JP2670690B2 - 媒体用部材の製造方法 - Google Patents

媒体用部材の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、ビデオテープ、オーディオテープ、コンピ
ューター用カートリッジ等の磁気や光等を利用して情報
の記録および/または再生を行なう媒体用部材の製造方
法に関する。
<従来の技術> ビデオカセット、オーディオカセット、コンピュータ
ー用カートリッジ、ビデオフロッピーディスク、レーザ
ービジョンディスク等の各種情報の記録・再生担体で
は、テープ状ないしディスク状の記録ないし再生用の媒
体が、収納ケース内に収納され、媒体は、収納ケースお
よび記録・再生装置内を走行ないし回転する。すなわ
ち、これらの記録・再生担体内部では、記録・再生媒体
と、収納ケースを構成する部材や収納ケース内に配置さ
れた部材とが、あるいはこれら各部材同士が、互いに摺
接しながら運動する。
ビデオテープを例にとると、カセットケース内には、
記録媒体であるビデオテープとともに、ビデオテープを
巻き取るリール、リールをロックするブレーキ、またテ
ープの走行をガイドするガイドポール、テープガイド等
の種々の部材とが収納されている。
そして、媒体を記録・再生装置に装填すると、たとえ
ば、ビデオテープとガイドポール、テープガイド等のテ
ープ走行ガイド部材や、リールとリールリーフバネなど
が互いに摺動する。
したがって、これらの部材には、テープやディスク等
の媒体の走行や回転が正確で、しかも円滑かつ安定に行
なえるように、 A:摩擦係数が低いこと、 B:部材やテープのケズレおよびそれに起因するドロップ
アウト等をなくすため、耐摩耗性に優れ表面硬度が高い
こと、 C:記録・再生の誤動作につながる静電気等の帯電を防ぐ
ため、帯電防止性に優れていること等の特性が要求され
る。
従来、このような部材は、成形の容易さや軽量性か
ら、通常、樹脂材質で形成されるが、上記の特性を満足
させるために、表面に帯電防止用の塗膜を形成したり、
必要な部材を一部耐摩耗性に優れた金属にしたり、金属
被膜を設けたりしている。
<発明が解決しようとする課題> しかし、帯電防止塗膜を設けるときには薄膜で均一な
塗膜を形成することが困難で、ブルーミング等の問題が
あり、また、部材の一部を金属化するときには、加工工
数が増加してコスト高になる、また、複雑な形状のもの
の加工が困難である等の欠点がある。
このような実状から、本発明者らは、先に上記の部材
に有機金属(特開昭58−222115号公報)、ケイ素化合物
(特開昭58−222438号公報)等のプラズマ重合膜を形成
する旨の提案をしている。
しかし、これらのものでは帯電防止性のみに注目し、
走行摩擦の評価も行っていない。
本発明の目的は、帯電防止性にすぐれ、記録・再生媒
体の走行等が正確、円滑かつ安定に行なわれ、耐久性に
優れ、記録・再生に際してドロップアウトが少なく、部
品点数や加工工数増も招かない、媒体用部材の製造方法
を提供することにある。
<課題を解決するための手段> このような目的は、以下の本発明によって達成され
る。
すなわち、本発明は、テープ状ないしディスク状の媒
体を走行または回転可能に収納する収納ケースを構成す
る部材またはこの収納ケース内に配置される媒体以外の
部材に対し、 その表面に、Cと、Fと、Si、BおよびPの1種以上
とを含み、Fと、Si、BおよびPの含有量の合計が5〜
40at%、(Si+B+P)/Fの原子比が0.2〜5であるプ
ラズマ重合膜を形成し、その表面の帯電防止を行う媒体
用部材の製造方法である。
また、この場合、プラズマ重合膜が、さらにHを含む
ことが好ましい。
以下、本発明の具体的構成を詳細に説明する。
本発明の媒体用部材は、テープ状ないしディスク状の
媒体を走行または回転可能に収納する前記収納ケースを
構成するか、あるいはこの収納ケース内に配置される部
材であり、その表面に前記のプラズマ重合膜が形成した
ものである。
第1図には、本発明の媒体用部材をビデオテープカセ
ットに適用した例が示される。
この場合には、媒体として可撓性基体に磁性層を有す
る記録テープ11を用い、カセット14が収納ケースを構成
する。
