JP2666853B2 - 超硬合金の製造方法 - Google Patents
超硬合金の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、耐摩耗性、耐食性に優れたNiを1重量%以
上含む超硬合金の製造方法に関するものである。
上含む超硬合金の製造方法に関するものである。
<従来の技術> 超硬合金の製造方法は、まず原料粉末を所定形状にプ
レス等により成形することから始まり、その成形に際し
てはパラフィン等の粉末潤滑剤が添加されている。その
量は超硬合金の種類、成形法にもよるが、大体全量の1
〜15重量%程度である。
レス等により成形することから始まり、その成形に際し
てはパラフィン等の粉末潤滑剤が添加されている。その
量は超硬合金の種類、成形法にもよるが、大体全量の1
〜15重量%程度である。
この粉末潤滑剤は成形後は不要になるばかりか、有害
であるので除去する必要がある。この粉末潤滑剤除去工
程は、予備焼結工程と称され、通常は真空中で400〜100
0℃まで加熱する方策を採っている。
であるので除去する必要がある。この粉末潤滑剤除去工
程は、予備焼結工程と称され、通常は真空中で400〜100
0℃まで加熱する方策を採っている。
なお予備焼結体は、その後中間加工を施され、あるい
は施されないまま、焼結されて焼結体が得られる。
は施されないまま、焼結されて焼結体が得られる。
<発明が解決しようとする課題> 前記従来技術として述べた予備焼結方法では、対象物
の寸法が小さい場合には、粉末潤滑剤は十分に除去され
る。しかし、寸法が大、例えば肉厚が20mm以上にもなる
と、粉末潤滑剤の除去が十分ではなく、炭素として予備
焼結体内に残留し、結果としては予備焼結体が浸炭され
た状態となる。このような状態の予備焼結体を焼結する
と、残留炭素の分だけ炭素量が多くなっているので、焼
結体に有害な遊離炭素が生じてしまう。そこでこのよう
な場合には、水素が粉末潤滑剤の蒸散を促進する性質が
あることを活用し水素気流中で予備焼結する方法が採ら
れた。
の寸法が小さい場合には、粉末潤滑剤は十分に除去され
る。しかし、寸法が大、例えば肉厚が20mm以上にもなる
と、粉末潤滑剤の除去が十分ではなく、炭素として予備
焼結体内に残留し、結果としては予備焼結体が浸炭され
た状態となる。このような状態の予備焼結体を焼結する
と、残留炭素の分だけ炭素量が多くなっているので、焼
結体に有害な遊離炭素が生じてしまう。そこでこのよう
な場合には、水素が粉末潤滑剤の蒸散を促進する性質が
あることを活用し水素気流中で予備焼結する方法が採ら
れた。
これらの方法によりWC−Co超硬合金のようにCoの結合
相とする一般的な超硬合金については、粉末潤滑剤はほ
ぼ完全に除去できるようになった。
相とする一般的な超硬合金については、粉末潤滑剤はほ
ぼ完全に除去できるようになった。
ところで近年の著しい産業の進展に伴い、高耐摩耗性
に加え、高耐食性をも具有する超硬合金が要求されるよ
うになり、例えばWC−Co−Ni,WC−Ni,あるいはこれらに
Cr(Cr3C2),Mo(Mo2C)等を含有せしめた超硬合金、又
はTiC−Mo2C−Ni−(Co)を基本系とする所謂サーメッ
トとも称される超硬合金も使用されるようになって来
た。このような新しい組成の超硬合金に対しては、既述
の予備焼結法では十分ではないことが判明した。即ち、
その肉厚が10mm以下であれば真空中に於ける予備焼結で
十分に粉末潤滑剤は除去されるが、肉厚がそれ以上に大
きくなると、予備焼結体内に炭素が残留し、しかも該残
留炭素の濃度が中心部と表層部とでは差が生じるように
なり、さらには予備焼結時に成形体に亀裂が生起する場
合すらあるのである。一方このような新しい組成の超硬
合金を、水素気流中で予備焼結すると、粉末潤滑剤は十
分に除去され、また成形体に亀裂が生起するようなこと
もないが、著しく脱炭が進み、それを焼結すると、合金
が低炭素の時に生じる有害な複炭化物相が出来、しかも
その脱炭の度合は中心部と表層部とでは異なるので結果
的に予備焼結体の中心部と表層部とでは、炭素濃度の差
