JP2672083C - - Google Patents

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JP2672083C
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【発明の詳細な説明】 【0001】 本発明は電磁線に対し可逆可変透過率をもつデバイス、この種のデバイスにお
いて可逆可変透過率をもつ媒質として用いられる組成物、ならびにこれらのデバ
イスを可変透過率カラーフィルターおよび可変反射率ミラーとして使用すること
に関する。より詳細には、本発明は単一区画型自己消去式溶液エレクトロクロミ
ックデバイス、およびこれらに用いる溶液に関する。 【0002】 電磁線に対する透過率を可逆的に変えられるデバイス数種が知られている。こ
の種のデバイスには透過率がサーモクロミック、フォトクロミックまたは電気光 学的(たとえば液晶、双極懸濁液(dipolar suspension)、
起電式(electrophoretic)、エレクトロクロミック)手段によ
り変えられ、可変透過率が少なくとも部分的に可視領域にある電磁線(波長42
00〜7000Å)に対するものであるデバイスが含まれる。 【0003】 電磁線に対し可逆可変透過率をもつデバイスは可変透過率カラーフィルター、
可変反射率ミラー、およびこの種のカラーフィルターもしくはミラーを情報の運
搬に用いる表示デバイスにおける可変透過率素子として利用される。これらの可
変透過率カラーフィルターには窓が含まれる。可変反射率ミラーには自動車用の
グレア防止型バックミラーが含まれる。 【0004】 透過率がエレクトロクロミック手段により変えられる、電磁線に対する可逆可
変透過率をもつデバイスには、エレクトロケミクロミックデバイスが含まれ、こ
れについてたとえばチャンにより“エレクトロクロミックおよびエレクトロクロ
ミック材料および現象”(非輻射型電気光学ディスプレー、エー・クメッツおよ
びケー・フォン・ウイリセン編、パーガモン・プレス、ニューヨーク州ニューヨ
ーク、1976年、155〜196頁、1976年)に記載されている。エレク
トロクロミックデバイスには、電気化学反応が固体フィルム中で起こるもの、電
気めっきを伴うもの、または全体的に溶液中で起こるものが含まれる。上記のチ
ャンの文献を参照されたい。 【0005】 多数のエレクトロクロミックデバイスが当技術分野で知られている。たとえば
マノスら、米国特許第3,451,741号;ブレッドフェルトら、米国特許第
4,090,782号;シヤッックおよびシンサーボックス、米国特許第4,0
93,358号;クレカクら、米国特許第4,139,276号;キサら、米国
特許第3,453,038号;ロージャーら、米国特許第3,652,149号
、第3,774,988号および第3,873,185号;ジョーンズら、米国
特許第3,282,157号、第3,282,158号、第3,282,160
号および第3,283,656号各明細書を参照されたい。これらのデバイスに
は 単一型自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイスが含まれる。上記の(こ
こに参考として引用する)マノス;ブレッドフェルトら;シヤッックおよびシン
サーボックス;ならびにクレカクらの明細書を参照されたい。 【0006】 単一区画型自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイスにおいては、デバ
イスの2個の電極を含む区画内に保有された溶液を通過することにより電磁線の
強度が変調される。これら2電極は溶液と接触している。電極間には、溶液の区
画を分割し、溶液中のある成分が一方の電極から他方へ拡散または移動するのを
阻止するバリヤー、たとえば半透膜などはない。溶液は溶剤、および少なくとも
1種の“アノード”化合物(中性でも帯電していてもよい)、および少なくとも
1種の“カソード”化合物(これも中性でも帯電していてもよい)を含む。電極
間の溶液にDC電位差が与えられると、“アノード”化合物は電気化学的に酸化
され、“カソード”化合物は電気化学的に還元される。酸化または還元される“
アノード”化合物および“カソード”化合物がそれぞれ酸化または還元の前にい
ずれも帯電していない場合、溶液は不活性の電流搬送電解質を含有するであろう
。あるいは含有していてもよい。溶剤、不活性の電流搬送電解質(含まれる場合)
、アノード化合物、カソード化合物、および溶液中に存在すると思われる他の成
分はいずれも、溶液中の他の成分に有意の電気化学的変化または他の変化を起こ
さない電極間電位差においてアノード化合物およびカソード化合物がそれぞれ酸
化および還元されるものであることが好ましい。溶液はデバイスの作動中は液状
である。ただしこれはゲル化されるか、または増粘剤の添加により高粘度にされ
ていもよい。デバイスが“溶液相”であるということは、アノード化合物および
カソード化合物を含めて溶液中の成分がすべて、アノード化合物の酸化およびカ
ソード化合物の還元を伴うデバイスの作動中に溶液状に保たれることを意味する
。 【0007】 単一区画型自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイスを通過する電磁線
の強度の可逆的な変調は、デバイスの操作に関連する3因子のために達成できる
。第1に、デバイスの溶液中のアノード化合物およびカソード化合物のモル吸光
係数(波長のは関数として)はそれぞれそれらの電気化学的酸化および還元に伴
っ て変化する。一般にこれらの化合物のうち少なくとも1種は酸化または還元に際
して、可視領域の波長において吸光係数が有意に変化する。その結果、電極間の
溶液に電位差が与えられると、溶液およびデバイスの色が変化し、あるいは暗か
ら明へ、または明から暗へと変化する。第2に、溶液中において、酸化されたア
ノード化合物および還元されたカソード化合物が有意の程度に、単分子としてま
たは他の成分を共に分解反応を起こすことがない。第3に、溶液中において、酸
化されたアノード化合物は還元されたカソード化合物とのみ実質的に反応して、
それぞれ酸化および還元前のそれらの形態およびそれらの特性を備えたアノード
化合物およびカソード化合物のみを実質的に与える。酸化されたアノード化合物
と還元されたカソード化合物のこの反応によって、デバイスに“自己消去”(s
elferasing)”性が与えられる。 【0008】 これまで、可変透過率カラーフィルターまたは可変反射ミラーに可逆可変透過
率をもつ構成部品として商業的に使用するのに適切であることが証明された単一
区画型自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイスは知られていなかった。
この種の用途のためには、可変透過率をもつ溶液は、電極間のゼロ電位差から、
透過率を有意に変化させるのに十分な程度の電極間電位差まで変化し、次いで再
びゼロに戻る循環に対して、少なくとも数千回は安定でなければならない。代表
的デバイスにおいては、溶液は平坦で平行な、間隔を置いた透明な壁の間に層状
に保有され、壁の内面には(溶液と接触して)透明な導電性材料の薄層が塗布さ
れており、これらが電極として作用し、これを電磁線が通過し、その強度がこの
デバイス内で可逆的に変調される。デバイスを通過し、かつデバイスから反射す
る光のひずみを最小限に抑えるためには、また電極間の電位差が変化した際にデ
バイスの透過率が新たな透過率を達成するために必要な“応答時間”を商業的利
用に許容できる時間にまで短縮するためには、溶液層を可能な限り薄くすること
が有利である。しかし薄い溶液層をもつデバイスのためには、ゼロ電位平衡状態
、および電極間に電位差が与えられた際に酸化(アノード化合物の場合)および
還元(カソード化合物の場合)された状態の双方で可溶性に保たれる溶液中の濃
度において、ゼロ電位平衡状態と“活性化された“(すなわち酸化または還元さ
れ た)状態との間に十分な程度の吸光度の変化を生じ、同時に商業的に実用性のあ
るデバイスを与えるのに十分なほど循環に対して安定な状態を維持するアノード
およびカソードエレクトロクロミック化合物を見出さなければならない。本発明
は商業的に実用性のある単一区画型自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバ
イスを作成するための溶液に対する要望に取組むものである。 【0009】 この種のデバイスにおいてこれまで得られていなかった有用な特色は、グレー
スケールデバイスとして機能しうること、すなわちデバイスの電極間に与えられ
た電位差の関数として、可視波長領域の光の透過率が連続的にかつ速やかに変化
しうることである。この種の“グレースケール”デバイスは、窓に達する光の強
度に関係なく一定の強度の光を通過させる窓に、また自動車に後方から接近する
自動車のヘッドライトからミラーに入射する、グレアを生じる光の強度に関係な
く、運転者に許容できる強度の光を反射する自動車用グレア防止バックミラーに
利用できるであろう。本発明は単一区画型自己消去式溶液相エレクトロクロミッ
クデバイスにおけるグレースケール能を提供する。 【0010】 溶液相エレクトロクロミックデバイスに関してこれまで認識されていなかった
問題は、アノードおよびカソードエレクトロクロミック化合物の移動および自然
対流によるセグリゲーションである。特に、光がそれを通ってデバイスに入る平
面が地面に対し垂直に配列された状態で長時間(20分以上)連続操作されるデ
バイスにおいては、このようなセグリゲーションによってわずらわしい色分かれ
および自己消去速度の低下が起こる可能性がある。本発明はこのセグリゲーショ
ンの問題に取組むものである。 【0011】 可変反射率ミラーには可変透過率をもつ構成部品(サーモクロミック、フォト
クロミックまたは電子光学的手段により可視光線に対する透過率が可逆的に変化
するデバイスである)、および反射手段(可変透過率をもつ構成部品の可逆可変
透過率をもつ媒質を通過したのち光がこれから反射される高反射面、たとえば銀
層である)が含まれる。反射手段から反射されたのち、この反射光は可逆可変透 過率をもつ媒質を遂行通過する。この種のミラーにおける可変透過率媒質は一般
に可変透過率構成部品において、2枚の平坦で平行な、間隔を置いた表面の間に
保有される。これらの表面のうち少なくとも一方は光に対して透明であり、ミラ
ーにより反射された光はこの透明な表面に進入し、通り抜ける。この種のミラー
に関する問題は高い“残留”反射能であり、これは通常は可変透過率をもつ構成
部品の透明な表面の5%以上である。たとえば高いグレアを除くために、運転者
が見る全表面からの反射能を約5〜7%程度にまで減少させる必要があると思わ
れる自動車用グレア防止バックミラーの場合、典型的なミラーの前面の残留反射
能が高いため、ミラー内の可逆可変透過率媒質の透過率は3%程度にまで低下さ
せうる必要がある。このように低い透過率を、可逆可変透過率をもつ好ましい程
度に薄いデバイスにおいて十分な速度で達成するのは困難であるため、高い残留
反射能により生じるこれらの問題が避けられる可変反射率ミラーを得ることが有
利であろう。本発明はこの種のミラーを提供する。 【0012】 本発明は単一区画型自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイスにおいて
、電磁線(特に可視領域の光)に対し可逆可変透過率をもつ媒質として用いる溶
液を提供する。 【0013】 本発明はさらに、本発明の溶液が可逆可変透過率媒質として用いられているエ
レクトロクロミックデバイス;可変透過率をもつ構成部品が本発明による単一型
自己消去式溶液相デバイスである可変透過率カラーフィルターおよび可変反射率
ミラー;ならびに情報が本発明による可変透過率カラーフィルターまたは可変反
射率ミラーの操作により表示される表示デバイスを提供する。 【0014】 本発明の溶液は単一区画型自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイス、
ならびに可変透過率カラーフィルター、可変反射率ミラー、ならびにこの種のフ
ィルターおよびミラーを用いる表示デバイスの使用を商業的に実現可能にする。
本発明の溶液は本発明のデバイスにおける電極間の電位差の循環に対して予想外
に、高い安定性を示す。 【0015】 溶液層が望ましい程度に薄く、溶液中のアノード化合物およびカソード化合物
の濃度が沈殿を生じることなくかつセグリゲーションの問題が実質的に低減する
のに十分なほど低く、また電極間の電位差が溶液の有意の分解を避けるのに十分
ほど低い本発明のデバイスにおいて、本発明の溶液は電位差が与えられると予想
外に高速で可視光線に対し予想外に高い吸光度にまで暗色化し、かつ電極が開回
路形成また短絡されると予想外に高速で再び明色化する。有利なことに、多くの
実際的用途にとって十分な速度で明色化を起こすために本発明のデバイスの電極
の極性を逆転させる必要はない。さらに本発明のデバイスはグレースケールデバ
イスとして有利に作動しうる。 【0016】 他の観点においては、本発明は本発明の溶液に使用するために新規なエレクト
ロクロミック化合物および化合物の組合わせを伴う。 【0017】 さらに他の観点においては、本発明には改良された可変反射率ミラーが含まれ
、その場合可変反射率は電磁線に対する可変透過率をもつデバイスにおいて、サ
ーモクロミック、フォトクロミックまたは電気光学的手段により与えられる。こ
の種の改良された本発明のミラーにおいては、光がそれを通して進入し、反射手
段から反射したのちミラーより出る平面からの残留反射能に起因する問題は、こ
の平面をミラーの反射手段である高反射平面に対しわずかな角度ずらすことによ
り避けられる。これにより、ミラーを見る者がミラーの反射手段から反射した光
