JP2008202075A - プラズマアシスト蒸着装置およびプラズマアシスト蒸着方法 - Google Patents

プラズマアシスト蒸着装置およびプラズマアシスト蒸着方法 Download PDF

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Abstract

【課題】蒸着プロセスでの最適な条件となる圧力よりも高い圧力でないと有効にプラズマを発生できない問題を解決する。
【解決手段】マイクロ波を伝播させる導波管を有し、前記導波管からマイクロ波を導入する真空容器を有し、前記導波管の出口を塞ぎ前記真空容器内の空間を前記導波管内の空間から隔離する誘電体を有し、前記誘電体の先に設置したマイクロ波ホーンアンテナを有し、前記ホーンアンテナの側壁を貫通して前記ホーンアンテナの内部に設置し前記マイクロ波に共振する長さを有する第1のガスパイプを有し、前記第1のガスパイプの先端のガス導入口からガスを前記マイクロ波ホーンアンテナ内に導入してプラズマを発生する機構を有し、前記真空容器内に設置した蒸発源を有し、前記蒸発源と蒸着対象の基材との間に設置した第2のガスパイプを有するプラズマアシスト蒸着装置を製造する。
【選択図】図1

Description

本発明は、真空成膜プロセスに用いるプラズマを安定的に発生させて反応性蒸着を行う方法に関する。
蒸着やCVD(化学的気相堆積法)による真空薄膜形成で、膜の硬度を向上させることや密着性を向上させるためにプラズマアシスト蒸着処理、もしくはプラズマCVDプロセスなどが有効とされている。プラズマを発生させるためには、放電や熱、光などを電離エネルギーとして利用しイオンや電子を生成し維持することで得られる。放電によるプラズマは電界によるイオン・電子の加速、衝突、電離について減圧化において容易に行えるため利便性の高い方法として知られている。電界の発生には、直流(Direct Current, DC)方式、交流(Alternating Current, AC)方式、高周波(Radio Frequency, RF)方式、マイクロ波(Micro
Wave, MW)方式などが代表例として挙げられる。MW方式以外では電界の中でプラズマを維持することから、陽極と陰極の間にプラズマを発生させるが、MW方式では電極を必要としない無極放電が可能となる。具体的には導波管または空洞共振器内の強い電界を利用することでプラズマ密度の高い放電が得られる。
特許文献1が開示するように、真空中で蒸発源に設置した蒸発対象物質を電子ビーム加熱法で加熱し蒸発させて、蒸発した原子または分子をマイクロ波でイオン化し、あるいは励起させマイクロ波プラズマを発生させる。その原子または分子を合成樹脂フィルムなどの基材に蒸着させることで、基材のガスバリア性を向上させるコーティング層を形成する。しかし、マイクロ波プラズマを発生させるためには、真空容器の幅と略同等の幅を有するマイクロ波ホーンアンテナが必要であり装置が大規模になる問題があった。また、マイクロ波ホーンアンテナに無数の孔を形成しておき、その孔と空間の数を調整しマイクロ波に対するインピーダンスを変えて調整し空間とマイクロ波のインピーダンスの範囲を近づける必要がある。そのため、大きな圧力変動に対して効率よくマイクロ波エネルギーを伝達しないという問題があった。
特許文献2が開示するように、ECRプラズマを利用すると、マイクロ波の2.45GHzと磁場による共鳴作用によって低圧力での高密度なプラズマが比較的簡単に得られるが、そのために大掛かりな磁石が必要である問題があり、蒸発対象物質を加熱する電子ビームの軌道を曲げてしまい、電子ビーム加熱法で蒸発対象物質を蒸発させることを難しくする問題があった。
また、蒸着中のチャンバー内部に酸素を入れることで反応性蒸着が行えるが、例えば酸化アルミニウム等のガスバリア性のある蒸着膜は単に酸素ガスを導入するだけではその特性が得られず基材のガスバリア性を改善することができない問題があった。
