JP2659049B2 - L‐セリン誘導体異性体の選択的製造法 - Google Patents

L‐セリン誘導体異性体の選択的製造法

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JP2659049B2 JP63200255A JP20025588A JP2659049B2 JP 2659049 B2 JP2659049 B2 JP 2659049B2 JP 63200255 A JP63200255 A JP 63200255A JP 20025588 A JP20025588 A JP 20025588A JP 2659049 B2 JP2659049 B2 JP 2659049B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明はグリシンをアルデヒドとアルドール縮合させ
てL−セリン誘導体を酵素的に製造する改良法に関す
る。本発明はさらに該セリン誘導体のL−エリスロ異性
体を選択的に得る合成法に関する。本発明はL−セリン
誘導体の製造法に関するが、またグリシンをフォルムア
ルデヒドとアルドール縮合させてL−セリンを製造する
のに有利に使用することができる。本明細書においては
「L−セリン誘導体」という言葉はL−セリン自身並び
に下記の式(I)に定義された種々の誘導体を意味す
る。
セリンヒドロキシメチルトランフエラーゼ(本発明の
目的に対しては「SHMT」とも言う)は真核細胞及び原核
細胞に広く分布し、種々の哺乳動物の肝臓、及び種々の
バクテリア、例えばエスケリキア・コリ(Escherichia
coli、大腸菌)及びクロストリディウム・シリンドロス
ポルム(Clostridium cylindrosporum)から分離され
る。この酵素を過剰に生産し純粋な酵素の製造を容易に
する遺伝子工学的につくられた微生物も文献に記載され
ている。例えばヌークレイック・アシド・リサーチ(Nu
cleic Acid Res.)誌1巻2065〜2075頁(1983)のプラ
マン(Plamann)等の論文、ジャーナル・オヴ・バクテ
リオロジー(J.Bacteriology)誌163巻1号1〜7頁(1
985)のシャーチ(Schirch)等の論文及びトレンズ・イ
ン・バイオテクノロジー(Trends in Biotechnology)
誌3巻1号64〜68頁(1985)のハミルトン(Hamilton)
等の論文参照。
種々の原料から得られたSHMTはL−エリスロ−β−フ
ェニルセリンを含むβ−フェニルセリンの可逆的開裂反
応に対し触媒として作用しベンズアルデヒド(または置
換ベンズアルデヒド)とグリシンとを与えることが報告
されている。バイオケミストリー(Biochemistry)誌16
巻24号5342〜5350頁及び5356〜5369頁のウレヴィッチ
(Ulevitch)等の論文、ジャーナル・オヴ・バクテリオ
ロジー誌16巻1号1〜7頁(1985)のシャーチの論文、
及びバイオケミストリー誌18巻5号821〜829頁(1979)
のチン(Ching)等の論文参照。
ナカゼワ(Nakazewa)等の米国特許第3,871,958号に
おいては、式 但しRは炭素数少なくとも2の有機基、のL−セリン
の製造法が記載されている。この場合エスケリキア(Es
cherichia)、チトロバクテル(Citorobacter)、クレ
ブシエラ(Klebsiella)、アエロバクテル(Aerobacte
r)、セラティオ(Serratio)、プロテウス(Proteu
s)、バシルス(Bacillus)、スタフィロコックス(Sta
phylococcus)、アルトロバクテル(Arthrobacter)、
バクテリウム(Bacterium)、キサントモナス(Xanhomo
nas)、カンディダ(Candida)、デバリオマイセス(De
baryomyces)、コリネバクテリウム(Corynebacteriu
m)、及びブレヴィバクテリウム(Brevibacterium)種
に属する微生物から得られる酵素を存在させ、pH5〜1
0、温度5〜60℃において溶液中でアルデヒドをグリシ
ンと反応させる。この反応の活性酵素はスレオニンアル
ドラーゼであることが示唆されている。収率を改善する
ためには、この反応系におけるグリシンの量はアルデヒ
ドと等モルであるかアルデヒドより過剰であり、反応系
のアルデヒドの量は反応混合物の0.1〜10重量%に制限
することが推奨されている。
1979年2月28日付けの特公昭54−3952号公報には、L
−β−フェニルセリンを製造するためのスレオニンアル
ドラーゼについての記載がある。
SHMTを用いると、グリシンはフォルムアルデヒドと縮
合してL−セリンを与えることができることは多くの研
究者によって示唆されている。トレンド・イン・バイオ
テクノロジー誌3巻1号64〜68頁(1985)のハミルトン
の論文、1983年11月18日付けの英国公告特許願第213021
6A号参照。
本出願人による同時出願の米国特許願第789,595号に
相当する1987年5月6日付けのヨーロッパ特許願0 220
923号には、ベンズアルデヒドとグリシンメチルエステ
ルを縮合させβ−フェニルセリンを得るためにpGS29プ
ラスミドで形質転換され遺伝子工学的につくられたエス
テリキア・コリから得られたSHMTを使用することが記載
されている。縮合反応中使用される反応条件は、pH6.5
〜9、温度10〜65℃、ベンズアルデヒド濃度10〜100ミ
リモル、グリシンエステル濃度10〜150ミリモルであ
る。β−フェニルセリンメチルエステル1.48g/の収率
においてこの反応では最高83%エリスロ異性体を含むβ
−フェニルセリンメチルエステルが得られるが、収率が
増加するにつれて、生成物中のスレオ異性体の量が増加
し、工業的生産速度では実質的な量のスレオ異性体が存
在するようになる。
このように、従来法においてグリシンとアルデヒドと
のアルドール縮合によりL−セリンをつくる触媒として
種々の酵素を使用することが認められているが、従来法
はいくつかの欠点をもっている。従来法において過剰の
グリシンを使用すると、残留グリシンを大量に含むL−
セリン誘導体が得られる。生成物中にグリシンが存在す
ると、原料コストが高くなるばかりでなく、L−セリン
誘導体からグリシンを分離するための厄介な分離工程が
必要になり、工程経済性にさらに悪影響を及ぼす。
さらに、従来法においては、生成するL−セリン誘導
体は平衡時におてはL−スレオ異性体を主として含む光
学異性体の混合物から成っている。或る目的にはこのよ
うな混合物が満足すべき結果をもたらすこともあるが、
L−フェニルセリンからアスパルテームを製造するよう
な他の目的には、このようなL−セリン誘導体のL−エ
リスロ異性体だけが必要である。後者の場合の最終用途
においては、L−スレオ異性体は反応しないか、または
望ましくない立体異性体で所望の立体異性体が汚染され
る結果となる。
