JP2002060931A - 巻取真空成膜装置およびこれを用いた成膜フィルムの製造方法 - Google Patents

巻取真空成膜装置およびこれを用いた成膜フィルムの製造方法

Info

Publication number
JP2002060931A
JP2002060931A JP2000250754A JP2000250754A JP2002060931A JP 2002060931 A JP2002060931 A JP 2002060931A JP 2000250754 A JP2000250754 A JP 2000250754A JP 2000250754 A JP2000250754 A JP 2000250754A JP 2002060931 A JP2002060931 A JP 2002060931A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
voltage
film forming
winding
thin film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000250754A
Other languages
English (en)
Inventor
Takahiro Harada
隆宏 原田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toppan Printing Co Ltd filed Critical Toppan Printing Co Ltd
Priority to JP2000250754A priority Critical patent/JP2002060931A/ja
Publication of JP2002060931A publication Critical patent/JP2002060931A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Physical Vapour Deposition (AREA)
  • Chemical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、プラズマ中のイオン等の荷電粒子の
加速による基板表面に照射するバイアスアシストを効果
的に行い、長時間に渡りフィルムの安定走行と製品の性
能を維持することが可能な巻取真空成膜装置およびこれ
を用いた成膜フィルムの製造方法を提供することを目的
としたものである。 【解決手段】真空環境下で、巻出側から順次フィルムを
走行させながら巻取側で巻取る間に成膜ドラム上で薄膜
を形成する巻取真空成膜装置において、プラズマを形成
する手段を具備した薄膜形成部を有し、電気的に浮遊し
て接地されていない成膜ドラムと、これに交流電圧を印
加する電圧印加部を具備したことを特徴とする巻取真空
成膜装置およびこれを用いた成膜フィルムの製造方法で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、巻取系を有する真
空巻取成膜装置およびこれを用いた成膜フィルムの製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、プラスチック等のフィルムを基材
として、その表面に薄膜を形成した機能性フィルムの開
発が盛んに行われている。その代表例としてパッケージ
分野では、透明で且つ酸素や水蒸気等の気体遮断性を有
する食品保存性に優れたガスバリヤーフィルムがあり、
SiOx、MgO、AlOx等を少なくとも一つ以上含
む金属酸化物からなる薄膜が形成されている。また、エ
レクトロニクス分野では、ディスプレイ用途としてディ
スプレイ表面の反射を防止し、視認性を向上した反射防
止フィルム等が挙げられ、TiO2、ZrO、Nb25
等の高屈折率層、Al23等の中屈折率層、SiO2
の低屈折率層の異なる屈折率から成る多層薄膜が形成さ
れている。
【0003】これら機能性フィルムは、機能性を付与す
るため薄膜を形成するが、生産性、製造コストの面から
枚葉ではなく、プラスチックフィルムを走行させながら
薄膜形成する。一般に、高い機能性を付与する場合、真
空環境下で薄膜形成を行う巻取真空成膜装置が用いられ
る。
【0004】巻取真空成膜装置による薄膜形成方法とし
て、従来、最も基本的な装置の構成を図4に示す。真空
装置1の内部に巻取系と薄膜形成手段を具備した薄膜形
成部2が各々設置され、真空装置内部8は真空ポンプ等
から構成される排気系3により高真空まで排気する。巻
