JP2665633B2 - グリセロール誘導体 - Google Patents

グリセロール誘導体

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JP2665633B2
JP2665633B2 JP3084036A JP8403691A JP2665633B2 JP 2665633 B2 JP2665633 B2 JP 2665633B2 JP 3084036 A JP3084036 A JP 3084036A JP 8403691 A JP8403691 A JP 8403691A JP 2665633 B2 JP2665633 B2 JP 2665633B2
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  • Saccharide Compounds (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Manufacturing Of Micro-Capsules (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規で特異な性質を有す
るグリセロール誘導体に関するものである。
【0002】
【従来技術】一般にリン脂質の様な両親媒性分子を水に
分散すると、ある特別な形態の分子集合体状態をとるこ
とが知られている。このうちリポソームとは脂質2分子
膜から形成される閉鎖小胞体であり、その内部に水層を
有するため近年、医学、薬学の分野においてこのリポソ
ームに水溶性物質を保持させて薬物運搬体や診断薬とし
て利用しようとする試みが多数なされている(例えば、
砂本ら、バイオサイエンスとインダストリー、第47巻、
475 頁、1989年)。また更にリポソームが持つ保水、保
湿効果を利用した化粧品等への利用も試みられている。
【0003】このようにリン脂質を水に分散させてリポ
ソームや乳液として利用する際最も重要なことは、それ
らが容易に分散し均一な分散液を得ることができるか、
また得られた分散液が安定であるかどうかということで
ある。従って、分散性、安定性の良好な素材を用いるこ
とがきわめて重要であるのは言をまたない。例えばリポ
ソームを例にとって考えてみると、リポソーム脂質2分
子膜は温度によって流動性が大きく変化する(ゲルー液
晶相転移)。ゲル状態と液晶状態での2分子膜中の分子
の動きやすさは、側方拡散、フリップーフロップ、交換
いずれにおいても液晶状態の方がずっと大きいことが知
られている。一般に疎水性脂肪酸残基の炭素数の少ない
ものや、不飽和度のたかい脂質で構成されたリポソーム
は膜流動性が高く、反対に飽和で炭素数の比較的多いも
のでは膜流動性が低く、相転移温度もおおむね高い。従
って用いる脂質の脂肪酸残基の鎖長や不飽和度を変える
ことにより、リポソームの膜流動性およびそれと密接に
関連した脂質の分散性、膜のバリアー能を調節すること
ができる。
【0004】例えば卵黄ホスファチジルコリンのように
不飽和脂肪酸を構成成分として含む脂質は相転移温度が
低いため常温以上では液晶状態にあり、やわらかい膜を
形成する。生体にとって不飽和脂肪酸を持つ脂質は液晶
状態の生体膜がバリアーとして働くために不可欠のもの
であり、生物の膜がこのような性質を獲得したのも、温
度などの環境要因の急激な変化に対して緩衝的に膜物性
が変るという利点があったからと考えられる。このよう
な現象はリポソームを薬物担体として用いる場合にも重
要で、例えば疎水性の薬物をリポソーム膜に組込む際に
は、飽和脂肪酸のみからなるリポソームよりも不飽和脂
肪酸を含む卵黄ホスファチジルコリン等の方が分散性が
良く、内包効率の高い場合が多い。
【0005】しかし卵黄ホスファチジルコリンに含まれ
る多価不飽和脂肪酸は酸素によって過酸化反応を受けや
すく、保存安定性が悪いことが大きな欠点である。従っ
て安定性を考慮するなら、酸素の攻撃を受けにくい飽和
脂肪酸のみからなるリン脂質を用いるのが有利である。
しかし例えば天然に存在する飽和リン脂質であるジミリ
ストイルホスファチジルコリンを膜成分としてリポソー
ムを調製しても、相転移温度以上ではグルコースをリポ
ソーム内に保持しておくことが極めて難しい。またジパ
ルミトイルホスファチジルコリンのみからなるリポソー
ムを調製しても不安定であり、すぐに凝集、沈殿してし
まうことが知られている。一般に飽和脂肪酸のみを含む
リン脂質では特に相転移温度以下では配列が密であり、
