JP2672144B2 - フロログルシンおよびレゾルシンの製造方法 - Google Patents

フロログルシンおよびレゾルシンの製造方法

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    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Description

【発明の詳細な説明】 発明の技術分野 本発明は、フロログルシンおよびレゾルシンを製造す
る方法に関し、さらに詳しくは、フロログルシンとレゾ
ルシンとを同時に、しかも効率良く製造することができ
る方法に関する。
発明の技術的背景 フロログルシンは、医薬、農薬などの製造中間体とし
て有用である。
このよなフロログルシンは、従来、1,3,5−トリイソ
プロピルベンゼン(以下、TIPBと略記することもある)
を分子状酸素等を用いて酸化処理して、1,3,5−トリス
(1−ヒドロペルオキシ−1−メチルエチル)ベンゼン
(以下、TRHPと略記することもある)を含む酸化物を
得、次いで、この酸化物を酸分解(クリベージ)するこ
とにより製造されていた(たとえば、東ドイツ国特許第
12,239号公報および英国特許第751,598号公報参照)。
しかしながら、上記の方法にしたがってTIPBを酸化し
た場合、目的とする三官能性酸化物であるトリヒドロペ
ルオキシドだけでなく、1,3−ビス(1−ヒドロペルオ
キシ−1−メチルエチル)−5−(1−ヒドロキシ−1
−メチルエチル)ベンゼン(以下、HDHPと略記すること
もある)および1−(1−ヒドロペルオキシ−1−メチ
ルエチル)−3,5−ビス(1−ヒドロキシ−1−メチル
エチル)ベンゼン(以下、DHHPと略記することもある)
のような三官能性酸化物に相応するカルビノール、二官
能性酸化物[3,5−ビス(1−ヒドロペルオキシ−1−
メチルエチル)イソプロピルベンゼン]およびこの二官
能性酸化物に相応するカルビノール、並びに一官能性酸
化物[5−(1−ヒドロペルオキシ−1−メチルエチ
ル)−1,3−ジイソプロペルベンゼン]およびこの一官
能性酸化物に相応するカルビノールなどが大量に副生す
る。
したがって、上記の方法に従って、TIPBの酸化により
得られた酸化物を直接酸分解した場合、生成物中にフロ
ログルシン以外の酸分解物が多量に含有され、従ってこ
の方法では、純度の高いフロログルシンを製造すること
が困難であった。
このような方法を改善した方法として、この酸化物を
含む溶液を酸性触媒を含有する過酸化水素(H2O2)水と
接触させて再度酸化処理することにより、三官能性酸化
物に相応するカルビノールから選択的にトリヒドロピル
オキシドを生成させ、次いでこのトリヒドロキシペルオ
キシドを酸分解(クリベージ)する方法が知られている
(特開昭58−35135号公報および特開昭58−150529号公
報参照)。
ところが、このようなフロログルシンの製造方法は、
TIPBの酸化物であるトリヒドロペルオキシドの凝固点が
80〜90℃と高く、しかもこの化合物がH2O2が用いる二次
酸化処理に対して安定な溶媒に溶解しにくいため、二次
酸化処理あるいは酸分解処理を行う際に反応溶液中にト
リヒドロペルオキシドが析出しやすく、このような場合
には反応が円滑に進行しない。また、トリヒドロキシペ
ルオキシドの析出を防止するために、多量の溶媒を使用
することも考えられるが、多量の溶媒を使用した場合に
は、必然的に酸分解処理の際に触媒を多量にしなければ
ならず、また酸分解時のフロログルシン収率も低くな
る。したがって、上記のような二次酸化処理および酸分
解処理を円滑に行なうには、ヒリヒドロペルオキシドが
高い溶解性を示し、しかもH2O2酸化処理において安定な
溶媒を見い出すことが重要である。
