JP2668325B2 - 引戸用開閉装置 - Google Patents

引戸用開閉装置

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JP2668325B2
JP2668325B2 JP5210833A JP21083393A JP2668325B2 JP 2668325 B2 JP2668325 B2 JP 2668325B2 JP 5210833 A JP5210833 A JP 5210833A JP 21083393 A JP21083393 A JP 21083393A JP 2668325 B2 JP2668325 B2 JP 2668325B2
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光昭 庄司
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、重量ある引戸の開閉
を任意位置で一時的に停止して逆方向の可動を所定トル
ク以内で阻止できる両方向係止クラッチ機構を該引戸に
組込んだ引戸用開閉装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、移動可能な可働体、例えば一般住
宅、オフィス、倉庫等における出入口に用いられる引戸
は、戸車を引戸の開閉方向に沿って設けられたレール上
を回転移動できるように取付け、引戸を円滑に作動し得
る構造である。しかし、例えば、レールが僅かに傾斜し
ていることに起因して、引戸の開閉操作中、自然と戸車
が開閉方向或いは開放方向に回転移動してしまう虞があ
った。これを解決するため、本出願人は、先に特開平4
−176983号公報に開示したように開閉作動の途中
の任意位置で一時的に引戸を停止して逆方向の移動を所
定トルク以内で阻止できる両方向係止クラッチ機構を戸
車に組込んだ引戸を開発し、所定の効果を達成すること
ができた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この先
行技術のものは、レール上を走行する戸車内に両方向係
止クラッチ機構を組込んでいるため、限定されている戸
車内に組込まなければならず、特に重量のある引戸に組
込んだ場合、軸受け部分の耐久性がなく挫屈する虞があ
る。そこで、この発明は上記従来技術および先行技術の
問題点に鑑み、これを解決すべくなされたものであっ
て、引戸の開閉を完全に行うことができると共に、その
動作の途中においても任意の位置で確実に停止できる堅
牢にして耐久性に優れた両方向係止クラッチ機構を取付
けた引戸用開閉装置を提供することを目的としたもので
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】これを達成する手段とし
て、この発明は、外輪部に大径の歯車を形成した回転可
能な戸車の主軸を引戸に直接支受し、該戸車によってレ
ール上に走行可能に引戸を吊下すると共に、該引戸に両
方向係止クラッチ機構を組込んだ小径の制御歯車体を取
付け、該制御歯車体に形成した外輪歯車部を上記戸車の
歯車と噛合して、レール上部の狭いスペースに併設し、
引戸の走行で回転する戸車を歯車の噛合で制御歯車体内
の両方向係止クラッチ機構を作動して、引戸の走行途中
任意の位置で一時的に停止でき、所定トルク以上では退
避溝部に非係止状態に保持可能とされる引戸用開閉装置
としたものである。
【0005】
【実施例】この発明の構成を図面で示す一実施例につい
て以下詳細に説明する。図1乃至図6は、出入口を開閉
する引戸の実施例である。引戸1は、これに取付けた戸
車3によって出入口Aの上壁部Bに閉成方向に向かって
次第に下降するように僅かに傾斜して配設されたレール
Cに回転自在に吊下し開閉可能に取付けられている。こ
の発明の引戸用開閉装置は下記の構成要素を備えてい
る。戸車3は、その主軸4を引戸1の上框に取付けた取
付金具2に固定し、主軸4はボールベアリング軸受5を
介して回転自在の外輪体6を取付け、外輪体6には上記
