JP2673518B2 - 塩水中の塩素酸塩の除去方法 - Google Patents
塩水中の塩素酸塩の除去方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
(イ)発明の目的
〔産業上の利用分野〕
本発明は陽イオン交換膜法塩化アルカリ水溶液の電解
に供する塩化アルカリ水溶液(以下「塩水」と称する)
の精製に関するもので、特に循環塩水中に蓄積してくる
塩素酸塩を、二酸化塩素の副生を防止しつつ除去する方
法に関するものである。 〔従来の技術〕 塩水中の塩素酸塩を除去する方法は、これまでいくつ
か提案されている。 その一つとして、塩酸を過剰に添加して、以下の反応
により、塩水中の塩素酸塩を分解する方法がある。 ClO3 -+2HCl →ClO2+1/2 Cl2+Cl-+H2O …(1) および、 ClO3 -+6HCl →3Cl2+Cl-+3H2O …(2) しかしこの方法では、大過剰の塩酸を加えなければ分
解が速やかに起こらない。このように塩酸を大過剰に加
えると、塩素酸塩分解後の塩水のpHは極めて低く、次工
程において中和のための多量の苛性アルカリを必要とす
る。 これを改良するために、イオン交換膜電解において、
塩素酸塩を含む陽極液からその一部を抜き出して、これ
に過剰の塩酸を加えて塩素酸塩を分解し、その後の未反
応塩酸を含みpHの低下した液を、電解槽への主塩水供給
経路に回収することによって、塩水中の塩素酸塩の増加
を防止し、中和用苛性アルカリの使用量を節減する方法
が提案されている(特開昭53−18498及び特開昭54−282
94)。 しかし、この様な改良法においても、塩酸による分解
方法に依存する以上は、上記(1)式から明らかなよう
に、塩素および二酸化塩素の混合ガスが発生するのを避
けることができない。 分解により生じるガスが塩素ガスのみならば、これを
苛性アルカリに吸収させて次亜塩素酸アルカリを製造す
ることができ、その再利用も可能であるが、二酸化塩素
が混入している場合には、二酸化塩素の一部が塩素ガス
と共に苛性アルカリに吸収されて、亜塩素酸塩や塩素酸
塩のような化合物を形成して、次亜塩素酸アルカリの不
純物となり、その品位を低下させる。 一方、吸収されなかった二酸化塩素は廃ガスとなって
系外に排出されることとなり、この除去処理、例えば、
塩化第1鉄や亜硫曹等の還元剤による処理が必要とな
り、これに費用がかかることが問題となっている。 これに対して、二酸化塩素の副生を抑制しつつ塩水中
の塩素酸塩を分解除去する方法が提案されており、塩素
酸塩を塩酸を用いて分解する際に、分解液(塩水)中の
塩酸濃度を150g/を超える値に保持する方法がある
(特開昭57−191225)。 しかし、上記方法(特開昭57−191225)では、塩水中
の塩酸濃度を極めて高くしなければならない。即ち通常
の塩素酸塩の分解除去法に比較して、はるかに大量の塩
酸を使用するため、結局多量の中和用苛性アルカリが必
要になるという問題は解決されていない。 〔発明が解決しようとする問題点〕 本発明は上述したごとき従来技術の問題点すなわち過
剰の塩酸の必要性と二酸化塩素の発生による問題を解決
し、塩水中の塩素酸塩の分解除去を効率良く行おうとす
るものである。 (ロ)発明の構成 〔問題点を解決するための手段〕 本発明者等は、塩水中の塩素酸塩を塩酸により分解除
去する方法につき検討した結果、塩水を反応槽に導入
し、これに塩酸を添加して塩素酸塩を分解する際、反応
槽内の塩水中の塩酸の濃度が10〜50g/の範囲にある場
合においては、この塩素酸塩濃度と、分解生成ガス中の
二酸化塩素濃度がほぼ比例し、反応槽における塩水中の
塩素酸塩濃度をClO3 -として1g/以下に維持するとき
は、二酸化塩素の副生が防止され、かつ塩酸の使用量が
少なくてすむという知見を得て、本発明を完成するに至
った。 〔作用〕 反応槽における塩水中の塩素酸塩濃度を減少させるこ
とによって、分解ガス中の二酸化塩素濃度が減少する理
由は明らかでないが、該塩水中の塩酸濃度が上述の10〜
50g/の範囲においては、塩水中の塩素酸塩濃度と分解
生成ガス中の二酸化塩素濃度が略比例関係にあるので、
塩水中の塩素酸塩濃度を低くすれば低くするだけ、二酸
