JP2671381B2 - 点眼剤 - Google Patents

点眼剤

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JP2671381B2
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隆造 河盛
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外雄 朝倉
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藤沢薬品工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、インシュリンの点眼剤さらに詳しくはイ
ンシュリンおよびヒアルロン酸またはその塩を含有する
ことを特徴とする点眼剤に関するものであり、医療の分
野で利用される。
[従来技術およびその問題点] インシュリンは分子量が大きいため消化管から吸収さ
れにくく、またタンパク分解酵素によって分解されやす
いため、経口投与では十分な薬理効果を発揮できない。
そのため現在注射剤による投与のみが行なわれている
が、注射投与は苦痛を伴うだけでなく、患者自身で投与
するには繁雑であるという問題がある。
そこで注射投与に代わる投与法として、直腸投与、気
管内投与、経鼻投与などの方法が検討されているが、こ
れらいずれの方法も、注射投与に比べて多くの投与量が
必要であり、また吸収性も変動しやすいという難点があ
るため、現在までに実用化に到っているものはほとんど
ない。また、経眼投与に関する試みとして、ヒドロキシ
プロピルアミロースなどのでん粉関連化合物を材料にし
たヒドロゲルにインシュリンを担持させて小薄片状のシ
ートとしたインシュリン製剤が知られている(特公昭55
−18692号公報)。このインシュリン製剤はインシュリ
ンを徐々に放出し、長時間薬効を発揮できる点では優れ
ているものの、製造法が繁雑であり、また小薄片状のシ
ートであるため、投与に際して下瞼と眼球との間に挿入
するに熟練を要し、その上異物感を生じるという問題が
あった。
一方、インシュリンの水溶液製剤は前記公報に「短時
間内に大部分が涙と共に洗い流されてしまうため、糖尿
病の治療目的には不適当であった。」と記載されている
ように、経眼投与の剤型としては不適当であると考えら
れていた。
[問題点を解決するための手段] この発明の発明者らは上記の問題点を解決するために
鋭意研究した結果、インシュリンにヒアルロン酸または
その塩を添加した点眼剤が、経眼吸収に優れ、さらに眼
球内に長時間滞って、涙で流れ落ちないためにインシュ
リンの血中濃度を長時間保ち、したがって血糖値低下作
用を長時間持続できることを見出してこの発明を完成し
た。この発明で用いられるヒアルロン酸ナトリウムは、
眼の硝子体液中などに存在する生体成分であり、したが
ってヒアルロン酸およびその塩は刺激性のない点で優れ
ているだけでなく、インシュリンの溶解補助効果も有し
ているので、高濃度のインシュリン点眼剤を調製するこ
とができ、より高い薬理効果を得られるため特に好まし
い。
本発明の点眼剤中のヒアルロン酸またはその塩の含量
は、通常0.01〜5w/w%、より好ましくは0.1〜2w/w%で
ある。この発明の点眼剤には、所望により等張化剤(例
えば塩化ナトリウムなど)、緩衝剤(例えばホウ酸、リ
ン酸−水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムな
ど)、保存剤(例えば塩化ベンザルコニウム、塩化ベン
ゼトリウム、クロロブタノールなど)のような点眼剤に
通常用いられる添加剤を加えてもよい。
この発明の点眼剤は、次のようにして製造することが
できる。すなわち、インシュリンを酸(例えば塩酸な
ど)で溶解し、次いで塩基(例えば水酸化ナトリウムな
ど)で点眼剤に適したPH5〜8に調整した後、ヒアルロ
ン酸またはその塩を添加し、さらに所望により上記の等
張化剤、緩衝剤、保存剤などを適宜添加し、精製水を加
えて製造する。
[効果] この発明の効果を試験例により説明する。
試験法 膵臓摘出犬(体重11±2Kg)をペントバルビタールで
麻酔し、後記の実施例1で得られたインシュリン点眼剤
をインシュリン10国際単位/Kgの割合で点眼投与し、投
与後経時的に大腿部静脈よりカテーテルにて血液をサン
プリングし、血中のグルコース濃度およびインシュリン
濃度を測定した。血中グルコース濃度はグルコースオキ
シダーゼ法(ベックマンインスツルメント、USA)によ
り定量した。また血中インシュリン濃度は二抗体法によ
るラジオイムノアッセイにより定量した。
上記の試験結果から明らかなように、この発明の点眼
剤は経眼投与によって、速やかにインシュリンを吸収せ
しめ、血中グルコース濃度低下作用を長時間持続できる
ため、糖尿病治療剤として有用である。さらに点眼剤で
あるため、投与が簡単であり、異物感がないばかりでな
く、製造法を簡単である。
[実施例] 以下この発明を実施例により説明する。
実施例1 インシュリン(1.172g、30,000国際単位)に0.04N塩
酸(22.85g)を加え、撹拌してインシュリンを溶解す
る。次いで0.5N水酸化ナトリウムを加えてPHを8に調整
する。次いでヒアルロン酸ナトリウム(0.108g)を加え
て撹拌、溶解し、精製水で全量を30gとして、点眼剤を
得る。この点眼剤は1g中にインシュリン1000国際単位お
よびヒアルロン酸ナトリウム3.6mgを含有し、粘度164cP
(25℃)の稠明な液である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭49−102827(JP,A) 特開 昭60−56922(JP,A) 特開 昭60−84225(JP,A) 特開 昭61−233622(JP,A) フレグランス・ジャーナル 通巻78号 (Vol.14,No.3) (昭和61 年) P.42−47

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】インシュリンおよびヒアルロン酸またはそ
    の塩を含有することを特徴とする点眼剤。
JP63126634A 1988-05-23 1988-05-23 点眼剤 Expired - Lifetime JP2671381B2 (ja)

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フレグランス・ジャーナル 通巻78号 (Vol.14,No.3) (昭和61年) P.42−47

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