取系は巻出ロール4から連続的に送り出されるフィルム
5は、巻取ロール7で巻き取られる間に成膜ドラム6上
において薄膜形成部2よって薄膜が形成され、機能性が
付与される。薄膜は少なくとも単層以上から成り、複数
層を形成する場合にはフィルムの走行方向に複数の薄膜
形成手段を設けたり、フィルムを逆方向に走行させる往
復可能な巻取系を採用し薄膜形成手段を必要な回数に応
じて通過させる。
【0005】薄膜形成手段は、物理的成膜法として真空
蒸着法、スパッタリング法等が、化学的成膜法として化
学的気相成長法(CVD)等が用いられている。真空蒸
着法は、その蒸着手段として抵抗加熱や電子銃照射によ
り成膜材料を加熱蒸発させ、基材上に薄膜を形成する。
この際、薄膜の密着性、緻密化を目的として蒸発源と基
材の間にプラズマ形成させるプラズマアシスト蒸着法も
良く用いられる。プラズマは、放電用の電極を真空成膜
装置内に設置し電極に直流或いは交流の電圧を印加した
り、導波管を用いてマイクロ波を任意の場所に照射する
ことにより発生させる。
【0006】スパッタリングは、成膜材料をプレート状
ターゲットにして、これを放電用電極として上記プラズ
マ発生方法を用いて基材とターゲット間にプラズマを発
生させ、電位勾配を用いてターゲット表面にイオンを照
射衝突させてターゲット物質を叩き出し基材上に薄膜を
形成する。
【0007】化学的気相成長法(CVD)は、基材近傍
に無機や有機またこれらの混合ガスを原料ガスとして気
化導入し加熱やプラズマを用いて化学反応させて基材上
に薄膜を形成する。プラズマを用いた場合、スパッタリ
ングと同様の装置構成を用いることも可能である。
【0008】上記の薄膜形成手段のうち、プラズマを用
いることで密着性や緻密化に効果が確認されており、ガ
スバリヤーフィルムでは気体遮断性の向上等に、また反
射防止フィルムは光学特性の改善等に実用化されてい
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】近年、更なる機能性向
上と改善の必要性から、これらのプラズマを用いた成膜
プロセスの改善が要求されてきており、プラズマのイオ
ン等の荷電粒子を加速して基材表面に照射するバイアス
アシスト成膜も公知となっている。これらのバイアスを
付加する場合、基板近傍に設置した電極を設け、これに
イオン加速用の負バイアス電圧を印加するが、巻取成膜
の場合、成膜が長時間に及ぶため電極に蒸発物質が堆積
し、堆積物の落下による成膜の不安定化を招くことがあ
る。また、形成される薄膜が、特に酸化物等のセラミッ
クスのように非導電性物質の場合、バイアス用電極に堆
積するとバイアス効果が減少し、充分な効果が得られな
くなるという問題が生じる。また、スパッタリングは、
基材とターゲット間の距離が大きくとも10cm程度で
あり、バイアス用電極を設置することは事実上困難であ
る。
【0010】一方、成膜ドラムは成膜時の冷却や回転と
いう機械的な要因等で接地されて使用されることが多い
が、成膜ドラムにバイアス電圧を印加することも可能で
ある。しかし、イオン等の荷電粒子の加速による基板表
面への効果を充分得るには、少なくともマイナス数百ボ
ルトが必要であり、特に薄膜がセラミックス等の非導電
性物質の場合には荷電粒子によるフィルムの帯電が起こ
りフィルムが成膜ドラムから離れるときに剥離放電が発
生するなどして、フィルムを安定走行できなくしたり、
形成した薄膜表面やフィルム裏面に放電痕が残り製品の
性能に支障をきたすことがある。
【0011】本発明は、上記問題に鑑みてなされてもの
であって、プラズマ中のイオン等の荷電粒子の加速によ
る基板表面に照射するバイアスアシストを効果的に行
い、長時間に渡りフィルムの安定走行と製品の性能の維
持を可能な巻取真空成膜装置およびこれを用いた成膜フ
ィルムの製造方法を提供することを目的としたものであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1の発明は、真空環境下で、巻出側から順次
フィルムを走行させながら巻取側で巻取る間に成膜ドラ
ム上で薄膜を形成する巻取真空成膜装置において、プラ
ズマを形成する手段を具備した薄膜形成部を有し、電気
的に浮遊して接地されていない成膜ドラムと、これに交
流電圧を印加する電圧印加部を具備したことを特徴とす
る巻取真空成膜装置である。
【0013】請求項2の発明は、請求項1記載の巻取真
空成膜装置において、上記電圧印加部が、電気的にマイ
ナス側にバイアスされた、(1/2)Vpp<0(Vp
pは交流電圧の振幅を表す)の関係を満たす交流電圧波