本発明に従えば、(a)式 RCHO(II) 但し式中Rは水素または炭素数1〜25の有機基であ
る、 のアルデヒドを、L−セリン誘導体を含む水性相を生じ
るのに有効な量の酵素を含むpH約7.5〜約10の水溶液中
において、且つ該水性相を生じるのに有効な条件下にお
いてグリシンと反応させ、 (b)工程(a)のL−セリン誘導体含有水性相を、工
程(a)に使用したのと同じまたは相異る式RCHO(II)
のアルデヒド、または該アルデヒドと水と混合しない有
機溶媒との混合物で抽出し、 (c)工程(b)の有機相をpHが約7.0以下の水性相で
抽出してL−セリン誘導体を含む水溶液をつくることを
特徴とする式(I) 但し式中Rは水素または炭素数約1〜25の有機基であ
る、 のL−セリン誘導体の製造法が提供される。
工程(c)で生成されるL−セリン誘導体生成物の水
性相は残留グリシン及びアルデヒドの含有量が少なく、
そのまま使用することも、また処理して純粋なL−セリ
ン誘導体を回収することもできる。このように純度に関
する利点の他に、本発明方法ではL−セリン誘導体の収
率を増加させることができる。本発明の抽出工程によ
り、L−セリン誘導体の生成に有利になりL−セリン誘
導体の開裂が少なくなる方向に平衡が移動し、多量のL
−セリン誘導体生成物が得られる。
特に好適な具体化例においては、L−セリン誘導体の
L−エリスロ異性体の選択的合成に上記方法を利用す
る。この具体化例においては、Rが有機基であるアルデ
ヒドを使用する必要があるが、pHが約7.5〜10、温度が6
0℃より低く(好ましくは40℃より低く)、グリシン濃
度は約500g/以下、アルデヒド濃度は約90g/以下、
グリシン対アルデヒドのモル比は約4:1〜約100:1という
工程(a)の上記の臨界的反応パラメータを使用するこ
とにより、L−スレオ異性体の生成を抑制することがで
きる。得られたL−セリン誘導体含有相を次に上記工程
(b)及び(c)記載のように有機相及び酸性水性相で
抽出し、主としてL−エリスロ異性体を含む生成物水性
相をつくる。本発明の目的に対しては、「主としてL−
エリスロ異性体を含む」という言葉はモル基準で生成物
水性相に存在するL−セリン誘導体の50%より多くがL
−エリスロ異性体であることを意味する。本発明のこの
具体化例においては、モル基準でL−セリン誘導体生成
物の好ましくは少なくとも75%、さらに好ましくは少な
くとも90%がL−エリスロ異性体である。
本発明に従えば、本発明の上記好適な形を用いること
により、エリスロの純度94%に対応する最高16/1のエリ
スロ/スレオ比が工業的に望ましい生成速度で容易に得
られることが見出された。この結果は特に驚くべきこと
である。何故なら、前述のように従来の酵素触媒反応で
は工業的生産速度では主としてスレオ異性体を含む(ス
レオ:エリスロ比約3:1)のエリスロ及びスレオ異性体
の混合物が得られるからである。L−スレオ合成反応を
抑制するためにpHを使用する事実それ自体が驚くべきこ
とである。何故ならば、ウレヴィッチ等はバイオケミス
トリー誌16巻24号5342〜5350及び5356〜5369頁(1977)
の論文の中で、L−エリスロ及びL−スレオフェニルセ
リン異性体の可逆的開裂反応のpH依存性は両異性体に対
して同じてあると指摘しているからである。
本発明の他の具体化例、特徴及び利点は下記に述べる
本発明の詳細な説明及び添付図面から当業界の専門家に
は明らかであろう。
最も広い形において本発明の方法は、有効反応条件下
において酵素を存在下に式(II)のアルデヒドと上記グ
リシンを反応させて式(I)のL−セリン誘導体をつく
る工程(a);工程(a)で得られた混合生成物をアル
デヒド含有有機相で抽出する工程(b);及び工程
(b)の有機相を酸性水性相で抽出してL−セリン誘導
体生成物水性相をつくる工程(c)(また再抽出工程と
もいう)から成っている。驚くべきことには、この方法
によりこれらの化合物を製造する従来の酵素触媒反応に
比べ、高収率で且つグリシンの汚染が少ない状態でL−
セリン誘導体を得ることができるばかりでなく、本発明
方法によりこれらの化合物のL−エリスロ異性体を選択
的に得ることができる。
特定の理論または機構に捉われるつもりはないが、本
発明者によりpH範囲7.5〜10の反応条件において、L−
エリスロ異性体にに比して、L−スレオ異性体の合成を
抑制することができることが見出された。この結果は特
に驚くべきことである。何故なら前述のように、L−フ
ェニルセリンの可逆的開裂反応の研究によれば、L−エ
リスロ及びL−スレオ両異性体のpHの変化に対する応答
は同様であり、L−スレオ異性体を抑制するpH条件はま
たL−エリスロ異性体の生成を抑制することが示されて
いるからである。
しかし、式Iのセリン誘導体のL−エリスロ異性体を
選択的に製造する本発明の方法に関与する因子はpHだけ
ではない。温度並びにグリシン及びアルデヒドの濃度の
ような他の因子も結果に影響を与える。
本発明の抽出/再抽出工程を使用することも重要であ
る。この方法によればL−セリン誘導体生成物水性相中
に存在するクリシンの残留量が減少するばかりでなく、
反応混合物からのL−セリン誘導体の除去により、逆反
応(開裂反応)が熱力学的に不利になる方向に可逆的L
−セリン誘導体合成反応の平衡が移動する。その結果、
開裂による損失が減少するのでL−セリン誘導体の収率
が高くなる。さらに開裂反応が最低限度に抑制されるた
めに、L−エリスロ異性体がL−スレオ異性体と平衡に
達することが防がれ、平衡が不利であるにもかかわら
ず、主としてL−エリスロ異性体が高収率で得られる。
アルドール縮合反応 L−エリスロ及びL−スレロ異性体混合物をつくるか
またはL−エリスロ異性体を選択的に合成するかによっ
て、反応条件は大幅に変えることができる。アルドール
縮合反応は典型的には酵素、グリシン及びアルデヒドを
含む水溶液中でpH約7.5〜10(好ましくは8.0〜10.0)に
おいて、反応媒質及び/又は反応原料の凝固点ないし約
60℃の温度、例えば5〜60℃で行われる。反応中反応系
のpHを所望のpH範囲に保つために、緩衝剤、例えば燐酸
塩、トリス、ヘペス(Hepes)(N−2−ヒドロキシエ
チルピペラジン−N′−2−エタンスルフォン酸)、メ
ス(Mes)[2−(N−モルフォリノ)エタンスルフォ
ン酸]、または塩化アンモニウム−アンモニア系等を使
用することができる。反応は攪拌しながら行うことが好
ましい。
L−スレオ及びエリスロ異性体のジアステレオ異性体
混合物をつくるにせよ或いはL−エリスロ異性体を選択
的に合成するにせよ、反応媒質のpHは本発明方法の実施
を成功させるためには臨界的である。特定の理論または
作用機構に拘束される積りはないが、L−セリン誘導体
を有機相に選択的に抽出するためには、L−セリン誘導
体/アルデヒドのシッフ塩基が生成することが必要であ
ると思われる。L−セリン誘導体自身は(グリシンと同
様に)有機媒質に対する溶解度は僅かである。しかし本
発明に従えば、アルデヒドを含む有機抽出相を水性反応