ところで、上記のTIPBと構造の近似した化合物として
m−ジイソプロピルベンゼン(以下単に『m−DIPB』と
記載することがある)がある。
そして、m−DIPBを分子状酸素を用いて酸化し、次い
で過酸化水素を用いて再度酸化した後、酸分解すること
によりレゾルシンが得られる。
そして、本発明者は、上記のTIPBからフロログルシン
を製造する方法と、m−DIPBからレゾルシンを製造する
方法とを詳細に検討した結果、両方法における製造条件
が非常に近似していることを見出した。
さらに、m−DIPBの酸化物は、凝固点が0℃以下と低
く、しかもこの酸化物は、TIPBの酸化物に対して良溶媒
となるとの知見を得た。
発明の目的 本発明は、フロログルシンとレゾルシンとを同時に効
率良く製造することができる方法を提供することを目的
としている。
さらに詳しくは、本発明は、溶媒量、特に酸分解処理
原料を均一な溶液状態に保つのに必要な溶媒量が少な
く、したがって酸分解処理に用いる酸性触媒の量が少な
く、かつフロログルシン収率も高くすることができるフ
ロログルシンおよびレゾルシンの同時製造方法をお提供
することを目的としている。
発明の概要 本発明は、1,3,5−トリイソプロピルベンゼンの酸化
物とm−ジイソプロピルベンゼンの酸化物とを含む混合
溶液を第1の酸性触媒を含有する過酸化水素水と接触さ
せるH2O2酸化工程:および、 前記工程から得られた反応液を第2の酸性触媒と接触
させる酸分解工程: を含むことを特徴とするフロログルシンとレゾルシンと
を同時に製造する方法にある。
本発明によれば、従来個別に製造されていたフロログ
ルシンとレゾルシンとを同時に、しかも効率良く製造す
ることができる。
本発明に係る製造方法では、m−DIPBを酸化して得ら
れたジヒドロペルオキシド、すなわち1,3−ビス(1−
ヒドロペルオキシ−1−メチルエチル)ベンゼン(m−
DHPと略記することもある)やモノヒドロペルオキシ
ド、すなわち1−(1−ヒドロペルオキシ)−3−(1
−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ベンゼン(m−HHP
と略記することもある)は凝固点が低く、かつ上記のTI
PBの酸化により得られるトリヒドロペルオキシド類の良
溶媒となる。したがって、H2O2との円滑な反応を行うの
に特殊な溶媒を必要とせず、かつ溶媒量が少なくなるた
め、酸分解処理に必要な酸性触媒の使用量の低減を図る
ことができ、かつフロログルシンの収率も向上できる。
発明の具体的な説明 以下本発明に係るフロログルシンとレゾルシンの製造
方法について具体的に説明する。
本発明の製造方法を第1図を参照しながら説明する。
本発明に係る製造方法では、原料であるTIPBとm−DI
PBとの酸化によって得られたTIPBの一次酸化物とm−DI
PBの一次酸化物とを含む混合溶液をH2O2酸化した後、得
られた酸化物含有溶液中の二次酸化物を酸分解すること
によりフロログルシンとレゾルシンとが製造される。
本発明に係る第一の工程は、TIPBの酸化物とm−DIPB
の酸化物とを含む混合溶液を第1の酸性触媒を含む過酸
化水素水と触媒させる工程である。
この第一の工程で使用されるTIPBの酸化物とm−DIPB
の酸化物とを含む混合溶液は、常法どおりTIPBとm−DI
PBとをアルカリ性下分子状酸素を用いて酸化することに
より調製することができる。この処理は、いわゆる一次
酸化処理であり、第1図において1で示されている。
一次酸化処理においては、TIPBおよびm−DIPBが使用
される。そして、本発明においては、1重量部のm−DI
PBに対して、TIPBを通常は0.1〜1.5重量部、好ましくは
0.3〜1.2重量部の量で使用する。
上記のTIPBおよびm−DIPBは分子状酸素を用いて酸化