形となる電圧を印加する電源を具備した電圧印加部であ
ることを特徴とする。
【0014】請求項3の発明は、請求項1または2記載
の巻取真空成膜装置において、上記電圧印加部が、交流
電圧がパルス状である交流電圧を印加する電圧印加部で
あることを特徴とする。
【0015】請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれ
か1項に記載の巻取真空成膜装置において、上記電圧印
加部が、交流電圧の交流周波数が1kHz以上である交
流電圧を印加する電圧印加部であることを特徴とする。
【0016】請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれ
か1項に記載の巻取真空成膜装置において、上記電圧印
加部が、交流電圧のパルス状電圧のプラス時間をパルス
の1周期の0.1%〜99.9%の範囲で可変可能な電
圧印加部であることを特徴とする。
【0017】請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれ
か1項に記載の巻取真空成膜装置において、上記薄膜形
成部における薄膜形成手段として、蒸着法、スパッタリ
ング法の物理的成膜法と化学的気相成長法(CVD)の
化学的成膜法から選ばれた少なくとも1つの薄膜形成手
段を有していることを特徴とする。
【0018】請求項7の発明は、真空環境下で、巻出側
から順次フィルムを走行させながら巻取側で巻取る間
に、電気的に浮遊して接地されていない、電圧印加部か
ら交流電圧を印加された成膜ドラム上で、薄膜形成部で
プラズマを発生させて薄膜を形成することを特徴とする
成膜フィルムの製造方法である。
【0019】〈作用〉以上のように、本発明によれば、
機能性を有する薄膜の機能性向上と改善のため用いられ
るプラズマを用いた成膜プロセスにおいて、プラズマ中
のイオン等の荷電粒子を加速して基材表面に照射するバ
イアスアシストを効果的に行い、且つ成膜の荷電粒子に
よるフィルムの帯電の影響を低減し、長時間に渡りフィ
ルムの安定走行と製品の性能の維持を可能にすること
で、安定して製品を供給することを可能とする。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図を参照しながら詳細にする。図1は、本発明の巻取
真空成膜装置本の一例を示す断面図である。巻取真空成
膜装置1には、巻出ロール4と巻取ロール10の他に複
数のガイドロール5、成膜ドラム7から成る巻取系、成
膜ドラム7上をフィルム6が走行している経路上に薄膜
形成部8が、また真空装置内全体を真空環境下にするた
め巻取室、薄膜形成部を各々排気をする真空ポンプ3が
設けられていて、薄膜形成部8と成膜ドラム7の間にプ
ラズマ9を形成できるようになっている。この薄膜形成
部8には、薄膜形成手段として蒸着法、スパッタリング
法の物理的成膜法と化学的気相成長法(CVD)の化学
的成膜法等の方法から選ばれた少なくとも1つ薄膜形成
手段を用いる。もちろんこれ以外の方法でも本発明と同
様の効果が見られれば成膜方法は特に制限されるもので
はない。
【0021】上記のプラズマ9の形成はスパッタリング
や化学的気相成長法のうちプラズマを用いるプラズマC
VD法では必須であり、真空蒸着法等のその他の薄膜形
成方法であれば薄膜の密着性や緻密化に改善効果を与え
るアシスト技術である。このプラズマは、放電用電極の
電位勾配等によって加速された電子が気体粒子に衝突し
てイオン等の荷電粒子が生成した電離気体であり、プラ
ズマ空間には電子とイオンの荷電粒子が同時に存在して
いる。放電用電極には直流放電ではマイナスの電位が印
加され、交流放電ではMHzオーダーの高周波電圧を用
いても放電させることができる。さらにGHzオーダー
のマイクロ波は導波管を用いることにより無電極であっ
てもプラズマを形成することができる
【0022】巻取真空成膜装置1の成膜ドラムを電気的
に非接地として、交流電源11を結線する。結線には電
圧電流導入端子を利用し交流電源11は大気中に設置し
交流電源11の筐体自体は接地される。この交流電源1
1から交流電圧を印加する。より好ましくは成膜ドラム
7の表面電圧が電気的にマイナス側にバイアスされた、
(1/2)Vpp<0(Vpp:交流電圧の振幅)の関
係を満たす周波数1kHz以上の交流電圧波形を印加す
る。周波数がkHzオーダーでは、交流電源から直接マ
イナス側へバイアスされた交流電圧波形を印加すること
が可能である。電源周波数がMHzオーダーの高周波を
用いる場合は、図2に示すように整合回路12が必要に
