JPH07216349A - エレクトロケミクロミック溶液、その製法及び使用法、並びにそれを用いて製造された装置 - Google Patents

エレクトロケミクロミック溶液、その製法及び使用法、並びにそれを用いて製造された装置

Info

Publication number
JPH07216349A
JPH07216349A JP4238612A JP23861292A JPH07216349A JP H07216349 A JPH07216349 A JP H07216349A JP 4238612 A JP4238612 A JP 4238612A JP 23861292 A JP23861292 A JP 23861292A JP H07216349 A JPH07216349 A JP H07216349A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
electrochemichromic
solution
mirror
electrochemichromic solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP4238612A
Other languages
English (en)
Inventor
Desaraju V Varaprasad
ヴィ.ヴァラプラサド デサラジュ
Steven D Looman
ディー.ルーマン スティーヴン
Mingtang Zhao
ツァオ ミンタン
Hamid R Habibi
アール.ハビビ ハミド
Niall R Lynam
アール.ライナム ニオール
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Magna Donnelly Corp
Original Assignee
Donnelly Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from US07/756,342 external-priority patent/US5239405A/en
Priority claimed from US07/935,784 external-priority patent/US5500760A/en
Application filed by Donnelly Corp filed Critical Donnelly Corp
Publication of JPH07216349A publication Critical patent/JPH07216349A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 エレクトロケミクロミック化合物とその製造
方法、それら化合物のエレクトロケミクロミック溶液お
よびその溶液を使用した装置。本溶液の製造方法はエレ
クトロケミクロミック化合物の1つ以上を他のエレクト
ロケミクロミック化合物との接触前にレドックス剤で前
処理する新規な工程を包含する。さらにかかる溶液を製
造する方法および優れた特性から得る利点を有する装置
のためにその溶液を使用する方法。 【効果】 本エレクトロケミクロミック溶液は印加電位
が導入された時従来のものよりも優れた応答性を示し、
この溶液をエレクトロケミクロミック装置内に充填使用
した場合紫外線安定性、熱安定性、サイクル安定性を示
す。本エレクトロケミクロミック溶液とそれを含有する
装置についての溶液発色応答性は迅速、鮮明、均一性の
点で従来技術より優れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明はエレクトロクロミック溶液とそれ
から製造されたデバイスに関する。さらに詳細には、本
発明はエレクトロケミクロミック(electrochemichromi
c) 化合物とその製造方法に関する。さらに、本発明は
かかる化合物のエレクトロケミクロミック溶液ならびに
その溶液を使用したデバイスに関する。このエレクトロ
ケミクロミック溶液は印加電位がそれに導入された時に
従来公知のエレクトロケミクロミック溶液よりも優れた
応答性を示す。すなわち、溶液の発色に関する応答につ
いて見ると、従来技術によるエレクトロケミクロミック
溶液より高度の迅速性、強度および均一性を示す。本溶
液はさらに紫外線安定性、熱安定性およびサイクル安定
性を示す。本発明は、さらに、かかる新規溶液の製造方
法、並びに上記のごとき優れた特性及びそれから得られ
る利点を有するデバイスを製造するためにこのエレクト
ロケミクロミック溶液を使用する方法にも関する。
【0002】エレクトロケミクロミック溶液およびこれ
を使用して製造されたデバイスは公知である。たとえ
ば、下記の文献が参照される。米国特許第3,806,
229号明細書(Schoot)、米国特許第3,280,7
01号明細書(Donnelly)、米国特許第3,451,7
41号明細書(Manos)、米国特許第4,902,10
8号明細書(Byker I)、米国特許第5,128,79
9号明細書(Byker II)、米国特許第5,140,45
5号明細書(Varaprasad)、米国特許出願番号第07/
456,164号明細書(1989年12月22日出願)、米国
特許出願番号第07/458,969号明細書(1989年
12月29日出願)、米国特許出願番号第07/756,3
42号明細書(1991年 9月 6日出願)、およびI.V.Shel
epinの論文、Electrokhimya , 13(3), 404-08(1977年 3
月)。
【0003】このような装置の基本的構成はアノード化
合物とカソード化合物とを一緒に溶媒に入れて溶液をつ
くり、この溶液を装置に収納された1つのセルの中に収
容したものが典型的である。印加電位がこの装置に導入
されると、装置内の溶液は発色し、これによってそれを
透過する光の量が減少する。従来提案された装置は一定
の評価を得ているが、しかし次の点でなお改良が望まれ
ている。すなわち、溶液の発色の迅速性、強度、均一性
を向上させ、透過光量を一層減少させると共に、溶液を
収容している装置の表面のグレアを減少させることが望
まれる。さらに、このような溶液を現在使用している商
業的用途、ならびに新規な商業的需要の創出の点から紫
外線安定性、熱安定性およびサイクル安定性などの向上
も望まれる。
【0004】したがって、溶液が印加電位の導入によっ
て作用を受けた時に、一層迅速、鮮明かつ均一な発色を
示す改良されたエレクトロケミクロミック溶液の提供が
望まれている。さらに、このような改良された溶液の製
造方法の提供も望ましい。さらにまた、かかる溶液の使
用方法の提供も望まれている。さらに、本発明のよる改
良されたエレクトロケミクロミック溶液を使用して製造
された、上記のごとき進歩性を示す装置すなわちエレク
トロケミクロミックデバイスの提供も望ましいことであ
る。
【0005】したがって、本発明の目的の一つは、新規
なエレクトロケミクロミック化合物とその製造方法を提
供することである。本発明の他の目的の一つは、印加電
位の導入によって作用を受けた時に、迅速、鮮明かつ均
一な溶液発色を呈する、上記化合物から形成されたエレ
クトロケミクロミック溶液を提供することである。本発
明のいま一つの目的は、このような溶液の製造方法を提
供することである。本発明のさらにいま一つの目的は、
このような溶液の使用方法を提供することである。さら
に本発明のいま一つの目的は、本発明によるエレクトロ
ケミクロミック溶液を使用して製造され、かつその溶液
を使用することによってもたらされる利点を保有してい
る装置を提供することである。さらにまた、装置に使用
された時に、紫外線安定性、熱安定性およびサイクル安
定性を示す溶液を提供することも本発明の1つの目的で
ある。
【0006】本発明は、前記した従来技術の欠点を、新
規なエレクトロケミクロミック化合物と、その化合物の
エレクトロケミクロミック溶液を提供することによって
克服するものである。すなわち、本発明によるエレクト
ロケミクロミック溶液は向上した溶液発色の迅速性、強
度および均一質性を示すと共に、紫外線安定性、熱安定
性およびサイクル安定性を示す。本発明による化合物と
溶液の製造においては、エレクトロケミクロミック化合
物を、その使用に先立って、レドックス剤で前処理す
る。
【0007】より詳細に説明すると、本発明のエレクト
ロケミクロミック溶液は、あらかじめレドックス剤で処
理してその原子価状態を変化させたアノード化合物を含
む。このアノード化合物は、かかる有効性付与のための
レドックス前処理を受けていない1種またはそれ以上の
アノード化合物と組合わせて使用することができる。ア
ノード化合物はカソード化合物および溶媒と組み合わせ
られる。しかして、アノード化合物とカソード化合物が
溶媒と接触している時、変化させられた原子価状態にあ
る該アノード化合物のレドックス電位はカソード化合物
のレドックス電位よりも大きい。所望により、さらに紫
外線安定化剤および電解物質等を添加してこの溶液の物
理的特性をさらに変えることができる。
【0008】本発明によるエレクトロケミクロミック溶
液の製造方法は下記の工程より成る。すなわち、アノー
ド化合物を溶媒に溶解させ;その溶解したアノード化合
物をレドックス剤と接触させてその原子価状態を変化さ
せ;未反応のレドックス剤が残存している場合にはそれ
を除去し;最初に溶液に入れられた時とは異なる原子価
状態を有する該アノード化合物を含有している溶液にカ
ソード化合物を導入し;さらにこの溶液に印加電位を導
入してその発色を誘起する。所望の場合には、アノード
化合物の溶液から未反応レドックス剤を除去した後、ア
ノード化合物を、次にカソード化合物と組み合わせる前
に、単離することもできる。
【0009】ここでいうアノード化合物とは、エレクト
ロケミクロミック化合物を溶媒に溶解し、溶解したエレ
クトロケミクロミック化合物をレドックス剤と接触させ
て該エレクトロケミクロミック化合物の原子価状態を変
えることで該溶液中にアノード化合物を生成させること
によって製造された化合物を意味することを理解された
い。このアノード化合物はつぎの事実によって特徴づけ
られる。すなわち、その化合物は、溶解されたエレクト
ロケミクロミック化合物がレドックス剤と接触させられ
る前に有していた原子価状態とは異なる原子価状態を有
しているという事実である。このアノード化合物は溶液
中にそのまま残しておいてもよいし、溶液から単離して
よく、後にカソード化合物と組み合わせてエレクトロケ
ミクロミック溶液を形成するために使用される。本発明
の新規性は、最初にアノード化合物を前処理する点にあ
る。この前処理によってその原子価状態とそのレドック
ス電位が変化させられ、その結果として該前処理された
アノード化合物が、その溶液中に組み合わせて入れられ
るカソード化合物よりもさらに陽性のレドックス電位を
もつことになるのである。
【0010】上記した利点に基づき、本発明によるエレ
クトロケミクロミック溶液ならびにその製造方法および
使用方法は本エレクトロケミクロミック溶液を含有する
装置の製造においてきわめて高い有用性を示す。この溶
液を使用して製造される装置はこの溶液の向上された発
色性能から多くの利点を提供される。その利点は装置を
透過する光の量に好影響を及ぼすばかりでなく、装置か
ら反射されるぎらぎらした輝き(グレア)の程度にも好
影響を与える。さらにその向上された発色性能は溶液に
導入される印加電位の大きさ、持続時間および極性を制
御することによって連続的に変化させることが可能であ
る。本発明による溶液を使用して製造される装置の具体
例としてはつぎのようなものが考慮される:ミラー類、
たとえば、乗物、建築物のミラーあるいは展望鏡、歯科
用鏡などの特殊ミラーなど、グレージングたとえば、
窓、サンルーフ、サン、バイザーまたは日よけバンドな
どのような乗物用、あるいは建築物用、航空機用グレー
ジングプライバシーまたは安全用仕切り、情報ディスプ
レー、光減衰コントラストフィルター、レンズなど。本
発明のさらなる特徴は、図面を参照することにより、以
下の詳細な説明の記載からさらに良く理解されるであろ
う。
【0011】詳細な説明に先立って、本明細書で使用さ
れる用語の定義を記載する。なお、ここで使用されてい
る用度ならびに表現は単に説明のために使用されている
ものであり、本発明の範囲を制限するためのものでない
ことを理解されたい。”アノード化合物”とは、酸化に
よりその原子価状態が変化した時に可逆的に色が変化し
うる化合物を意味する。特に別途記載のない限り、アノ
ード化合物とは、エレクトロケミクロミック化合物をレ
ドックス剤で最初に前処理することによって生成された
アノード化合物、ならびに、かかる処理によって生じた
アノード化合物とそのような有用性付与のためのレドッ
クス前処理を必要としないアノード化合物との組み合わ
せを包含するものと理解されたい。”消色(ブリーチン
グ)”とは(1)印加電位の除去、(2)ゼロ電位の印
加あるいは(3)工程(1)または(2)のいずれかを
実施する前に印加電位の極性を一時的に逆転させる、の
いずれかの工程を意味し、エレクトロケミクロミック化
合物をそれぞれその実質的に無色な原子価状態にもどす
ための積極的工程を指す。
【0012】”カソード化合物”とは還元によりその原
子価状態が変化した時に可逆的に色が変化しうる化合物
を意味する。”発色”あるいは”変色”とはエレクトロ
ケミクロミック溶液が透過光量を減少させ、それによっ
てその溶液に最初に存在していた色と異なる色を生じさ
せるか、あるいは、最初の色を喪失させ得るエレクトロ
ケミクロミック溶液の能力を意味する。したがって、発
色という場合は、最初の実質的に無色の状態からの発色
を意味する場合も、最初の着色状態の色から実質的に別
の色への変色を意味する場合もある。もちろん、各種の
アノード化合物およびカソード化合物が、単独でまたは
組み合わさって、それら化合物を含有する溶液に導入さ
れた印加電位によって各化合物の原子価状態が変えられ
た時に、各種の色スペクトルを生じることができるとい
うことを理解されたい。”エレクトロケミクロミック化
合物”とは上記に定義したようなアノード化合物あるい
はカソード化合物を意味する。”エレクトロケミクロミ
ック溶液”とは少なくとも1種のエレクトロケミクロミ
ック化合物を含む溶液を意味する。
【0013】”虹彩効果”とは溶液を入れたセルに印加
電位が導入された時に、エレクトロケミクロミック溶液
が不均一に発色し、または消色するのが観察されること
をいう。この現象は典型的にはエレクトロケミクロミッ
クセルの基板の表面に存在する透明伝導性コーティング
の面を横断する電位落下によるものである。この電位落
下のため電流が溶液内を通過する時に印加電位が母線の
近傍で最高となりそしてそのセルの中心で最低となる。
したがって、母線が位置している、すなわち、印加電位
がエレクトロケミクロミック溶液に接触しはじめる点に
最も近いセルの周辺部で発色が始まりそしてその後セル
の中心に向かって発色していくこととなるので、かかる
溶液は一般に非均一な発色を呈示し、特に驚くべきこと
ではない。”レドックス剤”とはエレクトロケミクロミ
ック化合物の原子価状態を変えることのできるあらゆる
物質あるいは手段を意味する。たとえば、これはエレク
トロケミクロミック化合物に働くレドックス電位に適合
するレドックス電位を有している還元剤または酸化剤で
ある。より詳細には、レドックス剤が還元剤である場合
には、その剤は還元される化合物よりも低いレドックス
電位を有していなければならず、これによって還元が進
行する。逆に、レドックス剤が酸化剤である場合には、
その剤は酸化される化合物よりも高いレドックス電位を
有していなければならず、これによって酸化が進行す
る。エレクトロケミクロミック化合物の原子価状態を変
えるための手段としては、電気化学的手段が適当であ
る。
【0014】”応答時間”とは溶液として存在するエレ
クトロケミクロミック化合物が実質的に無色の原子価状
態から着色した原子価状態に変化するまであるいはその
逆に(消色の場合)変化するまでに要する時間の長さを
意味する。あるいはまた、応答時間はエレクトロケミク
ロミック化合物がある1つの色を帯びている原子価状態
から、その色とは実質的に相違する別の色を帯びる原子
価状態へ変化するまでに要する時間の長さを意味する。
この時間はそのエレクトロケミクロミック溶液中に存在
する成分の特定の物理的特性ならびに濃度により、かつ
またそのエレクトロケミクロミック装置の作動条件と物
理的構成によってしばしば変化するであろう。さらに、
応答時間は溶液発色と溶液消色の2つの逆のプロセスで
同じでない場合があり得、そして同じでないことがむし
ろ多い。”原子価状態”とは与えられたエレクトロケミ
クロミック化合物の酸化または還元の状態をいう。この
点について、変えられた原子価状態とは単に原子価状態
の変更のみを指す。すなわち、1つまたはそれ以上の電
子を得ること(還元)はそのエレクトロケミクロミック
化合物の原子価状態を低くすることであり、1つまたは
それ以上の電子を失うこと(酸化)は原子価状態を高く
することである。”自動消色”とは印加電位が溶液から
除かれた時、溶液の色が実質的に自発的に消える、すな
わちち、光透過率が自然に上昇することを意味する。こ
の現象は酸化されたアノード化合物と還元されたカソー
ド化合物とが自発的に反応してそれら独自の原子価状
態、すなわちほとんど色を呈しないまたは実質的に無色
であるような原子価状態のアノード化合物とカソード化
合物とを与えることによってもたらされるものである。
【0015】本発明によれば、アノード化合物とカソー
ド化合物はそれぞれ1種以上のエレクトロケミクロミッ
ク化合物を含有しうる。さらに、アノード化合物を構成
するエレクトロケミクロミック化合物の種類数はカソー
ド化合物を構成するエレクトロケミクロミック化合物の
種類数と無関係であるが、アノード化合物とカソード化
合物が別々のエレクトロケミクロミック化合物を同じ種
類数含有している場合を否定するものではない。これ
は、アノード化合物またはカソード化合物を構成する各
種エレクトロケミクロミック化合物の種類数が、選択さ
れたそれら各エレクトロケミクロミック化合物の同一性
に依存するものではないことを単に示しているに過ぎな
い。以上の説明を念頭において、レドックス剤と接触さ
せる前のアノード化合物は下記式によって表される化合
物のクラスから選択することができる。
【化45】
【0016】(式中、AはO,SまたはNRR1であり、
ここでRとR1は互いに同種または異種であり、それぞれ
Hおよび約1乃至約6個の炭素原子を有する直鎖または
分枝鎖アルキル部分、たとえば、CH3, CH2CH3, CH2CH2C
H3, CH(CH3)2などからなる群より選択されうるが、ただ
しAがNRR1である場合は、QはH,OHまたはNRR1
を意味し、またAがNRR1である場合は塩が結合してい
てもよく、さらにまたAとQの両者がNRR1である場
合、AとQは同じ官能基である必要はないが同じ官能基
であってもよく、;DはO,S,NR1またはSe であ
り;EはR1,COOHまたはCONH2 であるか;ある
いはEとTは一緒になって、それらが結合している環炭
素原子を含めて、6個の環炭素原子を有する芳香族環を
形成しており;GはHであり;JはH、約1乃至6個の
炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル部分、たと
えば、CH3, CH2CH3, CH2CH2CH3, CH(CH3)2など、NR
R1、NRC(=O)R1、OR1、フェニル、2、4−ジヒ
ドロキシフェニルまたはハロゲンを意味するか;また
は、GとJは一緒になって、それらが結合している環炭
素原子を含めて、6個の環炭素原子を有する芳香族環を
形成しており;LはHまたはOHであり;MはHまたは
ハロゲンであり;TはR1、フェニルまたは2、4−ジヒ
ドロキシフェニルであり;またQはH,OHまたはNR
R1を意味するが、ただしLとQがOHである場合、Lと
Qはその塩であることもできる。)
【0017】塩としては、リチウム、ナトリウム、カリ
ウム等のアルカリ金属塩を挙げることができるが、これ
らに限定されない。さらに、AがNRR1である場合に
は、テトラフルオロホウ酸塩(BF4 -)、過塩素酸塩(Cl
O4 -) 、トリフルオロメタンスルホン酸塩(CF3SO3 -) 、
ヘキサフルオロリン酸塩(PF6 -)、酢酸塩(Ac-) またはハ
ロゲンと結合していることができる。さらに、この化学
式中の環窒素原子はN−酸化物として存在していること
もできる。あるいはまた、レドックス剤と接触させる前
に、アノード化合物は下記式によって表される化合物の
クラスから選択することができる。
【化46】 (式中、XとYは互いに同種または異種であり、それぞ
れH、ハロゲンおよびNRR1からなる群より選択され
(ここでRとR1は同種または異種であり、それぞれHお
よび約1乃至約3個の炭素原子を有する直鎖または分枝
鎖アルキル部分からなる群より選択されうる)るか、あ
るいはXとYは一緒に、それらが結合している環炭素原
子を含めて、6個の環炭素原子を有する芳香族環を形成
しており;またZはOHまたはNRR1あるいはそれらの
塩を意味する。)
【0018】好ましくは、レドックス剤と接触させる前
の、式Iによって表されるアノード化合物は下記式によ
って表される化合物のクラスならびににそれらの塩から
なる群から選択される:
【化47】
【化48】
【化49】
【化50】
【0019】さらに、レドックス剤と接触させる前の、
式IIによって表される好ましいアノード化合物の例は下
記式の化合物ならびにその塩である。ただし、これに限
定されるものではない。
【化51】
【0020】レドックス剤と接触させる前の、特に好ま
しいアノード化合物はMVTB(X)、MPT(XII)、
PT(XI)およびPOZ(XIV) である。レドックス剤と接
触させる前の最も好ましいアノード化合物はMVTB
(X)とMPT(XII)である。
【0021】本発明により製造されるアノード化合物は
溶液のままにしておき、後でカソード化合物と組み合わ
せることができるが、カソード化合物と組み合わせる前
にアノード化合物を溶液から単離することもできる。単
離するのが好ましいアノード化合物はMPTである。こ
の化合物は本発明にしたがって還元し、そのあと溶液中
でカソード化合物と組み合わせる前に白色沈殿として単
離することができる。この還元されたMPT(”RMP
T”)[XII(a)]は下記化学式で表される2−メチル−3
−ヒドロキシフェノチアジンであると考えられる。
【化52】 還元と単離の詳細な操作については後記の実施例19
(A)を参照されたい。
【0022】レドックス剤と接触させた後、構造式Iま
たはIIによって表される化合物または両者の組み合わせ
による1つまたはそれ以上のアノード化合物をレドック
ス剤で前処理する必要のない他のアノード化合物と任意
の割合で組み合わせて有利に使用することもできる。前
処理を必要としないアノード化合物は本明細書に教示さ