される。ここで分子状酸素としては、通常は空気が使用
される。また、この一次酸化処理において、分子状酸素
は、通常はTIPBおよびm−DIPBに対して過剰に使用され
る。
このような一次酸化処理は、通常60〜120℃、好まし
くは90〜110℃の温度に加熱して行なわれる。このよう
な温度においてTIPBおよびm−DIPBの酸化物は液体状態
になる。したがってこの一次酸化処理は、特に溶媒を使
用することなく行うことができる。
このような一次酸化処理における酸化反応時間は、通
常5〜60時間、好ましくは20〜45時間である。
このような範囲の時間で酸化反応を行なうことによ
り、目的物であるTIPBのトリヒドロペルオキシド(TRH
P)およびm−DIPBのジヒドロペルオキシド(m−DHP)
と、本発明に係る第一の工程で再度酸化されてこれら目
的物となるTIPBの三官能性酸化物に相応する上記カルビ
ノール(HDHPおよびDHHP)と、m−DIPBの二官能性酸化
物に相応するカルビノール(m−HHP)とを高収率で生
成させることができる。
上記の一次酸化処理は特に触媒などを使用することな
く行うことができるが、必要に応じてラジカル開始剤お
よびアルカリ水溶液の存在下に反応を行うこともでき
る。
このようにして一次酸化を行った後、TIPBの酸化物と
m−DIPBの酸化物との混合物と有機溶媒とを混合するこ
とにより、本発明の第1工程で使用されるTIPBの酸化物
とm−DIPBの酸化物とを含む混合溶液を調製することが
できる。
ここで使用される有機溶媒は、過酸化水素と反応性を
有しない溶媒を使用することが好ましく、このような有
機溶媒の例としては、具体的には、トルエン、キシレ
ン、ベンゼン等の芳香族溶媒を挙げることができる。こ
れらの溶媒は単独であるいは組み合わせて使用すること
ができる。これらの溶媒のうちでは、特にトルエンが好
ましく使用される。
このような有機溶媒は、酸化物1重量部に対して通常
0.3〜10.0重量部、好ましくは0.5〜5.0重量部の量で用
いられる。
なお、上記の一次酸化処理によって副生した水等は、
有機溶媒に酸化物を溶解し、静置することにより、油水
二層に分離するため、容易に除去される。
上記のようにして得られたTIPBの酸化物とm−DIPBの
酸化物とを含む混合溶液中には、通常は、原料として用
いたTIPBとm−DIPBの量比に対応する量でTIPBの酸化物
とm−DIPBの酸化物とが含まれている。
なお、本発明においては、TIPBの酸化物とm−DIPBの
酸化物とを含む混合溶液は、上述のように予めTIPBとm
−DIPBとを混合して一次酸化を行うことにより調製する
ことが好ましいが、TIPBの酸化物とm−DIPBの酸化物と
を別に調製し、両者を混合して調製することもできる。
本発明に係る第一の工程では、このようにして得られ
たTIPBの酸化物とm−DIPBの酸化物とを含む混合溶液
を、第1の酸性触媒を含有する過酸化水素水と接触させ
る。
この工程は、いわゆる二次酸化処理であり、第1図に
おいて2で示されている。
この二次酸化処理では、通常は過酸化水素が使用され
るが、さらにこの過酸化水素の外に、あるいはこれに加
えて、過酸化カリウムなどを使用することもできる。こ
れらのうちでは、過酸化水素を使用することが好まし
い。
例えば上記のような過酸化水素は、水溶液として使用
されるため、TIPBの酸化物とm−DIPBの酸化物とを含む
混合溶液と過酸化水素を含む水溶液とは、実質的に混合
することがなく、したがって、この反応液は二層に分離
する。
この工程で使用される第1の酸性触媒は、TIPBの酸化
物とm−DIPBの酸化物とを含む混合溶液中のカルビノー
ルをヒドロペルオキシドに酸化するための触媒であり、
このような触媒の例としては、硫酸、過塩素酸、塩酸お