なり、整合回路12の中にブロッキングコンデンサーを
設置する必要がある。このブロッキングコンデンサーを
用いることにより交流電源11とプラズマの間で直流的
に電流が流れなくなり、高周波放電特有の自己バイアス
電位が成膜ドラム7に印加されるため、電源によるバイ
アス機能は不要である。
【0023】本発明の実施に際し、好ましくは整合回路
を用いない周波数域を用いることにより、装置が複雑に
成らず安価に本発明を実施できる。さらに、交流回路の
電力はVIcosθ(Vは交流電圧の実効値、Iは交流
電流の実効値、θは成膜ドラムに印加されている交流電
圧と交流電流の位相差を表す)で求まり、周波数の増大
に伴い成膜ドラムまでの結線の内部インピーダンスによ
り損失を受けθが大きくなり実効電力が小さくなる等の
理由から交流電圧の周波数が低い方がより好ましい。
【0024】交流電圧を成膜ドラム7に印加することに
より、薄膜形成部8と成膜ドラム7の間で形成されてい
るプラズマから荷電粒子の電子とイオンが交互に成膜ド
ラム7上のフィルム基材6の表面に入射させることがで
きる。また、交流電圧の波形をパルス状として電位がプ
ラス/マイナスの時間をパルスの1周期の0.1%から
99・9%の範囲で可変させたり、またプラス/マイナ
スの電圧値を各々設定することにより、電子及びイオン
の電流及び入射エネルギーの各々を制御することが可能
であり、フィルム表面の帯電の適正化、薄膜へのイオン
の入射エネルギーを適正化が同時に可能となる。イオン
照射の効果を出すために通常数百ボルト必要であり、ま
たフィルムに入射する荷電粒子のイオン電流、電子電流
を均衡させるには電子とイオンの移動度の違いによりマ
イナス側にバイアスするほうが好ましい。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例について具体的に説明
する。
【0026】〈実施例1〉フィルム基材として100μ
mの厚みのPETフィルム、薄膜形成部の薄膜形成手段
として加熱源に電子ビーム、蒸発材料をTiO2として
真空蒸着法により薄膜を形成した。プラズマ形成は蒸発
源と成膜ドラムの間に高周波放電用の金属電極を設置し
て放電ガスに酸素ガスを導入し高周波プラズマアシスト
蒸着法により成膜を行った。成膜ドラムには交流電圧と
して、50〜250kHzの周波数のパルスを印加し
た。パルスの各設定値は図3に示すように、Aはプラス
時の電圧値、Bはプラス時の時間(波長に対する百分
率)、Cはマイナス時の電圧値、Dはマイナス時の時間
(波長に対する百分率)、Eは波長λ(周波数:1/
λ)を表し、種々の異なる成膜条件と薄膜の特性として
薄膜の屈折率を測定した。また、この成膜中に、成膜ド
ラムからフィルム基材が離れる箇所で剥離放電の目視確
認を行った。その結果を結果を表1に示す。
【0027】〈比較例1〉実施例1と同様の装置を用
い、成膜ドラムにバイアスを印加しない場合と直流電圧
を印加した場合で成膜した以外は実施例1と同様に製膜
し、実施例1と同様に評価した。その結果を表1に示
す。
【0028】
【表1】
【0029】表1から明らかなように、実施例1の条件
〜で薄膜の屈折率が向上し、薄膜の充填密度がバイ
アスのマイナス電圧に依存し高くなる結果を得た。この
ことから、イオン等の正荷電粒子の入射による効果が確
認された。また、剥離放電も見られずフィルムの安定走
行、薄膜の品質の維持が確認された。それに対して、比
較例1の条件では剥離放電は無いが屈折率が低く、ま
た条件では屈折率は向上したが剥離放電が発生し、フ
ィルムの帯電によりフィルムの安定走行に支障をきたし
た。さらに大気中でフィルム裏面を目視観察したとこ
ろ、放電痕が確認できた。
【0030】〈実施例2〉フィルム基材として12μm
の厚みのPETフィルム、薄膜形成部の薄膜形成手段と
して加熱源に電子ビーム、蒸発材料をSiOとして真空
蒸着法により薄膜を形成した。プラズマ形成は成膜ドラ
ム近傍から放電ガスとして酸素ガスを導入し、蒸発源と
成膜ドラムの間にホーンアンテナを設置しマイクロ波
(2.45GHz)を用いてマイクロプラズマアシスト
蒸着法により成膜を行った。成膜ドラムには交流電圧と
して、250〜350kHzの周波数のパルスを印加し
た。種々の異なる成膜条件と薄膜の特性として酸素透過
率を測定した。また、この成膜中に、成膜ドラムからフ
ィルム基材が離れる箇所で剥離放電の目視確認を行っ
た。その結果を結果を表2に示す。
【0031】〈比較例2〉実施例2と同様の装置を用
い、成膜ドラムにバイアスを印加しない場合と直流電圧
を印加した場合で成膜した以外は実施例2と同様に製膜