媒質と接触させpHを7.5〜10の範囲に保つと、有機相に
可容で容易にその中に抽出できるアルデヒド/L−セリン
誘導体のシッフ塩基が生成することが見出された。これ
とは対照的に、グリシンはこのpH範囲ではシッフ塩基を
つくる傾向が少なく、またそのシッフ塩基は有機相に抽
出される傾向が遥かに少ない。
pHの調節は反応媒質に対し適当な有機または無機の酸
及び塩基を加えることにより行うことができる。適当な
酸または塩基を選ぶ場合の唯一の条件はそれがL−セリ
ン誘導体のシッフ塩基と不溶な塩をつくらないことであ
る。通常pHの調節には塩基を添加することが必要であ
る。経済性及び便利さのために塩基は典型的にはアルカ
リ金属の塩基性塩、例えばリチウム、ナトリウム及びカ
リウムの水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩等である。しかし
他の塩基、例えば水酸化アンモニウム、水酸化アルキル
置換アンモニウム等も便利に使用することができる。
あまり好ましくはないが、アルドール縮合反応は7.5
より低いpH範囲、例えば5.0〜7.5のpH範囲で行うことも
できる。しかしこのような場合には、水性反応媒質のpH
は有機抽出工程の前に7.5〜10のpH範囲に調節しなけれ
ばならない。好適具体化例においては、水性反応媒質を
連続的に有機相で抽出するから、反応媒質のpHを5.0〜
7.5に保つには、抽出工程後において再び5.0〜7.5のpH
範囲に戻すために再調節が必要であろう。従って7.5よ
り低いpHを使用するとこの工程に2回のpH調節工程を追
加することが必要となり、好適な方法とはいえない。し
かし必要に応じ使用することができる。
反応中のアルデヒド及びグリシンの使用濃度は最高で
各化合物の飽和点の範囲に亙ることができる(即ちグリ
シンで最高1000g/、アルデヒドで最高約90g/)。通
常グリシンはアルデヒドに対しモル的に過剰で使用され
る。典型的にはアルデヒドの濃度は約1〜約20g/であ
り、グリシンの濃度は約10〜約300g/である。好適具
体化例においてグルシンの濃度は約100〜200g/、例え
ば約150g/である。
L−エリスロ異性体を選択的に合成する場合には、溶
液のpH範囲を約7.5〜10、好ましくは約8.5〜10、最も好
ましくは約9〜9.5の範囲に保つことが臨界的である。
本発明のこの好適具体化例に使用される反応温度は40℃
より低い温度、例えば約5〜30℃、最も好ましくは約10
〜25℃に保たれる。L−エリスロ異性体を選択的に得る
ためには、アルデヒドの濃度を低くすることが必要であ
る。この具体化例においてアルデヒドの濃度は典型的に
は90g/より低く、好ましくは1〜10g/、最も好まし
くは約2〜5g/の範囲にある。グリシンはアルデヒド
に対して約4:1〜約100:1のモル的に過剰の割合で使用さ
れ、この割合は好ましくは約10:1〜約100:1であり、最
も好ましくはアルデヒド1モルに対しグリシン約15〜約
25モルの割合であり、約10〜約30g/の濃度で使用され
る。反応混合物が約100〜200g/、例えば約150g/の
濃度でグリシンを含むことが最も好ましい。
式(II)の有用なアルデヒドにはRが炭素数1〜25、
好ましくは1〜15、最も好ましくは1〜10のアルキル、
アルケニルまたはアルキニル、炭素数1〜25のアルカリ
ール、ヒドロキシ、ニトロ、アミノまたはハロゲン基で
置換されたアリールであるアルデヒド;複素環アルデヒ
ド及び種々の他のアルデヒド、例えばサリシルアルデヒ
ド、シンナムアルデヒド;フォルマルカルボン酸、例え
ばフォルミル酢酸;ケトアルデヒド、例えばグリオキサ
ール、メチルグリオキザール、フェニルグリオキサール
等;スクシンアルデヒド、アクリルアルデヒド、クロト
ンアルデヒド、プロピオンアルデヒド、トリクロロアセ
トアルデヒド;ヴァニリン、並びにp−メチルスルフォ
ニルアルデヒドが含まれる。種々の有用なアルデヒドの
特定の例は米国特許第3,871,958号に記載されている。
本発明に使用するのに特に好適なアルデヒドにはベンズ
アルデヒド、ヒドロキシ置換ベンズアルデヒド、例えば
3,4−及び2,4−ジヒドロベンズアルデヒド;及びアセト
アルデヒドが含まれる。
本発明に使用される酵素は、グリシンとアルデヒドと
の縮合反応に触媒となる任意公知の酵素であることがで
きる。このような酵素は一般にセリンヒドロキシメチル
トランスフエラーゼ(SHMT)として文献に記載されてい
るが、またスレオニアルドラーゼ、セリンヒドロキシメ
チラーゼ及びアロスレオニンアルドラーゼとも呼ばれて
いる。これらの酵素には起源によって小さな変異がある
が、この種のすべての酵素は同じような反応機構と活性
部位構造をもっているように考えられており、本発明に
有用であって本発明に包含される。従って命名を統一す
るために、グリシン−アルデヒド縮合反応の触媒となり
得るすべての酵素をセリンヒドロキシメチルトランスフ
エラーゼ(SHMT)と呼ぶことにする。従って本明細書に
おいては「セリンヒドロキシメチルトランスフエラー
ゼ」及び「SHMT」はグリシン及びアルデヒドの縮合によ
り式(I)のL−セリン誘導体を生じる反応の触媒とな
り得る種々の酵素のすべてを含むものとする。
上記のようにSHMTは容易に入手でき、当業界に公知の
方法により種々の哺乳類動物の肝臓抽出物から得ること
ができる。またこの酵素は米国特許第3,871,958号記載
の種々の微生物から得ることができる。
好適具体化例においては、エスケリキア・コリ(以下
大腸菌という)glyA遺伝子を含む高コピー数プラスミド
で形質転換した遺伝子工学的につくられた微生物を酵素
源として使用する。glyA遺伝子は3.3キロベースのSal I
−EcoR I断片中に含まれている。pGS29と表記される公
知のプラスミドは、glyA遺伝子をpBR322のテトラサイク
リン耐性をもつ遺伝子に挿入することによりつくられ
る。pGS29プラスミドで形質転換された大腸菌株は自然
株に比べ最高26倍の量のSHMTをつくる。このような大腸
菌株の製造に関するさらに詳細な記述は、ジャーナル・
オヴ・バクテリオロジー(J.Bacteriology)誌163巻1
号1〜7頁(1985)のシャーチ等の論文及びヌークレイ
ック・アシド・リサーチ誌11巻7号2065〜2075頁(198
3)のプラマン等の論文に記載されている。
遺伝子工学的につくられた栄養選択により安定化され
たクレブシエラ・アエロゲネス(Klebsiella aerogene
s)はトレンズ・イン・バイオケミストリー誌3巻1号6
4〜68頁のハミルトン等の論文に報告されている。この
株は、大腸菌glyA遺伝子をpBR322のテトラサイクリン耐
性の遺伝子に挿入することによりつくられる。pGX122の
記号をもつ得られたプラスミドを多重制限酵素部位をも
つプラスミド(pGX145)にクローニングし、プラスミド
pGX139をつくる。次にpGX139から得られたglyA遺伝子を