があるようになる。
に加え、高耐食性をも具有する超硬合金が要求されるよ
うになり、例えばWC−Co−Ni,WC−Ni,あるいはこれらに
Cr(Cr3C2),Mo(Mo2C)等を含有せしめた超硬合金、又
はTiC−Mo2C−Ni−(Co)を基本系とする所謂サーメッ
トとも称される超硬合金も使用されるようになって来
た。このような新しい組成の超硬合金に対しては、既述
の予備焼結法では十分ではないことが判明した。即ち、
その肉厚が10mm以下であれば真空中に於ける予備焼結で
十分に粉末潤滑剤は除去されるが、肉厚がそれ以上に大
きくなると、予備焼結体内に炭素が残留し、しかも該残
留炭素の濃度が中心部と表層部とでは差が生じるように
なり、さらには予備焼結時に成形体に亀裂が生起する場
合すらあるのである。一方このような新しい組成の超硬
合金を、水素気流中で予備焼結すると、粉末潤滑剤は十
分に除去され、また成形体に亀裂が生起するようなこと
もないが、著しく脱炭が進み、それを焼結すると、合金
が低炭素の時に生じる有害な複炭化物相が出来、しかも
その脱炭の度合は中心部と表層部とでは異なるので結果
的に予備焼結体の中心部と表層部とでは、炭素濃度の差
があるようになる。
本発明は上記諸問題を解決し、予備焼結中に成形体が
割れることなく、結果的に健全な焼結体が得られる超硬
合金の製造方法を提供することを目的とするものであ
る。
割れることなく、結果的に健全な焼結体が得られる超硬
合金の製造方法を提供することを目的とするものであ
る。
<課題を解決する為の手段> 本発明は、粉末潤滑剤を添加したNiを1重量%以上含
む超硬合金の原料粉末を成形して得られた成形体を、水
素と浸炭性ガスとの混合ガス雰囲気中にて400〜1000℃
まで加熱する予備焼結処理を施し、次いで焼結処理を施
すことを特徴とする超硬合金の製造方法である。
む超硬合金の原料粉末を成形して得られた成形体を、水
素と浸炭性ガスとの混合ガス雰囲気中にて400〜1000℃
まで加熱する予備焼結処理を施し、次いで焼結処理を施
すことを特徴とする超硬合金の製造方法である。
なお浸炭性ガスとは、例えばメタン,エタン,プロパ
ンの如き炭化水素系ガスをはじめ浸炭作用を具有するガ
スであれば何でもよいが、後述する如くメタンが最も好
ましく、メタンの場合は、水素ガスに対する濃度が4〜
30体積%が好ましい。
ンの如き炭化水素系ガスをはじめ浸炭作用を具有するガ
スであれば何でもよいが、後述する如くメタンが最も好
ましく、メタンの場合は、水素ガスに対する濃度が4〜
30体積%が好ましい。
以下、上述のように限定した理由を説明する。
対象とする超硬合金組成について 既述のように、Niを含まない、通常のCoを結合相とす
る超硬合金の場合には、従来技術で十分に製造可能なの
で、Niを1重量%以上含む超硬合金に限定する。なお、
ここで超硬合金とは周期律表のIV a,V a,VI a族金属の
炭化物,窒化物,硼化物、またはそれらの2種以上から
成る固溶体から成る硬質物質の群の中の1種または2種
以上と、0.1〜30重量%の鉄族金属の1種または2種以
上とから成る合金を示称する。
る超硬合金の場合には、従来技術で十分に製造可能なの
で、Niを1重量%以上含む超硬合金に限定する。なお、
ここで超硬合金とは周期律表のIV a,V a,VI a族金属の
炭化物,窒化物,硼化物、またはそれらの2種以上から
成る固溶体から成る硬質物質の群の中の1種または2種
以上と、0.1〜30重量%の鉄族金属の1種または2種以
上とから成る合金を示称する。
粉末潤滑剤を含む成形体の場合について 2−1 混合ガス組成 粉末潤滑剤の除去を容易にするために、水素ガスを基
本とし、これだけでは予備焼結時に脱炭しすぎるなどの
問題があるので、これを抑制するために適量の浸炭性ガ
スを、これに含ませる。ここで浸炭性ガスは、例えばメ
タン,エタン,プロパンの如き炭化水素系ガスをはじ
め、浸炭作用を有するガスであれば何でも良い。しかし
高次の炭化水素系ガスでは、その濃度のわずかな変化
で、浸炭性が大きく変化するので、安定に予備焼結をす
るのが難しくなる。従って浸炭性ガスとしては、低次の
