JP2665519B2 - 水耕栽培における成長促進方法およびそれに使用される装置 - Google Patents

水耕栽培における成長促進方法およびそれに使用される装置

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JP2665519B2 JP7123002A JP12300295A JP2665519B2 JP 2665519 B2 JP2665519 B2 JP 2665519B2 JP 7123002 A JP7123002 A JP 7123002A JP 12300295 A JP12300295 A JP 12300295A JP 2665519 B2 JP2665519 B2 JP 2665519B2
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  • Hydroponics (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、各種植物、特にレタ
ス、ホウレン草、小松菜、チンゲンサイ、サラダ菜等の
葉菜類、トマト、イチゴ、キュウリ等の果菜類、カーネ
ーション、キク等の花き類等の水耕栽培における成長促
進方法およびそれに使用される装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、水耕栽培における根の酸素欠乏を
防いで植物の成長を促進する方式として、槽内に入れた
培養液の液面より適宜高い位置に定植パネルを水平に固
定し、該定植パネルに植物を、その根を定植パネルの下
に垂下させた状態に支持させ、上記培養液面に振動板を
上下動させることにより培養液面に波を発生させ、それ
により上記植物の根に培養液と空気を交互に触れさせ、
培養液からは必要養分および溶存酸素を、空気からは直
接酸素をそれぞれ吸収させる構成のものが知られている
(特開昭63−309119)。
【0003】しかし、本発明者の実験、研究によれば、
上記の従来方式では、その培養液に波を発生させること
により、培養液中に必要な酸素は十分取りこむことはで
きており、むしろ従来方式では、固定された定植パネル
に植物を支持させているため、植物の葉および根におけ
るガス交換が有効に行われない欠点があることを見い出
した。すなわち、従来方式では植物の葉がほぼ静止状態
にあるため、葉の気孔から炭酸ガスを吸収すれば周囲の
空気中の炭酸ガスは減少し、また酸素を排出すれば周囲
の空気中の酸素が増加して炭酸ガスの濃度をさらに低下
させる結果、炭酸ガスの吸収量がますます減少する不均
衡なガス交換となり、十分な光合成が行われない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本願第1発明は、植物
のガス交換を有効に行わせることにより植物の成長を促
進させる方法を提供することを課題とし、
【0005】本願第2発明は、上記第1発明の方法を有
効に実施することを可能にする装置を提供することを課
題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題解決の手段とし
て、本願第1発明は、培養液の液面に植物を、その根の
全部または一部を上記培養液中に浸した状態で、浮か
せ、上記培養液面に波を発生させ、該波のうねりにより
上記植物全体を揺らす、ことから構成される植物水耕栽
培における成長促進方法を提案し、
【0007】本願第2発明は、槽内に培養液を入れると
共に、該培養液の液面に波を発生させる造波装置を装備
し、上記槽内の培養液面に浮力を有する定植パネルを上
記波により揺動自在に浮かせ、上記定植パネルに植物
を、その根の全部または一部を該定植パネルの下の上記
培養液中に浸すと共に、その葉を上記定植パネル上に出
した状態に、支持させた、ことから構成される植物水耕
栽培における成長促進装置を提案する。
【0008】
【作用】本願第1発明によれば、培養液面につくられた
波のうねりにより植物全体を揺らすことにより、植物の
葉の周囲の空気、および根の周囲の培養液を常に新らし
