JP2666968C - - Google Patents
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Description
【発明の詳細な説明】
[発明の目的]
(産業上の利用分野)
本発明は、液晶表示素子に係り、特に背景色を無彩色化した液晶表示素子に関
する。 (従来の技術) 液晶表示素子は、動作モードによりTN型、DS型、GH型、DAP型および
熱書き込み型等があり、なかでも電卓および計測機器等の表示素子としては、T
N型の液晶表示素子が多く用いられている。 ところで、近年、ワードプロセッサ、パーソナル・コンピュータ等において表
示容量の増大化や表示面積の大型化の要求が高まるにつれ、TN型の液晶表示素
子では、コントラスト不足や視角範囲の狭さ等の問題が出てきているために、新
しい動作モードによる液晶表示素子の開発が急がれていた。 このような要求に応える液晶表示素子として、例えば特開昭60-10702号公報に
記載されているSBE(スーパーツイステッド・バイアフリジェンス・エフェク ト)型の複屈折率制御型の液晶表示素子が注目されている。このSBE型の液晶
表示素子の構成としては、少なくとも片面側に透明電極が形成された2枚の透明
基板を対向させ、周囲を封着してセルとし、このセル内にネマテック液晶を入れ
る。対向基板間の距離は、3〜12μm程度であり、ネマテック液晶としてはシク
ロヘキサン系、エステル系、ビフェニール系およびピリミジン系液晶等が使われ
ている。ネマテック液晶の中にはカイラル剤が添加され、液晶分子の分子軸が18
0〜360°の角度に一対の基板間で捩られている。また液晶分子は、基板上の配向
膜により、その分子軸が基板平面に対し5°より大きい傾斜のチルト角θを有し
ている。そして、液晶セルのリタデーションR=△n・d・cos2θは、0.6〜1.4
μmである。 また、分子軸の捩りが270°のSBE型液晶表示素子では、好ましくは基板の
外側の前面と背面に偏光板を配しており、前面偏光板の透過軸が前面基板の分子
配向方向に対して右回りに約30°、背面偏光板の透過軸が背面基板の配向方向に
対して左回りに約30°あるいは右回りに約60°である場合が最もよい構成とされ
ている。このうち前者の構成は非選択状態で明るい黄色の表示、選択状態で黒の
表示が得られ(イエローモード)、後者の構成は非選択状態で深い青色の表示が
得られ、選択状態で透過となる(ブルーモード)。 このような構成をしたSBE型液晶表示素子では、電圧に対する透過光の変化
が急峻であり、多桁のマルチプレックス駆動をした場合においても、高コントラ
ストで視覚角も広い。 一方、ラビング技術によりブレチルト角を小さくした液晶表示素子の一例とし
て、液晶の捩れ角を100〜200°とするいわゆるST(スーパーツイスト)型液晶
表示素子が知られている(SID’86DIGET、p122)。 また、他の例として特開昭60-73525号公報には、リタデーションRが0.5〜0.8
μmで、液晶分子の捩れ角が270°のセルに対し前後の偏光板の光軸がほぼ90°
とされ、かつ偏光板の光軸がディレクタを2分する方向が良いとされた液晶表示
素子が示されている。 さて、このような液晶表示素子では、いづれも背景色は無彩色ではなく色付き
がある。このため、黄色の背景に黒の表示、あるいは青色の背景に白の表示であ り、観察者の視感により視認性評価が異なり、人によってはその背景色により視
認性(コントラスト等)が低下していると評価する者もいる。また、ST型およ
びSBE型液晶表示素子は、ともに複屈折率性を利用しているため、透明基板間
の間隔の違いにより色むらが発生しやすく、視野角方向からの色変化や温度が変
化したときの色変化が大きかった。 また、TN型液晶表示素子では、カラーフィルタを配設することによりカラー
化が容易であるのに対し、SBE型液晶表示素子では背景色に色付きがあるため