trpオペロン・プラスミドpGX110に挿入してプラスミドp
GX2236をつくり、これをトリプトファンシンテターゼ遺
伝子中に変異を含む株であるクレブシエラ・アエロゲネ
スGX1705に挿入することにより、trpオペロンで安定化
されたglyAプラスミドをつくる。この変異の結果、この
プラスミドを保持した細胞だけがトリプトファンを含ま
ない培地中で生育することができる。
SHMTを含む微生物を培養する技術は当業界の専門家に
は公知であり、例えば米国特許第3,871,953号に記載さ
れている。
酵素源は、そのままの完全細胞、磨り潰した細胞の水
性懸濁液の濾液、このような懸濁液の瀘液、このような
細胞の粗性抽出物、または純粋な酵素であることができ
る。肝臓及びバクテリアの細胞からSHMTを回収し精製す
る方法は当業界の専門家には公知であり、例えばバイオ
ケミストリー誌16巻24号5342〜5350頁(1977)のウレヴ
ィッチの論文、及びジャーナル・オヴ・バクテリオロジ
ー誌163巻1号1〜7頁(1985)のシャーチの論文に記
載されている。
反応中に存在させる酵素の量は広い範囲で変えること
ができる。典型的には、酵素は約100〜約4,000,000単位
/、好ましくは約1000〜約1,000,000単位/、最も
好ましくは約5,000〜500,000単位/の量で使用され
る。本明細書においてはSHMTの単位は、中性のpHにおい
て25℃でL−スレオフェニルセリンから毎分1マイクロ
モルのベンズアルデヒドを生成を触媒する酵素の量に等
しい。
グリシン及びアルデヒドを含む通常の栄養培地中で適
当なSHMT生成微生物源を培養することにより反応を行う
ことができる。しかし一般には、グリシン及びアルデヒ
ドを含む水溶液にSHMTを加えることにより反応を行う。
反応はグリシン及びアルデヒドを間欠的にまたは連続的
に加えることによりバッチ法または連続法で行うことが
できる。SHMTは活性を発現するためにピリドキサール−
5−フォスフェート(P−5−P)を必要とする。微生
物培地中で反応を行う場合には、微生物はSHMT活性を得
るのに必要なP−5−Pを生合成し得るから、P−5−
Pの添加は不必要であるが、他のすべての場合にはSHMT
活性を得るためにP−5−Pを反応混合物に加えなけれ
ばならない。典型的には、P−5−Pは酵素の存在量と
等しいかそれよりも少ないモル量で使用される。等モル
量より多い量でP−5−Pを使用することは、過剰のP
−5−Pを使用すると非酵素的な合成が行われ、ラセミ
体混合物が生成するから好適ではない。好ましくはP−
5−Pの使用量は等モル量以下で、SHMT酵素を活性化す
るのに十分な量である。酵素源として生の細胞を使用す
る場合には、P−5−Pの代りにピリドキシンまたはピ
リドキサールを使用することができる。これらの化合物
は微生物により生体内でP−5−Pに変化される。
L−セリンを本発明方法でつくる場合、バイオリアク
ター中で活性を増強するためにはテトラヒドロ葉酸(TH
F)または同様な葉酸誘導体が必要である。L−セリン
誘導体の合成全体を増強するためには、L−セリンの誘
導体をつくる際このような葉酸化合物を加えることが望
ましい。
必要に応じ当業界にに公知の種々の担体及び不動化技
術を使用し、SHMT酵素を固定化することができる。固定
化しない酵素を使用する場合、好適具体化例において
は、好ましくは有機相でL−セリン誘導体含有反応混合
物を抽出する前に、透析、限外濾過等の適当な分離法に
よってSHMT酵素を反応混合物から分離する。SHMTの触媒
作用によってL−エリスロ異性体が開裂してグリシンと
アルデヒドになり、これが再縮合して熱力学的に安定な
L−スレオ異性体になることによりL−スレオ異性体と
平衡に達することを防ぐためには、この方法は望まし
い。さらに酵素と有機相との接触は、酵素の安定性及び
相分離に悪影響を及ぼす。
抽出/再抽出工程 L−セリン誘導体反応混合物を抽出するのに用いられ
る有機相は、(i)縮合反応に用いられるのと同一また
は相異る式(II)のアルデヒド、または(ii)アルデヒ
ドと水と混合しない一種またはそれ以上の溶媒との混合
物から成ることができる。本明細書において「水と混合
しない溶媒」という言葉は水と二相系をつくる溶媒を意
味する。このような溶媒は当業界の専門家に公知であ
り、例えばカルボン酸のアルキルエステル、例えば酢酸
エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル及び酢酸イソブ
チル;低級ハロゲン化アルキル、例えばクロロフォルム
または二塩化エチレン;ケトン、例えばメチルイソブチ
ルケトン;芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン
またはそれらの混合物;高級アルコール、例えばt−ブ
タノール、シクロヘキサノール及びベンジルアルコー
ル;及び種の他の溶媒、例えば、イソプロピルエーテ
ル、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等が含
まれる。
有機相中にアルデヒドが存在することは本発明方法の
臨界的特徴であり、L−セリン誘導体を有機相中にうま
く抽出するために必須である。前記のようにアルデヒド
が存在しないとL−セリン誘導体は僅かしか有機相に溶
解しない。特定の理論または作用機構に拘束される積り
はないが、アルデヒドはL−セリン誘導体と反応して該
化合物のシッフ塩基をつくると考えられる。シッフ塩基
は有機媒質に選択的に溶解し、従って水性反応媒質から
有機相に容易に抽出される。
従って、本発明の実施を成功させるためには、水性反
応媒質中に存在するL−セリン誘導体をシッフ塩基に変
化させるのに少なくとも十分な量でアルデヒドが有機相
中に存在しなければならない。典型的には有機相は約5
〜100容量%、好ましくは約5〜50容量%、最も好まし
くは約10〜35容量%のアルデヒドを含んでいる。
有機相へ抽出の後で、L−セリン誘導体をpHが7.0よ
り、好ましくは6.0より、最も好ましくは5.0より低い水
性相と接触させ、L−セリン誘導体水性相をつくる。こ
の水性相のpHは本発明方法の操作を成功させるために臨
界的である。pHが7.0より低い場合、L−セリン誘導体
/アルデヒドのシッフ塩基は分解し、遊離のL−セリン
誘導体が選択的に水性相へと抽出される。
抽出/再抽出工程は反応器中でのL−セリン誘導体の
蓄積が防がれるように行われる。この目的は適当な頻度
で間欠的に抽出を行うことにより達成されるが、L−セ
リン誘導体は連続的な抽出/再抽出法によりそれが合成
されるにつれて連続的に反応媒質から除去することが好
ましい。L−エリスロ異性体を選択的に合成するために
は、L−エリスロ異性体の抽出速度はバイオリアクター
中におけるL−セリン誘導体全体の生成速度の半分より
大にしなければならない。最も好ましくはバイオリアク
ター中におけるL−セリン誘導体生成速度と同じかそれ
より大にする。当業界の専門家は、流速、流速の比、抽
