JP2656982B2 - 高周波電気メス装置 - Google Patents

高周波電気メス装置

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は生体に高周波電流を流して切除等を行う場
合、安全な状態であるか否かの識別を行えるようにした
高周波電気メス装置に関する。
[従来技術] 一般に、高周波電気メス装置においては、電気的な接
触の不良によって不慮の火傷事故が起きることがあるた
め、それについて対策を施すことが必要になっている。
ところで、上述の火傷事故が生じる原因として最も多い
のは、高周波電気メス装置とモニタ機器等とが組み合わ
されて使用される場合であって、使用中に患者と患者電
極との電気的接触が不良になったり或いは患者電極に接
続したコードが断線したりして焼灼電流がモニタ機器の
電極等の患者に接触されている小面積の金属片を介して
流れる場合である。又、電気的接触が正常であっても接
地された電動ベッドに患者の手が触れたりすると、その
部分に高周波電流が流れてしまい、火傷が引き起こされ
ることもある。これに対する対策として、特公昭61−32
016号公報に開示されている先行技術例では、処置具電
極に流れる電流IAと患者電極に流れる電流IPとを検出
し、その比IP/IAを求め、この比IP/IAの値が一定の基準
値を下回っているときには高周波電流を制御するように
している。この先行技術例によれば、上記のように患者
に接触されている小面積の金属片を介して電流が流れて
しまい患者電極には電流が流れない場合に、高周波電流
を小さくするので、火傷に至る事故を未然に防ぐことが
できる。
[発明が解決しようとする問題点] しかしながら上記先行技術例では、処置具電極への導
線が挿通されているスコープでの該導線からスコープに
流れる高周波漏れ電流を回収するためにスコープのブレ
ード等、導電性部材をいわゆるSコードと呼ばれる電線
で高周波電気メス装置に電気的に接続しているシステム
では、高周波漏れの大きい(長く、表面積の大きい)ス
コープを使用した場合に、患者電極に流れる電流が少く
なるため、正常な状態で使用されていても高周波出力を
制限してしまい、処置そのものができなくなる状況が生
じていた。又、Sコードはスコープの内部或いは外装か
ら漏れた電流を回収するものであるため、このSコード
がない場合には例えば操作部等の金属部から手術者に電
流が流れて火傷を生じさせることがあった。
本発明は上述した点にかんがみてなされたもので、S
コードを接続した場合、処置具電極に流れる電流IAと患
者電極に流れる電流IPの比IP/IAが低下した場合でも、
その低下の原因が患者又は術者に危険な電流経路が発生
したものであるか、単に浮遊容量によるスコープへの漏
れによるものであるかを識別して、安全に高周波処置の
できる高周波電気メス装置を提供することを目的とす
る。
[問題点を解決する手段及び作用] 本発明では生体の患部に接触する処置具用電極と、患
部以外の部位に広い面積で接触する患者用電極と、内視
鏡挿入部の導電部材に接続されるスコープ電極とを備え
た装置において、前処置具用電極及び患者用電極に少く
とも周波数の異る高周波信号を供給する検出用高周波発
振手段を設け、この手段の出力時における処置具用電極
の電流IAと患者用電極の電流IPの電流比IP/IAを2つの
周波数に対して求めることにより、それらの比の値から
高周波電流の通電経路状態が安全であるか否かを確実に
識別できるようにして処置用高周波出力を出力するか否
かの制御を行うようにしている。
[実施例] 以下、図面を参照して本発明を具体的に説明する。
第1図ないし第6図は本発明の第1実施例に係り、第
1図は第1実施例の高周波電気メス装置の構成図、第2
図は第1実施例を使用状態に設定した様子を示す説明
図、第3図は内視鏡挿入部の断面図、第4図は周波数に