第1図に示されるビデオカセットにおいて、カセット
14は、上部カセットハーフ141と下部カセットハーフ142
およびガードパネル145をタッピングネジ117で組みたて
ることにより形成され、これらの部材から、本発明のケ
ースが構成される。このカセット14の内部には、テープ
を巻回した供給リール13S、テープを巻取る巻取りリー
ル13T、また、使用時以外にリールが回転するのを防ぐ
ブレーキ16等が設けられ、さらにテープガイド153、ガ
イドローラー154等の走行ガイド部材が設置される。
供給リール13Sと巻取りリール13Tはカセット内に並ん
で配置され、リールルーフバネ1411により下部カセット
ハーフ142に圧着される。また、ブレーキ16は両リール
の上部中央に配置される。さらに、テープガイド153、
ガイドローラー154等のテープ走行ガイド部材は、テー
プ送り出し口およびテープ引き込み口付近に配置され
る。
さらに、他の部材として、供給リール13Sと記録テー
プ11とを接続するためのリーダートレーラーテープ121
が設けられる。
供給リール13Sから供給される磁気テープ11はガイド
ポール151、テープパッド152間をテープパッド152によ
り適度なバックテンションを与えられつつ通過し、テー
プ供給口のテープガイド153を経て記録・再生機器内に
引き込まれる。記録・再生機器内を走行したテープは、
テープガイド153とガイドローラー154の間を通過して、
巻取りリール13Tに巻き取られる。
ビデオカセットは通常上記のような構造を有するもの
であるが、このようなビデオカセットを構成する部材の
多くは、記録テープ11と、あるいは各部材同士で、摺動
する。
本発明においては、このようなビデオカセットを構成
する部材の表面に、所定のプラズマ重合膜を形成するも
のであるが、中でも特に、記録テープ11と接触する走行
ガイド部材であるガイドポール151、テープパッド152、
テープガイド153、ガイドローラー154、また、記録テー
プと接続しているリーダートレーラーテープ121、さら
にはリールリーフバネ1411と接触するリールセンターボ
ス1333、上部カセットハーフ141および下部カセットハ
ーフ142の前面部141a、142aの表面に所定のプラズマ重
合膜を形成したとき、より良好な効果が得られる。
次に第2図に、本発明の媒体用部材を、オーディオカ
セットに適用した例を示す。
この場合も、ビデオカセットと同様に、媒体として、
可撓性基体に磁性層を有する記録テープ21を用い、カセ
ット25がケースを構成する。
第2図に示されるオーディオカセットにおいて、カセ
ット25はハーフサイドA251とハーフサイドB253を組み合
せることにより形成され、これらの部材より、オーディ
オカセットのケースが構成される。このカセット25の内
部には、テープを巻出または巻き取るハブ部231、クラ
ンプ233やテープの走行をガイドするガイドローラ243、
ガイドピン241、さらに、他の部材として、テープの巻
回を帯電なく、正確にかつスムーズに行なうためのシー
ト261や、ハブ部231、クランプ233と記録テープ21とを
接続するリーダーテープ221等が設けられる。
ハブ部231から供給されるテープは、ガイドピン241、
ガイドローラー243により走行経路をガイドされ、記録
・再生装置内のヘッド等との接触部に入る。ヘッドパッ
ド245に挾まれて、ヘッドと摺接したのち、再びガイド
ローラー243とガイドピン241とによって走行経路をガイ
ドされ、もう一方のハブ部231に巻回される。
本発明においては、ビデオカセットと同様に、このよ
うなオーディオカセットを構成する部材の表面に、前記
したプラズマ重合膜を形成するものであるが、中でも特
に、走行ガイド部材であるガイドピン241、ガイドロー
ラー243や、また、リーダーテープ221やシート261等の
表面に所定のプラズマ重合膜を形成したとき、より良好
な結果を得る。
本発明は、上記のビデオカセット、オーディオカセッ
トの他、同種の磁気テープと同種の部材を有する各種ビ
デオカセット、オーディオカセット、コンピューターカ
ートリッジに適用しても有効である。また、その他、フ
ロッピーディスク、ハードディスク、コンパクトディス