れており、たとえば、5、10−ジヒドロ−5、10−
ジメチルフェナジン(”DMPA”)である。かかる組
み合わせにより本明細書に記載されている好結果が得ら
れる。さらに加えて、本発明のエレクトロケミクロミッ
ク溶液中にこのようなアノード化合物の組み合わせを使
用すると、単独のアノード化合物を使用したエレクトロ
ケミクロミック溶液の場合に比較して比色的に明瞭な変
化が表示される。このような想定される組み合わせの中
でとりわけ好ましいものはRMPT[XII(a)](本発明に
より還元されたもの)とDMPAとの組み合わせであ
る。このような組み合わせにおける配合比(構造式Iま
たはIIによって表される本発明によるエレクトロケミク
ロミック化合物と、レドックス剤による前処理を必要と
しないアノード化合物との比率は)は約99:1(モル
/モル)乃至約1:99(モル/モル)の範囲で選択し
うる。RMPTとMPT[XII(a)]の2:1(モル/モ
ル)の比率の組み合わせが特に好ましい。
【0023】カソード化合物も適当に選択されなければ
ならない。カソード化合物は下記式によって表される化
合物のクラスおよびそれらの組み合わせから選択するこ
とができる。
【化53】
【0024】(式中、R2とR3は同種または異種でありう
るものであって、それぞれH、約1乃至6個の炭素原子
を有する直鎖状または分枝状アルキル部分、直鎖状また
は分枝状のアルキルフェニルまたはアルコキシフェニル
(ここでそのアルキルまたはアルコキシ部分は約1乃至
約6個の炭素原子を含有することができる)からなる群
から選択することができ:XはBF4 -、ClO4 - 、CF3SO
3 - 、PF6 -、Ac- またはハロゲンを意味する。)
【0025】カソード化合物を表す上記化学式中のR2
R3は好ましくはそれぞれCH2CH3である。したがって、X
がClO4 - である場合、好ましいカソード化合物はエチル
ビオロゲン過塩素酸塩(EVClO4) である。
【0026】本発明においてアノード化合物の前処理の
ために使用されるレドックス剤は、かかるアノード化合
物の原子価状態を変えることのできる多数の物質の中か
ら選択することができる。限定する意図はないが、レド
ックス剤はそれと接触されるエレクトロケミクロミック
化合物と適合性のあるすなわちコンパーティブルなレド
ックス電位を有しているべきである。レドックス剤は任
意の物理的形状、たとえば、固体、液体または気体の形
状でありうるが、取扱いと使用の容易性から、固体レド
ックス剤が一般に好ましい。さらに、微細粒子サイズ、
たとえば、約50乃至400メッシュの固体レドックス
剤が大きい表面積を与えるという理由から好ましい。気
体レドックス剤が使用される場合は、これはアノード化
合物の溶液内に、たとえば、その気体状レドックス剤を
エヤーストーン分散器を通じて泡立てることによって導
入するのが有利である。
【0027】選択されたレドックス剤が還元剤である場
合、適当な還元剤として下記の物質が非限定的例示され
る。亜鉛、アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、塩
化バナジウム(III)、酢酸クロム(II) 、二酸化硫黄、
およびこれらの任意の組み合わせ。ただし、特に好まし
い還元剤は亜鉛である。還元剤として電気化学的手段が
選択される場合、負の電気化学的電位を与えることので
きる常用の電気化学装置を使用することができる。
【0028】本発明に使用されるレドックス剤は酸化剤
であってもよい。この場合の、適当な酸化剤の例を非限
定的に記載すれば、空気、酸素、過硫酸ナトリウム、M
VTB(X)、PT(XI)、MPT(XII)、BMPT(XI
II)、POZ(XIV)、APOZ(XV)、AAPOZ(XV
I)、MPOZ(XVII)、BPOZ(XVIII)、HPOZ(X
IX)、KEPA(XX)、AA(XXI)、AB(XXII)、A
C(XXIII)、MB(XXIV)、TH(XXV)、DCI(XXV
I)さらにはXXVIIXXVIII またはXXIXのごとき還元さ
れたカソード化合物ならびにそれらの組み合わせなどで
ある。さらにまた酸化剤として電気化学的手段が選択さ
れる場合、正の電気化学的電位を与えることのできる常
用の電気化学装置を使用することができる。
【0029】上記したアノード化合物およびカソード化
合物を溶解するために選択される溶剤はそれら化合物な
らびに最初からそのエレクトロケミクロミック溶液に存
在している他の成分あるいは後から副生成物として生成
される成分に対して実質的に不活性であり、これらエレ
クトロケミクロミック化合物が関与して起こる電気化学
反応に干渉しないものでなければならない。このために
選択される溶剤はアノード化合物およびカソード化合物
を、それらがそれぞれの基底原子価状態にある時にも、
変更された原子価状態にある時にも、あるいはまた2つ
のエレクトロケミクロミック化合物が同じ原子価状態で
はない、たとえば、基底状態と高エネルギー準位状態あ
るいは別々の高エネルギー準位状態にある場合でも、そ
れら化合物を溶解しうるものでなければならない。した
がって、本発明のエレクトロケミクロミック溶液のため
の溶剤を選択する場合は異なる原子価状態で存在する異
なるエレクトロケミクロミック化合物についての異なる
溶解度レベルを考慮する必要がある。さらに、その溶剤
は本エレクトロケミクロミック溶液の製造、使用および
貯蔵の間均質状態を維持するものでなければならない。
他方、選択される溶剤はエレクトロケミクロミック溶液
の成分あるいはその副生成物を溶液から塩析させたり沈
殿させたりするものであってはならない。このような塩
析または沈殿が生じた場合にはエレクトロケミクロミッ
クセルの外観ならびに表示効果が損なわれる。したがっ
て明らかに本発明の装置にとって不都合である。
【0030】本発明の別の特徴として、エレクトロケミ
クロミック溶液に使用するために適当であるものとして
上記に例示した溶剤中から異なる溶剤を選択して、エレ
クトロケミクロミック化合物に印加電位が導入された
時、同じ一対のエレクトロケミクロミック化合物からの
発色の色または色相に影響を及ぼすことができる。以上
の点を考慮すると、本発明のエレクトロケミクロミック
溶液を使用して製造された装置が置かれるであろうすべ
ての温度範囲にわたって液体の状態を保持する溶剤を使
用するのが適当である[排他的でなくかかる適当な溶剤
をあげれば、たとえば、同一人に譲渡された目下係属中
の米国特許出願第07/456164号(1989年12月22
日出願)および第07/458969号(1989年12月29
日出願)の明細書に記載されているものである]。さら
に特定的にいえば、その溶剤は電解ならびにその他本発
明の実施の間に遭遇するであろう現象に対して安定なも
のであるべきである。
【0031】上記したような溶剤はいずれも適当である
が、下記の群から選択される溶剤が好ましい:アセトニ
トリル、3−ヒドロキシプロピオニトリル、メトキシプ
ロピオニトリル、3−エトキシプロピオニトリル、2−
アセチルブチロラクトン、プロピレンカーボネート、シ
アノエチルスクロース、γ−ブチロラクトン、2−メチ
ルグルターロニトリル、N,N’−ジメチルホルムアミ
ド、3−メチルスルホラン、グルターロニトリル、3、
3’−オキシジプロピオニトリル、メチルエチルケト
ン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ベンゾイル
アセトン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノ
ン、アセトフェノン、2−メトキシエチルエーテル、ト
リエチレングリコールジメチルエーテル、ならびにこれ
らの組み合わせ。
【0032】これらのグループの中でも特に好ましいの
は3−エトキシプロピオニトリルと2−アセチルブチロ
ラクトンとの約50:50、75:25または80:2
0の比率(v/v)の混合物および3−エトキシプロピ
オニトリルと2−アセチルブチロラクトンとシアノエチ
ルスクロースとの約55:15:30の比(v/v)の
混合物である。
【0033】その他の特に好ましい溶剤をあげれば以下
のものである:プロピレンカーボネートと氷酢酸の混合
物、3−ヒドロキシプロピオニトリルと氷酢酸の混合
物、3−グルターロニトリルと氷酢酸の混合物、3、
3’−オキシジプロピオニトリルと氷酢酸の混合物、3
−メチルスルホンと氷酢酸の混合物、プロピレンカーボ
ネートとシアノエチルスクロースと氷酢酸との混合物
等。特に好ましいものとしては下記の組み合わせがあげ
られる:3−ヒドロキシプロピオニトリルとグルターロ
ニトリルと氷酢酸との約74:25:1および49.
5:49.5:1(v/v)の混合物;3−ヒドロキシ
プロピオニトリルと3,3’−オキシプロピオニトリル
と氷酢酸との約69:30:1(v/v)の混合物;プロピ
レンカーボネートと氷酢酸の約99.5:0.5,9
9:1,98:2および97:3(v/v)の混合物;
プロピレンカーボネートとシアノエチルスクロースと氷
酢酸約との約74:25:1および64:35:1(v
/v)の混合物。本明細書に例示された溶剤の中で最も
好ましいものはプロピレンカーボネートと氷酢酸との約
99:1乃至約97:3(v/v)の混合物である。そ
して、組み合わせ中、溶剤の全量の何パーセント分とし
て氷酢酸または酸性溶剤成分を添加することができる。
【0034】このような酸性成分は最初の前処理反応す
なわちレドックス剤とアノード化合物との間の反応を触
媒するのみならず、前処理されたアノード化合物が、ア
ノード化合物とカソード化合物が最初に溶液中で組み合
わされた時に、レドックス剤としてそのカソード化合物
に作用するのを抑制するためにも役立つ。カソード化合
物がアノード化合物よりも大きい陰性レドックス電位を
有している場合は、これら化合物は酸性溶剤を存在させ
ることなく使用することができる。いずれにせよ、酢酸
以外にも、任意の酸性溶剤成分が、それが実質的に無水
であることおよびそれが本発明にかかわるエレクトロケ
ミクロミック化合物に対して化学的かつ電気化学的に不
活性であることを条件として、使用することができる。
たとえば、ハロゲン化水素の溶液、過塩素酸塩、2−ア
セチルブチロラクトン、3−ヒドロキシプロピオニトリ
ルならびにこれらの組み合わせを使用することができ
る。あるいはまた、非酸性溶剤を酸性にするためにクエ
ン酸溶液や安息香酸溶液のごとき弱酸性有機酸を酸性溶
剤として添加することができる。さらにまた、三フッ化
ホウ素のごときルイス酸も有利に使用することができ
る。その他の適当な酸性溶剤の例については、たとえ
ば、Lange's Handbook of Chemistry,table 5-8, J.A.D
ean 編 、 13 版、 McGrawhill Co., New York(1985)が参
照される。一般的にいえば、溶剤はアノード化合物に着
目し、変更された原子価状態にあるアノード化合物がカ
ソード化合物と共に溶液中にある時、そのアノード化合
物がカソード化合物よりも大きいレドックス電位を有す
るようよう選択すればよい。
【0035】溶剤の酸強度はアノード化合物のレドック
ス電位をカソード化合物よりも大きい陽性値とするのも
のであれば十分である。少なくとも二成分系溶剤が使用
される場合、選択された酸性度の高い方の成分の量は約
0.01乃至約75%(v/v)の範囲が好ましい。しかし
ながら、氷酢酸がその酸性成分として選択された場合は
約0.5乃至約5%(v/v) の量であるのが好ましい。た
だし留意すべきは、エレクトロケミクロミック溶液中の
溶剤の酸強度が高くなればなるほど溶液の発色スペクト
ルの変動を起こしやすい、あるいは、発色の色濃度の変
動を招きやすいことである。好ましくは酸性溶剤の存在
下でレドックス剤を使用してアノード化合物の原子価状
態を変える方法のほかに、電気化学的手段を使用してア
ノード化合物の原子価状態を変えることも可能である。
この電気化学反応は、プラチナ電極などの作動電極を具
備した常用のマルチコンパートメント電気化学セルを使
用して、酸性溶剤成分を存在させてあるいは存在させな
いで、実施することができる。
【0036】本発明によるエレクトロケミクロミック溶
液にはその他成分を添加することができる。たとえば、
紫外線安定化剤、電解物質またはこれらの組み合わせを
添加することができる。ただしこれだけに限定されるも
のではない。多くのエレクトロケミクロミック化合物、
特にアノード化合物は約250nmから約350nmま
での紫外領域で実質的紫外線吸収性を示すから、多くの
場合エレクトロケミクロミック化合物を紫外線照射から
遮蔽するのが望ましい。すなわち、本エレクトロケミク
ロミック溶液に紫外線安定化剤を導入する、かまたは紫
外線吸収剤として働く溶液を導入することによって、エ
レクトロケミクロミック溶液の寿命を延ばすことができ
る。エレクトロケミクロミック溶液中に存在する成分に
対して不活性でありかつそのエレクトロケミクロミック
溶液のあらゆる作動条件のもとで安定なものであれば、
紫外線を吸収し、それによってエレクトロケミクロミッ
ク溶液中に存在する成分の紫外線崩壊を防止または遅延
させることのできる公知の任意に物質を紫外線安定化剤
として使用することができる。しかし好ましくは下記の
ごとき紫外線安定化剤が使用される。”UVINUL4
00”[2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン(BASF
Wynd-otte Corp., Wyandotte, Michigan,によって製造
されている)],”UVINUL D−49”[2,
2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェ
ノン(BASF Wyandotte Corp., Wyandotte, Michigan,に
よって製造されている)],”UVINUL N-539”
[2−エチル−ヘキシル−2−シアノ−3、3’−ジフ
ェニルアクリレート(BASF Wyandotte Corp., Wyandott
e, Michigan,によって製造されている)],”TINU
VIN P”[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−
イル)−4−メチルフェニル(Ciba Geigy Corp., Hawt
horne, New York,によって製造されている)],”TI
NUVIN 327”[2−(3’,5’−ジ−t−ブチル
−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリ
アゾール(Ciba Geigy Corp., Hawthorne,New York,に
よって製造されている)],”TINUVIN 328”
[2−(3’,5’−ジ−n−ペンチル−2’−ヒドロ
キシフェニル)-ベンゾトリアゾール(Ciba Geigy Cor
p., Hawthorne, New York,によって製造されてい
る)],”CYASORB UV24”[2、2’−ジ
ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン(American
Cyanamide Co., Wayne, New Jersey,によって製造され
ている)],アクリレートおよび常用アクリレート誘導
体、ベンゾトリアゾールおよび常用ベンゾトリアゾール
誘導体、ベンゾフェノンおよび常用ベンゾフェノン誘導
体、当技術分野で公知の各種立体障害アミン錯塩、なら
びに上記の物質の組み合わせ。
【0037】実際上、最も好ましい紫外線安定化剤は”
UVINUL400”でありそして約0.1乃至約15
%(w/v)の範囲で使用するのが適当である。好まし
い使用量範囲は約5乃至矢Kう12%(w/v)であ
る。本発明によるエレクトロケミクロミック溶液には溶
液を通る電流の伝導を促進するため、特にそのエレクト
ロケミクロミック溶液のエレクトロケミクロミック化合
物あるいは他の溶液がいずれもイオン状態で存在してい
ない場合に、電流の伝導を促進するために電解物質を添
加することもできる。この物質はそれら成分に対して不
活性でありかつ本エレクトロケミクロミック溶液の作動
されるすべての条件で安定な多数の公知物質から選択す
ることができる。好ましい電解物質を例示するれば以下
のものである:テトラエチルアンモニウム過塩素酸塩、
テトラブチルアンモニウムテトラフルオロホウ素酸塩、
テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロリン酸塩、テ
トラブチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸
塩、およびこれらの任意の組み合わせ。テトラブチルア
ンモニムヘキサフルオロリン酸塩ならびにテトラエチル
アンモニム過塩素酸塩が最も好ましい。本発明において
使用可能なすべての電解物質について適切な使用量を特
定記載することは無用であるが、電解質としてテトラブ
チルアンモニムヘキサフルオロリン酸塩が使用される場
合について言えば、エレクトロケミクロミック化合物の
濃度と等モル乃至約5倍モルの濃度で使用するのが好ま
しい。
【0038】以下、本発明の要点の理解を助けるため本
エレクトロケミクロミック溶液の製造方法およびその溶
液を使用して製造された装置すなわちエレクトロケミク
ロミックデバイスについて具体的に説明する。ただし、
これは本発明の1つの好ましい実施例を示すものであっ
て、本発明を限定するものではない。まず、MVTB
)、MPT(XII) 、PT(XI)、POZ(XIV)な
どのアノード化合物は最初はレドックス剤と接触されて
到達する原子価状態よりも高次の原子価状態で供給され
てくる。このアノード化合物を上記に例示したような溶
剤、たとえば3−エトキシプロピオニトリルと2−アセ
チルブチロラクトンの約80:20(v/v)の混合物
に溶解すると化合物の着色溶液が形成される。得られた
溶液をつぎにレドックス剤、特に亜鉛のごとき還元剤と
接触させる。これによりそのアノード化合物は低次の原
子価状態に還元されそして溶液の色は薄くなる。この還
元により、アノード化合物に少なくとも1つの電子を獲
得させそして還元されたアノード化合物を含有する溶液
の色を実質的に失わせる。
【0039】好ましいレドックス剤は本発明のエレクト
ロケミクロミック溶液に使用された好ましい溶剤に実質
的に不溶解性である。すなわち、アノード化合物に作用
するのに十分なだけ難溶性であり、濾過、デカント等の
常用分離手段によって容易に除去できるものでなければ
ならない。レドックス剤が使用された溶剤に実質的不溶
性であることには別の利点もある。すなわち、レドック
ス剤とアノード化合物とをまず水に溶解そしてレドック
ス反応が行われた後、そのアノード化合物(この時には
変更された原子価状態である)をその水溶液から実質的
に水と非混和性のエレクトロケミクロミック溶剤を使用
して抽出することができる。また、別の実施態様では、
レドックス剤は実際上使用された溶剤に可溶性であって
もよい。ただし、そのレドックス剤が他の公知分離手段
たとえば遠心分離、沈殿、抽出、分留、浸透、真空など
によって容易に分離除去できることを条件とする。一般
に不溶性レドックス剤をモル過剰に使用するのが好まし
いが、可溶性レドックス剤が使用される場合には、それ
をほぼ化学的当量だけ使用し、過剰のレドックス剤が残
存しないようそして溶液中に存在するエレクトロケミク
ロミック化合物のその後の反応の邪魔にならないように
するべきである。
【0040】本発明で使用されるレドックス剤は典型的
には還元剤であるが、本発明の範囲内で酸化剤を使用す
ることもできる。この場合には、エレクトロケミクロミ
ック化合物は酸化剤と接触されてその原子価状態が変え
られる。すなわち、酸化剤と接触される前の原子価状態
よりも高次の原子価状態をその化合物はとる。たとえ
ば、その還元された着色状態のEVCl O4 のごときビ
オロゲン化合物を使用することができる。この化合物の
溶液に空気または酸素のごとき酸化剤を気泡流として導
入することができる。これにより還元されていたビオロ
ゲン化合物は酸化されてその実質的に無色な状態にな
る。したがって、これはカソード化合物として働く。こ
のあと、過剰の酸化剤を除去する。気体酸化剤が使用さ
れた場合には真空の使用すなわち負圧の印加によって、
あるいは不活性ガスの気泡流を導入して溶液から過剰の
気体酸化剤を追い出す。この場合には、そのあとで溶液
にアノード化合物または複数のアノード化合物の混合物
を添加することができる。未反応の残存レドックス剤が
存在する場合は、それを除去した後、アノード化合物が
溶液に加えることができる。選択されたアノード化合物
またはアノード化合物の組み合わせは溶剤中でその溶剤
中のカソード化合物のレドックス電位よりも大きいレド
ックス電位を有していなければならない。溶液の中にこ
れら2種のエレクトロケミクロミック化合物が配合され
ると、これら化合物は両者協調してレドックス指示薬と
同様に働く。
【0041】アノード化合物とカソード化合物(両者共
最初はそれぞれ実質的に無色またはわずかに着色した形
で通常は溶液として存在する)は溶液中でその全エレク
トロケミクロミック化合物の濃度が約0.005乃至約
0.5モル、好ましくは約0.04モルのレベルに到達
しなければならない。全アノード化合物と全カソード化
合物との割合は約5:1乃至約1:5の範囲でありう
る。好ましくは約1:1の割合である。さらに、上記し
たように、本発明においては、エレクトロケミクロミッ
ク溶液中に存在するアノード化合物が互いに異なる複数
のアノード化合物から構成される場合およびカソード化
合物が互いに異なる複数のカソード化合物から構成され
る場合、あるいはまた場合によっては、本発明の1つの
エレクトロケミクロミック溶液中に異なる複数のアノー
ド化合物および異なる複数のカソード化合物が同時に使
用される場合も包含される。したがって、上記した使用
量の範囲はこれの場合も包含していることを理解された
い。
【0042】さらに、カソード化合物がレドックス剤と
接触されてその原子価状態を変えられることも本発明の
範囲内で考慮される。この化合物(原子価状態を変えら
れたもの)がつぎにアノード化合物(または本発明に関
して有用とするためにレドックス剤前処理を必要としな
いアノード化合物を含めた複数のアノード化合物の組み
合わせ)を含有している溶液に導入される。この実施態
様の場合、アノード化合物はその基底原子価状態ある
か、または、安定な平衡に達する原子価状態よりも低次
の原子価状態にある。たとえば、カソード化合物がEVCl
O4である場合、これを溶液に入れそしてレドックス剤、
たとえば、還元剤と接触させてその原子価状態を変え、
これにより濃厚な色を帯びた溶液を得ることができる。
このあと、アノード化合物の溶液、この場合では、MV
TB(X)、PT(XI)、MPT(XII)、BMPT(XII
I)、POZ(XIV)、APOZ(XV)、AAPOZ(XV