カラー化が不可能であった。 この点を改良した例としてOMI型液晶表示素子が知られている。(Appl.P
hys.Lett.50(5)1987 p236)。すなわち、液晶の捩れ角が180°、リタデーショ
ンR=△n・d・cos2θの値が0.5〜0.6μm、偏光板はその一方の透過軸がラビ
ング軸と平行とされ、2枚の偏光板の吸収軸の角度は90°とされている。 しかし、このOMI型液晶表示素子では、液晶の捩れ角が180°であるため、
電圧に対する透過光の変化はあまり急峻でなく、駆動デューティ(duty)比を小
さくすると、コントラスト不足、視覚の狭さ、背景の暗さ等の問題があった。 このような背景の暗さやコントラスト不足を解消するものとして特開昭57-462
27号公報、特開昭57-96315号公報、特開昭57-125919号公報に2枚の液晶セルを
重ね、その両側に偏光板を置き、白黒表示とした液晶表示素子が提案され、また
これをSBE方式のLCDで応用した例がJJAP(26.NOV.11.L17784(19
87))に記載されている。これらの特徴は、2枚の液晶セルにおいて互いのツイ
スト方向を逆方向とし、それぞれの液晶セルのリタデーションがほぼ等しくして
おくものである。 即ち、第6図に示すように、偏光板3を通過した直線偏光103は、第1の液晶
セル5を通過することにより楕円偏光101'となる。この楕円偏光は、第1の液晶
セル5とツイスト角が逆でほぼ等しく、またリタデーションもほぼ等しい第2の
液晶セル6を通過することにより、直線偏光102'となり、第2の偏光板4を通過
し、人間の目に感知される。 ここで重要なのは、第1の液晶セル5と第2の液晶セル6とに光学的に相補な
性質を持たせてあることである。これにより、第1の液晶セル5を通過後の楕円 の形状の波長依存性は、第2の液晶セル6による楕円の形状の波長依存性と相補
的となる。この結果、第1、第2の液晶セル5、6の透過光は波長依存性がなく
、色づきのない無彩色表示が得られる。このことは、可視領域のすべての光が表
示に使え、明るい表示が得られるということも示す。 このとき、第1の液晶セル5と第2の液晶セル6とが光学的に相補的になるこ
とが必要であるので、それぞれの液晶セルのリタデーションが、例えば±0.05μ
m以内でほぼ同じであることが必要である。 なお、第1の液晶セル5の基板1、1'に電極を形成し、通常のドットマトリ
クス形液晶表示素子と同様に駆動を行い、一方第2の液晶セル6の基板2、2'
には電極を形成せずに液晶を駆動しないで、単に楕円形状の補正用として用いる
。 このようにして、2層セル方式のST型液晶表示素子は白黒表示で、かつ桁数
を増すことができるという長所を持つが、視覚角がSBE型やOMI型に比べ狭
く、また2枚の液晶セルの歩留り等を含めると2枚の液晶セルを使うことは大変
高価になる。 (発明が解決しようとする課題) 上述のように、捩れ角が180°以上のいわゆるST型液晶表示素子やSBE型
液晶表示素子では背景に色付きがあり、また背景に色付きがない無彩色のOMI
型液晶表示素子の場合においては高コントラストで背景が明るい液晶表示素子を
得ることができなかった。 またST型液晶セルを2枚使った液晶表示素子は背景に色付きのない白黒表示
で高コントラストであるが高価であった。 本発明は、上記従来の問題点を解決しようとするものでは、背景が無彩色で明
るく、高コントラスト、広視野角の液晶表示素子を安価に提供することを目的と
する。 [発明の構成] (課題を解決するための手段) 本発明の液晶表示素子は、それぞれ対向面に電極が形成され、対向設置された
第1、第2の基板と、第1の基板と第2の基板との間で捩れ配向された液晶組成
物からなる液晶セルと、液晶セルの両側に配置された第1、第2の偏光板とを有 する液晶表示装置において、第1の基板と第1の偏光板の間に、2枚の光学遅延
板を配置してなり、第1の基板と第2の基板の間隔をd、液晶組成物のチルト角
