JP2597927B2 - リン脂質誘導体およびそれを用いたリポソーム - Google Patents

リン脂質誘導体およびそれを用いたリポソーム

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、安定かつ生体適合性に優れたリポソームの
製造に有用なリン脂質誘導体およびそれを用いて製造し
たリポソームに関するものである。
(従来の技術) 近年、医学、薬学の分野においてリポソームに水溶性
物質を保持させて薬物運搬体や診断薬として利用しよう
とする試みが多数なされている(例えば、砂本ら、バイ
オサイエンスとインダストリー、第47巻、475頁、1989
年)。しかしリポソームを薬物担体として利用するに
は、未だ未解決の問題が山積している。すなわち、非共
有結合性分子集合体であるという宿命ゆえのリポソーム
の不安定性、および内包物の漏れ減少である。従って、
リポソームを始めとする脂質2分子膜の構造強化、機能
付与は従来きわめて重要な問題となっていた。
まず構造強化に関しては、多糖で被覆したリポソーム
(特開昭61−69801号)や、水素結合によって構造強化
することのできるリン脂質(日本化学会誌、569頁、198
7年)が開発されている。また従来から天然由来のステ
ロイドを脂質2分子膜に混合すると、膜が強化されると
いうことはよく知られている事実である。しかしこのよ
うな方法は全脂質量の半分近くもステロイド類(たとえ
ばコレステロール)を膜に混合するのが普通であり、実
際に人間に対して診断薬として用いるにはコレステロー
ル量が多すぎ、非現実的であるといえよう。
また表面修飾に関しても、これまで数多くの研究がな
されている。一般に蛋白質を始めとする機能性化合物を
リポソームのような脂質2分子膜に導入する方法として
は、非共有結合によるものと、共有結合を用いる方法が
知られているが、結合の強度や膜の安定性等を考慮する
と、共有結合を用いる方法が有利である。
共有結合を利用する方法は基本的に、脂質2分子内膜
の表面と共有結合の相手となる分子を2価の架橋剤を用
いて連結するというものであり、具体的には蛋白質中の
アミノ基やSH基、あるいは糖鎖などが結合にあずかる官
能基として利用される。
SH基を用いる方法としては、Maleinimido基を架橋剤
としてこのものに対するマイケル付加反応により結合す
る方法(Biochimaca et Biophysica Acta943巻 53頁
1988年)、N−succinimidyl−3−(2−pyridyldithi
o)propionyl phosphatidylethanolamineとN−succini
midyl−3−(2−pyridyldithio)propionateで活性化
した抗体と結合する方法(Nature、288巻、602頁、1980
年)、またα−ハロケトン基を架橋剤としてこのものに
対する求核置換反応により結合する方法(ヨーロッパ特
許第0,312,212号)等が知られている。
糖鎖を利用する方法としては、脂質2分子膜側に糖脂
質を組込んでおき、このものを過ヨウ素酸で切断して生
成するアルデヒドを、アミノ基と反応させる方法(Scie
nce、210巻、539頁、1980年)が報告されている。
しかしながらこれらの方法はいずれもかなりの反応工
程数を要し、また厳密な不活性気体下で反応を行わなく
てはならない、さらにある特定の反応しか行うことが出
来ないため汎用性に乏しいといった欠点を有している。
これに対し、比較的合成の容易な1本鎖型の脂質膜構
造体を用いてリポソームを始めとする脂質2分子膜側の
機能付与を行う例(例えば特開昭61−112021号、特開昭
62−201864号、特開昭62−209092号、特開平1−27637
号)も報告されているが、このような1本鎖型の脂質膜
構造体は疎水部に対して親水部がかさ高い、いろゆる逆
コーン型分子であるため、膜構成成分から離脱しやすい
という欠点を有しており、また生体適合性が悪いため膜
毒となる恐れもある。
従って簡単な方法で容易にリポソーム膜の構造強化、
表面修飾を行うことができ、汎用性も大きく、かつ生体
に対して安全な脂質膜構造体を開発することはこの分野
で最も必要性の高い課題となっていた。
(発明の目的) そこで本発明の目的は、オリゴペプチド鎖でリポソー
ム表面を被覆することにより安全性を向上させることが
