JP2663688B2 - 磁気ディスク装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、磁気ディスク装置に関し、特に浮動ヘッド
のロードアンロードに関するものである。

〔従来の技術〕 従来、磁気ディスク装置の起動・停止は、コンタクト
・スタート・ストップ（CSS）方式が用いられてきた。
これは、磁気ディスクと浮動ヘッドスライダが接触した
状態で磁気ディスク装置の起動・停止を行う方式で、磁
気ディスク装置が停止している状態で浮動ヘッドスライ
ダと磁気ディスクが吸着することを避けるために、磁気
ディスク面上に平滑度の低い領域を、内周側または外周
側に設ける必要がある。このため、記憶容量の減少、及
びCSSを行う際に摩擦・摩耗に係わる粉塵の発生は避け
られない問題となっている。

また、磁気ディスク装置の高記録密度化，高速アクセ
ス化，高転送レート化に伴い、浮動ヘッドスライダの低
浮上化が進められており、それに伴って、浮動ヘッドス
ライダの圧力発生面及び磁気ディスクの平滑度が上が
り、先に述べた粉塵によるヘッドクラッシュや磁気ディ
スクと浮動ヘッドスライダの吸着の確率が高まってい
る。

一方、小型の磁気ディスク装置ではラップトップコン
ピュータ等に搭載されるため、消費電力を抑えるため
に、一定時間入力がない場合磁気ディスク装置を止める
傾向にあり、CSS回数の増加により対CSS性がさらに求め
られてきている。また、対衝撃性も要求され、CSS方式
では強い衝撃が加わった場合、磁気ディスク，浮動ヘッ
ドスライダ，ヘッド等に損傷を与える危険性がある。

以上の問題を解決する一手段として、浮動ヘッドスラ
イダと磁気ディスクを接触させないで磁気ディスク装置
の起動・停止を行う浮動ヘッドスライダロードアンロー
ド装置を備えた磁気ディスク装置が開発されてきてい
る。第９図，第10図にその例を示す。

第９図は、ランプロード方式と呼ばれるもので、アン
ロードされている時は、空間上に固定されたランプ100
上に浮動ヘッドスライダ支持体３が支えられている。磁
気ディスク媒体１にロードする時は、ランプ100に沿っ
て浮動ヘッドスライダ支持体３を移動させ、アンロード
する時は、その逆のシーケンスを行うことによってロー
ドアンロードを実現している。

また、第10図はDCモータ111とスチールベルト112によ
って、スチールベルト112を固定したロードアンロード
アーム113を介して浮動ヘッドスライダ支持体支持アー
ム110を上下させることにより浮動ヘッドスライダ２の
ロードアンロードを実現している。

〔発明が解決しようとする課題〕

前記従来の浮動ヘッドスライダロードアンロード装置
を備えた磁気ディスク装置では、浮動ヘッドスライダを
ロードアンロードする場合、あらかじめ決められた速度
プロファイルに従って行われている。一方、磁気ディス
クには、ディスク回転に同期した軸方向の面振れ（アキ
シャルランナウト）と半径方向の振れ（ラジアルランナ
ウト）、及びディスク回転に同期しない振れ（ノンリピ
ータブルランナウト）が存在している。ここでディスク
回転に同期させないでロードアンロードを行う場合、ロ
ードアンロードが行われる場所は、磁気ディスク面のど
の位置になるかは一意的に決まらない。また、ディスク
回転に同期してロードアンロードする場合においても、
ロードアンロードが行われる場所は、磁気ディスク面の
ほぼ同じ位置であるが、その位置における磁気ディスク
形状は、磁気ディスクの個体差や、磁気ディスクの固定
方法によって異なる。このため、浮動ヘッドスライダを
ロードアンロードするスピード、磁気ディスクの位置及
びロードアンロード時の浮動ヘッドスライダの姿勢によ
っては、磁気ディスクと接触してしまうという問題点が
あった。