をθ、液晶組成物の複屈折率を△nとしたとき、液晶セルのリタデーションをR
o(=△n・d・cos2θ)に対して、2枚の光学遅延板のリタデーションの和が
Ro×0.8乃至Ro×1.2にあることを特徴とする液晶表示素子である。 (作用) 本発明の液晶表示素子の作用を説明する。 第5図は、従来の技術の複屈折効果により表示を行う、例えばSBE型液晶表
示素子やST型液晶表示素子の表示原理を説明する図である。(基板1、1'と
その間に挟持された液晶組成物とからなる)液晶セル5の前後に偏光板3、4が
配設されている。偏光板3を通った直線偏光103は液晶セル5を通過することに
より一般に楕円偏光101'となる。液晶セル5を通過した楕円偏光は、所定の角度
に置かれた偏光板4を通過し、人間の目に感知される。このときの楕円の形状は
、液晶セル5における液晶分子の捩れ角であるツイスト角Ψ、リタデーションR
=△n・d・cos2θおよび波長入によって決まる。ここで、△nは液晶セル5中
の液晶組成物の複屈折率、dはセル厚(基板間隔)、θはチルト角である。 一般に、透過率は波長により変化し、透過光に色づきがある。液晶セルに電界
を印加し、液晶分子の配向を変えることにより、複屈折率△nは実効的に変化し
、これによりリタデーションRが変化し、透過率が変り、このことを用いて表示
を行う。 前述の2層方式はこのような液晶セルを互いに光学的に相補な性質を持たせた
2枚のセルを用いたことを基本構成としている。 さて、本発明の液晶表示素子では、液晶セルの片側に2枚の光学遅延板を配置
させた構成ものであり、液晶セルのリタデーション値をRo(=△n・d・cos2
θ)としたとき、2枚の光学遅延板のリタデーション値の和がRoとほぼ等しく
、即ちRo×0.8乃至Ro×1.2の範囲になるようにしたものである。 第3図は液晶セルの片側に2枚の光学遅延板を配置した、本発明の液晶表示素
子の断面図である。この液晶表示素子では、第2図に示すように、偏光板3を通
過した直線偏光103は、液晶セル5を通過することにより楕円偏光101'となる。 液晶セルの上側に光学遅延板10、11を置き、楕円偏光101'を直線偏光102'にし、
偏光板4を介して人間の目に感知される。 このとき重要なのは、液晶セル5を通過した楕円偏光101'を直線偏光、また直
線偏光に近い偏光102'に変換することである。本発明者等の検討によれば、光学
遅延板のリタデーションの値の和がRo×0.8乃至Ro×1.2の範囲にあるとき上記
の効果が得られ、高コントラストの白黒表示が得られた。光学遅延板のリタデー
ションの値の和がRo×0.8より小さい場合は、電圧印加時と電圧無印加時の分光
透過率の差が小さくなりコントラストが低下し、またRo×1.2を越えるとある特
定波長のみ分光透過率が大きくなり色付きが生ずる。 なお、第1および第2の光学遅延板のリタデーションを種々に変化させ、特性
を調べた結果を表に示す。表中における数値はRoに乗ずる値を示す。駆動条件
は1/200デューティとした。表中、「◎」はコントラスト比が8以上、「○」は
コントラスト比が5〜8、「△」はコントラスト比が3〜5、また「×」は低コ
ントラスト比または色付きがあったものを示す。 なお、本発明では、電圧に対して液晶分子の配向角が急激に変化するように、
液晶組成物の第1の基板と第2基板との間での捩れ角(ツイスト角)は大きい方
が好ましく、例えば180°から270°の間にあることが望ましい。 なお、以下に説明する実施例では、光学遅延板と基板とをそれぞれ設けたが、 一方の光学遅延板と一方の基板とを兼用させることができる。 (実施例) <実施例1> 以下、本発明に係る液晶表示素子の実施例を第1図および第4図を用いて詳細
に説明する。 第3図は本発明の液晶表示素子の断面図を示す。透明電極7、7'とポリミイ
ドからなる配向膜8、8'が形成された基板1、1'とがほぼ平行に設置されてお