と同時に残留反射能による光を見る必要がなくなる。 【0018】 図面について簡単に説明する。 【0019】 図1は本発明のデバイスの2枚の平坦で透明な電極保有側板100および13
0、ならびに組立てられた本発明のデバイスにおいて電極保有側板を離れた状態
にかつ実質的に平行に保持するスペーサーまたは分離手段11の分解組立図を概
略的に示す。スペーサーの内縁11A,11B,11Cおよび11Dは電極保有 側板の電極層10Aおよび13Aと共に空間12を定める。これは組立てられた
本発明のデバイスにおいて、電極層と接触した本発明の溶液により占有される。 【0020】 図2は本発明によるデバイス200の部分組立図を概略的に示す。図2は、斜
線を施した領域14により、デバイスの平坦で透明な側板100部分を示す。こ
れはこのデバイスにおいて可変可逆透過率をもつ溶液を覆い、従ってデバイスが
作動するのに伴って色が変化し、または明から暗へ、そして逆に変化する。 【0021】 図3は部分的に組立てられた本発明による改良された可変反射率ミラー300
の断面図を概略的に示す。この場合、反射手段は本発明による可変透過率デバイ
スの一方の透明な電極保有側板130の表面131に積層されたプリズム形ミラ
ー180の高反射層18Aである。 【0022】 図4に部分的に組立てられた本発明による改良された可変反射率ミラー400
の断面図を概略的に示す。この場合、反射手段は本発明による可変透過率デバイ
スの一方の電極保有側板130上の高反射層20であり、透明なプリズム形物体
22が本発明による可変透過率デバイスの他方の電極保有側板100の表面10
1に積層されている。 【0023】 本発明は、一観点においては、 (1)(A)溶剤; (B)上記溶剤中で室温において不活性電極を用いて行われたボルタモグラム
において少なくとも2種の化学的可逆還元波を表示し、これらの還元のうち第1
のものが可視領域の少なくとも1種の波長において分子吸光係数の増大を伴う、
少なくとも1種のカソードエレクトロクロミック化合物; (C)上記溶剤中で室温において不活性電極を用いて行われたボルタモグラム
において少なくとも2種の化学的可逆酸化波を表示し、これらの酸化のうち第1
のものが可視領域の少なくとも1種の波長において分子吸光係数の増大を伴う、
少なくとも1種のアノードエレクトロクロミック化合物;および (D)カソード化合物およびアノード化合物がすべて上記溶剤中におけるそれ
らのゼロ電位平衡状態でイオン性でない場合は、不活性の電流搬送電解質からな
る、単一区画型自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイスにおいて可変透
過率媒質として用いられる溶液である。 【0024】 本発明の溶液は、たとえルサイトL(登録商標、LUCITE L)から得ら
れるアクリル系シート材料などの物質と組合わせることによりゲル他または増粘
されていてもよい。 【0025】 本発明の他の観点においては、光に対する可逆可変透過率をもつ媒質としての
本発明の溶液からなる単一区画型自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイ
スである。本発明のデバイスにおいて可逆可変透過率をもつ溶液はゲル化または
増粘されていてもよい。 【0026】 本発明は他の観点においては、可変透過率素子としての本発明の単一区画型自
己消去式溶液相デバイスからなる可変透過率カラーフィルターを提供する。 【0027】 本発明はさらに他の観点においては、可変透過率素子としての本発明単一区画
型自己消去式溶液相デバイスからなる可変反射率ミラーを提供する。 【0028】 本発明はさらに他の観点においては、情報搬送素子としての本発明の可変透過
率カラーフィルターまたは可変反射率ミラーからなる表示デバイスを含む。 【0029】 本発明の他の観点においては式LII 【化25】 {式中、R76は酸素原子またはイオウ原子であり、R80は水素原子またはジアル
キルアミノ基(アルキル基は同一かまたは異なり、それぞれ1〜6個の炭素原子
を有するものである)であり、R77,R78およびR79は同一かまたは異なり、そ
れぞれ水素原子、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、フェニル基(任意の
位置において1〜6個の炭素原子を有するアルキル基で置換されていてもよい)
、およびベンジル基(フェニル基は任意の位置において1〜6個の炭素原子を有
するアルキル基により置換されていてもよい)から選ばれる}の化合物を含む。 【0030】 本発明はさらに他の観点においては、 可逆可変透過率をもつデバイス、平坦な前面、および平坦な反射手段からなり
、 (A)上記デバイスが (i) サーモクロミック、フォトクロミックもしくは電気光学的手段により可逆
的に変化する透過率をもつ媒質、および (ii) 2枚の平坦で平行な、間隔を置いて面であって、これらの間に可逆可変
透過率をもつ媒質が保持され、上記反射手段から反射する前および後に光がこれ
を通過するもの からなり; (B)前面の平面と反射手段の平面との角度が1〜5°である、 可変反射率ミラーを含む。 【0031】 このミラーにおいて、著しい改良は反射手段の平面をミラーの前面の平面(す なわちミラーによって反射手段から反射される光はこれを通ってミラーに進入し
、かつミラーから出る)に対しわずかな角度をもって配置することにより得られ
る。これらの平面をこのように配置することにより、ミラーに進入せずにミラー
の前面から反射される、ミラー外部からの光(すなわち前面の残留反射能による
光)はミラー利用者には見えず、一方反射手段から反射した光は利用者に見える
ようにミラーを向けることができる。従ってこの種のミラーからの反射(反射さ
れたグレアを含む)を減少させるためには、ミラー前面の残留反射能を克服する
必要はなく、従って、可逆可変透過率をもつ媒質を暗色化する必要性の程度は、
反射手段が前面に平行である場合に必要と思われる暗色化と比べて低い。さらに
ミラー前面の残留反射能のために反射した光、およびミラーの反射手段から反射
した光の双方が観察された場合に起こる反射像のゆがみは、反射手段からの光の
みが見える場合には避けられる。 【0032】 可視光線に対する透過率をサーモクロミック、フォトクロミックまたは電気光
学的手段により可逆的に変えられる媒質はいずれも本発明のこれらの改良された
ミラーにおいて可逆可変透過率をもつ媒質として使用できるが、きわめて好まし
いのは媒質が本発明による溶液(ゲル化または増粘されていてもよい)であるこ
と、ならびに可逆可変透過率をもつデバイスが本発明による単一区画型自己消去
式溶液相デバイスであり、2枚の平坦で平行な、間隔を置いた側板からなり、そ
れらのうち少なくとも一方は透明であり(反射手段から反射される前および後に
ミラーによって反射手段から反射される光がこれを通過する)、他方は透明でな
い場合には溶液と接触している側の反対側に高反射層(ミラーの反射手段として
作用する)が付着していることである。 【0033】 本発明のものと本質的には同じであるが、別種の可逆可変透過率溶液を含む単
一区画型自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイスは当技術分野において
知られている。たとえば前掲のマノス、ブレッドフェルトら、シヤツツクおよび
シンサーボックス、ならびにクレカクらの明細書を参照されたい。 【0034】 図1に本発明の代表的デバイスの基本的構成素子を分解組立図で示す。これら
の素子には2枚の平坦な電極保持側板または壁100および130、ならびにス
ペーサーまたは分離層11が含まれる。スペーサーは組立てられたデバイスにお
いて壁100および130を、間隔を置いてかつ平行に保持し、空間または容積
12を取り囲む。容積12は、組立てられたデバイスにおいてそれぞれ電極保有
層100および130の電極層10Aおよび13A、ならびに層11の4個の内
壁11A,11B,11Cおよび11D(図1では内壁11Bおよび11Cは視
野から隠れている)により定められる。組立てられたデバイスにおいて容積12
は本発明による溶液で満たされており(あるいは温度上昇に伴う膨張のために余
地を残す場合は、ほぼ満たされている)、これはデバイスの作動に際して可逆可
変透過率を示す。容積12内の溶液はデバイスの作動期間中、電極層10Aおよ
び13Aの双方と接触している。 【0035】 通常は、かつ好ましくは、組立てられたデバイスにおいて壁100および13
0はそれぞれ電極層10Aおよび13A、ならびに固体材料の層10および13
(これらに電極層が付着している)は平坦であり、かつ平行である。本明細書に
おいて“平坦”および“平行”という語は当技術分野で理解されるように、異な
る地点における(たとえば各図において層11,10,10A,13および13
Aそれぞれの)厚さの均一性、材料の柔軟性などのわずかな偏りから生じるわず
かな変異の可能性を考慮して、普通の許容範囲内でそれぞれ平坦および平行であ
ることを意味する。 【0036】 しかし容積12を溶液で満たしたのち(またはほぼ満たしたのち)密封できる
限り、電極保有層100および130は平坦でなくてもよく、またそれらの内側
の電極層は各地点で等距離でなくてもよい(ただし電極層は互いに接触しない)
と解すべきである。さらに、好ましいデバイスにおいて層100および層130
は同一材料から作成され、同一厚さおよび同一材料の電極層(10A,13A)
を備え、同一厚さおよび同一材料の固体材料層(10,13)を備えているか、
さもなければ本質的に同じであろうが、そうである必要はない。電極層は固体材 料層と同様に、異なる材料および異なる厚さであってもよい。 【0037】 本発明の代表的デバイスにおいては、それぞれ壁100および130の固体材
料層10および13は、厚さ0.05〜1cmの透明なガラスまたは透明なプラ
スチックから作成されるであろう。これらは導電性材料の層を塗布して電極層1
0Aおよび13Aを形成させるのに適している。しかし層10および13は、透
明であり、これに導電性材料を固着させて電極層を形成しうるいかなる材料で作
成されていてもよい。 【0038】 電極層10Aおよび13Aはそれぞれ固体材料層10および13の材料に層状
に付着させることができ、かつ、本発明のデバイスに用いられる可逆可変透過率
の溶液に対し本質的に化学的不活性であるいかなる導電性材料で作成されていて
もよい。電極層に適した材料は金、酸化スズ、酸化ルテニウム、スズ酸カドミウ
ム、およびインジウムドープした酸化スズ(“ITO”)の薄い透明な層、ある
いはロジウムまたはインコネル(Inconel)などの材料の薄い高反射層で
ある。好ましいものはITOである。導電性材料を層10および13の固体材料
に施して適切な電極層を形成する方法は当技術分野で知られている。好ましくは
、図1および図2に示すように、電極層は固体材料層の表面全体を覆い、容積1
2およびスペーサー11,ならびにスペーサー11の外壁(すなわち図1に関し
ては壁11A,11B,11Cまたは11Dの反対側のスペーサーの壁)を越え
た固体材料層の延長部上にまで及ぶであろう。電極層は好ましくはこれが固着し
ている固体材料層の表面全体にわたって、できる限り均一な厚さをもつであろう
。電極層の厚さは好ましくは、これが100オームパースクエア以下、より好ま
しくは40オームパースクエア以下の低効率をもつものである。しかし電極層と
の電気接点を作成することができ、かつデバイスの作動に際し溶液空間内の溶液
が電極層と接触している限り、電極層が本発明のデバイスの溶液容積全体を覆う
必要はなく、あるいはデバイスの電極保有壁を離れた状態に保持するスペーサー
の外側にまで広がる必要はない。さらに、電極層が均一な厚さをもつこと、また
は100オームパースクエア以下の低効率をもつことも要求はされない。 【0039】 本発明のデバイスにおいては一方または両方の電極が固体材料層、たとえば各
図の10および13から分離していてもよい。図1に関しては、電極層10Aお
よび13Aの代わりにたとえば側面11Bおよび11Dに沿って平行に電極スト
リップを配置することができる。あるいは電極層10Aおよび13Aの一方をそ
れぞれ固体材料層10または13に平行であるが付着していない電極板またはス
トリップで置き換えることもできる。電極が固体材料層から離れている場合、電
極および固体材料層は本発明の溶液に対し本質的に化学的不活性である材料で作
成される。この種のデバイスにおいては、ガラス固体材料層に適しており、ロジ
ウムまたは白金が電極として適している。 【0040】 本発明のデバイスは、デバイスに進入し、これから出る光の強度を可逆的に変
調する。従って本発明のデバイスにおいては溶液空間の少なくとも一方の壁の少
なくとも一部は、溶液空間内の本発明の溶液の透過率がこのデバイスの作動に際
して可逆的に変化する波長範囲の少なくとも一部を含む波長範囲の光に対して透
明である。代表的デバイスにおいては、溶液空間の両方の壁の全領域が、少なく
とも可視領域の波長全体の光に対して透明であろう。 【0041】 本発明による好ましい可変透過率カラーフィルターにおいては、可逆可変透過
率をもつデバイスは溶液空間の両方の壁(たとえば図1の100および130)
が全波長の可視光線に対し透明な本発明によるデバイスであろう。 【0042】 本発明による可変反射率ミラーを製造するためには、本発明によるデバイスの
溶液空間の透明な壁の一方の外側(すなわち溶液と反対側)に高反射層(たとえ
ば銀層)を施すことができる。この場合は(反射層を除いて)溶液空間の両壁が
透明であろう。あるいはデバイスにおける溶液空間を定める電極層の一方に高反
射能の導電性材料(たとえばロジウムまたはインコネル)を用いることにより可
