JP2657127B2 - テープレコーダーの動作切換装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、テープレコーダーに関
し、特に動作切換装置に係る。

【０００２】

【従来の技術】ヘッドフォンによって磁気テープの再生
音を聴取するヘッドフォンステレオと呼ばれる音響装置
が普及しているが、斯かる音響装置に組込まれているカ
セット式テープレコーダーは、長時間の再生動作が行わ
れるように第１方向への再生機能だけでなく、第１方向
の反対方向である第２方向への再生機能を有する往復型
のテープレコーダーが一般的である。テープレコーダー
の動作切換を行う方法としては、切換釦への操作力を利
用する方法、プランジャーの吸引力を利用する方法及び
電動機の回転力を利用する方法があるが、最近では電動
機の回転力を利用したものが多くみられる。そして、電
動機の回転力を利用して動作切換を行う一つの方法とし
て電動機の正逆回転動作を利用する方法があり、斯かる
技術としては、例えば特開昭６０ー８３２４５号公報に
開示されたものがある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前述した公報には、リ
ール軸に電動機の回転力を伝達する歯車の回転力によっ
てピンチローラーの動作切換を行うべく設けられている
欠歯歯車を所定位置から所定位置に回動せしめることに
より磁気テープの走行方向を切換えるようにした技術が
記載されている。斯かる構成では、電動機の逆転動作に
よる走行方向の切換動作は、リール軸への回転力の遮断
動作が行われた後欠歯歯車によるピンチローラーの切換
動作が行われるため、即ち切換動作と駆動力の遮断動作
との間にタイミングのずれが生じるため磁気テープのは
み出しが発生するという問題がある。本発明は、斯かる
点を改良した動作切換装置を提供しようとするものであ
る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明の動作切換装置
は、第１方向への磁気テープの巻取り動作を行う第１リ
ール軸と、該第１方向の反対方向である第２方向への磁
気テープの巻取り動作を行う第２リール軸と、電動機の
回転方向に対応して正逆回転せしめられる駆動歯車と、
該駆動歯車の軸と同軸にて回転可能に設けられていると
ともに該駆動歯車の回転力により第１方向への駆動動作
を行う第１動作位置と第２方向への駆動動作を行う第２
動作位置との間を回動変位せしめられる回動板と、該回
動板上に回転可能に取付けられているとともに該回動板
が第１動作位置にあるとき及び第２動作位置にあるとき
前記駆動歯車の回転力を第１リール軸及び第２リール軸
に伝達するリール軸駆動用歯車と、所定の位置から所定
の位置への回動変位動作によってピンチローラーとキャ
プスタン軸との圧着動作を制御する切換歯車と、前記回
動板上に回転可能に取付けられているとともに該回動板
が第１動作位置より第２動作位置へ及び第２動作位置よ
り第１動作位置へ回動変位するとき前記切換歯車と噛合
い、該切換歯車を所定の位置まで回動変位せしめる切換
用駆動歯車と、前記回動板が切換用駆動歯車と切換歯車
とが噛合う位置にあるとき前記リール軸駆動用歯車と噛
合うとともにリール軸を巻取り方向に回転せしめる中間
歯車とより構成されている。

【０００５】

【作用】本発明は、磁気テープを反対方向へ走行せしめ
るために電動機の逆転動作が行われて、リール軸への回
転力の遮断動作が行われたとき中間歯車を介してリール
軸に回転力を与えることによって磁気テープのはみ出し
を防止するようにしたものである。