し、実施例2と同様に評価した。その結果を表2に示
す。
【0032】
【表2】
【0033】表2から明らかなように、実施例2の条件
〜で酸素透過率が改善された上に安定していた。バ
イアスのマイナス電圧による効果と、剥離放電の抑制に
よりフィルムが安定に走行し、薄膜の品質の維持され
た。それに対して、比較例2の条件では剥離放電のた
めフィルムにピンホールが見られる箇所もあり、酸素透
過率が安定しないと同時に品質の大幅に落ちる結果とな
った。また、条件では酸素透過率は改善されたが剥離
放電が発生し、フィルムの帯電によりフィルムの安定走
行に支障をきたした。さらに大気中でフィルム裏面を目
視観察したところ、放電痕が確認できた。
【0034】〈実施例3〉フィルム基材として100μ
mの厚みのPETフィルム、薄膜形成部の薄膜形成手段
として珪素(Si)の平板ターゲットを用い、ターゲッ
トに高周波電界を印加してスパッタリング法により薄膜
を形成した。この際、放電用ガスとしてアルゴンガス、
反応ガスとして酸素ガスをターゲットと成膜ドラム上の
フィルム基材の間に導入し、フィルム基材上にSiO2
の薄膜を形成した。成膜ドラムには交流電圧として、5
0〜250kHzの周波数のパルスを印加した。種々の
異なるパルスの各設定値及び成膜条件と薄膜の特性とし
て薄膜の屈折率を測定した。また、この成膜中に、成膜
ドラムからフィルム基材が離れる箇所で剥離放電の目視
確認を行った。その結果を結果を表3に示す。
【0035】〈比較例3〉実施例3と同様の装置を用
い、成膜ドラムにバイアスを印加しない場合と直流電圧
を印加した場合で成膜した以外は実施例3と同様に製膜
し、実施例3と同様に評価した。その結果を表3に示
す。
【0036】
【表3】
【0037】表3から明らかなように、実施例3の条件
〜で薄膜の屈折率が向上し薄膜の充填密度がバイア
スのマイナス電圧に依存し高くなる結果を得た。このこ
とからイオン等の正荷電粒子の入射による効果が確認さ
れた。また剥離放電も見られずフィルムの安定走行、薄
膜の品質の維持が確認された。それに対して、比較例3
の条件、ともに剥離放電は無いが屈折率が低くなっ
た。
【0038】〈実施例4〉フィルム基材として12μm
の厚みのPETフィルム、薄膜形成部の薄膜形成手段と
してメタンガス(CH4)を金属からなる放電用電極と
成膜ドラム上のフィルム基材の間に導入し、放電用電極
にに高周波電界を印加してプラズマCVD法により薄膜
を形成した。この際、形成された薄膜は炭化水素系かダ
イヤモンドライクカーボン2の薄膜が形成される。成膜
ドラムには交流電圧として、2〜100kHzの周波数
のパルスを印加した。種々の異なるパルスの各設定値及
び成膜条件と薄膜の評価としてスチールウールによる摩
耗性を評価した。また、この成膜中に、成膜ドラムから
フィルム基材が離れる箇所で剥離放電の目視確認を行っ
た。その結果を結果を表4に示す。
【0039】〈比較例4〉実施例4と同様の装置を用
い、成膜ドラムにバイアスを印加しない場合と直流電圧
を印加した場合で成膜した以外は実施例4と同様に製膜
し、実施例4と同様に評価した。その結果を表4に示
す。
【0040】
【表4】
【0041】表4から明らかなように、実施例4の条件
〜でスチールウールラビングをしても薄膜に擦過傷
はなく硬質の薄膜が形成され、薄茶色薄膜であることか
らダイヤモンドライクカーボンの薄膜が形成された。そ
れに対して、比較例4の条件、ともに剥離放電は無
いが、スチールウールラビングにより傷が生じ、また無
色または極薄茶色の炭化水素系の薄膜が形成された。
【0042】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、プラス
チック等のフィルムを基材にその表面に形成する薄膜の
機能性向上と改善のため用いられるプラズマを用いた成
膜プロセスにおいて、プラズマ中のイオン等の荷電粒子
を加速して基材表面に照射するバイアスアシストを効果
的に行い、且つ成膜の荷電粒子によるフィルムの帯電の
影響を低減し、長時間に渡りフィルムの安定走行と製品
の性能の維持を可能にすることで、安定して製品を供給
することを可能とする巻取真空成膜装置を提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の巻取真空成膜装置の一例を示す説明図
である。
【図2】本発明の巻取真空成膜装置の他の例を示す説明
図である。
【図3】本発明の巻取真空成膜装置における交流パルス
波形の説明図である。
【図4】従来の巻取真空成膜装置の最も基本的な装置の