レールCに係合するレール係合溝7が形成され、その両
側に大径の歯車部8が形成されている。制御歯車体9
は、支軸10と外輪歯車部11との間に両方向係止クラ
ッチ機構12が組込まれて小径の外輪歯車部11を回転
可能に制御し、外輪歯車部11を上記戸車3の歯車部8
と噛合するようにその支軸10を上記引戸1の取付金具
2に固定する。両方向係止クラッチ機構12は、基本的
には上記先行技術の特開平4−176983号公報に開
示されている両方向係止クラッチと同様の機能を有する
機構であるが、これについてさらに詳述する。この両方
向係止クラッチ機構12は、図4乃至図6に示すよう
に、外輪歯車部11に回動不能に嵌合した内筒体13内
に、支軸10を中心として、制御板14、回転保持体1
5、受けリング16、ローラーピン17、弾性線材18
よりなる部材が組込まれている。外輪歯車部11は、一
側が壁面11aで、他側が開口11bする筒状に形成さ
れている。そして壁面11aに穿設した貫通孔11cに
支軸10を挿通し、その外周面部に形成した嵌合凹部1
1dに嵌合した軸受リング21に支軸10を挿通する。
内筒体13は、一側が壁面13aで、他側が開口13b
する筒状に形成されている。そして壁面13aには支軸
10を挿通する貫通孔13cが穿設され、上記支軸10
に嵌合した軸受リング21にワッシャー22を介して内
筒体13を外輪歯車部11内に回動不能に嵌合する。制
御板14は、支軸10を挿通する貫通孔14aが穿設さ
れた略環状に形成され、該貫通孔14aの内周面の所定
箇所、この実施例では3箇所に凹溝14bが切欠されて
いる。この凹溝14bは中央部が最浅部14cで、その
両側が深くなるような略つの形状に退避溝部14d、1
4dが形成されている。また外周部にも該凹溝14bに
向かって略円弧状の遊動切欠部14eが形成されている
板材からなり、この制御板14を適当枚、例えば10枚
重合して回動保持体15の両側に、これを挟み込むよう
に夫々内筒体13内に回動不能に嵌合する。回動保持体
15は、中央部に支軸10を挿通する貫通孔15aが穿
設され、その内周面には上記制御板14の凹溝14bに
対応する3箇所に、該凹溝14bよりも幅狭のローラー
ピンを支持する保持溝15bが形成され、また外周部に
は該保持溝15bに対応する箇所に弾性線材18を挿入
する線材嵌合溝15cが切欠されている。受けリング1
6は、回動保持体15に嵌合して、該回動保持体15と
一体に内筒体13内に回動可能に嵌合する。ローラーピ
ン17は、支軸10の外周面と制御板14の凹溝14b
及び回動保持体15の保持溝15bに形成された空間部
分に亘って挿入される。弾性線材18は、制御板14の
遊動切欠部14eおよび回動保持体15の線材嵌合溝1
5cに挿入され、その一端は、内筒体13の壁面13a
に穿設された小孔13dに挿入係止し、他端を内筒体1
3の開口13bに回動不能に密嵌した押え板19に穿設
された小孔19bに挿入係止する。そして、該押え板1
9の貫通孔19aに支軸10を貫通して、該支軸10に
ワッシャー22を介して軸受リング21を嵌合し、該軸
受リング21を軸受蓋板20の嵌合凹部20bに嵌入す
ると共に、軸受蓋板20に穿設した貫通孔20aに支軸
10を挿通して、軸受蓋板20を外輪歯車部11の開口
11bに密嵌して両方向係止クラッチ機構12が組立て
られる。
【0006】このように構成されているので、引き戸1
を開放方向に移動すると、これに取付けた戸車3は外輪
体6のレール係合溝7がレールC上を図2に示すように
時計方向に回転移動するので、戸車3の主軸4はボール
ベアリング軸受5を介して引戸1の全重量を受けて堅牢
に且つ円滑に作動し、引き戸1は軽快に走行することが
できる。これと同時に戸車3の外輪体6はその歯車部8
が制御歯車体9と噛合しているので、該制御歯車体9を
図2に示すように反時計方向に回転する。これにより外
輪歯車部11に組込まれている両方向係止クラッチ機構
12は作動し、これに従って図4に示すように内筒体1
3内の制御板14を反時計方向に回転するので、これに
形成した凹溝14bの中央最浅部14cに係止状態に位