り、この間には液晶組成物9が封入されており、その周囲はエポキシ接着剤から
なるシール剤12で封止固定されており、液晶セル5となっている。この液晶セル
5において、液晶分子は基板1の配向方向r、基板1'の配向方向r'によって左
回りにツイスト角Ψ=240°で捩れ配向しており、チルト角は1.5度であり、セル
厚(基板間隔)dは6.6μmである。 液晶セル5には液晶組成物として、ZLI3711(E.メルク社製)に左回りの
カイラル剤としてS-811(E.メルク社製)をd/pt(d:基板間隔、pt:ピッチ
)が約0.6になる様に添加したものを用いた。この液晶組成物の複屈折率△nは0
.1045であったので、リタデーションR=△n・d・cos2θは約0.7μmであった
。 一方、延伸ポリビニルアルコールからなる厚さ約0.5μmの第1の光学遅延板1
0の延伸方向が水平方向よりA1=45度となるように配置し、その上に第2の光学
遅延板11の延伸方向が水平方向よりA2=6.5度に配置した。またこのときの第1
の光学遅延板10のリタデーション値Rは0.299μm、第2の光学遅延板11のリタ
デーション値Rは0.394μmであり、また偏光板の角度はP1=69度、P2=−17
度であった(第1図を参照)。 この実施例において、液晶セル5に電圧を印加し、液晶を点灯、非点灯させた
ときの透過率の波長依存性を第4図に示す。同図から分る様に非点灯時、点灯時
の透過率とも、ほぼ波形に関係なく平坦で無彩色表示ができ非点灯時には黒、点
灯時には白の表示でいわゆるノーマリブラック・モードであった。また、この液
晶セルを1/200デューティでマルチプレクス駆動したときのコントラストは11:
1と高く、また視野角も広かった。 <実施例2> 実施例1において、液晶セルのセル厚を6.6μm、液晶組成物としてZLI157
7(E.メルク社製)を用いた。この液晶組成物の含屈折率△n1は0.115であっ
たので、リタデーションR=△n・d・cos2θは約0.76μmである。 このような液晶セルに実施例1と同様に2枚の光学遅延板を配置した。第1の光
学遅延板10は延伸方向が水平方向よりA1=90度となるように配置し、その上に
第2の光学遅延板11の延伸方向が水平方向よりA2=37度に配置した。またこの
ときの第1の光学遅延板10のリタデーション値Rは0.365μm、第2の光学遅延
板11のリタデーション値Rは0.499μmであり、また偏光板の角度はP1=82度、
P2=115度であった。 それぞれP1=90°、P2=0°の偏光板角で設置した。 表示は、ノーマリブラック・モードであり、実施例1と同様に駆動した時、コ
ントラストが約8:1と高く、また視野角も広い表示が得られた。 (比較例1) 実施例1において、第2の光学遅延板11を取除いた。液晶素子の点灯時、非点
等時の波長依存性を第7図に示す。同図から明らかなような非点等時に黄色の色
付きが、また点灯時には白あるいは淡い黄色であった。 [発明の効果] 本発明によれば、背景が無彩色で明るく、高コントラスト、広視野角の液晶表
示素子が安価に得られる。
する。 (従来の技術) 液晶表示素子は、動作モードによりTN型、DS型、GH型、DAP型および
熱書き込み型等があり、なかでも電卓および計測機器等の表示素子としては、T
N型の液晶表示素子が多く用いられている。 ところで、近年、ワードプロセッサ、パーソナル・コンピュータ等において表
示容量の増大化や表示面積の大型化の要求が高まるにつれ、TN型の液晶表示素
子では、コントラスト不足や視角範囲の狭さ等の問題が出てきているために、新
しい動作モードによる液晶表示素子の開発が急がれていた。 このような要求に応える液晶表示素子として、例えば特開昭60-10702号公報に
記載されているSBE(スーパーツイステッド・バイアフリジェンス・エフェク ト)型の複屈折率制御型の液晶表示素子が注目されている。このSBE型の液晶