構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1……巻取真空成膜装置 2、8……薄膜形成部 3……真空ポンプ 4……巻出ロール 5……ガイドロール 6……フィルム 7……成膜ドラム 9……プラズマ 10……巻取ロール 11……交流電源 12……整合回路 A……パルスのプラス時の電圧値 B……パルスのプラス時の時間(波長に対する百分率) C……パルスのマイナス時の電圧値 D……パルスのマイナス時の時間(波長に対する百分
率) E……パルスの波長 V……電圧
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 16/54 C23C 16/54

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】真空環境下で、巻出側から順次フィルムを
    走行させながら巻取側で巻取る間に成膜ドラム上で薄膜
    を形成する巻取真空成膜装置において、 プラズマを形成する手段を具備した薄膜形成部を有し、
    電気的に浮遊して接地されていない成膜ドラムと、これ
    に交流電圧を印加する電圧印加部を具備したことを特徴
    とする巻取真空成膜装置。
  2. 【請求項2】上記電圧印加部が、電気的にマイナス側に
    バイアスされた、(1/2)Vpp<0(Vppは交流
    電圧の振幅を表す)の関係を満たす交流電圧波形となる
    電圧を印加する電源を具備した電圧印加部であることを
    特徴とする請求項1記載の巻取真空成膜装置。
  3. 【請求項3】上記電圧印加部が、交流電圧がパルス状で
    ある交流電圧を印加する電圧印加部であることを特徴と
    する請求項1または2記載の巻取真空成膜装置。
  4. 【請求項4】上記電圧印加部が、交流電圧の交流周波数
    が1kHz以上である交流電圧を印加する電圧印加部で
    あることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記
    載の巻取真空成膜装置。
  5. 【請求項5】上記電圧印加部が、交流電圧のパルス状電
    圧のプラス時間をパルスの1周期の0.1%〜99.9
    %の範囲で可変可能な電圧印加部であることを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれか1項に記載の巻取真空成膜装
  6. 【請求項6】上記薄膜形成部における薄膜形成手段とし
    て、蒸着法、スパッタリング法の物理的成膜法と化学的
    気相成長法(CVD)の化学的成膜法から選ばれた少な
    くとも1つの薄膜形成手段を有していることを特徴とす
    る請求項1〜5のいずれか1項に記載の巻取真空成膜装
    置。
  7. 【請求項7】真空環境下で、巻出側から順次フィルムを
    走行させながら巻取側で巻取る間に、電気的に浮遊して
    接地されていない、電圧印加部から交流電圧を印加され
    た成膜ドラム上で、薄膜形成部でプラズマを発生させて
    薄膜を形成することを特徴とする成膜フィルムの製造方
    法。
JP2000250754A 2000-08-22 2000-08-22 巻取真空成膜装置およびこれを用いた成膜フィルムの製造方法 Pending JP2002060931A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000250754A JP2002060931A (ja) 2000-08-22 2000-08-22 巻取真空成膜装置およびこれを用いた成膜フィルムの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000250754A JP2002060931A (ja) 2000-08-22 2000-08-22 巻取真空成膜装置およびこれを用いた成膜フィルムの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002060931A true JP2002060931A (ja) 2002-02-28

Family

ID=18740275