I)、MPOZ(XVII)、BPOZ(XVIII)、HPOZ(X
IX)、KEPA(XX)、AA(XXI)、AB(XXII)、A
C(XXIII)、MB(XXIV)、TH(XXV)、DCI(XXV
I)あるいはこれらの組み合わせ、あるいは上記のごと
きレドックス前処理を必要としないアノード化合物との
組み合わせの溶液が、還元されたカソード化合物を含有
している溶液に滴下により添加される。しかして、その
化合物自体がレドックス剤として、すなわち、酸化剤と
して働き、還元されたカソード化合物を酸化し(滴定量
まで)そして、その化学量論的量の終点において、実質
的に無色の溶液を形成する。このようにして、両エレク
トロケミクロミック化合物は、この実施態様の場合に
も、両者協調してレドックス指示薬と同様な挙動で働
く。このようにして得られたエレクトロケミクロミック
溶液は上記したようにエレクトロケミクロミック溶液と
して、印加電位を導入した時に発色することのできる装
置を製造するために使用することができる。
【0043】本発明の典型的実施態様においてはアノー
ド化合物とレドックス剤たとえば亜鉛のごとき還元剤と
を接触させた後、そのレドックス剤は実質的に溶液に残
存していない(可溶物としても不溶物としても)からし
て、カソード化合物はそれ自体還元状態になる(そして
次に変色する)ことなしに溶解されうる。他方、アノー
ド化合物は還元された状態、したがって実質的に無色の
状態にとどまることができる。すなわち、印加電位がこ
の溶液に導入されていない時には、アノード化合物は溶
液中に還元された実質的に無色の状態で存在し、そして
カソード化合物は溶液中に酸化された実質的に無色の状
態で、すなわち、最初にその溶液に導入された時と同じ
状態で存在する。本発明のエレクトロケミクロミック溶
液とその成分は無水窒素あるいは他の無水不活性気体
で、使用前、使用中および貯蔵中に洗浄することができ
る。これによって存在する酸素濃度および溶剤が非水性
である場合には存在する水を最低限まで減らすことがで
きる。本発明にとって所望されないものである上記のご
とき物質の含有濃度を低減および制限するためには公知
常用の技法を使用することができる。たとえば、無水窒
素ガスをエレクトロケミクロミック溶液に泡立てて通じ
ることによりその溶液中の酸素濃度を低下させることが
できる。さらにまた、溶剤または液体エレクトロケミク
ロミック成分を選択的または付加的にエレクトロケミク
ロミック溶液の製造の際に活性アルミナなどと接触させ
る方法を使用することもできる。固体のエレクトロケミ
クロミック化合物およびこのエレクトロケミクロミック
溶液の他の固体成分は使用前にそれらの直接の周囲温度
をおよそ110℃まであるいはそれら成分の融点温度ま
たは分解温度以下の温度まで上昇させることによって乾
燥することができる。この場合、適当な無水溶剤たとえ
ばトルエンを使用するAbderhalden 乾燥装置[Aldrich C
hemical Campany, Inc.,Milwaukee, Wisconsin (1986)
から市販されている]を利用することができる。本発明
による溶液中の酸素と水の濃度を低減または制限するた
めに使用しうる上記の技術を別にすれば、本発明の溶液
は従来公知の方法で、通常は常温で、単に適当量のエレ
クトロケミクロミック化合物、または上記したその他成
分を所望濃度まで上記した適当な溶剤に入れるだけで製
造することができる。
【0044】次に図1および図2を参照しながら本エレ
クトロケミクロミック溶液を含有するセルの動作を詳細
に説明する。図に見られるように、セル1は2枚の実質
的に平面のガラス基板2と3を包含している。この2枚
の基板は互いに実質的に平行に配置されている。この2
枚のガラス基板2と3は特にミラーの場合で、とりわけ
着色状態の時に見られる二重像の現象を回避するためで
きるだけ相互に接近平行して配置するのが好ましい。印
加電位源は迅速、鮮明かつ均質的な溶液の発色が観察さ
れるようにセル1に導入される必要があるから、印加電
位源は当技術分野で母線として公知の電導性帯にリード
線9によって接続することができる。母線8は銅、アル
ミまたは銀で構成することができる。これはガラス基板
2、3の各内面に付与された伝導性コーティング4に接
着される。母線8を接着するため伝導性コーティング4
に露出部分を設けることができる。コーティングされた
2枚のガラス基板2、3とシール手段5とによってセル
の中にはキャビティが形成されいる。複数の母線8は相
互に離隔された関係でかつ互いに向き合う2つの方向
で、すなわち基板の横方向でキャビティと平行な方向に
おいて相互に位置をずらして接着される。
【0045】上記したように、2枚のガラス基板2、3
のそれぞれの内側面に透明な伝導性コーティング4が付
与されいる。伝導性コーティング4は実質的に均一な厚
さでなければならいが、基板2の上のコーティングの厚
さと基板3の上のコーティングの厚さは互いに同じであ
っても異なっていてもよい。一般的にいって、この伝導
性コーティング4の厚さは約300乃至約10000Å
であり、その屈折率は約1.6乃至約2.2の範囲であ
る。好ましくは、セルに含有されているエレクトロケミ
クロミック溶液が発色した時のガラスの所望される表現
を考慮して、厚さが約1200乃至約2300Åそして
屈折率が約1.7乃至1約.9の範囲の伝導性コーティ
ング4を選択するのが好ましい。伝導性コーティング4
はすべての方向に高度で均一な伝導性を有し、溶液に印
加電位が導入された時に実質的に均質な応答を与えるも
のでなければならない。そして伝導性コーティング4は
エレクトロケミクロミック溶液の成分に対して不活性で
あり、溶液中に存在するエレクトロケミクロミック化合
物に先立って溶液の成分がアノード酸化またはカソード
還元することがないものでなければならない。
【0046】透明伝導性ガラス基板2、3のシート抵抗
は約1オーム/方形シート乃至約100オーム/方形シ
ートの範囲でありうる。約6オーム/方形シート乃至約
20オーム/方形シートの抵抗が好ましい。なお、IT
Oコートガラス基板はたとえば、Donnelly Corporatio
n, Holland, Michigan から市場で入手可能であり、ま
た、酸化スズコートガラス基板はLibbey-Owens-Ford C
o., LOF Glass Division,Toledo, Ohio, から下記のご
とき”TECガラス”製品として入手可能である:TE
C10酸化スズコートガラス(抵抗10オーム/方形シ
ート);TEC12酸化スズコートガラス(抵抗12オ
ーム/方形シート);TEC20酸化スズコートガラス
(抵抗20オーム/方形シート)。透明伝導性コーティ
ング基板は全波長型(FWと略す)(抵抗は約6オーム
/方形シート乃至8約オーム/方形シートである)、半
波長型(HWと略す)(抵抗は約12オーム/方形シー
ト乃至15オーム/方形シート)または半波グリーン型
(HWGと略す)(抵抗は約12オーム/方形シート乃
至約15オーム/方形シート)でありうる。これらのコ
ーティングされた透明伝導性ガラス基板の厚さはせいぜ
い約100乃至約200Åのバラツキが許容されるもの
として、FWの厚さは約3000Å、HWの厚さは約1
500ÅそしてHWGの厚さは約1960Åである。H
WGは約1.7乃至1.8の屈折率を有しそして約5/
8乃至約2/3波長の光学的厚さを有する。通常、HW
Gは印加電位がエレクトロケミクロミック溶液に導入さ
れた時の所望表現色が緑色であるようなエレクトロケミ
クロミックデバイス、特に鏡のような反射装置の場合に
選択される。伝導性コーティング4は同じ材料または異
なる材料から構成されうる。適当な材料の例は酸化ス
ズ、インジウムスズ酸化物(ITOと略称する)、IT
O全波、ITO半波、ITO半波グリーン、アンチモニ
ーをドープした酸化スズ、フッ素をドープした酸化スズ
アンチモニーをドープした酸化亜鉛、アルミニウムをド
ープした酸化亜鉛などである。ITOが好ましい。ただ
し、装置の紫外線安定性を考えた場合には、酸化スズま
たは酸化亜鉛が好ましい。
【0047】前述したように、互いに離隔配置された2
枚の透明伝導性ガラス基板2と3の間にはシール手段5
が置かれており、セルキャビティが形成されている。こ
のシール手段5はエレクトロケミクロミック溶液の成分
ならびに場合によってはそれから生じる副生成物に対し
て不活性な任意の材料から構成することができる。シー
ル手段の材料の例を非限定的に示せば以下のものであ
る:各種熱硬化性材料たとえばエポキシ樹脂またはシリ
コーン、各種熱可塑性材料たとえば可塑化ポリビニルブ
チラール、ポリ塩化ビニル、パラフィンワックス、イオ
ノマー樹脂、各種無機材料等。その他の適当なシール手
段の例は米国特許第4761061号(西山)に記載さ
れている。
【0048】シール手段5の厚さは約10乃至約100
0μmの範囲でありうる。しかし、好ましくは、約50
乃至約125μmである。このシール手段5の厚さはそ
のシール5によって2枚の透明伝導性ガラス基板2と3
の間に形成される空間、すなわちセルギャップの厚さを
決定する。すなわち透明伝導性ガラス基板2、3を相互
に離隔しているのはこのシール手段5である。さらに、
このシール手段5はエレクトロケミクロミック溶液がセ
ルキャビティから漏れるのを防止しまた周囲汚染物がセ
ルキャビティに侵入するのを防止することができる。シ
ール手段5の中にはセル1に溶液を充填するための小さ
な孔、たとえば、約2mm×1mm×150μmの孔を残し
ておくことができる。この充填孔を通じて常用の真空戻
し充填法(vacuum backfilling process)によりエレクト
ロケミクロミック溶液6をセルキャビティ内に入れるこ
とができる。真空戻し充填法では、空のエレクトロケミ
クロミックデバイスが減圧されいる、たとえば、約1m
mHgまたはそれ以下の内部圧を有するチャンバー内に
置かれる。溶液6の容器たとえば皿か小さなカップを同
じくその真空チャンバーに入れて、真空が充填孔を通っ
てセルキャビティを充たすようにする。このあと、装置
の充填孔を容器の液面のすぐ下まで下げる。チャンバー
を大気圧に通じると、溶液6は強制的にセルキャビティ
内に押し込まれ、しかして溶液の充填がなされる。
【0049】別の方法として、セルキャビティはつぎの
ようにして形成することもできる。すなわち、イオノマ
ー樹脂、可塑化ポリビニルブチラールなどから構成され
た1枚の熱可塑性シートを一方の透明伝導性ガラス基板
2の内面に置く。そしてこのシートをまずその透明伝導
性ガラス基板のほぼ外周縁に合わせて切り取る。つぎに
その熱可塑性シートの内部を透明伝導性ガラス基板2の
周縁に沿った縁部分のみを残して切り取る。この熱可塑
性シートを硬化させてシール手段5を形成するのである
が、その硬化前に、本発明によるエレクトロケミクロミ
ック溶液6を該一方の透明伝導性ガラス基板2の表面に
分配する。即座に他方の透明伝導性ガラス基板3を溶液
が逃げないように一方の基板2の上にかぶせる。しかし
て、2枚の透明伝導性ガラス基板2、3とその間に位置
する熱可塑性シートとによって、溶液6の充填されたセ
ルキャビティが形成されるのである。このようにして組
み立てたあと一時的に相互に締めつけておきそして約2
5乃至約120℃の温度の炉に入れて焼く。熱可塑性シ
ートが硬化してシール手段5が形成され、装置内に収容
されたセルの一体性が保持される。
【0050】以上のようにして装置が組み立てられ、溶
液が充填されたならば、装置に母線8を通じて印加電位
を誘導して溶液を発色させることができる。印加電位は
各種電源から、たとえば交流(AC)電源あるいは直流
(DC)電源など公知の電源から供給することができ
る。ただし、AC電源が選択される場合には、ダイオー
ドのような制御エレメントを電源と伝導性コーティング
4との間に配置し、両伝導性コーティング4間の電位差
が電源からの印加電位の極性の変動にともなって極性を
変えることがないようにする必要がある。適当なDC電
源は蓄電池、太陽熱電池ソーラーサーマルセル、光電池
あるいは光電気化学電池である。
【0051】これらの電源のいずれかから発生された印
加電位は約0.001乃至約5.0ボルトの範囲で溶液
に導入される。ただし、一般的には、約0.2乃至約
2.0ボルトの印加電位が好ましい。最も好ましいのは
約1乃至約1.5ボルトである。これによって電流が溶
液6を横切って流れ、エレクトロケミクロミック化合物
が酸化還元されて溶液の発色すなわち溶液を透過する透
過光量の変化が起こる。印加電位によって発生されそし
て伝導性コーティング4に送達される電流を制御する手
段を設けるのが好ましい。すなわち、溶液6全体に均等
に電位を分散すべき電流が不可逆的反応たとえば溶剤の
電解、不活性電解物質を含む酸化還元反応あるいはエレ
クトロケミクロミック化合物を劣化させるような反応が
起こるような電位差に達することがないように制御する
のである。このような伝導性コーティング4へ送られる
電流を制御する手段は手動または自動操作されうる。
【0052】本発明による溶液が製造されたなら、この
溶液をエレクトロケミクロミックセルを利用する各種の
装置の製造のために使用することができる。製造される
装置を例示すればつぎのようなものである。ミラーたと
えば乗り物用ミラー、建築用ミラー、特殊ミラーたとえ
ば展望鏡ミラーまたは歯科用ミラーなど;窓類たとえば
建築物または自動車用のグレージングたとえばサンルー
フ、天窓、日よけ板または遮蔽バンドなど;情報表示、
光学的減衰コントラストフィルター;プライベイト仕切
りまたは安全間仕切り;レンズなど。ミラー組立体をつ
くる場合には、一方の透明伝導性ガラス基板3の外側面
に反射性コーティング7を付与して鏡面を形成する必要
がある。この反射性コーティング7の厚さは約250乃
至約2000Åの範囲、好ましくは約1000Åまでの
範囲である。この反射性層のために適当な材料はアルミ
ニウム、パラジウム、プラチナ、チタン、クロム、銀、
ステンレススチールなどであり、銀が好ましい。このよ
うな金属薄膜をコーティングする代わりに、誘電材料の
薄いコーティング層を積層するかあるいは高反射率の単
一誘電層を形成して反射層として使用することもでき
る。反射性コーティング7は入射光を反射するのに役立
つのみならず、印加電位を電導性コーティング4に伝導
すためにも役立つ。窓、サンルーフなどをつくりたい場
合には、上記鏡組立体から反射性コーティング7のみを
省略すればよい。この場合は透明基板を透過した光をさ
らに反射させる必要はない。
【0053】また明らかなように、装置に含まれる2枚
の基板の一方のみが少なくとも実質的に透明であればよ
い。すなわち、他方の基板の伝導性コーティング4の面
が本発明によるエレクトロケミクロミック溶液6と接触
していれば、本発明の教示に従った1つの機能デバイス
が与えられる。詳細に述べれば、ミラーデバイスの場合
は、研磨金属板また金属コーティングガラス基板を使用
することができる。また表示デバイスの場合には、エレ
クトロケミクロミック溶液と物理的、化学的および電気
化学的に両立性がある材料であれば、伝導性セラミック
材料を適宜使用することができる。本発明の実施に関し
てしたミラー組立体と窓組立体との関係を上記において
説明したが、当業者には容易に理解されるように、”透
過率”とはたとえば、エレクトロケミクロミック窓組立
体内に含有されているエレクトロケミクロミック溶液を
通る光の量をいうものである。他方、”反射率”とは、
たとえば、エレクトロケミクロミックミラー組立体に含
有されているエレクトロケミクロミック溶液を通過し、
その後で一方のガラス基板の裏面に設けられた反射性コ
ーティングにより反射されそして最初と実質的に同じ方
向を戻って溶液を通過する光の量をいうものである。さ
らに、一方の透明伝導性ガラス基板2は透明接着剤で相
互に接着された少なくとも2つの透明パネルからなる積
層体であるのが好ましい。このようなラミネート構造を
使用すれば、ミラー組立体が衝撃によって破壊された時
にそのガラス基板2からガラス破片が飛散するのを少な
くできる。なお、ここで”ガラス”という言葉は本明細
書全体にわたってポリカーボネート、アクリル、ポリス
チレンのごとき光学プラスチック、強化ガラス、ラミネ
ートガラスなどをすべて包含することを意図して使用さ
れていることを理解されたい。
【0054】本エレクトロケミクロミックデバイスたと
えばミラー組立体または窓組立体ができ上がったら、こ
れを成形されたケーシングにはめ込むことができる。こ
のための成形ケーシングはあらかじめ型成形により作成
しておいてもよいし、また、組立体のまわりに射出成形
によって作成してもよい。射出成形は公知技術を使用し
てポリ塩化ビニルやプロピレンのごとき熱可塑性材料を
使用して実施することができる。あるいはまた、ポリウ
レタンや他の熱硬化性材料を使用して反応射出成形によ
ってケーシングを作成することもできる。このような技
術は当技術分野で公知である。なお、モジュールウイン
ドウカプセル化の技術に関しては、たとえば、米国特許
第4139234号(Morgan)および米国特許第4561
625号(Weaver)が参照される。
【0055】本明細書の中で挙げた参考文献については
本願明細書中でその技術が十分に引用されている。本発
明による溶液の発色の卓越した迅速性、鮮明性および均
質性ならびにエレクトロケミクロミック化合物の少なく
とも1つをレドックス剤で前処理することは従来公知の
エレクトロケミクロミック溶液にはなかったことであ
り、本発明を従来技術から明瞭に区別するものである。
本発明についての上記の説明から、本発明が幅広い実用
性を有していることが明らかである。以下の実施例では
本発明の利点および有用性がミラーに関して記載されて
いるが、本明細書の説明から同様の利点および有用性が
グレージングたとえば窓やサンルーフ、仕切り、情報表
示、光学的減衰コントラストフィルターあるいはレンズ
などにおいても得られることは明らかである。なお、エ
レクトロケミクロミック装置の実施例は本発明の実用性
を説明するためにのみ記載されたものであり、本発明を
限定するものではない。
【0056】本発明で使用される成分は、特に別途記載
のない限り、Aldrich ChemicalCompany, Inc., Milwauk
ee, Wiscosinあるいはその他の多くの化学品サプライヤ
ーから市場で入手可能である。実際に、本発明のいくつ
かのアノード化合物たとえばIVVIおよびXXVIはそ
れらのイオンの形で入手可能でありそして本実施例では
そのまま使用された。
【0057】MVTBの実施例 実施例1 本発明のエレクトロケミクロミック溶液と従来技術によ
るエレクトロケミクロミック溶液との発色均質性および
随伴虹彩効果に関する差異を示すため、2つの溶液を調
製しそしてそれらを図1と図2に示した構成の自動車室
内バックミラーに使用した。これらの銀鏡面ミラーはそ
れぞれ約80μmのセルギャップを有し、そして2枚の
ITOコーティングガラス基板は約8オーム/方形シー
トの抵抗を有するものであった。その概略寸法は6cm
x25cmx2mmである。第1のミラーの場合には、
共にプロピレンカーボネートに溶解されたEVClO4
(カソード化合物)0.02モルとDMPA(アノード
化合物)0.02モルを含有するエレクトロケミクロミ
ック溶液を充填した。第2のミラーの場合には、共にプ
ロピレンカーボネート約99%と氷酢酸約1%(v/
v)からなる溶剤に溶解されたEVCl O4 (カソード
化合物)約0.02モルと還元されたMVTB(アノー
ド化合物)約0.02モルを含有する本発明によるエレ
クトロケミクロミック溶液を充填した。MVTBの還元
は次のようにして実施した。すなわち、最初にMVTB
約0.5g(0.002モル)をおおよそ環境温度乃至
約50℃の実質的に不活性な条件で、プピレンカーボネ
ート約99%と氷酢酸約1%(v/v)との組み合わせ
からなる溶剤約100mlに入れた。青色に着色した溶液
が形成された。次に、撹拌しながら、この溶液に約2g
の亜鉛粉(325メッシュ)を約15乃至約45分間で
添加した。この時間経過後には溶液は淡黄色になりそし
てほとんど無色となった。この反応も上記した条件の下
で実施された。このあと、未反応残存亜鉛粉を濾過除去
しそしてその実質的に無色なMVTB溶液(この時は還
元された原子価状態にある)をEVCl O4 と溶液の色
が薄い青緑色になるまで接触させた。溶液を充填した第
1のミラーと第2のミラーにそれぞれ約1.0ボルトの
印加電位を導入して結果を観察した。本発明によるエレ
クトロケミクロミック溶液を充填した第2ミラーは従来
技術によるエレクトロケミクロミック溶液を充填した第
1ミラーに比較して迅速かつ均一的に発色し、虹彩効果
も無視しうる程度であった。さらに、第2ミラーの中心
部における高い反射率は約1.0ボルトの電位を印加し
た時、約1.5秒の応答時間で約66%から約13%ま
で低下した。これに対して、第1ミラーの反射率はわず
かに約37%まで低下したにすぎなかった。なお、この
測定は光源(イルミナントAとして当技術分野で公知)
とストリップチャート記録器に付属した明所視検知器と
を具備した反射計(反射率モードにセット)を使用して
行われた。さらにまた、ゼロ印加電位において、第2ミ
ラーは約1.2秒の応答時間で約16%の反射率から約
60%の反射率へ変化する消色が観察された。第1ミラ
ーはわずかに反射率約37%までしか発色していなかっ
たので、第2ミラーとのはっきりした比較はできなかっ
た。
【0058】実施例2 実施例1に記載した2種のエレクトロケミクロミック溶
液を2つの自動車室内バックミラーに充填するために使
用した。各ミラーは約100μmのセルギャップを有し
てそして約12オーム/方形シートの抵抗を有するIT
Oコーティングガラス基板によって構成されていた。約
1.0ボルトの電位を印加した時、本発明によるエレク
トロケミクロミック溶液を充填した第2ミラーは均一か
つ迅速に発色した。これに対して、従来技術によるエレ
クトロケミクロミック溶液を充填した第1ミラーは均一
には発色せず、しかもエレクトロケミクロミック応答も
迅速ではなかった。また、第2ミラーは鮮明な青紫色を
呈示したが、第1ミラーの呈示した色はかすかに紫色を
帯びたほとんど暗緑色であった。さらに詳細に述べる
と、第2ミラーは約1.0ボルトの電位を印加した時、
約1.3秒の応答時間で約70%反射率から約20%反
射率まで変化する発色を示した。これに対し、第1ミラ
ーがほぼ同じ反射率変化を示すまでに約4.3秒かかっ
た。さらに第2ミラーと第1ミラーはほぼ同等の消色速
度を示した。すなわち、ゼロ印加電位において、第2ミ
ラーは約1.8秒の応答時間で、そして第1ミラーは約
1.6秒で、それぞれ約20%の反射率から約60%の
反射率まで変化した。さらに、消色状態では2つのミラ
ーの間には、高い反射率に関して差異はみられなかった
(第2ミラーが約72.6%そして第1ミラーが約7
4.4%)が、低下された反射率に関しては、第2ミラ
ー(反射率約7.9%)は第1ミラー(反射率約16.