以下に公知文献を記す。
特許第3360848号公報 特開平8−60373号公報
特に、プラズマアシスト蒸着処理では、プラズマを利用する圧力の条件は、蒸着プロセスでの最適な条件となる圧力よりも高い圧力でないと有効にプラズマを発生できない問題
があった。つまり、プラズマを有効に発生させ維持しようとして圧力を設定すると蒸着の成膜レートや膜の品質を低下させることとなり、逆に蒸着の成膜レートや膜の品質を維持しようと圧力を設定するとプラズマが発生しないといった問題があった。
また、電磁波の波長に比べて十分広い空間では、電界強度の分布が一定とならずに放電プラズマが発生しないという問題があった。特に波長の短い電磁波であるマイクロ波を用いているので、プラズマが発生しないときは、電磁波のエネルギーが金属メッシュ(電磁波漏洩防止シールド)などを加熱してエネルギーを消費する不具合を生じる問題があった。また、プラズマが発生してもプロセスに必要な部分ではなく例えば配管の裏側や覗き窓近傍など目的の場所以外でプラズマが発生することがあり、熱に弱い場所を破損する問題があった。
本発明は、この課題を解決するために、マイクロ波を伝播させる導波管を有し、前記導波管からマイクロ波を導入する真空容器を有し、前記導波管の出口を塞ぎ前記真空容器内の空間を前記導波管内の空間から隔離する誘電体を有し、前記誘電体の先に設置したマイクロ波ホーンアンテナを有し、前記ホーンアンテナの側壁を貫通して前記ホーンアンテナの内部に設置し前記マイクロ波に共振する長さを有する第1のガスパイプを有し、前記第1のガスパイプの先端のガス導入口からガスを前記マイクロ波ホーンアンテナ内に導入してプラズマを発生する機構を有し、前記真空容器内に設置した蒸発源を有し、前記蒸発源と蒸着対象の基材との間に設置した第2のガスパイプを有することを特徴とするプラズマアシスト蒸着装置である。
また、本発明は、上記マイクロ波の波長がλであるとき、上記第1のガスパイプの上記ホーンアンテナの側壁への設置位置を上記誘電体からλ/2のパイプ取り付け距離に設置し、前記第1のガスパイプの上記マイクロ波ホーンアンテナの内壁から先端部までのパイプ長さをλ/4にしたことを特徴とする上記のプラズマアシスト蒸着装置である。
また、本発明は、上記マイクロ波ホーンアンテナの形状が、上記導波管と同じ形状であることを特徴とする上記のプラズマアシスト蒸着装置である。
また、本発明は、上記蒸発源が金属材料を蒸発させるものであり、上記金属材料の蒸気に、上記第1のガスパイプから酸素を供給して発生させた酸素プラズマに上記第2のガスパイプから酸素ガスを加えることで得た酸素プラズマを加えることで金属酸化物を得、前記金属酸化物を上記基材に成膜することを特徴とする上記のプラズマアシスト蒸着装置である。
また、本発明は、マイクロ波を導波管に伝播させ、前記導波管からマイクロ波を真空容器に導入し、前記導波管のマイクロ波の出口を誘電体で塞ぐことで前記真空容器内の空間と前記導波管内の空間を隔離し、前記真空容器内の圧力をプラズマを発生させやすい圧力範囲内の圧力に設定し、前記導波管内の圧力を前記圧力範囲と異なる圧力に設定し、前記誘電体の先に設置したマイクロ波ホーンアンテナの側壁を貫通して前記ホーンアンテナの内部に前記マイクロ波に共振する長さの第1のガスパイプを設定し、前記第1のガスパイプの先端のガス導入口でプラズマを発生させ、前記真空容器内に蒸発源を設置し、前記蒸着源と蒸着対象の基材との間に第2のガスパイプを設置してガスを導入することを特徴とするプラズマアシスト蒸着方法である。
また、本発明は、上記マイクロ波の波長がλであるとき、上記第1のガスパイプの上記ホーンアンテナの側壁への設置位置を上記誘電体からλ/2のパイプ取り付け距離に設置し、前記第1のガスパイプの前記マイクロ波ホーンアンテナの内壁から先端部までのパイ
プ長さをλ/4にしたことを特徴とする上記のプラズマアシスト蒸着方法である。