可能であり、かつ生分解性を有し生体適合性の高いリン
脂質誘導体およびその合成法を提供することにある。ま
た同時にその様なリン脂質を用いたリポソームの製造法
を提供することにある。
(発明の構成) 本発明の目的は、下記一般式(I)で表わされるリン
脂質誘導体とその合成法の完成、さらに下記一般式
(I)で表わされるリン脂質誘導体をリポソームの構成
脂質の少なくとも一つとして有することを特徴とするリ
ポソームにより達成された。
式中R1、R2は炭素数8〜24の直鎖を表す。好ましくは
炭素数は12〜18である。R3m、R4nはそれぞれα−アミノ
酸の側鎖残基を表わす。このような側鎖を有するアミノ
酸としては、天然に通常存在するL−α−アミノ酸は勿
論のことD−α−アミノ酸やラセミ体のα−アミノ酸で
あっても良い。本発明における好ましいアミノ酸はL−
α−アミノ酸である(以下特に言及しない限り、アミノ
酸とはこのL−α−アミノ酸を表わすものとする)。m
およびnは0〜5の整数を表わす。ただしmとnは同時
に0となることはない。好ましくは、mおよびnはその
和が1〜5の整数である。グリセロール部位に存在する
不斉炭素原子の立体化学に関しては、ラセミ体でも光学
活性体のいずれでもよい。M+はリン酸アニオンの対イオ
ンを表わす(Hを含む)。また分子内に存在するイオン
性基は、適当な対イオンと塩を形成していてもよい(分
子内で塩を形成している状態を含む)。ただしその塩
は、生理学的、薬理学的に許容されるものであることが
好ましい。具体的には、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩の様な
無機酸との塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、乳酸塩、
酒石酸塩等の有機酸との塩、さらにアンモニウム塩、ナ
トリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム
塩などがあげられるが、なかでも塩酸塩、酢酸塩、トリ
フルオロ酢酸塩、アンモニウム塩、ナトリウム塩がとく
に好ましい。その様な塩への変換は慣用手段により行う
ことができる。
次に本発明の化合物の合成法について説明する。本発
明の化合物は基本的に以下の方法により合成することが
できる。
(1)式〔2〕で表わされるジアルキル(ジアシル)グ
リセロールの合成 (2)リン酸エステル化による保護ホスファチジルセリ
ン誘導体〔3〕の合成。
ここでR'はリン酸の保護基を表わす。
(3)〔3〕のN及びC末端側への保護アミノ酸の逐次
縮合 (4)保護基の除去 以下、各段階について具体的に説明する。
式〔2〕で表わされるジアルキル(ジアシル)グリセ
ロールは、公知の方法(例えばBiochemistry2 394(19
63)に記載の方法)により容易に合成することができ、
また市販もされている。
式〔3〕で表わされる保護ホスファチジルセリン誘導
体は、式中〔4〕で表わされる2官能性リン酸化剤を用
い、まず式〔2〕で表わされる化合物、ついで式〔5〕
で表わされるセリン誘導体を塩基の存在下反応させて合
成することができる。
ここでR'はリン酸の保護基を表わす。リン酸の保護基
としては、通常の核酸、リン脂質合成において用いられ
る既知のもののなかから目的とする化合物の性質、脱保
護条件等を考慮して適宜選択することができる。具体的
にはフェニル基、o−クロロフェニル基、p−クロロフ
ェニル基、メチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2,
2,2−トリブロモエチル基、2−シアノエチル基、アリ
ル基、シクロプロピルメチル基等をあげることが可能で
ある。ただし試薬の入手の容易さを考慮するとフェニル
基、メチル基が好ましい。
保護アミノ酸を逐次縮合する方法は、公知の方法、例
えば泉屋信夫ら編「ペプチド合成の基礎と実験」(丸
善)に記載の方法が有効である。縮合反応には種々の方
法が知られているが、1−ヒドロキシベンゾトリアゾー
ルとDCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)を用いるD
CC−Additive法が最も良い結果を与えた。
保護基の除去の条件は、用いている保護基の種類に依
存する。通常用いられる方法は、加水素分解、トリフル
オロ酢酸処理、HF処理、トリフルオロメタンスルホン酸
