JP2665341B2 - 液晶レンズ - Google Patents

液晶レンズ

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JP2665341B2
JP2665341B2 JP63004191A JP419188A JP2665341B2 JP 2665341 B2 JP2665341 B2 JP 2665341B2 JP 63004191 A JP63004191 A JP 63004191A JP 419188 A JP419188 A JP 419188A JP 2665341 B2 JP2665341 B2 JP 2665341B2
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    • G02F1/00Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
    • G02F1/29Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the position or the direction of light beams, i.e. deflection

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は液晶レンズ、詳しくは2焦点の液晶レンズに
関する。
[従来の技術] 2枚の透明基板を貼り合わせて形成されるレンズ状の
空間内に液晶を封入して光学的レンズとする技術手段
は、すでに特開昭52-32348号公報、特開昭54-99654号公
報、および特公昭58-50339号公報などに開示されてい
る。
この従来の液晶レンズを用いたレンズ(以下、液晶レ
ンズという)は、その一例を第7図および第8図に示す
ように構成されている。すなわち、この液晶レンズ20
は、透明基板を形成する球面凹レンズ21と平板ガラス22
にそれぞれ透明導電層23、24を設け、これらを絶縁層25
を介して貼り合わせたときに形成される空室内に液晶26
を封入して構成されている。上記透明導電層23と24間に
は、交流電源27からの交流電圧が可変抵抗29を通じて調
整自在に印加されるようになっている。また、この交流
電圧を印加していないときにおいても、ある特定方向に
液晶分子が揃うように配向処理が施されており、図面中
では液晶分子はホモジニアス配向となっている。
この液晶レンズ20に電圧を印加すると、液晶レンズ20
中の液晶26の分子は電界方向に分子の長軸方向を揃える
ように回転する(液晶の誘電異方性が正の液晶であるP
型液晶の場合)。ここで、第9図に示すように偏光板か
らなる偏光素子28を組み合わせた液晶レンズ20は、電圧
を印加しないときに異常光に対する屈折力を示し、電圧
を十分かけた後には常光に対する屈折力を示すような、
いわゆる、屈折力可変レンズとして動作するようにな
る。なお、第8、9図中の符号nは液晶ディレクターの
方向を示す。
また、このような従来の屈折力可変の液晶レンズは、
第8図に示すように、液晶を挟む2枚の透明基板に施す
配向処理が少なくとも1枚の透明基板内においては一方
向とされていたので、その結果、印加電圧に応じ液晶レ
ンズの屈折力がレンズ全体に亘って一様に変化するよう
になっていた。
[発明が解決しようとする課題] ところが、上記従来の液晶レンズを屈折力可変の眼鏡
に応用すると、液晶レンズの屈折力が全視野に亘って変
化するので、次のような問題点がある。すなわち、近く
に焦点を合わせて近傍の物体を凝視している状態から遠
くの物体を見ようとするとき等には、液晶レンズの焦点
位置を遠方に合わせ直すために、ボリュームやスイッチ
などで液晶レンズに印加している電圧を調節する必要が
あるが、この調節操作は人間の動作として即座に対応す
ることは困難であり、このような人間の応答性の悪い動
