JP2663859B2 - 溶接時の耐発塵性に優れる高純度ガス用ステンレス鋼 - Google Patents

溶接時の耐発塵性に優れる高純度ガス用ステンレス鋼

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JP2663859B2
JP2663859B2 JP3173394A JP3173394A JP2663859B2 JP 2663859 B2 JP2663859 B2 JP 2663859B2 JP 3173394 A JP3173394 A JP 3173394A JP 3173394 A JP3173394 A JP 3173394A JP 2663859 B2 JP2663859 B2 JP 2663859B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体製造プロセスな
どで使用される高純度ガス用ステンレス鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体および液晶製造分野においては近
年、高集積化が進み、超LSIと称されるディバイスの
製造では、1μm 以下の微細パターンの加工が必要とさ
れている。このような超LSI製造プロセスでは、微少
な塵や微量不純物ガスが配線パターンに付着、吸着され
回路不良の原因となるため、使用する反応ガスおよびキ
ャリアーガスは共に高純度であること、すなわちガス中
の微粒子および不純物ガスが少ないことが必要とされ
る。従って、この高純度ガス用配管および部材において
は、その内表面から放出される汚染物としての微粒子
(パーティクル)およびガスが極力少ないことが要求さ
れる。
【0003】半導体製造用ガスとしては、窒素、アルゴ
ン等の不活性ガス以外に、塩素、クロロシラン類といっ
た腐食性のガスも使用されるので、これらの腐食性ガス
に接する部材には当然、高い耐食性も必要となる。
【0004】従来、このような半導体製造用ガス配管お
よび部材は、塵や水分などの付着、吸着を低減するた
め、その内面粗さがRmax で1μm 以下となるまで平滑
化されている。このような内面平滑化の方法として、冷
間抽伸、機械研磨、化学研磨、電解研磨およびそれらの
組合せ等が挙げられるが、Rmax で1μm 以下の高平滑
材は主として電解研磨仕上げによって製造されている。
内面が平滑化された配管等にはその後、高純度水による
洗浄、高純度ガスによる乾燥が施されて製品となる。
【0005】配管系の施工では、溶接が強度と気密性の
点で優れることから一般に用いられている。この溶接施
工においても不純物汚染や高温に加熱される部位の酸化
を極力回避するために、高純度ガスに接する管内面側に
は、シールドガスとして高純度の不活性ガス、代表的に
はArガスを通じる対策が採られている。また、配管敷設
後は、施工時に管内に残留するパーティクルを除去する
目的で、高純度ArまたはN2ガスによるパージが行われ
る。工場配管のような、長くかつ複雑な配管系では、こ
の敷設後のパージに数日から数週間を要する。最近、半
導体工場の建設コスト削減と早期稼働の要求が高まり、
パージ時間の短縮が要求されている。
【0006】上記以外の性能では、溶接性、メカニカル
シールを用いる継手の当たり面での耐摩耗性、継手など
の部品類を製造する際の機械加工における被削性が要求
される。
【0007】このような管および部材の材質としては、
通常オーステナイト系ステンレス鋼、中でもSUS 316
Lが主に使用されている。
【0008】特開昭63-161145 号公報には、クリーンル
ーム用鋼管として、Mn、Si、Al、O(酸素)などの含有
量を規制することにより非金属介在物を低減し、前述の
ような管内面からのパーティクル発生を低減しようとす
る規格鋼以外の高清浄度オーステナイトステンレス鋼が
開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】高純度ガス配管用ステ
ンレス鋼管の性能として不可欠な定常状態での耐発塵性
に対しては、管内面の平滑化、さらに特開昭63−161145
号公報に示されるような非金属介在物の低減によりその
効果が期待できる。しかしながら、管や部材を溶接施工
する際に溶接部から大量の発塵が起こる。低発塵性が重
要な性能である高純度ガス配管系にとって、このような
発塵は本質的な問題である。
【0010】この施工時の発塵に対しては、前記のよう
に施工後のパージにより残留パーティクルを除去してい