−チオアニソール混合系等であるが、保護基の種類によ
ってはさらにさまざまな方法が可能である。
以下に本発明の化合物の具体例を示すが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。
次に一般式(I)で表わされる化合物を用いたリポソ
ームの製造方法と、その用途について説明する。本発明
の化合物はそれ単独でも、他のリン脂質と混合しても安
定なリポソームを形成することができる。混合する際の
モル比に関しては特に制限はないが、好ましくは本発明
の化合物の割合が0.1〜0.6、さらに好ましくは0.1〜0.3
である。リポソームを調製するのに混合するリン脂質と
しては、卵黄、大豆あるいはその他の動植物に由来する
ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミ
ン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリ
ン、スフィンゴミエリンや、化学合成によって得られる
ジパルミトイルレシチン、ジステアロイルレシチン、ジ
ミリストイルレシチン等を挙げることができる。好まし
くは、卵黄ホスファチジルコリン(egg PC)や合成ジパ
ルミトイルレシチンである。またコレステロール等のス
テロイド類も混合することが可能であるが、混合する際
のモル比は全脂質量に対して0.5以下、好ましくは0.2以
下であることが望ましい。
リポソームの調製法としては、通常知られている公知
の方法、例えばPapahajopoulsらによる総説(Ann.Rev.B
iophys.Bioeng.,第9巻、467頁、1980年)、野島、砂
本、井上らによる成書(リポソーム、21〜40頁、南江
堂、1988年)に記載の方法が有効である。具体的には、
ボルテックス法、超音波照射法、界面活性剤除去法、逆
相蒸発法、エタノール注入法、プレーベシクル法、エク
ストルージョン法、凍結融解法等が挙げられるが、本発
明はこれらの方法に限定されるものではなく、さらにさ
まざまな組合せが可能である。
以上の様に調製されるリポソームには、種々の親水性
物質を取込ませることができる。具体的な親水性物質と
しては、カルボキシフルオレセインの様な色素類、アド
リアマイシン、シスープラチンに代表される抗がん剤、
インターフェロン等の抗ウイルス剤、アミノ配糖体類、
β−ラクタム系(例えばペニシリン等)抗生物質、イン
シュリン等のペプチドホルモン類、リゾチーム、アスパ
ラギナーゼ等の酵素剤、ムラミルジペプチドを始めとす
る免疫賦活剤、イムノグロブリン、各種トキシン等の蛋
白質が挙げられるが、さらに他の化合物を用いることも
可能であり、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
以下に実施例として本発明の例示化合物(1)の合成
例を記す。化合物(1)は以下の合成経路により合成し
た。親水部、疎水部の構造の異なる他の化合物の合成方
法も、基本的な方法は同じである。なおアミノ酸、各種
保護基、試薬、溶媒は通常用いられる略号を用いて表わ
した。
実施例1 化合物(1)の合成 〔1c〕の合成 文献〔シンセシス(Synthesis)503(1985)〕記載の
方法により調製した〔1a〕12.0gをトルエン300mlに溶か
し、この溶液に粉末水酸化カリウム16.0gと臭化n−テ
トラデシル82gを加え、反応混合物を8時間加熱還流し
た。反応液を室温になるまで放冷したのちヘキサン400m
lで希釈した。水200mlで2回洗浄後無水硫酸ナトリウム
にて乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過して除き、濾液を
減圧濃縮して無色油状物を得た。このものをシリカゲル
クロマトグラフィー(溶出液 ヘキサン/酢酸エチル=
40/1)で精製し、〔1b〕を41.2g(収率95.5%)得た。
植物性は文献〔バイオケミストリー(Biochemistry)2,
394(1963)〕記載のそれと一致した。
得られた〔1b〕を酢酸エチル250mlに溶解し、10%パ
ラジウム−炭素1.5gを加えて、反応混合物を水素雰囲気
下8時間反応した。不溶性物質をセライト濾過して除
き、セライト層を酢酸エチルで洗浄した。濾過、洗液を
あわせて減圧濃縮した。残渣を酢酸エチルから再結晶し