作がからむため、液晶レンズの屈折力を瞬時に調節する
ことができず、焦点合わせのために非常に時間がかかっ
てしまうことになる。この点では、多焦点レンズや累進
焦点レンズを使用した眼鏡において、人間が頭を僅かに
傾けて所望の屈折力を持った部分に視線を移動しさえす
れば、ごく短時間で焦点を合わせられるのと対称的であ
り、液晶レンズを屈折力可変のレンズとして眼鏡に使用
したときのデメリットとして改善が望まれている。
そこで、特開昭61-156227号公報においては、液晶レ
ンズの屈折力可変という特徴を生かしながら、通常の多
焦点レンズと同様の使い易さを実現するレンズとして、
複数のフレネルレンズ面を有する液晶レンズを用いた眼
鏡が提案されている。この液晶眼鏡を用いれば、基本構
成が多焦点レンズであるため上記のデメリットは解決さ
れるが、複数のフレネルレンズ面を有するレンズは製造
上非常にコスト高となってしまうという別の問題点があ
る。
また、液晶を使用した多焦点レンズとしては、第10〜
12図に示すような光学ガラスレンズの一部分のみを液晶
レンズにした複合レンズも考えられる。
すなわち、第10図(A)は、下方に凹部32aを有する
球面凹レンズ32と、透明な光学ガラス片33で覆った上記
凹部32a内に液晶を封入して凹レンズ32aの一部分のみを
液晶レンズ31とした2焦点レンズであり、また第10図
(B)では、第10図(A)とは逆に、透明な光学ガラス
片35側に凹部35aを設け、このガラス片35と球面凹レン
ズ36の一部とで形成される上記凹部35a内の空間に液晶
を封入して構成した液晶レンズ34と上記凹レンズ36とで
2焦点レンズを構成している。
また、第11図に示す2焦点レンズは上記第10図(B)
の液晶レンズ34を、球面凹レンズ39の下方に穿設した凹
部37内に埋設したものである。さらに第12図に示すもの
は、球面凹レンズ40と、同凹レンズ40とほぼ同一形状で
下方に凹部42aを有する球面凹レンズ42とを貼り合わ
せ、上記凹部42a内に液晶を封入して液晶レンズ41を形
成したものであって、この液晶レンズ41と上記凹レンズ
40、42とで2焦点レンズを構成している。
しかし、このように光学ガラスレンズの一部分を液晶
レンズとした2焦点レンズにおいては、第10図(A)、
(B)に示すレンズでは基板を貼り合わせる箇所におけ
る像のジャンプが問題となり、第11図のレンズでは製作
が難しくコスト高となってしまう。更にこれらのレンズ
では、電極の取出し部分の信頼性が低く、また外観が見
苦しくなるという別の問題点も生じる。さらに第12図に
示すレンズでは、液晶の封止が難しく球面凹レンズ40と
42との貼り合わせ箇所43に液晶が滲出し、光学特性を悪
くするという問題点があった。
本発明は、上記従来の問題点を解消するためになされ
たものであり、容易に形成できる2焦点液晶レンズを提
供すること、さらに、いずれか一方の屈折力を可変可能
な2焦点液晶レンズを提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 上記目的を達成するために、請求項1記載の液晶レン
ズは、少なくとも一方の対向する面が配向処理された2
枚の透明基板により形成されるレンズ状の空間内に液晶
を満たし、これに偏光板を組み合わせてなる液晶レンズ
において、前記配向処理された透明基板は、それぞれの
領域内では配向方向が一定であり、互いに90°異なる方
向に配向処理された2つの領域を有し、一方の領域は前
記偏光板による偏光方向と同じ方向に配向処理されてお
り、他方の領域は前記偏光板による偏光方向と直交する
方向に配向処理されていることを特徴としている。
さらに、請求項2記載の液晶レンズは、前記2枚の透
明基板にそれぞれ透明電極を設け、前記液晶へ電圧を印
加可能にしたことを特徴としている。
[作用] 請求項1記載の液晶レンズでは、透明基板の配向処理