よびリン酸などの無機酸、クロロ酢酸、パラトルエンス
ルホン酸およびトリフルオロメタンスルホン酸などの有
機酸などがを挙げることができる。これらの触媒は、単
独で、あるいは組み合わせて使用することができ、特に
本発明においては、硫酸、リン酸および過塩素酸が好ま
しく使用される。
過酸化水素は、通常、TIPBの酸化物およびm−DIPBの
酸化物中のカルビノール類を合計したモル数に対して過
剰に使用される。一般には、混合物中に含まれるTIPBの
三官能性酸化物に相応する上記カルビノールと、m−DI
PBの二官能性酸化物に相応する上記カルビノールとが有
するカルビノール基1当量に対して1〜50当量、好まし
くは1〜20当量の量で用いられる。
また第1の酸性触媒は、反応条件および触媒の種類な
どによって用いられる量が異なるが、H2O2を含む水層溶
液中、1〜20重量%、好ましくは8〜15重量%の量で用
いられる。
上記のような二次酸化処理は、通常20〜65℃、好まし
くは30〜60℃の温度で行なわれる。
このようなTIPBの酸化物およびm−DIPBの酸化物を含
む混合溶液と過酸化水素水との接触は、上記のような二
層に分離した反応液を撹拌することにより行われる。
上記のような条件において、二次酸化処理の時間は、
通常1〜120分、好ましくは3〜20分である。
なお、上記のような二酸化処理の際には水が生成す
る。この水は、水溶液中の過酸化水素濃度を低下させる
ため、反応系から除去することが好ましい。そして、こ
のような水は、油層を構成する溶媒と共に共沸除去する
ことが可能であり、したがって、TIPBの酸化物とm−DI
PBの酸化物とを含む混合溶液を調製する際に使用する有
機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが
好ましい。
このような二次酸化処理を行った後、通常は、反応液
を中和するなどの処理を行い、油層に含まれる酸性触媒
を中和させる。次いで、水層を除去し、残存する油層を
水洗する。
このようにして得られた反応液中には、TIPBのトリヒ
ドロペルオキシドとm−DIPBのジヒドロペルオキシドお
よび有機溶媒が含有されている。
このような反応液中に含まれる水および有機溶媒は、
その少なくとも一部を除去することが好ましい。この濃
縮工程は、第1図において3で示されている。
この際酸化物含有溶液中の水分は、通常3重量%以
下、好ましくは1重量%以下の量となるまで除去され、
有機溶媒は、通常20〜90重量部、好ましくは30〜80重量
部の量となるまで除去される。このように脱水と濃縮を
行うことにより、酸分解に必要な酸性触媒の量を減少さ
せ、フロログルシンの収率を高くすることができる。
本発明に係る第二の工程において、上記のようにして
得られた反応液を第2の酸性触媒と接触させる。この工
程は、いわゆるクリベージ反応であり、第1図において
4で示されている。
この酸分解処理に用いられる第2の酸性触媒の例とし
ては、硫酸、無水硫酸、フッ化水素酸、過塩素酸、三フ
ッ化ホウ素、リンタングステン酸、p−トルエンスルホ
ン酸、クロロ酢酸、陽イオン交換樹脂、シリカアルミナ
などを挙げることができる。特に本発においては、リン
タングステン酸を使用することが好ましい。このような
触媒は、単独であるいは組み合わせて使用することがで
きる。
このような酸分解処理は、反応系が均一であるとフロ
ログルシンおよびレゾルシンへの選択性が高くなるため
特に好ましく、そのためTIPBとm−DIPBの酸化物および
酸分解物の両方を溶解する溶媒に第2の酸性触媒を溶解
して使用することが好ましい。このような第2の酸性触
媒に添加する溶媒の例としては、アセトン、メチルエチ
ルケトン等を挙げることができるが、特にアセトンが好
ましい。
このような第2の酸性触媒は、上記反応液中、通常0.
