JP2670806B2 - 透明導電膜における着色表示部の形成方法とその装置 - Google Patents

透明導電膜における着色表示部の形成方法とその装置

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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は透明導電膜自体を着色せしめることにより、
導電性を損なうことなしに着色表示部を形成する新規な
形成方法とその装置に関する。
<従来の技術> 情報機器と人を結ぶインターフェイスとして、液晶、
電界発光素子等のオプトエレクトロニクス素子が広く利
用されている。このような素子には透明導電膜が不可欠
であり、透明基板の上に透明導電膜を設けたいわゆる透
明導電基板が透明電極として用いられている。透明導電
基板の構成は、透明基板としてはガラス、プラスチック
フィルムやシート等、透明導電膜としては酸化錫系、酸
化インジウム−錫、酸化亜鉛系等多岐にわたっており利
用方法も多様である。
利用方法の一つとして、透明導電基板の所定の個所に
文字とか記号、区画等を明視できるように表示(以下着
色表示という)することを求められるケースが多くあ
る。従来はこの場合透明導電基板の透明導電膜側、或い
は透明基の側のいずれかに着色表示材料を印刷する方法
が行なわれており現在もそうである。
<従来の技術の問題点> 例えば、ガラス基板を用いた透明導電基板に着色表示
をするにあたり、ガラス表面側に着色表示し、これを斜
方向から視た場合、着色表示位置に対応する透明電極の
位置と着色表示の間に、ガラス基板の厚さと屈折率とに
係る視差を生じる。オプトエレクトロニクス素子の透明
電極としてこの視差が問題となる場合には着色表示を透
明導電膜に設ける必要があるが、着色表示を印刷法で透
明導電膜側に設けた場合には、着色表示材料が絶縁物で
あると着色表示部分が電極として働らかないし、導電性
の着色材料を用いて印刷しても着色表示した個所と着色
表示をしていない個所との間には、印刷された着色表示
材料の厚さに相当する段差を生じ、オプトエレクトロニ
クス素子の透明電極として用いた場合、この段差が前記
素子の機能に悪影響を及ぼすという問題があった。
<問題を解決するための手段> 鋭意研究の結果、例えば電子サイクロトロン共鳴(以
下「ECR」という)による水素プラズマを、透明電極の
表面の着色表示を設けようとする個所に照射し、その個
所の透明導電膜を還元して呈色させることによる新規の
着色表示方法と装置を発明するに至り、前記問題点を解
決したものである。
<作用> 本発明は透明導電膜を構成する例えば酸化錫(SnO2
酸化インジウム・錫、酸化チタン(TiO2)等が還元処理
により還元され易いこと、及び還元されて金属薄膜化し
た個所は金属本来の良電導性と光線の吸収、反射能によ
る特有の金属色を呈すること並びに不完全に酸素を奪わ
れた個所は格子欠陥に基く光の吸収、屈折率の変化等に
より着色し、透明度が低下すること等に着眼したもので
あって、透明導電膜の還元方法が本発明のかなめになっ
ている。
例えば、酸やアルカリに極めて安定なSnO2やTiO2も、
比較的容易に還元されることが知られている。即ち、例
えば還元炎処理や化学薬品による湿式の還元処理等によ
り、比較的容易に還元されるのである。しかし、還元炎
処理は現実的でなく、又化学薬品による湿式の還元処理
も公害にかかる廃液処理の問題もあり、又、液が酸性の
場合金属化部分が溶解除去される懸念もある。ここにお
いて発明者等は還元性の活性ガスによる処理、即ち水素
プラズマ処理に考え至ったものである。
その作用について以下に述べる。
透明導電膜の表面の着色表示しようとする個所以外の
部分を、例えばレジスト材料を印刷する等、公知の方法
でマスキングし、適宜の方法で生成させた水素プラズマ