化塩素の発生を抑制できるのである。 〔反応槽〕 本発明において使用する塩素酸塩分解反応槽の一例
は、図1に示すとおりで、塩素酸塩を含む塩水は主循環
塩水から分岐され、反応槽2に導入される。主循環塩水
の全量を処理しても構わないが、通常の塩素酸塩の生成
および蓄積量からすると、分岐された塩水を処理する程
度で充分であり、この方が塩水の処理量が少なくてすむ
ので好ましい。 反応槽には同時に塩酸が供給される。図1において
は、塩酸は塩水配管4を利用して塩水と混合供給されて
いるが、もちろん別々に反応槽に導入されても構わな
い。 反応槽には、下部より管5を通じて空気が導入され、
分解ガスと共に管6から系外に排出される。この空気は
分解ガスの追い出しと、反応槽中の塩水の攪拌に寄与す
る。 反応槽液はポンプ1で循環させられており、そしてそ
の一部は管7から主循環塩水ライン(図示されていな
い)へ戻される。 反応槽液の温度が低い場合、特に70℃以下の場合に
は、加熱器3によって加熱することが好ましい。 反応槽および付帯する設備には、この他液面計、温度
計、液面コントロール装置、温度コントロール装置等が
設けられることが好ましい。 〔反応条件〕 反応槽に供給される塩水中の塩素酸塩濃度は、通常は
20g/(ClO3 -として、以下同じ)以下である。これ以
上の量でも本発明によって分解除去可能であるが、この
ように塩素酸塩濃度の高い塩水が供給させるということ
は、電解槽内の電解液中に高濃度の塩素酸塩が存在する
ことを意味し、そのような場合には陽イオン交換膜に悪
影響を与えるし、又電解により得られる苛性アルカリ中
に不純物として塩素酸塩が多くなるので、かかる高濃度
の塩素酸塩を含有する塩水が供給されることは、実際上
は少ない。 塩水中の塩素酸塩を分解するために添加される塩酸の
量は、反応槽に供給される塩水中の塩素酸塩濃度によっ
ても違うが、反応槽内における濃度が10〜50g/になる
ように管理される。 反応槽内の塩酸濃度が10g/未満の場合には、反応が
速やかに起こらなくなり、反応槽液中の塩素酸塩濃度
を、低く保つことが困難となり、結果として分解生成ガ
ス中の二酸化塩素濃度が上昇する。 一方塩酸濃度が50g/を超える場合には、反応は速や
かに起こり、反応液中の塩素酸塩濃度を低く保つことは
できるが、後の工程において中和のために多量の苛性ア
ルカリを必要とするので適切でない。 反応槽の温度は70℃以上が好ましい。 電解層を出た塩水の温度は通常80〜90℃であるので、
電解槽を出た直後の塩水に本発明の方法を適用する場合
には、加熱操作は不要であり効率的である。 反応槽における平均滞留時間は長い程液中の塩素酸塩
濃度を低く保つことができるが、反応槽容積を大きくし
なければならないので、0.5〜20hr.が適当である。 本発明における反応槽液中の塩素酸塩濃度は、塩酸の
供給量および濃度、反応温度及び平均滞留時間を調整す
ることにより、1g/以下に保つことが容易にできる。 本発明によれば、分解生成ガス中の二酸化塩素濃度
(分解生成ガス中の二酸化塩素と塩素の合計量を基準と
した割合)を1.5vol.%以下に抑制することができる。 二酸化塩素ガスは塩素ガスに比べて苛性アルカリへの
吸収が悪いが、分解生成ガスの二酸化塩素濃度が1.5vo
l.%以下であれば、この分解生成ガスの大部分が苛性ア
ルカリに吸収されるので、吸収後の廃ガスに対する二酸
化塩素処理は事実上必要ないか、あるいは必要としても
その負担は著しく軽減され、しかも生成した次亜塩素酸
アルカリ中の不純物は僅少である。 〔実施例及び比較例〕 以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明す
る。 尚、塩水中の塩素酸塩濃度および廃ガス中の二酸化塩
素濃度の測定方法は次のとおりである。 (塩水中の塩素酸塩濃度) サンプル(塩水)に硫酸第1鉄アンモニウムを加えて
加熱し(ClO3 -を分解)、ラインハルト−チンメルマン
溶液を加えた後、過マンガン酸カリウム溶液で滴定。 (二酸化塩素濃度) 化学防災指針第7巻(丸善)参照。 廃ガスを10%KI溶液(1/15molリン酸二水素カリウ
ム、1/15molリン酸水素二ナトリウムの混合溶液を適量
添加してpH=7〜8としたもの)に吸収される。 次に吸収液より適量採取し、0.1N−Na2S2O3で滴定す