る。しかし、複雑な工場配管全体のパージは工場建設コ
スト削減と早期稼働の必要性からは大きな問題である。
この問題は、従来から行われているステンレス鋼の表面
平滑化や単なる鋼中の非金属介在物の低減では解決する
ことができない。
【0011】本発明の目的は、高純度ガス配管系に使用
されるステンレス鋼において、溶接施工時の耐発塵性と
ともに、耐食性、耐摩耗性、被削性および溶接性にも優
れたステンレス鋼を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は次の高純
度ガス用ステンレス鋼にある。
【0013】(1)重量%で、Ni:10〜40%及びCr:15〜3
0%を含有し、更にMo:0〜7%、Cu:0〜3%及び
W:0〜3%の1種以上を含み、残部はFe及び不可避的
不純物からなり、不純物中のCが0.03%以下、Siが0.50
%以下、Mnが0.20%以下、Al:0.01%以下、Pが0.02%
以下、Sが0.003 %以下及びOが0.01%以下で、かつ下
式で与えられるNi−bal.値が0以上2未満であることを
特徴とする溶接時の耐発塵性に優れる高純度ガス用ステ
ンレス鋼。
【0014】Ni-bal. = Ni eq. − 1.1%Cr eq.+8.2 ただし、 Ni eq. =%Ni+%Cu+ 0.5%Mn+30(%C+
%N) Cr eq. =%Cr+ 1.5%Si+%Mo+%W (2)上記(1) の成分に加えて更に、重量%で、N:0.01
〜0.30%を含有し、かつ下式で与えられるNi−bal.値が
0以上2未満であることを特徴とする溶接時の耐発塵性
に優れる高純度ガス用ステンレス鋼。
【0015】Ni-bal. = Ni eq. − 1.1%Cr eq.+8.2 ただし、 Ni eq. =%Ni+%Cu+ 0.5%Mn+30(%C+
%N) Cr eq. =%Cr+ 1.5%Si+%Mo+%W (3)上記(1) の成分に加えて更に、重量%で、N:0.01
〜0.30%およびB:0.001 〜0.02%を含み、かつ下式で
与えられるNi−bal.値が0以上2未満であることを特徴
とする溶接時の耐発塵性に優れる高純度ガス用ステンレ
ス鋼。
【0016】Ni-bal. = Ni eq. − 1.1%Cr eq.+8.2 ただし、 Ni eq. =%Ni+%Cu+ 0.5%Mn+30(%C+
%N) Cr eq. =%Cr+ 1.5%Si+%Mo+%W (4)加えて更に重量%で、Se:0.0005〜0.01%を含有す
る上記(1) から上記(3)までのいずれかに記載の溶接時
の耐発塵性に優れる高純度ガス用ステンレス鋼。
【0017】上記において、Mo、CuおよびWは、いずれ
も無添加でもよい。積極的に添加する場合には、これら
のうちから1種または2種以上を選んで含有させ、含有
量の下限はいずれも0.1 %とするのが望ましい。
【0018】本発明者は、溶接時の発塵挙動を明らかに
して前記課題を解決するため、SUS 316Lステンレス
鋼の内面電解研磨管に対して溶接施工を行い、その際発
生するパーティクルの個数および化学組成の分析を実施
した。その結果、発生するパーティクルの主成分はステ
ンレス鋼中の合金元素であるMnであることが明らかとな
った。この原因を図1に基づいて説明する。
【0019】図1は、ステンレス鋼中の主な合金元素に
ついて、蒸気圧と温度との関係を示す図(化学便覧、P.
702 〜705 、丸善、昭和50年、参照)である。図示する
ようにMnの蒸気圧は、SUS 316Lステンレス鋼の溶融
温度である1400〜1600℃の範囲で、他元素のそれよりも
圧倒的に高い。この図は、純金属の場合を示すものであ
るが、溶接時における溶融状態のステンレス鋼浴上部の
気相部の蒸気圧を考える場合、この傾向はステンレス鋼
にもそのまま適用できると考えてよい。そのため溶接
時、溶融金属からMnが優先的に蒸発し、シールドガス中
で冷却凝固してパーティクルとなるものと考えられる。
【0020】さらに、発塵量、すなわちパーティクルの
発生個数に及ぼすステンレス鋼の化学組成、特にパーテ
イクルのほとんどを占めるMnの含有量の影響を調査した
結果、Mn含有量が0.20重量%以下であれば、溶接時の発
塵量が顕著に低減すること、さらに、溶接性または被削
性と化学組成との関係を調査した結果、溶接性にはSe
の、被削性にはN、Bの各含有量が影響を与えること、
を見いだした。
【0021】
【作用】本発明のステンレス鋼の化学組成とNi-bal. に
ついて、前記のように限定した理由を述べる。%は重量