0%)に対して改善がみられた。なお、これらのすべて
の測定は上記の実施例1に記載した検知法によって実施
され、記録された。
【0059】実施例3 今回も実施例1に記載した2種のエレクトロケミクロミ
ック溶液を2つの自動車ミラーに充填するために使用し
た。各ミラーは約135μmのセルギャップを有してそ
して約12オーム/方形シートの抵抗を有するITOコ
ーティングガラス基板によって構成されていた。本実施
例は本発明のエレクトロケミクロミック溶液によってよ
り鮮明な発色が達成されることを示すために実施され
た。本実施例では前記実施例の場合よりも幅の広いセル
ギャップを有するエレクトロケミクロミックセルが作ら
れた。これによって、虹彩効果を減少または排除した時
の本発明による溶液の向上された均一発色が明らかにな
る。各ミラーに約1.0ボルトの印加電位を導入した
時、本発明によるエレクトロケミクロミック溶液を充填
した第2ミラーは約6.9の低い反射率を示した。これ
に対して、従来技術によるエレクトロケミクロミック溶
液を充填した第1ミラーはわずか約10.8%の反射率
まで低下したにすぎなかった。なお、これらの測定は上
記の実施例1に記載した検知法によって実施され、記録
された。
【0060】実施例4 今回は実施例1に記載した2つのエレクトロケミクロミ
ック溶液を、本発明のエレクトロケミクロミック溶液の
場合には抵抗の大きいガラス、すなわち品質が劣り安価
であるガラスと共に使用可能でありそして従来技術によ
るエレクトロケミクロミック溶液よりも優れた結果が同
じく達成できることを証明するために使用した。この目
的のため、実施例1に記載した2種のエレクトロケミク
ロミック溶液を2つのミラーに充填した。各ミラーは約
350μmのセルギャップを有してそして約80オーム
/方形シートの抵抗を有するITOコーティングガラス
基板によって構成されていた。約1.0ボルトの印加電
位を各ミラーに導入した時、本発明によるエレクトロケ
ミクロミック溶液を充填した第2ミラーは約5.7%の
低い反射率を示した。これに対して、従来技術によるエ
レクトロケミクロミック溶液を充填した第1ミラーは約
34%の反射率を示したにすぎなかった。しかも大きい
セルギャップにもかかわらず虹彩効果が発生した。なお
これらの観察は前記実施例1の記載した測定によってな
され、記録されたものである。
【0061】実施例5 本発明のエレクトロケミクロミック溶液が従来技術によ
るエレクトロケミクロミック溶液よりも発色均質性およ
び随伴虹彩効果に関して優れた特性を有することをさら
に示すため、今回は別の好ましい溶剤を使用した。すな
わち、3−エトキシプロピオニトリル約79%、2−ア
セチルブチロラクトン約20%、氷酢酸約1%(v/
v)の組み合わせからなる溶剤を使用した。本実施例で
は、それぞれ約50μmのセルギャップを有してそして
2枚のITOコーティングガラス基板の抵抗が約6乃至
約8オーム/方形シートである2つの自動車室内バック
ミラーを作成した。第1のミラーには、共に3−エトキ
シプロピオニトリル約80%と2−アセチルブチロラク
トン約20%とよりなる溶剤に溶解された、EVCl O
4 約0.02モルとDMPA約0.02モルを含有する
エレクトロケミクロミック溶液を充填した。さらにこの
溶液には紫外線安定化剤としてUVINUL400約5
%(w/v)が含有されていた。第2のミラーには、共
に3−エトキシプロピオニトリル約79%、2−アセチ
ルブチロラクトン約20%、氷酢酸約1%(v/v)の
組み合わせからなる溶剤に溶解した、EVCl O4
0.02モルと還元されたMVTB約0.02モルを含
有する本発明によるエレクトロケミクロミック溶液を充
填した。さらにこの溶液には紫外線安定化剤としてUV
INUL400約5%(w/v)が含有されていた。実
施例1に記載したようにアノード化合物とカソード化合
物を組み合わせる前にMVTBを亜鉛と反応させ、その
他は上記した手順で操作を実施した。前記のごとく各ミ
ラーにエレクトロケミクロミック溶液を充填した後、各
ミラーにそれぞれ約1.0ボルトの印加電位を導入し
た。第2ミラーは濃い紫色を呈示した。これに対して第
1ミラーは淡緑色を呈示した。さらに、消色された状態
において、第2ミラーは透明な、しかし銀色がかった外
観を呈した。他方第1ミラーはほとんど透明無色な外観
を呈しごくわずかに黄色味を帯びていた。さらに第2ミ
ラーは良好な均質的発色を示しそして虹彩効果も非常に
軽微であった。これに対して第1ミラーは発色が非均質
であって虹彩効果も大きかった。高い反射率は第2ミラ
ーで約75.3%そして第1ミラーが約79.2%であ
った。そして約1.0ボルトの印加電位を与えた時、第
2ミラーの中心部の反射率は、約1.0秒の応答時間で
約70%から約20%まで低下し、最終的には約13.
1%まで下がった。これに対して、第1ミラーの反射率
は約70%からわずか約37%までに低下したにすぎ
ず、最終的には約2.9秒後に約23.8%となっただ
けであった。消色については、第2ミラーと第1ミラー
は消色性能にかかわる応答時間はほぼ同等であった。す
なわち、ゼロ印加電位において、反射率約20%から反
射率約70%まで、第2ミラーは約0.9秒で消色し、
第1ミラーは約1.0秒で消色した。これらの観察は前
記実施例1に記載した測定方法でなされ、記録されたも
のである。
【0062】実施例6 本発明のエレクトロケミクロミック溶液が従来技術によ
るエレクトロケミクロミック溶液よりも発色均質性およ
び随伴虹彩効果に関して優れた特性を有することをさら
に示すため、今回は溶剤として別の組み合わせを使用し
た。すなわち、3−エトキシプロピオニトリル約69
%、プロピレンカーボネート約30%、氷酢酸約1%
(v/v)の組み合わせからなる溶剤を使用した。本実
施例では、上記実施例5に記載したものと同じ2つの自
動車室内バックミラーを作成した。第1のミラーには、
共に3−エトキシプロピオニトリル約70%とプロピレ
ンカーボネート約30%とよりなる溶剤に溶解された、
EVCl O4 約0.02モルとDMPA約0.02モル
を含有するエレクトロケミクロミック溶液を充填した。
第2のミラーには、共に3−エトキシプロピオニトリル
約69%、プロピレンカーボネート約30%、氷酢酸約
1%(v/v)の組み合わせからなる溶剤に溶解した、
EVCl O4 約0.02モルと還元されたMVTB約
0.02モルを含有する本発明によるエレクトロケミク
ロミック溶液を充填した。実施例1に記載したようにア
ノード化合物とカソード化合物を組み合わせる前にMV
TBを亜鉛と反応させた。その他は上記した手順で操作
を実施した。前記のごとく各ミラーにエレクトロケミク
ロミック溶液を充填した後、各ミラーにそれぞれ約1.
0ボルトの印加電位を導入した。第2ミラーは濃い紫色
を呈示した。これに対して第1ミラーは淡緑色を呈示し
た。さらに、消色された状態において、第2ミラーは透
明なしかし銀色がかった外観を呈した。他方第1ミラー
はほとんど透明無色な外観を呈し、ごくわずかに黄色味
を帯びていた。さらに第2ミラーは良好な均質発色を示
しそして虹彩効果も非常に軽微であった。これに対して
第1ミラーは発色が非均質であって虹彩効果も大きかっ
た。高い反射率は第2ミラーが約76.5%そして第1
ミラーが約78.8%であった。そして約1.0ボルト
の印加電位を与えた時、第2ミラーの反射率は約1.0
秒の応答時間で約70%から約20%まで低下し、最終
的には約13.1%まで下がった。これに対して、第1
ミラーの反射率は約70%からわずか約41%までに低
下したにすぎず、最終的には約2.2秒後に約24.3
%となったにすぎなかった。さらに、第2ミラーと第1
ミラーは消色性能にかかわる応答時間はほぼ同等であっ
た。これらの観察は前記実施例1に記載した検知法でな
され、記録されたものである。
【0063】実施例7 本発明のエレクトロケミクロミック溶液によって発生さ
れる色が向上された鮮明度を有し、したがって効果的に
反射率を低下させることができることを例証するため、
本実施例では、それぞれ約135μmのセルギャップを
有し、そして約12乃至約15オーム/方形シートの抵
抗を有する2枚のITOコーティングガラス基板から構
成された2つの自動車室内バックミラーを作成した。第
1のミラーには、共に3−エトキシプロピオニトリル約
80%と2−アセチルブチロラクトン約20%(v/v)
とよりなる溶剤に溶解された、EVCl O4約0.01
モルとDMPA約0.01モルを含有するエレクトロケ
ミクロミック溶液を充填した。さらにこの溶液には紫外
線安定化剤としてUVINUL400約5%(w/v)
が含有されていた。第2のミラーには、共に3−エトキ
シプロピオニトリル約80%と2−アセチルブチロラク
トン約20%(v/v)の組み合わせからなる溶剤に溶
解した、EVCl O4 約0.01モルと還元されたMV
TB約0.01モルを含有する本発明によるエレクトロ
ケミクロミック溶液を充填した。さらにこの溶液には紫
外線安定化剤としてUVINUL400約5%(w/
v)が含有されていた。MVTVをまず3−エトキシプ
ロピオニトリル約80%と2−アセチルブチロラクトン
約20%(v/v)の組み合わせからなる溶剤に溶解
し、そして次ぎにこの溶解されたMVTBを亜鉛粉と反
応させた。その他は上記実施例1に記載した手順で操作
を実施した。前記のごとく各ミラーにエレクトロケミク
ロミック溶液を充填した後、各ミラーにそれぞれ約1.
0ボルトの加電位を導入した。第2ミラーは濃い青紫色
を呈示した。これに対して第1ミラーは明から暗までの
緑色を呈示した。さらに、消色された状態において、第
2ミラーは透明な、しかし銀様の外観を呈した。他方第
1ミラーはほとんど透明無色な外観を呈しごくわずかに
黄色味を帯び、銀色がかってはいなかった。さらに、第
2ミラーは良好な均質発色を示しそして虹彩効果はほと
んどみられなかった。これに対して第1ミラーは発色が
非均質であってミラー中心部には他よりも明るい緑色が
現れ、虹彩効果も幾分観察された。第2ミラーの中心部
の高い反射率は約73.5%であった。第1ミラーでは
約80.2%であった。そして約1.0ボルトの印加電
位を導入した時、第2ミラーの反射率は、約1.4秒の
応答時間で約70%から約20%まで低下し、最終的に
は約10.2%まで下がった。これに対して、第1ミラ
ーの反射率は同じ応答時間内で約70%からわずか約4
0%まで低下したにすぎず、最終的な低下は約20.2
%であった。これらの観察は前記実施例1に記載した検
出法によりなされ、記録されたものである。
【0064】実施例8 実施例8と9では本発明の溶液の利点をさらに示すた
め、溶剤として3−ヒドロキシプロピオニトリルとグル
ターロニトリルの組み合わせが使用された。本実施例で
は、それぞれ約100μmのセルギャップを有してそし
て約12乃至約15オーム/方形シートの抵抗を有する
2枚のITOコーティングガラス基板から構成された2
つの自動車室内バックミラーを作成した。第1のミラー
には、共に3−ヒドロキシプロピオニトリル約75%と
グルターロニトリロ約25%(v/v)の組み合わせよ
りなる溶剤に溶解された、EVCl O4 約0.035モ
ルとDMPA約0.035モルを含有するエレクトロケ
ミクロミック溶液を充填した。さらにこの溶液にはUV
INUL400約5%(w/v)が含有されていた。第
2のミラーには、共に3−ヒドロキシプロピオニトリル
約74%、グルターロニトリロ約25%、氷酢酸約1%
(v/v)の組み合わせからなる溶剤に溶解した、EV
Cl O4 約0.0175モルと還元されたMVTB約
0.0175モルを含有する本発明によるエレクトロケ
ミクロミック溶液を充填した。さらにこの溶液にはUV
INUL400約5%(w/v)を含有させた。実施例
1に記載したように、アノード化合物とカソード化合物
を組み合わせる前に、MVTBを亜鉛と反応させた。そ
の他は上記実施例1に記載した手順で操作を実施した。
エレクトロケミクロミック溶液を充填した後、各ミラー
にそれぞれ約1.0ボルトの印加電位を導入した。本発
明のエレクトロケミクロミック溶液を充填した第2ミラ
ーは優れた均質性をもって迅速に発色しそして第1ミラ
ーに比較してほとんど虹彩効果は観察されなかった。第
2ミラーの発色の色は濃い青紫色であったが、第1ミラ
ーの色はほとんど暗緑色であった。さらに、第2ミラー
の中心部の高い反射率は約79.5%であった。第1ミ
ラーでは約74.7%であった。そして約1.0ボルト
の印加電位を導入した時、第2ミラーの反射率は、約
1.7秒の応答時間で約70%から約20%まで低下
し、最終的には約8.6%まで下がった。これに対し
て、第1ミラーの反射率は同じ応答時間内で約70%か
らわずか約37%まで低下したにすぎず、最終的な低下
レベルは約5.3秒後に約13.7%であった。ゼロ印
加電位の時、第2ミラーは約1.9秒の応答時間で、約
20%の反射率から約60%の反射率まで変化した。こ
れに対して、第1ミラーが同じ幅まで消色するのに約
2.2秒かかった。消色された状態において、第2ミラ
ーは透明なしかし銀色がかった外観を呈した。他方第1
ミラ−は透明無色でわずかに黄色味を帯びていた。これ
らの観察における数値データは前記実施例1に記載した
検知法によって測定され、記録されたものである。
【0065】実施例9 本実施例では3−ヒドロキシプロピオニトリル約49.
5%,グルターロニトリル約49.5%,氷酢酸約1%
(v/v)の溶剤組み合わせが使用された。そして、約
100μmのセルギャップを有し、約12乃至約15オ
ーム/方形シートの抵抗を有する2枚のITOコーティ
ングガラス基板から構成された1つの自動車室内バック
ミラーを作成した。このミラーに、共に3−ヒドロキシ
プロピオニトリル約49.5%,グルターロニトリル約
49.5%,氷酢酸約1%(v/v)の組み合わせより
なる溶剤に溶解された、EVCl O4 約0.02モルと
還元されたMVTB約0.02モルを含有するエレクト
ロケミクロミック溶液を充填した。さらにこの溶液には
UVINUL400約5%(w/v)を含有させた。実
施例1に記載したように、アノード化合物とカソード化
合物を組み合わせる前に、MVTBを亜鉛と反応させ
た。その他は上記実施例1に記載した手順で操作を実施
した。エレクトロケミクロミック溶液を充填した後、ミ
ラーに約1.0ボルトの印加電位を導入した。ミラーは
優れた均質性をもって迅速に発色しそして虹彩効果は観
察されなかった。ミラーの発色の色は濃い青紫色であっ
た。さらに、ミラーの中心部の高い反射率は約74.3
%であった。そして、これに約1.0ボルトの印加電位
を導入した時、ミラーの反射率は、約1.5秒の応答時
間で約70%から約20%まで低下し最終的には約7.
7%まで下がった。ゼロ印加電位の時、このミラーは約
4.7秒の応答時間で、約10%の反射率から約60%
の反射率まで変化した。消色された状態において、この
ミラーは無色透明に見えた。これらの観察における数値
データは前記実施例1に記載した検知法によって測定さ
れ、記録されたものである。
【0066】実施例10 本実施例では3−ヒドロキシプロピオニトリル約69
%,3、3’−オキシジプロピオニトリル約30%,氷
酢酸約1%(v/v)の溶剤組み合わせが使用された。
そして、約100μmのセルギャップを有し、約12乃
至約15オーム/方形シートの抵抗を有する2枚のIT
Oコーティングガラス基板から構成された1つの自動車
室内バックミラーを作成した。このミラーに、共に3−
ヒドロキシプロピオニトリル約69%,3、3’−オキ
シジプロピオニトリル約30%,氷酢酸約1%(v/
v)の組み合わせよりなる溶剤に溶解された、EVCl
4 約0.02モルと還元されたMVTB0.02モル
を含有するエレクトロケミクロミック溶液を充填した。
さらにこの溶液にはUVINUL400約5%(w/
v)を含有させた。実施例1に記載したように、アノー
ド化合物とカソード化合物を組み合わせる前に、MVT
Bを亜鉛と反応させた。その他は上記実施例1に記載し
た手順で操作を実施した。エレクトロケミクロミック溶
液を充填した後、ミラーに約1.0ボルトの印加電位を
導入した。ミラーは優れた均質性をもって迅速に発色し
そして虹彩効果は観察されなかった。ミラーの発色の色
は濃い青紫色であった。さらに、ミラーの中心部の高い
反射率は約73.2%であった。そして、これに約1.
0ボルトの印加電位を導入した時、ミラーの反射率は、
約1.5秒の応答時間で約70%から約20%まで低下
し、最終的には約6.9%まで下がった。さらに、ゼロ
印加電位の時、このミラーは約4.7秒の応答時間で、
約10%の反射率から約60%の反射率まで変化した。
消色された状態において、このミラーは透明で銀のよう
に見えた。これらの観察における数値データは前記実施
例1に記載した検知法によって測定され、記録されたも
のである。
【0067】実施例11 本実施例では3−エトキシプロピオニトリル約69%,
3−ヒドロキシプロピオニトリル約30%,氷酢酸約1
%(v/v)の溶剤組み合わせが使用された。そして、
約100μmのセルギャップを有し、約12乃至約15
オーム/方形シートの抵抗を有する2枚のITOコーテ
ィングガラス基板から構成された1つの自動車室内バッ
クミラーを作成した。このミラーに、共に3−エトキシ
プロピオニトリル約69%,3−ヒドロキシプロピオニ
トリル約30%,氷酢酸約1%(v/v)の組み合わせ
よりなる溶剤に溶解された、EVCl O4 約0.02モ
ルと還元されたMVTB約0.02モルを含有するエレ
クトロケミクロミック溶液を充填した。さらにこの溶液
にはUVINUL400約5%(w/v)を含有させ
た。実施例1に記載したように、アノード化合物とカソ
ード化合物を組み合わせる前に、MVTBを亜鉛と反応
させた。その他は上記実施例1に記載した手順で操作を
実施した。エレクトロケミクロミック溶液を充填した
後、ミラーに約1.0ボルトの印加電位を導入した。ミ
ラーは優れた均質性をもって迅速に発色しそして虹彩効
果は観察されなかった。ミラーの発色の色は濃い青紫色
であった。さらに、ミラーの中心部の高い反射率は約7
2.4%であった。そして、このミラーの反射率は、約
1.7秒の応答時間で約70%から約20%まで低下
し、最終的には約9.4%まで下がった。さらに、この
ミラーは約3.2秒の応答時間で、約10%の反射率か
ら約60%の反射率まで消色した。消色された状態にお
いて、このミラーは透明に見えた。これらの観察におけ
る数値データは前記実施例1に記載した検知法によって
測定され、記録されたものである。
【0068】実施例12 本実施例ではプロピレンカーボネート約99%と氷酢酸
約1%(v/v)の溶剤組み合わせが使用された。そし
て、約50μmのセルギャップを有してそして約6乃至
8オーム/平方シートの抵抗を有するITOコーティン
グガラス基板から構成されたエレクトロケミクロミック
自動車室内バックミラーを作成した。このミラーに、プ
ロピレンカーボネート約99%と氷酢酸約1%(v/
v)の組み合わせよりなる溶剤に溶解された、EVCl
4 約0.025モルと還元されたMVTB0.025
モルを含有するエレクトロケミクロミック溶液を充填し
た。さらに、この溶液には“UVINUL400”約5
%(w/v)を含有させた。実施例1に記載したよう
に、アノード化合物とカソード化合物を組み合わせる前
に、MVTBを亜鉛と反応させた。その他は上記実施例
1に記載した手順で操作を実施した。エレクトロケミク
ロミック溶液を充填した後、ミラーに約1.0ボルトの
印加電位を導入した。ミラーは優れた均質性をもって迅
速に発色しそして虹彩効果はほとんど観察されなかっ
た。ミラーの発色の色は濃い青紫色であった。さらに、
ミラーの中心部の高い反射率は約76.3%であった。
そして、このミラーの反射率は、約1.1秒の応答時間
で約70%から約20%まで低下し、最終的には14.