を照射することにより、マスキングされていない部分の
透明導電膜の膜中の酸素がプラズマ中の水素イオンや、
プラズマ生成時に副生した水素ラジカルによって奪わ
れ、逐次還元されると共に外観的変化として呈色をはじ
め、時間経過と共に濃さを増す。この際、透明導電膜の
種類、作成条件、プラズマの生成条件および照射条件に
より時間的な違いはあるが灰色もしくは暗褐色、あるい
は鮮やかな金属色となる。この部分は良導電性であり、
他の透明導電膜部分に比べ抵抗率での遜色はなかった。
更に照射を長時間続けると着色部分が褐色をはじめ、
遂には無色透明化した。その時、褐色した部分の表面抵
抗を測定したところ無限大を示し、厚さを測定したとこ
ろ、透明基板のそれと一致しており、周辺の透明導電膜
と段差を生じていることがわかった。即ち水素プラズマ
で金属化した部分が水素イオンによるスパッタ等によっ
て透明基板上から除去されたものである。
即ち、水素プラズマにより透明導電膜を還元処理する
に当り、スパッタ作用が伴なうとその部分の膜の厚さが
減少するので、着色表示ができたとしても周辺の部分と
の段差を無くする目的に添わないので好ましくない。
透明導電膜を還元するプラズマは何も水素プラズマに
限らず還元性ガスのプラズマであれば良く、例えば一酸
化炭素ガスメタンガス、プロパンガス等を例示できる。
しかしこれらのガスをプラズマ化して生成するイオン
や、プラズマ中に副生するラジカル等は、水素イオンと
比べて質量が格段と大きいため、ややもすると透明導電
膜をスパッタし、照射個所の膜厚即ち着色表示部の膜厚
を減少させるため、周辺の透明導電膜部と段差を生じる
結果となる。従って着色表示部の膜厚への影響を少なく
するには、質量の最も小さい水素ガスのプラズマを用い
ることが最も適しているのである。
同様の理由でプラズマの生成方法としてはECR法が最
も適しているが、水素プラズマの生成についてはその他
あらゆる方法で行なってもよいことは勿論である。
着色表示処理を能率よく行なうには、即ち透明導電膜
の還元処理を短時間で行うには、水素イオンのエネルギ
ーやイオン電流を大きくすることが必要であるが、大き
くしすぎると、前述の如くスパッタ作用が無視できなく
なる。そのためスパッタ作用を極力抑え、他方では還元
作用を最大に発揮する為の最適条件を求めなければなら
ないが、膜の種類や作成条件により最適条件はさまざま
である。
プラズマ中のイオンは電界や磁界を印加することによ
りエネルギーの強さやイオン電流の大きさ、運動方向等
を制御できる。ECRプラズマ生成法はプラズマ生成時に
副生するラジカル等の中性粒子を多く副生し、これら粒
子のエネルギーを低く押さえれるため、スパッタ作用を
抑制する利点がある。従ってスパッタ作用を抑え還元作
用を最大に発揮させるについては、イオン化率が大き
く、低エネルギープラズマが生成できるECRプラズマ生
成法が好適である。
本発明は、好ましくはイオン化率が他のプラズマ生成
法に比べ著しく大きいECRプラズマ法を採用し、更に装
置に工夫を加えることによって、プラズマ生成室から取
り出されるイオンのエネルギーやイオン電流密度を広い
範囲で制御できるようにしたもので、本発明の第1発明
である透明導電膜に着色表示を施すについて、透明導電
基板の仕様ごとに最適の処理条件を選ぶことができる利
点がある。かかる着色表示部については特に制限はな
く、例えば印刷表示の代りとして用いてもよいし、更に
必要に応じ透明導電膜に形成される各種パターンとして
用いてもよく、この場合着色パターンとなり、異色のパ
ターンが形成される。
本発明に係る透明導電膜とは金属、金属酸化物等から
なる導電膜を例示でき、特に制限はなく、具体的には酸
化インジウム・錫、酸化錫、アルミニウムやシリコン添
加酸化亜鉛、フッ素添加酸化錫等からなる導電性の薄膜
を例示できる。また、透明導電膜を基本上に形成する方
法も、特に制限はないが、例えばスパッタ法、蒸着法、