る。(Aml) 次にこの中に2N−H2SO4を加え、再び遊離したヨウ素
を0.1N−Na2S2O3で滴定する。(Bml) 実施例1 図3に示すガラス製連続式反応装置を組み立てて、下
記に示す範囲において様々に条件を変えて、定常状態に
おける液中の塩素酸塩濃度およびガス中の二酸化塩素濃
度を分析した結果、図2で示すような関係を得た。 二酸化塩素濃度は分解ガス中の二酸化塩素と塩素の合
計量に対する割合である。 なお、通気は窒素ガスにより分解ガスの排出で、攪拌
は窒素ガスおよびマズネチックスタラーにより行った。 実験1 反応条件 反応槽内液量 350ml 塩水NaCl 200g/ NaClO3 20g/ 塩水供給量 50ml/hr. 塩酸(35%)供給量 9ml/hr. 平均滞留時間(塩酸量を考慮しない場合) 6hr. 温度 70℃ 結果(反応開始5hr.後の値) 廃ガス中のClO2 2.5vol% 液分析NaClO3 1.81g/ HCl 0.767N 実験2 反応条件 反応槽内液量 350ml 塩水NaCl 200g/ NaClO3 20g/ 塩水供給量 50ml/hr. 塩酸(35%)供給量 9ml/hr. 平均滞留時間(塩酸量を考慮しない場合) 6hr. 温度 90℃ 結果(1)(反応開始4.5hr.後の値) 廃ガス中のClO2 0.6vol% 液分析NaClO3 0.31g/ HCl 0.897N 結果(2)(反応開始5.5hr.後の値) 廃ガス中のClO2 0.6vol% 液分析NaClO3 0.27g/ HCl 0.822N 結果(3)(反応開始6.5hr.後の値) 廃ガス中のClO2 1.0vol% 液分析NaClO3 0.54g/ HCl 0.666N 結果(4)(反応開始7.5hr.後の値) 廃ガス中のClO2 0.6vol% 液分析NaClO3 0.36g/ HCl 0.832N 実験3 反応条件 反応槽内液量 700ml 塩水NaCl 200g/ NaClO3 20g/ 塩水供給量 50ml/hr. 塩酸(35%)供給量 9ml/hr. 平均滞留時間(塩酸量を考慮しない場合) 12hr. 温度 70℃ 結果(1)(反応開始4hr.後の値) 廃ガス中のClO2 1.1vol% 液分析NaClO3 0.78g/ HCl 0.867N 結果(2)(反応開始5hr.後の値) 廃ガスのClO2 1.6vol% 液分析NaClO3 1.06g/ HCl 0.782N (ハ)発明の効果 本発明の方法によれば、塩水を反応槽に導入し、該反
応槽における塩水中の塩酸濃度を10〜50g/に維持し、
かつ塩素酸塩濃度をClO3 -として1g/以下に維持しつつ
塩酸を添加するという極めて簡単な方法で、少ない塩酸
の使用量でかつ二酸化塩素の副生を防止しつつ前期塩水
中の塩素酸塩を効率よく除去することができ、又塩素酸
塩の分解反応により生じる分解ガスは、二酸化塩素含有
量が少なく塩素の純度が大きいため、次亜塩素酸アルカ
リ製造に再利用することが可能である等、工業的に極め
て有用なものである。
に供する塩化アルカリ水溶液(以下「塩水」と称する)
の精製に関するもので、特に循環塩水中に蓄積してくる
塩素酸塩を、二酸化塩素の副生を防止しつつ除去する方
法に関するものである。 〔従来の技術〕 塩水中の塩素酸塩を除去する方法は、これまでいくつ
か提案されている。 その一つとして、塩酸を過剰に添加して、以下の反応
により、塩水中の塩素酸塩を分解する方法がある。 ClO3 -+2HCl →ClO2+1/2 Cl2+Cl-+H2O …(1) および、 ClO3 -+6HCl →3Cl2+Cl-+3H2O …(2) しかしこの方法では、大過剰の塩酸を加えなければ分
解が速やかに起こらない。このように塩酸を大過剰に加
えると、塩素酸塩分解後の塩水のpHは極めて低く、次工
程において中和のための多量の苛性アルカリを必要とす
る。 これを改良するために、イオン交換膜電解において、
塩素酸塩を含む陽極液からその一部を抜き出して、これ
に過剰の塩酸を加えて塩素酸塩を分解し、その後の未反
応塩酸を含みpHの低下した液を、電解槽への主塩水供給
経路に回収することによって、塩水中の塩素酸塩の増加
を防止し、中和用苛性アルカリの使用量を節減する方法
が提案されている(特開昭53−18498及び特開昭54−282