5%まで下がった。さらに、このミラーは約0.7秒の
応答時間で、低い反射率から約60%の反射率まで消色
した。消色された状態で、このミラーは透明で銀のよう
に見えた。これらの観察における数値データは前記実施
例1に記載した検知法によって測定され、記録されたも
のである。
【0069】実施例13 本発明のエレクトロケミクロミック溶液を使用して窓組
立体やサンルーフ組立体をつくることもできる。この目
的のために、本実施例では本発明のエレクトロケミクロ
ミック溶液を使用したサンルーフ組立体を作成した。す
なわち、約10オーム/平方シート抵抗を有する酸化ス
ズコーティングガラス(Libbey-Owens-Ford Co., LOF G
lass Division, Tredo Ohio から”TEC−ガラス”の
商品名で市場で入手可能である)を使用して自動車サン
ルーフを構成した。このサンルーフの寸法は約38cm
x60cmであり、2枚の酸化スズコーティングガラス
基板の間のセルギャップは約380μmであった。この
セルギャップの一体化は可塑化ポリビニルブチラールか
ら作成されたシール手段によって保持された。このシー
ル手段はセルギャップの中に確実にエレクトロケミクロ
ミック溶液を封じ込めておくためにも役立った。本発明
によるエレクトロケミクロミック溶液は下記成分を含有
するように調製した:実施例1に記載したように前もっ
て亜鉛と反応させたMVTB約0.01モル、EVCl
4 約0.015モル、テトラエチルアンモニム過塩素
酸塩約0.05モル、UVINUL400約5%(w/
v)。これらの成分をプロピレンカーオネート約64
%、シアノエチルスクロース約35%,酢酸約1%(v
/v)の組み合わせからなる溶剤に溶解した溶液を製造
した。サンルーフのセルにこの溶液を充填した後、約
1.0ボルトの印加電位を導入した。約2分間でサンル
ーフの透過光量が約74.5%から約17%まで変化す
るのが観察された。ゼロ電位が与えられた時、そのエレ
クトロケミクロミック溶液は自動消去された。すなわ
ち、透過光量は最初約5%であったものが約2分間で溶
液の透過光量が約25%になるまで消色した。約7分後
には、この溶液は完全に自動消去された。これらのデー
タは前記実施例1に記載した測定法により測定され、記
録されたものである(ただし、反射計は透過率に設定し
た)。
【0070】実施例14 この実施例ではつぎに4つのミラーが製作された:
(A)と(B)はクラス8のトラック用ミラーで、各ミ
ラーの有効寸法は約5.25”x 16.5”。(C)
は Ford Motor Co., Detroit, Michiganによって"EXPLO
RER"の商品名で製造販売されているスポーツ車用のミラ
ーで、有効寸法は約4.25”x 7.25”。(D)
は乗客用室内ミラーで、有効寸法は約2.5”x 1
0”。これらのミラーには、プロピレンカーボネート約
97%と氷酢酸約3%(v/v)の組み合わせよりなる
溶剤に溶解された、EVCl O4 約0.035モルと還
元されたMVTB0.035モルを含有するエレクトロ
ケミクロミック溶液が充填されていた。さらにこの溶液
にはUVINUL400約12%(w/v)が含有され
ていた。
【0071】セルギャップが約100μmで、約6乃至
8オーム/平方のシート抵抗を有するFW ITOコー
ティングガラス基板から組み立てられた第1のトラック
ミラー[実施例14(A)]に約1.3ボルトの電位を
印加したところ、このトラックミラーは迅速かつ均質的
に青紫色に発色した。虹彩効果は無視し得る程度であっ
た。さらに、ミラーの中心部の高い反射率は約70.5
%であった。そして、これに約1.3ボルトの電位を印
加した時、ミラーの反射率は約9.0%の低い反射率ま
で低下した。この電位印加時に約70%から約20%ま
で反射率が変化する応答時間は約6.0秒であった。こ
の測定は実施例1に記載した反射計を使用して行われ
た。さらに、約ゼロ印加電位において、このミラーは約
9.0秒の応答時間で約10%の反射率から約60%の
反射率まで消色した。
【0072】第2のトラックミラー[実施例14
(B)]はTECガラス(Libbey-Owens-Ford Co., Tre
do Ohioから供給)から組み立てられた。前面の透明ガ
ラスはシート抵抗が約20オーム/平方そして後面の銀
面ガラスはシート抵抗が約12オーム/平方であった。
セルギャップは約125μmであった。約1.4ボルト
の電位を印加したところ、このトラックミラーは迅速か
つ均質的に緑がかった青紫色に発色した。虹彩効果は無
視し得る程度であった。さらに、ミラーの中心部の高い
反射率は約70.5%であった。そして、これに約1.
4ボルトの電位を印加した時、ミラーの反射率は約9.
0%の低い反射率まで低下した。この電位印加時に約7
0%から約20%まで反射率が変化する応答時間は約
7.8秒であった。この測定は実施例1に記載した反射
計を使用して行われた。さらに、約ゼロ印加電位におい
ては、このミラーは約13.1秒の応答時間で約10%
の反射率から約60%の反射率まで消色した。
【0073】セルギャップが約125μmで、約12オ
ーム/平方のシート抵抗を有するHW ITOコーティ
ングガラス基板から組み立てられたEXPLORERミラー[実
施例14(C)]に約1.15ボルトの電位を印加した
ところ、このミラーは迅速かつ均質的に青紫色に発色し
た。虹彩効果は無視し得る程度であった。さらに、ミラ
ーの中心部の高い反射率は約7.6%であった。そし
て、これに約1.15ボルトの電位を印加した時、ミラ
ーの反射率は約8.9%の低い反射率まで低下した。こ
の電位印加時に約70%から約20%まで反射率が変化
する応答時間は約3.8秒であった。この測定は実施例
1に記載した反射計を使用して行われた。さらに、約ゼ
ロ印加電位において、このミラーは約6.3秒の応答時
間で約10%の反射率から約60%の反射率まで消色し
た。このミラーの熱安定性とサイクル安定性を測定する
ため、反射率の変化を引き起こす電圧を交互に印加した
りしなかったりした。これは、室温、約50℃および約
85℃の温度で約5000乃至30000サイクル期間
実施された。発色−消色サイクルは約3−5秒、15−
15秒、30−30秒および30−60秒の時間間隔で
実施された。
【0074】本EXPLORERミラーは30−60秒で300
00回の発色−消色サイクル試験後においても、約1.
15ボルトの印加電位で発色しそして約ゼロ印加電位で
消色した。約50℃の温度で実施されたこの試験におい
て測定され、記録されたデータを下記の表1に示す。
【表1】
【0075】室内乗客ミラー[実施例14(D)]はT
ECガラス(Libbey-Owens- FordCo., Tredo Ohio から
供給)から組み立てられ、シート抵抗は約20オーム/
平方そしてセルギャップは約105μmであった。この
ミラーに約1.15ボルトの電位を印加したところ、こ
のミラーは迅速かつ均質的に緑がかった青紫色に発色し
た。虹彩効果は無視し得る程度であった。さらに、ミラ
ーの中心部の高い反射率は約65.4%であった。そし
て、これに約1.15ボルトの電位を印加したところ、
ミラーの反射率は約6.8%の低い反射率まで低下し
た。この電位印加時に約65%から約20%まで反射率
が変化する応答時間は約2.4秒であった。この測定は
実施例1に記載した反射計を使用して行われた。さら
に、約ゼロ印加電位においては、このミラーは約5.9
秒の応答時間で約10%の反射率から約60%の反射率
まで消色した。このミラーは約室温、約50℃、約85
℃の温度において非常に良好なサイクル安定性を示し
た。また、このミラーは優れた紫外線安定性および熱安
定性を示した。
【0076】一般的に、本発明によるエレクトロケミク
ロミック溶液は、ここに記載した各種装置に使用された
時、優れた紫外線安定性、熱安定性およびサイクル安定
性を示した。さらに詳細に記載すると、上記した溶液の
いずれにおいても、MVTBとEVCl O4 と組み合わ
せて使用した場合、同じ溶剤中でDMPAとEVClO4
を組み合わせて使用した場合よりも溶液の紫外線安定
性が一層良いことが認められた。本発明のエレクトロケ
ミクロミック溶液の紫外線安定性、熱安定性およびサイ
クル安定性を示す実施例が後記のMPT実施例である。
また、溶剤成分として3−エトキシプロピオニトリルを
含有している溶液は、特に消色の時、応答時間がより速
いことが認められた。後記実施例に記載されたミラーは
還元されたMVTBを含有している溶液を充填したミラ
ー(実施例1乃至14に記載)と同様な好ましい特性な
らびに有用性を示した。これらの好ましい特性ならびに
それに伴う有用性は以下の実施例では特に重点的に記載
されている。
【0077】MPTの実施例 本願に記載されているのエレクトロケミクロミック化合
物のいくつかは市場で入手可能であるが、多くのものは
そうではない。したがって、後記の実施例15(A)は
それら化合物すなわちMPTの合成法を記載した。特に
説明のために2−メチル−フェノチアゾン誘導体の合成
を記載したが、その合成法は本願に記載されている他の
置換フェノチアゾン誘導体の製造のためにも同様に適用
されうるものであることを理解されたい。
【0078】実施例15 A.MPTの合成 この実施例15では欧州特許願EP0115394号(M
erck Frost Canada)に記載されている方法に従って、2
−メチル−フェノチアジン−3−オンが製造された。す
なわち、室温でメタノール約200ml中メチル−1,4
−ベンゾキノン約19.5gの溶液を撹拌しそしてこれ
にメタノール約15ml中o−アミノチオフェノール約1
0gの溶液を約1時間かけてゆっくりと添加した。添加
終了後、この混合物を約室温で約2時間撹拌を続けた。
つぎに、生成した赤色沈殿物を濾過分離し、そしてこの
生成物を約300mlのメタノールで2回洗浄した。60
%以上の収率で生成物が得られた。この生成物の融点を
測定したところ約186乃至約188℃であった。元素
分析の結果は以下のとおりであった。 計算値 C 68.72 H 3.96 N 6.17 S14.10 測定値 C 68.98 H 3.95 N 6.25 S14.61
【0079】B.MPTのミラーへの使用 実施例1に記載したように(ただしセルギャップを約1
25μmとした)ミラーを作成した。このミラーに、と
もにプロピレンカーボネート約98%と氷酢酸約2%
(v/v)とからなる溶剤に溶解したEVCl O4
0.025モル(カソード化合物)と還元されたMPT
約0.025モル(アノード化合物)を含有する本発明
によるエレクトロケミクロミック溶液を充填した。MP
Tの還元は実施例20(A)で後記される方法で実施さ
れた。溶液を充填されたミラーに約1.3ボルトの印加
電位を導入した。ミラーは青紫色に迅速かつ均質に発色
し、虹彩効果は無視しうる程度であった。ミラー中心部
の高い反射率は約80.9%であった。そして約1.3
ボルトの印加電位を与えた時、約6.0%の低い反射率
まで低下した。反射率が約70%から約20%まで低下
する応答時間は約1.7秒であった。この測定は実施例
1に記載した反射計を使用して行われた。約ゼロ印加電
位では、このミラーは約4.0秒の応答時間で反射率約
10%から反射率約60%まで消色した。本実施例で
は、熱安定性とサイクル安定性を評価するため、約85
℃の温度で約1.3ボルトの印加ありなしによる発色と
消色を行い、そしてこのエレクトロケミクロミック溶液
の発色−消色サイクルを3−5秒の間隔で100000
回くりかえした。このサイクル期間の後、ミラーの中心
部の高い反射率は約78.1%であった。1.3ボルト
の電位を印加した時、ミラーは約5.8%の反射率まで
発色した。印加電位1.3ボルトにおいて反射率約70
%から約20%まで変化する応答時間は約1.7秒であ
った。また、約ゼロ印加電位では、このミラーは3.7
秒の応答時間で反射率約10%から反射率約60%まで
消色した。消色は均一であり、消色された状態でのミラ
ラー外観は銀様であった。これは優れた熱安定性とサイ
クル安定性を示すものである。
【0080】実施例16−19 還元MPTとEVCl O4 のほぼ等モル溶液を下記溶剤
中下記モル濃度で使用して実施例15を繰り返した。 実施例16:プロピレンカーボネート約99%と氷酢酸
約1%(v/v)の組み合わせからなる溶剤中約0.0
4モル; 実施例17:プロピレンカーボネート約99%と氷酢酸
約1%(v/v)の組み合わせからなる溶剤中約0.0
2モル; 実施例18:プロピレンカーボネート約99%と氷酢酸
約1%(v/v)の組み合わせからなる溶剤中約0.0
4モルそしてこれに加えて紫外線安定化剤としてUVINUL
400 を約5%(w/v)添加; 実施例19:プロピレンカーボネート約74%,シアノ
エチルスクロース約25%、氷酢酸約1%の組み合わせ
からなる溶剤中約0.035モル。 これらのエレクトロケミクロミック溶液を充填したミラ
ーのセルのセルギャップのサイズは下記のとおりであっ
た: 実施例16・・・・・約105μm、 実施例17・・
・・・約125μm、実施例18・・・・・約105μ
m、 実施例19・・・・・約100μm。 また、実施例16と実施例18のミラーにはHWG(約
5/8乃至2/3波長)ITOコーティングガラス基板
が使用された。実施例17と実施例19のミラーにはH
Wガラス基板が使用された。これらミラーの発色は均質
であることが観察された。実施例16と実施例18のミ
ラーは青緑色に発色した。これに対して実施例17と実
施例19のミラーは青紫色に発色した。実施例16乃至
19のいずれのミラーも消色が均質であることが観察さ
れた。
【0081】上記実施例16乃至19についての観察デ
ータを下記表2にまとめて示す。
【表2】 *紫外線保護層付きエレクトロケミクロミックセルを2
500KJ/m2紫外線に約70℃の温度で約1825時
間露出後[SAEのJ1963参照]。紫外線保護層は
可塑化ポリビニルブチラール積層物の紫外線吸収拡散保
護用の光学的に透明な、弾性で破断抵抗性の重合体中間
層[米国特許第5073021号明細書(Lynam)参照]
である。 **可塑化ポリブチラールブチラール積層物を付けない
で、SAEのJ1960に従ってでエレクトロケミクロ
ミックセルを約700KJ/m2紫外線に約70℃の温度
で約1825時間露出後。
【0082】ミラーの紫外線安定性の測定はキセノンラ
ンプを使用したウエザロメータを使用し、同時的に太陽
光の濃厚照射を併用して実施した。典型的には本発明の
エレクトロケミクロミック溶液を含有しているミラーを
約2500KJ/m2紫外線に約70℃の温度で約182
5時間露出した。実施例17と実施例18のミラーの場
合には約2500KJ/m2ならびに約700KJ/m2
外線に露出した[SAEのJ1960参照]。上記表2
に記載した実施例17と実施例18のミラーに関する測
定データは約1825時間の紫外線照射によってもこれ
らのミラーの品質ならびに応答性がほとんど影響されな
かったことを示している。このことは、実施例18のミ
ラーが紫外線安定化剤を含有されており、実施例17の
ミラーは含有されていなかったことを考慮すれば一層明
白である。
【0083】RMPTの実施例 実施例20 A.RMPTの合成と単離 この実施例20では前記実施例15(A)で合成された
MPT約2gを約60mlのN,N’−ジメチルホルムア
ミドに溶解した。この溶液を撹拌しそして亜硫酸水素ナ
トリウム約5gを水約30mlに溶解した溶液を約室温で
少しずつ添加した。この時、赤味を帯びていた溶液がほ
とんど即座に淡黄色に変わった。この混合物の撹拌をさ
らに約5分間続けそしてこれを約300mlの水に注入し
た。生じた白色沈殿物を直ちに濾過して生成物を単離し
た。単離した沈殿を真空乾燥して約90%の収率で生成
物が得られた。この生成物の融点を測定したところ約2
35乃至約239℃であった。元素分析の結果は以下の
とおりであった。 計算値 C 68.1 H 4.80 N 6.11 S14.0 測定値 C 65.44 H 4.73 N 6.23 S12.77
【0084】B.RMPTのミラーへの使用 実施例1に記載したように(ただしセルギャップを約1
25μmとした)ミラーを作成した。このミラーに、と
もにプロピレンカーボネートからなる溶剤に溶解したE
VCl O4 約0.02モル(カソード化合物)と還元さ
れたRMPT約0.02モル(アノード化合物)を含有
する本発明によるエレクトロケミクロミック溶液を充填
した。溶液を充填されたミラーに約1.3ボルトの印加
電位を導入した。ミラーは青紫色に迅速かつ均質に発色
し、虹彩効果は無視しうる程度であった。約1.3ボル
トの印加電位を与えた時、ミラー中心部の高い反射率は
約80.8%から約6.6%の低い反射率まで低下し、
反射率が約70%から約20%まで低下する応答時間は
約1.7秒であった。この測定は実施例1に記載した反
射計を使用して行われた。約ゼロ印加電位では、このミ
ラーは約3.5秒の応答時間で反射率約10%から反射
率約60%まで消色し、約20%反射率から約60%反
射率まで変化する応答時間は約2.6秒であった。消色
は均質に行われ、そして消色状態でミラーは銀のように
見え、そしてすぐれた熱安定性とサイクル安定性を示し
た。
【0085】実施例21と22 アノード化合物とカソード化合物を同じ濃度で、ただし
溶剤を変えて使用して実施例20(B)を繰り返した。
すなわち、下記溶剤の組み合わせを使用した: 実施例21:プロピレンカーボネート約99%と氷酢酸
約1%(v/v), 実施例22:3−ヒドロキシプロピルニトリル約75%
とグルターロニトリル約25%(v/v)。 青紫色の発色は均質であった。消色も均質に行われ、そ
して消色状態でミラーは銀外観を呈していた。実施例2
1と実施例22についての測定データを下記の表3に示
す。
【表3】 実施例20、21、22の上記データからRMPTが酸
性溶剤成分が存在していても存在していなくても同じよ
うな結果を与えることおよび本発明によるエレクトロケ
ミクロミック溶液中ではこのアノード化合物がビオロゲ
ンのようなカソード化合物と電気化学的に相溶性がある
こがわかる。
【0086】RMPT−DMPAの実施例 本実施例に記載されているようなアノード化合物たとえ
ばRMPTを本発明に関して有用とするためのレドック
ス前処理を必要としないアノード化合物たとえばDMP
Aと組み合わせることはこれら化合物を充填したエレク
トロケミクロミックデバイスに顕著な比色的効果をもた
らすことが判明した。その効果は特にそのエレクトロケ
ミクロミックデバイスが低透過の減光された状態の特殊
な色をもつことが所望される特定の用途に有用となる。
このような用途の例は建築物の窓やバックミラーであ
る。以下の実施例23乃至25はRPMTとDMPAと
の組み合わせを使用した場合のかかる特徴を示すもので
ある。
【0087】実施例23 実施例1に記載したような方法でセルギャップが約10
0μmのミラーを作成した。ただし、今回は酸化スズコ
ーティングガラス基板[Libbey-Owens-Ford Co.,からT
EC20の商品名で供給されている20オーム/平方シ
ート抵抗のTEC−ガラス]を使用した。これに充填さ
れた本発明によるエレクトロケミクロミック溶液は、カ
ソード化合物とアノード化合物が共に3−ヒドロキシプ
ロピオニトリルよりなる溶剤に溶解したEVCl O4
0.050モル(カソード化合物として)とDMPA約
0.017モルとRMPT約0.033モルとの組み合
わせ(アノード化合物の組み合わせとして)を含有する
ものであった。MPTのRMPTへの還元は上記実施例
20(A)で記載した還元と単離の方法に従って実施さ
れた。溶液を充填されたミラーに約1.3ボルトの印加
電位を導入した。ミラーは最初は灰緑色そして最終的に
は灰色に迅速かつ均質に発色し、虹彩効果は無視しうる
程度であった。ミラー中心部の高い反射率は約68.1
%であった。そして約1.3ボルトの印加電位を与えた
時、約9.1%の低い反射率まで低下した。約1.3ボ
ルトの電位を印可した時、反射率が約60%から約20
%まで低下する応答時間は約1.5秒であった。この測
定は実施例1に記載した反射計を使用して行われた。約
ゼロ印加電位で、このミラーは約5.9秒の応答時間で
反射率約10%から反射率約60%まで消色した。そし
て約ゼロ印加電位において反射率20%から60%まで
変化する応答時間は約3.8秒であった。消色は均一で
あり、消色された状態でのミラーの外観は銀様であっ
た。これは優れた熱安定性とサイクル安定性を示すもの
である。
【0088】実施例24と25 この実施例24と実施例25ではHWのITOコーティ
ングガラス基板を使用してミラーが作成された。セルギ
ャップは実施例23のミラーが125μm、そして実施
例24のミラーが100μmであった。これらの実施例
ではRMPTとDMPAの割合を次のように変えた。 実施例24:アノード化合物として上記2つの化合物の
約0.02モル等モル量組み合わせおよびカソード化合
物としてEVCl O4 約0.04モル; 実施例25:アノード化合物としてRMPT約0.01
2モルとDMPA約0.023モルとの組み合わせおよ
びカソード化合物としてEVCl O4 約0.035モ
ル。 いずれのエレクトロケミクロミック溶液も上記実施例の
ものと同様な特性を示した。実施例24のミラーは暗青
緑色に優れた色均質性をもって発色しそして実施例25
のミラーは緑青色に発色した。また、消色は均質に行わ
れ、そして消色状態でミラーは銀の外観を呈していた。
実施例24と実施例25についての測定データを下記の
表4に示す。
【表4】 *約60%の高反射率から約20%の低反射率に変化す
るまでの測定応答時間。
【0089】POZの実施例 実施例26 A.POZの合成 POZはB.A.K. Chibber等の論文、”Binding of Actin
omycin ChromophoreAnalogues to DNA " Can. J. Che
m., 51, 204(1973)に記載された方法にしたがって酢酸
と水の約2:1混合物中でフェノキサジンをFeCl3
酸化して製造された。 B.POZのミラーへの使用 実施例1に記載したように(ただしセルギャップを約1
25μmとした)ミラーを作成した。このミラーに、共
に3−ヒドロキシプロピオニトリル約99%と氷酢酸約
1%(v/v)との組み合わせよりなる溶剤に溶解し
た、EVCl O4約0.03モル(カソード化合物)と
還元されたPOZ約0.03モル(アノード化合物)を
含有する本発明によるエレクトロケミクロミック溶液を
充填した。この溶液にはあらかじめ紫外線安定化剤とし
てUVINUL400約5%(w/v)が添加されていた。P
OZの還元は実施例1に記載された方法で実施された。
溶液を充填されたミラーに約1.3ボルトの印加電位を
導入した。ミラーは青味を帯びた灰色に迅速かつ均質に
発色し、虹彩効果は無視しうる程度であった。ミラー中
心部の高い反射率は約78.0%であって、約5.9%
の低い反射率まで低下した。約1.3ボルトの電位を印
加した時、反射率が70%から約20%まで低下する応
答時間は約2.6秒であった。この測定は実施例1に記
載した反射計を使用して行われた。さらに、約ゼロ印加
電位で、このミラーは約4.8秒の応答時間で反射率約
10%から反射率約60%まで消色した。そして約ゼロ
印加電位において反射率約20%から約60%まで変化
する応答時間は約4.8秒であった。消色は均一であ
り、消色された状態でのミラー外観は銀様であった。こ
れは優れた熱安定性とサイクル安定性を示すものであ
る。
【0090】実施例27と28 この実施例27と実施例28では実施例26で使用され
たものと同じエレクトロケミクロミック化合物を約0.