変反射率ミラーを製造することもできる。 【0043】 後記のように本発明のデバイスにおいて溶液容積を定める透明な壁は、ガラス
またはプラスチック、ミラーなどの平板に結合、接着または積層して、本発明の
デバイスにより光に対する可変透過率が与えられる可変透過率カラーフィルター
および可変反射率ミラーを製造することができる。 【0044】 本明細書においてある波長の光に対して“透明”であるということは、その範
囲の全波長の光が少なくとも一部は吸収または反射せずに通過することを意味す
る。性質を定めずに“透明”という語を用いる場合、これは少なくとも可視領域
(波長4200〜7000Å)全波長を含む領域の波長の光に対する透明さを意
味する。一般に、まだ実際的に、本発明のデバイスの溶液容積の透明な壁はこれ
に入射する可視領域の全波長の光の少なくとも約90%を、反射または吸収せず
に通過させるであろう。 【0045】 これに対し本明細書の意味において“高反射性”表面は、定められた範囲の全
波長の光の少なくとも約50%、より一般的には少なくとも約70%を、透過ま
たは吸収せずに反射するものである。性質を定めずに用いる場合、“高反射性”
の表面は少なくとも可視領域の全波長の光に対してそうであるものである。 【0046】 各図において11で表わされるスペーサーは絶縁性であり、シール材、たとえ
ばエポキシ樹脂、シリコーン、ラバーセメント、低融点ガラス、特定のプラスチ
ック、パラフィンろうなどと、スペーサー材料、たとえば小さなガラスビーズ、
ナイロンモノフィラメント、マイラー(MYLAR、登録商標)ストリップ、ポ
リスチレンビーズなどとの組合わせから作成される。前記のようにスペーサーは
好ましくは実質的に均一な厚さのものであり、従ってデバイスの溶液空間を定め
る2枚の壁は本質的に互いに平行に保持される。図1には概略的に示したが、ス
ペーサーの内縁11A,11B,11Cおよび11D、ならびに内縁の反対側の
外縁は実際には彎曲しているか、または荒い縁である。この彎曲性または荒さは
一般的デバイスの組立て様式から明らかになるであろう。すなわちシール材とス
ペーサー材料の混合物(高粘性)のストリップをデバイスの一方の壁の内側(す なわち電極層保有面)の一定領域の周りに乗せ、次いでデバイスの他方の壁を、
その内側(すなわち電極保有面)の壁が第1壁の内側に向き合う状態で、両壁が
この分離手段(スペーサー)に接触するまでストリップに押つけることにより組
立てられる。この圧迫によってストリップの過剰のシール材がストリップから絞
り出され、ストリップの外縁および内縁は彎曲するかまたは不均一になる。本発
明のデバイスにおいて、分離手段(スペーサー)は壁の内面(すなわち電極保有
面)を約0.0025〜約0.05cm離れた状態に保つ。好ましいスペーサー
はガラスビーズとエポキシ樹脂系シーラントの組合わせである。 【0047】 本発明のデバイスの電極はDC電力源に接続され、または接続可能であり、こ
れにより電極間に、またデバイスの溶液に電位を与えることができる。図2に概
略的に示したデバイスには、電極を電源に接続するための好ましい配列様式が示
されている。この様式では、各電極面の露出したストリップを与えるために、2
枚の電極保有壁は溶液空間から横方向に、ただしこれに平行に、反対方向へずれ
ている。これらの露出したストリップそれぞれに、ストリップの露出した長さの
ほぼ全体に沿ってこれと電気的に接触するために、導電性ストリップまたは線、
たとえば銅、アルミニウムまたは銀のストリップまたは線を接着する。この種の
ストリップの一方、16が図2に全体的に、図3および図4には断面で示される
。図2のデバイスの他方のストリップのリード線または延長線15Aのみが図2
に見える。ストリップ15は図3および図4に断面で見える。電極層13Aに付
着したストリップ16と同様にストリップ15は本質的に電極層の張出し全長に
沿って電極層10Aに付着している。線またはストリップを電極表面と電気的に
接触した状態で固定するためには、当技術分野で知られている手段(たとえばク
ランプ留め、はんだづけ、または導電性接着剤による固定)はいずれも採用でき
るが、好ましい手段は導電性エポキシ樹脂、たとえば標準的な銀エポキシ樹脂を
用いることである。電極表面に付着したストリップまたは線は図2に15Aおよ
び16Aにより示すように電極面の末端を越えてリード線または延長線を含む。
適切な電源への接続は電源からこれらのリード線または延長線への標準的な電気
接続により行われる。 【0048】 本発明のデバイスの組立ては当技術分野で理解されるように行うことができる
。マノスの前掲の明細書を参照されたい。好ましいデバイス組立て法は下記のも
のである。 【0049】 分離材(たとえばガラスビーズ)をシール材(たとえば絶縁性エポキシ樹脂)
と混合したものからなるスペーサー材料のストリップをデバイスの一方の表面に
付着させ(その電極表面に;デバイスの表面が平坦な固体材料片、たとえばガラ
スであり、これに電極として用いられる導電性材料の層が付着または接着されて
いる好ましい例において)、これにより望ましい寸法および形状の溶液容積用断
面領域を囲う。次いでデバイスの他方の表面をスペーサー材料のストリップ上に
、各表面の電極層が互いに向き合う状態で乗せることにより、溶液容積を形成す
る。次いで2表面に圧力をかけ、これらが実質的にスペーサーの分離材によって
のみ分離された状態になるまで互いに接近させる。デバイスと共に用いる溶液を
増粘剤(たとえばルサイトLから導かれるアクリル系シート材料)との組合わせ
により増粘させる場合は、揮発性溶剤(たとえばジクロルエタン、アセトンまた
はメチルエチルケトン)中の増粘剤の溶液を第1壁上のスペーサーにより囲まれ
た領域全体に、第2壁を施す前に塗布またはスプレーし、溶剤を蒸発させること
が好都合である。組立て工程後に、かつ溶液充填前に、必要な場合にはスペーサ
ーのシート材を硬化させて溶液に不活性となす。溶液の溶剤が炭酸プロピレンで
あり、シール材が絶縁性エポキシ樹脂である場合はこの硬化が必要である。 【0050】 電極保有壁を通して断面で見た溶液容積の形状は正方形または長方形に拘束さ
れない。これは円形、長円形、多角形、文字もしくは数字の形、または希望する
いかなる形状であってもよい。 【0051】 本発明のデバイスの一方の壁には、組立てられたデバイスにおいて溶液容積の
上方およぴ縁付近に2個の小さな孔が開けられる(組立てる前)(たとえば図1
については一方は内壁11A付近に、他方は内壁11付近に)。デバイスにこれ らの孔を通して、それらのうち一方から溶液を導入し、他方から空気を逸出させ
ることにより本発明の溶液を充填する。充填後にまずこれらの2個の孔を溶液に
対し不活性な一般の熱可塑性材料でシールし、次いでシーラント(たとえば絶縁
性エポキシ樹脂)でシールする。 【0052】 次いで導電性の線またはストリップ(通常は銅ストリップ)を通常は導電性エ
ポキシ樹脂(たとえば標準的な銀エポキシ樹脂)で両電極面の露出部に接着する
。最後に、スペーサーに用いたシール材を用いて線またはストリップ(それと電
源と接点を形成するリード線または延長線を除く)をデバイスの全周(すなわち
スペーサーを含む縁または側面の外側)と同様にシールする。 【0053】 本発明の溶液における溶剤には、本発明のデバイスにおいて可逆的可変透過率
をもつ媒質として本発明の溶液が用いられる温度範囲にわたって液状であり、電
気化学的技術分野で溶剤として有用であることが知られている化合物または化合
物の混合物はいずれも使用できる。実際には、溶液を調整する際の便利さから、
また本発明のデバイスは通常は室温を含む一定の温度範囲にわたって操作される
ため、溶剤は少なくとも20〜27℃(すなわち室温)で液体であろう。さらに
、本発明のデバイスの安定性のために、本発明の溶液の溶剤がデバイスの貯蔵ま
たは普通の操作中に電解を受けるか、または他の不可逆的化学反応に関与しない
ことが好ましい。溶剤として適したものは、水、メタノール、エタノール、アセ
トニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン
、メチルエチルケトン、シクロペンタン、および環状エステルであり、これらに
は炭酸プロピレン、炭酸エチレン、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン
、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、あるいはこ
れらの均質な(すなわち単一相)混合物が含まれる。溶剤は実質的に溶存酸素を
含まず、水以外は無水であることが好ましい。好ましい溶剤は環状エステルまた
はそれらの組合わせである。きわめて好ましいものは炭酸プロピレンである。 【0054】 本発明の溶液には、少なくとも1種のカソードエレクトロクロミック化合物が 25℃において少なくとも10-4Mからその溶解度まで、より普通には約0.0
1〜0.1Mの濃度で含まれる。これは溶液の溶剤中で不活性電極において室温
で標準ボルタモグラフ法により測定して少なくとも2種の化学的に可逆性の(す
なわち電気化学技術の分野で理解されるもの;必ずしも動力学的に可逆性でなく
てもよい)還元波を含み、これらの還元のうち第1のものは可視領域の少なくと
も1種の波長においてカソード化合物の吸光係数の増大を伴う。さらに本発明の
溶液には少なくとも1種のアノード化合物が、25℃で10-4Mからその溶解度
まで、より普通には約0.01〜0.1Mの濃度で含まれる。これは溶液の溶剤
中で不活性電極において室温で標準ボルタモグラフ法により測定して、少なくと
も2種の化学的に可逆性の(電気化学技術の分野で理解されるもの)酸化波を含
み、これらの酸化のうち第1のものは可視領域の少なくとも1種の波長において
吸光係数の増大を伴う。 【0055】 通常は、本発明のデバイスの電極間の溶液に電位差を与えると、溶液は明から
暗へ変化するか、あるいは色が変化することが意図される。従って本発明の溶液
に用いられるカソードエレクトロクロミック化合物の第1の化学的可逆還元また
はアノードエレクトロクロミック化合物の第1の化学的可逆酸化に伴って、溶液
の溶剤中で室温において、可視領域の少なくとも1種の波長で少なくとも約10
2〜少なくとも約103cm-1-1のファクターの吸光係数の増大が起こることが
望ましい。 【0056】 本発明の溶液に適したカソードエレクトロクロミック化合物には式II既知の化
合物(バイオロゲン) 【化26】 {式中、R21およびR22は同一かまたは異なり、それぞれ1〜10個の炭素原 子を有するアルキル基、フェニル基(任意の位置においてクロリド、ブロミド、
ヨージド、シアノ、または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基により置換さ
れていてもよい)、およびベンジル基(フェニル基は任意の位置においてクロリ
ド、ブロミド、ヨージド、シアノ、または1〜4個の炭素原子を有するアルキル
基により置換されていてもよい)から選ばれ;X- 23およびX- 24は同一かまたは
異なり、それぞれクロリド、ブロミド、ヨージド、BF- 4,PF- 6,ASF- 6
CIO- 4およびNO- 3から選ばれる};および式IIIの化合物 【化27】(式中、R21およびR22は同一かまたは異なり、先きに式IIの化合物について定
めたものであり、R31は1〜10個の炭素原子を有するアルキレン基であり、X
- 31,X- 32,X- 33およびX- 34は同一かまたは異なり、それぞれクロリド、ブロ
ミド、ヨージド、BF- 4,PF6,ASF6,CIO- 4およびNO- 3から選ばれる
)が含まれる。 【0057】 式IIおよびIIIの好ましい化合物は、陰イオンがすべて同一であり、CIO- 4
またはBF- 4のものである。きわめて好ましいものはBF- 4である。式IIの化合
物の好ましい陽イオンはR21およびR22が同一であり、ベンジル、フェニルまた
はn−ヘプチル、きわめて好ましくはベンジルである。式IIIの化合物のきわめ
て好ましい陽イオンは、R31が−(CH24−であり、R21およびR22が同一で
あり、ベンジルのもの(すなわちテトラメチレンビス[4−(1−ベンジルピリ
ジン−4’−イル)ピリジニウム])である。 【0058】 本発明の溶液に適したアノードエレクトロクロミック化合物には式IVの既知の
化合物 【化28】 {式中、R41,R42,R43およびR44は同一かまたは異なり、それぞれ水素原子
、1〜10個の炭素原子を有するフルキル基、フェニル基(任意の位置において
クロリド、ブロミド、ヨージド、シアノ、または1〜4個の炭素原子を有するア
ルキル基により置換されていてもよい)、およびベンジル基(フェニル基は任意
の位置においてクロリド、ブロミド、ヨージド、シアノ、または1〜4個の炭素
原子を有するアルキル基により置換されていてもよい)から選ばれる}; 式Vの化合物 【化29】 {式中、R51およびR54は同一かまたは異なり、それぞれ水素原子およびジアル
キルアミノ基(アルキル基は同一かまたは異なり、それぞれ1〜6個の炭素原子
を有する)から選ばれ;R52は酸素原子、イオウ原子またはNR55であり、ここ
でR55はR53と同一かまたは異なり、R55およびR53は共に水素原子、1〜10
個の炭素原子を有するアルキル基、フェニル基(任意の位置においてクロリド、
ブロミド、ヨージド、シアノ、または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基に
より置換されていてもよい)、またはベンジル基(フェニル基は任意の位置にお
いてクロリド、ブロミド、ヨージド、シアノ、または1〜4個の炭素原子を有す
るアルキル基により置換されていてもよい)から選ばれる}; 式VIの化合物 【化30】 (式中、R61,R62,R63,およびR64は同一かまたは異なり、それぞれ1〜1
0個の炭素原子を有するアルキル基またはフェニル基から選ばれ;R65およびR