また、本発明は、上記マイクロ波ホーンアンテナの形状が、上記導波管と同じ形状であることを特徴とする上記のプラズマアシスト蒸着方法である。
また、本発明は、上記蒸発源が金属材料を蒸発させるものであり、前記金属材料の蒸気に、上記第1のガスパイプから酸素を供給して発生させた酸素プラズマに上記第2のガスパイプから酸素ガスを加えることで得た酸素プラズマを加えることで金属酸化物を得、前記金属酸化物を上記基材に成膜することを特徴とする上記のプラズマアシスト蒸着方法である。
本発明により、真空チャンバー内部が広い空間となっても第1のガスパイプがアンテナとなり、ガス噴出口のみにプラズマの発生個所を集中させ、そのプラズマを真空容器8全体に供給することができる。よって、真空容器中の場所を選ばずにプラズマにより効果的に蒸着やCVD等の成膜プロセスを実施できる。また、ECRプラズマのようにマイクロ波とプラズマの共鳴磁場、すなわち周波数2.45GHzの場合、875×10-4[T](=875[ガウス])の強磁場を作らなくとも圧力が低い条件でも安定してプラズマを生成することができるため、電子ビーム加熱式の蒸着源の電子ビームの軌道を曲げることなくプラズマアシスト蒸着が簡単に行える。これによって、蒸着での最適な圧力範囲を維持しながらも、プラズマによるアシスト効果を望めるため、高品質な蒸着膜を得ることができる効果がある。
以下、本発明の実施形態を図1から図4を用いて詳細に説明する。本実施形態は、図1のように、マイクロ波を発生するマイクロ波発振器6、そのマイクロ波を伝播させる導波管1、導波管1の途中に挿入してマイクロ波のインピーダンスを調整する整合器7、導波管1からマイクロ波を導入する真空容器8、導波管1の出口を塞ぎ真空容器8内の空間を導波管1内の空間から隔離する誘電体2、その誘電体2の先に設置したマイクロ波ホーンアンテナ3と、マイクロ波ホーンアンテナ3の内部にその側壁を貫通する第1のガスパイプ4を設置する。このうち、マイクロ波プラズマ発生部が、図2のように、導波管1と誘電体2と図2の右側が開口するマイクロ波ホーンアンテナ3と、第1のガスパイプ4とから構成される。
図1のマイクロ波発振器6は、マグネトロンを代表とする一般的なマイクロ波管を使用することができ工業用割り当て周波数の2.45GHzを用いる。導波管1は、発振周波数によって形状が決まるが、電磁界の進行方向によって各種モードが選べるがTE波の基本モードの利用を考慮し、EIAJ形名WRJ−2(内径寸法109.22×54.61mm)を使う。
マイクロ波のインピーダンスを調整する整合器7は、E−Hチューナー、スタブチューナー、4Eチューナーなどが挙げられるがどれを用いても構わない。
誘電体2は、導波管1内と真空容器8内の圧力を異ならせるために用いる。プラズマを発生させやすい圧力範囲は0.1[Pa]〜10[Pa]程度であるので、真空容器8内の圧力はその範囲に設定し、導波管1内の圧力はそれより2桁程度高くするか低くして導波管1内にプラズマが発生しないようにさせる。これにより、真空容器8内のみにプラズマを発生させることができる。もし、導波管1内が0.1〜10[Pa]の圧力範囲であるならば、導波管1内でもプラズマが発生してしまい余分なエネルギーを消費するばかりか、希望する場所にプラズマが発生しない不都合が生じる。誘電体2は、マイクロ波の誘
電損失が低くかつ圧力差があっても変形しない材料が好ましく、単結晶の誘電体材料が、誘電損失が低くなるので望ましい。