本発明の目的は、この問題点を解決し、ロードアンロ
ード時に浮動ヘッドスライダと磁気ディスクが接触せず
ヘッドクラッシュや磁気ディスクに損傷を与える可能性
の少ない信頼性のある、浮動ヘッドスライダロードアン
ロード装置を備えた磁気ディスク装置を提供することに
ある。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は、磁気ディスク媒体と、電磁変換器を備えた
浮動ヘッドスライダと、前記浮動ヘッドスライダを支え
る板バネからなるフレキシャと、前記フレキシャをその
一端に接合し、同時に前記浮動ヘッドスライダに適正な
荷重を加えるロードスプリングで構成される浮動ヘッド
スライダ支持体と、前記浮動ヘッドスライダ支持体を接
合し、前記浮動ヘッドスライダを移動させるポジショナ
アクチュエータと、磁気ディスク装置非動作時には、浮
動ヘッドスライダが磁気ディスク媒体表面から離反する
よう浮動ヘッドスライダ支持体を支持し、磁気ディスク
装置起動時には、浮動ヘッドスライダを磁気ディスク媒
体上にロードし、磁気ディスク装置停止時には浮動ヘッ
ドスライダを磁気ディスク媒体上からアンロードするよ
うに、浮動ヘッドスライダ支持体を上下に昇降させる浮
動ヘッドスライダロードアンロード機構を有する磁気デ
ィスク装置において、 浮動ヘッドスライダを磁気ディスク媒体上から所定の
距離に静止させるように浮動ヘッドスライダロードアン
ロード機構によって浮動ヘッドスライダ支持体を支えた
状態で、浮動ヘッドスライダの姿勢誤差範囲が規定値に
対してピッチ方向について最大±１、ロール方向につい
て最大±１度であり、 かつロード及びアンロード速度が、40mm/s以下である
ことを特徴とする。

〔実施例〕

本発明の実施例について図面を用いて説明する。

第１図は本発明に拘わる磁気ディスク装置の一実施例
を示す平面図である。本実施例では、スピンドルモータ
７に固定された磁気ディスク媒体１と、ポジショナアク
チュエータ６と、ポジショナアクチュエータ６に固定さ
れた浮動ヘッドスライダ支持体３と、浮動ヘッドスライ
ダ支持体３に支えられた浮動ヘッドスライダ２と、浮動
ヘッドスライダロードアンロード機構５を有している。
ここで、浮動ヘッドスライダ支持体３は、浮動ヘッドス
ライダ２の長手方向に対して垂直に取り付けられてお
り、このようなアッセー方法をクロスタイプと呼ぶ。

また、第１図に示した浮動ヘッドスライダロードアン
ロード機構５は、磁気ディスク装置非動作時には、浮動
ヘッドスライダ支持体３を支え、浮動ヘッドスライダ２
を磁気ディスク媒体１より離反させている。磁気ディス
ク装置起動時は、磁気ディスク媒体１が所定の回転数に
達してから、浮動ヘッドスライダ２を磁気ディスク媒体
２に所定の速度でロードする。また、磁気ディスク装置
停止時は、磁気ディスク媒体１が所定の回転数に達した
時に浮動ヘッドスライダ２を磁気ディスク媒体１から所
定の速度でアンロードする。

次に浮動ヘッドスライダ２を磁気ディスク媒体１上か
ら約300μｍ離し静止させた状態で、浮動ヘッドスライ
ダ２の姿勢を変化させた場合において、その状態から約
20mm/sのロードアンロード速度で浮動ヘッドスライダ２
をロードアンロードさせた場合の磁気ディスク媒体１と
浮動ヘッドスライダ２の接触の有無をAEセンサで測定し
た結果を示す。まずロードアンロード時の浮動ヘッドス
ライダの姿勢変化について示す。第２図（ａ）は、浮動
ヘッドスライダ２に、浮動ヘッドスライダ支持体３によ
る荷重が加わる直前、または荷重が抜ける直前の浮動ヘ
ッドスライダ２の姿勢を空気流出端より見た図、第２図
（ｂ）は、浮動ヘッドスライダ２を磁気ディスク媒体１
上から約300μｍ離して静止させた時の浮動ヘッドスラ
イダ２の姿勢を空気流出端より見た図であり、図に示し
た方向に磁気ディスク媒体面を基準としてロール角θｒ
をとる。なお、第２図（ａ），（ｂ）において、８はAE
センサを示している。

第３図（ａ），（ｂ）は、各々第２図（ａ），（ｂ）
の場合の浮動ヘッドスライダ２の姿勢を浮動ヘッドスラ
イダ２の側面から見た図であり、図で示した方向に磁気
ディスク媒体面を基準としてピッチ角θｐをとる。

第２図（ａ），（ｂ）、第３図（ａ），（ｂ）より、
クロスタイプでは、ロードアンロードにおいてロール角
θｒは変化するが、ピッチ角θｐはほとんど変化しない
ことがわかる。

以上のようにロール角，ピッチ角の方向を決め、AEセ
ンサ８による接触の有無の結果を第４図（ａ），（ｂ）
に示す。第４図（ａ）はロード時の結果、第４図（ｂ）
はアンロード時の結果であり、θr,θｐは浮動ヘッドス
ライダ２が磁気ディスク媒体１上から約300μｍ離れて
静止した状態での角度である。ここで、点線で囲まれ、
斜線の引かれた範囲においては、接触は検出されず、デ
ィスク損傷及びヘッドクラッシュの起こらないロードア
ンロードが行われていることがわかる。また、ロード開
始時の浮動ヘッドスライダ２の姿勢規定値としてθｒを
約−0.5度、θｐを約0.6度とすると、接触の起こらない
浮動ヘッドスライダの姿勢許容範囲は、姿勢規定値に対
してピッチ方向について最大±１度、ロール方向につい
て最大±１度であることがわかる。