66は同一かまたは異なり、それぞれ水素原予、または1〜10個の炭素原子を有
するアルキル基から選ばれ、ただしR65およびR66は双方とも水素原子であるか
または双方ともアルキル基であり、R65およびR66が双方とも水素原子である場
合はR61およびR62のうち1以上が水素原子であり、R63およびR64のうちの1
以上が水素原子である) 式VIIIの化合物(テトラチアフルバレン) 【化31】 が含まれる。 【0059】 同様に本発明の溶液においてアノード化合物として適したものは式VIIの新規
化合物 【化32】 {式中、R71は酸素原子またはイオウ原子であり、R75は水素原子またはジア ルキルアミノ基(アルキル基は同一かまたは異なり、それぞれ1〜6個の炭素原
子を有するアルキル基から選ばれる)であり、R72,R73およびR74は同一かま
たは異なり、それぞれ水素原子、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、フェ
ニル基(任意の位置において1〜6個の炭素原子を有するアルキル基により置換
されていてもよい)、およびベンジル基(フェニル基は任意の位置において、1
〜6個の炭素原子を有するアルキル基により置換されていてもよい)から選ばれ
る}である。 【0060】 式VIIの化合物のうちきわめて好ましいものは、R71が酸素原子であり、R75
が水素原子であり、R72,R73およびR74がすべてメチル基であるものである。 【0061】 本発明の溶液に用いられるアノードエレクトロクロミック化合物のうち好まし
いものは式IVおよびVの化合物である。より好ましいものは、R41,R42,R43
およびR44が同一であり、メチル基またはフェニル基である式IV、のもの、なら
びにR51およびR54が水素原子であり、R52がN−R53と等しく、R53がメチル
基またはフェニル基である式Vのものである。きわめて好ましいものはN,N,
N',N’−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミンおよび5,10−ジヒ
ドロ−5,10−ジメチルフェナジンである。 【0062】 本発明の式VIIの新規化合物の製造はギルマンおよびディートリック(ジャー
ナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティー、79,6178(1957)
)による既知の方法に従って、式XXの既知の化合物 【化33】 (式中、R71,R72およびR73は先に化合物VIIについて定めたものである)か
ら出発して式XXIのカリウム付加物 【化34】となし、次いでこの付加物を式R73IおよびR74I(式中、R73およびR74は先
に式VIIについて定めたものであり、同一であってもよい)の化合物の混合物と
反応させ、結晶化させたのち目的生成物が得られる。この合成法を好ましいN,
N',N”−トリメチルトリフェナジンオキサジンについて例11に示す。 【0063】 本発明の溶液はカソードエレクトロクロミック化合物およびアノードエレクト
ロクロミック化合物がいずれも溶液中でそれらのゼロ電位平衡状態においてイオ
ン性でない場合は、不活性の電流搬送電解質を含有するか、あるいはそうでない
場合は所望によりこの種の不活性な電流搬送電解質を含有してもよい。不活性な
電流搬送電解質は本発明のデバイスが普通に作動している間は電極間の溶液を越
えて電流を運び、デバイスが貯蔵され、または普通に作動している間に電解を受
けあるいはデバイス内の他の物質と他の不可逆的な化学反応を行ってデバイスの
安定性を損うことがないであろう。 【0064】 本発明の溶液中の不活性な電流搬送電解質は当技術分野で不活性な電流搬送電
解質として適していることが知られている物質(当技術分野で時に“支持電解質
”と呼ばれる)のいずれなの組合わせからなるであろう。この種の物質にはアル
カリ金属塩、テトラアルキレンアンモニウム塩、および塩化アルミニウムおよび
臭化アルミニウムが含まれる。本発明の溶液中の不活性な電流搬送電解質におけ
る陽イオンとして好ましいものはリチウム、ナトリウム、およびテトラアルキル
アンモニウム(アルキル基が同一である)であり;きわめて好ましいものはテト
ラ−n−ブチルアンモニウムである。本発明の溶液中の不活性な電流搬送電解質
として好ましいものはクロリド、BF- 4およびCIO- 4であり;きわめて好まし いものはBF- 4である。溶液中に不活性な電流搬送電解質が存在する場合、その
濃度は25℃で0.005〜2Mであろう。きわめて好ましくは25℃で0.0
5〜0.5Mであろう。 【0065】 本発明の溶液は単一区画型自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイスに
おける可変透過率媒質として使用するためのものである。デバイスは“溶液相”
であるため、溶液に与えられた一定の最大値を越えない電位で一定の温度範囲に
わたって作動するデバイスについては、溶液中の物質の濃度は、ゼロ電位平衡状
態、ならびにデバイスの作動中にカソードエレクトロクロミック物質(1種また
は2種以上)がカソードにおいて還元され、アノードエレクトロクロミック物質
(1種または2種以上)がアノードにおいて酸化される際の双方において、溶液
からの物質の析出が起こらないものでなければならない。一般に、ゼロ電位平衡
状態で、意図する使用範囲のあらゆる温度においてすべての物質がそれらの溶解
度よりも低い濃度で溶液中に存在するならば、この溶液を可逆可変透過率をもつ
媒質として含有するデバイスの作動中に析出は起こらないであろう。 【0066】 本発明のデバイスの“自己消去(self−erasing)”性とは、デバ
イスの電極間の電位差が低下するかまたは除かれたのち、デバイスにおける溶液
の透過率が、電極の極性を逆転させる必要なしに、新たな電位差に特徴的な値に
まで増大することを意味する。本発明のデバイスの“自己消去”性は、酸化され
たアノード化合物と還元されたカソード化合物が自発的に(恐らく拡散制限下に)
反応してそれぞれゼロ電位平衡状態のアノード化合物およびカソード化合物を与
えることにより得られる。 【0067】 本発明のデバイスを実際に使用する際には、電極間の電位差が増大した際に起
こるデバイスの溶液の透過率の減少、および自己消去と共に起こるデバイスの溶
液の透過率の増大が共に、十分に速やかに起こることが重要である。一般に透過
率の減少および増大はできる限り速やかに起こることが有利である。本発明まで
は前記のボルタモグラフおよび比色の基準に適合するカソード化合物およびアノ ード化合物は溶液中で組合わせられていなかった。それぞれ還元および酸化に伴
って目的とする波長範囲において吸光度が増大するカソード化合物およびアノー
ド化合物を双方とも単一区画型溶液相エレクトロクロミックデバイスに用いるこ
とにより、透過率低下のスピードがこの種のデバイスの商業的利用のために受容
できるスピードとなり、その際このデバイスの溶液相特性により可能となった、
自己消去による透過率増大のスピードが商業的利用を損うほど失われることがな
いことは、当技術分野で認識されていなかった。 【0068】 さらに、本発明のデバイスの実用性にとっては、デバイス中の溶液はデバイス
が作動していない期間および循環中(すなわち、デバイスの電極間の電位がゼロ
もしくは低い値から高い値へ、そしてもとの値へと循環しており、その結果デバ
イス中の溶液の透過率が高い値と低い値の間を可逆的に変化している場合)の双
方において安定であることが重要である。安定性の欠如は、溶液がゼロ電位平衡
状態、すなわちデバイスの電極間の電位差がない場合の平衡状態にある際に、デ
バイス(その中の溶液を含む)を通過する白色光、またはこのデバイスにより吸
光度が変化する波長の光の透過率が増大することにより示される。 【0069】 単一区画型自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイスの商業的利用を妨
げている問題は、それらに用いられる可変透過率溶液の安定性が欠如しているこ
とであった。先行技術によるデバイスのこの不安定性の理由は完全には明らかで
ないが、先行技術の溶液中に用いられているアノード化合物およびカソード化合
物の一方または両方がそれぞれ酸化および還元された状態で化学的に不安定であ
ること、ならびに溶剤その他の物質と高度に反応性であることに関連すると思わ
れる。本発明は、前記のボルタモグラフ基準を満たすカソードおよびアノードエ
レクトロクロミック化合物を用いた場合、本発明の溶液の特性は著しくかつ予想
外に高い安定性、特に循環に対する安定性であるという知見によってこの問題を
解決した。 【0070】 本発明の溶液の安定性は溶液における酸素、および溶剤が非水性である場合に は水の濃度を最小限に抑えることによりさらに高まることが見出された。従って
本発明のデバイスは溶液を充填する前に、所望により(好ましくは)乾燥した窒
素その他の不活性ガスによりフラッシされる。溶液の調製に用いられる溶剤およ
び溶質中の酸素、および溶剤が非水性である場合には水の濃度を低下させるため
に、かつデバイスに溶液を充填し、充填されたデバイスをシールする前に溶液が
酸素および水で汚染されるのを最小限に抑えるために、標準的方法が採用される
。たとえば酸素濃度を低下させるために、充填前の溶液に乾燥窒素を吹込むこと
ができる。溶剤を溶液の調製に使用する前に乾燥剤(たとえば活性アルミナ)上
を通過させることにより処理して水による汚染を減少させることができる。さら
に、溶質(エレクトロクロミック化合物;不活性な電流搬送電解質)を溶液の調
製に使用する前に、約110℃に加熱することにより乾燥させてもよい。あるい
は調製された溶液をデバイスに充填する前に乾燥剤(たとえば活性アルミナ)に
導通することもできる。 【0071】 本発明の溶液における酸素および水の濃度を低下させるためにとられる上記処
置のうちいずれか以外の点では、本発明の溶液は目的濃度を達成するのに適した
量の溶質を溶媒中に、通常は室温で単に溶解することによる標準法によって調製
される。 【0072】 本発明のデバイスにおいて可逆可変透過率媒質として増粘またはゲル化した溶
液を用いることによって一定の利点が得られる。上記およびさらに下記のように
、単一区画型自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイスが長期間連続作動
する際にこのデバイスに関してセグリゲーションが問題であることが、本発明に
関連して見出された。本発明の溶液をゲル化または増粘させることにより自然対
流に起因するセグリゲーションの要素を減少させることによって、セグリゲーシ
ョンの著しさが低減する。 【0073】 本発明のデバイスにゲル化または増粘した溶液を用いることにより実現される
他の利点は、便利さおよび安全性に関連するものである。たとえば透明な側板の 一方の破壊その他によりデバイスを開かなければならない場合、ゲル化または増
粘した溶液はゲル化または増粘していないものよりもはるかに緩徐に流出し、従
って溶液の清浄しやすさが増大し、溶液中に存在する可能性のある有害な物質に
人が接触する危険性が減少するであろう。透明な側板その他の素子が破損に際し
て破砕する可能性のあるデバイスにおいては、ゲル化または増粘した溶液は破片
をその場で保持する傾向をもち、これによりデバイスがくだけ散った場合に起こ
る可能性のある傷害の危険性が減少する。 【0074】 “増粘する(thicken)”および’“ゲル化する(gel)”という語
は本明細書では同義語として用いられ、この過程で真のゲルが形成されるか否か
に関係なく、溶液を特定の物質と合わせることにより生じる溶液の粘度上昇を意
味する。溶液中の溶剤、不活性な電流搬送電解質、またはアノードもしくはカソ
ード化合物と反応して共有結合を形成することなく溶液を増粘させうる物質はい
ずれも、本発明の溶液を増粘またはゲル化させるために使用できる。溶液が高粘
度になりすぎる前に充填するのに十分な時間がある場合は、目的量の増粘用また
はゲル化用物質をデバイスに充填直前に単に溶液と合わせるだけでよい。あるい
は溶液を導入する前または後に目的量の増粘用およびゲル化用物質をデバイスに
装入し、溶液と混合物をデバイスの溶液空間内で現場において得ることもできる
。この方法の一例(増粘剤が溶液の前に導入される)を例10に示す。 【0075】 増粘またはゲル化した本発明溶液を調製するために用いられる増粘用またはゲ
ル化用物質の濃度は、当業者により理解される多数の因子に応じて変わるであろ
う。これらの因子には、用いる増粘用もしくはゲル化用物質、用いる溶剤、およ
び増粘もしくはゲル化された溶液の目的とする粘度が含まれる。好ましい溶剤で
ある炭酸プロピレン、およびこの溶剤に好ましい増粘剤、すなわちルサイトLの
登録商標で市販されているアクリル系シート材料を有機溶剤(たとえばアセトン
、メチルエチルケトン、またはジクロルエタン)に溶解することにより得られる
組成物については、溶液中の増粘剤の濃度は約3〜約30%(W/W)、好ましく
は約5〜約25%(W/W)、より好ましくは約7〜約15%(W/W)であろ う。 【0076】 前掲のマノスの明細書には本発明り溶液を増粘またはゲル化するために使用で
きる特定の他の増粘剤が列記されている。炭酸プロピレン溶剤を用いる本発明に
関しては、商標プレキシグラス(PLEXIGLAS)で市販されているアクリ
ル系シート材料を有機溶剤(たとえばアセトン、メチルエチルケトン、またはジ
クロルエタン)に溶解することにより得られる組成物も増粘のために使用できる
ことが認められた。 【0077】 好ましい増粘剤は溶剤、たとえばジクロルエタン(1,2−ジクロルエタン、
1,1−ジクロルエタン、あるいは1,1および1,2異性体の混合物)を市販
のアクリル系シート材料(ルサイトL)と混合し、得られた溶液を残渣と分離し