置しているローラーピン17は、図5に示すように右側
の退避溝部14dに移動するが、その際、弾性線材18
は制御歯車体9の回転によってその弾性に抗して時計方
向に弓状に湾曲する。これは弾性線材18の中央部分が
回動保持体15の線材嵌合溝15cに挿入保持されてい
るのに対して、両端を係止している内筒体13と押え板
19が、制御歯車体9の反時計方向の回転により、その
弾性に抗して弓状に湾曲されるものであるから、常に回
動保持体15に反時計方向の弾発力が作用した状態でロ
ーラーピン17は、制御歯車体9が反時計方向に回転し
つづける限り、右側の退避溝部14dに移動してフリー
状態を保ち、これによって両方向係止クラッチ12は支
軸10に対して非係止状態となって、該支軸10の周囲
を外輪歯車部11と共に自由に回転することができ、引
戸1を軽快に開放方向に移動することができる。そして
引戸1を完全に開放し、或いは開放動作を途中で止める
と、レールCが閉成方向に傾斜しているため、引戸1は
該閉成方向に所定内のトルクが付与され、戸車3は上記
と逆に反時計方向に回転しようとするので、これに連動
する制御歯車体9に時計方向の回転力が作用し、外輪歯
車部11に組込まれている両方向係止クラッチ機構12
が作動し、これに従って内筒体13内の制御板14は時
計方向に回転するので、図5に示すように制御板14の
凹溝14bの右側の退避溝部14dにフリー状態に位置
しているローラーピン17は、凹溝14bの中央最浅部
14c方向に移動しようとすると共に、弓状に湾曲して
いる弾性線材18の弾性復元力で回動保持体15の反時
計方向の回転も作用して中央最浅部14cに押戻されて
図4に示すように係止状態となり制御歯車体9を停止
し、これに噛合している戸車3の回転を止める。その
際、戸車の大径の歯車部8と制御歯車体9の小径の外輪
歯車部11とを歯車噛合したので、引戸の走行、停止の
際の慣性作用を両歯車の歯車比で引戸に大きな制動力を
与え、これにより、引戸1は閉成方向に逆戻りすること
なく、全開位置または所定の任意の停止位置で開放状態
となって、振動等の不用意な外力が加わっても引戸1は
容易に閉成してしまうことはない。さらに、この状態か
ら、閉成方向に所定以上のトルクを加えると、戸車3を
介して制御歯車体9は時計方向に回転して両方向係止ク
ラッチ機構12が作動し、これに従って内筒体13内の
制御板14は時計方向に回転するので、図4に示すよう
に制御板14の凹溝14bの中央最浅部14cに押戻さ
れて係止状態となっているローラーピン17は、左側の
退避溝部14dに移動してフリー状態を保ち、これによ
って両方向係止クラッチ12は支軸10に対して非係止
状態となって、該支軸10の周囲を外輪歯車部11と共
に自由に回転することができ、引戸1を軽快に閉成方向
に走行することができる。そして閉成後において、両方
向係止クラッチ機構12は、上記と逆に開放方向に僅か
なトルクを加えただけでは、ローラーピン17が14b
の中央最浅部14cに係止してしまうため、停止力が働
くことになる。したがって、開放方向に振動等の不用意
な外力等が加わっても引戸1が容易に開放してしまうこ
とはない。なお、この停止力に抗して引戸を開放する場
合には、かかる停止力を解除できる程度のトルクを加え
れば、ローラーピン17の位置が退避溝部14d位置へ
移動し、再び開放作動できることは言うまでもない。
【0007】
【発明の効果】以上、実施例について詳述したように、
この発明の引戸用開閉装置によれば、戸車の回転機構
と、戸車の回転動作を調節する機能とを分離して、夫々
戸車と両方向係止クラッチ機構を組込んだ制御歯車体と
に分担させたので、焼入れされた戸車の主軸で直接引戸
の全重量を支えることができ、引戸を堅牢に支持して挫
屈、損壊することなく耐久性に優れ、円滑、軽快に可動
することができると共に、全体がコンパクトに構成され
ているので、限定されたレール上部の狭いスペース部分
であっても容易に組込むことができる上、この戸車に噛
合させた制御歯車体に両方向係止クラッチ機構を組込ん
だことにより、該両方向係止クラッチ機構に引戸の負荷