を単一の方向とせず、前記偏光板による偏光方向と同じ
方向と、偏光板による偏光方向と直交する方向との2方
向に配向処理された2つの領域を有しており、2焦点レ
ンズを構成している。
さらに、請求項2記載の液晶レンズでは、内部に透明
電極を設け液晶への電圧印加を可能としたもで、電圧を
印加しないときは2焦点をもつレンズ、電圧を印加して
2つの領域の配向方向を単一方向としたときは、単一の
焦点を有するレンズとなる。
[実施例] 以下、図面を参照して本発明を具体的に説明する。な
お、以下の実施例において前記第7〜9図中に示した従
来例における構成部材と全く同一の構成部材いついて
は、同一符号を付してその説明を省略する。
第1図(A)、(B)は、本発明に係る液晶レンズの
一実施例の概略構成を示す図で、液晶分子2の配向方向
を理解しやすくするために、液晶レンズセル1内のレン
ズ状の空間に封入された液晶分子2の状態が、液晶レン
ズセル1の基板表面に投影して描かれている。そして、
このようなホモジニアス配向された液晶分子2の分子配
列が得られるように、本発明では透明基板21、22の液晶
に接する側が液晶レンズセル1の中心を境にして上半分
と下半分とが互いに90°異なる方向に処理されている。
このため、偏光板3を通過した光に対して液晶レンズセ
ル1は上半分と下半分とでは異なった屈折力を有するこ
とになり、それぞれの焦点位置は上半分の液晶レンズに
対してFPH、下半分の液晶レンズに対しFPLとなる。(こ
こでFPHとFPLの前後関係は貼り合わせる基板の曲率など
により反転することもあり得る。) この場合、封入されている液晶の複屈折を表す屈折率
楕円体が、図中で表す楕円形の液晶分子と同じ方向で定
義されるような液晶であれば、第1図(A)に示す液晶
レンズセル1の上半分は常光に対する屈折力を示し、下
半分は異常光に対する屈折力を示すようになって、所
謂、2焦点レンズとすることができる。このレンズで
は、曲率が単一であって作製の容易な基板を用いて2焦
点レンズを構成していることから、面内に複数の曲率を
持つ部分を作らなければならない従来の多焦点レンズと
比べ、非常に容易に2焦点レンズを作製することができ
る。
配向方向が互いに90°異なる2つの領域を1枚の透明
基板21あるいは22上に形成するには、周知の真空斜め蒸
着やラビング等の配向方法が適用される。これら蒸着ラ
ビング等のいずれの方法においても配向方向の異なった
領域を形成するには、マスキングを行ない、配向処理を
数回に分けて行うのが好ましい。例えば第1図のような
配向方法を得るためには、まず透明基板21、22の上の部
分をマスクフィルムやマスク板で覆い、液晶ディレクタ
ーが上下の方向となるように配向処理し、続いて下の部
分をマスクし、前工程でマスクしていた上の部分を液晶
ディレクターが左右の方向となるように配向処理すれば
良い。
この結果、第4図に示すように2枚の基板21、22は、
矢印で示されるように上半分が左右方向に、下半分が上
下方向にそれぞれ配向処理され、最後に両透明基板21、
22を貼り合わせて形成されるレンズ状の空間内に液晶2
を封入すれば本発明の液晶レンズを得ることができる。
ただし、配向処理時のマスキングに関しては必然の工程
ではなく、例えば透明基板全体を上下方向にラビングに
より配向処理した後、上半分にみラビング装置の端部を
用いて左右方向に配向処理すれば、上述のマスキングを
行ったときと同様に第4図のような配向処理が施せる。
このように構成した本実施例に係る2焦点液晶レンズ
では、従来の2焦点レンズの使い易さが実現され、しか
も従来の2焦点レンズが屈折力の異なるレンズ片をレン
ズ母体に埋め込んで作製していたのに比べ、配向処理方
向を90°変えるといった非常に簡単な方法で同等のレン
ズを作製することができるというメリットがある。ま
た、第10〜12図の液晶レンズと比べても非常にシンプル
な形状とすることができる。