、最後に溶剤を蒸発させることにより得られる。溶剤が蒸発したのちに残される
残渣が“アクリル系シート材料からなる増粘剤”である。 【0078】 本発明に関しては予想外に、この好ましい増粘剤を用いることが、可逆可変透
過率をもつ媒質として炭酸プロピレン溶液を用いる本発明のデバイスを構成する
ためにきわめて便利であり、かつ著しく適していることが認められた。この便利
でありかつ適切であることは、例10に示されるように、この増粘剤の溶液をデ
バイス組立前にデバイスの壁の電極保有面に単に塗布またはスプレーし、次いで
溶剤を蒸発させることによりデバイスに一定量の増粘剤を挿入しうること、なら
びにデバイスの内側の増粘剤は組立てられたデバイスに常法により溶液が充填さ
れたのちに自然に炭酸プロピレン溶液に取込まれ、これを増粘させることによる
ものである。 【0079】 本発明に関連して見出された、好ましいアクリル系シート材料からなる増粘剤
で増粘された本発明の溶液の予想外の、きわめて望ましい特性は、この種の溶液
を可逆可変透過率媒質として用いたデバイスの発色に要する時間が、溶液中に増
粘剤が含まれない点以外は同じであるデバイスの発色に要する時間よりも有意に 増大していないことである。従ってこの種の増粘剤については、増粘された溶液
を本発明のデバイスにおいて可逆可変透過率媒質として用いることにより前記の
利点が、本発明の非増粘溶液を可逆可変透過率媒質として用いるデバイスの迅速
発色という利点に不利な影響を与えることなく実現される。 【0080】 作動させるためには、本発明のデバイスをデバイスの電極間に一定の極性の電
位差を確立できる電源に接続する。図1および図2について述べると、この接続
はデバイスの壁の電極層に固着した導電性の線またはストリップのリード線15
Aおよび16Aを通して、電極層と導電性接触状態になるように行われる。電源
は当技術分野で既知のACまたはDC電源のいずれであってもよい。しかしAC
電源の場合は、制御素子(たとえばダイオード)を電源とデバイスの各電極との
間に配置して、電極間の電位差の極性が電源からの電位の電極の変動に伴って変
化しないように保証する。適切なDC電源は蓄電池、たとえば自動車用電池およ
び乾電池である。電池からのデバイスの各電極に送られる電力を当技術分野で知
られているいずれかの手段により制御し、デバイスの電極間の溶液に与えられる
電位が、不可逆反応(たとえば溶剤の電解、不活性な電流搬送電解質の還元また
は酸化、エレクトロクロミック化合物の単分子分解反応など)が起こる電位差を
越えないようにする。本発明のデバイスのグレースケール形成能を利用するため
には、好ましくはデバイスの電極に送られる電力の制御は、電位を約0.1Vか
ら、デバイスにおいて有意の程度に不可逆反応が起こる電位よりも若干低い電位
までの範囲にわたって変動させることができ、ただしこの範囲の希望するいかな
る電位においても一定に保たれるものである。デバイスの電極間の電位を開回路
形成または短絡によりゼロにまで低下させることができるスイッチング手段も電
源に付随するであろう。電極に電位を短期間(たとえば約0.5〜約5秒間)与
えることにより付加的な自己消去スピードが達成される特定の場合(極性は透過
率増大期間中のものと逆転する)、スイッチ手段はこの逆転を行うための手段を
含むこともできる。電極に与えられる電位差を制御する手段およびスイッチング
手段は手動または自動のいずれによっても操作できる。 【0081】 本発明の溶液中のエレクトロクロミック化合物を酸化および還元し、これによ
り溶液の透過率を低下させるためには、電極間の電位差は電極間の溶液を越えて
電流を流すのに十分なほど高くなければならない。電流を流し、本発明の溶液が
暗色化または色彩変化し始めるのには、通常は約0.3〜約0.5Vの電位差が
適切である。 【0082】 本発明の特定のデバイスにおいて定常状態で暗色化する程度は、電極間の電位
差によるであろう。この特性のため、本発明のデバイスは“グレースケール”デ
バイスとして有用である。 【0083】 溶液の安定性を損うことなくデバイスの電極間に与えることができる最高電位
は、当業者に理解されるように多数の因子、たとえば溶剤の電解が起こる電位、
およびエレクトロクロミック化合物の分解反応が起こる電位に依存するであろう
。溶液中の溶剤が水である本発明のデバイスは、一般に水の電解を避けるために
約1.4V以下で操作されるであろう。環状エーテル系溶剤を用いる本発明のデ
バイスは、場合により溶液層に約4Vに及ぶ高い電位差をかけて操作することが
できる。しかし一般には本発明のデバイスにおいて溶液層に与えられる電位は2
V以下に保たれる。 【0084】 本発明のデバイスの溶液層に一定の電圧が与えられた定常状態で、電極におい
て連続的にカソードエレクトロクロミック化合物が還元され、アノードエレクト
ロクロミック化合物が酸化され、電気化学的酸化および還元が起こるのと同時に
かつ同速度で、還元されたカソード化合物と酸化されたアノード化合物の反応に
より、還元されたカソード化合物は逆酸化され、酸化されたアノード化合物は逆
還元されてそれらのゼロ電位平衡状態に戻ることは当業者に理解されるであろう
。デバイスの溶液に一定の電位が与えられた状態で定常状態が達成される速度は
、その電位において溶液を通る電流に依存する。電流は一般にデバイスの作動に
際して独立した変数であるとは考えられない。これらは独立して変化する他の因
子、たとえばデバイス中の溶液の導電性(これは不活性な電流搬送電解質の組 成を含めて、溶液の組成に依存する)、および溶液に与えられる電位に依存する
からである。しかし普通のデバイス作動中に流れる電流は一般に、溶液層と接触
したカソード面積またはアノード面積のcm2当り0.1〜20mAの範囲にあ
る。 【0085】 前記のように、本発明に関連して見出された問題は、約20分以上の長期間に
わたって連続的に操作される(すなわち非ゼロ電位に保たれる)単一区画型自己
消去式溶液相エレクトロクロミックデバイスにおいてセグリゲーションが起こる
ことである。このセグリゲーションは大規模な電気化学的槽の操作に際して遭遇
するセグリゲーションと同様であると思われる。たとえば本発明のデバイスにお
いて認められるセグリゲーションは、帯電したエレクトロクロミック化合物がデ
バイスの溶液中の電気化学的電位勾配中で移行することによる成分、ならびに酸
化されたアノード分子および還元されたカソード分子の周囲における異なる局所
密度(見掛けの溶液密度よりも一方は高く、一方は低い)により生じる天然対流
による成分を含む。 【0086】 本発明のデバイスにおいてはセグリゲーションを避けることが好ましい。これ
によって本発明のデバイスの溶液層にわずらわしい色分離が起こり、デバイスの
自己消去速度が低下するからである。 【0087】 前記のように、本発明のデバイスにおいてセグリゲーションの少なくとも自然
対流成分を減少させるための一方法は、可逆可変透過率をもつ媒質とし本発明の
増粘またはゲル化した溶液を用いることである。 【0088】 また本発明に関連して、本発明のデバイスにおいては下記によりセグリゲーシ
ョンを実質的に除きうることが見出された。 【0089】 (a)デバイスに、(i) カソードおよびアノードエレクトロクロミック化合物
の濃度が、そのデバイスが用いられる予定の用途に十分な溶液の透過率低下を達 成するために受容できる濃度範囲の下限であり、かつ(ii) 電流搬送電解質の濃
度がアノード化合物の総濃度またはカソード化合物の総濃度よりも少なくとも2
倍、好ましくは少なくとも10倍高い溶液を使用する。ならびに (b)図2について述べると、導電性ストリップまたは線(16およびストリ
ップもしくはワイヤ(図示されていない)についてはリード線15Aが延長線で
ある)の一方が他方よりも高い位置(すなわち地表から遠い方)にあり、デバイ
ス中の溶液の透過率をゼロ電位平衡値以下に低下させ、またはこれに保持するた
めにデバイス電位を与える際には、高い方の位置の導電性ストリップまたは線を
高い方の電位に置く(従ってこれが接続している電極がアノードである)ように
デバイスを配列させる。 【0090】 たとえば上記のように配列した場合、例12に記載した溶液を可変透過率媒質
として含む本発明のデバイスは、1.0Vで24時間連続的に作動させても、認
めうるほどセグリゲーションを示さない。 【0091】 本発明は最後の観点において改良された可変反射ミラーに関する。その好まし
い形態は図3および図4にそれぞれミラー300および400に概略的に示され
ている。前記のようにこれらのミラーにおける改良は、平坦な反射手段(図3に
18Aとして、図4に20として示す)がミラーの平坦な前面(図3においては
ミラー300の壁100の固体材料層、10の表面101として、図4において
はミラー400のプリズム形片22の表面221として示される)に対してわず
かな角度をもって配置されることにより得られる。ミラーの前面は光がこれを通
過して進入し、またこれを通してミラーから出る表面である。 【0092】 本発明のこれらのミラーは、光が反射手段から反射される前および後にこれを
通過する可逆可変透過率デバイスを含む。 【0093】 可逆可変透過率デバイスは、少なくともミラーの反射率が変えられる波長の光
、好ましくは少なくとも可視領域のすべての波長の光に対して透明な2枚の平坦
で 平行な、間隔を置いた表面を特色とし、これらの間にはサーモクロミック、フォ
トクロミックまたは電子光学的手段により吸光度が可逆的に変化する媒質が配置
される。図3に示すミラー300および図4に示すミラー400については、こ
れらの表面は固体材料層10の表面101,および固体材料層13の表面131
である。 【0094】 それぞれ図3および図4のミラー300および400において、可逆可変透過
率デバイス(表面101及び131を備えている)は図2に示した本発明のデバ
イスと実質的には等しいエレクトロクロミックデバイスであるが、本発明の改良
されたミラーは可逆可変透過率デバイスとして本発明の単一区画型自己消去式溶
液相エレクトロクロミックデバイスを含むことにのみ限定されるものではない。
透過率がサーモクロミック、フォトクロミックまたは電子光学的手段によって変
えられるデバイスはいずれも本発明の改良されたミラーの反射率を変えるために
使用できる。ただしこの種のデバイスにおいては可変透過率媒質が少なくともミ
ラーの反射率が変えられる予定の波長の光に対して透明な2枚の平坦で平行な、
間隔を置いた表面の間に保持される。この目的に適した多数の型の電子光学デバ
イスが知られている(たとえば液晶デバイス、双極懸濁液デバイス、起電式デバ
イス、二区画型エレクトロクロミックデバイス(たとえばキサにより報告される
もの))。 【0095】 本発明の改良された可変反射率ミラーの一形態(図3のミラー300により示
される)においては、プリズム形ミラー180が透明な積層材料(層19により
示される)により可逆可変透過率デバイスの表面131に積層されている。プリ
ズム形ミラーは、たとえば自動車のバックミラーに用いられている一般的なプリ
ズム形ミラーであろう。プリズム形ミラーは本質的に透明な固体材料(たとえば
ガラスまたは透明なプラスチック)のプリズム形の片18、およびミラー加工技
術の分野で標準的な技術により固体材料の表面に付着させた高反射性材料(たと
えば銀)の層18Aからなり、これにより固体材料を通過して反射材料層に達し
た光の高割合(好ましくは少なくとも約80%)が固体材料層を通ってもとの方 へ反射される。プリズム形ミラーの高反射面は、改良されたミラーの可逆可変透
過率デバイスの可逆可変透過率領域の少なくとも全断面(図2に14により示さ
れるが、図3の断面図には示されない)を覆う。高反射層18Aは本発明の改良
されたミラーの反射手段である。 【0096】 他の型の本発明の改良された可変反射率ミラー(図3に示したものに類似)に
は積層材料の層が存在しない。その代わりに高反射層で被覆されていないプリズ
ム形ミラーの表面が導電層(可逆可変透過率デバイスの電極として機能する)で
被覆され、プリズム形ミラーが電極層と共にこのデバイスの一方の壁として、壁
130と置換する。 【0097】 さらに他の型の本発明の改良された可変反射率ミラー(図4のミラー400で
示される)の場合、反射手段はミラー製造業界におけるいずれかの標準的方法に
より可逆可変透過率デバイスの表面131に付着させた高反射性材料(たとえば
銀)の層20であり、これにより可逆可変透過率デバイスを通過して反射性材料
に達する光の高割合(好ましくは少なくとも約70%)が表面131を通っても
との方へ反射される。さらに、図4のミラー400により示される改良された型
のミラーの場合、表面131に平行であり、これから間隔を置いた、101で示
される可逆可変透過率デバイスの表面は、透明な積層材料(21で示される)に
よって、透明な固体材料(たとえばガラスまたは透明なプラスチック)製のプリ
ズム形片22に積層されている。プリズム形片の一方の表面221は改良ミラー
の前面であり、反射入段20により反射される光はこれを通してミラーに進入し
、かつミラーから出る。高反射層20およびプリズム形片は、改良ミラーの可逆
可変透過率デバイスの可逆可変透過率領域の少なくとも全断面(図2に14によ
り示されるが、図4には示されない)を覆う。 【0098】 さらに他の形の本発明の改良された可変反射率ミラー(図4に示したものに類
似)には積層材料の層は存在せず、電極保有壁100がプリズム形材料片によっ
て置換され、その一方の表面が導電層で被覆され、これが可逆可変透過率デバイ スの電極として作用する。 【0099】 本発明の改良ミラーにおいては、反射手段または反射層(たとえば図3では層
18A、図4では層20)の平面と前面(たとえば図3では表面101、図4で