炭化水素系ガスが好ましく、特にメタンガスが好ましい
のである。
本とし、これだけでは予備焼結時に脱炭しすぎるなどの
問題があるので、これを抑制するために適量の浸炭性ガ
スを、これに含ませる。ここで浸炭性ガスは、例えばメ
タン,エタン,プロパンの如き炭化水素系ガスをはじ
め、浸炭作用を有するガスであれば何でも良い。しかし
高次の炭化水素系ガスでは、その濃度のわずかな変化
で、浸炭性が大きく変化するので、安定に予備焼結をす
るのが難しくなる。従って浸炭性ガスとしては、低次の
炭化水素系ガスが好ましく、特にメタンガスが好ましい
のである。
2−2 メタンガスの濃度について メタンガスの濃度が低すぎる、具体的には4体積%未
満だと、予備焼結時に、脱炭の抑制が十分に出来ず、逆
に高すぎる、具体的には30体積%を超えると脱炭はしな
いが浸炭するようになる。そこで、水素ガス中でのメタ
ンガスの濃度は4〜30体積%とする。
満だと、予備焼結時に、脱炭の抑制が十分に出来ず、逆
に高すぎる、具体的には30体積%を超えると脱炭はしな
いが浸炭するようになる。そこで、水素ガス中でのメタ
ンガスの濃度は4〜30体積%とする。
2−3 混合ガス中での酸素の濃度について 超硬合金中にはCr,Tiなどの酸化され易い元素も含ま
れる場合がある。この時に、水素−浸炭性ガスの混合ガ
ス中に酸素または酸化性ガス(H2O,CO2など)が20重量p
pmよりも多いと、これらの元素を酸化し、かつその酸化
量が多くなり、結果的に健全な超硬合金が得られなくな
る。よって混合ガス中での酸素または酸化性ガスの濃度
は20重量ppm以下としたのである。
れる場合がある。この時に、水素−浸炭性ガスの混合ガ
ス中に酸素または酸化性ガス(H2O,CO2など)が20重量p
pmよりも多いと、これらの元素を酸化し、かつその酸化
量が多くなり、結果的に健全な超硬合金が得られなくな
る。よって混合ガス中での酸素または酸化性ガスの濃度
は20重量ppm以下としたのである。
<実施例> 以下本発明をその実施例及び比較例を示し乍ら更に詳
述する。
述する。
実施例1 まず下記の第1表に示す3種の組成の超硬合金の原料
粉末に、2.5重量%のパラフィンを粉末潤滑剤として配
合した混合粉末を、1t/cm2の圧力でプレス成形し、成形
体を得た。この成形体の寸法は38×38×30mmの方形とし
た。
粉末に、2.5重量%のパラフィンを粉末潤滑剤として配
合した混合粉末を、1t/cm2の圧力でプレス成形し、成形
体を得た。この成形体の寸法は38×38×30mmの方形とし
た。
この成形体を、H2ガスと共にCH4ガスをも同時に流す
ことが出来るようにした予備焼結炉へ装入し、種々のガ
ス組成で予備焼結した。ガス組成は本発明方法として2
種、即ち、H2−5.6体積%CH4,H2−10.0体積%CH4及び比
較例として1種即ちH2のみ(この場合のパラフィン添加
前の原料粉末の炭素量は約0.7重量%多くした)の3種
とした。なお、昇温条件はいずれの場合も、700℃まで2
0hrとし、70℃に達した所で冷却した。また、混合ガス
中の酸素または酸化物ガスの濃度はいずれも20重量ppm
以下にした。なお、必要に応じてCH4濃度を変えた予備
焼結も実施し、更にまた必要に応じて真空焼結を施し、
更に組織観察等も実施した。
ことが出来るようにした予備焼結炉へ装入し、種々のガ
ス組成で予備焼結した。ガス組成は本発明方法として2
種、即ち、H2−5.6体積%CH4,H2−10.0体積%CH4及び比
較例として1種即ちH2のみ(この場合のパラフィン添加
前の原料粉末の炭素量は約0.7重量%多くした)の3種
とした。なお、昇温条件はいずれの場合も、700℃まで2
0hrとし、70℃に達した所で冷却した。また、混合ガス
中の酸素または酸化物ガスの濃度はいずれも20重量ppm
以下にした。なお、必要に応じてCH4濃度を変えた予備
焼結も実施し、更にまた必要に応じて真空焼結を施し、
更に組織観察等も実施した。
このようなガス雰囲気中予備焼結して得られた予備焼
結体には割れは認められなかった。そこで次にこれらの
予備焼結体の炭素量及び、予備焼結前の炭素量とを測定