【０００６】

【実施例】図面は、何れも本発明の動作切換装置の異な
る状態を示す平面図である。１は磁気テープを第１方向
へ巻取る第１リール軸であり、リール用歯車２が一体的
に形成されている。３は磁気テープを第１方向の反対方
向である第２方向へ巻取る第２リール軸であり、リール
用歯車４が一体的に形成されている。５は固定基板６に
軸７によって回転可能に取付けられている第１伝達用歯
車であり、前記第１リール軸１に形成されているリール
用歯車２と常時噛合った状態にある。８は固定基板６に
軸９によって回転可能に取付けられている第２伝達用歯
車であり、前記第２リール軸３に形成されているリール
用歯車４と常時噛合った状態にある。１０は固定基板６
に軸１１によって回転可能に取付けられているとともに
前記第１伝達用歯車５に常時噛合った状態にある第１中
間歯車、１２は固定基板６に軸１３によって回転可能に
取付けられているとともに前記第２伝達用歯車８に常時
噛合った状態にある第２中間歯車、１４は固定基板６に
軸１５によって回転可能に取付けられているとともに電
動機（図示せず）により回転駆動される第１駆動歯車で
あり、該電動機の正逆転動作により第１方向への走行時
には時計方向に、また第２方向への走行時には反時計方
向に回転駆動されるように構成されている。１６は前記
第１駆動歯車１４と一体的に回転するべく形成されてい
る第２駆動歯車、１７は前記軸１５によって回動可能に
取付けられている回動板、１８は前記回動板１７上に軸
１９によって回転可能に取付けられているとともに前記
第１駆動歯車１４と常時噛合った状態にある第１リール
軸駆動用歯車、２０は前記軸１９に回転可能に取付けら
れているとともに前記第１リール軸駆動用歯車１８の回
転がクラッチ機構（図示せず）を介して伝達される第２
リール軸駆動用歯車であり、前記回動板１７が図１に示
す第１動作位置にあるとき前記第１伝達用歯車５に噛合
うとともに図３に示す第２動作位置にあるとき前記第２
伝達用歯車８に噛合うように構成されている。また、前
記第２リール軸駆動用歯車２０は、前記回動板１７が第
１動作位置と第２動作位置との間を回動変位する途中に
おいて、前記第１中間歯車１０及び第２中間歯車１２と
噛合うように関係付けられている。２１は固定基板６に
軸２２によって回動可能に取付けられているとともに周
縁の一部に欠歯部２３が形成されている切換歯車であ
り、図１に示す第１位置にあるとき第１方向への駆動動
作を行う第１ピンチローラー（図示せず）を第１キャプ
スタン軸（図示せず）に圧着せしめるとともに図３に示
す第２位置にあるとき第２方向への駆動動作を行う第２
ピンチローラー（図示せず）を第２キャプスタン軸（図
示せず）に圧着せしめる作用を有している。斯かる切換
動作は、前記切換歯車２１に形成されているカム（図示
せず）等によって行なわれるが、その機構は周知である
のでその説明は省略する。２４は前記回動板１７上に軸
２５によって回転可能に取付けられているとともに前記
第２駆動歯車１６と常時噛合った状態にある切換用駆動
歯車であり、前記回動板１７の回動変位動作時前記切換
歯車２１と噛合い該切換歯車２１を図１に示した第１位
置から図３に示す第２位置へ、また第２位置から第１位
置へ回動変位せしめる作用を有している。以上の如く本
発明の動作切換装置は構成されており、次に動作につい
て説明する。

【０００７】図１は、第１方向への再生動作状態であ
り、第１駆動歯車１４は電動機の回転力がベルト（図示
せず）により伝達されて時計方向に回転駆動せしめられ
ている。前記第１駆動歯車１４が時計方向に回転すると
その回転力が第１リール軸駆動用歯車１８に伝達され
て、該第１リール軸駆動用歯車１８は反時計方向に回転
せしめられるが、このとき該第１リール軸駆動用歯車１
８が回転可能に取付けられている回動板１７に対して時
計方向への回動変位力が作用する。その結果、前記回動
板１７が時計方向に回動変位し、図１に示した第１動作
位置に変位保持された状態になる。前記回動板１７が第
１動作位置にあるとき該回動板１７に回転可能に取付け
られているとともに前記第１リール軸駆動用歯車１８の
回動がクラッチ機構を介して伝達される第２リール軸駆
動用歯車２０が第１伝達用歯車５に噛合った状態にな
る。従って、電動機の回転力が第１駆動歯車１４−第１
リール軸駆動用歯車１８−第２リール軸駆動用歯車２０
−第１伝達用歯車５を介してリール用歯車２に伝達さ
れ、第１リール軸１は反時計方向に回転駆動せしめられ
る。また、斯かる状態にあるとき切換歯車２１は、図１
に示した第１位置にあるため第１ピンチローラーが第１
キャプスタン軸に圧着された状態にある。それ故、第１
ピンチローラーと第１キャプスタン軸による定速駆動動
作及び前記第１リール軸１による巻取り動作が行われて
第１方向への再生動作が行われることになる。

【０００８】以上の如く第１方向への再生動作は行なわ
れるが、次に再生方向の切換動作を行った場合について
説明する。再生方向の切換操作をすると電動機の回転方
向が反対方向に切換えられるため第１駆動歯車１４が反
時計方向に回転駆動せしめられる。前記第１駆動歯車１
４が反時計方向に回転するとその回転力が第１リール軸
駆動用歯車１８に伝達されて、該第１リール軸駆動用歯
車１８は時計方向に回転せしめられるが、このとき該第
１リール軸駆動用歯車１８が回転可能に取付けられてい
る回動板１７に対して反時計方向への回転変位力が作用
する。その結果、前記回動板１７が、軸１５を中心とし
て反時計方向に回動変位するため第２リール軸駆動用歯
車２０と第１伝達歯車５との噛合状態が解除される。そ
して、前記回動板１７が図２に示す位置まで回動すると
前記第２リール軸駆動用歯車２０が第１中間歯車１０に
噛合うとともに切換用駆動歯車２４が切換歯車２１に噛
合った状態になる。前記切換用駆動歯車２４が切換歯車
２１と噛合うと該切換用駆動歯車２４の時計方向への回
転力によって切換歯車２１が反時計方向に回動せしめら
れる。前記切換歯車２１が反時計方向に回動すると走行
方向の切換機構が動作するため第１キャプスタン軸より
第１ピンチローラーが離間せしめられるとともに第２キ
ャプスタン軸に第２ピンチローラーが圧着されることに
なる。そして、斯かる切換動作が行なわれるとき第２リ
ール軸駆動用歯車２０の回転力が第１中間歯車１０及び
第１伝達歯車５を介してリール用歯車２に伝達され、第
１リール軸１は反時計方向に回転せしめられる。従っ
て、第１リール軸１への回転伝達力の遮断動作と第１ピ
ンチローラーの第１キャプスタン軸からの離間動作との
タイミングのズレに伴なう磁気テープのはみ出し部分は
第１リール軸１によって巻取られることになる。