がかからず、さらに戸車の外輪部に形成した大径の歯車
と小径の制御歯車体の外輪歯車部とを歯車噛合したの
で、引戸の走行、停止の際の慣性作用を両歯車の歯車比
で引戸に大きな制動力を与え、引戸の走行中所定の任意
の位置で係止状態とすることができ、不用意な外力が加
わっても、容易に逆方向に走行することなく、引戸の動
作を確実にすることができる等の優れた効果を奏するも
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例の引戸用開閉装置を引戸に
取付けた状態の正面図
【図2】同じくこの発明の引戸用開閉装置の一部を切欠
せる正面図
【図3】同じくこの発明の引戸用開閉装置の一部を切欠
せる側面図
【図4】同じく両方向係止クラッチ機構を組込んだ制御
歯車体の縦断正面図
【図5】同じく両方向係止クラッチ機構の作動中の一部
縦断正面図
【図6】同じく両方向係止クラッチ機構の分解斜視図
【符号の説明】
1 引戸 2 取付金具 3 戸車 4 主軸 5 ボールベアリング軸受 6 外輪体 7 レール係合溝 8 歯車部 9 制御歯車体 10 支軸 11 外輪歯車部 12 両方向係止クラッチ機構

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外輪部に大径の歯車を形成した回転可能
    な戸車(3)の主軸(4)を引戸(1)に直接支受し該
    戸車(3)によってレール(C)上に走行可能に引戸
    (1)を吊下すると共に、該引戸(1)に両方向係止ク
    ラッチ機構(12)を組込んだ小径の制御歯車体(9)
    を取付け、該制御歯車体(9)に形成した外輪歯車部
    (11)を前記戸車(3)の歯車と噛合して、レール
    (C)上部の狭いスペースに併設し、前記両方向係止ク
    ラッチ機構(12)は該外輪歯車部(11)に嵌合した
    内筒体(13)内に支軸(10)を中心として制御板
    (14)・回転保持体(15)及びローラーピン(1
    7)を含み、該制御板(14)は該支軸(10)を挿通
    可能な貫通孔(14a)と内周面に中央部が最浅部(1
    4c)で両側が深い形状の退避溝部(14d)を有する
    複数個の凹溝(14b)が切欠され外周部に該凹溝(1
    4b)に向かって遊動切欠部(14e)が形成されてい
    る板材からなり、該回動保持体(15)は中央部に支軸
    (10)を挿通する貫通孔(15a)と内周面に上記凹
    溝(14b)に対応する箇所に該凹溝(14b)より幅
    狭の保持溝(15b)が形成され、該ローラーピン(1
    7)は前記支軸(10)外周面と凹溝(14b)及び保
    持溝(15b)とで形成された空間に挿入され、前記引
    戸(1)の走行で回転する戸車(3)の歯車の噛合で前
    記両方向係止クラッチ機構(12)を作動して、前記ロ
    ーラーピン(17)は前記引戸(1)の走行途中任意位
    置において所定トルク以内では前記最浅部(14c)に
    係止し所定トルク以上では前記退避溝部(14d)に非
    係止状態に保持可能とされていることを特徴とする引戸
    用開閉装置。
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JPH0718937A JPH0718937A (ja) 1995-01-20
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JPS58183604U (ja) * 1982-05-31 1983-12-07 シャープ株式会社 制動装置
JPS62225676A (ja) * 1986-03-25 1987-10-03 松下電送株式会社 ドアダンパ−装置
JPH0692712B2 (ja) * 1990-11-09 1994-11-16 不二精器株式会社 戸車及び該戸車を用いた引戸開閉装置

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