JP2667351B2 - 食餌脂質消化吸収阻害剤および飲食品 - Google Patents
食餌脂質消化吸収阻害剤および飲食品Info
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Description
肥満防止などの作用を期待できる食餌脂質消化吸収阻害
剤および飲食品に関するものである。
て、脂質の摂取量が増加している。平成元年の「国民栄
養調査」でも、脂質からのエネルギー摂取比率が平均で
25%を越え、既に危険域に達したと報告されている。
このような恒常的な脂質の過剰摂取が肥満という問題を
引き起こし、それに続くさまざまな合併症(例えば、心
臓循環器系疾患、呼吸器系疾患、糖尿病等)が先進諸国
では社会問題とすらなって来ている。
低下を目的としたアプローチが各国で精力的に行われて
おり、以下のように種々の方法、薬物および商品が提案
されている。
脂肪代替品、食欲抑制剤がある。しかし、食事療法は過
度な制限食であることが多く、脂質に富んだ美味な食品
が豊富な現代社会において、長期で実行するには非常な
困難を伴う。また、脂肪代替品にあっては、炭水化物ベ
ース、タンパク質ベース、油脂ベースおよび合成脂肪代
替物、等様々な商品が開発されているが、自然なおいし
さ、本物の旨さを追い求めるグルメの時代に代替品の味
で満足することも容易ではない。一方、食欲そのものを
抑えてしまう方法として、コンニャクマンナン等で膨満
感だけを得るというものがあるが、その物性の故、摂取
に困難を伴うなど、ごく一部の肥満患者に受け入れられ
ているに過ぎない。また、食欲抑制のための薬剤とし
て、マジンドールやフェンフルラミン等が知られている
が、医師のコントロール下でしか投与できず、その副作
用も報告されている[Hadler.A.J.:J.Clin. Pharm. 12,
453(1972)、Stunkar D.A. et al:Lanset l , 503(1973)
]。
として、脂肪等の摂取には制限を加えず吸収した栄養物
が脂肪として蓄積する事を阻止するというアプローチが
あって、そのための薬剤としてデヒドロエピアンドロス
テロン[Yen.T.T.et al : Lipid 12, 409(1977) ]があ
げられるが、この薬剤にはホルモン系のバランスが損な
われる等の副作用が報告されている[Baulien.E.E.et a
l.:J.Clin.Endocrinal Metal, 23 ,1298(1963)、Siiter
i.P.K.et al.: Steroid,2 ,713(1963)]。更に、蓄積し
た体脂肪の分解促進作用として唐辛子辛味成分(カプサ
イシン)が知られているが[Kawada,T. et al.: J.Nut
r., 116, 1272(1986)]、その刺激味のゆえ、実用化さ
れるには至っていない。また、甲状腺ホルモンは体脂質
の分解を促進するのでその利用も考えられるが、脂質特
異性に乏しく筋肉量の減少がむしろ多いと指摘されてい
る[Kyle.L.H.et al.: N.Eng.J.Med., 275,12(1966)、
Gray.G.A.et al.:Am.J.Clin.Nutr,: 26 .,715(1973)
]。
摂取脂質の消化管での吸収を阻害しようとするアプロー
チが注目されてきた。しかし、この作用を示す薬物とし
て知られるネオマイシンは、脂肪下痢を起こすなど重篤
な副作用がある[Faloon.W.W.et al.: Ann.N.Y.Acad.Sc
i., 132 ,879(1966)]。また、消化管で食餌脂質をトラ
ップする物質としてある種のカプセル[特開昭64−5
2713号公報]、コラーゲン架橋物[米国特許第48
65850号明細書]、およびポリアクリル酸ソーダを
凝集剤とするカプセル製剤[特開平3−120227号
公報]などが開示されているが、本発明者らの知るとこ
ろでは、その効果はトータルとしての脂質の排泄量を見
ていない等その効果に不明な点が多い。また、同様の脂
質吸収阻害作用を有するものとして、長鎖アルキル=