は表面221)の角度は好ましく約1〜約5°である。 【0100】 図3のミラー300の層19および図4のミラー400の層21の積層材料は
、当技術分野で知られているいかなる透明な積層材料であってもよい。さらにミ
ラー300のプリズム形ミラー180を表面131に、またはプリズム形固体片
22を表面101に積層する方法は、当技術分野で知られているいかなる積層法
によってもよい。反射手段がプリズム形ミラーの反射手段であることを特色とす
る本発明の好ましい改良ミラー(たとえばミラー300)の場合、表面131は
ガラス片であり、プリズム形ミラーの固体材料素子18はガラス製であり、透明
な積層材料はポリビニルブチラール(PVB)であろう。また、反射手段が可逆
可変透過率デバイスの一方の表面に直接に付着し、かつプリズム形の固体材料片
が可逆可変透過率デバイスの表面(これは反射手段が付着している表面に平行で
あり、これと間隔を置いている)に積層されていることを特色とする本発明の好
ましい改良ミラー(たとえばミラー400)の場合も、表面素子101はガラス
片であり、プリズム形の材料片はガラス製であり、透明な積層材料はPVBであ
ろう。 【0101】 図3および図4において、壁100、その素子10および10A;壁130、
その素子13および13A;スペーサー11;溶液空間12;ならびに線または
ストリップ16は図2に示したデバイス200の同一番号の素子に対応する。図
3および図4の線またはストリップは図2に示したリード線15Aに対応するリ
ード線または延長線にまで伸びる。 【0102】 本発明のミラーは通常はフレームに固定され、これはミラーの反射手段によっ
て反射し、ミラーを見る者に見える光が反射手段から反射する前後に通過する、 可逆可変透過率領域の断面(図2のデバイス200に14で示される)の大部分
を除いて、可逆可変透過率デバイスのすべてを視野から覆い隠す。フレームの向
きは手動により、または自動的に調整できる。デバイスのリード線15Aおよび
16A(図2に示す)は電力供給制御素子(たとえばスイッチング手段、電極間
の電位差を制御する手段)に接続されるであろう。これらの素子は所望によりフ
レーム構造内のデバイスおよび反射手段の後方に位置してもよく、あるいはフレ
ームおよびマウントと完全に分離され、これらが電源(たとえば電池)に接続し
ていてもよい。この種の電源(特に小型の電池の場合)もフレーム構造内に位置
してもよいが、通常は電源(たとえば自動車用電池)はフレームの外側に位置す
るであろう。本発明の可変反射率ミラーの好ましい用途は、自動車用のグレア防
止型バックミラーとしてのものである。 【0103】 可変透過率カラーフィルター(特に窓)の可変透過率構成部品として用いる場
合、本発明のデバイスは本質的には普通の窓またはフロントガラスの窓ガラスの
ように枠組みされるであろう。可逆可変透過率領域の断面(図2のデバイス20
0に14で示される)の大部分に対応する部分を除いて、デバイスはすべて窓枠
構成部品によって視野から隠されるであろう。同様にデバイスのリード線15A
および16A(図2に示す)からの線はこの枠部品の内側を走行し(窓の視野外)、
窓構造の外部の電力供給手段および電力供給制御素子へ達するであろう。 【0104】 本発明の可変反射率ミラーおよび可変反射率カラーフィルターの一方または双
方を用いて表示デバイスを製造することができる。この場合、本発明のデバイス
が可逆可変透過率構成部品であり、反射率または透過率の変化によって情報を伝
達する。本発明のデバイスにおいて光の強度を変化させて透過または反射させる
領域は、表示デバイスが目的とする記号の形状をもつように形成することができ
る。あるいは別個の本発明デバイスを適切な配置に配列して、目的とする記号の
形状をもたせることもできる。一形態においては、デバイス(1または2以上)
の透過率が低下するのに伴ってデバイスの明るい背景上に暗色の記号を形成する
ので、表示される記号が見る者に見える状態になる。他の形態においては、記号 が暗い背景にあるためデバイスの高透過率状態で記号が見えている場合、デバイ
ス(1または2以上)が活性化されると透過率が低下し、記号が視野から消える
であろう。本発明のデバイスを可逆可変透過率構成部品として用いる表示デバイ
スによって、ほぼすべての記号(文字、記号、語句、番号、または各種のデザイ
ンを含む)を表示することができる。本発明の可変透過率デバイスを用いる表示
デバイスは芸術的表示、たとえば可逆可変色彩をもつ窓ガラスを用いたステンド
グラスの窓にも有用である。 【0105】 本発明を以下の例中に、より詳細に説明する。 【0106】 特に指示しない限り例中の濃度はすべて室温(20〜27℃)におけるもので
あり、温度はすべて℃による。 【0107】 例1 2枚のガラスシート(面積7.6cm×12.7cm)によりセルを形成し、
厚さ0.020cmのナイロンモノフィラメントのストリップで分離した。これ
らのガラスシートの片面はインジウムドープした酸化スズ(ITO)の透明な電
極で被覆されており、これらの面がセルの内側で互いに向き合う状態に配置され
た。図2に示すように、これらのシートは互いにわずかにずれており、各シート
の12.7cmの側面(溶液用の容積と反対側)に沿って2本の平行な狭いIT
O被膜の張出しストリップを与えた。このITO被膜の狭い張出しストリップに
沿って導電性銀エポキシ樹脂により銅ストリップを接着することによって接点を
形成し、次いでセルの縁を絶縁性エポキシ樹脂でシールした。最終シールの前に
、電極間の空間にN,N,N',N’−テトラメチル−1,4−フェニレンジア
ミン0.05M、1,1’−ジヘプチル−4,4’−ビピリジニウムフルオロボ
レート0.05M、およびテトラ−n−ブチルアンモニウムフルオロボレート0
.5Mの炭酸プロピレン溶液を充填した。 【0108】 電極間に1.0Vをかけると、最初は無色であった溶液が濃い青紫色に変化し た。セルを開回路状態にした場合、またはセルを短絡した場合、溶液は脱色され
た無色の状態にもどった。電極間の1.0V電位の極性を数秒間逆転させたのち
セルを短絡した場合、セルはより速やかにその脱色状態にもどった。 【0109】 一方のガラスシートの表面(ITO被覆面の反対側)を銀めっきした場合、銀
めっきしていない側のガラスを通して見るとデバイスは可変反射率ミラーになっ
ていた。 【0110】 例2 2枚のガラスシート(面積10.2cm×10.2cm)を厚さ0.013c
mのガラスビーズで間隔をあけることにより、可変反射率ミラーとして作動する
セルを作成した。一方のガラスシートの片面をITOで被覆し、他方のガラスシ
ートの片面を金属インコネルの真空蒸着層で被覆した。ITOおよびインコネル
の各電極層がセルの内側で互いに向き合う状態でセルを組立てた。電極表面への
銅ストリップ接点、デバイスのシールおよび配列は例1のセルの場合と同じであ
った。電極間の空間に5,10−ジヒドロ−5,10−ジメチルフェナジン0.
02M、テトラメチレン−ビス[4−(1−ベンジルピリジン−4’−イル)ピ
リジニウム]テトラフルオロボレート0.02M、およびテトラ−n−ブチルア
ンモニウムフルオロボレート0.1Mの炭酸プロピレン中の溶液を充填した。 【0111】 ITOおよびインコネル電極間に1.0Vの電位を与えた場合、インコネル電
極からの反射率が急速に低下した。与えられた電位により、溶液層は濃い青緑色
に変化した。与えた電位を除去すると、溶液は明るいゼロ電位平衡状態にもどり
、インコネル電極からの反射率は電位差を与える前の当初の高い水準にまで増大
した。 【0112】 例3 片面をITOで被覆された2枚のガラスシートをスペース形成用としてガラス
ビーズを用いて0.013cm離して配置することにより、可変透過率カラーフ ィルターまたは窓として作動するデバイスを作成した。ガラスシートの寸法は6
.4cm×25.4cmであった。各シートのITO被覆面を向き合わせた。銅
ストリップ接点、デバイスのシートおよび配列は例1のデバイスの場合と同じで
あり、ストリップをシールの25.4cmの側に沿って配置した。電極間の空間
に1,1’−ジベンジル−4,4’−ジピリジニウムジフルオロボレート0.0
5Mおよび5,10−ジヒドロ−5,10−ジメチルフェナジン0.05Mの炭
酸プロピレン中の溶液を充填した。 【0113】 電極間の溶液層に1.1Vの電圧を与えると、デバイスの白色光透過率が11
秒以内に81.5%から10.0%に低下した。1.0Vを与えた際のデバイス
の定常状態透過率は6.0%であった。電極を短絡したところデバイスの透過率
は7秒以内に10%から70%に増大し、電極短絡後16秒以内に透過率は81
.5%にもどった。デバイスを室温で、そのゼロ電位における透過率と1.1V
の電位を電極間に与えた定常状態との間で40,000回循環させた。40,0
00回後にゼロ電位におけるデバイスの透過率は78.5%であり、1.1Vの
電位を与えた際の定常状態透過率は6.0%にとどまった。透過率の変化のスピ
ードは循環によって変化しなかった。 【0114】 デバイスをゼロ電位と1.1Vでの定常状態透過率との間で55℃においてさ
らに20,000回循環させた場合、ゼロ電位における透過率は71.5%に低
下したが、1.1Vにおける透過率は6.0%にとどまった。 【0115】 例4 例3のデバイスと同様にして、ただし電極間の空間に1,1’−ジ−(n−ヘ
プチル)−4,4’−ビピリジニウムジフルオロボレート0.04M、5,10
−ジヒドロ−5,10−ジメチルフェナジン0.04M、およびテトラ−n−ブ
チルアンモニウムフルオロボレート0.1Mの炭酸プロピレン中の溶液を充填す
ることにより、可変透過率カラーフィルターとして作動するデバイスを作成した
。 【0116】 電極間の溶液層に1.1Vの電位を与えることによりデバイスの白色光透過率
が10秒以内に84.5%から20.0%に低下した。1.1Vを与えた際のデ
バイス定常状態透過率は11.0%であった。電極を短絡した際のデバイスの透
過率は7秒以内に20%から70%に増大し、電極を短絡したのち22秒以内に
透過率は84.5%にもどった。デバイスを室温で、ゼロ電位透過率と1.1V
を電極間に与えられた際の定常状態透過率との間で40,000回循環させた。
40,000回後にゼロ電位透過率は84.0%であり、1.1Vの電位を与え
た状態での透過率は11.0%であった。透過率の変化のスピードは循環によっ
て変化しなかった。 【0117】 デバイスを55℃で、ゼロ電位透過率と1.1Vにおける定常状態透過率との
間でさらに20,000回循環させた場合、ゼロ電位における透過率は77.5
%に低下し、1.1Vにおける透過率は11.0%にとどまった。 【0118】 例5 例3のデバイスと同様にして、ただしITO被覆グラスシートの寸法を6.4
cm×7.6cmとして、可変透過率カラーフィルターまたは窓として作動する
デバイスを作成した。電極間の溶液は炭酸プロピレン中の1,1’−ジベンジル
−4,4’−ビピリジニウムジフルオロボレート0.05Mおよび5,10−ジ
ヒドロ−5,10−ジメチルフェナジン0.05Mであった。 【0119】 電極間の溶液に1.1Vの電位を与えると、デバイスの白色光は透過率は10
秒以内に81.5%から10.0%に低下した。1.1Vを与えた際のデバイス
の定常状態透過率は11.0%であった。電極を短絡した際のデバイスの透過率
は6秒以内に20%から70%に増大し、電極を短絡したのち15秒以内に透過
率は81.5%にもどった。デバイスを55℃で、ゼロ電位におけるその透過率
と、電極間に1.1Vを与えた際のその定常状態透過率との間で40,000回
循環させた。40,000回後にゼロ電位透過率は65.0%であり1.1Vの
電位における定常状態透過率は6.0%にとどまった。この循環によって透過率 の変化のスピードは変わらなかった。 【0120】 例6 例3と同様にして、可変透過率カラーフィルターとして作動するデバイスを作
成した。ただし電極間の空間をN,N,N,N’−テトラメチル−1,4−フェ
ニレンジアミン0.01M、5,10−ジヒドロ−5,10−ジメチルフェナジ
ン0.01M、1,1’−ジベンジル−4,4’−ビピリジニウムジフルオロボ
レート0.01M、テトラメチレン−ビス−[4−(1−ベンジルピリジン−4
’−イル)ピリジニウム]テトラフルオロボレート0.01M、およびテトラ−
n−ブチルアンモニウムフルオロボレート0.1Mの炭酸プロピレン中の溶液を
充填した。 【0121】 電極間の溶液に1.2Vの電位を与えると、デバイスの白色光透過率は4秒以
内に84%から10%に低下した。1.2Vにおける定常状態透過率は5%であ
った。電極を短絡すると、デバイスの透過率は6.5秒以内に10%から70%
に増大し、電極を短絡したのち15秒以内にもとのゼロ電位平衡値84%にもど
った。 【0122】 例7 例3に示したデバイスと本質的に同じ方法で作成し、下記の表1に示すエレク
トロクロミック化合物の炭酸プロピレン溶液を充填したデバイスは例1〜6に示
したものと同様に自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイスとして作動す
ることが認められた。 【0123】 【表1】 【00124】 例8 多数の化合物を本発明の単一区画型自己消去式溶液相デバイスにおいて、炭酸
プロピレンを溶剤として、アノードまたはカソードエレクトロクロミック化合物
としての受容可能性につき試験した。 【0125】 ある種の化合物き還元(カソード化合物)または酸化(アノード化合物)に際
して不安定であるため受容できないことが認められた。この不安定さはその化合 物につき溶剤中で室温においていずれかの標準法により得たボルタモグラフにお
いて、化学的に可逆性の還元波(カソード化合物の場合)、または化学的に可逆
性の酸化波(アノード化合物の場合)が全く存在しないか、または1個しか存在
しないことによって示される。 【0126】 溶剤中で少なくとも2個の化学的に可逆性のボルタモグラフ還元波(カソード
