JP2671675B2 - 屋根膜の断熱構造 - Google Patents

屋根膜の断熱構造

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JP2671675B2 JP32396091A JP32396091A JP2671675B2 JP 2671675 B2 JP2671675 B2 JP 2671675B2 JP 32396091 A JP32396091 A JP 32396091A JP 32396091 A JP32396091 A JP 32396091A JP 2671675 B2 JP2671675 B2 JP 2671675B2
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寛 鍛冶沢
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、大空間施設の対向する
外壁間に張架される屋根膜が、連結金具を介して互いに
接続される複数の膜片で構成されるようになった屋根膜
の断熱構造に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ドーム等の無柱構造となった大空
間施設の屋根を膜屋根として構築するものが出現してい
る。この膜屋根構造は大空間施設を取り囲む外壁の上端
部を、防水性の可撓膜で形成された屋根膜で覆うように
なっている。前記屋根膜は、施設内部に空気を注入する
ことによりインフレート(膨脹)し、このインフレート
状態で中央部が膨出したドーム状の屋根が構成される。
また、前記屋根膜は風等の影響でフラッタリングされる
のを防止するために、通常、対向する外壁間に架設され
たケーブルに支持されるようになっている。
【0003】ところで、前記屋根膜は大空間施設の全体
を連続して覆う必要があるため、この屋根膜はその面積
が著しく広いものとなる。このため、屋根膜は複数の膜
片を互いに接続することにより構成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
従来の膜屋根構造物にあっては、屋根が単なる膜構造で
あるため、この屋根膜を通して外気温が施設内部に影響
され易い。このため、屋根膜に断熱材を取り付けて、外
気温影響を極力少なくすることが望ましい。
【0005】ところが、このように屋根膜に断熱材を取
り付けるにしても、この屋根膜が複数の膜片を互いに接
続することにより構成されるため、これら膜片の接続を
金具を介して行う場合には、当該接続部分に断熱材を設
けることができない。このため、前記膜片の接続部分か
ら外気温が施設内部に大きく影響されてしまい、延いて
は、空調設備の大型化が来されるという課題があったそ
こで本発明はかかる従来の課題に鑑みて、屋根膜を複数
の膜片の接続により構成した場合に、これら膜片の接続
部分を通して外気温が施設内に影響するのを低減するこ
とができる屋根膜の断熱構造を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに本発明の第1の構成は、対向する外壁間に張架され
る屋根膜を、連結金具を介して互いに接続される複数の
膜片で構成し、各膜片の接続端部にそれぞれ継手膜を分
岐状態で延設し、それぞれ対向する継手膜同志を前記連
結金具の内側部分で互いに接続することにより、これら
継手膜で連結金具を覆う。
【0007】また、かかる目的を達成するために本発明
の第2の構成は、対向する外壁間に張架される屋根膜
を、外膜および内膜により二重膜構造とすると共に、こ
れら外膜および内膜を連結金具を介して互いに接続され
る複数の膜片でそれぞれ構成し、内膜を構成する各膜片
の接続端部にそれぞれ継手膜を分岐状態で延設し、それ
ぞれ対向する継手膜同志を前記連結金具の内側部分で互
いに接続することにより、これら継手膜で連結金具を覆
う。
【0008】更に、前記第1の構成または前記第2の構
成において、膜片および継手膜にそれぞれ断熱材を設け
ることが望ましい。
【0009】
【作用】以上の構成により本発明の屋根膜の断熱構造の
第1の構成にあっては、複数の膜片を接続する連結金具
を、この膜片の接続端部から分岐状態で延設した継手膜
で覆うことができるため、膜片の接続部分を通して影響
される外気温をこの継手膜で効果的に遮断することがで
きる。
【0010】また、本発明の第2の構成にあっては、屋
根膜を外膜および内膜により二重膜構造としたものにお
いて、内膜を構成する膜片を接続する連結金具を継手膜
で覆うようにしたので、前記第1の構成に比較して屋根