ク等の各種ディスク状の媒体およびクリーニングカセッ
ト等の媒体の部材に施しても、有効である。
本発明においてプラズマ重合膜は、Cと、Fと、Si、
BおよびPの1種以上、より好ましくはCと、Hと、F
と、Si、BおよびPの1種以上とを含有する。
このとき、F、Si、BおよびPの含有量の合計は5〜
40at%、より好ましくは10〜35at%である。
この値が5at%未満であると後述の(Si+B+P)/F
の比をコントロールしても十分な帯電防止性が発現せ
ず、40at%を超えると膜の強度が低下し、部材としての
耐久性が不十分となるからである。
また、(Si+B+P)/Fの原子比は0.2〜5、より好
ましくは0.3〜1.3である。
この値がこの範囲を外れると、十分な帯電防止性が発
揮できなくなってしまう。
なお、Si、BおよびPの2種または3種が含有される
場合その量比は任意である。
Si、BおよびPの1種以上とF以外の残部はC単独で
あっても、CとHとから構成されていてもよい。
CとHとを含有する場合、H/Cの原子比は通常2以
下、特に0.05〜2程度である。
なお、プラズマ重合膜中のC、Si、B、P、F、Hお
よびその他の元素の含有量の分析は、SIMS(2次イオン
質量分析)等に従えばよい。SIMSを用いる場合、本発明
においてプラズマ重合膜は膜厚10〜1000Åにて好適に用
いられるので、プラズマ重合膜表面にて、C、Si、B、
P、F、Hおよびその他の元素をカウントして算出すれ
ばよい。
あるいは、Ar等でイオンエッチングを行いながら、
C、Si、B、P、F、Hおよびその他の元素のプロファ
イルを測定して算出してもよい。
SIMSの測定については、表面科学基礎講座 第3巻
(1984)表面分析の基礎と応用(P70)“SIMSおよびLAM
MA"の記載に従えばよい。
このような組成で形成されるプラズマ重合膜の膜厚
は、10〜1000Å、より好ましくは20〜100Åであること
が好ましい。
この膜厚が1000Åを超えると、成膜時の内部応力が膜
中に残留し、膜自体の強度が低下し、膜ケズレが生じ、
ドロップアウトが発生し易い。
また、膜厚が10Å未満であると、本発明の実効がな
く、耐久性や耐スクラッチ性が低下し、膜ケズレを生
じ、ドロップアウトが発生し易い。また、面状態の悪化
等の不都合を生じる。
なお、膜厚の測定は、エリプソメータ等を用いればよ
い。
また、このような膜厚の制御は、プラズマ重合膜形成
時の反応時間、原料ガス流量等を制御すればよい。
本発明においてプラズマ重合膜に用いる原料ソースと
しては、通常、上記の各元素を含むソースを複数組合せ
て用いればよい。
使用可能なソースとしては下記のものが挙げられる。
(1)シロキサン テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、オク
タメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロ
シロキサン、ヘキサメトキシジシロキサン、ヘキサエト
キシジシロキサン、トリエトキシビニルシラン、ジメチ
ルエトキシビニルシラン、トリメトキシビニルシラン、
メチルトリメトキシシラン、ジメトキシメチルクロロシ
ラン、ジメトキシメチルシラン、トリメトキシシラン、
ジメチルエトキシシラン、トリメトキシシラノール、ハ
イドロキシメチルトリメチルシラン、メトキシトリメチ
ルシラン、ジメトキシジメチルシラン、エトキシトリメ
トキシシラン、ビス(2−クロロエトキシ)メチルシラ
ン、アセトキシトリメチルシラン、クロロメチルジメチ
ルエトキシシラン、2−クロロエトキシトリメチルシラ
ン、エトキシトリメチルシラン、ジエトキシメチルシラ
ン、エチルトリメトキシシラン、トリス(2−クロロエ
トキシ)シラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフル
オロプロピルシラン、1−クロロメチル−2−クロロエ
トキシトリメチルシラン、アリルオキシトリメチルシラ
ン、エトキシジメチルビニルシラン、イソプロフェノキ
シトリメチルシラン、3−クロロプロピルジメトキシメ
チルシラン、クロロメチルジエトキシメチルシラン、ト
リエトキシクロロシラン、3−クロロプロルピルトリメ
トキシシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジメトキシ
−3−メルカプトプロピルメチルシラン、トリエトキシ
シラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、
3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ジエトキシメ
チルビニルシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、
ターシャリーブトキシトリメチルシラン、ブチルトリメ
トキシシラン、メチルトリエトキシシラン、3−(N−
メチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、ジエトキ
シジビニルシラン、ジエトキシジエチルシラン、エチル
トリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキ
シシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラ
ン、p−クロロフェニルトリエトキシシラン、フェニル
トリメトキシシラン、2−シアノエチルトリエトキシシ
ラン、アリルトリエトキシシラン、3−クロロプロピル
トリエトキシシラン、3−アリルアミノプロピルトリメ
トキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキサト
リメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシ
ラン、3−メチルアクリルオキシプロピルトリメトキシ
シラン、メチルトリス(2−メトキシエトキシ)シラ
ン、ジエトキシメチルフェニルシラン、p−クロロフェ
ニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラ
ン、テトラアリルオキシシラン、テトラプロポキシシラ
ン、テトライソプロポキシシラン、ジメトキシジフェニ
ルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、テトラフェノ
キシシラン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ヘ
キサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサ
ン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン、ヘ
キサエチルシクロトリシロキサン、1,3,5−トリメチル
−1,3,5−トリフェニルシクロトリシロキサン、オクタ
メチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロシ
ロキサン等。
(2)シラン シラン、ビニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロ
シラン、メチルチオトリメチルシラン、ジメチルプロピ
ルクロロシラン、ジアリルジクロロシラン、ブチルジメ
チルシラン、テトラエチルシラン、ヘキサメチルジシラ
ン、テトラメチルシラン、ジエチルシラン、エチニルト
リメチルシラン、アリルジメチルクロロシラン、トリメ
チルビニルシラン、ジエチルメチルシラン、ジメチルア
ミノトリメチルシラン、トリエチルシラン、アリルトリ
メチルシラン、メチルトリビニルシラン、テトラビニル
シラン、フェニルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシ
ラザン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,1,3,3,
5,5−ヘキサメチルシクロトリシラザン、1,1,3,3,5,5,
7,7−オクトメチルシクロテトラシラザン等。
(3)炭化水素 通常、操作性の良いことから、常温で気体のメタン、
エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、エチレン、プロ