した。第1図にはその結果例を示す。
結体には割れは認められなかった。そこで次にこれらの
予備焼結体の炭素量及び、予備焼結前の炭素量とを測定
した。第1図にはその結果例を示す。
まず△印破線で示した比較例について述べる。これは
試料2をH2中で予備焼結した例であるが、表面部の方が
中心部よりも炭素(以降Cと略す)量が少なく、その差
が0.4重量%もあること、更に中心部でも予備焼結前
(このC量はパラフィンを添加する前に測定)に比べて
0.5重量%もC量が減少していることが判る。従ってこ
の予備焼結体を、このまま焼結(真空中、1350℃×1h
r)しても、表面部と内部とで著しい組織差を生じ、実
用に供し得ない。なお、詳細なデータについては割愛す
るが、真空予備焼結をすると、表面と中心部とで、この
H2予備焼結と同程度のC量差を生じ、しかも割れを生じ
たのでこれも実用に供し得なかった。
試料2をH2中で予備焼結した例であるが、表面部の方が
中心部よりも炭素(以降Cと略す)量が少なく、その差
が0.4重量%もあること、更に中心部でも予備焼結前
(このC量はパラフィンを添加する前に測定)に比べて
0.5重量%もC量が減少していることが判る。従ってこ
の予備焼結体を、このまま焼結(真空中、1350℃×1h
r)しても、表面部と内部とで著しい組織差を生じ、実
用に供し得ない。なお、詳細なデータについては割愛す
るが、真空予備焼結をすると、表面と中心部とで、この
H2予備焼結と同程度のC量差を生じ、しかも割れを生じ
たのでこれも実用に供し得なかった。
一方、本発明方法であるH2−CH4雰囲気予備焼結した
例では次の通りである。まず比較例と同じく試料2につ
いて述べる。H2−5.6体積%CH4の場合を で、H2−10.0体積%CH4の場合を▲で示しているが、い
ずれの場合も表面から中心までほぼ一定のC量になって
いることが判る。また予備焼結前に比べてC量は減少し
ているが、その程度は比較例に比べて小さくなっている
ことが判る。なお、CH4ガス濃度の高い方がC量が多い
ことも判る。
例では次の通りである。まず比較例と同じく試料2につ
いて述べる。H2−5.6体積%CH4の場合を で、H2−10.0体積%CH4の場合を▲で示しているが、い
ずれの場合も表面から中心までほぼ一定のC量になって
いることが判る。また予備焼結前に比べてC量は減少し
ているが、その程度は比較例に比べて小さくなっている
ことが判る。なお、CH4ガス濃度の高い方がC量が多い
ことも判る。
このように、このH2−CH4雰囲気予備焼結により、H2
予備焼結の2つの問題、即ち、著しく脱炭し、しかも表
面と内部にも著しくC量の差が生じるという双方とも抑
制または解決出来ることが明らかになった。但し、この
C量では、健全組織の得られるC量よりも下になるの
で、焼結しても健全な合金は得られない。しかしこれ
は、予備焼結前のC量と、予備焼結のCH4濃度とを適宜
コントロールして解決できる。例えば予備焼結前のC量
をこのままとし、CH4の濃度を約25体積%にして予備焼
結するか、あるいは、予備焼結前のC量を0.5重量%程
度増し、CH4の濃度は5.6〜10.0体積%にして予備焼結す
ることで解決できることを確認した。
予備焼結の2つの問題、即ち、著しく脱炭し、しかも表
面と内部にも著しくC量の差が生じるという双方とも抑
制または解決出来ることが明らかになった。但し、この
C量では、健全組織の得られるC量よりも下になるの
で、焼結しても健全な合金は得られない。しかしこれ
は、予備焼結前のC量と、予備焼結のCH4濃度とを適宜
コントロールして解決できる。例えば予備焼結前のC量
をこのままとし、CH4の濃度を約25体積%にして予備焼
結するか、あるいは、予備焼結前のC量を0.5重量%程
度増し、CH4の濃度は5.6〜10.0体積%にして予備焼結す
ることで解決できることを確認した。
試料1 の場合も試料2と同様にH2−CH4予備焼結の著しい効果
が認められることが判る。そして、この予備焼結体を、
焼結(真空中、1400℃×1hr)して健全な合金が得られ
る事を確認した。
が認められることが判る。そして、この予備焼結体を、