ところで、屈折力の選択は従来の液晶レンズと同様に
行われ、レンズの異なる屈折力の差をΔD、液晶の常光
・異常光に対する屈折力をnoおよびne、そしてΔn=ne
−noとし、例えば第1図(B)のように液晶層が平凸レ
ンズを形成し、その曲率半径がrであるとすると、 ΔD=Δn・(1/r) の式が成り立つので、Δnまたはrを適当に選ぶことに
より2焦点レンズとしての各屈折力値が選択される。
第2図は本発明に係る液晶レンズの他の実施例の概略
構成図である。この液晶レンズは、前述の実施例の2焦
点液晶レンズに一部分の屈折力の電圧による調整を可能
とする機能を付加して、より使い易さを向上させた液晶
レンズである。第2図において、液晶レンズセル11にお
ける2枚の透明基板の液晶分子12に接する側には透明導
電層が設けられており、交流電源27により液晶分子12に
電圧が印加されるようになっている。第2図には、この
交流電源27から液晶分子12に電圧を印加したとき、液晶
分子12が回転し、その軸方向を電解の方向に揃えたとき
の様子が第1図同様、基板表面に投影する形で描かれて
いる。
交流電源27より電圧を印加しないときの液晶分子の状
態は、第1図の液晶レンズセル1と同様にセル11の中心
を境にして90°異なる方向にホモジニアス配向されてい
る。従って、第1図(A)と第2図の比較から明らかな
ように、本実施例レンズには、印加電圧とともにレンズ
屈折力の変化する領域と印加電圧に依存せず一定の屈折
力を保つ領域との2つの領域があり、本実施例はいわば
部分的に屈折力可変な2焦点液晶レンズであるというこ
とができる。
以下、この屈折力可変の原理について説明を加える。
第2図のような向きで偏光板3を組み合わせ、電圧を印
加しない初期の液晶の配向状態を第1図(A)に示すよ
うにした場合、封入されている液晶の複屈折を表す屈折
率楕円体が第1図および第2図中で表す楕円形の液晶分
子と同じ方向で定義されるような液晶であれば、第2図
の実施例のレンズの上半分は電圧を印加しないとき常に
常光に対する屈折力を示し、下半分は異常光に対する屈
折力を示すことになる。
一方、十分に電圧を印加した後には液晶分子は第2図
のような配列になり、レンズの上下いずれも常光に対す
る屈折力を示す。
この結果、レンズの上半分は常に常光に対する屈折力
を示し印加電圧に応じ変化することはないが、下半分は
印加する電圧に応じ液晶分子が回転するにつれ異常光に
対する屈折力から常光に対する屈折力まで屈折力を連続
的に変化させられるようになる。
ところで、液晶レンズは貼り合わせレンズであるので
貼り合わせ精度がレンズとしての性能を左右することに
なるが、液晶自身、秩序パラメータで表される程度の揺
らぎを常に持っており、液晶を挟む2枚の透明基板の貼
り合わせ精度もそれに応じた精度であれば十分である。
第4図を例にとれば透明基板21と22の貼り合わせ精度
は、光軸がズレないならば多少回転していても支障はな
い。ただ、偏光板3と透明基板21の貼り合わせ、または
組み合わせに当たっては、中に液晶のような揺らぎを持
った物質を介さないので、より高精度な貼り合わせある
いは組み合わせを行った方が液晶レンズの光学性能は良
くなり、具体的には二重像という現象が現れにくくな
る。
第3図は、上記第2図に示した実施例の液晶レンズを
眼鏡レンズ51に応用し、部分的に屈折力可変の液晶眼鏡
50としたものである。この眼鏡レンズ51には偏光板とし
て図示しない偏光フィルムが貼り合わされており、内部
の液晶分子のディレクターは、電圧を印加しない状態に
おいて第1図と同じ状態にある。
このように構成した液晶眼鏡の眼鏡レンズは、上半分
は常に一定の屈折力を示し、下半分は電源52より印加さ
れる電圧に応じて変化する。そして十分な電圧が印加さ
れた後は、それまで視野内に屈折力の異なる領域が存在
していたのが無くなり全視野に亘って屈折力が一定とな
る。