03モル濃度で使用した。ただし、溶剤組成は以下の通
り変更した。 実施例27:プロピレンカーボネートと氷酢酸の約9
9:1(v/v)の組み合わせ。 実施例28:プロピレンカーボネートと3−ヒドロキシ
プロピオニトリルと氷酢酸との約79:20:1(v/
v)の組み合わせ。 この実施例27と実施例28のミラーは共に優れた発色
均質性を示した。すなわち、実施例27のミラーは印加
電位約1.0ボルトと約1.3ボルトで青色に着色して
見えた。これに対して実施例28のミラーは印加電位約
1.3ボルトの時、青緑色に着色して見えそして印加電
位約1.0ボルトの時、青みがかった灰色に着色して見
えた。消色は均一であり、消色された状態でのミラー外
観は銀であった。これは優れた熱安定性とサイクル安定
性を示すものである。上記実施例27と28についての
観察データを下記表5にまとめて示す。
【表5】
【0091】PTの実施例 実施例29 A.PTの合成 PTは欧州特許願EP0115394(Merck Frosst C
anada)に記載されている方法に従って製造された。 B.PTのミラーへの使用 実施例1に記載したように(ただしセルギャップは約1
25μm)ミラーを作成した。このミラーに、共に下記
の溶剤に溶解したEVCl O4 約0.02モル(カソー
ド化合物)と還元されたPT約0.02モル(アノード
化合物)を含有する本発明によるエレクトロケミクロミ
ック溶液を充填した。使用溶剤はプロピレンカーボネー
ト約99.95%と氷酢酸約0.05%(v/v)の混
合物に安息香酸約2%(w/v)を溶解したものであ
る。PTの還元は実施例1に記載された方法で実施され
た。溶液を充填されたミラーに約1.3ボルトの印加電
位を導入した。ミラーは青紫色に迅速かつ均質に発色
し、虹彩効果は無視しうる程度であった。ミラー中心部
の高い反射率は約81.4%であり、約6.7%の低い
反射率まで低下した。そして約1.3ボルトの電位を印
加した時、反射率が70%から約20%まで低下する応
答時間は約1.7秒であった。この測定は実施例1に記
載した反射計を使用して行われた。さらに、約ゼロ印加
電位で、このミラーは約3.8秒の応答時間で反射率約
10%から反射率約60%まで消色した。そして約ゼロ
印加電位において反射率約20%から約60%まで変化
する応答時間は約2.9秒であった。消色は均一であ
り、消色された状態でのミラー外観は銀様であった。こ
れは優れた熱安定性とサイクル安定性を示すものであ
る。
【0092】実施例30 この実施例30では、同じくPTを約0.02モル濃度
で使用したがしかし今回は溶剤を変更した。すなわち、
プロピレンカーボネートと氷酢酸の約99.9:0.1
(v/v)の混合物に安息香酸約1%(w/v)を溶解
した溶剤を使用した。この変更によって、定性的データ
に記載すべき変化はなかったが、定量的データは下記の
表6に示されており、差異はこの表から容易に見てとれ
るであろう。
【表6】
【0093】APOZの実施例 実施例31 A.APOZの合成 APOZは上記のChibber に記載されている方法で合成
された。 B.APOZのミラーへの使用 実施例1に記載したように(ただしセルギャップを約1
25μmとした)ミラーを作成した。このミラーに、共
にプロピレンカーボネート約99%と氷酢酸約1%(v
/v)との組み合わせよりなる溶剤に溶解したEVCl
4 約0.04モル(カソード化合物)と還元されたA
POZ約0.04モル(アノード化合物)を含有する本
発明によるエレクトロケミクロミック溶液を充填した。
APOZの還元は実施例1に記載された方法で実施され
た。溶液を充填されたミラーに約1.0ボルトの印加電
位を導入した。ミラーは灰色に迅速かつ均質に発色し、
虹彩効果は無視しうる程度であった。ミラー中心部の高
い反射率は約76.3%であって、約7.0%の低い反
射率まで低下した。そして約1.0ボルトの電位を印加
した時、反射率が約70%から約20%まで低下する応
答時間は約1.9秒であった。この測定は実施例1に記
載した反射計を使用して行われた。さらに、約ゼロ印加
電位で、このミラーは約3.2秒の応答時間で反射率約
10%から反射率約60%まで消色した。そして約ゼロ
印加電位において反射率約20%から約60%まで変化
する応答時間は約2.3秒であった。消色は均一であ
り、消色された状態でのミラーは透明無色に見え、良好
なエレクトロクロミック性能をを示した。
【0094】BPOZの実施例 実施例32 A.BPOZの合成 BPOZはA.Butenandt 等の論文”Modellversuche zur
Konstitution derOmmochrome die Kondensation von H
ydroxy-chinonen mit o-Aminophenolen" ,Liebigs Ann.
Chem., 632, 134-43 (1960) に記載された方法によっ
て合成された。 B.BPOZのミラーへの使用 実施例1に記載したように(ただしセルギャップを約1
25μmとした)ミラーを作成した。このミラーに、共
にプロピレンカーボネート約99%と氷酢酸約1%(v
/v)との組み合わせよりなる溶剤に溶解したEVCl
4 約0.025モル(カソード化合物)と還元された
BPOZ約0.025モル(アノード化合物)を含有す
る本発明によるエレクトロケミクロミック溶液を充填し
た。BPOZの還元は実施例1に記載された方法で実施
された。溶液を充填されたミラーに最初は約1.0ボル
トの電位を印加した。ミラーは灰色ぽっい色に迅速かつ
均質に発色し、虹彩効果は無視しうる程度であった。次
に約1.3ボルトの電位を印加したところ、再び迅速か
つ均質的に灰色に発色した。ミラー中心部の高い反射率
は約80.5%であって、約8.2%の低い反射率まで
低下した。そして約1.0ボルトの電位を印加した時、
反射率が約70%から約20%まで低下する応答時間は
約1.6秒であった。この測定は実施例1に記載した反
射計を使用して行われた。次に、約1.3%ボルトの電
位を印加したとき、中心部の高い反射率は約80.5%
から約6.3%まで約1.7秒の応答時間で低下した。
さらに、約1.3ボルトの電位を印加した後、このミラ
ーは3.6秒の応答時間で反射率約10%から反射率約
60%まで消色した。そして約ゼロ印加電位において反
射率約20%から約60%まで変化する応答時間は約2
秒であった。またさらに、約1.0ボルトの電位を印加
した後、このミラーは3.7秒の応答時間で反射率約1
0%から反射率約60%まで消色した。そしてこのゼロ
印加電位において反射率20%から60%まで変化する
応答時間は約2.8秒であった。いずれの場合にも、消
色は均質的になされ、消色時は黄色がかって見えた。こ
れは、たいへん良好な紫外線安定性および優れた熱安定
性とサイクル安定性を示すものであった。
【0095】BMPTの実施例 実施例33 A.BMPTの合成 BMPTは欧州特許願EP0115394(Merck Fros
st Canada)に記載されている方法に従って製造された。
すなわち、メタノール約40mlに2−ブロモ−6−メチ
ル−1,4−ベンゾキノン約2gを溶解し、この溶液に
20分間でメタノール約10ml中2−アミノ−チオフェ
ノール約0.7gの溶液を添加した。添加完了後この混
合物を約室温で2時間撹拌した。このあと褐色を帯びた
赤色沈殿を濾過し、メタノールで洗って生成物を単離し
た。60%以上の収率で生成物は得られた。この生成物
の融点は約176乃至約178℃と測定された。 B.BMPTのミラーへの使用 実施例1に記載したように(ただしセルギャップは約1
25μmとして)ミラーを作成した。このミラーに、共
にプロピレンカーボネート約99%と氷酢酸約1%(v
/v)との組み合わせよりなる溶剤に溶解したEVCl
4 約0.02モル(カソード化合物)と還元されたB
MPT約0.02モル(アノード化合物)を含有する本
発明によるエレクトロケミクロミック溶液を充填した。
BMPTの還元は実施例1に記載された方法で実施され
た。溶液を充填されたミラーに約1.3ボルトの印加電
位を導入した。ミラーは青紫色に迅速かつ均質に発色
し、虹彩効果は無視しうる程度であった。ミラー中心部
の高い反射率は約81.4%であって、約1.3ボルト
の電位を印加した時、約6.6%の低い反射率まで低下
した。反射率が約70%から約20%まで低下する応答
時間は約2.4秒であった。この測定は実施例1に記載
した反射計を使用して行われた。さらに、約ゼロ印加電
位で、このミラーは約3.8秒の応答時間で反射率約1
0%から反射率約60%まで消色した。そして約ゼロ印
加電位において反射率約20%から約60%まで変化す
る応答時間は約2.8秒であった。消色は均一であり、
消色された状態でのミラー外観は銀様であった。約1.
0ボルトの印加電位で発色し、約ゼロ印加電位で消色す
る15−15秒発色−消色サイクルの約15000回の
くりかえしにおいて優れたサクル安定性を示した。
【0096】KEPAの実施例 実施例34 A.KEPAの合成 KEPAはH.McIlwainの論文”The Phenazine Series.
Part IV. Reaction ofAlkyl Phenazonium Salts; the P
henoxyls " , J. Chem. Soc., 1704-11(1937)に記載さ
れている方法によって製造された。 B.KEPAのミラーへの使用 実施例1に記載したように(ただしセルギャップは約1
25μmとして)ミラーを作成した。このミラーに、共
にプロピレンカーボネート約99%と氷酢酸約1%(v
/v)との組み合わせよりなる溶剤に溶解したEVCl
4 約0.02モル(カソード化合物)と還元されたK
EPA約0.02モル(アノード化合物)を含有する本
発明によるエレクトロケミクロミック溶液を充填した。
KEPAの還元は前記実施例1に記載された方法で実施
された。溶液を充填されたミラーに約1.0ボルトの印
加電位を導入した。ミラーは青紫色に迅速かつ均質に発
色し、虹彩効果は無視しうる程度であった。ミラー中心
部の高い反射率は約68.0%であって、約1.0ボル
トの電位を印加した時、約6.3%の低い反射率まで低
下した。反射率が約60%から約20%まで低下する応
答時間は約1.6秒であった。この測定は実施例1に記
載した反射計を使用して行われた。さらに、約ゼロ印加
電位で、このミラーは約6.1秒の応答時間で反射率約
10%から反射率約60%まで消色した。そしてゼロ印
加電位において反射率約20%から約60%まで変化す
る応答時間は約4.6秒であった。消色は均一であり、
消色された状態でのミラー外観は銀様であった。約1.
4ボルトの印加電位で発色し、約ゼロ印加電位で消色す
る15−15秒発色−消色サイクルの約2000回のく
りかえしにおいて優れたサクル安定性を示した。
【0097】DCIの実施例 実施例35 実施例1に記載したように(ただしセルギャップは約1
25μmとして)ミラーを作成した。このミラーに、共
にプロピレンカーボネート約99%と氷酢酸約1%(v
/v)との組み合わせよりなる溶剤に溶解したEVCl
4 約0.03モル(カソード化合物)と還元されたD
CI約0.03モル(アノード化合物として)を含有す
る本発明によるエレクトロケミクロミック溶液を充填し
た。DCIの還元は前記実施例1に記載された方法で実
施された。溶液を充填されたミラーに約1.4ボルトの
印加電位を導入した。ミラーは青紫色に迅速かつ均質に
発色し、虹彩効果は無視しうる程度であった。ミラー中
心部の高い反射率は約78.6%であって、約1.4ボ
ルトの電位を印加した時、約7.3%の低い反射率まで
低下した。反射率が約70%から約20%まで低下する
応答時間は約3.6秒であった。この測定は実施例1に
記載した反射計を使用して行われた。さらに、約ゼロ印
加電位で、このミラーは約4.7秒の応答時間で反射率
約10%から反射率約60%まで消色した。消色は均一
であり、消色された状態でのミラー外観は銀様であり、
優れたエレクトロクロミック性能を示した。
【0098】AAの実施例 実施例36 実施例1に記載したように(ただしセルギャップは約1
35μmとして)ミラーを作成した。このミラーに、共
にプロピレンカーボネート約99.5%と氷酢酸約0.
5%(v/v)との組み合わせよりなる溶剤に溶解した
EVCl O4 約0.02モル(カソード化合物)と還元
されたAA約0.02モル(アノード化合物)を含有す
る本発明によるエレクトロケミクロミック溶液を充填し
た。AAの還元は前記実施例1に記載された方法で実施
された。溶液を充填されたミラーに約1.0ボルトの印
加電位を導入した。ミラーは青紫色に迅速かつ均質に発
色し、虹彩効果は無視しうる程度であった。ミラー中心
部の高い反射率は約80.0%であって、約1.0ボル
トの電位を印加した時、約7.1%の低い反射率まで低
下した。反射率が約70%から約20%まで低下する応
答時間は約1.1秒であった。この測定は実施例1に記
載した反射計を使用して行われた。さらに、約ゼロ印加
電位で、このミラーは約4.4秒の応答時間で反射率約
10%から反射率約60%まで消色した。消色は均一で
あった。
【0099】ABの実施例 実施例37 実施例1に記載したように(ただしセルギャップは約1
35μmとして)ミラーを作成した。このミラーに、共
にプロピレンカーボネート約99.5%と氷酢酸約0.
5%(v/v)との組み合わせよりなる溶剤に溶解した
EVCl O4 約0.02モル(カソード化合物)と還元
されたAB約0.02モル(アノード化合物)を含有す
る本発明によるエレクトロケミクロミック溶液を充填し
た。ABの還元は前記実施例1に記載された方法で実施
された。溶液を充填されたミラーに約1.0ボルトの印
加電位を導入した。ミラーは青紫色に迅速かつ均質に発
色し、虹彩効果は無視しうる程度であった。ミラー中心
部の高い反射率は約79.5%であって、約1.0ボル
トの電位を印加した時、約6.8%の低い反射率まで低
下した。反射率が約70%から約20%まで低下する応
答時間は約1.2秒であった。この測定は実施例1に記
載した反射計を使用して行われた。さらに、約ゼロ印加
電位で、このミラーは約4.8秒の応答時間で反射率約
10%から反射率約60%まで消色した。消色は均一で
あった。
【0100】ACの実施例 実施例38 実施例1に記載したように(ただしセルギャップは約1
35μmとして)ミラーを作成した。このミラーに、共
にプロピレンカーボネート約99.5%と氷酢酸約0.
5%(v/v)との組み合わせよりなる溶剤に溶解した
EVCl O4 約0.02モル(カソード化合物)と還元
されたAC約0.02モル(アノード化合物)を含有す
る本発明によるエレクトロケミクロミック溶液を充填し
た。ACの還元は前記実施例1に記載された方法で実施
された。溶液を充填されたミラーに約1.0ボルトの印
加電位を導入した。ミラーは青紫色に迅速かつ均質に発
色し、虹彩効果は無視しうる程度であった。ミラー中心
部の高い反射率は約80.6%であって、約1.0ボル
トの電位を印加した時、約8.3%の低い反射率まで低
下した。反射率が約70%から約20%まで低下する応
答時間は約1.1秒であった。この測定は実施例1に記
載した反射計を使用して行われた。さらに、約ゼロ印加
電位で、このミラーは約5.1秒の応答時間で反射率約
10%から反射率約60%まで消色した。消色は均一で
あった。
【0101】MBの実施例 実施例39 実施例1に記載したように(ただしセルギャップは約1
35μmとして)ミラーを作成した。このミラーに、共
にプロピレンカーボネート約99.5%と氷酢酸約0.
5%(v/v)との組み合わせよりなる溶剤に溶解した
EVCl O4 約0.02モル(カソード化合物)と還元
されたAC約0.02モル(アノード化合物)を含有す
る本発明によるエレクトロケミクロミック溶液を充填し
た。MBの還元は前記実施例1に記載された方法で実施
された。溶液を充填されたミラーに約1.0ボルトの印
加電位を導入した。ミラーは青紫色に迅速かつ均質に発
色し、虹彩効果は無視しうる程度であった。ミラー中心
部の高い反射率は約81.1%であって、約1.0ボル
トの電位を印加した時、約9.0%の低い反射率まで低
下した。反射率が約70%から約20%まで低下する応
答時間は約1.5秒であった。この測定は実施例1に記
載した反射計を使用して行われた。さらに、約ゼロ印加
電位で、このミラーは約3.6秒の応答時間で反射率約
10%から反射率約60%まで消色した。消色は均一で
あった。
【0102】チオニンの実施例 実施例40(THCl) 実施例1に記載したように(ただしセルギャップは約1
35μmとして)ミラーを作成した。このミラーに、共
にプロピレンカーボネート約99.5%と氷酢酸約0.
5%(v/v)との組み合わせよりなる溶剤に溶解し
た、EVCl O4約0.02モル(カソード化合物)と
還元塩化チオニン(THCl)約0.02モル(アノード
化合物)を含有する本発明によるエレクトロケミクロミ
ック溶液を充填した。THCl の還元は前記実施例1に
記載された方法で実施された。溶液を充填されたミラー
に約1.0ボルトの印加電位を導入した。ミラーは青紫
色に迅速かつ均質に発色し、虹彩効果は無視しうる程度
であった。ミラー中心部の高い反射率は約80.4%で
あって、約1.0ボルトの電位を印加した時、約6.8
%の低い反射率まで低下した。反射率が約70%から約
20%まで低下する応答時間は約1.2秒であった。こ
の測定は実施例1に記載した反射計を使用して行われ
た。さらに、約ゼロ印加電位で、このミラーは約3.5
秒の応答時間で反射率約10%から反射率約60%まで
消色した。消色は均一であった。
【0103】実施例41(THAC) 実施例1に記載したように(ただしセルギャップは約1
35μmとして)ミラーを作成した。このミラーに、共
にプロピレンカーボネート約99.5%と氷酢酸約0.