001〜10.0重量%、好ましくは0.01〜1.0重量%の量で用
いられる。
このような酸分解反応は、通常50〜80℃、好ましくは
55〜75℃の温度で行なわれる。
また、この酸分解反応は、通常5〜120分、好ましく
は10〜60分で終了する。
このような酸分解処理により、二次酸化物に含まれる
TIPBの酸化物であるトリヒドロペルオキシド(TRHP)か
らはフロログルシンが生成し、m−DIPBの酸化物である
ジヒドロペルオキシド(m−DHP)からはレゾルシンが
高収率で生成する。
このような酸分解処理を行なった後、通常は、酸性触
媒を中和する。
このようなフロログルシンおよびレゾルシンの両者を
含む反応液からは、抽出、晶析、蒸溜などの公知の方法
を利用することにより、フロログルシンンとレゾルシン
とが分離精製される。
すなわち、たとえばフロログルシンは、酸分解物含有
溶液を中和水と接触させた後、アセトンを除去して油層
溶液および水層溶液からなる二層混合溶液を形成し、こ
の混合溶液を必要ならば分液し、次いで水層溶液に選択
的に抽出されたフロログルシンを晶析することにより分
離精製される。
また、レゾルシンは、上記と同様にして得られた油層
溶液とフロログルシン晶析後の残液とを混合し、得られ
た混合溶液から溶媒を除去し、さらにレゾルシンを蒸留
するなどして分離精製される。
発明の効果 本発明に係る製造方法では、カルビノール類のH2O2
よる酸化反応溶媒としてたとえば芳香族溶媒のみを用い
るだけで良く、酸分解原料を均一な溶液状態に保つのに
必要な溶媒量が少なく、したがって酸性触媒の量も少な
くてすみ、かつフロログルシン収率も高くすることがで
きるため、製造コストを減少させることができる。
しかも、本発明に係る製造方法は、医薬、農薬の製造
中間体として有用なフロログルシンとレゾルシンとを同
時に効率良く製造できる。
以下本発明を実施例により説明するが、本発明はこれ
ら実施例に限定されるものではない。
実施例1 (1)一次酸化処理 攪拌機、空気吹込みスパージャー、アルカリ水溶液導
入口および還流冷却器を備えた反応器に、1,3,5−トリ
イソプロピルベンゼン(純度95重量%)500g、m−ジイ
ソプロピルベンゼン(純度97重量%)500g、水400gおよ
びNaOH水溶液(濃度3.6重量%)70gを仕込み、100℃に
昇温した後、N2ガスを反応器内に導入して5.5kg/cm2Gの
圧力まで加圧した。
その後、この圧力および温度を維持し、空気を150N
/時間の速度で吹込みながら攪撹して36時間反応を行な
った。この間、水層溶液のpHを9以上に保つように、Na
OH水溶液(濃度3.6重量%)をアルカリ水溶液導入口よ
り適宜反応器内に導入した。
得られた酸化反応生成物(油層溶液)は、2060g(水
分37重量%)であり、TIPBの酸化物としてトリヒドロペ
ルオキシド(TRHP)12重量%、モノカルビノールジヒド
ロペルオキシド(HDHP)14重量%、ジカルビノールモノ
ヒドロペルオキシド(DHHP)6重量%が含まれている。
なお、m−DIPBの酸化物としてジヒドロペルオキシド
(m−DHP)22重量%、ヒドロキシペルオキシド(m−H
HP)9重量%が含まれていた。
下記の式により算出されるTIPBは基準としたフロログ
ルシン系酸化生成物の収率は62モル%であった。
また、下記の式により算出されるm−DIPBを基準とし
たレゾルシン系酸化生成物の収率は61モル%であった。
(2)H2O2酸化工程 前記(1)一次酸化処理で得られた反応溶液(油層、
水層の混合物)100重量部にトルエン63重量部を加え、5
0℃で攪拌した。静置後分離した水層溶液を除いて得ら
れた油層溶液126重量部を攪拌器および還流冷却器を備
えた反応器に仕込み、これに24重量%のH2O2と12重量%
の硫酸とを含む水溶液210重量部を加え、攪拌しながら5
0℃の温度で15分間反応を行なった。
反応終了後、油水分離により、油層溶液127重量部と
水層溶液209重量部とが得られた。油層溶液のTRHP濃度
は13.3重量%、m−DHP濃度は14.4重量%であった。
下記の式により算出されるフロログルシン系のH2O2
化収率は80モル%であった。
また、下記の式により算出されるレゾルシン系のH2O2
酸化収率は92モル%であった。