焼結(真空中、1400℃×1hr)して健全な合金が得られ
る事を確認した。
試料3 の場合は、試料1,2ほどの効果は認められず、表面と内
部とで、0.2%程度のC量差が残っていることが判る。
しかし、この合金の健全組織の幅は約0.4%Cもあるの
で、この程度で差し支えない。ただし、このC量では健
全相域の得られるC量よりも低いので、焼結(真空中,1
350℃×1hr)しても健全な合金は得られない。これは、
試料2と同様に予備焼結前のC量と、予備焼結のCH4濃
度とを適宜コントロールして解決できる。例えば予備焼
結前のC量をこのままとしCH4の濃度を約25体積%にし
て予備焼結するか、あるいは予備焼結前のC量を0.7重
量%程度増してH2−(5.6〜10)体積%CH4雰囲気予備焼
結をすることによって、焼結(真空中、1350℃×1hr)
後、健全な合金の得られることを確認した。
部とで、0.2%程度のC量差が残っていることが判る。
しかし、この合金の健全組織の幅は約0.4%Cもあるの
で、この程度で差し支えない。ただし、このC量では健
全相域の得られるC量よりも低いので、焼結(真空中,1
350℃×1hr)しても健全な合金は得られない。これは、
試料2と同様に予備焼結前のC量と、予備焼結のCH4濃
度とを適宜コントロールして解決できる。例えば予備焼
結前のC量をこのままとしCH4の濃度を約25体積%にし
て予備焼結するか、あるいは予備焼結前のC量を0.7重
量%程度増してH2−(5.6〜10)体積%CH4雰囲気予備焼
結をすることによって、焼結(真空中、1350℃×1hr)
後、健全な合金の得られることを確認した。
実施例2 組成が45重量%TiC−10重量%TiN−5重量%TaC−25
重量%Mo2C−15重量%Niからなるサーメット(超硬合金
の一種,以下試料4とする)の原料粉末に4重量%のパ
ラフィンを粉末潤滑剤として配合した混合粉末をプレス
成形し、38×38×30mmの成形体を得た。
重量%Mo2C−15重量%Niからなるサーメット(超硬合金
の一種,以下試料4とする)の原料粉末に4重量%のパ
ラフィンを粉末潤滑剤として配合した混合粉末をプレス
成形し、38×38×30mmの成形体を得た。
この成形体を、実施例1と同じ予備焼結炉に装入し、
2種のガス組成で予備焼結した。ガス組成は本発明方法
としてH2−10.0体積%CH4,比較例としてH2のみの2種で
ある。昇温条件は実施例1と同じく、いずれも700℃ま
で20hrとし、700℃に達した所で冷却した。また混合ガ
ス中の酸素または酸化物ガスの濃度はいずれも20重量pp
m以下にした。
2種のガス組成で予備焼結した。ガス組成は本発明方法
としてH2−10.0体積%CH4,比較例としてH2のみの2種で
ある。昇温条件は実施例1と同じく、いずれも700℃ま
で20hrとし、700℃に達した所で冷却した。また混合ガ
ス中の酸素または酸化物ガスの濃度はいずれも20重量pp
m以下にした。
このようにして得られた予備焼結体には割れは認めら
れなかった。そこで次にこれらの予備焼結体のC量、及
び予備焼結前のC量とを測定した。第2図にはその結果
例を示す。
れなかった。そこで次にこれらの予備焼結体のC量、及
び予備焼結前のC量とを測定した。第2図にはその結果
例を示す。
まず○印破線で示した比較例について述べる。これは
試料4をH2中で予備焼結した例であるが、表面の方が中
心部よりも著しく脱炭し、その差が1.3%もあること、
更に中心部でも予備焼結前(このC量はパラフィンを添
加する前に測定)のC量に比べて0.8%も脱炭している
ことが判る。
試料4をH2中で予備焼結した例であるが、表面の方が中
心部よりも著しく脱炭し、その差が1.3%もあること、
更に中心部でも予備焼結前(このC量はパラフィンを添
加する前に測定)のC量に比べて0.8%も脱炭している
ことが判る。
従ってこの予備焼結体を、このまま焼結(真空中、14
00℃×1hr)しても、表面と内部とで著しい組織差を生
じ実用に供し得ない。なお、詳細なデータについては割
愛するが、真空予備焼結をすると、成形体の表面から中