94)。 しかし、この様な改良法においても、塩酸による分解
方法に依存する以上は、上記(1)式から明らかなよう
に、塩素および二酸化塩素の混合ガスが発生するのを避
けることができない。 分解により生じるガスが塩素ガスのみならば、これを
苛性アルカリに吸収させて次亜塩素酸アルカリを製造す
ることができ、その再利用も可能であるが、二酸化塩素
が混入している場合には、二酸化塩素の一部が塩素ガス
と共に苛性アルカリに吸収されて、亜塩素酸塩や塩素酸
塩のような化合物を形成して、次亜塩素酸アルカリの不
純物となり、その品位を低下させる。 一方、吸収されなかった二酸化塩素は廃ガスとなって
系外に排出されることとなり、この除去処理、例えば、
塩化第1鉄や亜硫曹等の還元剤による処理が必要とな
り、これに費用がかかることが問題となっている。 これに対して、二酸化塩素の副生を抑制しつつ塩水中
の塩素酸塩を分解除去する方法が提案されており、塩素
酸塩を塩酸を用いて分解する際に、分解液(塩水)中の
塩酸濃度を150g/を超える値に保持する方法がある
(特開昭57−191225)。 しかし、上記方法(特開昭57−191225)では、塩水中
の塩酸濃度を極めて高くしなければならない。即ち通常
の塩素酸塩の分解除去法に比較して、はるかに大量の塩
酸を使用するため、結局多量の中和用苛性アルカリが必
要になるという問題は解決されていない。 〔発明が解決しようとする問題点〕 本発明は上述したごとき従来技術の問題点すなわち過
剰の塩酸の必要性と二酸化塩素の発生による問題を解決
し、塩水中の塩素酸塩の分解除去を効率良く行おうとす
るものである。 (ロ)発明の構成 〔問題点を解決するための手段〕 本発明者等は、塩水中の塩素酸塩を塩酸により分解除
去する方法につき検討した結果、塩水を反応槽に導入
し、これに塩酸を添加して塩素酸塩を分解する際、反応
槽内の塩水中の塩酸の濃度が10〜50g/の範囲にある場
合においては、この塩素酸塩濃度と、分解生成ガス中の
二酸化塩素濃度がほぼ比例し、反応槽における塩水中の
塩素酸塩濃度をClO3 -として1g/以下に維持するとき
は、二酸化塩素の副生が防止され、かつ塩酸の使用量が
少なくてすむという知見を得て、本発明を完成するに至
った。 〔作用〕 反応槽における塩水中の塩素酸塩濃度を減少させるこ
とによって、分解ガス中の二酸化塩素濃度が減少する理
由は明らかでないが、該塩水中の塩酸濃度が上述の10〜
50g/の範囲においては、塩水中の塩素酸塩濃度と分解
生成ガス中の二酸化塩素濃度が略比例関係にあるので、
塩水中の塩素酸塩濃度を低くすれば低くするだけ、二酸
化塩素の発生を抑制できるのである。 〔反応槽〕 本発明において使用する塩素酸塩分解反応槽の一例
は、図1に示すとおりで、塩素酸塩を含む塩水は主循環
塩水から分岐され、反応槽2に導入される。主循環塩水
の全量を処理しても構わないが、通常の塩素酸塩の生成
および蓄積量からすると、分岐された塩水を処理する程
度で充分であり、この方が塩水の処理量が少なくてすむ
ので好ましい。 反応槽には同時に塩酸が供給される。図1において
は、塩酸は塩水配管4を利用して塩水と混合供給されて
いるが、もちろん別々に反応槽に導入されても構わな
い。 反応槽には、下部より管5を通じて空気が導入され、
分解ガスと共に管6から系外に排出される。この空気は
分解ガスの追い出しと、反応槽中の塩水の攪拌に寄与す
る。 反応槽液はポンプ1で循環させられており、そしてそ
の一部は管7から主循環塩水ライン(図示されていな
い)へ戻される。 反応槽液の温度が低い場合、特に70℃以下の場合に
は、加熱器3によって加熱することが好ましい。 反応槽および付帯する設備には、この他液面計、温度
計、液面コントロール装置、温度コントロール装置等が
設けられることが好ましい。 〔反応条件〕 反応槽に供給される塩水中の塩素酸塩濃度は、通常は
20g/(ClO3 -として、以下同じ)以下である。これ以
上の量でも本発明によって分解除去可能であるが、この
ように塩素酸塩濃度の高い塩水が供給させるということ
は、電解槽内の電解液中に高濃度の塩素酸塩が存在する
ことを意味し、そのような場合には陽イオン交換膜に悪
影響を与えるし、又電解により得られる苛性アルカリ中
に不純物として塩素酸塩が多くなるので、かかる高濃度