表示素子の構成としては、少なくとも片面側に透明電極が形成された2枚の透明
基板を対向させ、周囲を封着してセルとし、このセル内にネマテック液晶を入れ
る。対向基板間の距離は、3〜12μm程度であり、ネマテック液晶としてはシク
ロヘキサン系、エステル系、ビフェニール系およびピリミジン系液晶等が使われ
ている。ネマテック液晶の中にはカイラル剤が添加され、液晶分子の分子軸が18
0〜360°の角度に一対の基板間で捩られている。また液晶分子は、基板上の配向
膜により、その分子軸が基板平面に対し5°より大きい傾斜のチルト角θを有し
ている。そして、液晶セルのリタデーションR=△n・d・cos2θは、0.6〜1.4
μmである。 また、分子軸の捩りが270°のSBE型液晶表示素子では、好ましくは基板の
外側の前面と背面に偏光板を配しており、前面偏光板の透過軸が前面基板の分子
配向方向に対して右回りに約30°、背面偏光板の透過軸が背面基板の配向方向に
対して左回りに約30°あるいは右回りに約60°である場合が最もよい構成とされ
ている。このうち前者の構成は非選択状態で明るい黄色の表示、選択状態で黒の
表示が得られ(イエローモード)、後者の構成は非選択状態で深い青色の表示が
得られ、選択状態で透過となる(ブルーモード)。 このような構成をしたSBE型液晶表示素子では、電圧に対する透過光の変化
が急峻であり、多桁のマルチプレックス駆動をした場合においても、高コントラ
ストで視覚角も広い。 一方、ラビング技術によりブレチルト角を小さくした液晶表示素子の一例とし
て、液晶の捩れ角を100〜200°とするいわゆるST(スーパーツイスト)型液晶
表示素子が知られている(SID’86DIGET、p122)。 また、他の例として特開昭60-73525号公報には、リタデーションRが0.5〜0.8
μmで、液晶分子の捩れ角が270°のセルに対し前後の偏光板の光軸がほぼ90°
とされ、かつ偏光板の光軸がディレクタを2分する方向が良いとされた液晶表示
素子が示されている。 さて、このような液晶表示素子では、いづれも背景色は無彩色ではなく色付き
がある。このため、黄色の背景に黒の表示、あるいは青色の背景に白の表示であ り、観察者の視感により視認性評価が異なり、人によってはその背景色により視
認性(コントラスト等)が低下していると評価する者もいる。また、ST型およ
びSBE型液晶表示素子は、ともに複屈折率性を利用しているため、透明基板間
の間隔の違いにより色むらが発生しやすく、視野角方向からの色変化や温度が変
化したときの色変化が大きかった。 また、TN型液晶表示素子では、カラーフィルタを配設することによりカラー
化が容易であるのに対し、SBE型液晶表示素子では背景色に色付きがあるため
カラー化が不可能であった。 この点を改良した例としてOMI型液晶表示素子が知られている。(Appl.P
hys.Lett.50(5)1987 p236)。すなわち、液晶の捩れ角が180°、リタデーショ
ンR=△n・d・cos2θの値が0.5〜0.6μm、偏光板はその一方の透過軸がラビ
ング軸と平行とされ、2枚の偏光板の吸収軸の角度は90°とされている。 しかし、このOMI型液晶表示素子では、液晶の捩れ角が180°であるため、
電圧に対する透過光の変化はあまり急峻でなく、駆動デューティ(duty)比を小
さくすると、コントラスト不足、視覚の狭さ、背景の暗さ等の問題があった。 このような背景の暗さやコントラスト不足を解消するものとして特開昭57-462
27号公報、特開昭57-96315号公報、特開昭57-125919号公報に2枚の液晶セルを
重ね、その両側に偏光板を置き、白黒表示とした液晶表示素子が提案され、また
これをSBE方式のLCDで応用した例がJJAP(26.NOV.11.L17784(19
87))に記載されている。これらの特徴は、2枚の液晶セルにおいて互いのツイ
スト方向を逆方向とし、それぞれの液晶セルのリタデーションがほぼ等しくして