出物質及び水性媒質の容積比、接触時間、装置の大きさ
等を適切にバランスさせることにより、このような抽出
速度を容易に得ることができよう。抽出及び再抽出工程
は並流式で行うことができるが、好ましくは向流式で行
われる。
第1図は、連続向流抽出/再抽出工程を行う本発明を
実施する好適方法の模式的流れ図である。バイオリアク
ター1中においてSHMT、グリシン、アルデヒド及びP−
5−Pを前記条件下において水溶液中で反応させてL−
セリン誘導体をつくる。水性反応混合物の一部をライン
2を通じて連続的に取り出し、抽出容器3中で有機相に
向流抽出を行う。固定化しない酵素を使用する場合、限
外濾過または透析装置を、例えば後で説明する第2図に
示すように、抽出容器3の前に挿入して酵素の分離を行
う。抽出容器3においてL−セリン誘導体はアルデヒド
/L−セリン誘導体のシッフ塩基をつくり、これを有機抽
出相に抽出する。L−セリン誘導体が除去されたグリシ
ン含量が高くなった水性反応混合物はライン4を通って
反応器1に戻される。
有機相は連続的に循環され、ライン5及び7を介して
再抽出器6を通り、ここで低pHの水性相と向流をなして
接触する。この水性相自身はライン8及び10を介して生
成物容器9から再循環される。前述のように、再抽出器
6においてアルデヒド/L−セリン誘導体のシッフ塩基は
分解し、その結果L−セリン誘導体は水溶液中に再抽出
される。L−セリン誘導体を含む水溶液は生成物容器9
に集められ、そのまま使用されるか、或いは公知方法、
例えば沈澱、クロマトグラフ法、イオン交換等の方法を
用いて処理され純粋なL−セリン誘導体が回収される。
本発明方法によってつくられるL−セリン誘導体はエ
ピネフリン、ノルエピネフリ、アスパルテーム及び種々
の他のジペプチド、クロラムフェニコール並びに種々の
医薬品を製造するための貴重な中間体である。
下記の実施例は本発明を実施する特定の例ではある
が、本発明の範囲を限定するものではない。
下記実施例の各々においてSHMT酵素源は通常の方法で
プラスミドpCS29を含むように形質転換させて遺伝子工
学的につくられた大腸菌株である。この株はGR64/pGS29
と称せられ、米国メリーランド州20852ロックヴィル(R
ockville)、パークローン・ドライヴ(Parklawn Driv
e)12301のアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクシ
ョン(American Type Culture Collection)にATCC寄託
番号67673として寄託され、その入手に関しては制限が
なく、本出願人であるダヴリュー・アール・グレース社
はATTCを通じ有償で永久に培養株を一般に提供すること
を保証する。
上記のように本発明方法はSHMT酵素源として生の細
胞、抽出物等を使用するが、下記実施例においてはSHTM
は上記のGR64/pGS29大腸菌株を培養しこれを精製して均
一にしたものを用いた。GR64/pGS29大腸菌株は下記の方
法で培養した。60.0gのトリプカーゼ大豆浸出液[米国
ミシガン州デトロイトのディフコ・ラポラトリーズ(Di
fco Laboratories)社製]、15.0gのK2HPO4、及び4滴
のP−2000シリコーリ発泡防止剤[米国ミシガン州ミッ
ドランズ(Midlands)のダウ・ケミカル・コンパニー
(Dow Chemical Company)製]を含む水性培地1を含
む滅菌した(121℃で25分間)2振盪フラスコに、水
道水で解凍した微生物のアンプル(−70℃で貯蔵された
もの)を無菌的に接種することにより、種培養物1を
先ずつくった。接種する前に濃硫酸1.3mlを加えて培地
のpHを7.2〜7.5に調節した。次にこの混合物を31℃にお
いて8〜10時間250rpmで回転させて加温した。
220mlの別に滅菌した63%グルコース溶液、322gのカ
ゼイン蛋白蒸解物[米国ニューヨーク州ノーウッチ(No
rwich)のショフィールド(Schofield Products)社
製、NZアミン(Mmine)A]、112gのアンペレックス(A
mberex)イースト抽出物[米国ニュージャージー州ハッ
ケンサック(Heckensack)のユニヴァーサル・フッズ
(Universal Foods)社製]、56gの(NH42SO4、14gの
MgSO4・7H2O、70gのKH2PO4、220mlの微量ミネラルを含
む溶液(8.8g/のZnSO4・7H2O、0.06g/のCuSO4・5H2
O、0.12g/のCoCl2・6H2O、0.055g/のCaCl2・2H2O、
0.088g/のNa2B4O7・10H2O、0.053g/のNa2Mo2O4・2H
2O及び7.5g/MnSO4・H2Oを6NのNH4OH中に含む)、及び
1.4mlのP−2000シリコーン発泡防止剤(前記ダウ・ケ
ミカル社製)を含む水性培地13.0を含む滅菌した(12
1℃、30分)20の発酵容器に種培養物を加え、14.0
発酵培地をつくった。
種培養物を加える前に、17mlの50%NaOHを加えて培地
のpHを7.0に調節する。しかる後、pH7.0(6NのNH4OHを
加えて調節)、温度30℃、空気流14slpm、1200rpmにお
いて発酵を行い、640nmにおける媒質の光学密度が9.0に
達するまで続ける。発酵期間中、2時間置きに培地から
試料をとり、pH.光学密度及びグルコースを測定した。
溶存酵素は、発酵期間中に15%以下に低下するのが見ら
れた。光学密度が9.0に達すると、バクテリアを取り出
し、ジャーナル・オヴ・バクテリオロジー誌163巻1号
1〜7頁(1985)のシャーチの論文記載の方法でSHMT酵
素を精製して均一にしたが、ヒドロキシルアパタイト処
理及びTSK 3000 HPLC処理は省略した。
特記しない限り下記実施例においては、スーパーコシ
ル(Supercosil)C−18カラム[米国ペンシルヴァニア
州、ペレフォント(Bellefonte)のスーペルコ(Supelc
o)社製]、島津製作所製LC−4A HPLC、SP 2AS紫外線検
出器、Sil−2ASオートサンプラ−CR3A積分器を使用し、
溶出液としてフォスフェート水性緩衝液(HPLC級超純水
から調製)及びHPLC級アセトニトリルを用いて逆相高速
液体クロマトグラフィーによりL−エリスロ及びL−ス
レオフェニルセリンを追跡した。220nmにおいて波長検
出を行った。HPLC級メタノール1中にL−エリスロ及
びL−スレオフェニルセリンを2.0g含む溶液、及びその
3:4、1:2、1:4及び1:10稀釈物を標準として使用した。
典型的には試料をHPLC級メタノールで1:15に稀釈して標
準の範囲内で濃度を調節した。
実施例1 本実施例はL−エリスロ及びL−スレオフェニルセリ
ンの合成の相対速度に対するベンズアルデヒドの濃度の
影響を示す。50×10-6モルのピリドキサール−5−フォ
スフェート、4,000単位/の精製SHMT、88g/のグリ
シン、及び下記第1表記載の量のベンズアルデヒドを0.