また、このクロスタイプの場合、ロール角の姿勢規定
値は、浮動ヘッドスライダ支持体の長さ及び磁気ディス
ク媒体面と浮動ヘッドスライダ支持体の取り付け位置の
距離ｈ（第２図参照）によって変化するが、ピッチ角の
姿勢規定値は変化しない。

第５図は本発明に係る磁気ディスク装置の第２の実施
例を示す平面図である。この場合、フレキシャは、浮動
ヘッドスライダ11の長手方向に平行に取り付けられてお
り、このようなアッセー方法をインラインタイプと呼
ぶ。ロードアンロード機構13の動作及びロードアンロー
ド速度、ロード開始時における浮動ヘッドスライダ11と
磁気ディスク媒体10との距離は、前記の実施例と同じで
ある。ここで、浮動ヘッドスライダ11の姿勢を変化させ
た場合において、浮動ヘッドスライダ11をロードアンロ
ードさせた場合の磁気ディスク媒体10と浮動ヘッドスラ
イダ11の接触の有無をAEセンサで測定した結果を示す。
まず前記の実施例と同様にロードアンロード時の浮動ヘ
ッドスライダの姿勢変化について示す。

第６図（ａ）は、浮動ヘッドスライダ11に、浮動ヘッ
ドスライダ支持体12による荷重が加わる直前、または荷
重が抜ける直前の浮動ヘッドスライダ11の姿勢を空気流
出端より見た図、第６図（ｂ）は、浮動ヘッドスライダ
11を磁気ディスク媒体10上から約300μｍ離して静止さ
せた時の浮動ヘッドスライダ11の姿勢を空気流出端より
見た図であり、図に示した方向に磁気ディスク媒体面を
基準としてロール角θｒをとる。

第７図（ａ），（ｂ）は、各々第６図（ａ），（ｂ）
の場合の浮動ヘッドスライダ11の姿勢を浮動ヘッドスラ
イダ11の側面から見た図であり、図で示した方向に磁気
ディスク媒体面を基準としてピッチ角θｐをとる。なお
第７図（ａ），（ｂ）において、15はAEセンサを示して
いる。

第６図（ａ），（ｂ）、第７図（ａ），（ｂ）より、
インラインタイプでは、ロードアンロードにおいてピッ
チ角θｐは変化するが、ロール角θｒはほとんど変化し
ないことがわかる。

以上のようにロール角，ピッチ角の方向を決め、AEセ
ンサ15による接触の有無の結果を第８図（ａ），（ｂ）
に示す。第８図（ａ）はロード時の結果、第８図（ｂ）
はアンロード時の結果であり、θr,θｐは浮動ヘッドス
ライダ11が磁気ディスク媒体10上から約300μｍ離れて
静止した状態での角度である。ここで、点線で囲まれ、
斜線の引かれた範囲においては、接触は検出されず、デ
ィスク損傷及びヘッドクラッシュの起こらないロードア
ンロードが行われていることがわかる。また、ロード開
始時の浮動ヘッドスライダ11の姿勢規定値としてθｒを
約０度、θｐを約０度とすると、接触の起こらない浮動
ヘッドスライダの姿勢許容範囲は、姿勢規定値に対して
ピッチ方向について最大±１度、ロール方向について最
大±１度であることがわかる。また、このインラインタ
イプの場合、ピッチ角の姿勢規定値は、浮動ヘッドスラ
イダ支持体の長さ及び磁気ディスク媒体面と浮動ヘッド
スライダ支持体の取り付け位置の距離ｈ（第７図参照）
によって変化するが、ロール角の姿勢規定値は変化しな
い。

ロードアンロード速度に関しては、40mm/s以上では、
浮動ヘッドスライダの姿勢をどのようにしても接触が検
出される。

以上の測定結果により、浮動ヘッドスライダの姿勢及
びロードアンロード速度が前記記載の許容範囲にあれ
ば、ヘッドクラッシュ，磁気ディスク損傷の少ない信頼
性の高い浮動ヘッドスライダのロードアンロードが可能
となる。

以上本発明の実施例について詳細に述べたが、磁気デ
ィスク装置非動作時における浮動ヘッドスライダと磁気
ディスク媒体の距離の変更は可能であり、また浮動ヘッ
ドスライダの姿勢規定値は、先に記載したように浮動ヘ
ッドスライダ支持体の形状及び磁気ディスク媒体に対す
る取り付け高さｈによって変化するので、これらの変更
は、本発明の主旨を逸脱しない範囲で行ってもよく、以
上の記述が本発明の範囲を限定するものではない。