このH2O2酸化物(油層溶液)を50℃の温度に保ちなが
ら中和後水洗し、さらに水およびトルエンの一部を留去
して油層溶液を濃縮した後、次の酸クリベージ反応に用
いた。この時の油層溶液中のトルエン濃度は40重量%で
あり、油層溶液は温度50℃で液状であった。
一方、水層溶液には22重量%のH2O2と12重量%の硫酸
が含まれており、これは減圧下で脱水濃縮し、濃度60重
量%の過酸化水素水と濃硫酸を添加することで濃度調節
し、再度H2O2酸化反応に使用できるようにした。
(3)クリベージ反応工程 攪拌器、還流冷却器および原料供給口を備えた反応器
に、0.06重量%のリンタングステン酸を含むアセトン90
重量部を仕込み、攪拌しながらこれに前記(2)H2O2
化工程で得られた酸化反応生成物90重量部と90重量部の
アセトンとを混合した溶液(180重量部)を、10重量部
/分の速度で添加した。
この間反応温度は、系内のアセトンが還流する温度
(初期56℃、添加終了時65℃)に保った。添加終了後、
さらに65℃の温度で35分間攪拌を続け、反応を完結させ
た。
反応終了時における反応液中のフロログルシン濃度は
1.3重量%、レゾルシンの濃度は2.3重量%であった。
下記式により算出されるTRHPに対するフロログルシン
の収率は63モル%であった。
また、下記式により算出されるm−DHPに対するレゾ
ルシンの収率は89モル%であった。
(4)フロログルシンおよびレゾルシンの分離精製 前記(3)で得られた酸クリベージ反応生成物100重
量部をNaOH水溶液にて中和した後、高真空下で溶媒(ア
セトン、水、トルエン)を留去した。得られた釜残(12
重量部)にトルエン7重量部、水5重量部を加え、75℃
の温度に加温して攪拌し溶液とした。次に得られた溶液
を静置し、油層と水層に分離させた後、油層溶液と水層
溶液とを分液した。
得られた水層溶液を15℃の温度まで冷却したところ、
1.1重量部の褐色の結晶が析出した。この結晶にはフロ
ログルシン69重量%、レゾルシン15重量%、水分13重量
%が含まれていた。
次いでこの結晶を再度沸騰水に溶解し、活性炭で処理
した後再結晶し、乾燥することにより、フロログルシン
の結晶(白色結晶、純度99.0重量%、融点219℃)が得
られた。
一方静置分離して得られた油層溶液と、フロログルシ
ン晶析後の残液とを加え、再度脱溶媒した後、5段のシ
ーブトレイ付蒸留塔に導入した。その後、塔底を250℃
の温度に加熱し、5〜20Torrの減圧下でレゾルシンを蒸
留した結果、レゾルシン75重量%、その他25重量%を含
む留分が得られた。この留分10重量部に対し、トルエン
27重量部を加え、95℃の温度に加熱して溶解した後、40
℃の温度まで冷却してレゾルシンを晶析させたところ、
純度98重量%のレゾルシン結晶(白色結晶、融点110
℃)が得られた。
実施例2 (1)一次酸化処理 実施例1と同様の反応容器に、TIPB333g、m−DIPB66
6g、水400gおよびNaOH水溶液(濃度3.6重量%)70gを仕
込み、以下実施例1と同様に100℃の温度で空気酸化反
応を35時間行なった。得られた酸化反応生成物(油層溶
液)は2010g(水分36重量%)であり、TIPBの酸化物と
しては、TRHP9重量%、HDHP11重量%、DHHP3重量%が含
まれており、m−DIPBの酸化物としては、m−DHP30重
量%、m−HHP13重量%であった。
実施例1と同様にして算出されるTIPBを基準としたフ
ロログルシン系酸化生成物の収率は66モル%であり、m
−DIPBを基準としたレゾルシン系酸化生成物の収率は63
モル%であった。
(2)H2O2酸化工程 前記(1)一次酸化処理で得られた酸化生成物(油
層、水層の混合物)100重量部にトルエン64重量部を加
え、50℃の温度に加熱して攪拌した。
得られた溶液を静置後分離し、水層溶液を除いて得ら
れた油層溶液128重量部を攪拌器および還流冷却器を備
えた反応器に仕込み、これに24重量%のH2O2と12重量%
の硫酸とを含む水溶液210重量部を加え、攪拌しながら5
0℃の温度で15分間反応を行なった。反応終了後、油水
分離により油層溶液129重量部と水層溶液209重量部とが
得られた。油層溶液中のTRHP濃度は9.4重量%であり、
m−DHP濃度は20.1重量%であった。