融通が利かず異種分子を排除、相分離してしまう傾向が
強いため、これらだけでリポソームを調製することは非
現実的である。
【0006】このように分散性に優れ、かつ膜流動性が
良好であり、さらに化学的安定性に優れた性質というの
は根本的に相反する性質であり、従来用いられてきた飽
和脂肪酸のみからなるリン脂質でも、不飽和脂肪酸を有
するリン脂質でもこれらの要求を全て満足する素材はな
かったのである。
【0007】そこで我々はこれらの性質を全て満足でき
る素材を探索すべく検討を行った結果、細菌類の生体膜
にその素材を求めた。細菌類は動物や植物と異なり、多
価不飽和脂肪酸を通常生体膜に含んでいない。分岐脂肪
酸(イソ酸やアンチイソ酸)が細菌脂質の主要脂肪酸と
して存在することが日本の研究者によって最初に発見さ
れて30年になる(S. Akashi and K. Saito, J. Bioch
em., 47 巻、222 頁、1960年)。現在では分岐脂肪酸を
生体脂質の主要脂肪酸としてもつ細菌の種類は数百以上
知られている(T. Kaneda, Bacteriol. Rev., 41巻、39
1 頁、1977 年)。
【0008】そこでこれをモデルとして最近種々の分岐
脂肪酸をもつジアシルホスファチジルコリンが合成さ
れ、相転移温度が測定された。その結果、直鎖酸を有す
るリン脂質より分岐脂肪酸を有する脂質の方が相転移温
度が低く、約16〜28℃くらいの差があることが明らかと
なった。つまり分岐脂肪酸は相当する直鎖酸より細菌の
生体膜の流動性を高めるのに貢献しているのである(金
田敏、バイオサイエンスとインダストリー、48巻、229
頁、1990 年)。これら分岐脂肪酸は多価不飽和脂肪酸と
異なり酸素の攻撃も受けにくく、化学的にも安定である
ため望ましい素材であると考えられる。しかしイソ酸や
アンチイソ酸は自然界に普遍的に存在するものではな
く、またこれらは通常疎水部の構造の異なる混合物であ
るため分離精製が非常に困難である。残る手段は化学合
成であるが、容易に入手可能な原料が限られており、そ
こからの炭素鎖伸張に工程数がかかりすぎるため大量合
成に不向きなのが大きな欠点と考えられる。
【0009】このような問題を解決するため、近年古細
菌類の生体膜が注目されている。古細菌とは1977年にWo
ese らにより多くの生物の16s rRNAの塩基配列の比較に
より提唱された概念であり、現在では高度好塩菌、イオ
ウ依存性高度好熱菌及びメタン生成菌の3群が知られて
いる(成書として、古賀洋介著、古細菌、東京大学出版
会、1988年)。古細菌の極性脂質はこれまで知られてい
るかぎりすべてエーテル結合をもつグリセロ脂質であ
り、炭化水素鎖が炭素数20または40の飽和イソプレ
ノイドであることが最も大きな特徴となっている。飽和
イソプレノイドもやはり酸素の攻撃を受けにくく、化学
的にも安定であるため、このような脂質をモデルとして
人工脂質を設計、合成すれば特異な性質を有する素材が
得られると期待できる。
【0010】鎖状イソプレノイドはイソ酸やアンチイソ
酸と比較して比較的入手が容易であるため、これらを疎
水部に組込んだ脂質の研究が最近報告されるようになっ
てきた(K. Yamauchi et al, Biochim. Biophys. Acta
1003巻,151 頁,1989年、K.Yamauchi et al, J. Am. C
hem. Soc., 112 巻,3188頁,1990年、L.C. Stewartet
al, Chem. Phys. Lipids 54巻,115 頁,1990年、山内
ら,平成2年度日本化学会春季年会講演予稿集,1793
頁、同1794頁、戸田ら,平成2年度日本化学会春季年会
講演予稿集,1793頁、R.A. Moss et al., Tetrahedron
Lett., 31 巻,7559頁,1990年、特開平2-288849号公
報)。その結果、イソプレノイド型脂質から形成される
脂質2分子膜は低い相転移温度を有し、かつ高い膜のバ
リアー能を有することが見出された。しかしながらこれ
までに報告されているイソプレノイド型人工グリセロ脂
質の分子設計では、グリセロール部と炭化水素鎖の連結
方法を古細菌の生体膜と同じエーテル型としているため
合成方法に汎用性が乏しく、また大量合成に不向きなの
が大きな欠点となっていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、従来用
いられてきた飽和脂肪酸のみからなるリン脂質でも、不