%を意味する。
【0022】Ni、Cr:Niは10〜40%、Crは15〜30% Ni、Crは、オーステナイトステンレス鋼の耐食性および
組織調整に重要な元素である。安定なオーステナイト組
織を維持し、耐食性を維持させるために、Ni含有量の範
囲は10〜40%、Cr含有量の範囲は15〜30%とした。
【0023】Ni含有量が10%未満では安定なオーステナ
イト組織が得られず、一方、40%を超えるとこの効果が
飽和するとともに、高価となり経済的でなくなる。Cr含
有量が15%未満ではステンレス鋼としての最低限の耐食
性が得られず、一方、30%を超えると金属間化合物が析
出しやすくなり、熱間加工性および機械的性質が低下す
る。
【0024】Mo、Cu、W:Moは0〜7%、Cuは0〜3
%、Wは0〜3% 本発明鋼では溶接時の発塵量の低減を主眼としている
が、前記のように耐食性も重要な性能である。このため
に、耐食性向上効果を有するこれらの元素を熱間加工
性、溶接性など他の性能を劣化させない範囲で添加して
もよい。
【0025】積極的に添加する場合には、これらのうち
から1種または2種以上を選んで含有させる。その際、
上記効果を得るには、含有量の下限はいずれも0.1 %と
するのが望ましい。しかし、Moは7%を、Cuは3%を、
Wは3%をそれぞれ超えると、耐食性向上の効果が飽和
してしまう。
【0026】C:0.03%以下 Cは、溶接部においてCr炭化物を析出させ、耐食性を低
下させるため、C含有量は低減することが必要である。
本発明鋼の強い腐食性ガスに対する用途も考慮して0.03
%以下とした。望ましいのは0.02%以下である。
【0027】Si:0.50%以下 Siは、鋼を脱酸し清浄化させる作用を有するが、同時に
酸化物系介在物を生成する。Si含有量が0.50%を超える
と介在物が粗大化し、定常使用状態での耐発塵性を低下
させるため、低減することが必要である。よって、Si含
有量は0.50%以下とした。望ましいのは0.1 %以下であ
る。
【0028】Mn:0.20%以下 Mnは、溶接時の耐発塵性に対して最も有害な元素であ
る。Mn含有量が0.20%を超えると、溶接時の発塵量が顕
著に増加する。望ましいのは0.1 %以下である。
【0029】Al:0.01%以下 AlもSiと同様に鋼を脱酸し清浄化させる作用を有する
が、同時に酸化物系介在物を生成する。Al含有量が0.01
%を超えると介在物を粗大化させ、また、Alは他の合金
元素と比較して極めて酸化しやすいため、溶接時に溶融
金属表面で管内雰囲気中の微量酸素と反応してAl酸化物
を生成し、いずれも発塵の原因となる。従って、Al含有
量は低減する必要がある。よって、Al含有量は0.01%以
下とした。
【0030】P:0.02%以下 Pは、熱間加工性に対して有害であるため、P含有量は
低減する必要がある。
【0031】しかし、極低P化は溶製上困難であり、ま
たステンレス鋼の極低P化に必要な低Pの原材料は高価
であるため、過度の低P化は経済的ではない。このた
め、P含有量は性能上、悪影響のない程度とするのが望
ましく、0.02%以下とした。
【0032】S:0.003 %以下 Sは極微量でも硫化物系介在物を生成し、耐食性に極め
て有害であるため、S含有量は低減する必要がある。耐
食性や経済性を損なわない範囲として、S含有量は0.00
3 %以下とした。望ましいのは0.002 %以下である。
【0033】O(酸素):0.01%以下 Oは、鋼中で酸化物系介在物を形成する元素であり、極
力少なくする必要がある。酸化物系介在物は、溶接時の
溶融部で、凝集、粗大化して、発塵の原因となる。耐発
塵性に悪影響を及ぼさない範囲として、0.01%以下とし
た。
【0034】本発明のステンレス鋼では、さらに必要に
応じて次のN単独またはNとBを複合で含有させること
ができる。
【0035】N:0.01〜0.30% Nは、鋼中に不可避的に含まれてくる元素であり、本発
明鋼の一つでは特にその含有量は考慮しなくてもよい。
しかし、Nは、オーステナイトステンレス鋼では、強
度、硬度および耐食性の向上効果を有する合金元素とし
て作用する。
【0036】本発明のステンレス鋼の一つでは、強化作
用を有する元素であるC、Si、Mn、P、SおよびOを前
記のように低減しているため、一般のステンレス鋼に比
べて硬度が低下する。硬度低下は、高純度ガス用ステン
レス鋼管では特に問題ではないが、各種のバルブなどの
ようなガスシール面に摺動部が存在する配管部品では、