マイクロ波ホーンアンテナ3と第1のガスパイプ4の組み合わせで、第1のガスパイプ4の形状はマイクロ波によって生ずる電界エネルギーを受けるアンテナとして重要な役割を果す。マイクロ波ホーンアンテナ3内部にその側壁を貫通する第1のガスパイプ4を設置し、第1のガスパイプ4のマイクロ波ホーンアンテナ3内部での長さをマイクロ波に共振する長さにすることで、第1のガスパイプ4の先端のガス導入口5に電界を集中させることにより、そのガス導入口から反応性ガスを導入したときに、そのガス導入口で反応性ガスが特に強い電界を受け、その個所に集中させてプラズマを発生させることができる。特に図2のように、誘電体2から第1のガスパイプのマイクロ波ホーンアンテナ3の取り付け位置までのパイプ取り付け距離10をマイクロ波の波長λの1/2とし、図2および図3のように、マイクロ波ホーンアンテナ3の内壁からの第1のガスパイプの先端部までのパイプ長さ11をマイクロ波の波長λの1/4の長さにすることで、インピーダンスを大きくすることで電界強度が最大となるため、より好ましい。
第1のガスパイプ4への最大電界を決める上でマイクロ波ホーンアンテナ3は接地されていることが重要である。基準電位0からマイクロ波の波長λの1/4の長さにすることで、電界強度が最大となるからである。
マイクロ波ホーンアンテナ3は導波管1と同じ大きさ形状であっても構わない。プラズマを安定発生することが目的であるため、一般的な形状である空間へ向かって開口が広がっていく必要はない。この理由は、マイクロ波が空間へ伝播する以前にプラズマを発生させるためにエネルギーが消費され、そのプラズマが真空容器8の全体に送られるからである。マイクロ波ホーンアンテナ3は導波管1と同じ大きさ形状にすることで、装置が小型化できる効果がある。
このマイクロ波プラズマ発生部を公知の真空蒸着法と組み合わせることで、プラズマアシスト蒸着法として用いることができる。その場合の基材9は、金属、ガラス、プラスチックなどの種々の材料に対応でき、基材9の厚さはフィルム、シート、パネルなど特に制限はない。蒸着では10-3[Pa]から 10-2[Pa]の圧力範囲で行うことが多いが、第1のガスパイプ4をアンテナとして用いたプラズマ発生部はそれらの圧力範囲でもプラズマを発生することが可能である。よって、蒸着材料がプラズマにより活性化され基材9への着力向上や膜の緻密化が実現できる。また、第1のガスパイプ4のアンテナが共振することでマイクロ波プラズマを安定に発生させるので、これにより発生したプラズマが、電子ビーム蒸発式の蒸発源14のルツボの帯電を緩和し、蒸発源14のルツボからの電子ビームの反射電子や散乱電子が基材9に入射して帯電させる帯電障害を緩和させる効果がある。
ここで挙げられる反応性ガスは、各種化合物を組成できるガスであり、具体的には、酸素、アンモニアなどの活性ガスである。例えば、酸素は反応性ガスとして金属蒸気から金属酸化物の膜を作成することができ、アンモニアやプラズマにより活性化された窒素からは窒化物の膜が作成することができる。具体的には、蒸発源14に設置した金属アルミニウムを電子ビーム加熱法によって蒸発させアルミニウム蒸気を発生させ、その蒸気中に酸素を吹付け、酸素を酸素プラズマにすることで、酸素プラズマのアシストによって高品質な酸化アルミニウム膜を作成することができる。ここで言う高品質は、ガスバリア性の高いということである。
図4のように、第2のガスパイプ13を基材9の下に、蒸発源14の上に設置する。この第2のガスパイプ13には、反応性ガスを真空容器8中へ導入する孔を設ける。蒸発源
14上に設置した第2のガスパイプ13の孔を蒸発粒子が塞ぐことを防ぐために、防着シールド12を設け、第2のガスパイプ13の孔を防着シールド12側、すなわち、下側に向ける。これによって、第2のガスパイプ13の孔づまりを防ぎガスの流れを確保することができる。
マイクロ波ホーンアンテナ3は上向きに設置し、導波管1のマイクロ波の出口の誘電体2が蒸発源14よりも下に位置するようにする。誘電体2を蒸発源14よりも上に位置した場合、蒸発粒子が誘電体2に付着して蒸着膜を形成して導波管1から供給されるマイクロ波エネルギーの透過を妨害して損失させ、最悪の場合はマイクロ波を全反射してしまい真空容器8内に供給できない。そのため、誘電体2を蒸発源14よりも下に位置するようにすることで、蒸発粒子の誘電体2への付着を防ぐことができる。