い空気および培養液と入れ換え、それにより有効なガス
交換を継続するのである。以下図面を参照して本願発明
の実施例について説明する。
【0009】
【実施例】便宜上初めに使用する装置について説明す
る。図1において、上面を開放した平面からみて長方形
の横長箱形の栽培槽(1)を水平に設置し、該槽(1)
内に養分、有用バクテリヤ等を含む培養液(2)を注入
すると共に、該培養液の液面に、浮力を有する矩形板状
の定植パネル(3)…を互に隣接状態で浮かせ、上記槽
(1)の長手方向の一端部には造波装置(4)を装備し
てある。
【0010】上記定植パネル(3)…は一例として発砲
スチロールでつくられた浮力を有する軽量板状体で、本
例では、図2(A)、(B)に示すように下面に多数本
の凹溝(5)…を互に等間隔をあけて平行に形成し、各
凹溝(5)…の底板に相当する部分に円形の定植孔
(6)…を全体として千鳥状配置で貫設してある。
【0011】上記の定植パネル(3)の定植孔(6)…
内に、植物(P)…の基部を発砲ポリウレタン等の柔軟
弾性クッション材(7)…を介して保持させ、各植物
(P)…の根(8)…を上記凹溝(5)…内に位置させ
ると共に、葉(9)…を定植パネル(3)上面に突出さ
せ、このように植物(P)…を植えた定植パネル(3)
…を、その凹溝(5)…面を下に且つ凹溝(5)…を槽
(1)の長手方向と平行に向けて上記培養液(2)面に
浮かせてある。このようにすれば、定植パネル(3)
は、図2(B)に示すように培養液面(S)に対し各凹
溝(5)…の空間をあけて浮き、それにより各根(8)
…の一部が空気中に露出し、根の残りは培養液(2)中
に浸ることとなる。
【0012】上記造波装置(4)の構造は次のようであ
る。図1、3において、上記栽培槽(1)の長手方向の
一端部に、該槽(1)を左右にまたいで左右側枠板(1
1)、(11)および上枠板(12)からなる門形フレ
ーム(10)を起立し、両側枠板(11)、(11)の
外側面下寄りの位置に案内スリーブ(13)、(13)
を垂直に固定すると共に、両スリーブ(13)、(1
3)にスライドロッド(14)、(14)をそれぞれ摺
動自在に挿入支持させ、これらスライドロッド(1
4)、(14)の上端部にビーム(15)の両端部を連
結してある。上記ビーム(15)は上記槽(1)の上方
を左右に横切って上記両側枠板(11)、(11)の縦
長窓(16)、(16)からビーム両端部を外方へ突出
し、該ビーム(15)の突出両端部を上記スライドロッ
ド(14)、(14)の上端部に連結し、このビーム
(15)から支持棒(17)…を下方へ突出し、該支持
棒下端に造波ブロック(18)を固着してある。
【0013】上記造波ブロック(18)は、横断面ほぼ
台形で上記槽(1)内の左右幅より若干短い角柱状ブロ
ックで、その台形の上辺を下に向けた逆台形の状態で槽
(1)内に左右方向に向けて昇降自在に位置されてい
る。
【0014】上記造波ブロック(18)の昇降駆動装置
として、上記左右側枠板(11)、(11)の上部にそ
れぞれ固定された軸受(19)、(19)に軸(20)
を支持させて軸両端部を外方へそれぞれ突出させ、該軸
(20)の両突出端にそれぞれクランク(21)、(2
1)を固着し、該クランク(21)、(21)と上記ス
ライドロッド(14)、(14)の上端とをそれぞれ連
接ロッド(22)、(22)で連結し、一方上記上枠板
(12)の下面に固定されたブラケット(23)にモー
タ(24)を取りつけ、該モータの出力軸に固着された
小スプロケット(25)から上記軸(20)に固着され
た大スプロケット(26)にチェン(27)を掛け渡し
てある。
【0015】今、モータ(24)を始動すれば、その回
転がスプロケット(25)、チェン(27)、スプロケ
ット(26)を経て軸(20)に伝えられ、該軸(2
0)の回転によりクランク(21)、(21)が回転し
て連接ロッド(22)、(22)を介してスライドロッ
ド(14)、(14)を案内スリーブ(13)、(1
3)に沿って垂直に昇降させ、それによりビーム(1
5)および造波ブロック(18)を垂直に昇降させる。