イオンプレーテング法等を例示できる。
本発明に係る透明導電膜を形成する透明基体とは特に
制限はないが、例えばガラスやプラスチックフィルム、
シート、基板等を例示できる。
本発明により透明導電膜の着色パターンを形成する場
合は、その用途としては液晶表示素子、電界発光素子等
のオプトエレクトロニクス素子や透明タッチパネルの透
明電極用にとどまらず、透明導電膜パターンや透明電極
パターンの形成を要するあらゆる用途に応用可能であ
り、これら応用製品の性能を向上させることができる。
また、前記した通り印刷表示の代りとして用いてもよ
く、このように本発明の用途としては、特に制限はな
く、あらゆる方面に適応可能である。
次に、装置について述べる。
第1図は本発明の第1発明である透明導電膜における
着色表示部を設ける方法を実施するための好ましい装置
の具体例を示した断面図であって、本発明はその第1発
明に記載された範囲内であらゆる装置を用いることは当
然可能である。以下、第1図に基づいて説明する。
ECR水素プラズマ生成室1は電子サイクロトロン共鳴
に適当な例えば10-4Torrオーダーの圧力が保てる構造と
なっている。周壁には電子サイクロトロン共鳴状態にあ
るガスの衝突による温度上昇を防ぐため冷却水のジャケ
ット2が設けられており、外部の冷却水供給装置(図示
せず)と接続できるようになっている。その外側にプラ
ズマ生成室をとりまくようにソレノイドコイル3を配
し、プラズマ生成室内に磁界を印加できるようになって
いる。プラズマ生成室1の上部には前記の磁界と垂直な
方向の振動電界を与えるためのマイクロ波導入窓4が設
けられており、その外側は、マイクロ波導入管5を通じ
てマイクロ波発振器6につながっている。この際、かか
る窓4には通常マイクロ波を通す適宜の物質による隔壁
が設けられ必要な気圧の維持が可能なようになってい
る。この際、マイクロ波導入管5に代り、アンテナ導入
方式としてもよい。
プラズマ生成室の適宜の個所(第1図ではプラズマ生
成室の上部)に水素ガスの取入口7が設けられており、
外部の水素ガス供給装置(図示せず)と接続できるよう
になっている。水素ガスの取入口を必要に応じ2ケ所以
上に設けることはかまわない。
ECRプラズマ生成室で生成した水素イオンやラジカル
は極めて高密度の状態にあり、この雰囲気の下で透明導
電膜を還元処理するのは照射制御上好ましくない。従っ
てECRプラズマ生成室に隣接して設けた着色処理室9で
プラズマ照射処理を行なうのが望ましい。そのため着色
処理室9にプラズマを導入するプラズマ取出部13をプラ
ズマ生成室の下部、即ち着色処理室との境界に連通状態
で設けている。従って着色処理室9の側から云うと、前
記取出部13はプラズマ取入部13となる。かかる取出部1
3、即ち取入部13は本例では窓状の構造である。
着色処理室9には、プラズマを照射する位置に透明導
電基板(透明導電膜の形成された透明基板)10を把持す
るための透明導電基板把持装置11を設備している。真空
状態を破らずに透明導電基板10を出し入れできる装置を
備えれば便利である。透明導電膜が軟質の基板上に形成
されている場合は透明導電基板把持装置に巻き出し、巻
き取りの機構を備えつければ長尺の連続処理に便利であ
り、生産性が一段と向上する。
透明導電膜の着色表示部は、透明導電膜の全面に形成
してもよいが、好ましくは透明導電膜の一部分に形成す
るのがよい。透明導電膜の一部分に形成するには、特に
制限はないが、透明導電膜の着色表示部以外の部分をプ
ラズマの照射から遮弊する方法が好ましい。透明導電膜
の着色表示部以外の部分をプラズマの照射から遮弊する
方法としては、特に制限はないが、予じめ遮弊する部分
の形状に整えたパターンマスクを透明導電膜に密着させ
る方法や、レジスト材料を透明導電膜面の着色表示個所
以外の部分に印刷し着色処理後、レジスト材料を薬液で
除去する方法等によればよい。