飽和脂肪酸を有するリン脂質でも要求を全て満足する素
材はなかったのである。特にイソ酸、アンチイソ酸とい
った分岐脂肪酸や鎖状イソプレノイド骨格を有する脂質
は有望な性質を有するものと期待されるが、これらは天
然から単離精製するのも、また化学合成するのも非常に
困難であった。そこで本発明の目的は、従来用いられて
きた飽和脂肪酸のみからなるリン脂質や不飽和脂肪酸を
有するリン脂質では達成できない、特異な性質を有する
イソプレノイド型リン脂質を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題は、下記一般式
(I)で表わされるグリセロール誘導体を見出したこと
により達成された。一般式(I)
【0013】
【化6】
【0014】すなわち本発明は、イソプレノイド骨格を
有する疎水部とグリセロール部との連結方法を、従来知
られていたエーテル結合ではなくエステル結合としたこ
とを特徴とするものである。
【0015】式中nは1〜3の整数を表わす。すなわ
ち、n=1の場合は疎水部の炭素骨格がモノテルペン、
n=2の場合がセスキテルペン、n=3の場合がジテル
ペンということになるが、リポソームやLB膜のような
脂質2分子膜状態で本発明のリン脂質を用いる場合には
n=3、ミセルとしてリン脂質を用いる場合にはn=1
または2であることが好ましい。また分子内に存在する
不斉炭素原子の立体化学に関しては、ラセミ体でも光学
活性体でも良い。これらは原料の入手の容易さを考慮し
て適宜選択することが可能であるが、イソプレノイド疎
水部の分岐メチル基の立体化学に関しては光学活性体を
用いる場合には(R)の絶対立体配置のものが好まし
い。その様な光学活性イソプレノイドは、天然に存在す
るテルペンを原料として用いても、また野依らの方法
(J. Org. Chem., 53 巻、708 頁、1988年、J. Am. Che
m. Soc., 109巻、1596頁、1987年)に従い不斉水素添加
を行って調製することも可能である。
【0016】式中nは1〜3の整数を表わす。Rは炭素
数1から3のアミノアルキル基、セリン残基、トレオニ
ン残基、グリセロール残基、イノシトール残基、ジガラ
クトシル残基、およびガラクトシル残基より選択される
親水基を表わす。また、分子内に存在する不斉炭素原子
の立体化学に関しては、光学活性体でもラセミ体でも良
い。
【0017】
【0018】Rとしては、炭素数1から3のアミノアル
キル基、セリン残基、トレオニン残基、グリセロール残
基、イノシトール残基、ジガラクトシル残基、およびガ
ラクトシル残基が挙げられ、以下にその具体例として式
(II)で表わされるエタノールアミン残基、式(II
I)で表わされるセリン残基、式(IV)で表わされる
グリセロール残基、式(V)で表わされるmyo−イノ
シトール残基を示す。但し、本発明はこの具体例に限定
されるものではない。
【0019】
【化7】
【0020】式(III)
【0021】
【化8】
【0022】式(IV)
【0023】
【化9】
【0024】式(V)
【0025】
【化10】
【0026】本発明の化合物は適当な対イオンと塩を形
成していてもよい(分子内で塩を形成している状態を含
む)。ただしその塩は、生理学的、薬理学的に許容され
るものであることが好ましい。具体的には、塩酸塩、硫
酸塩、硝酸塩の様な無機酸との塩、酢酸塩、トリフルオ
ロ酢酸塩、乳酸塩、酒石酸塩等の有機酸との塩、さらに
アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシ
ウム塩、カルシウム塩などがあげられるが、なかでも塩
酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ナトリウム塩がと
くに好ましい。その様な塩への変換は慣用手段により行
うことができる。以下に本発明の化合物の具体例を示す
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0027】
【化11】
【0028】次に本発明の化合物の合成法について、例
示化合物Iー1として記載のホスファチジルエタノール
アミンを例にとって説明する。すなわち疎水部成分とし
て下記式(VI)で表わされるジアシルグリセロール
を、また親水部成分として下記一般式(VII)で表わ
される保護エタノールアミンを合成し、これらを下記一
般式(VIII)で表わされる2官能性リン酸エステル
化剤と順次反応させたのち保護基を除去することにより