化合物の場合)、または少なくとも2個の化学的に可逆性のボルタモグラフ酸化
波(アノード化合物の場合)をもつ化合物は、上記溶剤中で、同じ特性をもつ他
のいかなる化合物1種または2種以上と組合わせても、受容できないほどの不安
定さ(特に循環に対する)に至ることはないことが認められた。 【0127】 受容できるものであるためには、明らかに化合物は溶剤中での還元または酸化
に際して可視領域(4200〜700Å)の少なくとも1種の波長において吸光
係数が変化しなければならない。安定性を保証するためには、この種の変化は化
合物がカソード化合物である場合は少なくとも2種の化学的に可逆性のボルタモ
グラフ還元波のうち第1のものに対応する還元と共に起こり、化合物がアノード
化合物である場合には少なくとも2種の化学的に可逆性のボルタモグラフ酸化波
に対応する酸化と共に起こらなければならない。 【0128】 本発明の溶剤中においてカソードまたはアノードエレクトロクロミック化合物
として最小限受容できるほかに、化合物は望ましくはその溶液の溶剤中でそのゼ
ロ電位平衡状態において少なくとも約10-4Mの溶解性をもち、可視領域の少な
くとも1種の波長において、カソード化合物の場合は第1の化学的に可逆性のボ
ルタモグラフ還元波に対応する還元に際して、あるいはアノード化合物の場合は
第1の化学的に可逆性のボルタモグラフ酸化波に対応する酸化に際して、吸光係
数が少なくとも約10-2〜少なくとも103cm-1-1のファクターだけ増大す
るであろう。 【0129】 炭酸プロピレンを溶剤としてこれらの受容可能性および望ましさの基準に適合 することが認められた化合物はすべて、例1〜7のいずれかに詳述したもの、な
らびにさらに新規なアノード化合物N,N’,N”−トリメチルトリフェナジン
オキサジン、既知のアノード化合物o−トルイジン、N,N,N',N’−テト
ラメチルベンジジン、N,N,N',N’−テトラフェニル−1,4−フェニレ
ンジアミン、および5,10−ジヒドロ−5,10−ジフェニルフェナジンなら
びに既知のカソード化合物1,1’−ジメチル−4,4’−ビピリジニウムジク
ロリド、1,1’−ジ−(p−シアノフェニル)−4,4’−ビピリジニウムジ
フルオロボレート、および1,1’−ジフェニル−4,4’−ビピリジニウムジ
ヨージドである。 【0130】 例9 この例は本発明のデバイスがグレースケールデバイス、すなわち電極間の電位
差を調整することにより透過率“明るい(clear)”(すなわちゼロ電位平
衡)値と、化学的安定性を損うことなく達成しうる最も暗い値との中間値に調整
し、ここに安定化しうるデバイスとして有用であることを示す。 【0131】 例3のものと同様なセルを構成し、炭酸プロピレン中の1,1’−ジ−(n−
ヘプチル)−4,4’−ビピリジニウムジフルオロボレート0.04Mおよび5
,10−ジヒドロ−5,10−ジフェニルフェナジン0.04Mの溶液を充填し
た。白色光に対する定常状態透過率をデバイスの電極間の電位差の関数として測
定し、表2に示す値を得た。 【0132】 【表2】 【0133】 例10 増粘した溶液を含む可変反射率ミラーとして作動するデバイスを、ITO被覆
したガラス片のITO表面にアクリル系シート材料ルサイトLのジクロルエタン
溶液を塗布することにより作成した。ジクロルエタンを蒸発させると、アクリル
系シート材料の薄いフィルム(重量0.29g)がITO表面に残された。この
同じガラス片はITO−アクリル系材料面と反対側に反射性ミラー、すなわち銀
被膜を備えており、そのITO−アクリル面を第2りガラス片(一方の面にIT
O被膜のみを備えている)のITO面から0.013cm離して配置することに よりセルを作成した。ガラスシートの寸法は6.4cm×25.4cmであった
。銅ストリップ接点、シール、およびデバイスの構造は例3の場合と同じであっ
た。一方のガラス片のITO面の間の空間に1,1’−ジ−n−ヘプチル−4,
4’−ビピリジニウムジフルオロボレート0.04M、5,10−ジヒドロ−5
,10−ジフェニルフェナジン0.04M、およびテトラブチルアンモニウムフ
ルオロボレート0.1Mの炭酸プロピレン中の溶液を充填した。 【0134】 室温で数時間以内にアクリル層は炭酸プロピレン溶液に溶解して増粘し、この
デバイスはITO電極層間の溶液に与える電位を変えることによって可変反射率
ミラーとして作動させることができた。1.2Vの電圧を印加した状態で反射率
は2.5秒以内に73.5%から20.0%に変化し、9.0%まの定常状態反
射率に達した。電極を短絡すると、反射率は17秒以内に9.0%から60.0
%に増大し、最終的にはもとの明るいゼロ電位値73.5%にもどった。 【0135】 例11 N,N',N”−トリメチルトリフェナジンオキサジンの合成 【化35】 次式の既知の化合物、N−メチルトリフェナジンオキサジン 【化36】から出発し、フェナジンを5,10−ジヒドロ−5,10−ジメチルフェナジン に変えるためにギルマンおよびディートリッヒによりジャーナル・オブ・アメリ
カン・ケミカル・ソサエティー79,6178(1957)に記載された方法に
従って、前記化合物を製造した。上記出発物質100mg(0.33ミリモル)、
金属カリウム25mg(0.67ミリモル)、およびエチレングリコールジメチル
エーテル5mlを12時間撹拌した。次いで過剰のヨウ化メチルを添加したのち
無水アルコールを添加して過剰のカリウムを分解した。 【0136】 次いで反応混合物を水と混合した。生じた沈殿をエタノールから再結晶して、
純粋な生成物約2mgを得た。 【0137】 この生成物は炭酸プロピレン中で化学的に可逆性の酸化波、および5,10−
ジヒドロ−5,10−ジメチルフェナジンの場合ときわめて類似した色の変化を
示すことが認められた。 【0138】 例12 標準的方法により透明な積層材料ポリビニルブチラール(PVB)を用いて例
3のものと同様なエレクトロクロミックデバイスを一般のプリズム形自動車用バ
ックミラーに積層することにより、図3に示す構造のデバイスを作成した。この
デバイスに1,1’−ジベンジル−4,4’−ビピリジニウムジフルオロボレー
ト0.02M、5,10−ジヒドロ−5,10−ジメチルフェナジン0.02M
、およびテトラ−n−ブチルアンモニウムフルオロボレート0.1Mの炭酸プロ
ピレン中の溶液を充填した。このデバイスを自動車内のバックミラーとして用い
た。作動中はこのデバイスはゆがみのない連続可変反射率(すなわちグレースケ
ール)ミラーを与えた。これは夜間運転中に後方から接近する自動車のヘッドラ
イトによるグレアを除くのにきわめて有効であった。 【0139】 このデバイスは後方から接近する自動車のヘッドライトからのグレアがほとん
どまたは全くない場合はゼロ電位差で、中程度のグレアの場合は0.6Vで、高
いグレアの場合は1.0Vで作動した。 【0140】 ゼロ電位においてプリズムミラーの銀めっき面からの明状態反射率はデバイス
に入射する光の70%以上であった。与えられた電位が0.6Vでは銀めっき表
面からの定常状態反射率は約30%、与えられた電位が1.0Vは反射率約10
%であった。 【0141】 以上、本発明をある程度詳細に記述したが、当業者には本発明の精神の範囲内
でこれらの種々の変更および修正が認識されるであろう。これらの変更および修
正も、本明細書に記載され、特許請求された本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】 【図1】 図1は本発明のエレクトロクロミックデバイスの分解組立図を概略的に示す。 【図2】 図2は本発明のエレクトロクロミックデバイスの部分組立図を概略的に示す。 【図3】 図3は部分的に組立てられた本発明の可変反射率ミラーの断面図を概略的に示
す。 【図4】 図4は部分的に組立てられた本発明の可変反射率ミラーの断面図を概略的に示
す。 【符号の説明】 各図において記号は下記のものを表わす。 200:エレクトロクロミックデバイス 100,130:電極保有側板 10,13:固体材料層 10A,13A:電極層 11:スペーサー 11A,11B,11C,11D:11の内縁 12:溶液空間 15,16:導電性ストリップ(線) 15A,16A:リード線 18A,20:反射手段 300,400:ミラー 18,22:プリズム形材料片 19,21:積層材料層

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 (A)溶剤; (B)上記溶剤中で室温において行われたボルタモグラムにおいて少なくとも
    2種の化学的可逆還元波を表示し、これらの還元のうち第1のものが可視領域の
    少なくとも1種の波長において分子吸光係数の増大を伴う、少なくとも1種のカ
    ソードエレクトロクロミック化合物; (C)上記溶剤中で室温において行われたボルタモグラムにおいて少なくとも
    2種の化学的可逆酸化波を表示し、これらの酸化のうち第1のものが可視領域の
    少なくとも1種の波長において分子吸光係数の増大を伴う、少なくとも1種のア
    ノードエレクトロクロミック化合物;および (D)カソード化合物およびアノード化合物がすべて上記溶剤中におけるそれ
    らのゼロ電位平衡状態でイオン性でない場合は、不活性の電流搬送電解質からな
    る、単一区画型自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイスにおいて可変透
    過率媒質として用いられる溶液。 【請求項2】 (A)溶剤が室温で液体であり、炭酸プロピレン、γ−ブチロ
    ラクトン、γ−バレロラクトン、および室温で液体である、上記溶剤2種以上の
    、もしくは上記溶剤1種以上と炭酸エチレンとの均質な混合物から選ばれ; (B)カソード化合物が (i) 式IIの化合物 【化1】 {式中、R21およびR22は同一かまたは異なり、それぞれ1〜10個の炭素原子
    を有するアルキル基、フェニル基(任意の位置においてクロリド、ブロミド、 ヨージド、シアノ、または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基により置換さ
    れていてもよい)、およびベンジル基(フェニル基は任意の位置においてクロリ
    ド、ブロミド、ヨージド、シアノ、または1〜4個の炭素原子を有するアルキル
    基により置換されていてもよい)から選ばれ; X-23およびX-24は同一かまたは異なり、それぞれクロリド、ブロミド、ヨージ
    ド、BF-4,PF-6,AsF-6,CIO-4およびNO-3から選ばれる};および (ii) 式IIIの化合物 【化2】 (式中、R21およびR22は同一かまたは異なり、先に式IIの化合物について定め
    たものであり、R31は1〜10個の炭素原子を有するアルキレン基でありX- 31
    ,X- 32,X- 33およびX- 34は同一かまたは異なり、それぞれクロリド、ブロミ
    ド、ヨージド、BF- 4,PF- 6,AsF- 6,CIO- 4およびNO- 3から選ばれる
    )から選ばれ; (C)アノード化合物が (i) 式IVの化合物 【化3】 {式中、R41,R42,R43およびR44は同一かまたは異なり、それぞれ水素原子
    、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、フェニル基(任意の位置において
    クロリド、ブロミド、ヨージド、シアノ、または1〜4個の炭素原子を有するア
    ルキル基により置換されていてもよい)、およびベンジル基(フェニル基は任意
    の位置においてクロリド、ブロミド、ヨージド、シアノ、または1〜4個の炭素
    原 子を有するアルキル基により置換されていてもよい)から選ばれる}; (ii) 式Vの化合物 【化4】 {式中、R51およびR54は同一かまたは異なり、それぞれ水素原子およびジアル
    キルアミノ基(アルキル基は同一かまたは異なり、それぞれ1〜6個の炭素原子
    を有する)から選ばれ;R52は酸素原子、イオウ原子またはNR55であり、ここ
    でR55はR53と同一かまたは異なり、R55およびR53は共に水素原子、1〜10
    個の炭素原子を有するアルキル基、フェニル基(任意の位置においてクロリド、
    ブロミド、ヨージド、シアノ、または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基に
    より置換されていてもよい)、またはベンジル基(フェニル基は任意の位置にお
    いてクロリド、ブロミド、ヨージド、シアノ、または1〜4個の炭素原子を有す
    るアルキル基により置換されていてもよい)から選ばれる}; (iii) 式VIの化合物 【化5】 (式中、R61,R62,R63およびR64は同一かまたは異なり、それぞれ1〜10
    個の炭素原子を有するアルキル基またはフェニル基から選ばれ;R65およびR66
    は同一かまたは異なり、それぞれ水素原子、または1〜10個の炭素原子を有す
    るアルキル基から選ばれ、ただしR65およびR66は双方とも水素原子であるかま
    たは双方ともアルキル基であり、R65およびR66が双方とも水素原子である場合
    はR61およびR62のうち1以下が水素原子であり、R63およびR64の うち1以下が水素原子である); (iv) 式VIIの化合物 【化6】 {式中、R71は酸素原子またはイオウ原子であり、R75は水素原子またはジアル
    キルアミノ基(アルキル基は同一かまたは異なり、それぞれ1〜6個の炭素原子
    を有するアルキル基から選ばれる)であり、R72,R73およびR74は同一かまた
    は異なり、それぞれ水素原子、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、フェニ
