１８からガイド溝２３内にスム
ーズに挿入することができる。

【００２９】

【発明の効果】以上のように、この発明に係るフィルム
移送装置においては、ホルダーおよびフィルムガイドの
ガイド片に設けた円弧状の案内面にフィルムの先端部を
押し付けることによりフィルムが幅方向にカールするた
め、フィルムの先端の巻きぐせをきわめて簡単にくせを
直すことができ、しかもフィルムの幅方向のカールによ
ってフィルムに腰が生じ、フィルムおよびパトローネの
引き下げによってフィルムをフィルムガイドからガイド
溝内にきわめてスムーズに挿入することができる。した
がって、巻きぐせのついたフィルムのセットに時間がか
からず、作業性の向上を図ることができる。

【００３０】また、案内面に対するフィルムの押し付け
によってくせ直しするため、フィルムに折り目が生じる
等のトラブルの発生は皆無であり、安全にくせ直しする
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係るフィルム移送装置の一実施例を
示す縦断側面図

【図２】同上の蓋の開放状態を示す縦断側面図

【図３】図２のIII −III 線に沿った断面図

【図４】フィルムのセット状態を示す斜視図

【図５】同上の各部品を示す分解斜視図

【符号の説明】

１ フィルム挿入ボックス ３ 蓋 ９ ホルダー １３ 案内面 １４ フィルムガイド １５ 現像部 ２１ 案内面 ２３ ガイド溝

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 開閉自在の蓋を有するフィルム挿入ボッ
   クスの内部に、パトローネを支持するホルダーと、その
   ホルダー上のパトローネから引き出されたフィルムの両
   側部を案内してそのフィルムを現像部に誘導するガイド
   溝と、上記ホルダーとガイド溝のフィルム入口間に配置
   され、フィルムをガイド溝に案内するフィルムガイドと
   を設けたフィルム自動現像機のフィルム案内装置におい
   て、前記ホルダーおよびフィルムガイドのそれぞれにフ
   ィルムの押し付けによりそのフィルムを幅方向にカール
   させる円弧状の案内面を設けたことを特徴とするフィル
   ム自動現像機のフィルム案内装置。