05モルのHEPES(N−2−ヒドロキシエチル−ピペリジ
ン−N′−エタンスルフォン酸)緩衝液中に含むpH7の
溶液を、攪拌機を備え温度コントロールした浴で加熱し
た50mlのガラス製丸底フラスコ中で25℃において反応さ
せる。反応混合物の試料を取り、1時間毎にL−エリス
ロ及びL−スレオフェニルセリンの濃度について分析を
行う。この実験の結果を第1表に示す。
第1表からわかるように、L−エリスロフェニルセリ
ンの合成速度はベンズアルデヒドの濃度に比例するが、
L−スレオフェニルセリンの合成速度はベンズアルデヒ
ドの濃度の二乗に比例するように思われる。この結果は
フェニルセリンのL−エリスロ異性体の選択的生成がア
ルデヒド濃度を低くすることによって増強されることを
示している。
実施例2 本実施例はL−エリスロ/L−スレオフェニルセリンの
合成に対するpHの影響を示す。飽和濃度の13Cでラベル
したベンズアルデヒド(5.6g/)及び1.8モル(158g/
)のグリシンを0.7mlのNMR(核磁気共鳴)管中に入
れ、pH7.6及び9.6において12時間25℃で反応させる。pH
7.6の反応混合物は0.05モルのHEPES緩衝剤を含んでい
た。pH9.6の反応混合物は1.8モル(158g/)のグリシ
ンにより自己緩衝作用をもっている。両方共精製したSH
MT(pH8のトリス緩衝液1中にSHMTが70,000単位含ま
れる)を加えて反応を開始させ、反応混合物中における
酵素の最終濃度がSHMT1,000単位/になるまで反応を
続けた。この間30分毎に13CNMRを用いて各溶液のL−エ
リスロ及びL−スレオフェニルセリンの生成量について
分析を行った。結果を第2表に示す。
上記データからわかるようにpH9.6ではL−エリスロ
異性体の合成速度はpH7.6の時の約半分である。これに
対しL−スレオ異性体の合成速度はpH9.6ではpH7.6の僅
かに1/10に過ぎず、このpH値においてL−エリスロ異性
体の生成速度の約1/30になる。
実施例3 本実施例は有機抽出相中にアルデヒドが存在すること
の重要性を示す。この実験においては1.5モルのグリシ
ン(132g/)及び9g/に対応する0.05モルのD,L−ス
レオフェニルセリン[米国ミズリー州、セント・ルイス
(St.Louis)のシグマ・ケミカル(Sigma Chemical)社
製]を含むpH9.1(KOHで調節)の水溶液1mlを下記第3
表記載の有機溶媒5mlで抽出した。有機相中(抽出後)
のアムノ酸をHPLCで決定した。抽出されたアミノ酸の%
を第3表に示す。
第3表からわかるように、アルデヒドを含まない溶媒
は水性反応媒質からフェニルセリンを効果的に抽出する
ことはできなかった。
実施例4 本実施例は水性媒質からフェニルセリンを抽出する際
のpHの効果を示す。この実験においては1.5モルのグリ
シン(132g/)及び9g/に対応する0.05モルのフェニ
ルセリン[実施例3の市販のD,L−スレオフェニルセリ
ン]を含む一連の水溶液の試料1mlを、下記第4表に示
すように、KOHでpHを調節し、酢酸エチル/ベンジルア
ルコール/ベンズアルデヒド(3:1:1)有機溶媒混合物
で抽出した。抽出後有機相について抽出されたグリシン
及びフェニルセリンの%をHPLCで分析した。各pHにおい
て抽出されたアミノ酸の%を第4表に示す。
第4表 pH グリシン% フェニルセリン% 7.6 <1 4 8.6 <1 6 9.2 <1 15 9.6 <1 18 第3表及び第4表を一緒に検討すれば、本発明方法に
使用される有機抽出剤を用いると、L−スレオフェニル
セリンの生成を抑制しSHMTによるL−エリスロフェニル
セリンの生成に有利にような同じpH条件において、グリ
シンからフェニルセリンを選択的に抽出し得ることがわ
かる。
実施例5 本実施例はL−エリスロ及びL−スレオフェニルセリ
ンの合成の相対速度に対する温度の影響を示す。攪拌機
を備え温度をコントロールした浴で加熱される1のガ
ラス製丸底フラスコに、175g/のグリシン及び4,000単
位/のSHMTを加え、下記第5表記載の温度に加熱す
る。次に攪拌した溶液にベンズアルデヒドを16g//時
の速度で加える。試料を周期的に取り、異性体の比及び
その濃度を検査する。下記第5表に示されるこの実験の
結果によれば、温度が低いほどL−エリスロフェニルセ
リンの生成に有利であり、このような低濃度においては
L−エリスロフェニルセリンの高濃度において高いL−
エリスロ対L−スレオフェニルセリンの比が得られる。
実施例6 実施例5に従いバッチ反応(溶媒抽出を行わない)を
行った。条件は下記の通りである。温度10℃、SHMT濃度
10,000単位/、グリシン濃度175g/、ベンズアルデ
ヒドの供給速度15g//時。反応は反応混合物中のL−
エリスロフェニルセリンの濃度が16g/に達するまで行
った。下記第6表に示すように、高生成速度において
(即ちL−エリスロフェニルセリンの生成速度16g//
時)L−エリスロ対L−スレオ比に対するpHの影響を決
定するために、各反応のpHを7〜9.5の間で変化させ
た。
第6表のデータによれば、工業的な生産速度におい
て、pHはL−エリスロ対L−スレオの比に対し強い影響
を及ぼし、L−エリスロフェニルセリンを選択的に生成
させるためには、反応混合物のpHは約7.5〜10、好まし
くは約8..5〜10、最も好ましくは約9〜9.5の範囲内に
なければならないことがわかる。
実施例7 本実施例は本発明方法により連続的向流抽出工程を使
用してL−エリスロフェニルセリンを選択的に製造する
例を示す。本実施例を実施するのに用いた装置を第2図
に示す。この装置は1の丸底フラスコ20を備え、これ
に温度調節ジャケット21、攪拌機22、pH調節装置27[ケ
ム・キャデット(Chem Cadet)社製R−5984型]、中空
繊維の透析装置30[エンカ(Enka)社製C−10型、1.1m
2の中空繊維透析装置]、各端に2個の止めを備えた内
径1.5インチ、流さ3フィートのガラス製カラム2個35
及び36、マスターフレックス・ポンプ(Masterflex pum
ps)26、29、33、39、及び41、100mlのガラス製混合容
器42、ベンズアルデヒド供給源24、酸供給源46及びpH調
節装置45が装着されている。
操作する場合、グリシン、及びベンズアルデヒド供給
源24からライン25及びポンプ26を介して連続的に供給さ
れるベンズアルデヒドをSHMT酵素の存在下において反応
器20の中で縮合させる。反応混合物のpH調節器27及び電
極23により連続的に監視する。ライン28及びポンプ29に
より反応混合物の一部を連続的に透析装置30へと取り出
し、ここで酵素を反応混合物から分離ライン34を介して