このような部分的に屈折力可変の液晶眼鏡は、水晶体
摘出手術を受けた患者の視力矯正用眼鏡あるいは老眼用
眼鏡として適している。これは、すなわち、人間が遠方
を見るときは周囲全体の状況を把握しようとしている場
合であり、近くを見るときはむしろ注目すべき点や物が
決まっているときであるから、眼鏡をかけた人は、遠方
を見るときレンズ中できるだけ広い視野に亘って像のジ
ャンプや歪みが無いことを望み、反対に近くを見るとき
には、やはりできるだけ広い視野に亘って像のジャンプ
や歪みが無いほうが好ましいが、注目すべき点や物が決
まっているから、多少視野が狭くても構わないからであ
る。
従来の多焦点レンズや累進焦点レンズでは、ある特定
の屈折力についてはレンズ視野全体の屈折力を1つにす
るといったことは実現不可能であり、遠くを見るときに
使う屈折力の小さい領域の面積を広く取り、人間の習性
に合わせるのがせいぜいであった。また、その意味で特
開昭61-156227号公報に開示された複数のフレネルレン
ズ面を持った液晶レンズはこれを満足し得るが、製造コ
ストが高い。
以上のことにより、配向方向を90°かえるだけで簡単
に人間の習性にあったレンズを作れる本発明の液晶レン
ズは水晶体摘出患者用の視力矯正用眼鏡あるいは老眼用
眼鏡などに応用するに適しているといえる。また、第10
〜12図に示した液晶レンズと比べても、本発明の液晶レ
ンズは貼り合わせ部分の像のジャンプや電極の取り出し
難さあるいは液晶のしみ出しなどの欠点が無く好まし
い。配向方向については、第3図は一例であってその他
の方向も種々考えられるが、特開昭62-129813号公報に
記載されているように基本的に眼鏡フレーム中心に対し
て鏡面対称となっていることが望ましい。
以上は眼鏡レンズへの応用を中心に説明したが、当然
他の光学機器への応用が可能であることは言うまでもな
い。また、第5図に示すように液晶レンズセル14を上下
方向に3分割して上下部分と中央部分とで互いに90°異
なる方向にホモジニアス配向したり、また、第6図に示
すようにレンズセル15を同心円上に2分割し、中央部と
外周部とをそれぞれ互いに90°異なる方向にホモジニア
ス配向し、これらと偏光板3とを組み合わせて構成され
る液晶レンズも作製可能である。従って、このように用
途に応じて適宜設計変更すれば良い。
次に、本発明によって製作された液晶レンズの具体例
と応用例について述べる。
(第1具体例) 凹タイプのフレネルレンズ21と透明アクリル材からな
る平板22の片面にそれぞれITO(インジウム・錫・オキ
サイド)透明導電層23、24を形成し、さらにその上にPV
A(ポリ・ビニル・アルコール)配向膜(図示せず)を
スピンコートして形成した後、ナイロン布により第4図
に示すように、透明基板21、22上の90°異なる方向にラ
ビング配向処理を行い、しかるのち2枚の透明基板21、
22を貼り合わせたときに形成される空間内にネマティッ
ク液晶を真空封入した。そして、偏光板3を貼り合わせ
本発明の液晶レンズの第1具体例レンズを作製した。
このようにして作製した上記第1具体例のレンズは、
上半分が+1.25Dptr、下半分が+8.75Dptrの屈折力を示
し、上記のように非常に簡単な方法にて2焦点レンズが
作製できた。
なお、第1具体例のレンズにおいて、電圧を液晶に印
加しないため本来ならばITO透明導電層は不要である
が、アクリルが疎水性なのでPVA水溶液がはじかれてし
まいコーティングしにくいことから設けた。
(第2具体例) 上記第1具体例のレンズとほぼ同様にして第2具体例
の液晶レンズを作製した。第1具体例のレンズと異なる
ところは、液晶に電圧がかけられるようにITO透明導電
層23、24に交流電源27と電圧調整用の可変抵抗29を設け
た点と、それに伴い2枚の透明基板21、22上のITO透明
導電層23、24がショートしないように、ITO透明導電層2