(メタ)アクリレートの架橋重合体からなる経口脂質吸
収体が提案されている(特開平5−23136号公
報)。
だされてきており[Nagyvary,J.J.: Nutr.Rep.Int.20,
677(1979) 、I.Ikeda: J.Nutr.119, 1383 (1989)、お
よび特開平3−290170号公報]、その効果に期待
が持てる。しかし、これらの研究では摂食後の血中脂質
濃度を指標としており、この場合にもトータルな脂質収
支は不明な点が多い。また、鶏を用いてキトサンの糞中
脂質排泄量の増加、体脂肪の減少効果[小林ら 日本家
禽会誌、28,88(1991)]が報告されている
が、その他の成分による相乗効果については検討されて
いない。
脂肪低下のための様々なアプローチがなされているにも
係わらず、これら素材および商品又は方法が嗜好的に優
れないものであったり、それ自体が健康を害するもので
あったりするために、十分な目的を達成する以前に放棄
される事が多いのが現状である。
に鑑み、本発明は、食餌制限を行うことなく、脂質の消
化吸収を阻害させることにより、摂取した過度のエネル
ギーを体外へ排泄し得る安全で摂取しやすい食餌脂質消
化吸収阻害剤を提供しようとするものである。
本発明者らは、摂取された食餌脂質を効率よく体外へ例
えば便として排泄させる作用を持つ素材を広く探索し
た。その結果、キトサンにアスコルビン酸ないしその塩
類を混合したものが脂質に特異的で且つキトサン単独の
場合に比べ著しく高い食餌脂質消化吸収阻害能すなわち
食餌脂質の糞便への排泄能を持つことを初めて見出し、
本発明を完成させるに至った。 <要 旨>すなわち、本発明による食餌脂質消化吸収阻
害剤は、キトサンとアスコルビン酸ないしその塩類との
混合物を有効成分とすること、を特徴とするものであ
る。
性飲食品は、キトサンとアスコルビン酸ないしその塩類
との混合物を有効成分として含有すること、を特徴とす
るものである。 <効 果>上記のキトサンとアスコルビン酸ないしその
塩類との混合物は、摂取が容易で、効率よく食餌由来の
脂質を体外に排泄することができる。従って、摂取され
た脂質すなわちエネルギーを、食事制限によらずに減少
させることができる。上記のキトサンとアスコルビン酸
ないしその塩類は、それぞれ日本では食品添加物として
使用実績もあって、安全性が高く、連続使用が可能であ
って継続使用ないし投与によって、過剰な食餌脂質の取
りすぎを有効に防止することができる。なお、上記のキ
トサンとアスコルビン酸ないしその塩類との混合物が特
に食餌脂質の排泄に著しく有効であるということは、本
発明者らによって、初めて見出された事実であって思い
がけなかったことである。また、当該混合品を用いるこ
とは、キトサン単独使用に比べてその摂取量および摂取
回数を大幅に減じることができ、摂取の容易さ、あるい
は経済性などの点で極めて有効である。
およびアスコルビン酸ないしその塩類の特定の用途に関
する。 <キトサンおよびアスコルビン酸ないしその塩類>本発
明で使用するキトサンはそれ自身公知であり、たとえ
ば、キチン・キトサン研究会編「最後のバイオマス キ
チン、キトサン 1988年刊」に詳細に記載されている。
本発明でも、市場から適当なものを選んで使用すること
ができる。
コルビン酸またはイソアスコルビン酸を用いることがで
きる。すなわち、本発明で「アスコルビン酸」はその異
性体体を包含するものである。その塩類としては、L‐
アスコルビン酸ナトリウムおよびイソアスコルビン酸ナ
トリウムが代表的であるが、カルシウム塩等も例示する
ことができる。これらも既に公知の物質であり、L‐ア
スコルビン酸、イソアスコルビン酸、それらの塩類は、
広く上市されており、その中より適当なものを選んで使
用すればよい。
は、20:1〜1:2、好ましくは10:1〜2:1、
程度である。アスコルビン酸の量がこの比率より小さい
と、アスコルビン酸併用による相乗効果が期待できない
し、この比率より大きいと、相対的にキトサンの摂取な
いし投与量が減るので、食餌脂質消化吸収阻害効果が小