の塩素酸塩を含有する塩水が供給されることは、実際上
は少ない。 塩水中の塩素酸塩を分解するために添加される塩酸の
量は、反応槽に供給される塩水中の塩素酸塩濃度によっ
ても違うが、反応槽内における濃度が10〜50g/になる
ように管理される。 反応槽内の塩酸濃度が10g/未満の場合には、反応が
速やかに起こらなくなり、反応槽液中の塩素酸塩濃度
を、低く保つことが困難となり、結果として分解生成ガ
ス中の二酸化塩素濃度が上昇する。 一方塩酸濃度が50g/を超える場合には、反応は速や
かに起こり、反応液中の塩素酸塩濃度を低く保つことは
できるが、後の工程において中和のために多量の苛性ア
ルカリを必要とするので適切でない。 反応槽の温度は70℃以上が好ましい。 電解層を出た塩水の温度は通常80〜90℃であるので、
電解槽を出た直後の塩水に本発明の方法を適用する場合
には、加熱操作は不要であり効率的である。 反応槽における平均滞留時間は長い程液中の塩素酸塩
濃度を低く保つことができるが、反応槽容積を大きくし
なければならないので、0.5〜20hr.が適当である。 本発明における反応槽液中の塩素酸塩濃度は、塩酸の
供給量および濃度、反応温度及び平均滞留時間を調整す
ることにより、1g/以下に保つことが容易にできる。 本発明によれば、分解生成ガス中の二酸化塩素濃度
(分解生成ガス中の二酸化塩素と塩素の合計量を基準と
した割合)を1.5vol.%以下に抑制することができる。 二酸化塩素ガスは塩素ガスに比べて苛性アルカリへの
吸収が悪いが、分解生成ガスの二酸化塩素濃度が1.5vo
l.%以下であれば、この分解生成ガスの大部分が苛性ア
ルカリに吸収されるので、吸収後の廃ガスに対する二酸
化塩素処理は事実上必要ないか、あるいは必要としても
その負担は著しく軽減され、しかも生成した次亜塩素酸
アルカリ中の不純物は僅少である。 〔実施例及び比較例〕 以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明す
る。 尚、塩水中の塩素酸塩濃度および廃ガス中の二酸化塩
素濃度の測定方法は次のとおりである。 (塩水中の塩素酸塩濃度) サンプル(塩水)に硫酸第1鉄アンモニウムを加えて
加熱し(ClO3 -を分解)、ラインハルト−チンメルマン
溶液を加えた後、過マンガン酸カリウム溶液で滴定。 (二酸化塩素濃度) 化学防災指針第7巻(丸善)参照。 廃ガスを10%KI溶液(1/15molリン酸二水素カリウ
ム、1/15molリン酸水素二ナトリウムの混合溶液を適量
添加してpH=7〜8としたもの)に吸収される。 次に吸収液より適量採取し、0.1N−Na2S2O3で滴定す
る。(Aml) 次にこの中に2N−H2SO4を加え、再び遊離したヨウ素
を0.1N−Na2S2O3で滴定する。(Bml) 実施例1 図3に示すガラス製連続式反応装置を組み立てて、下
記に示す範囲において様々に条件を変えて、定常状態に
おける液中の塩素酸塩濃度およびガス中の二酸化塩素濃
度を分析した結果、図2で示すような関係を得た。 二酸化塩素濃度は分解ガス中の二酸化塩素と塩素の合
計量に対する割合である。 なお、通気は窒素ガスにより分解ガスの排出で、攪拌
は窒素ガスおよびマズネチックスタラーにより行った。 実験1 反応条件 反応槽内液量 350ml 塩水NaCl 200g/ NaClO3 20g/ 塩水供給量 50ml/hr. 塩酸(35%)供給量 9ml/hr. 平均滞留時間(塩酸量を考慮しない場合) 6hr. 温度 70℃ 結果(反応開始5hr.後の値) 廃ガス中のClO2 2.5vol% 液分析NaClO3 1.81g/ HCl 0.767N 実験2 反応条件 反応槽内液量 350ml 塩水NaCl 200g/ NaClO3 20g/ 塩水供給量 50ml/hr. 塩酸(35%)供給量 9ml/hr. 平均滞留時間(塩酸量を考慮しない場合) 6hr. 温度 90℃ 結果(1)(反応開始4.5hr.後の値) 廃ガス中のClO2 0.6vol% 液分析NaClO3 0.31g/ HCl 0.897N 結果(2)(反応開始5.5hr.後の値) 廃ガス中のClO2 0.6vol% 液分析NaClO3 0.27g/ HCl 0.822N 結果(3)(反応開始6.5hr.