摺動部の耐摩耗性向上の観点から硬度を上昇させる必要
がある。このような用途ではN添加による高硬度化が有
効である。
【0037】N含有量が0.01%未満では、上記の硬度上
昇効果が得られない。一方、0.30%を超えると窒化物と
して析出し、耐食性を低下させる。よって、Nを含有さ
せる場合の含有量の範囲は0.01〜0.30%とした。望まし
いのは 0.1〜0.25%の範囲である。
【0038】B: 0.001〜0.02% Bは窒化物を形成する元素である。上記のNに加えてB
を複合添加することにより、硬度と同時に被削性が改善
される。これは、微細な窒化物BNを析出し、切削屑の
破砕性を向上させるためである。この効果は、N含有量
が上記の範囲で、かつB含有量が0.001 %以上でなけれ
ば得られない。一方、B含有量が0.02%を超えると、窒
化物の析出が過剰となり、逆に耐食性を劣化させる。よ
って、B含有量の範囲は 0.001〜0.02%とした。望まし
いのは 0.005〜0.01%の範囲である。
【0039】本発明のステンレス鋼では、さらにSeを含
有させることができる。
【0040】Se:0.0005〜0.01% Seは、通常用いられるアーク溶接においてアークの安定
性を向上させ、溶融金属の形状変動を抑制する効果を有
するので、必要に応じて添加する。添加する場合には、
Se含有量が0.0005%未満では上記の効果が得られない。
一方、0.01%を超えると非金属介在物を生成し、耐食性
を劣化させる。よって、Se含有量の範囲は0.0005〜0.01
%とした。望ましいのは 0.001〜0.005 %の範囲であ
る。
【0041】Ni−bal.値:0以上2未満 Ni−bal.値が0未満になると、安定なオーステナイト組
織が得られず、フェライト相を含む組織しか得られない
ため、機械的性質、耐食性が劣化する。一方、2以上で
は熱間加工性が低下し、実験室での小規模な鋼塊の製造
の際には支障はないものの、商用レベルの大量製造で
は、鋼塊の鍛造、圧延時に割れが起こりやすい。よっ
て、本発明鋼の合金元素含有量から計算されるNi−bal.
値を、0以上2未満と定めた。
【0042】
【実施例】
(試験1)表1に示す化学組成を有する外径6.4 mm、肉
厚1mm、長さ4m のSUS 316Lシームレスステンレス
鋼管の内面を、電解研磨によってRmax が 0.7μm 以下
となるように平滑化した後、高純度水によって洗浄し、
120 ℃で99.999%Arガスを通して乾燥した。これらの鋼
管を同一鋼種毎に、開先加工せずに自動溶接機を用いて
表2に示す条件で、溶接部、すなわち裏波ビードが管内
面に出るように溶接した。この溶接中に、管内に流すシ
ールド用Arガスを溶接部の下流側でパーティクルカウン
ターに導入し、パーティクル発生数を測定する方法で発
塵量を評価した。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】さらに、上記シールド用Arガスを直接1mol
/1塩酸に通した後、塩酸中の金属濃度を分析して、パ
ーティクルの組成を求めた。パーティクル発生数と組成
分析結果および本発明例鋼による管の肉厚中央部(非溶
接影響部)の硬度を表3に示す。
【0046】
【表3】
【0047】表3からわかるように、本発明で定める化
学組成を有するステンレス鋼では、溶接時の発塵量が顕
著に減少している。この効果は、鋼中のMnおよびAl含有
量の低減によってもたらされるものである。また、本発
明例鋼中でNを含有させた鋼では、他と比べて17〜56%
の高硬度化が得られている。
【0048】(試験2)表4および表5に示す化学組成
を有するステンレス鋼を真空誘導加熱炉で溶製し、熱間
および冷間加工で鋼管と板に加工した後、1100℃、H2
ガス中で固溶化処理を施した。
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】得られた鋼管を電解研磨した後、耐食性と
耐摩耗性の評価試験を行った。さらに、電解研磨管を溶
接した後、内面から発生するパーティクル数の測定とそ
の組成分析、溶接性試験を行い、また得られた板を用い
て被削性の試験を行った。
【0052】電解研磨、溶接条件、パーティクル数の測
定とその組成分析の方法、用いた鋼管の寸法などの条件
は、試験1と同じである。
【0053】耐食性試験は、電解研磨管を半分に縦切断
し、内面に塩化第二鉄水溶液を含浸させた「ろ紙」を密
着させ、25℃に6時間保持した後、腐食発生の有無を観