さくなる。この併用比率は、キトサンとアスコルビン酸
の塩類についてもいえる。アスコルビン酸の塩は、ナト
リウム塩のような水溶性のものが好ましい。 <脂質消化吸収阻害剤>本発明の食餌脂質消化吸収阻害
剤は、キトサンとアスコルビン酸ないしその塩類との混
合物を有効成分とするものである。
それ自身の標品、またはカプセル製剤あるいは打錠製剤
として具体化されるばかりでなく、それを食品に含有さ
せた形態、すなわち食餌脂質消化吸収阻害飲食品の形
態、としても具体化される。また、肥満が脂質その他の
栄養の消化吸収により生じるものであることからすれ
ば、本発明による食餌脂質消化吸収阻害剤は肥満防止剤
もしくは肥満予防剤としての肥満治療剤と観念すること
もできる。ここでいう肥満治療剤(肥満防止剤もしくは
予防剤)とは、肥満でない人に対して肥満を予防するた
めの肥満予防剤および肥満症の患者に対して更なる肥満
を防止するための肥満防止剤を意味するものである。
リドに代表される単純脂質およびホスファチド酸に代表
されるリン脂質およびセレブロシドに代表される糖脂質
のことである。
ルビン酸ないしその塩類とを組合せたものからなるが、
該阻害剤は阻害剤としての機能を損なわない限り補助成
分を含んでいていもよい。
の他の補助成分としては、人体に無害なものであればあ
らゆるものが使用できる。また、本発明の阻害剤の形態
はあらゆるものが考えられ、たとえば、ゼラチンカプセ
ル等によりカプセル製剤としても良いし、錠剤および顆
粒状としても良く、また通常の飲食品に混入させても良
いことはいうまでもない。
しその塩との合計で通常、経口にて1〜50g/60kg
体重・日で有効である。なお、これらキトサンおよびア
スコルビン酸ないしその塩類は、経口では実質的に無毒
である。
る脂質消化吸収阻害性飲食品は、キトサンとアスコルビ
ン酸ないしその塩類との混合物を有効成分として含有し
てなるものである。食餌脂質消化吸収阻害飲食品を得る
には、キトサンとアスコルビン酸ないしその塩類とを飲
食品の性状に合わせて、たとえばビスケット様の食品に
は粉末状で、飲料の様な食品には液体で配合すれば良
い。本発明において、キトサンおよびアスコルビン酸な
いしその塩類の配合量は、それぞれの効果が発現する飼
料中最低濃度はキトサン量として1重量%以上であった
が、飲食品にそれぞれ重量で、キトサンおよびアスコル
ビン酸ないしその塩類をそれぞれ2〜10重量%の範
囲、とするのが望ましい。
令、150g前後)を1週間、固形飼料で予備飼育して
実験環境に順化したものを各群10匹ずつに区分けして
使用した。飼料組成は、表1に示す通りであった。
混合して自由給餌した。1カ月間飼育後、3日間採糞
し、糞乾燥重量を測定してSaxon法(Saxon,G.J.:
J.Biol.Chem.17,99(1914) )にて糞中脂質含量を測定
した。
た。
−排泄された脂質量)÷摂食した脂質量×100 また、最終日には、1夜絶食した後、剖検および血液生
化学検査を行った。この際、内臓蓄積脂肪の指標として
副睾丸脂肪組織を摘出し、その重量も測定した。
および表4に示した通りであった。
の 3:キトサン粉末を投与したもの 4:キトサン粉末とL‐アスコルビン酸を投与したもの 実験例1 実験例2 実験例3 実験例4 重量% カゼイン 20.0 20.0 20.0 20.0 シュークロース 48.3 46.8 48.3 46.8 コーン油 20.0 20.0 20.0 20.0 塩化コリン 0.2 0.2 0.2 0.2 ビタミン混合 1.0 1.0 1.0 1.0 ミネラル混合 3.5 3.5 3.5 3.5 セルロース粉末 7.0 7.0 − − キトサン粉末 − − 7.0 7.0 L‐アスコルビン酸 − 1.5 − 1.5 * ビタミン混合、ミネラル混合はAIN−76処方に準拠 * キトサン粉末は片倉チッカリン社製のものを用いた
塩類の混合物の混合比、及びその投与量を変えて、本発
明品が食餌脂質消化吸収率に与える影響を調べた。一例
として、表2の飼料組成すなわちキトサンとL‐アスコ