ピレン、ブテン、ブタジエン、アセチレン、メチルアセ
チレン、その他の飽和ないし不飽和の炭化水素の1種以
上。
(4)フッ化炭素あるいはフッ化炭化水素 テトラフロロメタン、オクタフロロプロパン、オクタ
フロロシクロブタン、テトラフロロエチレン、ヘキサフ
ロロプロピレン、トリフロロクロロメタン、ジフロロメ
タン、トリフロロブロモメタン、ジフロロエタン、テト
ラフロロエタン等の1種以上。
(5)リン化合物 ホスフィン、リン酸エステル等。
(6)ボロン化合物 ジボラン、トリフッ化ボラン等。
(7)その他 NO、N2O、NO2などのNOX、H2、O2、O3、H2O、N2、N
H3、CO、CO2等の1種以上をソースに加えて用いても好
適である。
上記したように、ソース中にはO、Br、Cl等が含有さ
れていてもよい。
さらに必要に応じて、原料にS、N等のソース微量成
分として添加することもできる。
これらソースの使用量比は、目的とするプラズマ重合
膜組成に応じ、適宜設定することができる。
プラズマ重合膜は、前述の原料ガスの放電プラズマを
基板(本発明においては媒体用部材)に接触させること
により重合膜を形成するものである。
プラズマ重合の原理について概説すると、気体が低圧
に保ち電場を作用させると、気体中に少量存在する自由
電子は、常圧に比べ分子間距離が非常に大きいため、電
界加速を受け5〜10eVの運動エネルギー(電子温度)を
獲得する。
この加速電子が原子や分子に衝突すると、原子軌道や
分子軌道を分断し、これらを電子、イオン、中性ラジカ
ルなど、通常の状態では不安定の化学種に解離させる。
解離した電子は再び電界加速を受けて、別の原子や分
子を解離させるが、この連鎖作用で気体はたちまち高度
の電離状態となる。そしてこれはプラズマガスと呼ばれ
ている。
気体分子は電子との衝突の機会が少ないのでエネルギ
ーをあまり吸収せず、常温に近い温度に保たれている。
このように、電子の運動エネルギー(電子温度)と、
分子の熱運動(ガス温度)が分離した系は低温プラズマ
と呼ばれ、ここでは化学種が比較的原型を保ったまま重
合等の加成的化学反応を進めうる状況を創出しており、
本発明はこの状況を利用して基板上にプラズマ重合膜を
形成しようとするものである。なお低温プラズマを利用
するため、基板への熱影響は全くない。
基板表面にプラズマ重合膜を形成する装置例が第3図
に示してある。第3図は、周波数可変型の電源を用いた
プラズマ重合装置である。
第3図において、反応容器Rには、原料ガス源511ま
たは512から原料ガスがそれぞれマスフローコントロー
ラ521および522を経て供給される。ガス源511または512
から別々のガスを供給する場合は、混合器53において混
合して供給する。
原料ガスは、各々1〜250ml/分の流量範囲をとりう
る。
反応容器R内には、対向する電極551、552が設けられ
ており、一方の電極551は例えば周波数可変型の電源54
に接続され、他方の電極552は接地されている。基板
は、通常、電極552上に載置される。
さらに、反応容器R内には、容器内を排気するための
真空系統が配備され、そしてこれは液体窒素トラップ5
7、油回転ポンプ58および真空コントローラ59を含む。
これら真空系統は反応容器内を0.01〜10Torrの真空度の
範囲に維持する。
操作においては、反応容器R内がまず10-3Torr以下に
なるまで油回転ポンプにより容器内を排気し、その後原
料ガスが所定の流量において容器内に混合状態で供給さ
れる。
このとき、反応容器内の真空は0.01〜10Torrの範囲に
管理される。
原料ガスの流量が安定すると、電源がオンにされる。
こうして、基板表面にプラズマ重合膜が形成される。
キャリアガスとして、Ar,He,H2などを使用してもよ
い。
なお、印加電流、処理時間等は通常の条件とすればよ
い。
プラズマ発生源としては、高周波数放電の他に、マイ
クロ波放電、直流放電、交流放電等いずれでも利用でき
る。
このようなプラズマ重合膜は、基板上、特にプラズマ
処理された基板上に形成されることが好ましい。
基板表面をプラズマ処理することによって、この基板
とプラズマ重合膜との接着力が向上する。
基板表面のプラズマ処理法の原理、方法および形成条