5%(v/v)との組み合わせよりなる溶剤に溶解した
EVCl O4 約0.02モル(カソード化合物)と還元
された酢酸チオニン(THAc)約0.02モル(アノー
ド化合物)を含有する本発明によるエレクトロケミクロ
ミック溶液を充填した。THAC の還元は前記実施例1
に記載された方法で実施された。溶液を充填されたミラ
ーに約1.0ボルトの印加電位を導入した。ミラーは紫
色に迅速かつ均質に発色し、虹彩効果は無視しうる程度
であった。ミラー中心部の高い反射率は約81.8%で
あって、約1.0ボルトの電位を印加した時、約6.8
%の低い反射率まで低下した。反射率が約70%から約
20%まで低下する応答時間は約1.2秒であった。こ
の測定は実施例1に記載した反射計を使用して行われ
た。さらに、約ゼロ印加電位で、このミラーは約4.2
秒の応答時間で反射率約10%から反射率約60%まで
消色した。消色は均一であった。
【0104】実施例42(THCl O4) 実施例1に記載したように(ただしセルギャップは約1
35μm)ミラーを作成した。このミラーに、共にプロ
ピレンカーボネート約99.5%と氷酢酸約0.5%
(v/v)との組み合わせよりなる溶剤に溶解したEV
Cl O4 約0.02モル(カソード化合物)と還元され
た過塩素酸チオニン(THCl O4)約0.02モル(ア
ノード化合物)を含有する本発明によるエレクトロケミ
クロミック溶液を充填した。THCl O4 の還元は前記
実施例1に記載された方法で実施された。溶液を充填さ
れたミラーに約1.0ボルトの印加電位を導入した。ミ
ラーは紫色に迅速かつ均質に発色し、虹彩効果は無視し
うる程度であった。ミラー中心部の高い反射率は約7
9.4%であって、約1.0ボルトの電位を印加した
時、約9.2%の低い反射率まで低下した。反射率が約
70%から約20%まで低下する応答時間は約1.5秒
であった。この測定は実施例1に記載した反射計を使用
して行われた。さらに、約ゼロ印加電位で、このミラー
は約6.1秒の応答時間で反射率約10%から反射率約
60%まで消色した。消色は均一であった。
【0105】実施例43(THBF4) 実施例1に記載したように(ただしセルギャップは約1
35μm)ミラーを作成した。このミラーに、共にプロ
ピレンカーボネート約99.5%と氷酢酸約0.5%
(v/v)との組み合わせよりなる溶剤に溶解したEV
Cl O4 約0.02モル(カソード化合物)と還元され
たテトラフルオロホウ酸チオニン(THBF4)約0.0
2モル(アノード化合物)を含有する本発明によるエレ
クトロケミクロミック溶液を充填した。THBF4 の還
元は前記実施例1に記載された方法で実施された。溶液
を充填されたミラーに約1.0ボルトの印加電位を導入
した。ミラーは紫色に迅速かつ均質に発色し、虹彩効果
は無視しうる程度であった。ミラー中心部の高い反射率
は約80.6%であって、約1.0ボルトの電位を印加
した時、約9.4%の低い反射率まで低下した。反射率
が約70%から約20%まで低下する応答時間は約1.
6秒であった。この測定は実施例1に記載した反射計を
使用して行われた。さらに、約ゼロ印加電位で、このミ
ラーは約5.7秒の応答時間で反射率約10%から反射
率約60%まで消色した。消色は均一であった。
【0106】実施例44(THPF6) 実施例1に記載したように(ただしセルギャップは約1
35μmとした)ミラーを作成した。このミラーに、共
にプロピレンカーボネート約99.5%と氷酢酸約0.
5%(v/v)との組み合わせよりなる溶剤に溶解した
EVCl O4 約0.02モル(カソード化合物)と還元
されたテトラフルオロリン酸チオニン(THPF6)約
0.02モル(アノード化合物)を含有する本発明によ
るエレクトロケミクロミック溶液を充填した。THPF
6 の還元は前記実施例1に記載された方法で実施され
た。溶液を充填されたミラーに約1.0ボルトの印加電
位を導入した。ミラーは紫色に迅速かつ均質に発色し、
虹彩効果は無視しうる程度であった。ミラー中心部の高
い反射率は約80.2%であって、約1.0ボルトの電
位を印加した時、約11.7%の低い反射率まで低下し
た。反射率が約70%から約20%まで低下する応答時
間は約1.8秒であった。この測定は実施例1に記載し
た反射計を使用して行われた。さらに、約ゼロ印加電位
で、このミラーは約3.5秒の応答時間で反射率約20
%から反射率約60%まで消色した。消色は均一であっ
た。
【0107】実施例45(THCF3 SO3 実施例1に記載したように(ただしセルギャップは約1
35μmとして)ミラーを作成した。このミラーに、共
にプロピレンカーボネート約99.5%と氷酢酸約0.
5%(v/v)との組み合わせよりなる溶剤に溶解した
EVCl O4 約0.02モル(カソード化合物)と還元
されたトリフルオロスルホン酸チオニン(THCF3
3)約0.02モル(アノード化合物)を含有する本発
明によるエレクトロケミクロミック溶液を充填した。T
HCF3 SO3 の還元は前記実施例1に記載された方法
で実施された。溶液を充填されたミラーに約1.0ボル
トの印加電位を導入した。ミラーは紫色に迅速かつ均質
に発色し、虹彩効果は無視しうる程度であった。ミラー
中心部の高い反射率は約80.4%であって、約1.0
ボルトの電位を印加した時、約11.7%の低い反射率
まで低下した。反射率が約70%から約20%まで低下
する応答時間は約1.6秒であった。この測定は実施例
1に記載した反射計を使用して行われた。さらに、約ゼ
ロ印加電位で、このミラーは約2.8秒の応答時間で反
射率約20%から反射率約60%まで消色した。消色は
均一であった。一般的にいって、紫外線照射加速試験に
おいて、ACやTHAc のごとき第1アミノまたは第2
アミノ置換基を有するジアミノフェノチアジン誘導体は
AA、AB、MBのごとき少なくとも1つの第3アミノ
置換基を有するジアミノフェノチアジン誘導体よりも優
れたエレクトロクロミック性能を示すことがわかった。
【0108】以上、本発明を説明するため好ましいエレ
クトロケミクロミック化合物と溶剤を使用した実施例を
記載したが、これら実施例から集められた結果を考慮す
るならば、本明細書に記載されているいずれのエレクト
ロケミクロミック化合物および溶液を使用しても、たと
え上記実施例のものと同等ではないにしろ、十分適当な
結果が与えられるであろうことうが理解されるであろ
う。本発明を説明および実施例により記載したが、本発
明の特許請求の範囲内で変更および修正がされることは
当技術分野に通常の知識を有する者にとって明らかであ
ろう。常用実験を使用して、上記した実施態様と等価な
ものが存在することは認識されまたは容易に確かめられ
るであろう。もちろん、そのような等価な実施態様も特
許請求の範囲に記載された本発明の範囲に包含されるも
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明によるエレクトロケミクロミッ
ク溶液を収容したエレクトロケミクロミックセルの断面
図である。
【図2】図2は、本発明によるエレクトロケミクロミッ
クミラー組立体、すなわち、1つの自動車室内バックミ
ラーの斜視図である。
【符号の説明】
1 エレクトロケミクロミックセル 2、3 ガラス基板 4 導電性コーティング 5 シール手段 6 エレクトロケミクロミック溶液 7 反射性コーティング 8 母線 9 リード線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ミンタン ツァオ アメリカ合衆国.49423 ミシガン,ホラ ンド,アパートメント 5,リッジランド コート 348 (72)発明者 ハミド アール.ハビビ アメリカ合衆国.49423 ミシガン,ホラ ンド,クラグスポウ コート 2630 (72)発明者 ニオール アール.ライナム アメリカ合衆国.49423 ミシガン,ホラ ンド,フォックスタウン ロード 248

Claims (110)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 印加電位がそれに導入された時に変色可
    能なエレクトロケミクロミック溶液において、 (a)少なくとも1種のアノード化合物であって、該ア
    ノード化合物はあらかじめレドックス剤と、そのレドッ
    クス剤と接触させる前とは異なる原子価状態で該カソー
    ド化合物が存在するような態様で、接触されているアノ
    ード化合物; (b)少なくとも1種のカソード化合物;および (c)溶媒を含有しており、該異なる原子価状態にある
    少なくとも1種のアノード化合物のレドックス電位は該
    溶剤と接触している間該少なくとも1種のカソード化合
    物のレドックス電位よりも大きいことを特徴とするエレ
    クトロケミクロミック溶液。
  2. 【請求項2】 該少なくとも1種のアノード化合物が2
    種以上のアノード化合物の組合せであり、その組合せ中
    の少なくとも1種のアノード化合物はレドックス剤とあ
    らかじめ接触されている必要がない請求項1記載のエレ
    クトロケミクロミック溶液。
  3. 【請求項3】 該アノード化合物が下記式で表される化
    合物である請求項1記載のエレクトロケミクロミック溶
    液 【化1】 (式中、AはO,SまたはNRR1であり、ここでRとR1
    は互いに同種または異種であり、 それぞれHおよび約1乃至約6個の炭素原子を有する直
    鎖または分枝鎖アルキル部分からなる群より選択される
    が、ただしAがNRR1である場合はQはH,OHまたは
    NRR1を意味し;DはO,S,NR1またはSe であり;
    EはR1,COOHまたはCONH2 であり;GはHであ
    り;JはH、約1乃至約6個の炭素原子を有する直鎖ま
    たは分枝鎖アルキル部分、 NRR1、NRC(=O)R1、OR1、フェニル、2、4−
    ジヒドロキシフェニルまたはハロゲンを意味するか、ま
    たはGとJは両者一緒に、それらが結合している環炭素
    原子を含めて、6個の環炭素原子を有する芳香族環を形
    成しており;LはHまたはOHであり;MはHまたはハ
    ロゲンであり;TはR1、フェニルまたは2、4−ジヒド
    ロキシフェニルであり;またQはH,OHまたはNRR1
    を意味する)。
  4. 【請求項4】 該アノード化合物中のNがN酸化物であ
    る請求項3記載のエレクトロケミクロミック溶液。
  5. 【請求項5】 該アノード化合物中のAがNRR1である
    場合、テトラフルオロホウ素酸塩、過塩素酸塩、トリフ
    ルオロメタンスルホン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、
    酢酸塩およびハロゲンからなる群より選択された塩を形
    成している請求項3記載のエレクトロケミクロミック溶
    液。
  6. 【請求項6】 該アノード化合物中のQがOHである場
    合、アルカリ金属からなる群より選択された塩を形成し
    ている請求項3記載のエレクトロケミクロミック溶液。
  7. 【請求項7】 該アノード化合物が下記式からなる化合
    物のクラスから選択された化合物またはそれらの組合せ
    である請求項3記載のエレクトロケミクロミック溶液: 【化2】 【化3】 【化4】 【化5】
  8. 【請求項8】 該アノード化合物が下記式によって表さ
    れる化合物である請求項3記載のエレクトロケミクロミ
    ック溶液: 【化6】
  9. 【請求項9】 該アノード化合物が下記式によって表さ
    れる化合物である請求項3記載のエレクトロケミクロミ
    ック溶液: 【化7】
  10. 【請求項10】 該アノード化合物が下記式によって表
    される化合物である請求項3記載のエレクトロケミクロ
    ミック溶液: 【化8】
  11. 【請求項11】 該アノード化合物が下記式によって表
    される化合物である請求項3記載のエレクトロケミクロ
    ミック溶液: 【化9】
  12. 【請求項12】 該アノード化合物が下記式によって表
    される化合物である請求項3記載のエレクトロケミクロ
    ミック溶液: 【化10】
  13. 【請求項13】 該アノード化合物が下記式によって表
    される化合物である請求項3記載のエレクトロケミクロ
    ミック溶液: 【化11】
  14. 【請求項14】 該アノード化合物が下記式によって表
    される化合物である請求項3記載のエレクトロケミクロ
    ミック溶液: 【化12】
  15. 【請求項15】 該アノード化合物が下記式によって表
    される化合物である請求項3記載のエレクトロケミクロ
    ミック溶液: 【化13】
  16. 【請求項16】 該アノード化合物が下記式によって表
    される化合物である請求項3記載のエレクトロケミクロ
    ミック溶液: 【化14】
  17. 【請求項17】 該アノード化合物が下記式によって表
    される化合物である請求項3記載のエレクトロケミクロ
    ミック溶液: 【化15】
  18. 【請求項18】 該アノード化合物が下記式によって表
    される化合物である請求項3記載のエレクトロケミクロ
    ミック溶液: 【化16】
  19. 【請求項19】 該アノード化合物が下記式によって表
    される化合物である請求項3記載のエレクトロケミクロ
    ミック溶液: 【化17】
  20. 【請求項20】 該アノード化合物が下記式によって表
    される化合物である請求項3記載のエレクトロケミクロ
    ミック溶液: 【化18】
  21. 【請求項21】 該アノード化合物が下記式によって表
    される化合物である請求項3記載のエレクトロケミクロ
    ミック溶液: 【化19】
  22. 【請求項22】 該アノード化合物が下記式によって表
    される化合物である請求項3記載のエレクトロケミクロ
    ミック溶液: 【化20】
  23. 【請求項23】 該アノード化合物が下記式によって表
    される化合物である請求項3記載のエレクトロケミクロ
    ミック溶液: 【化21】
  24. 【請求項24】 該アノード化合物が下記式によって表
    される化合物である請求項3記載のエレクトロケミクロ
    ミック溶液: 【化22】
  25. 【請求項25】 該アノード化合物が下記式によって表
    される化合物である請求項3記載のエレクトロケミクロ
    ミック溶液: 【化23】
  26. 【請求項26】 該アノード化合物が下記式によって表
    される化合物である請求項3記載のエレクトロケミクロ
    ミック溶液: 【化24】
  27. 【請求項27】 該アノード化合物が下記式によって表
    される化合物である請求項3記載のエレクトロケミクロ
    ミック溶液: 【化25】
  28. 【請求項28】 該アノード化合物が下記式によって表
    される化合物である請求項3記載のエレクトロケミクロ
    ミック溶液: 【化26】
  29. 【請求項29】 該アノード化合物が下記式によって表
    される化合物である請求項3記載のエレクトロケミクロ
    ミック溶液: 【化27】
  30. 【請求項30】 該アノード化合物が下記式によって表
    される化合物である請求項3記載のエレクトロケミクロ
    ミック溶液: 【化28】
  31. 【請求項31】 該少なくとも1種のアノード化合物が
    レドックス剤と接触させた後、単離されている請求項1
    記載のエレクトロケミクロミック溶液。
  32. 【請求項32】 該単離された少なくとも1種のアノー
    ド化合物が下記式で表される化合物である請求項31記
    載のエレクトロケミクロミック溶液: 【化29】
  33. 【請求項33】 該アノード化合物が下記式で表される
    化合物である請求項1記載のエレクトロケミクロミック
    溶液: 【化30】 [式中、XとYは互いに同種または異種であり、それぞ
    れH、ハロゲンおよびNRR1からなる群より選択され
    (ここでRとR1は同種または異種であり、それぞれHお
    よび約1乃至約3個の炭素原子を有する直鎖または分枝
    鎖アルキル部分からなる群より選択されうる)るか、あ
    るいはXとYは両者一緒に、それらが結合している環炭
    素原子を含めて、6個の環炭素原子を有する芳香族環を
    形成しており;かつZはOHまたはNRR1あるいはそれ
    らの塩を意味する]。
  34. 【請求項34】 該アノード化合物が下記式の化合物で
    ある請求項33記載のエレクトロケミクロミック溶液: 【化31】
  35. 【請求項35】 該カソード化合物が下記式からなる化
    合物の群より選択される請求項1記載のエレクトロケミ
    クロミック溶液: 【化32】 [式中、 R2とR3は互いに同種または異種であり、それぞれH、約
    1乃至約6個の炭素原子を有するアルキル、直鎖または
    分枝鎖アルキルフェニルもしくはアルコキシフェニル
    (ここでそのアルキル部分またはアルコキシ部分は約1
    乃至約6個の炭素原子を含有する)からなる群より選択
    され;Xはテトラフルオロホウ素酸塩、過塩素酸塩、ト
    リフルオロメタンスルホン酸塩、ヘキサフルオロリン酸
    塩、酢酸塩、ハロゲン化物およびそれらの組合せからな
    る群より選択される]。
  36. 【請求項36】 該カソード化合物が下記式によって表
    される化合物である請求項35記載のエレクトロケミク
    ロミック溶液: 【化33】
  37. 【請求項37】 該カソード化合物が下記式によって表
    される化合物である請求項35記載のエレクトロケミク
    ロミック溶液: 【化34】
  38. 【請求項38】 該カソード化合物が下記式によって表
    される化合物である請求項35記載のエレクトロケミク
    ロミック溶液: 【化35】
  39. 【請求項39】 (a)のレドックス剤が固体形態であ
    る請求項1記載のエレクトロケミクロミック溶液。
  40. 【請求項40】 該レドックス剤が約50乃至約400
    メッシュの粒径を有している請求項39記載のエレクト
    ロケミクロミック溶液。
  41. 【請求項41】 (a)のレドックス剤がエレクトロケ
    ミクロミック化合物をそれと接触させた時に接触前に該
    エレクトロケミクロミック化合物が所有していた原子価
    状態に比較して減少された原子価状態をとらせることの
    できる還元剤である請求項1記載のエレクトロケミクロ
    ミック溶液。
  42. 【請求項42】 該還元剤が亜鉛、アスコルビン酸、亜
    硫酸水素ナトリウム、塩化バナジウム(III) 、酢酸クロ
    ム(II)、二酸化硫黄およびこれらの組合せからなる群よ
    り選択される請求項41記載のエレクトロケミクロミッ
    ク溶液。
  43. 【請求項43】 該還元剤が亜鉛である請求項42記載
    のエレクトロケミクロミック溶液。
  44. 【請求項44】 (c)の溶媒が下記ならびにそれらの
    混合物からなる群より選択される請求項1記載のエレク
    トロケミクロミック溶液:アセトニトリル、3−ヒドロ
    キシプロピオニトリル、メトキシプロピオニトリル、3
    −エトキシプロピオニトリル、プロピレンカーボネー
    ト、2−アセチルブチロラクトン、シアノエチルスクロ
    ース、γ−ブチロラクトン、2−メチルグルタロニトリ
    ル、N,N’−ジメチルホルムアミド、3−メチルスル
    ホラン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シク
    ロヘキサノン、ベンゾイルアセトン、4−ヒドロキシ−
    4−メチル−2−ペンタノン、アセトフェノン、グルタ
    ロニトリル、3、3’−オキシジプロピオニトリル、2
    −メトキシエチルエーテル、トリエチレングリコールジ
    メチルエーテル。
  45. 【請求項45】 (c)の溶媒が酸性である請求項1記
    載のエレクトロケミクロミック溶液。
  46. 【請求項46】 溶媒が溶媒成分として酢酸、ハロゲン
    化水素ガス溶液、過塩素酸、2−アセチルブチロラクト
    ン、3−ヒドロキシプロピオニトリル、安息香酸溶液、
    アスコルビン酸溶液およびこれらの混合物からなる群よ
    り選択された酸性物質を使用することによって酸性化し
    てある請求項45記載のエレクトロケミクロミック溶
    液。
  47. 【請求項47】 該溶媒成分が酢酸である請求項46記
    載のエレクトロケミクロミック溶液。
  48. 【請求項48】 該溶媒成分が約0.01乃至約75%
    (v/v)の範囲の量で使用された酢酸である請求項47記
    載のエレクトロケミクロミック溶液。
  49. 【請求項49】 該溶媒成分が約0.5乃至約5%(v/
    v)の範囲の量で使用された酢酸である請求項47記載の
    エレクトロケミクロミック溶液。
  50. 【請求項50】 該溶媒成分が約3%(v/v)の量で使用
    された酢酸である請求項47記載のエレクトロケミクロ
    ミック溶液。
  51. 【請求項51】 溶媒が3−ヒドロキシプロピオニトリ
    ル約74%(v/v)、グルタロニトリル約25%(v
    /v)および酢酸約1%(v/v)からなる請求項46
    記載のエレクトロケミクロミック溶液。
  52. 【請求項52】 溶媒が3−ヒドロキシプロピオニトリ
    ル約49.5%(v/v)、グルタロニトリル約49.