実施例1と同様にして算出される、フロログルシン系
のH2O2酸化収率は79モル%であり、レゾルシン系のH2O2
酸化収率は92モル%であった。
このH2O2酸化物を中和後水洗し、さらに水およびトル
エンの一部を留去して濃縮した後、次の酸クルベージ反
応に用いた。この時の油層溶液中のトルエン濃度は40重
量%であった。
一方、水層溶液には22重量%のH2O2と12重量%の硫酸
が含まれており、これは減圧下で脱水濃縮し、60重量%
のH2O2と濃硫酸を添加することで濃度調節し、再度H2O2
酸化反応に使用できるようにした。
(3)クリベージ反応工程 攪拌器、還流冷却器および原料供給口を備えた反応器
に、0.06重量%のリンタングステン酸を含むアセトン90
重量部を仕込み、攪拌しながらこれに前記(2)H2O2
化工程で得た酸化反応生成物90重量部と90重量部のアセ
トンとを混合した溶液(180重量部)を、10重量部/分
の速度で添加した。この間反応温度は系内のアセトンが
還流する温度(初期56℃、添加終了時65℃)に保った。
添加終了後、さらに65℃の温度で25分間攪拌を続け、反
応を完結させた。
反応終了時における反応液中のフロログルシン濃度は
0.92重量%であり、レゾルシンの濃度は2.5重量%であ
った。
実施例1と同様にして算出されたTRHPに対するフロロ
グルシンの収率(TRHP基準)は63モル%であり、m−DH
Pに対するレゾルシンの収率は90モル%であった。
(4)フロログルシンおよびレゾルシンの分離精製 前記(3)クルベージ反応工程で得られた酸クリベー
ジ反応生成物100重量部を実施例1と同様に中和した
後、高真空下で溶媒を留去した。得られた釜残(12重量
部)にトルエン7重量部、水5重量部を加え、75℃の温
度に加温して溶解させた。攪拌後、溶液は油層溶液と水
層溶液に分かれたので両者を攪拌し溶解させた。その
後、溶液を静置し、分離した油層溶液と水層溶液とを分
液した。
得られた水層溶液を15℃の温度まで冷却したところ、
褐色の結晶が0.1重量部析出した。この結晶には、フロ
ログルシン65重量%、レゾルシン17重量%、水分13重量
%が含まれていた。この結晶を再度沸騰水に溶解し、活
性炭で処理した後、再結晶し、次いで乾燥することによ
りフロログルシンの結晶(白色結晶、純度99.0重量%、
融点219℃)が得られた。
一方、分液され油層溶液と、フロログルシン晶析後の
残液とを加え、再度脱溶媒した後、5段のシーブトレイ
付蒸留塔に導入した。次いで塔底を250℃の温度に加熱
し、5〜20Torrの減圧下でレゾルシンを蒸留した結果、
レゾルシン77重量%、その他23重量%を含む留分が得ら
れた。この留分10重量部に対し、トルエン27重量部を加
え、95℃の温度に加熱して溶解した後、40℃の温度まで
冷却してレゾルシンを晶析させたところ、純度99重量%
のレゾルシン結晶(白色結晶、融点110℃)が得られ
た。
【図面の簡単な説明】
添付第1図は、本発明に係るフロログルシンおよびレゾ
ルシンの製造方法の一実施例を模式的に示した工程図で
ある。 1……一次酸化処理工程、2……二次酸化処理工程 3……濃縮工程、4……クリベージ反応工程 5……分離工程
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01J 27/188 B01J 27/188 X C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 C07C 29/50 9155−4H C07C 29/50 33/26 9155−4H 33/26 409/08 9357−4H 409/08

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1,3,5−トリイソプロピルベンゼンの酸化
    物とm−ジイソプロピルベンゼンの酸化物とを含む混合
    溶液を第1の酸性触媒を含有する過酸化水素水と接触さ
    せるH2O2酸化工程:および、 前記工程から得られた反応液を第2の酸性触媒と接触さ
    せる酸分解工程: を含むことを特徴とするフロログルシンとレゾルシンと
    を同時に製造する方法。
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