ルビン酸の混合物の混合比を2:3、10:3および1
0:1、それぞれの投与量を食餌中の2.5、6.5お
よび11.0重量%とした時の食餌脂質消化吸収率を表
5に示す。また、イソアスコルビン酸およびアスコルビ
ン酸塩について、キトサンとの混合比を10:3とし、
それぞれの投与量を食餌中の6.5重量%とした時の食
餌脂質消化吸収率を表5に同時に示す。なお、それぞれ
の対照としてアスコルビン酸ないしその塩類を混合しな
い群を設けた。
の混合比2:3、飼料混入率2.5% 6:対照群1 :実験例5からL‐アスコルビン酸を除
いたもの 7−a:本発明品2−a:キトサンとL‐アスコルビン
酸の混合比10:3、飼料混入率6.5% 7−b:本発明品2−b:キトサンとL‐アスコルビン
酸ナトリウムの混合比10:3、飼料混入率6.5% 7−c:本発明品2−c:キトサンとイソアスコルビン
酸の混合比10:3、飼料混入率6.5% 7−d:本発明品2−d:キトサンとイソアスコルビン
酸ナトリウムの混合比10:3、飼料混入率6.5% 8:対照群2 :実験例7−aからL‐アスコルビン
酸を除いたもの 9:本発明品3:キトサンとL‐アスコルビン酸の混合
比10:1、飼料混入率11.0% 10:対照群3 :実験例9からL‐アスコルビン酸を
除いたもの
に示す通りである。
ン酸単独投与あるいはキトサン単独投与よりもキトサン
とアスコルビン酸ないしその塩類を同時投与することに
より、有意に脂質消化吸収率が低下する。一方、他の有
機酸ではこのような相乗効果は見られなかった。この
際、全群においてタンパク質の消化吸収率にはほとんど
影響がなかった。また、内臓蓄積脂肪の指標である体重
あたりの副睾丸脂肪組織重量は、キトサン摂取群で有意
に低く、アスコルビン酸とキトサンを同時投与した群で
は更に低下した。また、表5より、飼料中に本発明混合
物を2%程度添加することで脂質消化吸収率が有意に低
下し、アスコルビン酸ないしその塩類をキトサンに一定
の割合で混合することで、更に脂質消化吸収率が低下し
た。
よび剖検に於いても、全群、なんら異常は認められなか
った。
ることを示す。 表中数値は、MEAN±S.E.M. 表中a、b、cは各群間に有意差(P<0.05)があ
ることを示す。
り
食;フライドチキンを主体としたランチ、夕食;豚カツ
定食)を継続的に摂取させ、途中、2日間は食後に本発
明品(キトサン:アスコルビン酸ナトリウム=10:1
の混合品)を食後(1日2回)5g/回投与した。また
対照として同一人物にセルロース粉末を別の2日間投与
した。本発明を投与した翌日と翌々日の午後、被検者か
ら糞便を採取し、実施例1に準じ分析に供した。結果を
表6に示す。本発明品をヒトに投与した場合にも、糞便
量、糞便脂質含量および糞便総脂質排泄量が著しく増加
した。
打錠製剤を得た。本製剤は、打錠性、摩損度ならびに胃
内崩壊性に優れていた。 表 7
した。実施例6 表9に示す組成で原料配合し、生地を調製し、成形した
後、オーブンにいれて150℃/15分間焼成して、本
発明の食餌脂質消化吸収阻害剤入りクッキーを試作し
た。
Claims (6)
- 【請求項1】キトサンとアスコルビン酸ないしその塩類
との混合物を有効成分として含有することを特徴とす
る、食餌脂質消化吸収阻害剤。 - 【請求項2】キトサンとアスコルビン酸ないしその塩類
の混合重量比が20:1〜1:2である、請求項1記載
の食餌脂質消化吸収阻害剤。 - 【請求項3】錠剤の形態である、請求項1または2記載
の食餌脂質消化吸収阻害剤。 - 【請求項4】キトサンとアスコルビン酸ないしその塩類
との混合物を有効成分として含有することを特徴とす
る、食餌脂質消化吸収阻害飲食品。 - 【請求項5】キトサンとアスコルビン酸ないしその塩類
の混合重量比が20:1〜1:2である、請求項4記載
の食餌脂質消化吸収阻害飲食品。 - 【請求項6】錠剤の形態である、請求項4または5記載
の食餌脂質消化吸収阻害飲食品。
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