【０００９】斯かる走行方向の切換動作が行なわれると
切換歯車２１に設けられている欠歯部２３が切換用駆動
歯車２４に対応する位置に来るため、該切換用駆動歯車
２４と切換歯車２１との噛合状態が解除される。斯かる
動作が行なわれると回動板１７の反時計方向への回動変
位動作が再開され、第２リール軸駆動用歯車２０と第１
中間歯車１０との噛合状態が解除される。従って、第１
リール軸１による磁気テープの巻取り動作は行なわれな
くなる。

【００１０】斯かる動作が行なわれた後回動板１７は更
に反時計方向に回動し図３に示す第２動作位置まで回動
変位せしめられる。前記回動板１７が第２動作位置まで
回動変位すると第２リール軸駆動用歯車２０が第２伝達
用歯車８に噛合った状態になる。従って、電動機の回転
力が第１駆動歯車１４−第１リール軸駆動用歯車１８−
第２リール軸駆動用歯車２０−第２伝達用歯車８を介し
てリール用歯車４に伝達され、第２リール軸３は時計方
向に回転駆動せしめられる。また、斯かる状態にあると
き切換歯車２１は図３に示した第２位置にあるため第２
ピンチローラーが第２キャプスタン軸に圧着された状態
にある。それ故、第２ピンチローラーと第２キャプスタ
ン軸による定速駆動動作及び前記第２リール軸３による
巻取り動作が行なわれて第２方向への再生動作が行なわ
れることになる。

【００１１】以上の如く第１方向への再生動作状態より
第２方向への再生動作状態への切換動作は、電動機の回
転方向を切換えることによって行なわれるが、第２方向
より第１方向への切換動作も同様に行なわれるため、そ
の説明は省略する。

【００１２】

【発明の効果】本発明の動作切換装置は、磁気テープを
反対方向へ走行せしめるために電動機の逆転動作が行な
われて、リール軸への回転力の遮断動作が行なわれたと
き中間歯車を介してリール軸に回転力を与えるようにし
たので、ピンチローラーのキャプスタン軸からの圧着解
除動作とリール軸への回転力遮断動作との間にタイミン
グのずれがあっても磁気テープのはみ出しを少なくする
ことが出来るという効果を有している。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１方向への再生状態を示す平面図である。

【図２】第１方向より第２方向への切換途中の状態を示
す平面図である。

【図３】第２方向への再生状態を示す平面図である。

【符号の説明】

１ 第１リール軸 ２，４ リール用歯車 ３ 第２リール軸 ５ 第１伝達用歯車 ８ 第２伝達用歯車 １０ 第１中間歯車 １２ 第２中間歯車 １４ 第１駆動歯車 １６ 第２駆動歯車 １７ 回動板 １８ 第１リール軸駆動用歯車 ２０ 第２リール軸駆動用歯車 ２１ 切換歯車 ２４ 切換用駆動歯車

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電動機の正逆回転動作により動作切換を
   行うように構成されたテープレコーダーにおいて、第１
   方向への磁気テープの巻取り動作を行う第１リール軸
   と、該第１方向の反対方向である第２方向への磁気テー
   プの巻取り動作を行う第２リール軸と、電動機の回転方
   向に対応して正逆回転せしめられる駆動歯車と、該駆動
   歯車の軸と同軸にて回動可能に設けられているとともに
   該駆動歯車の回転力により第１方向への駆動動作を行う
   第１動作位置と第２方向への駆動動作を行う第２動作位
   置との間を回動変位せしめられる回動板と、該回動板上
   に回転可能に取付られているとともに該回動板が第１動
   作位置にあるとき及び第２動作位置にあるとき前記駆動
   歯車の回転力を第１リール軸及び第２リール軸に伝達す
   るリール軸駆動用歯車と、所定の位置から所定の位置へ
   の回動変位動作によってピンチローラーとキャプスタン
   軸との圧着動作を制御する切換歯車と、前記回動板上に
   回転可能に取付けられているとともに該回動板が第１動
   作位置より第２動作位置へ及び第２動作位置より第１動
   作位置へ回動変位するとき前記切換歯車と噛合い、該切
   換歯車を所定の位置まで回動変位せしめる切換用駆動歯
   車と、前記回動板が切換用駆動歯車と切換歯車とが噛合
   う位置にあるとき前記リール軸駆動用歯車と噛合うとと
   もにリール軸を巻取り方向に回転せしめる中間歯車とよ
   り成るテープレコーダーの動作切換装置。