対する心筋の感度を示す特性図、第5図はレベル検出比
較回路の回路図、第6図は第1実施例を使用した場合に
おける高周波電流の経路を示す説明図である。
第2図に示すように高周波電気メス装置1は、アクテ
ィブ用のAコネクタ2と、スコープ用のSコネクタ3
と、患者用のPコネクタ4とを備えている。
上記Aコネクタ2はAコード5を介して処置具6に接
続されるようになっており、この処置具6は光学式内視
鏡7の保持部8のチャンネル挿入口を通過して内視鏡挿
入部9を挿通されて、生体10の体内の患部10Aに接触す
るようになっている。又、上記Sコネクタ3はSコード
11を介してブレード12に接続されたS口金13に接続され
るようになっている。又、上記Pコネクタ4は、Pコー
ド14を介して、生体10の体表面に大きな面積にわたり接
触しているPプレート15に接続されるようになってい
る。第3図は前記内視鏡挿入部9の断面図であり、挿入
部9の最も外側には絶縁材による外被20が設けられてお
り、この外被20の内側には、ステンレス等の金属を含ん
だプレード12がこの外被20に密着するように設けられて
いる。このプレード12の内側には、照明光を伝達するラ
イトガイド21、内視鏡7の先端部において結像した光学
画像を伝送するイメージガイド22、絶縁チューブで他の
部分と分離されていて処置具6等を通過させるチャンネ
ルチューブ23とが備えられている。この処置具6は処置
具用絶縁チューブ24の中に、より線や単線のワイヤ等で
構成され、高周波を先端側に伝送するための処置具導電
部25を有している。
ところで、本実施例の高周波電気メス装置1の構成を
第1図に示す。
発振器31による切除等を行うための高周波信号はプリ
アンプ32で増幅され、スイッチ33の接点aを介してパワ
ーアンプ34に出力できるようにしてある。
上記パワーアンプ34の出力端はトランス35の1次巻線
に接続され、2次巻線側から昇圧された高周波電流を出
力する。この2次巻線の一端はコデンサ36を介してAコ
ネクタ2に接続される。このAコネクタ2に接続される
給電線には、電流検出用のカレントトランス37が配設し
てあり、このAコネクタ2を流れる電流IAを検出する。
一方、上記トランス35の2次巻線の他端もコンデンサ
38,39をそれぞれ介してSコネクタ3、Pコネクタ4に
接続されている。
上記Pコネクタ4と接続される患者側の給電線にもカ
レントトランス40が配設され、このPコネクタ4を経て
トランス35側に流れる電流IPを検出する。
上記カレントトランス37,40で検出された電流IA,IP
レベル検出比較回路41に入力され、2つの電流IA,IP
レベル比IP/IAが設定値以上か否かの検出を行う。この
検出信号は、検出信号制御回路42に入力される。この検
出信号制御回路42は、レベル検出比較回路41の出力信号
に応じて上記スイッチ33の切換と、このスイッチ33の他
方の接点bにその出力端が接続された検出信号発生回路
43を制御する。
この検出信号発生回路43は、少くとも2つの異る周波
数f1,f2の高周波を出力する機能を備えている。又、こ
の検出信号発生回路43から出力される高周波の出力レベ
ルは、プリアンプ32を通した発振器31の出力レベルより
はるかに微弱であり、この検出信号発生回路43の高周波
を生体10に流した場合、生体10に対し危険となるような
影響を及ぼさないレベルにしている。
一般に人が電気に触れると、「ピリッ」と感じる感度
は周波数と密接な関係があり、例えば心筋の感度は第4
図に示すように低周波では高く、高周波になるとその感
度が低下する。つまり、低周波であると、微弱な電流で
も心室細動のような患者(生体)に危険となり得る影響
を及ぼす。
この為、上記検出信号発生回路43としては、心筋の感
度が低下する高周波帯で、一般に高周波電気メス装置で