合成することが可能である。式(VI)
【0029】
【化12】
【0030】一般式(VII)
【0031】
【化13】
【0032】一般式(VIII)
【0033】
【化14】
【0034】ここでR2 はアミノ基の保護基を表わす。
アミノ基の保護基としては公知のものが全て利用可能で
あるが、その選択は目的物の性質や脱保護条件を考慮し
てなされるべきものである。好ましいアミノ基の保護基
としては、t-ブトキシカルボニル基やベンジルオキシカ
ルボニル基があげられる。
【0035】またR3 はリン酸の保護基を表わす。リン
酸の保護基としては核酸、リン脂質合成において用いら
れる既知のものなら何でも良く、例えば、フェニル基、
o-クロロフェニル基、メチル基、2,2,2-トリクロロエチ
ル基、2,2,2-トリブロモエチル基、2-シアノエチル基、
アリル基、シクロプロピルメチル基等のなかから、目的
とする化合物の性質、脱保護条件を考慮して適宜選択さ
れる。ただし試薬として用いるリン酸エステル化剤の入
手の容易さを考慮すると、フェニル基、メチル基をリン
酸の保護基として用いることが好ましい。 以上の合成
経路をまとめて以下に記す。ただし各種溶媒、保護基、
試薬は通常用いられる略号によって表わした。
【0036】
【化15】
【0037】また別の方法として、式(VI)で表わさ
れるジアシルグリセロールを下記式(IX)で表わされ
るホスファチジン酸誘導体に変換し、このものと別途合
成した親水部成分を縮合剤を用いて縮合した後、保護基
を除去することによって本発明の化合物を合成すること
も可能である。縮合反応としてはアレーンスルホニルク
ロリド類を用いる方法が有効である。特に良く用いられ
る縮合剤としてはトリメチルベンゼンスルホニルクロリ
ド、トリイソプロピルベンゼンスルホニルクロリドのよ
うなかさ高い置換基を持つものが挙げられる。式(I
X)
【0038】
【化16】
【0039】以下にホスファチジン酸を中間体とする例
示化合物IIー1の合成経路を記す。ただし各種溶媒、
保護基、試薬は通常用いられる略号によって表わした。
【0040】
【化17】
【0041】以上本発明の化合物の合成方法を具体例に
そって説明したが、勿論他の方法によって合成すること
も可能である。これらはいずれも公知の文献、例えばH.
Eibl による総説(Chem. Phys. Lipids, 26巻、405
頁、1980年)に記載の方法であり、ホスファチジルセリ
ン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノ
シトールの合成の際にも同様に利用することができる。
以下に本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本
発明はこれらに限定されるものではない。
【0042】
【実施例】
実施例1 例示化合物II−1の合成 1) 中間体1の合成 天然ジテルペンである(7R,11R)- フィトール(200 g )
をエタノール(1000 ml )に溶解し、酸化白金(1 g)
を加えたのち反応混合物を水素雰囲気下6時間室温で撹
拌した。反応終了後不溶性物質をセライト濾過して除
き、濾液を減圧濃縮して中間体1((3RS,7R,11R)- フィ
タノール)を油状物として201 g 得た。 IR νmax (film) 3340 (br s), 2960 (s), 2930 (s),
2870 (s), 1465 (s),1380 (s), 1370 (m), 1060 (s), 7
35(w) cm-1
【0043】2) 中間体2の合成 中間体1(40 g)を四塩化炭素:アセトニトリル:水=
2:2:3の混合溶媒(700 ml)に溶解し、このものに
三塩化ルテニウムn水和物(500 mg)とメタ過ヨウ素酸
ナトリウム(70 g)を加え反応混合物を室温で四時間激
しく撹拌した。反応終了後不溶性物質をセライト濾過し
て除き、濾液を塩化メチレンで希釈し、有機層を分取し
た後水層を塩化メチレンで抽出した。有機層をあわせて
水で1回洗浄後無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナ
トリウムを濾過して除き、濾液を減圧濃縮して中間体2
((3RS,7R,11R)- フィタン酸)を油状物として29 g得
た。 IR νmax (film) 3600-2400 (br m), 2960 (s), 2930
(s), 2870 (s),1715 (s),1465 (m), 1380 (m), 1370