3、24とPVA配向膜(図示せず)との間にSiO2透明絶縁層
(図示せず)を設けた点である。
このようにして作製した第2具体例のレンズは、電圧
を0V〜10V(AC)の間で変化させたとき、下半分は+8.7
5〜+1.25Dptrで連続的に屈折力が変化したのに対し、
上半分は+1.25Dptrで一定であった。
(応用例) 次に、上記第2具体例のレンズ2枚を−1Dptrの補正
レンズと一緒に検眼用の眼鏡フレームに取り付け、実際
に液晶眼鏡として装着して使用してみたところ、近くを
見るときは従来の2焦点レンズを用いた眼鏡と同様に使
い易く、むしろ電圧に応じて屈折力調整ができる分だけ
従来以上の使い易さが実現できた。また、遠方を見ると
きには全視野に亘って屈折力が+0.25Dptrになるように
10V(AC)の電圧を印加して使用した。このときは従来
の2焦点レンズでの像のジャンプや累進焦点レンズでの
像の歪みがなく、従来にない使い易さが実現された。
[発明の効果] 以上述べたように本発明によれば、透明基板上に配向
方向が他とは90°異なる方向に配向処理するという簡便
な方法で、1枚の液晶レンズ中に2つの屈折力の異なる
領域を持たせるものであるから、眼鏡等に応用し得る低
価格の2焦点レンズを提供することができる。また、液
晶レンズに電圧を印加すれば、単一の焦点レンズとする
こともできる。さらに、液晶レンズに印加する電圧を変
えることにより、部分的に屈折力を可変する液晶レンズ
を非常に簡便に作製することができるため、眼鏡等に適
用した場合、従来の2焦点レンズや累進焦点レンズにな
かった使い易さが実現される。従って、水晶体摘出手術
を受けた患者の矯正眼鏡用レンズ、あるいは老眼鏡用レ
ンズとして最適のレンズを提供できるという顕著な効果
が発揮される。
【図面の簡単な説明】
第1図(A)、(B)は、本発明の一実施例を示す液晶
レンズの斜視図と縦断面図、 第2図は、本発明の他の実施例を示す液晶レンズの斜視
図、 第3図は、上記第2図に示す液晶レンズを使用した液晶
眼鏡の斜視図、 第4図は、本発明の液晶レンズの配向方向を説明する斜
視図、 第5、6図は、本発明の液晶レンズの他の配向処理をそ
れぞれ示す斜視図、 第7、8図は、従来の液晶レンズの一例を示す拡大断面
図と要部縦断面図、 第9図は、液晶レンズに偏光板を組み合わせた斜視図、 第10図(A)、(B)〜第12図は、従来の光学ガラスレ
ンズに液晶レンズを付加して形成した2焦点レンズをそ
れぞれ示した断面図である。 [符号の説明] 1、11、20……液晶レンズセル 2、12、26……液晶分子 3、28……変更板 21……球面凹レンズ(透明基板) 22……平板ガラス(透明基板) 27……交流電源

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも一方の対向する面が配向処理さ
    れた2枚の透明基板により形成されるレンズ状の空間内
    に液晶を満たし、これに偏光板を組み合わせてなる液晶
    レンズにおいて、 前記配向処理された透明基板は、それぞれの領域内では
    配向方向が一定であり、互いに90°異なる方向に配向処
    理された2つの領域を有し、一方の領域は前記偏光板に
    よる偏光方向と同じ方向に配向処理されており、他方の
    領域は前記遮光板による偏光方向と直交する方向に配向
    処理されていることを特徴とする液晶レンズ。
  2. 【請求項2】前記2枚の透明基板にそれぞれ透明電極を
    設け、前記液晶へ電圧を印加可能にしたことを特徴とす
    る請求項1記載の液晶レンズ。
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JPH01179911A (ja) 1989-07-18

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