JP2663384B2 - 冷陰極真空管 - Google Patents

冷陰極真空管

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健夫 塚本
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正夫 菅田
勇 下田
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、冷陰極から放出された電子の流れを制御す
ることで、様々な動作(たとえば増幅動作等)を行うこ
とができる冷陰極真空管に関する。 [従来技術およびその問題点] 通常、真空管に用いられる陰極は熱陰極であり、真空
中で金属を高温に加熱することで金属表面から電子を放
出している。そのためにウオームアップ時間を必要と
し、それが真空管の欠点の一つとされている。 また、管内にカソード、グリッド、プレート等の電極
を配置するために小型化が困難であり、また熱を放出す
るために半導体素子との集積化ができないという問題点
を有している。 [問題点を解決するための手段] 本発明の目的は、上記従来の問題点を解決するととも
に、真空管の持つ高速性、高い入力インピーダンス特性
等の利点を併せ持つ冷陰極装置を提供することにある。 本発明による冷陰極真空管は、電子放出部を有する冷
陰極、陽極、前記冷陰極と前記陽極の間に配された電子
走行部、及び前記電子放出部より放出される電子流を入
力信号に応じて制御する制御電極を有する冷陰極真空管
であって、 前記制御電極は、前記冷陰極と前記陽極の間に前記電
子走行部に面して設けられると共に、前記冷陰極及び前
記陽極とはそれぞれ絶縁体を介して積層一体化されてい
て、前記制御電極へ前記入力信号を入力することによ
り、前記冷陰極と前記陽極との間に接続された出力取り
出し部から得られる出力信号を制御することを特徴とす
る。 [作用] 本発明の冷陰極真空管は、冷陰極を用いていることか
ら、半導体素子との集積化が可能となり、またウォーム
アップも必要としない。これに加えて、冷陰極、第1の
絶縁層、制御電極、第2の絶縁層、陽極を積層して構成
されているため、半導体プロセスを用いて容易に製造で
き、しかもコンパクト化が図れる。更に、電子の移動を
制御電極で制御するために、高速性及び高い入力インピ
ーダンスの要求に応える優れた真空管として機能する。 [実施例] 以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明す
る。 添付図面は、本発明による冷陰極真空管の一実施例を
示す模式的構成図である。 同図において、P型半導体基板1にP+層2、その上に
N+層3を薄く形成し、基板1の反対側に電極9を形成す
ることで、PN型の冷陰極を構成する。このような冷陰極
に逆バイアス電圧Vbを印加して高濃度にドープされたP+
層2とN+層3との間の空乏領域でなだれ降伏を生起さ
せ、加速された電子をN+層3表面から放出する。電子は
空乏領域中でP+層2からN+層3側へ加速されるために、
放出電子のエネルギ分布は尖鋭であり、放出効率も高
い。 冷陰極のN+層3上には、絶縁層4を介してグリッド電
極5が形成され、更に絶縁層6を介してコレクタ電極7
が設けられている。コレクタ電極7は電子走行部8を通
して冷陰極の電子放出面と対向している。このように、
グリッド電極5が絶縁層6と積層構成されているため
に、通常の半導体プロセスを使用して容易に製造でき、
また他の半導体素子との集積化も可能となる。 このような構成において、冷陰極のN+層3とコレクタ
電極7との間に電圧Vcを印加することで、冷陰極から放
出された電子を電子走行部8内で矢印方向に加速させ吸
引することができる。更に、このような電子流はグリッ
ド電極5の電位によって大きく影響されるために、真空
管の機能を達成することができる。 すなわち、図示されるように、冷陰極のN+層3とコレ
クタ電極7との間に負荷抵抗Rを介して電圧Vcを印加
し、グリッド電極5に微小信号を入力すると、グリッド
電極5の電位変化に従って電子走行部8の電子流が大き
く変化し、その変化がコレクタ電流の変化となって現わ
れる。したがって、負荷抵抗Rの両端から入力信号を増
幅した姿の出力信号を取り出すことができる。 なお、本実施例ではグリッド電極5が一層だけ設けら
れ、いわば三極管に相当するものを示したが、勿論これ
に限定されるものではなく、二層、三層又はそれ以上の
グリッド電極を積層形成して所望の特性および機能を達
成することができる。 また、本実施例では冷陰極としてPN接合なだれ降伏型