て〔1c〕を無色結晶として得た。物性値は文献〔バイオ
ケミストリー(Biochemistry)2,394(1963)〕記載の
それと一致した。
〔1d〕の合成 文献〔シンセシス(Synthesis)961(1979)〕記載の
方法に従い、(S)−N−t−ブトキシカルボニルセリ
ンと臭化ベンジルから80%の収率で得た。
〔1e〕の合成 フェニルホスホロジクロリデート(8.2g)の乾燥テト
ラヒドロフラン溶液に、〔1c〕(15.8g)とN−メチル
イミダゾール(3.2g)の乾燥テトラヒドロフラン(50m
l)溶液を20分かけて加えた。反応混合物を室温で1時
間撹拌したのち、〔1d〕(10.3g)とN−メチルイミダ
ゾール(3.2g)の乾燥テトラヒドロフラン(50ml)溶液
を10分かけて加え、室温に14時間放置した。反応液を水
200mlにあけ、クロロホルムで抽出した。有機層をあわ
せて水で1回洗浄後無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫
酸ナトリウムを濾過して除き、濾液を減圧濃縮して無色
油状物を得た。このものをシルカゲルクロマトグラフィ
ー(溶出液 ヘキサン/酢酸エチル=20/1〜8/1)で精
製し、〔1e〕を無色ロウ状物質として13.6g得た。
IRνmax(Nujol)3260(m),2930(s),1745(s),1
705(s),1600(m),1030(s)cm-1 FAB−MS 918〔(M+H)〕 〔1f〕の合成 〔1e〕13.5gの酢酸エチル(400ml)溶液に5%パラジ
ウム−炭素8.0gを加え、反応混合物を水素雰囲気下8時
間攪拌した。反応終了後不溶性物質をセライト濾過して
除き、濾液を減圧濃縮して〔1f〕を無色ロウ状物質とし
て13.3g得た。
〔1g〕の合成 〔1f〕13.3g、グリシンベンジルエステルp−トルエ
ンスルホン酸塩5.8g、トリエチルアミン1.8gの塩化メチ
レン溶液に、ジシクロヘキシルカルボジイミド3.6gを氷
冷しながら加えた。反応混合物を氷冷しながら2時間、
さらに室温で終夜撹拌した。生成した沈澱をセライト濾
過して除き、セライト層を酢酸エチルで洗浄した。有機
層をあわせて水、飽和飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄
後無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾
過して除き、濾液を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルク
ロマトグラフィー(溶出液 ヘキサン/酢酸エチル=6/
4)で精製し、〔1g〕を無色ロウ状物質として8.6g得
た。
FAB−MS 997(M+Na) 〔1h〕の合成 〔1g〕8.6gの塩化メチレン(50ml)溶液にトリフルオ
ロ酢酸(30ml)を加え、反応混合物を室温で30分撹拌し
た。溶媒を減圧下濃縮したのち残渣を塩化メチレン(10
0ml)に溶解し、氷冷下トリエチルアミン1.5gとBoc−グ
リシン無水物5.4gを加えて反応混合物を室温で終夜撹拌
した。反応液を水、飽和飽和塩化ナトリウム水溶液で洗
浄後無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを
濾過して除き、濾液を減圧濃縮した。残渣をシリカゲル
クロマトグラフィー(溶出液 ヘキサン/酢酸エチル=
4/6)で精製し、〔1h〕を無色ロウ状物質として8.8g得
た。
FAB−MS 1054(M+Na) 例示化合物(1)の合成 〔1h〕8.8gの酢酸エチル(300ml)溶液に酸化白金1.0
gを加え反応混合物を水素雰囲気下20時間撹拌した。反
応終了後不溶性物質をセライト濾過して除き、濾液を減
圧濃縮して7.9gの脱保護体を得た。
FAB−MS 911(M+2Na) このもののうち200mgを塩化メチレン10mlに溶解し、
トリフルオロ酢酸10mlを加えて反応混合物を室温で30分
間撹拌した。溶媒を減圧濃縮して除き、残渣を酢酸エチ
ルで再沈澱させ、(1)のトリフルオロ酢酸塩を120mg
得た。このものはさらにアンバーライトIR−120B、続い
てアンバーライトIRA−93ZUで処理して目的とする
(1)を120mg得た。
FAB−MS 766(M+H)(Pos) 764(M−H)(Neg) 実施例2 例示化合物(2)の合成 実施例1に記載の方法に従い、〔1c〕の代りにジ−o