蒸気源14から蒸発した蒸気中に第2のガスパイプ13を設置し、第1のガスパイプ4よりも多くの酸素を導入することでより酸化を促進することができる。これにより蒸発粒子と反応性ガスが混合し、プラズマによりエネルギーが加わることでより活性化し反応性が向上する。
これまで説明をしたプラズマ発生部は真空容器8中でフィルム状の基材9をロールで送り出しロールで巻き取る巻取り式真空蒸着装置のアシスト源として利用することができる。この場合は、巻取りをおこなうためにフレキシブルな基材9が用いられ、ロール・トゥ・ロールによって大量生産に適するため、好ましい。その場合、適用するフレキシブルな基材9には特に制限はない。基材9の透明性を重視する場合でも、高分子透明プラスチックの基材9は、特に限定されるものではなく公知のものを使用することができる。例えばポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル系(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド系(ナイロン−6、ナイロン−66等)、ポリスチレン、エチレンビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネイト、ポリエーテルスルホン、アクリル、セルロース系(トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース等)などが挙げられるが特に限定されない。また、基材9のフィルム厚みは限定するものではないが、用途に応じて、6μmから200μm程度が使用しやすい。
以下に実施例を示す。
<実施例1>
マイクロ波は2.45GHzの周波数を用い、導波管1はEIAJ形名WRJ−2(内径寸法109.22×54.61mm)、整合器7は4Eチューナーを使用した。誘電体2は石英ガラス(120mm×95mm厚さ3mm)を使用して、導波管1内の圧力を真空容器8よりも低くするためにターボポンプによって導波管1内の圧力を10-4[Pa]付近とした。図1に概略の構成を示すように、マイクロ波ホーンアンテナ3内のガスパイプはSUS316製の3/8インチのパイプを用いて先端部分はL字となるように90度曲げ加工をした。図2に示すように、2.45GHzのマイクロ波の波長λは122mmであるので、石英ガラスの誘電体2からマイクロ波ホーンアンテナ3の第1のガスパイプ4の取り付け位置までのパイプ取り付け距離10は、誘電体2からλ/2の61mm離した。
図2および図3に示すように、マイクロ波ホーンアンテナ3の内壁からの第1のガスパイプ4の先端部までのパイプ長さ11はλ/4の31mmに設定した。そして第1のガスパイプ4から酸素ガスを導入した。また、図4に真空容器8内の詳細な構成を示すように、蒸発源14と基材9との間に第2のガスパイプ13を設置し、第2のガスパイプ13からも酸素ガスを導入した。この実施例1では、第1のガスパイプ4は、マイクロ波ホーンアンテナ3の内側に側壁の垂直に設置したが、第1のガスパイプ4を途中で折り曲げても良い。その場合も、マイクロ波ホーンアンテナ3の内壁からの第1のガスパイプの先端部までのパイプ長さ11をλ/4にすることで、第1のガスパイプをマイクロ波に共振させることができる。
巻取り式真空蒸着装置を用い、基材9はPETフィルム(東レ社製T60、25μ厚)を用いた。電子ビーム加熱式蒸発を行う蒸発源14を用い、蒸発源14に蒸発対象物質として金属Alのインゴット(純度99.9%)を設置し反応性アシスト蒸着を行った。電子ビームの条件は、ビーム加速電圧40kV、ビーム電流0.28Aとし、Alインゴットに電子ビームを照射し、Al蒸気を発生させた。これにより基材9にAl蒸着を行い、基材9の光線透過率が波長380nmで40%となる様にして、第1のガスパイプ4より酸素ガス50[sccm]を、第2のガスパイプ13より酸素ガス280[sccm]をそれぞれ導入した。