(w),1300 (m), 940 (w) cm-1
【0044】3) 中間体3の合成 中間体2(30 g)のトルエン(150 ml)溶液に塩化チオ
ニル(18 g)を加え、反応混合物を40時間撹拌した。ガ
スの発生が止り反応が終了したのち、溶媒と過剰の塩化
チオニルを常圧で留去した。残渣を減圧下乾燥し、目的
とする中間体3((3RS,7R,11R)- フィタノイルクロリ
ド)を油状物として32 g得た。 IR νmax (film) 2960 (s), 2930 (s), 2870 (s), 18
00 (s), 1465 (s), 1380(s), 1370 (m), 990 (m), 825
(s) cm -1
【0045】4) 中間体4の合成 3ーベンジルー sn- グリセロール(5.4 g, 文献[Synthe
sis 503 頁,1985年]記載の方法により調製)とジイソ
プロピルエチルアミン(10 g)の塩化メチレン(100 m
l)溶液に、中間体3(22.1 g)の塩化メチレン(50 m
l)溶液を加え、反応混合物を触媒量の4-N,N-ジメチル
アミノピリジンの存在下室温で20時間撹拌した。反応混
合物を水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後無水硫酸
ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過して除
き、濾液を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグ
ラフィー(溶出液 ヘキサン/酢酸エチル=20/1)で精
製し、中間体4を油状物質として19 g 得た。 IR νmax (film) 3030 (w), 2960 (s), 2930 (s), 287
0 (s), 1745 (s), 1500(w), 1460 (s), 1380 (s), 1370
(m), 1245 (m), 1165 (s), 1120 (s), 1110(sh), 730
(m), 695 (s) cm -1
【0046】5) 中間体5の合成 中間体4(10 g)の酢酸エチル(200 ml)溶液に5 % パ
ラジウムー 炭素(1 g)を加え、反応混合物を水素雰囲
気下6時間室温で撹拌した。反応終了後不溶性物質をセ
ライト濾過して除き、濾液を減圧濃縮して目的とする中
間体5を油状物として8.6 g 得た。 IR νmax (film) 3460 (br m), 2950 (s), 2920 (s), 2
870 (s), 1745 (s),1465 (s), 1380 (s), 1370 (sh), 1
240 (m), 1165 (s), 1130 (m), 1100 (w),1045 (m) cm
-1 元素分析 計算値: C43H84O5: C, 75.88; H, 12.35 %. 実測値: C, 75.82; H, 12.30 %.
【0047】6)中間体6の合成 フェニルホスホロジクロリデート(1.37 g)のテトラヒ
ドロフラン(15 ml )溶液に中間体5(4.0 g )とN-
メチルイミダゾール(530 mg)のテトラヒドロフラン
(20 ml )溶液を室温にて加え、反応混合物を30分撹拌
した。その後Nーt-ブトキシカルボニルエタノールアミ
ン(1.0 g )とN- メチルイミダゾール(530 mg)のテ
トラヒドロフラン(20 ml )溶液を加え、反応混合物を
2時間撹拌した。反応液を水100 mlにあけ、酢酸エチル
で抽出した。有機層をあわせて水、重曹水、飽和食塩水
で洗浄後無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウ
ムを濾過して除き、濾液を減圧濃縮して無色油状物を得
た。このものをシリカゲルクロマトグラフィー(溶出液
ヘキサン/酢酸エチル=20/1〜8/1 )で精製し、中間体
6を無色油状物として2.89 g(収率50.0 %)得た。 IR νmax (film) 3370 (m), 2950 (s), 2930 (s), 286
0 (s), 1745 (s), 1720(s), 1595 (m), 1380 (sh), 137
0 (s), 1245 (s), 1165 (s), 1040 (s),755 (s),680
(w) cm-1 元素分析 計算値: C56H102NO10P: C, 68.64; H, 10.42
%. 実測値: C, 68.37; H, 10.78 %.