−オクタデシルグリセロールを用いて反応を行い、目的
とする(2)を得た。
FAB−MS 878(M−CF3COO)(Pos) 113(CF3COO)(Neg) 実施例3 例示化合物(3)の合成 実施例1に記載の方法に従い、〔1c〕の代りにジ−o
−ヘキサデシルグリセロールを用いて反応を行い、〔1
g〕に相当する段階で保護基を除去して目的とする
(3)を得た。
FAB−MS 823(M+Na) 実施例4 例示化合物(4)の合成 実施例1の記載の方法に従い、〔1c〕の代りにジ−o
−ヘキサデシルグリセロールを用いて反応を行い、〔1
e〕に相当する段階でN末端側に保護グリシン残基を導
入した後保護基を除去し、目的とする(4)を得た。
FAB−MS 801(M−CF3COO)(Pos) 113(CF3COO)(Neg) 実施例5 例示化合物(5)の合成 実施例1に記載の方法に従い、〔1c〕の代りにジ−o
−ヘキサデシルグリセロールを用いて反応を行い、〔1
e〕に相当する段階でN末端側に保護アスパラギン酸残
基を導入した後保護基を除去し、目的とする(5)を得
た。
FAB−MS 881(M+Na) 実施例6 例示化合物(6)の合成 実施例1に記載の方法に従い、〔1c〕の代りにジ−o
−ヘキサデシルグリセロールを用いて反応を行い、〔1
e〕に相当する段階でC末端側に保護セリン残基を導入
した後保護基を除去し、目的とする(6)を得た。
FAB−MS 831(M−CF3COO)(Pos) 113(CF3COO)(Neg) 実施例7 例示化合物(7)の合成 実施例1に記載の方法に従い、〔1c〕の代りにジ−o
−エイコシルグリセロールを用いて反応を行い、〔1e〕
に相当する段階でN末端側に保護リジン残基を導入した
後保護基を除去し、目的とする(7)を得た。
FAB−MS 984(M+H) 実施例8 例示化合物(8)の合成 実施例1に記載の方法に従い、〔1c〕の代りにジ−o
−オクタデシルグリセロールを用いて反応を行い、〔1
e〕に相当する段階でC末端側に保護グリシルグリシン
残基を導入した後保護基を除去し、目的とする(8)を
得た。
FAB−MS 878(M−CF3COO)(Pos) 113(CF3COO)(Neg) 実施例9 例示化合物(9)の合成 実施例1に記載の方法に従い、〔1c〕の代りにジ−o
−デシルグリセロールを用いて反応を行い、〔1e〕に相
当する段階でN末端側に保護グリシルグリシン残基を導
入した後保護基を除去し、目的とする(9)を得た。
FAB−MS 654(M+H)(Pos) 652(M−H)(Neg) 実施例11 例示化合物(11)の合成 実施例1に記載の方法に従い、〔1a〕に対してヘキサ
デカノイルクロリドを反応させてアシル化、さらに加水
素分解してジヘキサデカノイルグリセロールを得た。こ
のものを〔1c〕の代りに用いて反応を行い、〔1e〕に相
当する段階でC末端側に保護アスパラギン残基を、導入
した後保護基を除去し、目的とする(11)を得た。
FAB−MS 908(M+Na) 実施例12 例示化合物(12)の合成 実施例1に記載の方法に従い、〔1a〕に対してオクタ
デカノイルクロリドを反応させてアシル化、さらに加水
素分解によりベンジル基を除去し、ジオクタデカノイル
グリセロールを得た。このものを〔1c〕の代りに用いて
反応を行い、〔1e〕に相当する段階でC末端側に保護ア
スパラギン残基を導入、さらに〔1g〕に相当する段階で
N末端側に保護リジン残基を導入した後保護基を除去
し、目的とする(12)を得た。
FAB−MS 1089(M+H) 実施例13 例示化合物(13)の合成 実施例1に記載の方法に従い、〔1c〕の代りにジ−o
−ヘキサデシルグリセロールを用いて反応を行い、〔1
e〕に相当する段階でN末端側に保護フェニルアラニン
残基を導入した後保護基を除去し、目的とする(13)を
得た。
FAB−MS 913(M+Na) 実施例15 例示化合物(1)を用いたリポソームの調製
法 例示化合物(1)15mgをクロロホルムに溶解し、減圧
濃縮して薄膜を形成した。窒素雰囲気下充分に乾燥後、
緩衝液(6mM Tris−HCl,pH7.4)3mlを加え、10分間ボル
テックスミキシングを行い粗分散させた。続いてプロー
ブ型超音波発生装置で15分間ソニケーションを行い、リ
ポソーム分散液を得た。
得られたリポソーム分散液は平均粒径を測定した結