ECR水素プラズマを照射中の透明導電基板を、必要に
応じ所定の温度を保つための適宜の温調装置8を設ける
ことは自由であるが、着色処理の最適条件に応じ適宜の
温度に保つことが望ましい。
着色処理室の外周部に、必要に応じソレノイドコイル
12を配し、プラズマ取入部13と透明導電基板10との間で
ソレノイドコイル7で生じた発散磁界をミラー磁界に変
えてプラズマ取入窓13から拡散してくるイオンのエネル
ギーを低下させる働きをする。ソレノイドコイル12にか
えて透明導電基板把持装置11の下側付近に永久磁石を設
けることもできる。
また、必要に応じ、プラズマ取入部13と透明導電基板
把持装置11のプラズマ照射域とには、必要に応じてそれ
ぞれ電極14,15が設けられており、把持装置側の電極15
が正もしくは負の電位となるような直流電圧、もしくは
交流電圧を印加できるように、外部に設けた電源装置16
と結ばれている。プラズマ生成室から拡散してくるイオ
ンのエネルギーの強さや、イオン電流の大きさが不十分
で透明導電膜の着色処理の能率が悪いときは、前記電極
15に負の電圧を印加することによって著しく処理時間を
短絡することができる。即ち直流電圧もしくは交流電圧
を印加すれば水素イオンが膜方向に加速され、中性化し
ようとするイオンを再付活する。いずれの場合もイオン
の運動エネルギーを増すことに加えて、単位時間当りに
透明導電膜に到達するイオンやラジカルの数が増すから
である。
このように、イオンはそのエネルギーの強弱や運動の
方向を電界や磁界を印加し調節することによって広範囲
に制御できる。こうした点でECR水素プラズマはイオン
化率が極めて大きく制御しやすい。そのため透明導電膜
を着色処理するためのプラズマ生成、照射の最適条件を
選びやすく、また処理効率も良いのである。
また、還元処理によって得られる透明導電膜の着色は
灰色から金属光沢まで変化させられるが、本発明に係る
ECR水素プラズマ生成室で生成された水素プラズマを有
機金属化学気相成長(CVD)用に利用すると、プラズマC
VD法による透明導電膜の還元処理域への金属膜等の形成
が可能であり、適当な材料の薄膜を還元処理をしながら
同時に蒸着することによって、着色は多色化できる。
ECR水素プラズマを利用したプラズマCVDでは着色処理
室9に有機金属等の原料ガスを、原料ガス供給管17を通
じて原料ガス吹出口18により、透明導電基板10における
透明導電膜に接触させ、水素イオンやラジカルによって
分解反応を生じせしめて、蒸着して薄膜を形成すること
ができる。
こうして形成された薄膜は厚さが例えば数10nm以下と
極めて薄いので、着色表示部が段差となって現れる従来
品の構成とは異なり、実用段階で段差が生じて種種障害
を起こすことはない。
プラズマ生成室及び着色処理室は排気口19を経て外部
に設けた真空排気装置(図示せず)により極く高度の真
空に保たれる。
実際に処理を行なうには、先ず透明導電基板把持装置
11に透明導電基板10の透明導電膜側を図面上で上部にし
てセットし、次で排気口19より真空吸引し、必要なる圧
力(真空度)にする。この際水素ガス取入口7や必要に
応じ用いる原料ガス吹出口18からのガスの供給を行って
も、必要なる圧力が維持できる程度に、これらガスの供
給量及び真空吸引量を設定する。プラズマ生成室1に導
入された水素はマイクロ発振器6から発振され、その導
入窓4よりECR水素プラズマ生成室1に導入される例え
ば2.45GHzのマイクロ波及びソレノイドコイル3によっ
て生成室1内に印加された磁界の作用でプラズマ化さ
れ、取出窓13から着色処理室に入り、ここで透明導電膜
に作用するのである。
本装置におけるマイクロ波導入窓4、水素ガス取入口
7はECR水素プラズマ生成室1の内壁に設けてもよい
し、内部に設けてもよく、生成室内に必要なるマイクロ
波やガスを取り入れることができる位置ならば、生成室