おくものである。 即ち、第6図に示すように、偏光板3を通過した直線偏光103は、第1の液晶
セル5を通過することにより楕円偏光101'となる。この楕円偏光は、第1の液晶
セル5とツイスト角が逆でほぼ等しく、またリタデーションもほぼ等しい第2の
液晶セル6を通過することにより、直線偏光102'となり、第2の偏光板4を通過
し、人間の目に感知される。 ここで重要なのは、第1の液晶セル5と第2の液晶セル6とに光学的に相補な
性質を持たせてあることである。これにより、第1の液晶セル5を通過後の楕円 の形状の波長依存性は、第2の液晶セル6による楕円の形状の波長依存性と相補
的となる。この結果、第1、第2の液晶セル5、6の透過光は波長依存性がなく
、色づきのない無彩色表示が得られる。このことは、可視領域のすべての光が表
示に使え、明るい表示が得られるということも示す。 このとき、第1の液晶セル5と第2の液晶セル6とが光学的に相補的になるこ
とが必要であるので、それぞれの液晶セルのリタデーションが、例えば±0.05μ
m以内でほぼ同じであることが必要である。 なお、第1の液晶セル5の基板1、1'に電極を形成し、通常のドットマトリ
クス形液晶表示素子と同様に駆動を行い、一方第2の液晶セル6の基板2、2'
には電極を形成せずに液晶を駆動しないで、単に楕円形状の補正用として用いる
。 このようにして、2層セル方式のST型液晶表示素子は白黒表示で、かつ桁数
を増すことができるという長所を持つが、視覚角がSBE型やOMI型に比べ狭
く、また2枚の液晶セルの歩留り等を含めると2枚の液晶セルを使うことは大変
高価になる。 (発明が解決しようとする課題) 上述のように、捩れ角が180°以上のいわゆるST型液晶表示素子やSBE型
液晶表示素子では背景に色付きがあり、また背景に色付きがない無彩色のOMI
型液晶表示素子の場合においては高コントラストで背景が明るい液晶表示素子を
得ることができなかった。 またST型液晶セルを2枚使った液晶表示素子は背景に色付きのない白黒表示
で高コントラストであるが高価であった。 本発明は、上記従来の問題点を解決しようとするものでは、背景が無彩色で明
るく、高コントラスト、広視野角の液晶表示素子を安価に提供することを目的と
する。 [発明の構成] (課題を解決するための手段) 本発明の液晶表示素子は、それぞれ対向面に電極が形成され、対向設置された
第1、第2の基板と、第1の基板と第2の基板との間で捩れ配向された液晶組成
物からなる液晶セルと、液晶セルの両側に配置された第1、第2の偏光板とを有 する液晶表示装置において、第1の基板と第1の偏光板の間に、2枚の光学遅延
板を配置してなり、第1の基板と第2の基板の間隔をd、液晶組成物のチルト角
をθ、液晶組成物の複屈折率を△nとしたとき、液晶セルのリタデーションをR
o(=△n・d・cos2θ)に対して、2枚の光学遅延板のリタデーションの和が
Ro×0.8乃至Ro×1.2にあることを特徴とする液晶表示素子である。 (作用) 本発明の液晶表示素子の作用を説明する。 第5図は、従来の技術の複屈折効果により表示を行う、例えばSBE型液晶表
示素子やST型液晶表示素子の表示原理を説明する図である。(基板1、1'と
その間に挟持された液晶組成物とからなる)液晶セル5の前後に偏光板3、4が
配設されている。偏光板3を通った直線偏光103は液晶セル5を通過することに
より一般に楕円偏光101'となる。液晶セル5を通過した楕円偏光は、所定の角度
に置かれた偏光板4を通過し、人間の目に感知される。このときの楕円の形状は
、液晶セル5における液晶分子の捩れ角であるツイスト角Ψ、リタデーションR
=△n・d・cos2θおよび波長入によって決まる。ここで、△nは液晶セル5中
の液晶組成物の複屈折率、dはセル厚(基板間隔)、θはチルト角である。 一般に、透過率は波長により変化し、透過光に色づきがある。液晶セルに電界
