JP2664971B2 - 難燃性低発熱量ガスの燃焼装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は低発熱量ガスや軽質油を燃焼焼却処理する燃
焼装置に関する。

〔従来の技術〕

第12図は、従来の燃焼装置の一例を示す縦断面図であ
る。この燃焼装置では、燃料をバーナ燃焼する燃焼室の
出口に、多孔性固体（輻射多孔体）が配置されている。
そして、多孔性固体が燃焼火炎で赤熱され、輻射熱をバ
ーナの火炎側へ指向性をもって還流するので、発熱量の
低い燃料でも、充分な燃焼温度で完全に燃焼できる。し
たがって、排ガスは低い温度で流出する。

〔発明が解決しようとする課題〕

従来は燃焼ガスが流出する燃焼室出口側に、目の細か
い多孔性固体を配置していたため、燃焼状態が急激に変
化して失火したり、振動が生じたり、あるいは初期着火
の際に、多孔性固体に急激な圧力が加わったり、多孔性
固体が振動したりして、破損することがあった。

また、低カロリガスの流速を2m/sec程度の低流速で供
給しなければ、安定に自然しなかった。したがって、多
量の低カロリガスを供給する場合には、多孔性固体や燃
焼室の断面積を大きくする必要があった。ところが、多
孔性固体の大きさを200mm×200mm以上にすると、製品の
品質のばらつきが多くなり、また特にセラミック材等で
は破損しやすい。また、燃焼室の断面積が大きいと、燃
焼装置を付設する燃焼炉の断面積も大きくせざるをえな
くなり、コストが高くなる。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は、前記従来の課題を解決するために、一端が
燃焼炉の前壁に接続された外筒と、同外筒内に収めら
れ、多孔性固体製で、一端が閉塞して底部を形成すると
ともに、他端が開放されて上記燃焼炉の前壁から内方に
延びる多孔性固体の連接部の内端に連接された燃焼筒と
を具えたことを特徴とする難燃性低発熱量ガスの燃焼装
置、および一端が燃焼炉の前壁に接続された外筒と、同
外筒内に収められ、多孔性固体製で、一端が閉塞して底
部を形成するとともに、他端が開放されて上記燃焼炉の
前壁から内方に延びる多孔性固体の連接部の内端に連接
された燃焼筒と、上記燃焼筒の上記開放端に設けられた
保炎板とを具えたことを特徴とする難燃性低発熱量ガス
の燃焼装置を提案するものである。

〔作用〕

本発明においては、燃焼筒の底部と周囲側面及び開放
端が連接する多孔性固体の連接部から燃料を供給できる
ので、多量の燃料を低流速で供給できる。したがって、
低カロリの燃料でも、他の助燃材を使用しないで充分自
然できる。

また、保炎板を設けた場合は、燃焼状態が変化して
も、火炎が保炎板に保持されるので、安定な燃焼が継続
できる。

〔実施例〕

第１図は、本発明の第１実施例を示す縦断面図、第２
図は第１図のII−II矢視図である。これらの図におい
て、燃焼筒（２）は不燃性のセラミック材や鋼材等を使
用した多孔性固体でできた側壁部（３）、底部（４）お
よび連接部（５）から成る。外筒（１）は、内部に燃焼
筒（２）があり、燃焼炉（６）の前壁（７）に接続し、
燃焼筒（２）との間に流路（10）を形成する。外筒
（１）の材料は燃料（８）を透過しない鋼材や耐火材で
ある。燃焼筒（２）は一体形の多孔性固体で成る場合、
分割して気孔率の異なる多孔性固体で成る場合がある。

このような燃焼装置において、ガス燃料と空気との予
混合体、揮発性油燃料と空気との予混合体、または低発
熱量（1500kcal/Nm³以下）の工場プロセス廃ガス等の難
燃性の流体（８）は、外筒（１）に導びかれ、流体（8
a），（8b），（8c）に分岐する。このうち流体（8
a），（8b）は燃焼筒（２）内で多孔性固体（３），
（４）の輻射熱で燃焼し、流体（8c）は燃焼炉（６）内
で火炎（11）により燃焼する。

燃焼筒（２）を形成する多孔性固体（３），（４），
（５）の気孔率を異ならせて、流体（8a），（8b），
（8c）の流量配分を調節することができる。

流体（8a），（8b），（8c）は、流体10m/sec以下の
低流体で多孔性固体を通過するので、低発熱量であって
も、燃焼筒（２）内部は安定した自然温度に保たれ火炎
（11）ができる。すなわち、流体（８）が難燃性であっ
ても、上記のように３方向（8a），（8b），（8c）に分
けることにより、良好な燃焼が得られる。

燃焼は燃焼筒（２）の内部で生じ、その燃焼筒（２）
は多孔性固体であるから、燃焼筒（２）の外側の流路
（10）の外周辺部までは熱が伝わらない。したがって外
筒（１）は鋼材で充分である場合が多い。