【0048】6)II−1の合成 中間体6(2.3 g )の塩化メチレン(15 ml )溶液にト
リフルオロ酢酸(15 ml )を加え、反応混合物を室温で
40分間撹拌した。反応終了を確認したのち溶媒を減圧濃
縮して除き、脱t-Boc体を定量的に得た。このものを酢
酸エチル(30 ml )に溶解し、酸化白金50 mg を加えた
のち反応混合物を水素雰囲気下20時間撹拌した。不溶性
物質をセライト濾過して除き、濾液を減圧濃縮して目的
とするII−1を粘ちょうな油状物として1.9 g 得た。 IR νmax (film) 3000-2200 (br m), 2960 (s), 2930
(s), 2860 (s), 1745 (s),1620 (s), 1460 (s), 1380
(m), 1370 (sh), 1210 (s), 1155 (s) cm-1 FAB-MS: (M+Na)+ 826
【0049】実施例2 例示化合物II−1の合成 1) 中間体7の合成 中間体5(5 g )とジイソプロピルエチルアミン(1.15
g)の塩化メチレン(50 ml )溶液に、ジフェニルホス
ホロクロリデート(2.4 g )を加え、反応混合物を室温
で1時間撹拌した。反応終了後塩化メチレンで希釈し、
水、飽和炭酸水素ナトリウム溶液、飽和塩化ナトリウム
溶液で洗浄後無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナト
リウムを濾過して除き、濾液を減圧濃縮して中間体7を
油状物質として5.2 g 得た。 IR νmax (film) 3060 (w), 2950 (s), 2930 (s), 286
0 (s), 1745 (s), 1595(s), 1490 (s), 1460 (s), 1380
(m), 1370 (sh), 1290 (m), 1190 (s), 1160 (m), 106
0 (m), 960 (s), 755 (s), 735 (m), 685 (m) cm -1
【0050】2) 中間体8の合成 中間体7(5.2 g )の酢酸エチル(60 ml )溶液に触媒
として酸化白金(100mg)を加え、反応混合物を水素雰
囲気下8時間室温で撹拌した。反応終了後不溶性物質を
セライト濾過して除き、濾液を減圧濃縮して中間体8
(ジフィタノイルホスファチジン酸)を油状物として4.
3 g 得た。 IR νmax (film) 3600-2000 (br m), 2950 (s), 2920
(s), 2860 (s), 1745 (s),1460 (s), 1380 (s), 1370
(sh), 1240 (s), 1165 (s), 1060 (s), 1020 (s)cm-1 元素分析 計算値: C43H85O8P: C, 67.89; H, 11.18 %. 実測値: C, 67.43; H, 11.33 %.
【0051】3)中間体9の合成 中間体8(2 g )とZー セリンベンジルエステル(900
mg、Zー セリンとベンジルブロミドから常法により調
製)の混合物に乾燥ピリジンを加え、共沸により乾燥し
た。このものを乾燥ピリジン(10 ml )に溶解し、2,4,
6-トリメチルベンゼンスルホニルクロライド(900 mg)
を加え、反応混合物を室温で15時間撹拌した。適当量の
氷を加えて反応を停止させたのちクロロホルムで抽出し
た。有機層を水、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄した後
無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過
して除き、濾液を減圧濃縮して粗生成物をえた。このも
のをシリカゲルクロマトグラフィーで精製(溶出液:塩
化メチレン/メタノール=20/1)し、中間体9を油
状物として得た。 IR νmax (film) 3600-2200 (br m), 2960 (s), 2930
(s), 2860 (s), 1745 (s),1720 (s), 1600 (m), 1460
(s), 1380 (s), 1370 (sh), 1255 (s), 1160 (s),1035
(s), 740 (m), 695 (m) cm -1
【0052】4)II−1の合成 中間体9(5.2 g )の酢酸エチル(60 ml )溶液に触媒
として10 % Pd-C (100mg)を加え、反応混合物を水素
雰囲気下8時間室温で撹拌した。反応終了後不溶性物質
をセライト濾過して除き、濾液を減圧濃縮して目的とす