心近くまで多数の割れを生じ、これも実用に供し得なか
った。
00℃×1hr)しても、表面と内部とで著しい組織差を生
じ実用に供し得ない。なお、詳細なデータについては割
愛するが、真空予備焼結をすると、成形体の表面から中
心近くまで多数の割れを生じ、これも実用に供し得なか
った。
一方本発明方法であるH2−CH4雰囲気予備焼結した例
を●印実線で示したが、比較例の結果に比べ、表面から
中心まで脱炭量は著しく減少し、しかも表面と中心部と
の差も0.3%Cと小さくなていることが判る。この予備
焼結体を焼結(真空中、1400℃×1hr)した所、表面か
ら中心まで健全な合金の得られていることが判った。
を●印実線で示したが、比較例の結果に比べ、表面から
中心まで脱炭量は著しく減少し、しかも表面と中心部と
の差も0.3%Cと小さくなていることが判る。この予備
焼結体を焼結(真空中、1400℃×1hr)した所、表面か
ら中心まで健全な合金の得られていることが判った。
即ち、実施例1で述べたと同様に、本発明のH2−CH4
雰囲気予備焼結により従来の問題点は解決されたと言え
る。
雰囲気予備焼結により従来の問題点は解決されたと言え
る。
実施例3 実施例1の第1表に示される試料2について、実施例
1と同様な成形体を得た。これをH2−1.6体積%C3H8雰
囲気予備焼結した。昇温条件は実施例1と同様にした。
1と同様な成形体を得た。これをH2−1.6体積%C3H8雰
囲気予備焼結した。昇温条件は実施例1と同様にした。
その結果は、実施例1の第1図に示されるH2−10.0体
積%CH4雰囲気予備焼結の結果とほぼ同じで、H2予備焼
結に比べて脱炭は抑制され、しかも、表面と中心とのC
量の差もなかった。即ち、H2−CH4雰囲気予備焼結と同
様な効果があることが判った。
積%CH4雰囲気予備焼結の結果とほぼ同じで、H2予備焼
結に比べて脱炭は抑制され、しかも、表面と中心とのC
量の差もなかった。即ち、H2−CH4雰囲気予備焼結と同
様な効果があることが判った。
念のため、C3H8の濃度を増し、H2−7.6体積%C3H8雰
囲気予備焼結も実施したが、この場合は著しく浸炭し、
予備焼結体の表面に炭素の析出が認められた。従ってC3
H8ガスの場合にはそのH2ガス中で濃度が変化すると、ガ
スの浸炭性あるいは脱炭性が変化し易いことが判った。
よって浸炭性のガスとしてC3H8も使えるが、実施例1で
示したCH4ガスの方が好ましいことが判った。
囲気予備焼結も実施したが、この場合は著しく浸炭し、
予備焼結体の表面に炭素の析出が認められた。従ってC3
H8ガスの場合にはそのH2ガス中で濃度が変化すると、ガ
スの浸炭性あるいは脱炭性が変化し易いことが判った。
よって浸炭性のガスとしてC3H8も使えるが、実施例1で
示したCH4ガスの方が好ましいことが判った。
<発明の効果> 以上述べて来た如く、本発明の方法によれば、粉末潤
滑剤を用いてもその粉末潤滑剤が予備焼結中にほぼ完全
に除去され、しかも過度な脱炭もされる事がないので、
最終焼結体の炭素量はその全域に渡って均一で、かつ複
炭化物相が生じる事もなく健全な超硬合金が得られる。
滑剤を用いてもその粉末潤滑剤が予備焼結中にほぼ完全
に除去され、しかも過度な脱炭もされる事がないので、
最終焼結体の炭素量はその全域に渡って均一で、かつ複
炭化物相が生じる事もなく健全な超硬合金が得られる。
又予備焼結中に成形体が割れるというような事もな
い。
い。
一方結合相金属を10重量%以上含むものについては、
それを真空中あるいは非酸化物性雰囲気中にて400〜100
0℃まで加熱して予備焼結し、あるいは1300〜1500℃ま
で加熱して焼結する事で粉末潤滑剤に起因する炭素量の
変動、脱炭及び浸炭のいずれもがないので健全な超硬合
金が容易に得られる。
それを真空中あるいは非酸化物性雰囲気中にて400〜100
0℃まで加熱して予備焼結し、あるいは1300〜1500℃ま
で加熱して焼結する事で粉末潤滑剤に起因する炭素量の
変動、脱炭及び浸炭のいずれもがないので健全な超硬合
金が容易に得られる。
第1図は本発明の実施例1で行った予備焼結による炭素