内のどこに設けようと自由である。また、プラズマ取出
部13はプラズマ生成室1のどこに設けようと自由で、プ
ラズマ取入部13も着色処理室9のどこに設けようと自由
であり、両者が連通する構成ならば、特に制限はない。
尚、第1図は図面の上下方向と実装置の上下方向とが
一致するように表わされたものである。
以上に示す具体例は第2発明を実施する好ましい1例
であり、第2発明はその範囲内において他のあらゆる態
様を取ることも可能である。
<実施例1> 透明ガラス基板上に形成された酸化インジウム−錫系
透明導電膜(ITO膜)、同じくアンチモン添加酸化錫系
透明導電膜(SnO2:Sb膜)及びフッ素添加酸化錫系透明
導電膜(SnO2:F膜)、それぞれの表面にアルミニウムマ
スクを重ね、第1図の装置の透明導電基板把持装置にと
りつけ、表1の条件下でECR水素プラズマを照射し、表
面抵抗、光線透過率及び膜厚値を評価し表2の結果を得
た。
ECR水素プラズマ照射によりITO膜、SnO2:Sb膜およびS
nO2:F膜のいずれも光透過率の大幅な減少がみられた。
一方表面抵抗値にはほとんど変化はみられなかった。着
色表示個所の厚さは数値的には減少しているが僅かであ
り、これによって生じる段差は着色材を印刷する場合と
比べると無視できる程度のものである。本実施例の処理
条件、表1のもとで、有機プラスチックフィルムの一種
の厚さ100μのポリエチレンテレフタレート(PET)フィ
ルム上に形成されたITO透明導電膜及びSnO2透明導電膜
を4分間ECR水素プラズマ処理を行った結果、処理部分
は濃い灰黒色となり、非処理部分との間に高いコントラ
ストで着色パターンを形成できた。
上記実施例に示したPETフィルム上のITO透明導電膜を
用いてタッチパネルスイッチ用とし、数字及び文字の着
色パターンを形成した膜は電卓用及びインジーケータ用
に十分利用可能であることが確認できた。
<実施例2> プラズマ取入部の設けた電極と透明電動基板把持台に
取りつけた電極との間に15kHz、150Wの高周波電圧を印
加し、ガス圧を2×10-3Torrとした以外は実施例1と同
じ条件で透明導電膜に電極のパターンを形成すべく着色
処理を行ない表3の結果を得た。
実施例1に比べ処理時間が著しく短縮されており、本
実施例のようなプラズマ引き出し電圧印加の効果がみと
められる。一方、膜厚値の減少は実施例1よりやや大き
くなっているが、無視できる程度のものである。
<実施例3> 実施例1および実施例2において、透明導電膜上にEC
R水素プラズマを作用させながら、着色処理室内に原料
ガス供給管17から例えばジメチル亜鉛、ジメチルセレ
ン、トリメチルアルミニウム、トリメチルガリウム、ト
リメチルインジウム、テトラメチルスズ、テトラメチル
チタン、テトラメチルゲルマニウム等のアルキル化合物
やシラン等の原料ガスを供給し、吹出口18から噴出せし
めることにより、透明導電膜に接触せしめ、同時にこれ
ら原料ガスを水素プラズマにより分解反応を生じさせ、
透明導電膜上に成膜することによって、透明導電膜の着
色部分の色を多様に変化させることができた。かかる原
料ガスのうち好ましいものは、前記したアルキル化合物
等の有機金属化合物や水素化合物等を例示でき、その他
同効果の期待できる化合物を自由に用いることができ、
これら適宜の原料ガスを混合して用いてもよい。
また、これらの薄膜の形成は極めて薄くても、着色の
効果が得られるため、成膜による膜厚の増加は無視でき
る。
この生成膜が金属膜である場合は、本発明の着色によ
るパターン形成の目的の範囲内で、電極配線をかねるこ
とも可能である。
上記の有機金属化合物系の原料ガスとしてはメチル基
と化合したアルキル化合物の代りに、エチル基と化合し
たアルキル化合物を用いても同様な成膜が可能であっ
た。
本実施例に示した着色パターン形成では、還元処理で
の着色が困難な酸化亜鉛透明導電膜に対しても適用可能