反応器20に戻す。フェニルセリンを含む限外濾液はポン
プ33により抽出カラム35を通し、ライン31及び32を経て
循環させる。
抽出カラム35において、フェニルセリンを含む限外濾
液を向流にしてアルデヒドを含む有機相と接触させ、フ
ェニルセリン生成物を有機相へ抽出する。本実施例に使
用した有機抽出相は1−ブタノール、酢酸プロピル及び
ベンズアルデヒドの2:2:容混合物である。有機相は第2
図で54によって示された上層を形成し、限外濾液水性相
は下層55をつくる。向流抽出は、有機相をライン37を通
して下層の水性相55へ送り、これをライン38及びポンプ
39を介して上の有機相中に通し、有機相が抽出カラム中
を底部から上方へと向流をなして移動するように流すこ
とにより行われる。
ライン38及びポンプ39を介して抽出カラム35から取り
出された有機相は次に連続的に抽出カラム36の底に導入
され、ここで有機相からフェニルセリンを抽出する酸性
の水性相と接触する。この実施例においては、酸性水性
相はpH4の硫酸水溶液から成っている。有機相は抽出カ
ラム36の中で上部の有機相57を形成し、ライン37を通っ
て抽出カラム35に循環され、水性相56と向流をなす有機
相の流れをつくる。
抽出カラム36の中でpHコントロールを行うためには、
水性相56の一部を連続的にライン40及び42並びにポンプ
41を介して混合容器42に循環させる。必要に応じ酸性溶
液(1モルの硫酸水溶液)を供給源46及びpH調節器45か
らライン44を通って混合容器42に供給する。
本実施例に使用される特定の反応条件は次の通りであ
る。
(a)バイオリアクター:pH9.4(NaOHで調節)、温度10
℃、SHMT濃度10,000単位/、グリシン濃度144g/、
ベンズアルデヒド濃度3.4g/、及びピリドキサール−
5−フォスフェート1×10-モル。
(b)有機相:2:2:1の比の1−ブタノール/酢酸プロピ
ル/ベンズアルデヒド混合物。
(c)酸性水溶液:硫酸水溶液、pH4。
反応開始時において反応器中のフェニルセリンの全濃
度は最初の6時間で約6.7g/に増加する。これは約1g/
/時に相当する。次いで30時間後の終りまでほぼ定常
状態で操作される。定常状態において抽出カラム35の層
55として存在する限外瀘液は約144g/グリシンと飽和
濃度のベンズアルデヒドを含んでいる。
生成物水性相56においては、フェニルセリンの濃度は
約1.9g//時の一定速度で増加する。このことはこの
抽出工程が生成物の合成速度に合致し得ることを示して
いる。36時間操作を行った後、生成物水性相56において
L−エリスロフェニルセリンの最終濃度は21g/を越
え、エリスロ対スレオ比は16/1になる。これとは対照的
に反応器20中のL−エリスロフェニルセリンの濃度は約
12g/である。生成物水性相56中のL−エリスロフェニ
ルセリンの濃度が反応器20中の比べて高いことは、本発
明の抽出工程の生成物の収率に及ぼす好影響を示してい
る。本発明の抽出工程を用いないと、本発明方法により
L−エリスロフェニルセリンの生成に関してSHMT反応を
最適化しても、L−エリスロフェニルセリンの生成量が
20g/の場合において達成できる最良のエリスロ対スレ
オ比は3/1である。
この実験の結果に関するさらに詳細な点を第7表に示
す。このデータからわかるように、本発明方法は従来法
に比べいくつかの利点をもっている。反応物質が溶液か
ら連続的に除去されるから、生成物中のエリスロ異性体
対スレオ異性体の比及び到達可能なフェニルセリン濃度
をバッチ法に比べて改善することができる。本発明方法
において生成物水性相56におけるエリスロ濃度が最高21
g/である時、最高16/1(エリスロが94%)のエリスロ
対スレオ比が得られる。さらに生成物水性相はグリシン
を非常に僅かしか含んでおらず、ベンズアルデヒドの濃
度もそれぞれを水溶液に飽和させた時に期待されるより
も低い。
本発明の主な特徴及び態様は次の通りである。
1.(a)式 RCHO 但し式中Rは水素または炭素数1〜25の有機基であ
る、 のアルデヒドを、L−セリン誘導体を含む水性相を生じ
るのに有効な量の酵素及びピリドキサール−5−フォス
フェート補酵素を含むpH約7.5〜約10の水溶液中におい
て、且つ該水性相を生じるのに有効な温度及びグリシン
並びにアルデヒドの濃度条件下においてグリシンと反応
させ、 (b)工程(a)のL−セリン誘導体含有水性相を、
(i)工程(a)に使用したのと同じまたは相異る式RC
HOのアルデヒド、または(ii)該L−セリン誘導体を有
機相に抽出するのに有効な量の該アルデヒドを含む該ア
ルデヒドと水と混合しない有機溶媒との混合物から成る
有機相で抽出し、 (c)工程(b)の有機相をpHが約7.0以下の水性相
で抽出してL−セリン誘導体を含む水溶液をつくる式 但し式中Rは水素または炭素数約1〜25の有機基であ
る、 のL−セリン誘導体の製造法。
2.工程(b)及び(c)を連続的に行う上記第1項記載
の方法。
3.工程(b)及び(c)の抽出工程を夫々水性相及び有
機相を向流をなして接触させて行う上記第2項記載の方
法。
4.工程(b)及び(c)の抽出速度はL−セリン誘導体
の全合成速度の半分より大きい上記第2項記載の方法。
5.工程(a)のグリシンの濃度は約10〜約300g/であ
り、アルデヒドの濃度は約1〜約20g/であり、グリシ
ンはアルデヒドに関してモル的に過剰で存在し、該水溶
液のpHは約8.0〜約10.0であり、温度は約5〜60℃であ
り、酵素は約1,000〜約1,000,000単位/の量で存在
し、ピリドキサール−5−フォスフェートは該酵素とほ
ぼ等モル量で存在する上記第4項記載の方法。
6.工程(b)の有機相抽出の前にさらに工程(a)の水
性相から酵素を除去する工程を含む上記第5項記載の方
法。
7.工程(b)の有機相は該有機溶媒と約5〜50容量%の
該アルデヒドとの混合物から成る上記第6項記載の方
法。
8.該有機相は該アルデヒドと低級カルボン酸の低級アル
キルエステルとの混合物、または該アルデヒド、該低級
カルボン酸の低級アルキルエステル及びアルコールの混
合物である上記第7項記載の方法。
9.該有機相は(iii)アルデヒドと酢酸のエチル、イソ
プロピル、ブチルまたはイソブチルエステルとの混合
物、または(iv)(iii)とブタノールまたはベンジル
アルコールとの混合物である上記第8項記載の方法。
10.工程(c)の水性相のpHは約5.0より低い上記第5ま
たは6項記載の方法。
11.酵素がセリンヒドロキシメチルトランスファーゼで
ある上記第5または6記載の方法。
12.該セリンヒドロキシメチルトランスファーゼはエス
ケリキア・コリのglyA遺伝子を挿入されたプラスミドを