第３図に第１図のIII−III線における温度分布を、第
４図に流体（8a），（8b），（8c）の流速と自然可能な
低発熱量との関係を、それぞれ一例として示す。

本実施例においては、燃焼炉（６）の断面積に制限が
あって大きくとれない場合でも、燃焼筒（２）の側壁部
（３）、底部（４）、更には連接部（５）から流体
（８）を供給できるので、流体（８）が多量であって
も、充分な低流速で燃焼筒（２）に供給可能となる。し
たがって、発熱量の低い難燃性流体をも自然できる。ま
た多孔性固体の気孔率を変えてやれば、各部分での流体
（8a），（8b），（8c）の流量を調節できるので、燃焼
筒（２）内での火炎が安定する。

多孔性固体は分割した方が製作しやすく、操業中の熱
応力によるひび破れの発生も少ない。

次に第５図は本発明の第２実施例を示す縦断図、第６
図は第５図のVI−VI斜視図である。この実施例では、燃
焼筒（22）は形状が円筒でなく四角筒である。そして分
割方式となっている。側壁部（23）は３連結して成り、
底部（24）は２分割されている。

第７図は本発明の第３実施例を示す縦断面図、第８図
は第７図のVIII−VIII矢視図である。本実施例では、燃
焼筒（32）の下流開口部に保炎板（41a）が付設されて
いる。この保炎板（41a）は不燃性の耐火材、セラミッ
ク材、多孔性固体、鋼板などで製作されており、第８図
に示されるように格子状である。

本実施例では、燃焼ガス（９）は保炎板（41a）の隙
間（42a）を通過し、火炎（11）は保炎板（41a）に保炎
するので、安定に燃焼を継続する。すなわち保炎板（41
a）は燃焼筒（32）の下流側に付設されるので燃焼火炎
の安定性が増す。多孔性固体（33），（34）も保炎の機
能をもっているが、保炎板（41a）を設けることによ
り、さらに火炎が安定する。また、開孔部（42a）があ
るため、燃焼状況の変化があっても、その時の圧力変動
で保炎板（41a）が破損することはない。

第９図は本発明の第４実施例における保炎板の正面図
である。本実施例の保炎板（41b）は、長円形の隙間（4
2b）が開けられている。

第10図は本発明の第５実施例における保炎板の正面
図、第11図は第10図のX1−X1矢視図である。本実施例の
保炎板（41c）には、スリット状の隙間（42c）が設けら
れている。

これら第４および第５の実施例においても、その作用
・効果は前記第３実施例と同様である。

〔発明の効果〕

本発明においては、多孔性固体で作られた燃焼筒の底
部や側面、及び開口端が連接する多孔性固体の連接部か
ら燃料を供給するので、多量の燃料を低流速で供給でき
る。したがって、発熱量の低い難燃性の燃料であって
も、LPGや重油等の助燃材を使用しないで、充分自燃で
きる。

また燃焼筒の各部の気孔率を異ならせることにより、
各部分の流体の流量を調節できるので、燃焼筒内の火炎
が安定する。

さらに保炎板を設けた場合は、燃焼状態が変化しても
火炎が保炎板に保持されるので、一層安定な燃焼が維持
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の第１実施例を示す縦断面図、第２図は
第１図のII−II矢視図、第３図は第１図のIII−III線に
おける温度分布を示す図、第４図は燃料流体の流速と自
然可能な低発熱量との関係を示す図である。第５図は本
発明の第２実施例を示す縦断面図、第６図は第５図のVI
−VI矢視図、第７図は本発明の第３実施例を示す縦断面
図、第８図は第７図のVIII−VIII矢視図である。第９図
は本発明の第４実施例における保炎板の正面図、第10図
は本発明の第５実施例における保炎板の正面図、第11図
は第10図のX1−X1矢視図である。第12図は、従来の燃焼
装置の一例を示す縦断面図である。 （１）……外筒，（２），（22），（32）……燃焼筒， （３），（23），（33）……側壁部，（４），（24），
（34）……底部， （５）……連接部，（６）……燃焼炉， （７）……燃焼炉前壁， （８），（8a），（8b），（8c）……燃料流体， （９）……燃焼ガス，（10）……流路， （11）……火炎， （41a），（41b），（41c）……保炎板， （42a），（42b），（42c）……開孔。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】一端が燃焼炉の前壁に接続された外筒と、
   同外筒内に収められ、多孔性固体製で、一端が閉塞して
   底部を形成するとともに、他端が開放されて上記燃焼炉
   の前壁から内方に延びる多孔性固体の連接部の内端に連
   接された燃焼筒とを具えたことを特徴とする難燃性低発
   熱量ガスの燃焼装置。
2. 【請求項２】一端が燃焼炉の前壁に接続された外筒と、
   同外筒内に収められ、多孔性固体製で、一端が閉塞して
   底部を形成するとともに、他端が開放されて上記燃焼炉
   の前壁から内方に延びる多孔性固体の連接部の内端に連
   接された燃焼筒と、上記燃焼筒の上記開放端に設けられ
   た保炎板とを具えたことを特徴とする難燃性低発熱量ガ
   スの燃焼装置。