膜を二重膜構造とした分、断熱効率を更に向上すること
ができる。
【0011】更に、前記第1の構成または前記第2の構
成において、膜片および継手膜にそれぞれ断熱材を設け
ることにより、断熱効率を著しく向上することができ
る。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例を図に基づいて詳細に
説明する。図1から図5は本発明にかかる屋根膜の断熱
構造の一実施例を示し、図1は本発明が適用される大空
間施設の断面を示す概略構成図、図2は図1中A−A線
に対応する拡大断面図、図3はケーブルの取付状態を示
す斜視図、図4は屋根膜を構成する膜片の分解斜視図、
図5はケーブル支持部分に用いられる連結金具の詳細図
である。尚、本実施例で示す内,外側の方向は、大空間
部16を中心とした方向で決定するものとする。
【0013】即ち、図1に示した大空間施設は人工スキ
ー場10として用いたもので、両側に図中紙面直角方向
に連続する外壁12,12が構築され、これら外壁1
2,12の上端部間に屋根膜14が張架される。そし
て、前記外壁12,12および屋根膜14で構成される
大空間部16の床面18は、これら外壁12,12の延
設方向に連続して傾斜され、この傾斜された床面18に
人工雪を積もらせてその積雪上を滑走できるようになっ
ている。
【0014】前記屋根膜14は、図1中実線状態では内
部に空気が注入されてインフレートされた状態を示し、
また、2点鎖線状態では内部の空気圧が排除されてデフ
レートされた状態を示す。前記屋根膜14は外壁12,
12の上端部間に架設される複数のケーブル20(図3
参照)で支持される。尚、前記ケーブル20の両端部は
アンカー金具22を介して前記外壁12,12に上下回
動可能に連結され、屋根膜14がインフレート,デフレ
ートされる際の移動を円滑に行う。
【0015】前記外壁12,12の外側には機械室24
およびリフト室26が設けられ、機械室24には空調
機,人工造雪機およびスノーガン等が設置される。
【0016】前記屋根膜14は、図2に示したように可
撓性を有する外膜30と内膜32とによって二重膜構造
として構成される。前記外膜30および内膜32は図4
に示したように短冊状に裁断された膜片34および36
を、前記ケーブル20の支持部分Bにおいて互いに接続
することにより、前記外膜30および内膜32の全体が
構成される。
【0017】前記支持部分Bには、前記各膜片34,3
6の端部同志をそれぞれ接続する連結金具38が設けら
れる。この連結金具38は図5にも示すようにケーブル
20の配索方向に連続する帯状板40を備え、この帯状
版40の下側中央部に垂設されるプレート42にケーブ
ル20が取り付けられる。また、前記帯状版40の両端
部には上方に突出する植設ボルト44が設けられる。一
方、前記膜片34,36の各端部はパッキング46を介
して互いに重合され、この重合部分が前記植設ボルト4
4に図外のナットを介して締付け固定されることによ
り、前記膜片34,36同志の接続が行われる。
【0018】ここで本実施例にあっては、前記内膜32
の膜片36の両端部内側に、この膜片36の端部先端か
ら適宜距離を置いて継手膜48をそれぞれ溶着し、これ
ら継手膜48を膜片36から分岐状態で延設する。そし
て、前記継手膜48の互いに隣設されるもの同志を、前
記連結金具38および前記ケーブル20の内側(図中下
側)を覆って互いに接続する。
【0019】また、前記内膜36および前記継手膜48
の外側(図中上側)に、全面に亘って断熱材50を取り
付ける。尚、前記内膜32の膜片36には、前記継手膜
48の溶着部分より更に端部側に寄った部位に空気導入
穴52が形成され、屋根膜14をインフレートさせた際
に、この空気導入穴52から外膜30と内膜32との間
の空間部Sに空気が流入されて、この空間部Sを膨出さ
せるようになっている。 以上の構成により本実施例の
屋根膜の断熱構造にあっては、屋根膜14が外膜14a
と内膜14bとによって二重膜構造として構成されてい
るため、これら外膜14aと内膜14bとの間の空間部
S内に封入された空気層で断熱効果を発揮すると共に、
更に、各内膜14bに断熱材50が取り付けられている
ため、断熱効率が更に向上し、外気温が大空間部16内
に影響するのを低減することができる。
【0020】ところで、上述したように内膜14bの膜
片36に断熱材50が取り付けられるが、外膜14aお
よび内膜14bの各膜片34,36は連結金具38を介
して互いに接続されるため、前記膜片36はこの連結金
具38の取付部分において断熱材50が跡切れ、この連
結金具38部分を通して外気温が影響され易くなる。