この場合、造波ブロック(18)は培養液面上に若干上
昇した位置から培養液中に深く沈みこむ位置まで降下
し、ついで元位置まで上昇するようにしてある。
【0016】上例の装置の作用と共に本願発明方法の実
施例を次に説明する。モータ(24)の始動により造波
ブロック(18)を昇降させると、槽(1)内の培養液
(2)面に波が連続的に発生し、これら波のうねりによ
って各定植パネル(3)…が揺れ、これらに支持されて
いる各植物(P)…全体が揺れる。それにより各植物
(P)…の葉(9)…は空気中で揺れて常に新たな空気
に触れ、十分な炭酸ガスの吸収を継続し、また根(8)
…は培養液(2)中で揺れて常に新たな培養液に触れ、
十分な養分と溶存酸素を吸収する。それと共に、虫媒
花、風媒花等の受粉に依存する植物において、上記植物
(P)…全体の揺れによって受粉を自動的に行わせる。
なお、本例では、上記定植パネル(3)の凹溝(5)…
内に位置する根の一部が上記波を受けて空気と培養液に
交互に触れ、それぞれ空気中の酸素、および培養液中の
養分、酸素を吸収する。
【0017】また、上記造波ブロック(18)は、培養
液中に降下時には、その逆台形の横断面形状により容易
に沈みこみ、ついで上昇時に、該ブロック(18)の広
い上面で液を下から押し上げ、それによりあたかも津波
のような相当厚さの波を槽(1)の長手方向前方へ走ら
せ、それと同時に、槽(1)内底部の液を該ブロック
(18)の下に引き寄せ、以下これを繰返して槽(1)
内の液を対流させ、均一化する。この場合、空気に接す
る水において一般的に水中の溶存酸素が4〜5%である
が、水面から5mm厚の水の界層部の溶存酸素が空気中
の酸素と同じく21%であるから、上記対流により培養
液中の酸素が豊富に均一化される。
【0018】本願発明の装置に使用される定植パネル
は、上下面とも平坦な板に定植孔を貫設したもの、その
他種々のパネルも使用される。また、造波装置は、上例
のものに限らず、水車型造波部材を液中で回転させるも
の、その他種々の装置が使用される。
【0019】
【発明の効果】本願第1発明の水耕栽培における成長促
進方法によれば、植物全体を揺らすことによって植物の
葉および根を常に新たな空気および培養液に触れさせ、
それにより葉から十分な炭酸ガスの吸収を、根から十分
な養分と酸素の吸収をそれぞれ継続的に行わせ、成長促
進を達成することができると共に、虫媒花、風媒花等の
受粉に依存する植物において受粉を自動的に行わせるこ
とができるのである。
【0020】本願第2発明の水耕栽培における成長促進
装置によれば、上記第1発明の方法を有効に実施するこ
とができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】水耕栽培装置の一部切欠側面図である。
【図2】(A)定植パネルの一部拡大平面図である。 (B)図2(A)のB−B線断面図である。
【図3】図1のIII−III線拡大断面図である。
【符号の説明】
P 植物 1 栽培槽 2 培養液 3 定植パネル 8 根 9 葉 18 造波ブロック

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 培養液の液面に植物を、その根の全部ま
    たは一部を上記培養液中に浸した状態で、浮かせ、 上記培養液面に波を発生させ、該波のうねりにより上記
    植物全体を揺らす、ことから構成される植物水耕栽培に
    おける成長促進方法。
  2. 【請求項2】 槽内に培養液を入れると共に、該培養液
    の液面に波を発生させる造波装置を装備し、 上記槽内の培養液面に浮力を有する定植パネルを上記波
    により揺動自在に浮かせ、 上記定植パネルに植物を、その根の全部または一部を該
    定植パネルの下の上記培養液中に浸すと共に、その葉を
    上記定植パネル上に出した状態に、支持させた、ことか
    ら構成される植物水耕栽培における成長促進装置。
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