察する方法とした。耐食性の評価は塩化第二鉄水溶液の
濃度を変化させて、孔食が発生する限界濃度で行った。
【0054】耐摩耗性は、電解研磨管の横断面のビッカ
ース硬度により評価した。
【0055】溶接性は試験1と同様の条件で電解研磨管
を円周溶接した後、溶接部を半分に縦切断し、管内面側
のビード幅を測定し、周方向での変動幅により評価し
た。
【0056】被削性は、厚さ9mmの板材を表6に示す条
件でドリル穿孔し、1本のドリルで穿孔可能な孔個数に
より評価した。以上の結果を表7および表8に示す。
【0057】
【表6】
【0058】
【表7】
【0059】
【表8】
【0060】表7および表8からわかるように、本発明
で定める化学組成を有するステンレス鋼では、溶接時の
発塵量が顕著に減少している。この効果は、鋼中のMn、
Al、SiおよびO含有量の低減によってもたらされるもの
である。本発明のステンレス鋼は、耐食性、耐摩耗性お
よび被削性にも優れていることが明らかである。
【0061】
【発明の効果】本発明鋼は、Mn、Al、SiおよびO含有量
を低減した、溶接時の耐発塵性、耐食性、耐摩耗性およ
び被削性に優れる高純度ガス用ステンレス鋼である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ステンレス鋼中の主な合金元素の蒸気圧と温度
との関係を示す図である。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、Ni:10〜40%及びCr:15〜30%
    を含有し、更にMo:0〜7%、Cu:0〜3%及びW:0
    〜3%の1種以上を含み、残部はFe及び不可避的不純物
    からなり、不純物中のCが0.03%以下、Siが0.50%以
    下、Mnが0.20%以下、Al:0.01%以下、Pが0.02%以
    下、Sが0.003 %以下及びOが0.01%以下で、かつ下式
    で与えられるNi−bal.値が0以上2未満であることを特
    徴とする溶接時の耐発塵性に優れる高純度ガス用ステン
    レス鋼。 Ni-bal. = Ni eq. − 1.1%Cr eq.+8.2 ただし、 Ni eq. =%Ni+%Cu+ 0.5%Mn+30(%C+
    %N) Cr eq. =%Cr+ 1.5%Si+%Mo+%W
  2. 【請求項2】重量%で、Ni:10〜40%、Cr:15〜30%及
    びN:0.01〜0.30%を含有し、更にMo:0〜7%、Cu:
    0〜3%及びW:0〜3%の1種以上を含み、残部はFe
    及び不可避的不純物からなり、不純物中のCが0.03%以
    下、Siが0.50%以下、Mnが0.20%以下、Al:0.01%以
    下、Pが0.02%以下、Sが0.003 %以下及びOが0.01%
    以下で、かつ下式で与えられるNi−bal.値が0以上2未
    満であることを特徴とする溶接時の耐発塵性に優れる高
    純度ガス用ステンレス鋼。 Ni-bal. = Ni eq. − 1.1%Cr eq.+8.2 ただし、 Ni eq. =%Ni+%Cu+ 0.5%Mn+30(%C+
    %N) Cr eq. =%Cr+ 1.5%Si+%Mo+%W
  3. 【請求項3】重量%で、Ni:10〜40%及びCr:15〜30
    %、N:0.01〜0.30%、B:0.001 〜0.02%を含有し、
    更にMo:0〜7%、Cu:0〜3%及びW:0〜3%の1
    種以上を含み、残部はFe及び不可避的不純物からなり、
    不純物中のCが0.03%以下、Siが0.50%以下、Mnが0.20
    %以下、Al:0.01%以下、Pが0.02%以下、Sが0.003
    %以下及びOが0.01%以下で、かつ下式で与えられるNi
    −bal.値が0以上2未満であることを特徴とする溶接時
    の耐発塵性に優れる高純度ガス用ステンレス鋼。 Ni-bal. = Ni eq. − 1.1%Cr eq.+8.2 ただし、 Ni eq. =%Ni+%Cu+ 0.5%Mn+30(%C+
    %N) Cr eq. =%Cr+ 1.5%Si+%Mo+%W
  4. 【請求項4】加えて更に重量%で、Se:0.0005〜0.01%
    を含有する請求項1から請求項3までのいずれかに記載
    の溶接時の耐発塵性に優れる高純度ガス用ステンレス
    鋼。
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