    5%(v/v)および酢酸約1%(v/v)からなる請
    求項46記載のエレクトロケミクロミック溶液。
  53. 【請求項53】 溶媒がプロピレンカーボネート約64
    %(v/v)、シアノエチルスクロース約35%(v/
    v)および酢酸約1%(v/v)からなる請求項46記
    載のエレクトロケミクロミック溶液。
  54. 【請求項54】 溶媒がプロピレンカーボネート約74
    %(v/v)、シアノエチルスクロース約25%(v/
    v)および酢酸約1%(v/v)からなる請求項46記
    載のエレクトロケミクロミック溶液。
  55. 【請求項55】 溶媒が3−ヒドロキシプロピオニトリ
    ル約69%(v/v)、3、3’−オキシジプロピオニ
    トリル約30%(v/v)および酢酸約1%(v/v)
    からなる請求項46記載のエレクトロケミクロミック溶
    液。
  56. 【請求項56】 溶媒がプロピレンカーボネート約99
    %(v/v)と酢酸約1%(v/v)とからなる請求項
    46記載のエレクトロケミクロミック溶液。
  57. 【請求項57】 溶媒がプロピレンカーボネート約9
    9.5%(v/v)と酢酸約0.5%(v/v)とから
    なる請求項46記載のエレクトロケミクロミック溶液。
  58. 【請求項58】 溶媒がプロピレンカーボネート約98
    %(v/v)と酢酸約2%(v/v)とからなる請求項
    46記載のエレクトロケミクロミック溶液。
  59. 【請求項59】 溶媒がプロピレンカーボネート約97
    %(v/v)と酢酸約3%(v/v)とからなる請求項
    46記載のエレクトロケミクロミック溶液。
  60. 【請求項60】 さらに成分(d)として紫外線安定化
    剤、電解物質およびそれらの組合せからなる群より選択
    された成分を含有している請求項1記載のエレクトロケ
    ミクロミック溶液。
  61. 【請求項61】 紫外線安定化剤が下記からなる群より
    選択された物質またはそれらの組合せである請求項60
    記載のエレクトロケミクロミック溶液: ”UVINUL 400” ”UVINUL D−49” ”UVINUL N−539” ”TINUVIN P” ”TINUVIN 327” ”TINUVIN 328” ”CYASORB UV24” アクリレートとその誘導体、ベンゾトリアゾールとその
    誘導体、ベンゾフェノンとその誘導体。
  62. 【請求項62】 紫外線安定化剤が”UVINUL 4
    00”である請求項61記載のエレクトロケミクロミッ
    ク溶液。
  63. 【請求項63】 電解物質が下記からなる群より選択さ
    れた物質またはそれらの組合せである請求項60記載の
    エレクトロケミクロミック溶液:テトラブチルアンモニ
    ムヘキサフルオロリン酸塩、テトラエチルアンモニム過
    塩素酸塩、テトラブチルアンモニムテトラフルオロホウ
    素酸塩、テトラブチルアンモニムトリフルオロメタンス
    ルホナート、ハロゲンアルカリ金属塩。
  64. 【請求項64】 該電解物質がテトラブチルアンモニウ
    ムヘキサフルオロリン酸塩である請求項63記載ののエ
    レクトロケミクロミック溶液。
  65. 【請求項65】 エレクトロケミクロミック溶液中のア
    ノード化合物とカソード化合物の合計濃度が約0.00
    1乃至約0.1Mの範囲にある請求項1記載のエレクト
    ロケミクロミック溶液。
  66. 【請求項66】 エレクトロケミクロミック溶液中のア
    ノード化合物とカソード化合物の合計濃度が約0.04
    Mである請求項1記載のエレクトロケミクロミック溶
    液。
  67. 【請求項67】 印加電位が約0.001乃至約5ボル
    トの範囲で該溶液に導入される請求項1記載のエレクト
    ロケミクロミック溶液。
  68. 【請求項68】 印加電位が約1乃至約1.5ボルトの
    範囲で該溶液に導入される請求項67記載のエレクトロ
    ケミクロミック溶液。
  69. 【請求項69】 印加電位がそれに導入された時に変色
    可能なエレクトロケミクロミック溶液において、 (a)複数のアノード化合物の組合せであって、該組合
    せの中の少なくとも1種のアノード化合物はあらかじめ
    レドックス剤と、そのレドックス剤と接触される前とは
    異なる原子価状態で該アノード化合物が存在するような
    態様で、接触させられている組合せ; (b)少なくとも1種のカソード化合物;および (c)溶媒を含有し、該異なる原子価状態にある該組合
    せ中の少なくとも1種のアノード化合物のレドックス電
    位は、それぞれ該溶媒と接触している間、該カソード化
    合物のレドックス電位よりも大きいことを特徴とするエ
    レクトロケミクロミック溶液。
  70. 【請求項70】 その原子価状態が酸化によって変化し
    た時に可逆的に色が変化しうるエレクトロケミクロミッ
    ク化合物であって、メチレンバイオレット、2−メチル
    −フェノチアジン−3−オン、フェノチアジン−3−オ
    ンおよびフェノキサジン−3−オンからなる群より選択
    された化合物。
  71. 【請求項71】 アノード化合物の製造方法において、
    (a)エレクトロケミクロミック化合物を溶媒に溶解さ
    せる工程および、(b)該溶解されたエレクトロケミク
    ロミック化合物をレドックス剤と接触させて該エレクト
    ロケミクロミック化合物の原子価状態を変え、その溶液
    中に、該レドックス剤と接触させる前に有していた該溶
    解されたエレクトロケミクロミック化合物の原子価状態
    とは異なる原子価状態を有するアノード化合物を生成さ
    せる工程を包含する方法。
  72. 【請求項72】 さらに、(c)該アノード化合物を単
    離する工程を包含する請求項71記載の方法。
  73. 【請求項73】 該エレクトロケミクロミック化合物が
    下記化合物からなる群より選択される請求項71または
    72記載の方法:メチレンバイオレット、2−メチル−
    フェノチアジン−3−オン、フェノチアジン−3−オ
    ン、フェノキサジン−3−オン。
  74. 【請求項74】 請求項71または72記載の方法によ
    って製造されたアノード化合物。
  75. 【請求項75】 エレクトロケミクロミック溶液の製造
    方法において、(a)エレクトロケミクロミック化合物
    を溶媒で溶解させる工程、(b)該溶解されたエレクト
    ロケミクロミック化合物をレドックス剤と接触させて該
    エレクトロケミクロミック化合物の原子価状態を変え、
    該レドックス剤と接触させられる前に有していた該溶解
    されたエレクトロケミクロミック化合物の原子価状態と
    は異なる原子価状態を有するアノード化合物を溶液中に
    生成させる工程、(c)該アノード化合物をカソード化
    合物と接触させてエレクトロケミクロミック溶液を形成
    する工程、および(d)該エレクトロケミクロミック溶
    液に印加電圧を導入して電流を該エレクトロケミクロミ
    ック溶液に通し、該溶液を変色させる工程を包含する方
    法。
  76. 【請求項76】 工程(b)の後にさらに(i)該アノ
    ード化合物を単離する工程を包含する請求項75記載の
    方法。
  77. 【請求項77】 該アノード化合物が下記式によって表
    される化合物である請求項75記載の方法: 【化36】 (式中、AはO,SまたはNRR1であって、ここでRと
    R1は互いに同種または異種であり、 それぞれHおよ
    び約1乃至約6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖
    アル キル部分からなる群より選択されるが、ただし
    AがNRR1である場合はQは H,OHまたはNRR1
    を意味し;DはO,S,NRまたはSe であり;Eは
    R1,COOHまたはCONH2 であり;GはHであり;
    JはH、約1乃至約6個の炭素原子を有する直鎖または
    分枝鎖アルキル部分、NRR1、NRC(=O)R1、O
    R1、フェニル、2、4−ジヒドロキシフェニルまたはハ
    ロゲンを意味するか、またはGとJは両者一緒に、それ
    らが結合している環炭素原子を含めて、6個の環炭素原
    子を有する芳香族環を形成しており;LはHまたはOH
    であり、MはHまたはハロゲンであり;TはR1、フェニ
    ルまたは2、4−ジヒドロキシフェニルであり;またQ
    はOHまたはNRR1を意味する)。
  78. 【請求項78】 該アノード化合物が下記式によって表
    される化合物ならびにそれらの組合せからなる群より選
    択される請求項77項記載の方法: 【化37】 【化38】 【化39】 【化40】
  79. 【請求項79】 該アノード化合物が下記式で表される
    化合物である請求項75記載の方法: 【化41】 [式中、XとYは互いに同種または異種であり、それぞ
    れH、ハロゲンおよびNRR1からなる群より選択され
    (ここでRとR1は同種または異種であり、それぞれHお
    よび約1乃至約3個の炭素原子を有する直鎖または分枝
    鎖アルキル部分からなる群より選択されうる)るか、あ
    るいはXとYは両者一緒に、それらが結合している環炭
    素原子を含めて、6個の環炭素原子を有する芳香族環を
    形成しており;かつZはOHまたはNRR1あるいはそれ
    らの塩を意味する]。
  80. 【請求項80】 該アノード化合物が下記式の化合物で
    ある請求項79記載の方法: 【化42】
  81. 【請求項81】 該単離されたアノード化合物が下記式
    の化合物である請求項76記載の方法: 【化43】
  82. 【請求項82】 該カソード化合物が下記式の化合物か
    らなる群より選択される請求項75記載の方法: 【化44】 [式中、R2とR3は互いに同種または異種であり、それぞ
    れH、約1乃至約6個の炭素原子を有する直鎖または分
    枝鎖アルキル、直鎖または分枝鎖アルキルフェニルもし
    くはアルコキシフェニル(ここでそのアルキル部分また
    はアルコキシ部分は約1乃至約6個の炭素原子を含有す
    る)からなる群より選択され;Xはテトラフルオロホウ
    素酸塩、過塩素酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸
    塩、 ヘキサフルオロリン酸塩、ハロゲン化物および
    それらの組合せからなる群よ り選択される]。
  83. 【請求項83】 (b)のレドックス剤がエレクトロケ
    ミクロミック化合物をそれと接触させた時に接触前に該
    エレクトロケミクロミック化合物が所有していた原子価
    状態に比較して減少された原子価状態をとらせることの
    できる還元剤である請求項75記載の方法。
  84. 【請求項84】 該還元剤が亜鉛、アスコルビン酸、亜
    硫酸水素ナトリウム、塩化バナジウム(III) 、酢酸クロ
    ム(II)、二酸化硫黄およびこれらの組合せからなる群よ
    り選択される請求項83記載の方法。
  85. 【請求項85】 該エレクトロケミクロミック溶液がさ
    らに紫外線安定化剤、電解物質およびそれらの組合せか
    らなる群より選択された成分を含有している請求項75
    記載の方法。
  86. 【請求項86】 (a)の溶媒が下記ならびにそれらの
    組合せからなる群より選択される請求項75記載の方
    法:アセトニトリル、3−ヒドロキシプロピオニトリ
    ル、メトキシプロピオニトリル、3−エトキシプロピオ
    ニトリル、プロピレンカーボネート、2−アセチルブチ
    ロラクトン、シアノエチルスクロース、γ−ブチロラク
    トン、2−メチルグルタロニトリル、N,N’−ジメチ
    ルホルムアミド、3−メチルスルホラン、メチルエチル
    ケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ベンゾ
    イルアセトン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペン
    タノン、アセトフェノン、グルタロニトリル、3、3’
    −オキシジプロピオニトリル、2−メトキシエチルエー
    テル、トリエチレングリコールジメチルエーテル。
  87. 【請求項87】 (a)の溶媒が酸性である請求項1記
    載のエレクトロケミクロミック溶液。
  88. 【請求項88】 溶媒が溶媒成分として酢酸、ハロゲン
    化水素ガス溶液、過塩素酸、2−アセチルブチロラクト
    ン、3−ヒドロキシプロピオニトリル、安息香酸溶液、
    アスコルビン酸溶液およびこれらの混合物からなる群よ
    り選択された酸性物質を使用することによって酸性化さ
    れている請求項87記載の方法。
  89. 【請求項89】 請求項1記載のエレクトロケミクロミ
    ック溶液の使用方法において、 (a)該エレクトロケミクロミック溶液を1つのセルに
    入れる工程; (b)そのセルを該エレクトロケミクロミック溶液がセ
    ルから逃げないよう密封する工程;および (c)そのセル内に含有されたエレクトロケミクロミッ
    ク溶液に印加電位を導入して電流を該溶液に通してその
    溶液に色の変化を生じさせる工程からなることを特徴と
    する方法。
  90. 【請求項90】 下記構成要素からなるエレクトロケミ
    クロミックデバイス (a)その内側面に実質的に透明な導電性コーティング
    が塗布された実質的に透明な第1の基体; (b)その内側面に実質的に透明な導電性コーティング
    が塗布された実質的に透明な第2の基体であって、該第
    1の基板と実質的に並行に離隔された関係で配置されて
    おり、かつ第1の基板から水平方向にずらされている基
    体; (c)該第1の基体と第2の基体とのそれぞれの周縁に
    対して配置され、かつ両者の間に密封式にセルキャビテ
    イを形成しているシール手段; (d)該セルキャビテイ内に配され、その中に封じ込め
    られた請求項1記載のエレクトロケミクロミック溶液:
    および (e)該エレクトロケミクロミック溶液に印加電位を導
    入して制御可能な態様で該デバイスを透過する光の量を
    変化させる手段。
  91. 【請求項91】 該透明導電性コーティングが下記のも
    のからなる群より選択された物質によって構成されてい
    る請求項90記載のエレクトロケミクロミックデバイ
    ス:インジウムスズ酸化物、全波インジウムスズ酸化
    物、半波インジウムスズ酸化物、半波グリーンインジウ
    ムスズ酸化物、スズ酸化物、アンチモンをドープしたス
    ズ酸化物、フッ素をドープしたスズ酸化物、アンチモン
    をドープした亜鉛酸化物、アルミニウムをドープした亜
    鉛酸化物。
  92. 【請求項92】 そのデバイスがミラー、グレージン
    グ、仕切り、フィルター、デイスプレー、レンズからな
    る群より選択されるものである請求項90記載のデバイ
    ス。
  93. 【請求項93】 該グレージングが窓組立体である請求
    項90記載のエレクトロケミクロミックデバイス。
  94. 【請求項94】 該グレージングがサンルーフ組立体で
    ある請求項90記載のエレクトロケミクロミックデバイ
    ス。
  95. 【請求項95】 そのデバイスが該第1の基体または第
    2の基体のいずれか一方の1つの面上に付与された反射
    性コーティングをさらに包含するミラー組立体である請
    求項90記載のエレクトロケミクロミックデバイス。
  96. 【請求項96】 該反射性コーティングがアルミニウ
    ム、銀、プラチナ、パラジウム、チタン、クロム、ステ
    ンレススチールからなる群より選択された物質で構成さ
    れている請求項90記載のエレクトロケミクロミックミ
    ラー組立体。
  97. 【請求項97】 (a)の第1基体が相互に、実質的に
    透明な接着剤層で接合された少なくとも2枚の実質的に
    透明なパネルを含むラミネート組立体である請求項90
    記載のエレクトロケミクロミックデバイス。
  98. 【請求項98】 さらに、(g)該デバイスの周縁に形
    成された成形ケーシングを包含する請求項90記載のエ
    レクトロケミクロミックデバイス。
  99. 【請求項99】 該成形ケーシングが射出成形されたポ
    リ塩化ビニルによって構成されている請求項98記載の
    エレクトロケミクロミックデバイス。
  100. 【請求項100】 該成形ケーシングが反応射出成形さ
    れた成形可能な物質から構成されている請求項98記載
    のエレクトロケミクロミックデバイス。
  101. 【請求項101】 (c)のシール手段が熱硬化性材料
    と熱可塑性材料とからなる群より選択された物質から構
    成されうる請求項90記載のエレクトロケミクロミック
    デバイス。
  102. 【請求項102】 該シール手段が熱硬化性材料で構成
    されている請求項101記載のエレクトロケミクロミッ
    クデバイス。
  103. 【請求項103】 該シール手段が熱可塑性材料で構成
    されている請求項102記載のエレクトロケミクロミッ
    クデバイス。
  104. 【請求項104】 (a)の第1基体と(b)の第2基
    体がガラス、オプティカルプラスチック、ラミネートガ
    ラス、強化ガラスからなる群より選択された材料で構成
    されている請求項90記載のエレクトロケミクロミック
    デバイス。
  105. 【請求項105】 (a)の第1基体と(b)の第2基
    体がそれぞれ同じ材料で構成されている請求項90記載
    のエレクトロケミクロミックデバイス。
  106. 【請求項106】 (a)の第1基体と(b)の第2基
    体がそれぞれ別の材料で構成されている請求項90記載
    のエレクトロケミクロミックデバイス。
  107. 【請求項107】 下記構成要素からなるエレクトロケ
    ミクロミックデバイス: (a)その内側面に導電性コーティングが塗布された第
    1のガラス基体; (b)その内側面に導電性コーティングが塗布された第
    2のガラス基体であって、該第1のガラス基体板と実質
    的に並行に離隔された関係で配置されている基体; (c)該第1の基体と第2の基体のそれぞれの周縁に対
    して、ただしそれより内側に配置され、2つの基体の間
    に密封式にセルキャビテイを形成しているシール手段; (d)該キャビティ内に配され、その中に封じ込められ
    た、印加電位がそれに導入された時に色が変化しうるエ
    レクトロケミクロミック溶液であって、下記成分を含有
    している溶液: (1)下記の群から選択されたエレクトロケミクロミッ
    ク化合物であって、あらかじめ還元されている化合物:
    メチレンバイオレット、2−メチル−フェノチアジン−
    3−オン、フェノチアジン−3−オン、フェノキサジン
    −3−オン; (2)ビオロゲン塩; (3)下記よりなる群から選択された溶剤:3−ヒドロ
    キシプロピオニトリルとグルタロニトリルと酢酸の組合
    せ、プロピレンカーボネートと酢酸の組合せ、3−エト
    キシプロピオニトリルと2−アセチルブチロラクトンの
    組合せ、3−エトキシプロピオニトリルとグルタロニト
    リルと酢酸の組合せ、3−ヒドロキシプロピオニトリル
    と3、3’−オキシジプロピオニトリルと酢酸の組合
    せ、プロピレンカーボネートとシアノエチルスクロース
    と酢酸の組合わせ; (e)該エレクトロケミクロミック溶液に印加電位を導
    入して制御可能な態様で該溶液を透過する光の量を変化
    させる手段。
  108. 【請求項108】 上記(d)の(1)の後に、(i)
    該あらかじめ還元された化合物はそのあと単離されてい
    る請求項107記載のエレクトロケミクロミックデバイ
    ス。
  109. 【請求項109】 そのデバイスがミラー、グレージン
    グ、仕切り、フィルター、デイスプレー、レンズからな
    る群より選択されたものである請求項90または107
    記載のデバイス。
  110. 【請求項110】 そのデバイスが、該第2のガラス基
    体の1つの面に付与された反射性コーティングさらに包
    含するミラーである請求項109記載のエレクトロケミ
    クロミックデバイス。
JP4238612A 1991-09-06 1992-09-07 エレクトロケミクロミック溶液、その製法及び使用法、並びにそれを用いて製造された装置 Withdrawn JPH07216349A (ja)

Applications Claiming Priority (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US07/756,342 US5239405A (en) 1991-09-06 1991-09-06 Electrochemichromic solutions, processes for preparing and using the same, and devices manufactured with the same
US07/935,784 US5500760A (en) 1991-09-06 1992-08-27 Electrochemichromic solutions, processes for preparing and using the same, and devices manufactured with the same
GB756342 1992-09-04
GB92308022.0 1992-09-04
GB9230802 1992-09-04
GB935784 1992-09-04

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07216349A true JPH07216349A (ja) 1995-08-15

Family

ID=27266527

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4238612A Withdrawn JPH07216349A (ja) 1991-09-06 1992-09-07 エレクトロケミクロミック溶液、その製法及び使用法、並びにそれを用いて製造された装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07216349A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008039873A (ja) * 2006-08-02 2008-02-21 Oita Univ エレクトロクロミック表示体の着色・消色表示における階調や速度の制御方法
JP2009009145A (ja) * 1997-04-02 2009-01-15 Gentex Corp 予め選択された色を生ずることのできる改良されたエレクトロクロミック媒体
JP5129393B2 (ja) * 2010-09-16 2013-01-30 積水化学工業株式会社 調光シート、調光体、合わせガラス用中間膜及び合わせガラス
WO2020059597A1 (ja) * 2018-09-18 2020-03-26 キヤノン株式会社 エレクトロクロミック素子
JP2020046659A (ja) * 2018-09-18 2020-03-26 キヤノン株式会社 エレクトロクロミック素子
JP2020106786A (ja) * 2018-12-27 2020-07-09 キヤノン株式会社 エレクトロクロミック素子
CN113359361A (zh) * 2021-05-08 2021-09-07 华南理工大学 一种微腔注入型电致变色器件及其制备方法与应用

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009009145A (ja) * 1997-04-02 2009-01-15 Gentex Corp 予め選択された色を生ずることのできる改良されたエレクトロクロミック媒体
JP2008039873A (ja) * 2006-08-02 2008-02-21 Oita Univ エレクトロクロミック表示体の着色・消色表示における階調や速度の制御方法
JP5129393B2 (ja) * 2010-09-16 2013-01-30 積水化学工業株式会社 調光シート、調光体、合わせガラス用中間膜及び合わせガラス
WO2020059597A1 (ja) * 2018-09-18 2020-03-26 キヤノン株式会社 エレクトロクロミック素子
JP2020046659A (ja) * 2018-09-18 2020-03-26 キヤノン株式会社 エレクトロクロミック素子
JP2020106786A (ja) * 2018-12-27 2020-07-09 キヤノン株式会社 エレクトロクロミック素子
CN113359361A (zh) * 2021-05-08 2021-09-07 华南理工大学 一种微腔注入型电致变色器件及其制备方法与应用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5500760A (en) Electrochemichromic solutions, processes for preparing and using the same, and devices manufactured with the same
US5239405A (en) Electrochemichromic solutions, processes for preparing and using the same, and devices manufactured with the same
US4902108A (en) Single-compartment, self-erasing, solution-phase electrochromic devices, solutions for use therein, and uses thereof
US5282077A (en) Variable reflectance mirror
US5481395A (en) Prismatic variable reflectance mirrors
US7428091B2 (en) Electrochromic compounds and associated media and devices
US6876478B2 (en) Color-stabilized electrochromic devices
EP1328842B1 (en) Color-stabilized electrochromic devices
EP0435689A2 (en) Electrochemichromic solutions and devices containing them
US20050280885A1 (en) Color-stabilized electrochromic devices
JPH07216349A (ja) エレクトロケミクロミック溶液、その製法及び使用法、並びにそれを用いて製造された装置
US5290930A (en) Triphenazinoxazines
JP2672083C (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 19991130