果、直径240nm、また電子顕微鏡による形態観察からユ
ニラメラベシクルであることを確認した。さらに室温に
20日間放置した後粒径を測定したが特に変化はみられ
ず、また肉眼による観察からも沈澱物等はみられなかっ
た。
実施例16 ジパルミトイルホスファチジルコリンと例示
化合物(5)の混合系でのカルボキシフルオレセイン内
包リポソームの調製法 ジパルミトイルホスファチジルコリン20mgと例示化合
物(5)10mgをクロロホルムに溶解し、減圧濃縮して薄
膜を形成した。窒素雰囲気下充分に乾燥後、カルボキシ
フルオレセインのBuffer溶液(200mM/6mM Tris−HCl,pH
7.4,150mM NaCl含有)3mlを加え、15分間ボルテックス
ミキシングを行い粗分散させた。続いてプローブ型超音
波発生装置で10分間ソニケーションを行い、リポソーム
の分散液を得た。ゲル濾過クロマトグラフィーで内包さ
れなかったカルボキシフルオレセインを除去し、カルボ
キシフルオレセイン内包リポソームのフラクションを得
た。
得られたフラクションはリポソームの粒径を測定の
後、平均粒径200〜300nmの部分を選び、150mM NaCl含有
の6mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4)を用いて脂質濃度を2
×10-4Mに調製し、37℃で内包したカルボキシフルオレ
セインの漏出を蛍光測定により追跡した。
同様の方法により、例示化合物(1)〜(4)につい
てもジパルミトイルホスファチジルコリンとの混合物を
用い、カルボキシフルオレセイン内包リポソームを得
た。これらリポソームの粒径測定、37℃での内包したカ
ルボキシフルオレセインの漏出の結果を表1に示す。
表1はジパルミトイルホスファチジルコリンと例示化
合物5種からなるリポソームの平均粒径と、37℃、1時
間後におけるリポソームからの内包物(カルボキシフル
オレセイン)の漏出の程度をまとめたものである。対照
としてジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)単
独を用いた。
(発明の効果) 本発明の化合物は、リポソームの安定化の重要な要因
となる膜表面の水素結合体に作用し、分子間でより強固
に水素結合を行わせることができる。従って脂質を水中
に分散させた時に形成されるリポソームの内包物の漏出
を減少させ、また同時にリポソームの保存安定性を向上
させるのに非常に有効な化合物である。表1からも明ら
かなように、本発明の化合物を用いることによりリポソ
ーム内包物の漏出が大幅に減少することがわかる。本発
明の化合物の種類や量をかえても同様の傾向が得られ
た。また本化合物はその構成要素がアミノ酸、ペプチ
ド、脂質残基であり、生体内に普遍的に存在するもので
あるため生体適合性にも優れている。さらに本発明の化
合物は脂質の親水部に連結するアミノ酸残基の種類、特
に電荷、親疎水性のバランスを変化させることにより、
リポソーム膜の表面を自由に修飾することが可能であ
る。また分子の親水部がリポソーム表面からある程度の
長さを有しているため、このものにさらに表面修飾を行
う場合、反応効率が向上することも利点として挙げるこ
とができる。これは反応点の立体障害が減少しているた
めと説明できる。
また各種の生理活性を有するオリゴペプチド(あるい
はその活性断片)を親水部に連結することにより、脂質
の新たな機能を引出すことも可能である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I)で表わされるリン脂質誘
    導体。 式中R1、R2は炭素数8〜24の直鎖を表わす。R3m、R4n
    それぞれα−アミノ酸の側鎖残基を表わす。mおよびn
    は0〜5の整数を表わす。ただしmとnは同時に0とな
    ることはない。M+はリン酸アニオンの対イオンを表わす
    (Hを含む)。また分子内に存在するイオン性基は、適
    当な対イオンと塩を形成していてもよい(分子内で塩を
    形成している状態を含む)。
  2. 【請求項2】特許請求項(1)に記載の化合物をリポソ
    ームの構成脂質の少なくとも一つとして有することを特
    徴とするリポソーム。
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