件等は前述したプラズマ重合法のそれと基本的に、ほぼ
同一である。
ただし、プラズマ処理は原則として、無機ガスを処理
ガスとして用い、他方、前述したプラズマ重合法による
プラズマ重合膜の形成には原則として、有機ガス(場合
によっては無機ガスを混入させてもよい)を原料ガスと
して用いる。
本発明においてプラズマ処理ガスとしては、特に制限
はない。
さらに、プラズマ処理電源の周波数については、特に
制限はなく、直流、交流、マイクロ波等いずれであって
もよい。
このように、より好ましい態様としてプラズマ処理さ
れた基板上には、前述のプラズマ重合膜が形成される。
<実験例および実施例> 以下、本発明を具体的実験例および実施例を挙げて本
発明を詳細に説明する。
[実験例1] 第3図に示される装置を用いて、30μm厚のPET製の
シートの表面に、下記表1に示されるプラズマ重合膜を
200Å厚に形成し、シートサンプルを得た。動作圧力0.0
5Torr、プラズマ出力200W、プラズマ周波数13.56MHzと
した。プラズマ重合の原料ガスおよび流量を表1に示
す。
なお、プラズマ重合膜の組成〔F+Si+B+Pおよび
(Si+B+P)/F〕はSIMSにて測定した。また、膜厚は
エリプソメータにて測定した。
このようにして得られたシートの摩擦係数(μ)を測
定した。また、シートに5000Vの電荷をチャージして、
帯電量の半減期を測定した。さらに、20℃、60%RHにて
24時間保存後にも帯電量の半減期の測定を行なった。
結果を表2に示す。
なお、比較例として、同様の材質、膜厚からなり、プ
ラズマ重合膜を形成しないシートおよび本発明範囲外の
組成のプラズマ重合膜を形成したシートにも同様の実験
を行なった。結果を表2に併記する。
[実験例2] 第3図に示される装置を用いて、ステンレス製の直径
4mmのポールの表面に、厚さ500Å厚に、前記表1に示さ
れるプラズマ重合膜を形成し、サンプルを得た。プラズ
マ重合膜に関しては、前記実験例1と同様である。
このようにして作製したポールの摩擦係数μを測定し
た。
結果を表3に示す。
なお、比較例として、同様の材質からなり、プラズマ
重合膜を形成しないポール(サンプルNo.12)およびPOM
製のポール(サンプルNo.13)にも同様の実験を行なっ
た。結果を表3に併記する。
なお、摩擦係数μは、0.25以下であることが望まし
く、これ以上の数値であると円滑な走行は望めない。
[実施例1] 下記の部材の表面に実験例1および2と同様のプラズ
マ重合膜を形成し、その部材を用いて第1図に示される
ビデオカセットを作製した。
なお、プラズマ重合膜の膜厚は500Åとした。
リーダートレーラーテープ121(PET製) ガイドポール151(POM製) テープパッド152(PET製) テープガイド153(POM製) ガイドローラー154(POM製) リールセンターボス1333(POM製) 記録テープ11は、14μm厚のPETフィルムの上の、Co
被着−γFe2O3を磁性粉となる磁性層を有するものであ
る。
なお、一つのビデオカセットにおいて、各部材は、同
じプラズマ重合膜を形成したものである。
このようにして作製したサンプルビデオカセットを用
いて、下記の実験を行なった。
(1)ドロップアウト 各サンルにおける初期と、60℃、90%RH、200パス耐
久走行後のドロップアウトを測定した。
試験方法は、全長120分のビデオテープの毎分あたり
のドロップアウトの数を測定し、これの平均を算出し
た。
結果は、この試験を各サンプルビデオカセットを10巻
行なったものの平均値である。
結果を表4に示す。
なお、このような試験においては、1つのサンプルに
つき1回でもドロップアウト数20を超える結果が出た場
合、実用に耐えないが、本発明品においては1回たりと
もドロップアウト数20を超える結果は出なかった。
また本来の使用においては、ドロップアウトキャンセ
ラーが有効に働くので、20個以下のドロップアウトは目
視には表れない。
[実施例2] 下記の部材の表面に実験例1および2と同様のプラズ
マ重合膜を形成し、その部材を用いて第2図に示される
オーディオカセットを作製した。なお、プラズマ重合膜
の膜厚は500Åとした。