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000250754A Pending JP2002060931A (ja) 2000-08-22 2000-08-22 巻取真空成膜装置およびこれを用いた成膜フィルムの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002060931A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008152940A (ja) * 2006-12-14 2008-07-03 Toppan Printing Co Ltd マイクロ波プラズマ発生装置及びプラズマアシスト蒸着装置
CN103370439A (zh) * 2011-11-22 2013-10-23 松下电器产业株式会社 基板输送辊、薄膜的制造装置以及薄膜的制造方法
WO2014051331A1 (ko) * 2012-09-26 2014-04-03 (주)비엠씨 플라즈마 화학 기상 증착 장치
CN116815152A (zh) * 2023-07-11 2023-09-29 安徽立光电子材料股份有限公司 一种连续真空沉积镀膜设备

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008152940A (ja) * 2006-12-14 2008-07-03 Toppan Printing Co Ltd マイクロ波プラズマ発生装置及びプラズマアシスト蒸着装置
CN103370439A (zh) * 2011-11-22 2013-10-23 松下电器产业株式会社 基板输送辊、薄膜的制造装置以及薄膜的制造方法
WO2014051331A1 (ko) * 2012-09-26 2014-04-03 (주)비엠씨 플라즈마 화학 기상 증착 장치
CN104769156A (zh) * 2012-09-26 2015-07-08 Bmc股份有限公司 等离子体增强化学气相沉积设备
JP2015535889A (ja) * 2012-09-26 2015-12-17 ビーエムシー カンパニー リミテッド プラズマ化学気相蒸着装置
CN116815152A (zh) * 2023-07-11 2023-09-29 安徽立光电子材料股份有限公司 一种连续真空沉积镀膜设备

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6724967B2 (ja) プラズマを使った前処理装置を有した蒸着装置
US5578130A (en) Apparatus and method for depositing a film
CN106256927B (zh) 成膜方法和成膜装置
JP3547398B2 (ja) 二重イオン源をもつ処理システム
EP0823944A1 (en) Sputtering device
WO2008044474A1 (fr) Procédé de formation de film transparent électroconducteur
US6001432A (en) Apparatus for forming films on a substrate
JPH0734332B2 (ja) 透明導電性フイルムの製造方法
WO2005059202A1 (ja) 薄膜形成方法並びに該方法により薄膜が形成された基材
JPH07109571A (ja) 電子ビーム式連続蒸着装置
JPWO2008047549A1 (ja) 透明導電膜基板及びこれに用いる酸化チタン系透明導電膜の形成方法
JP2002060931A (ja) 巻取真空成膜装置およびこれを用いた成膜フィルムの製造方法
JP4826907B2 (ja) 巻取式真空蒸着方法及び装置
JP2023507602A (ja) 酸化ケイ素被覆ポリマーフィルム及びそれを製造するための低圧pecvd方法
JP2008202075A (ja) プラズマアシスト蒸着装置およびプラズマアシスト蒸着方法
JP5278639B2 (ja) プラズマアシスト蒸着装置
JP2002343775A (ja) エッチング装置
JP3327533B2 (ja) 被膜形成方法
JPH01234397A (ja) ダイヤモンド状薄膜の製造方法及び装置
JPH01279747A (ja) プラズマビーム製膜装置
TW200304498A (en) Method and apparatus for manufacturing thin film
WO1987005637A1 (en) Continuous ion plating device for rapidly moving film
JP2738433B2 (ja) 反応性プラズマビーム製膜装置
JP2015028196A (ja) 積層体の製造方法
JPH08199355A (ja) スパッタリング装置及び方法