(ここで、sccmは、standard cc/minであり、1 atm (大気圧 1,013hPa )、0 ℃で規格化された密度の気体を10-3リットル毎分供給する量を1単位にしてあらわす気体の供給量である。)これにより得られた真空容器8内の圧力は4.7×10-2[Pa]であった。マイクロ波電力を1.0[kW]にすることでAlOx成膜を行った。AlOx膜厚が20nmとなるように巻取り速度を変化させた。作成したAlOx付きフィルムは酸素透過率(MOCON製、OX−TRAN2/20による酸素透過率測定。測定条件30℃70%RH)、光線透過率(分光器使用、島津製作所製UV−3100)、AlOx膜厚(X線反射率法、リガク製ATX−G)を測定した。
<比較例1>
実施例1と同様に、マイクロ波電力を0[kW]とした以外は同条件でAlOx付きのフィルムを作成し、実施例1と同様の評価をした。
<比較例2>
実施例1と同様に、第1のガスパイプ4の酸素流量を300[sccm]とし、第2のガスパイプ13の酸素流量を0[sccm]とした以外は同条件でAlOx付きのフィルムを作成し、実施例1と同様の評価をした。
<比較例3>
実施例1と同様に、第1のガスパイプ4の酸素流量を0[sccm]とし、第2のガスパイプ13の酸素流量を300[sccm]とした以外は同条件でAlOx付きのフィルムを作成し、実施例1と同様の評価をした。
Figure 2008202075
これらの結果を表1に示す。比較例1はプラズマが無いためガスバリア性は低くなった。比較例2は、酸素ガスがプラズマ発生部には十分存在しているが、第2のガスパイプ13から酸素ガスを供給しなかったことによりAlと反応する酸素が少なかったため光線透過率は低く黒ずんだ膜となった。比較例3はプラズマが発生したり消滅したりと不安定な状態だった。これは、第1のガスパイプ4に酸素ガスが供給されていないためと考えられる。実施例1では酸素透過率が低く、光線透過率も高くなったことから、AlOx膜のバリアが向上したといえる。プラズマを利用しなかった比較例1からもバリア性の差は明らかである。このことはプラズマアシストによって膜質が密に変化したことと、蒸発源14での電子ビームによるバリア性の劣化要因である帯電障害を緩和したことの2つの要因が考えられるが、いずれにしろ、マイクロ波プラズマによる蒸着により基材9のガスバリア性が向上する効果があった。すなわち、実施例1により、第1のガスパイプ4からも第2のガスパイプ13からも酸素ガスを供給し、第1のガスパイプ4を共振アンテナとしてマイクロ波プラズマを発生することにより基材9へ蒸着することにより基材9のガスバリア性を向上させる効果があった。
マイクロ波の波長に対して、広い空間があった場合に圧力変化があっても十分に安定したマイクロ波プラズマを発生させることができるため、マイクロ波ホーンアンテナ3と適切な長さのアンテナ兼ガスパイプの第1のガスパイプと、蒸発源14上の第2のガスパイプの2つのガスパイプを使うことで磁場を発生させる大掛かり装備を不要とし、大規模な装置を用いずに、真空容器8内に、通常のプラズマを発生させる最適な圧力より低い圧力で安定なプラズマを発生しプラズマを維持できる。また、強力な磁場を用いないため電子ビーム加熱式蒸発を行う電子ビームの軌道が曲がる恐れが無いので、蒸発源14の電子ビームの電流密度を高くして蒸発レートを高いままで基材9への反応性アシスト蒸着が可能となり、生産性が高く高品質な蒸着膜を基材9に形成することができる。
本発明のプラズマアシスト蒸着装置の全体の概略図である 本発明のマイクロ波プラズマ発生部の側面の断面図である 本発明のマイクロ波プラズマ発生部の正面図である 本発明のプラズマアシスト蒸着装置の真空容器内の詳細な構成を示す図である
符号の説明
1 ・・ 導波管
2 ・・ 誘電体
3 ・・ マイクロ波ホーンアンテナ