を印加し、液晶分子の配向を変えることにより、複屈折率△nは実効的に変化し
、これによりリタデーションRが変化し、透過率が変り、このことを用いて表示
を行う。 前述の2層方式はこのような液晶セルを互いに光学的に相補な性質を持たせた
2枚のセルを用いたことを基本構成としている。 さて、本発明の液晶表示素子では、液晶セルの片側に2枚の光学遅延板を配置
させた構成ものであり、液晶セルのリタデーション値をRo(=△n・d・cos2
θ)としたとき、2枚の光学遅延板のリタデーション値の和がRoとほぼ等しく
、即ちRo×0.8乃至Ro×1.2の範囲になるようにしたものである。 第3図は液晶セルの片側に2枚の光学遅延板を配置した、本発明の液晶表示素
子の断面図である。この液晶表示素子では、第2図に示すように、偏光板3を通
過した直線偏光103は、液晶セル5を通過することにより楕円偏光101'となる。 液晶セルの上側に光学遅延板10、11を置き、楕円偏光101'を直線偏光102'にし、
偏光板4を介して人間の目に感知される。 このとき重要なのは、液晶セル5を通過した楕円偏光101'を直線偏光、また直
線偏光に近い偏光102'に変換することである。本発明者等の検討によれば、光学
遅延板のリタデーションの値の和がRo×0.8乃至Ro×1.2の範囲にあるとき上記
の効果が得られ、高コントラストの白黒表示が得られた。光学遅延板のリタデー
ションの値の和がRo×0.8より小さい場合は、電圧印加時と電圧無印加時の分光
透過率の差が小さくなりコントラストが低下し、またRo×1.2を越えるとある特
定波長のみ分光透過率が大きくなり色付きが生ずる。 なお、第1および第2の光学遅延板のリタデーションを種々に変化させ、特性
を調べた結果を表に示す。表中における数値はRoに乗ずる値を示す。駆動条件
は1/200デューティとした。表中、「◎」はコントラスト比が8以上、「○」は
コントラスト比が5〜8、「△」はコントラスト比が3〜5、また「×」は低コ
ントラスト比または色付きがあったものを示す。 なお、本発明では、電圧に対して液晶分子の配向角が急激に変化するように、
液晶組成物の第1の基板と第2基板との間での捩れ角(ツイスト角)は大きい方
が好ましく、例えば180°から270°の間にあることが望ましい。 なお、以下に説明する実施例では、光学遅延板と基板とをそれぞれ設けたが、 一方の光学遅延板と一方の基板とを兼用させることができる。 (実施例) <実施例1> 以下、本発明に係る液晶表示素子の実施例を第1図および第4図を用いて詳細
に説明する。 第3図は本発明の液晶表示素子の断面図を示す。透明電極7、7'とポリミイ
ドからなる配向膜8、8'が形成された基板1、1'とがほぼ平行に設置されてお
り、この間には液晶組成物9が封入されており、その周囲はエポキシ接着剤から
なるシール剤12で封止固定されており、液晶セル5となっている。この液晶セル
5において、液晶分子は基板1の配向方向r、基板1'の配向方向r'によって左
回りにツイスト角Ψ=240°で捩れ配向しており、チルト角は1.5度であり、セル
厚(基板間隔)dは6.6μmである。 液晶セル5には液晶組成物として、ZLI3711(E.メルク社製)に左回りの
カイラル剤としてS-811(E.メルク社製)をd/pt(d:基板間隔、pt:ピッチ
)が約0.6になる様に添加したものを用いた。この液晶組成物の複屈折率△nは0
.1045であったので、リタデーションR=△n・d・cos2θは約0.7μmであった
。 一方、延伸ポリビニルアルコールからなる厚さ約0.5μmの第1の光学遅延板1
0の延伸方向が水平方向よりA1=45度となるように配置し、その上に第2の光学
遅延板11の延伸方向が水平方向よりA2=6.5度に配置した。またこのときの第1
の光学遅延板10のリタデーション値Rは0.299μm、第2の光学遅延板11のリタ
デーション値Rは0.394μmであり、また偏光板の角度はP1=69度、P2=−17