量の変化を示すグラフ、第2図は実施例で行った予備焼
結による炭素量の変化を示すグラフ。
量の変化を示すグラフ、第2図は実施例で行った予備焼
結による炭素量の変化を示すグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 武智 功次郎 福岡県福岡市南区清水2丁目20番31号 日本タングステン株式会社内 (72)発明者 石橋 修 福岡県福岡市南区清水2丁目20番31号 日本タングステン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−203743(JP,A) 特開 昭58−19404(JP,A) 特開 昭63−45345(JP,A)
Claims (3)
- 【請求項1】粉末潤滑剤を添加したNiを1重量%以上含
む超硬合金の原料粉末を成形して得られた成形体を、水
素と浸炭性ガスとの混合ガス雰囲気中にて400〜1000℃
まで加熱する予備焼結処理を施し、次いで焼結処理を施
すことを特徴とする超硬合金の製造方法。 - 【請求項2】浸炭性ガスがメタンで、その水素ガスに対
する濃度が4〜30体積%であることを特徴とする請求項
1に記載の超硬合金の製造方法。 - 【請求項3】水素と浸炭性ガスとの混合ガス中の酸素ま
たは酸化性ガスの濃度が20重量ppm以下であることを特
徴とする請求項1若しくは2に記載の超硬合金の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63243051A JP2666853B2 (ja) | 1988-09-27 | 1988-09-27 | 超硬合金の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63243051A JP2666853B2 (ja) | 1988-09-27 | 1988-09-27 | 超硬合金の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0288729A JPH0288729A (ja) | 1990-03-28 |
JP2666853B2 true JP2666853B2 (ja) | 1997-10-22 |
Family
ID=17098081
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP63243051A Expired - Lifetime JP2666853B2 (ja) | 1988-09-27 | 1988-09-27 | 超硬合金の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2666853B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5978671B2 (ja) * | 2012-03-15 | 2016-08-24 | 住友電気工業株式会社 | 刃先交換型切削チップ |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5819404A (ja) * | 1981-07-24 | 1983-02-04 | Sumitomo Electric Ind Ltd | サ−メツトの焼結方法 |
JPH0726172B2 (ja) * | 1986-08-11 | 1995-03-22 | 三菱マテリアル株式会社 | 強靭性サ−メツトおよびその製造法 |
JPH0635625B2 (ja) * | 1987-02-20 | 1994-05-11 | 吉田工業株式会社 | 耐摩耗性窒化チタン系サーメットの製造方法 |
-
1988
- 1988-09-27 JP JP63243051A patent/JP2666853B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0288729A (ja) | 1990-03-28 |
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