るII−1を粘ちょうな油状物として得た。 IR νmax (film) 3550-2000 (br m), 2960 (s), 2930
(s), 2860 (s), 1745 (s),1720 (s), 1610 (s), 1460
(s), 1380 (s), 1370 (sh), 1220 (s), 1130 (s)cm-1 FAB-MS: (M+Na) + 870
【0053】実施例3 例示化合物III−1の合成 出発原料として中間体5と1,2-O-イソプロピリデングリ
セロールを用い、実施例1に記載の方法によりリン酸エ
ステル化、引続き脱保護を行い、目的とするIII−1
を980 mg得た。 IR νmax (film) 3400-2150 (br m), 2960 (s), 2930
(s), 2860 (s), 1745 (s),1460 (s), 1380 (s), 1370
(sh), 1250 (s), 1210 (s),1150 (m), 1060(s)cm-1 FAB-MS: (M+Na) + 857
【0054】実施例4 例示化合物IV−1の合成 出発原料として中間体5とテトラ-O- ベンジルー myo-イ
ノシトールを用い、文献(V.I.Shvets et al., Tetrahe
dron 29 巻、331 頁、1973年)記載の方法に従いリン酸
エステル化、引続き脱保護を行い、目的とするIV−1
を無色粉末として280 mg得た。 IR νmax (Nujol) 3350-2000 (br m), 2960 (s), 2940
(s), 2860 (s), 1745 (s),1460 (s), 1380 (s), 1370
(sh), 1245 (s), 1220 (s),1120 (s) cm-1 元素分析 計算値: C49H95O13P.H2O: C, 62.55;H, 10.3
2 %. 実測値: C, 62.03; H, 10.49 %.
【0055】
【発明の効果】本発明の化合物を用いることにより、以
下のような顕著な効果を得ることができる。 (1) グリセロール部と炭化水素鎖の連結方法を古細
菌の生体膜脂質にみられるエーテル型ではなく、エステ
ル結合としているため合成が容易であり、特に大量合成
に非常に有利である。 (2)原料となる鎖状イソプレノイドはイソ酸やアンチ
イソ酸と比較して構造や立体化学の確実なものが容易に
入手できるので、この点からも合成に有利である。 (3)本発明の化合物は、従来用いられてきた飽和脂肪
酸のみからなるリン脂質や不飽和脂肪酸を有するリン脂
質では達成できない性質、すなわち生体適合性に優れ、
膜流動性が良好かつその膜のバリアー能が高く、さらに
分散性、化学的安定性に特に優れた性質を有するもので
あると考えられる。 (4)さらに本発明の化合物はそれ自体でも脂質2分子
膜構成成分となり得る両親媒性分子であり、室温以下の
相転移点を有する2分子膜を形成する性質を有する。従
って本発明の化合物によって形成される2分子膜は生体
膜に極めて近い流動性を有し、生体膜ミメティクス研究
の分野において特異な性質を有する生体膜モデルとして
用いられる他、薬物キャリアーとしてのリポソーム材料
としても応用が考えられる。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表わされるグリセロ
    ール誘導体またはその塩。 一般式(I) 【化1】 式中nは1〜3の整数を表わす。Rは炭素数1から3の
    アミノアルキル基、セリン残基、トレオニン残基、グリ
    セロール残基、イノシトール残基、ジガラクトシル残
    基、またはガラクトシル残基を表わす。また、分子内に
    存在する不斉炭素原子の立体化学に関しては、光学活性
    体でもラセミ体でも良い。
  2. 【請求項2】 Rが下記式(II)で表わされるエタノ
    ールアミン残基である、請求項1に記載のグリセロール
    誘導体またはその塩。 (式II) 【化2】
  3. 【請求項3】 Rが下記式(III)で表わされるセリ
    ン残基である、請求項1に記載のグリセロール誘導体ま
    たはその塩。式(III) 【化3】
  4. 【請求項4】 Rが下記式(IV)で表わされるグリセ
    ロール残基である、請求項1に記載のグリセロール誘導
    体またはその塩。式(IV) 【化4】
  5. 【請求項5】 Rが下記式(V)で表わされるmyo-イノ
    シトール残基である、請求項1に記載のグリセロール誘
    導体またはその塩。式(V) 【化5】
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