リーダーテープ221(PET製125μm厚) シート261(PET製、35μm厚) ガイドピン241(SUS製) ガイドローラー243(POM製) 記録テープ21は、C−90用のPETフィルムの上に、Co
被着−γFe2O3を磁性粉とする磁性層を有するものであ
る。
なお、一つのオーディオカセットにおいて、各部材
は、同じプラズマ重合膜を形成したものである。
このようにして作製したサンプルオーディオカセット
を用いて、下記の実験を行なった。
(1)レベルダウン 各サンプルの60℃、90%RH、200パス耐久走行後のレ
ベルダウンを測定した。
試験条件は、B&K社製のレベルレコーダー2307に
て、10kHzの信号を用い、録音および再生にフィルター
は用いずに、チャートスピードは0.3mm/secとした。
このような条件で、各サンプルにつきカセット10巻の
耐久走行前後の再生信号をチェックし、テープ全長で、
耐久走行前に対し、3dB以上の低下が一つでもあったも
のは×、一つもなかったものは○で評価した。
結果を表5に示す。
<発明の効果> 本発明の媒体用部材は、その表面に所定のプラズマ重
合膜を形成したものである。
従って、本発明の媒体用部材は、非常に高い帯電防止
性を有し、しかも低摩擦、耐摩耗性が高い等の優れた特
性を有する。
また、このような部材を用いた担体は、帯電防止性が
高く、しかも記録・再生媒体の走行・運動が正確、円滑
かつ安定で、しかもドロップアウトが少ない等の優れた
特性を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の媒体用部材を用いたVHSビデオカセ
ットの構造を示す分解斜視図である。 符号の説明 11……記録テープ、 121……リーダートレーラーテープ、 123……接着テープ、 13S……供給リール、 13T……巻取りリール、 131……リールフランジ、 133……リールハブ、 1331……ハブ部、 1333……リールセンターボス、 135……テープクランプ、 141……上部カセットハーフ、 1411……リールリーフバネ、 1412……クリアウインド、 142……下部カセットハーフ、 145……ガードパネル、 1451……ガードパネルバネ、 147……ロックプレート、 1471……ロックプレートバネ、 151……ガイドポール、 152……テープパッド、 153……テープガイド、 154……ガイドローラー、 1541……ガイドローラーピン、 161……ブレーキレバー、 1611……ブレーキバネ、 162……レリーズレバー、 第2図は、本発明の媒体用部材を用いたオーディオカセ
ットの構造を示す分解斜視図である。 符号の説明 21……記録テープ、 221……リーダーテープ、 231……ハブ部、 233……クランプ、 241……ガイドピン、 243……ガイドローラー、 2431……ガイドローラーピン、 245……ヘッドパッド、 251……ハーフサイドA、 253……ハーフサイドB、 255……シールド板、 257……タッピングネジ、 261……シート 第3図は直流、交流および周波数可変型電源を使用した
プラズマ処理装置の概略図である。 符号の説明 53……混合器、 54……直流、交流および周波数可変型電源、 57……液体窒素トラップ、 58……油回転ポンプ、 511,512……処理ガス源、 521,522……マスフローコントローラ、

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】テープ状ないしディスク状の媒体を走行ま
    たは回転可能に収納する収納ケースを構成する部材また
    はこの収納ケース内に配置される媒体以外の部材に対
    し、 その表面に、Cと、Fと、Si、BおよびPの1種以上と
    を含み、Fと、Si、BおよびPの含有量の合計が5〜40
    at%、(Si+B+P)/Fの原子比が0.2〜5であるプラ
    ズマ重合膜を形成し、その表面の帯電防止を行う媒体用
    部材の製造方法。
  2. 【請求項2】プラズマ重合膜が、さらにHを含む請求項
    1に記載の媒体用部材の製造方法。
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