〔発明の効果〕

以上説明した様に、本発明によれば磁気ディスク装置
非動作時において、浮動ヘッドスライダの姿勢およびロ
ードアンロード速度を前記記載の許容範囲内に入れるこ
とによって、ロードアンロード時における浮動ヘッドス
ライダと磁気ディスク媒体との接触を防止し、ヘッドク
ラッシュ，磁気ディスク損傷の少ない信頼性の高い磁気
ディスク装置が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の第１の実施例に係わる磁気ディスク
装置の平面図、 第２図は（ａ）は、浮動ヘッドスライダに、浮動ヘッド
スライダ支持体による荷重が加わる直前、または荷重が
抜ける直前の浮動ヘッドスライダの姿勢を空気流出端よ
り見た図、 第２図（ｂ）は、浮動ヘッドスライダを磁気ディスク媒
体上から約300μｍ離して静止させた時の浮動ヘッドス
ライダの姿勢を空気流出端より見た図、 第３図（ａ）は、第２図（ａ）の場合の浮動ヘッドスラ
イダの姿勢を浮動ヘッドスライダの側面から見た図、 第３図（ｂ）は、第２図（ｂ）の場合の浮動ヘッドスラ
イダの姿勢を浮動ヘッドスライダの側面から見た図、 第４図（ａ）は、ロード時のAEセンサによる接触の有無
の領域を示す図、 第４図（ｂ）、アンロード時のAEセンサによる接触の有
無の領域を示す図、 第５図は、本発明の第２の実施例に係わる磁気ディスク
装置の平面図、 第６図は（ａ）は、浮動ヘッドスライダに、浮動ヘッド
スライダ支持体による荷重が加わる直前、または荷重が
抜ける直前の浮動ヘッドスライダの姿勢を空気流出端よ
り見た図、 第６図（ｂ）は、浮動ヘッドスライダを磁気ディスク媒
体上から約300μｍ離して静止させた時の浮動ヘッドス
ライダの姿勢を空気流出端より見た図、 第７図（ａ）は、第６図（ａ）の場合の浮動ヘッドスラ
イダの姿勢を浮動ヘッドスライダの側面から見た図、 第７図（ｂ）は、第６図（ｂ）の場合の浮動ヘッドスラ
イダの姿勢を浮動ヘッドスライダの側面から見た図、 第８図（ａ）は、ロード時のAEセンサによる接触の有無
の領域を示す図、 第８図（ｂ）は、アンロード時のAEセンサによる接触の
有無の領域を示す図、 第９図，第10図は、従来の浮動ヘッドスライダロードア
ンロード装置の図である。 １……磁気ディスク媒体 ２……浮動ヘッドスライダ ３……浮動ヘッドスライダ支持体 ５……浮動ヘッドスライダロードアンロード装置 ６……ポジショナアクチュエータ ７……スピンドルモータ ８……AEセンサ 10……磁気ディスク媒体 11……浮動ヘッドスライダ 12……浮動ヘッドスライダ支持体 13……浮動ヘッドスライダロードアンロード機構 14……ポジショナアクチュエータ 15……AEセンサ 100……ランプ 110……浮動ヘッドスライダ支持体支持アーム 111……DCモータ 112……スチールベルト 113……ロードアンロードアーム

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】磁気ディスク媒体と、電磁変換器を備えた
   浮動ヘッドスライダと、前記浮動ヘッドスライダを支え
   る板バネからなるフレキシャと、前記フレキシャをその
   一端に接合し、同時に前記浮動ヘッドスライダに適正な
   荷重を加えるロードスプリングで構成される浮動ヘッド
   スライダ支持体と、前記浮動ヘッドスライダ支持体を接
   合し、前記浮動ヘッドスライダを移動させるポジショナ
   アクチュエータと、磁気ディスク装置非動作時には、浮
   動ヘッドスライダが磁気ディスク媒体表面から離反する
   よう浮動ヘッドスライダ支持体を支持し、磁気ディスク
   装置起動時には、浮動ヘッドスライダを磁気ディスク媒
   体上にロードし、磁気ディスク装置停止時には浮動ヘッ
   ドスライダを磁気ディスク媒体上からアンロードするよ
   うに、浮動ヘッドスライダ支持体を上下に昇降させる浮
   動ヘッドスライダロードアンロード機構を有する磁気デ
   ィスク装置において、 浮動ヘッドスライダを磁気ディスク媒体上から所定の距
   離に静止させるように浮動ヘッドスライダロードアンロ
   ード機構によって浮動ヘッドスライダ支持体を支えた状
   態で、浮動ヘッドスライダの姿勢誤差範囲が規定値に対
   してピッチ方向について最大±１度、ロール方向につい
   て最大±１度であり、 かつロード及びアンロード速度が、40mm/s以下であるこ
   とを特徴とする磁気ディスク装置。