度であった(第1図を参照)。 この実施例において、液晶セル5に電圧を印加し、液晶を点灯、非点灯させた
ときの透過率の波長依存性を第4図に示す。同図から分る様に非点灯時、点灯時
の透過率とも、ほぼ波形に関係なく平坦で無彩色表示ができ非点灯時には黒、点
灯時には白の表示でいわゆるノーマリブラック・モードであった。また、この液
晶セルを1/200デューティでマルチプレクス駆動したときのコントラストは11:
1と高く、また視野角も広かった。 <実施例2> 実施例1において、液晶セルのセル厚を6.6μm、液晶組成物としてZLI157
7(E.メルク社製)を用いた。この液晶組成物の含屈折率△n1は0.115であっ
たので、リタデーションR=△n・d・cos2θは約0.76μmである。 このような液晶セルに実施例1と同様に2枚の光学遅延板を配置した。第1の光
学遅延板10は延伸方向が水平方向よりA1=90度となるように配置し、その上に
第2の光学遅延板11の延伸方向が水平方向よりA2=37度に配置した。またこの
ときの第1の光学遅延板10のリタデーション値Rは0.365μm、第2の光学遅延
板11のリタデーション値Rは0.499μmであり、また偏光板の角度はP1=82度、
P2=115度であった。 それぞれP1=90°、P2=0°の偏光板角で設置した。 表示は、ノーマリブラック・モードであり、実施例1と同様に駆動した時、コ
ントラストが約8:1と高く、また視野角も広い表示が得られた。 (比較例1) 実施例1において、第2の光学遅延板11を取除いた。液晶素子の点灯時、非点
等時の波長依存性を第7図に示す。同図から明らかなような非点等時に黄色の色
付きが、また点灯時には白あるいは淡い黄色であった。 [発明の効果] 本発明によれば、背景が無彩色で明るく、高コントラスト、広視野角の液晶表
示素子が安価に得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の液晶表示素子における配向方向、偏光板の吸収軸
の方向および光学遅延板の光軸方向の関係を示す図、第2図は本発明の液晶表示
素子の作用を説明する図、第3図は本発明の一実施例の液晶表示素子の断面図、
第4図は本発明の液晶表示素子の透過率の波長依存性を示す図、第5図および第
6図は従来例の液晶表示素子の作用をそれぞれ説明する図、第7図は比較例の液
晶表示素子の透過率の波長依存性を示す図である。
の方向および光学遅延板の光軸方向の関係を示す図、第2図は本発明の液晶表示
素子の作用を説明する図、第3図は本発明の一実施例の液晶表示素子の断面図、
第4図は本発明の液晶表示素子の透過率の波長依存性を示す図、第5図および第
6図は従来例の液晶表示素子の作用をそれぞれ説明する図、第7図は比較例の液
晶表示素子の透過率の波長依存性を示す図である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 それぞれ対向面に電極が形成され、対向設置された第1、第2の基板と、前記
第1の基板と第2の基板との間で捩れ配向された液晶組成物からなる液晶セルと
、前記液晶セルの両側に配置された第1、第2の偏光板とを有するノーマリ・ブ
ラックモードの液晶表示素子において、 前記第1の基板と前記第1の偏光板との間に、2枚の光学遅延板を配置してな
り、前記第1の基板と前記第2の基板の間隔をd、前記液晶組成物のチルト角を
θ、前記液晶組成物の複屈折率をΔnとしたとき、前記液晶セルのリタデーショ
ンとしてθを1.5°として求められるRo(=△n・d・cos2θ)に対して、前
記2枚の光学遅延板のリタデーションの和がRo×0.8乃至Ro×1.2にあり、前記
2枚の光学遅延板の光軸は互いに交差することを特徴とする液晶表示素子。
Family
ID=
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