であった。
<発明の効果> 以上に説明の通り、本発明は透明導電膜上に実用上問
題となる程の段差を生ずることなく、且つ導電性を有す
る着色表示が施された新規な透明電極等の各種表示部を
実現する方法を提供するもので、単にオプトエレクトロ
ニクス素子分野において素子機能の向上に効を奏するの
みならず、帯電防止、赤外線遮蔽、電磁波遮蔽および静
電シールド用ハウジング透明窓材等に対しても適応で
き、その用途はあらゆる分野におよぶ。
更に、本発明は上記方法を実施するための好ましい装
置を、併せて提供するもので、これにより極めて効果的
な着色表示部の形成が一層容易に可能となるものであ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明を実施するための好ましい装置の1実施
例を示す断面図である。 1、水素プラズマ生成室 9、着色処理室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−22312(JP,A) 特開 昭62−89873(JP,A) 特公 昭62−19005(JP,B2)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明基板上に形成された透明導電膜に着色
    表示部を設けるに当り、該表示部を形成する個所を、イ
    オン化率が大きく、低エネルギープラズマが生成できる
    電子サイクロトロン共鳴により生成された水素プラズマ
    を用いて還元することにより着色処理せしめることを特
    徴とする透明導電膜における着色表示部の形成方法。
  2. 【請求項2】着色表示部が、着色されたパターンである
    請求項1に記載の透明導電膜における着色表示部の形成
    方法。
  3. 【請求項3】水素プラズマを透明導電膜上に照射し、還
    元しながら原料ガスを透明導電膜に接触させ、水素プラ
    ズマによる分解反応により着色した薄膜を形成すること
    によって着色効果を高める請求項1もしくは請求項2に
    記載の透明導電膜における着色表示部の形成方法。
  4. 【請求項4】原料ガスが、水素化合物もしくは有機金属
    化合物の少なくとも一種からなるガスである請求項3に
    記載の透明導電膜における着色表示部の形成方法。
  5. 【請求項5】周壁に設けられた冷却用ジャケットと、前
    記ジャケットの外周に設けられた磁界印加用ソレノイド
    コイルと、室内にマイクロ波導入窓、水素ガス取入口及
    びプラズマ取出部を有する構成とを備えた電子サイクロ
    トロン共鳴プラズマ法による水素プラズマ生成室と、必
    要ならば外周に設けたミラー磁界印加用ソレノイドコイ
    ルと、前記プラズマ取出部と連通する構成のプラズマ取
    入部と、プラズマ照射位置に設けられた透明導電基板把
    持装置と、必要ならば前記プラズマ取入部並びに前記透
    明導電基板把持装置におけるプラズマ照射域に夫々に設
    けられた電極と、外部の真空排気装置に連なる排気口と
    を備えた透明導電膜の着色処理室とを有することを特徴
    とする透明導電膜における着色表示部の形成装置。
  6. 【請求項6】透明導電基板把持装置に配設された透明導
    電膜に対し、所定の化合物を含んだ原料ガスを接触させ
    ることが可能な位置に、前記ガスの吹出口を備えたこと
    を特徴とする請求項5に記載の透明導電膜における着色
    表示部の形成装置。
JP63129080A 1988-05-25 1988-05-25 透明導電膜における着色表示部の形成方法とその装置 Expired - Fee Related JP2670806B2 (ja)

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