後の値) 廃ガス中のClO2 1.0vol% 液分析NaClO3 0.54g/ HCl 0.666N 結果(4)(反応開始7.5hr.後の値) 廃ガス中のClO2 0.6vol% 液分析NaClO3 0.36g/ HCl 0.832N 実験3 反応条件 反応槽内液量 700ml 塩水NaCl 200g/ NaClO3 20g/ 塩水供給量 50ml/hr. 塩酸(35%)供給量 9ml/hr. 平均滞留時間(塩酸量を考慮しない場合) 12hr. 温度 70℃ 結果(1)(反応開始4hr.後の値) 廃ガス中のClO2 1.1vol% 液分析NaClO3 0.78g/ HCl 0.867N 結果(2)(反応開始5hr.後の値) 廃ガスのClO2 1.6vol% 液分析NaClO3 1.06g/ HCl 0.782N (ハ)発明の効果 本発明の方法によれば、塩水を反応槽に導入し、該反
応槽における塩水中の塩酸濃度を10〜50g/に維持し、
かつ塩素酸塩濃度をClO3 -として1g/以下に維持しつつ
塩酸を添加するという極めて簡単な方法で、少ない塩酸
の使用量でかつ二酸化塩素の副生を防止しつつ前期塩水
中の塩素酸塩を効率よく除去することができ、又塩素酸
塩の分解反応により生じる分解ガスは、二酸化塩素含有
量が少なく塩素の純度が大きいため、次亜塩素酸アルカ
リ製造に再利用することが可能である等、工業的に極め
て有用なものである。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明において使用される反応槽の一例を示す概
略図であり、図2は実施例1の塩素酸塩分解法における
液中の塩素酸塩濃度と分解ガス中の二酸化塩素濃度との
関係を示したグラフであり、図3は実施例1で使用した
反応装置の概略図である。 1……ポンプ、2……反応槽 3……加熱器 8……ホットスターラー(加熱と攪拌を同時に行う) 9……温度計、10……回転子 11……冷却器、12……反応器(ガラス製)
略図であり、図2は実施例1の塩素酸塩分解法における
液中の塩素酸塩濃度と分解ガス中の二酸化塩素濃度との
関係を示したグラフであり、図3は実施例1で使用した
反応装置の概略図である。 1……ポンプ、2……反応槽 3……加熱器 8……ホットスターラー(加熱と攪拌を同時に行う) 9……温度計、10……回転子 11……冷却器、12……反応器(ガラス製)
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フロントページの続き
(56)参考文献 特開 昭61−159592(JP,A)
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.陽イオン交換膜法塩化アルカリ水溶液電解用塩水を
塩素酸塩分解反応槽に導入し、塩酸を添加して該塩水中
の塩素酸塩を分解除去する方法において、該反応槽にお
ける塩水中の塩酸濃度を10〜50g/に維持し、かつ塩素
酸塩濃度をClO3 -として1g/以下に維持し、生ずる分解
生成ガス中の二酸化塩素濃度(分解生成ガス中の二酸化
塩素と塩素の合計量を基準とした割合)を1.5vol.%以
下に抑制することを特徴とする塩水中の塩素酸塩の除去
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62180101A JP2673518B2 (ja) | 1987-07-21 | 1987-07-21 | 塩水中の塩素酸塩の除去方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62180101A JP2673518B2 (ja) | 1987-07-21 | 1987-07-21 | 塩水中の塩素酸塩の除去方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6425992A JPS6425992A (en) | 1989-01-27 |
JP2673518B2 true JP2673518B2 (ja) | 1997-11-05 |
Family
ID=16077446
Family Applications (1)
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