の電子放出素子を用いたが、これに限らず、PN接合に順
にバイアスをかけてP層に電子を注入する方式のもの、
薄い絶縁層を金属で挟んだ構造を有するもの(MIM
型)、その他に電界放出型や表面伝導型の素子等であっ
てもよいことは当然である。 また、電子走行部8は真空又はガス封入すると、低雑
音化および冷陰極の長寿命化の効果がある。 なお、本発明による冷陰極真空管とは、請求の範囲に
記載ものであり、いわゆる真空管と同様の機能を果たす
冷陰極装置を包含する概念を有するものである。 [発明の効果] 以上説明したように本発明によれば、冷陰極を用いて
いるために、半導体素子との集積化が可能であるばかり
でなく、ウォームアップも必要とせずに使用できるとい
う効果がある。 また、これに加えて、冷陰極、絶縁体、制御電極、絶
縁体、陽極を積層して構成しているために、半導体プロ
セスを用いて容易に製造することができ、しかもコンパ
クト化を図ることができる。更に電子の移動を制御電極
で制御するために、高速性及び高い入力インピーダンス
の要求にも応える優れた真空管として提供することがで
きる。 また、冷陰極と陽極間に出力取り出し部を備えている
ので、入力信号に対して大出力信号を得ることができる
ので、増幅作用ばかりでなく他の様々な応用が可能とな
る。
【図面の簡単な説明】 添付図面は、本発明による冷陰極真空管の一実施例を示
す模式的構成図である。 1……P型半導体基板 2……P+層 3……N+層 4,6……絶縁層 5……グリッド電極 7……コレクタ電極 8……電子走行部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 彰 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 菅田 正夫 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 下田 勇 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 奥貫 昌彦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭56−15529(JP,A) 特開 昭56−160740(JP,A) 特開 昭58−194384(JP,A) 米国特許3755704(US,A) 米国特許3789471(US,A)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.電子放出部を有する冷陰極、陽極、前記冷陰極と前
    記陽極の間に配された電子走行部、及び前記電子放出部
    より放出される電子流を入力信号に応じて制御する制御
    電極を有する冷陰極真空管であって、 前記制御電極は、前記冷陰極と前記陽極の間に前記電子
    走行部に面して設けられると共に、前記冷陰極及び前記
    陽極とはそれぞれ絶縁体を介して積層一体化されてい
    て、前記制御電極へ前記入力信号を入力することによ
    り、前記冷陰極と前記陽極との間に接続された出力取り
    出し部から得られる出力信号を制御することを特徴とす
    る冷陰極真空管。 2.前記出力信号は、前記入力信号に対して増幅された
    ものとなる請求項1に記載の冷陰極真空管。 3.前記冷陰極を構成する電極と前記陽極とは抵抗と電
    源とを介して接続されている請求項1に記載の冷陰極真
    空管。 4.前記冷陰極と前記陽極間に電圧を印加する電源を備
    えた請求項1に記載の冷陰極真空管。 5.前記冷陰極は、半導体材料を用いて構成されている
    請求項1に記載の冷陰極真空管。 6.前記冷陰極は、PN接合を有する請求項6に記載の冷
    陰極真空管。 7.前記冷陰極は、MIM構造を有する請求項1に記載の
    冷陰極真空管。 8.前記冷陰極は、電子放出素子を用いたものである請
    求項1に記載の冷陰極真空管。 9.前記電子放出素子は、電界放出型のものである請求
    項8に記載の冷陰極真空管。 10.前記電子放出素子は、表面伝導型のものである請
    求項8に記載の冷陰極真空管。 11.前記電子走行部内を真空とした請求項1に記載の
    冷陰極真空管。 12.前記電子走行部内にガスを封入した請求項1に記
    載の冷陰極真空管。 13.前記絶縁層を介して前記制御電極を二層以上設け
    たことを特徴とする請求項1に記載の冷陰極真空管。
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