含む遺伝子工学的につくられた微生物から得られる上記
第11項記載の方法。
13.アルデヒドはペンズアルデヒドであり、該L−セリ
ン誘導体はL−フェニルセリンである上記第5記載の方
法。
14.アルデヒドはベンズアルデヒドであり、該L−セリ
ン誘導体はL−エリスロフェニルセリンである上記第12
項記載の方法。
15.(a)式 RCHO 但し式中Rは水素または炭素数1〜25の有機基であ
る、 のアルデヒドを、主な異性体としてL−セリン誘導体の
L−エリスロ異性体を含む水性相を生じるのに有効な量
の酵素及びピリドキサール−5−フェスフェート補酵素
を存在させ、pH約7.5〜約10、温度約5〜60℃におい
て、アルデヒドの濃度を約1〜約90g/、グリシンの濃
度を約10〜約300g/とし、グリシン対アルデヒドのモ
ル比を約4:1〜約100:1にしてグリシンと反応させ、 (b)工程(a)のL−エリスロ異性体含有水性相
を、(i)工程(a)に使用したのと同じまたは相異る
式RCHOのアルデヒド、または(ii)該L−セリン誘導体
を有機相に抽出するのに有効な量の該アルデヒドを含む
該アルデヒドと水と混合しない有機溶媒との混合物から
成る有機相で抽出し、 (c)工程(b)の有機相をpHが約7.0以下の水性相
で抽出して主な異性体としてL−エリスロ異性体を含む
L−セリン誘導体の水溶液をつり、この際工程(b)及
び(c)の抽出速度を工程(a)のL−セリン誘導体合
成の全体の速度の約半分以上とする式 但し式中Rは水素または炭素数約1〜25の有機基であ
る、 のセリン誘導体のL−エリスロ異性体の選択的製造法。
16.工程(b)及び(c)を連続的に行う上記第15項記
載の方法。
17.工程(b)及び(c)の抽出速度は工程(a)にお
けるL−セリン誘導体の全合成速度の約半分以上である
上記第16項記載の方法。
18.工程(b)及び(c)の抽出工程を夫々水性相及び
有機相を向流をなして接触させて行う上記第17記載の方
法。
19.工程(a)のグリシンの濃度は約100〜約200g/で
あり、アルデヒドの濃度は約1〜約10g/であり、グリ
シン対アルデヒドのモル比は約15:1〜約25:1であり、該
水溶液のpHは約8.5〜約10であり、温度は約5〜40℃で
あり、酵素は約1,000〜約1,000,000単位/の量で存在
し、ピリドキサール−5−フォスフェートは該酵素とほ
ぼ等モル量で存在する上記第17記載の方法。
20.工程(b)の有機相抽出の前にさらに工程(a)の
水性相から酵素を除去する工程を含む上記第19記載の方
法。
21.工程(b)の有機相は該有機溶媒と約5〜50容量%
の該アルデヒドとの混合物から成る上記第20記載の方
法。
22.該有機相は該アルデヒドと低級カルボン酸の低級ア
ルキルエステルとの混合物、または該アルデヒド、該低
級カルボン酸の低級アルキルエステル及びアルコールの
混合物である上記第21項記載の方法。
23.該有機相は(iii)アルデヒドと酢酸のエチル、イソ
プロピル、ブチルまたはイソブチルエステルとの混合
物、または(iv)(iii)とブタノールまたはベンジル
アルコールとの混合物である上記第22記載の方法。
24.工程(c)の水性相のpHは約5.0より低い上記第17ま
たは20項記載の方法。
25.酵素がセリンヒドロキシメチルトランスファーゼで
ある上記第17または20記載の方法。
26.該セリンヒドロキシメチルトランスファーゼはエス
ケリキア・コリのglyA遺伝子が挿入されたプラスミドを
含む遺伝子工学的につくられた微生物から得られる上記
第25項記載の方法。
27.アルデヒドはベンズアルデヒドであり、該L−セリ
ン誘導体はL−エリスロフェニルセリンである上記第1
5、17または20項記載の方法。
【図面の簡単な説明】
第1図は連続抽出/再抽出法を使用してL−エリスロフ
ェニルセリンを選択的に製造する本発明の具体化例の模
式的流れ図であり、第2図は上記実施例7に使用した装
置の模式的流れ図である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)式 RCHO 但し式中Rは水素または炭素数1〜25の有機基である、 のアルデヒドを、L−セリン誘導体を含む水性相を生じ
    るのに有効な量の酵素及びピリドキサール−5−フォス
    フェート補酵素を含むpH約7.5〜約10の水溶液中におい
    て、且つ該水性相を生じるのに有効な温度及びグリシン
    並びにアルデヒドの濃度条件下においてグリシンと反応
    させ、 (b)工程(a)のL−セリン誘導体含有水性相を、
    (i)工程(a)に使用したのと同じまたは相異る式RC
    HOのアルデヒド、または(ii)該L−セリン誘導体を有
    機相に抽出するのに有効な量の該アルデヒドを含む該ア
    ルデヒドと水と混合しない有機溶媒との混合物から成る
    有機相で抽出し、 (c)工程(b)の有機相をpHが約7.0以下の水性相で
    抽出してL−セリン誘導体を含む水溶液をつくることを
    特徴とする式 但し式中Rは水素または炭素数約1〜25の有機基であ
    る、 のL−セリン誘導体の製造法。
  2. 【請求項2】(a)式 RCHO 但し式中Rは水素または炭素数1〜25の有機基である、 のアルデヒドを、主な異性体としてL−セリン誘導体の
    L−エリスロ異性体を含む水性相を生じるのに有効な量
    の酵素及びピリドキサール−5−フォスフェート補酵素
    を存在させ、pH約7.5〜約10、温度約5〜60℃におい
    て、アルデヒドの濃度を約1〜約90g/、グリシンの濃
    度を約10〜約300g/とし、グリシン対アルデヒドのモ
    ル比を約4:1〜約100:1にしてグリシンと反応させ、 (b)工程(a)のL−エリスロ異性体含有水性相を、
    (i)工程(a)に使用したのと同じまたは相異る式RC
    HOのアルデヒド、または(ii)該L−セリン誘導体の有
    機相に抽出するのに有効な量の該アルデヒドを含む該ア
    ルデヒドと水と混合しない有機溶媒との混合物から成る
    有機相で抽出し、 (c)工程(b)の有機相をpHが約7.0以下の水性相で
    抽出して主な異性体としてL−エリスロ異性体を含むL
    −セリン誘導体の水溶液をつり、この際工程(b)及び
    (c)の抽出速度を工程(a)のL−セリン誘導体合成
    の全体の速度の約半分以上とすることを特徴とする式 但し式中Rは水素または炭素数約1〜25の有機基であ
    る、 のセリン誘導体のL−エリスロ異性体を選択的に製造す
    る方法。
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