4 ・・ 第1のガスパイプ
5 ・・ ガス導入口
6 ・・ マイクロ波発振器
7 ・・ 整合器
8 ・・ 真空容器
9 ・・ 基材
10 ・・ パイプ取り付け距離
11 ・・ パイプ長さ
12 ・・ 防着シールド
13 ・・ 第2のガスパイプ
14 ・・ 蒸発源

Claims (8)

  1. マイクロ波を伝播させる導波管を有し、前記導波管からマイクロ波を導入する真空容器を有し、前記導波管の出口を塞ぎ前記真空容器内の空間を前記導波管内の空間から隔離する誘電体を有し、前記誘電体の先に設置したマイクロ波ホーンアンテナを有し、前記ホーンアンテナの側壁を貫通して前記ホーンアンテナの内部に設置し前記マイクロ波に共振する長さを有する第1のガスパイプを有し、前記第1のガスパイプの先端のガス導入口からガスを前記マイクロ波ホーンアンテナ内に導入してプラズマを発生する機構を有し、前記真空容器内に設置した蒸発源を有し、前記蒸発源と蒸着対象の基材との間に設置した第2のガスパイプを有することを特徴とするプラズマアシスト蒸着装置。
  2. 前記マイクロ波の波長がλであるとき、前記第1のガスパイプの前記ホーンアンテナの側壁への設置位置を前記誘電体からλ/2のパイプ取り付け距離に設置し、前記第1のガスパイプの前記マイクロ波ホーンアンテナの内壁から先端部までのパイプ長さをλ/4にしたことを特徴とする請求項1記載のプラズマアシスト蒸着装置。
  3. 前記マイクロ波ホーンアンテナの形状が、前記導波管と同じ形状であることを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマアシスト蒸着装置。
  4. 前記蒸発源が金属材料を蒸発させるものであり、前記金属材料の蒸気に、前記第1のガスパイプから酸素を供給して発生させた酸素プラズマに前記第2のガスパイプから酸素ガスを加えることで得た酸素プラズマを加えることで金属酸化物を得、前記金属酸化物を前記基材に成膜することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項記載のプラズマアシスト蒸着装置。
  5. マイクロ波を導波管に伝播させ、前記導波管からマイクロ波を真空容器に導入し、前記導波管のマイクロ波の出口を誘電体で塞ぐことで前記真空容器内の空間と前記導波管内の空間を隔離し、前記真空容器内の圧力をプラズマを発生させやすい圧力範囲内の圧力に設定し、前記導波管内の圧力を前記圧力範囲と異なる圧力に設定し、前記誘電体の先に設置したマイクロ波ホーンアンテナの側壁を貫通して前記ホーンアンテナの内部に前記マイクロ波に共振する長さの第1のガスパイプを設定し、前記第1のガスパイプの先端のガス導入口でプラズマを発生させ、前記真空容器内に蒸発源を設置し、前記蒸着源と蒸着対象の基材との間に第2のガスパイプを設置してガスを導入することを特徴とするプラズマアシスト蒸着方法。
  6. 前記マイクロ波の波長がλであるとき、前記第1のガスパイプの前記ホーンアンテナの側壁への設置位置を前記誘電体からλ/2のパイプ取り付け距離に設置し、前記第1のガスパイプの前記マイクロ波ホーンアンテナの内壁から先端部までのパイプ長さをλ/4にしたことを特徴とする請求項5記載のプラズマアシスト蒸着方法。
  7. 前記マイクロ波ホーンアンテナの形状が、前記導波管と同じ形状であることを特徴とする請求項5または6に記載のプラズマアシスト蒸着方法。
  8. 前記蒸発源が金属材料を蒸発させるものであり、前記金属材料の蒸気に、前記第1のガスパイプから酸素を供給して発生させた酸素プラズマに前記第2のガスパイプから酸素ガスを加えることで得た酸素プラズマを加えることで金属酸化物を得、前記金属酸化物を前記基材に成膜することを特徴とする請求項5乃至7の何れか一項記載のプラズマアシスト蒸着方法。
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