【0021】ここで、本実施例では膜片36から分岐状
態で延設される継手膜48で前記連結金具38の内側を
覆っているため、この継手膜48が断熱効果を発揮し、
連結金具38部分から大空間部16内に影響する外気温
を遮断することができる。また、このとき前記継手膜4
8にも断熱材50が取り付けられていることにより、前
記連結金具38部分での断熱効率を著しく向上すること
ができる。
【0022】従って、本実施例では前記屋根膜14によ
る断熱効率が向上されるため、人工スキー場10内部の
保温効果が大幅に向上され、この人工スキー場10に設
置される空調装置の小型化および空調のためのエネルギ
ー消費量の減少を図ることができる。
【0023】尚、本実施例の屋根膜14は外膜30と内
膜32とにより二重膜構造となったものを開示したが、
この二重膜に限らず単膜構造となった屋根膜にあっても
本発明を適用することができ、また、人工スキー場10
に限ることなく屋根膜を用いた他の大空間施設、例えば
一般のドーム等に本発明の屋根膜の断熱構造を適用する
ことができることは勿論である。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように本発明の請求項1に
示す屋根膜の断熱構造にあっては、連結金具を介して互
いに接続される各膜片の接続端部にそれぞれ継手膜を分
岐状態で延設し、この継手膜同志を前記連結金具の内側
部分で互いに接続してこの連結金具を覆うようになって
いるため、各膜片を接続する連結金具を通して影響され
る外気温をこの継手膜で効果的に遮断することができ
る。従って、前記屋根膜で覆われた大空間施設内の温度
が外気温に影響されるのを大幅に低減し、空調装置の小
型化および空調のためのエネルギー消費量の減少を達成
することができる。
【0025】また、本発明の請求項2に示す屋根膜の断
熱構造にあっては、屋根膜を外膜および内膜により二重
膜構造とすると共に、これら外膜および内膜を連結金具
を介して互いに接続される複数の膜片でそれぞれ構成し
たものにあって、内膜を構成する各膜片の接続端部から
分岐状態で延設した継手膜で連結金具を覆うようになっ
ているため、この継手膜により連結金具を介して影響す
る外気温を効果的に遮断できるのは勿論のこと、屋根膜
を二重膜構造としたことにより断熱効率を更に向上する
ことができる。
【0026】更に、本発明の請求項3にあっては前記膜
片および前記継手膜にそれぞれ断熱材を設けたので、断
熱効率の更なる向上を図ることができるという各種優れ
た効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される人工スキー場の断面を示す
概略構成図である。
【図2】本発明の一実施例を示し、図1中A−A線に対
応する拡大断面図である。
【図3】本発明の一実施例を示すケーブル取付状態の概
略斜視図である。
【図4】本発明の一実施例を示す膜片の分解斜視図であ
る。
【図5】本発明の一実施例に用いられる連結金具の詳細
図である。
【符号の説明】
10 人工スキー場(大空間施設) 12 外壁 14 屋根膜 30 外膜 32 内膜 34,36 膜片 38 連結金具 50 断熱材

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向する外壁間に張架される屋根膜を、
    連結金具を介して互いに接続される複数の膜片で構成
    し、各膜片の接続端部にそれぞれ継手膜を分岐状態で延
    設し、それぞれ対向する継手膜同志を前記連結金具の内
    側部分で互いに接続することにより、これら継手膜で連
    結金具を覆ったことを特徴とする屋根膜の断熱構造。
  2. 【請求項2】 膜片および継手膜にそれぞれ断熱材を設
    けたことを特徴とする請求項1に記載の屋根膜の断熱構
    造。
  3. 【請求項3】 対向する外壁間に張架される屋根膜を、
    外膜および内膜により二重膜構造とすると共に、これら
    外膜および内膜を連結金具を介して互いに接続される複
    数の膜片でそれぞれ構成し、内膜を構成する各膜片の接
    続端部にそれぞれ継手膜を分岐状態で延設し、それぞれ
    対向する継手膜同志を前記連結金具の内側部分で互いに
    接続することにより、これら継手膜で連結金具を覆った
    ことを特徴とする屋根膜の断熱構造。
  4. 【請求項4】 膜片および継手膜にそれぞれ断熱材を設
    けたことを特徴とする請求項3に記載の屋根膜の断熱構
    造。
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