    ル基(任意の位置において1〜6個の炭素原子を有するアルキル基により置換さ
    れていてもよい)、およびベンジル基(フェニル基は任意の位置において1〜6
    個の炭素原子を有するアルキル基により置換されていてもよい)から選ばれる}
    ;および (v) 式VIIIの化合物 【化7】 から選ばれる、 特許請求の範囲第1項に記載の溶液。 【請求項3】(A)溶剤が炭酸プロピレンであり; (B)溶液が不活性の電流搬送電解質を溶液中に25℃において0.01〜1
    .0Mの濃度で含有し式M+ 31- 35のアルカリ金属塩、式M+ 32- 35のテトラア
    ルキルアンモニウム塩、塩化アルミニウム、臭化アルミニウムおよびこれらの塩
    の組合わせから選ばれ、その際M+ 31はカリウム、ナトリウムまたはリチウムで
    あ り、M+ 32はテトラアルキルアンモニウム基(アルキル基は同一かまたは異なり
    、それぞれ1〜10個の炭素原子を有するアルキル基から選ばれる)であり、X
    - 35はクロリド、ブロミド、BF- 4,PF- 6,AsF- 6,CIO- 4またはNO- 3
    であり (C)溶液はカソード化合物の異なる陽イオン1種または2種を溶液中に25
    ℃でゼロ電位平衡においてそれぞれ0.01〜0.1Mの濃度で含有し; (D)溶液が1種または2種のアノード化合物を溶液中に25℃でゼロ電位平
    衡においてそれぞれ0.01〜0.1Mの濃度で含有する、 特許請求の範囲第2項に記載の溶液。 【請求項4】 溶剤が炭酸プロピレンであり、カソード化合物の陽イオンが2
    5℃でゼロ電位平衡において溶液中0.01〜0.1Mの濃度の1,1’−ジメ
    チル−4,4’−ビピリジニウムであり、アノード化合物が25℃でゼロ電位平
    衡において0.01〜0.1Mの濃度の5,10−ジヒドロ−5,10−ジメチ
    ルフェナジンである、特許請求の範囲第2項に記載の溶液。 【請求項5】 ルサイト(LUCITE)Lからのアクリル系シート材料5〜
    25%(W/W)で増粘された、特許請求の範囲第3項に記載の溶液。 【請求項6】 ルサイト(LUCITE)Lからのアクリル系シート材料3〜
    20%(W/W)で増粘された、特許請求の範囲第4項に記載の溶液。 【請求項7】 (A)カソード化合物が式Xの化合物 【化8】(式中、R101はn−ヘプチル、フェニルまたはベンジルであり、X- 101はBF-
    4またはCIO- 4である)および次式の化合物 【化9】 から選ばれ (B)アノード化合物が式XIIの化合物 【化10】 (式中、R121はメチル基またはフェニル基である);および 式XIIIの化合物 【化11】 {式中、R132は酸素原子、イオウ原子またはNR133(R133はメチル基またはフ
    ェニル基である)であり、R131は (i) R132が酸素原子またはイオウ原子である場合、メチル基またはエチル基
    であり; (ii) R132がN(CH3)である場合、メチル基であり、 (iii) R132がN(C65)である場合、フェニル基である};および 式VIIIの化合物 【化12】 から選ばれ、 (C)不活性な電流搬送電解質が式M+ 42(BF- 4)(式中M+ 42はテトラ−n
    −アルキルアンモニウム基であり、ここでn−アルキル基は同一かまたは異なり
    、1〜6個の炭素原子を有するものである) の化合物である、特許請求の範囲第3項に記載の溶液。 【請求項8】 不活性の電流搬送電解質が25℃で0.05〜0.5Mの濃度
    のテトラ−n−ブチルアンモニウムフルオロボレートであり、カソード化合物が
    1,1’−ジベンジル−4,4’−ビピリジニウムジフルオロボレートおよびテ
    トラメチレン−ビス[4(1−ベンジルピリジン−4’−イル)ピリジニウム]
    テトラフルオロボレートから選ばれる、アノード化合物が5,10−ジヒドロ−
    5,10−ジメチルフェナジンおよびN,N,N',N’−テトラメチル−1,
    4−フェニレンジアミンから選ばれ、カソード化合物の総濃度が25℃で0.0
    1〜0.05Mであり、アノード化合物の総濃度が25℃で0.01〜0.05
    Mである、特許請求の範囲第7項に記載の溶液。 【請求項9】 光に対し可逆可変透過率をもつ媒質として、 (A)溶剤; (B)上記溶剤中で室温において行われたボルタモグラムにおいて少なくとも
    2種の化学的可逆還元波を表示し、これらの還元のうち第1のものが可視領域の
    少なくとも1種の波長において分子吸光係数の増大を伴う、少なくとも1種のカ
    ソードエレクトロクロミック化合物; (C)上記溶剤中で室温において行われたボルタモグラムにおいて少なくとも
    2種の化学的可逆酸化波を表示し、これらの酸化のうち第1のものが可視領域の
    少なくとも1種の波長において分子吸光係数の増大を伴う、少なくとも1種のア
    ノードエレクトロクロミック化合物;および (D)カソード化合物およびアノード化合物がすべて上記溶剤中におけるそれ
    らのゼロ電位平衡状態でイオン性でない場合は、不活性の電流搬送電解質よりな
    る溶液からなる単一区画型自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイス。 【請求項10】 溶液において (A)溶剤が室温で液体であり、炭酸プロピレン、γ−ブチロラクトン、γ− バレロラクトン、および室温で液体である、上記溶剤2種以上の、もしくは上記
    溶剤1種以上と炭酸エチレンとの均質な混合物から選ばれ; (B)カソード化合物が (i) 式IIの化合物 【化13】 {式中、R21およびR22は同一かまたは異なり、それぞれ1〜10個の炭素原子
    を有するアルキル基、フェニル基(任意の位置においてクロリド、ブロミド、ヨ
    ージド、シアノ、または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基により置換され
    ていもよい)、およびベンジル基(フェニル基は任意の位置においてクロリド、ブ
    ロミド、ヨージド、シアノ、または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基によ
    り置換されていてもよい)から選ばれ;X- 23およびX- 24は同一かまたは異なり
    、それぞれクロリド、ブロミド、ヨージド、BF- 4,PF- 6,AsF- 6,CIO
    - 4およびNO- 3から選ばれる};および (ii) 式IIIの化合物 【化14】 (式中、R21およびR22は同一かまたは異なり、先に式IIの化合物について定め
    たものであり、R31は1〜10個の炭素原子を有するアルキレン基でありX- 31
    ,X- 32,X- 33およびX- 34は同一かまたは異なり、それぞれクロリド、ブロミ
    ド、ヨージド、BF- 4,PF- 6,AsF- 6,CIO- 4およびNO- 3から選ばれる
    )から選ばれ; (C)アノード化合物が (i) 式IVの化合物 【化15】 {式中、R41,R42,R43およびR44は同一かまたは異なり、それぞれ水素原子
    、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、フェニル基(任意の位置において
    クロリド、ブロミド、ヨージド、シアノ、または1〜4個の炭素原子を有するア
    ルキル基により置換されていてもよい)、およびベンジル基(フェニル基は任意
    の位置においてクロリド、ブロミド、ヨージド、シアノ、または1〜4個の炭素
    原子を有するアルキル基により置換されていてもよい)から選ばれる}; (ii) 式Vの化合物 【化16】 {式中、R51およびR54は同一かまたは異なり、それぞれ水素原子およびジアル
    キルアミノ基(アルキル基は同一かまたは異なり、それぞれ1〜6個の炭素原子
    を有する)から選ばれ;R52は酸素原子、イオウ原子またはNR55であり、ここ
    でR55はR53と同一かまたは異なり、R55およびR53は共に水素原子、1〜10
    個の炭素原子を有するアルキル基、フェニル基(任意の位置においてクロリド、
    ブロミド、ヨージド、シアノ、または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基に
    より置換されていてもよい)、またはベンジル基(フェニル基は任意の位置にお
    いてクロリド、ブロミド、ヨージド、シアノ、または1〜4個の炭素原子を有す
    るアルキル基により置換されていてもよい)から選ばれる}; (iii) 式VIの化合物 【化17】 (式中、R61,R62,R63およびR64は同一かまたは異なり、それぞれ1〜10
    個の炭素原子を有するアルキル基またはフェニル基から選ばれ;R65およびR66
    は同一かまたは異なり、それぞれ水素原子、または1〜10個の炭素原子を有す
    るアルキル基から選ばれ、ただしR65およびR66は双方とも水素原子であるかま
    たは双方ともアルキル基であり、R65およびR66が双方とも水素原子である場合
    はR61およびR62のうち1以下が水素原予であり、R63およびR64のうち1以下
    が水素原子である); (iv) 式VIIの化合物 【化18】 {式中、R71は酸素原子またはイオウ原子であり、R75は水素原子またはジアル
    キルアミノ基(アルキル基は同一かまたは異なり、それぞれ1〜6個の炭素原子
    を有するアルキル基から選ばれる)であり、R72,R73およびR74は同一かまた
    は異なり、それぞれ水素原子、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、フェニ
    ル基(任意の位置において1〜6個の炭素原子を有するアルキル基により置換さ
    れていてもよい)、およびベンジル基(フェニル基は任意の位置において1〜6
    個の炭素原子を有するアルキル基により置換されていてもよい)から選ばれる}
    ;および (v) 式VIIIの化合物 【化19】 から選ばれる、 特許請求の範囲第9項に記載のデバイス。 【請求項11】 溶液において (A)溶剤が炭酸プロピレンであり; (B)溶液が不活性の電流搬送電解質を溶液中に25℃において0.01〜1
    .0Mの濃度で含有し式M+ 31- 35のアルカリ金属塩、式M+ 32- 35のテトラア
    ルキルアンモニウム塩、塩化アルミニウム、臭化アルミニウムおよびこれらの塩
    の組合わせから選ばれ、その際M+ 31はカリウム、ナトリウムまたはリチウムで
    あり、M+ 32はテトラアルキルアンモニウム基(アルキル基は同一かまたは異な
    り、それぞれ1〜10個の炭素原子を有するアルキル基から選ばれる)であり、
    - 35はクロリド、ブロミド、BF- 4,PF- 6,AsF- 6,CIO- 4またはNO-
    3であり; (C)溶液はカソード化合物の異なる陽イオン1種または2種の溶液中に25
    ℃でゼロ電位平衡においてそれぞれ0.01〜0.1Mの濃度で含有し; (D)溶液が1種または2種のアノード化合物を溶液中に25℃でゼロ電位平
    衡においてそれぞれ0.01〜0.1Mの濃度で含有する、特許請求の範囲第1
    0項に記載のデバイス。 【請求項12】 溶液がルサイト(LUCITE)Lからのアクリル系シート
    材料5〜25%(w/w)で増粘された、特許請求の範囲第11項に記載のデバ
    イス。 【請求項13】 溶液において、 (A)カソード化合物が式Xの化合物 【化20】 (式中、R101はn−ヘプチル、フェニルまたはベンジルであり、X- 101はBF-
    4またはCIO- 4である)および次式の化合物 【化21】から選ばれ (B)アノード化合物が式XIIの化合物 【化22】 (式中、R121はメチル基またはフェニル基である);および 式XIIIの化合物 【化23】 {式中、R132は酸素原子、イオウ原子またはNR133(R133はメチル基またはフ
    ェニル基である)であり、R131は (i) R132が酸素原子またはイオウ原子である場合、メチル基またはエチル基
    であり; (ii) R132がN(CH3)である場合、メチル基であり、 (iii) R132がN(C65)である場合、フェニル基である};および 式VIIIの化合物 【化24】から選ばれ、 (C)不活性な電流搬送電解質が式M+ 42(BF- 4)(式中M+ 42はテトラ−n
    −アルキルアンモニウム基であり、ここでn−アルキル基は同一かまたは異なり
    、1〜6個の炭素原子を有するものである)の化合物である、特許請求の範囲第
    11項に記載のデバイス。 【請求項14】 溶液において、不活性の電流搬送電解質が25℃で0.05
    〜0.5Mの濃度のテトラ−n−ブチルアンモニウムフルオロボレートであり、
    カソード化合物が1,1’−ジベンジル−4,4’−ビピリジニウムジフルオロ
    ボレートおよびテトラメチレン−ビス[4−(1−ベンジルピリジン−4’−イ
    ル)ピリジニウム]テトラフルオロボレートから選ばれ、アノード化合物が5,
    10−ジヒドロ−5,10−ジメチルフェナジンおよびN,N,N',N’−テ
    トラメチル−1,4−フェニレンジアミンから選ばれ、カソード化合物の総濃度
    が25℃で0.01〜0.05Mであり、アノード化合物の総濃度が25℃で0
    .01〜0.05Mである、特許請求の範囲第13項に記載のデバイス。

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