使用される0.3〜5MHzの周波数範囲の高周波を発生する
ようにしている。
この実施例におけるレベル検出比較回路41の回路構成
を第5図に示す。
カレントトランス37,40の出力は、それぞれ抵抗R1,R
1′に流れ、各両端には、流れる電流(つまりIA,IP)に
応じた電圧を発生する。各電圧は、各抵抗R1,R1′の一
端に接続されたダイオードD1,D1′でそれぞれ整流さ
れ、整流された直流電圧がコンデンサC1,C1′に保持さ
れる。コンデンサC1の電圧は抵抗R2を介してコンパレー
タCPの非反転入力端に印加され、コンデンサC1′の電圧
は抵抗R2′及び抵抗R3,R4で分圧され、その分圧された
電圧VaがコンパレータCPの反転入力端に印加される。
上記コンパレータCPは、カレントトランス40で検出し
た電流IPと、他方のカレントトランス37で検出した電流
IAを分圧した値IA′とを比較し、IP>IA′(IAを用いる
と、IP>nIA)あるいは、比の値に書き換えて、 IP/IA>n ……(1) の場合には、“H"の信号を出力する。ここでnは分圧比
を表わし、1以下である。
上記(1)式を満たす場合、つまりコンパレータCPの
出力が“H"であるということは、Aコネクタ2を経て、
流れ出た高周波電流IAの内、“一定割合”以上がプレー
ト15を経てPコネクタ4に戻っているということにな
り、この経路以外で流れる電流量は小さいということ
で、正常な使用状態であると見なすことができる。
つまり、第6図(a)に示すように、Aコネクタ2か
ら処置具6を経て、患部10A側に高周波電流を流した場
合、処置具6とその周囲の導電部材としてのプレード12
との浮遊容量により、ある程度はブレード12,Sコード11
を介して漏れ電流が流れることがある。
上記浮遊容量による漏れ電流の大きさの程度を考慮し
て、この漏れ電流分程度だけ電流IPが電流IAより小さく
なる値を予め調べて、上記nの値を設定すればコンパレ
ータCPの出力が“H"となれば、正常な使用状態であるよ
うに設定できる。
従って、上記レベル検出比較回路41の出力が“H"であ
ると、検出信号制御回路42はスイッチ33の切換を行い、
プリアンプ32を通った発振器31の高周波信号をパワーア
ンプ34に出力する状態にする。
一方、第6図(b)に示すように処置具6が例えば内
視鏡挿入部9の金属露出部分に接触してしまうような異
常な状態では、Sコネクタ3には、浮遊容量による漏れ
電流分以外にこの接触による電流分とが流れ、Pコネク
タ4に戻る電流分は小さくなり、上記(1)式の条件を
満足しないのでコンパレータCPの出力は“L"となる。
しかし、挿入部が通常のものより、長尺であると、浮
遊容量が大きくなってしまうので、安全性を見込んで設
定した条件式(1)を満足しない事態もあり、この場合
もコンパレータCPの出力は“L"となる。
この2つの状態を確実に識別できるように、この実施
例ではレベル検出比較回路41の出力が“L"であると、検
出信号制御回路42はスイッチ33の切換えを行わないで、
検出信号発生回路43の発振周波数を変える。
例えば最初の周波数f1が600kHzであった場合、2回目
にはこの周波数f1と異る周波数f2、例えば300kHzで高周
波信号を出力させるようにする。しかして、第5図に示
すように電流比検出回路44によって電流比IP/IAの値を
2つの周波数で比較して、正常な状態であるか否かの識
別を行うようにしている。この電流比検出回路44は、抵
抗R2,R2′にそれぞれ接続されたA/Dコンバータ45,45′
と、これらA/Dコンバータ45,45′のディジタルデータの
一方を他方で割算して電流比IP/IAを求める演算を行うC
PU46とから構成され、この電流比IP/IAを検出信号制御
回路42に送出する。
例えば浮遊容量をCとすると、これによるインピーダ
ンスは、1/(2πfC)であり、浮遊容量Cにより、内視
鏡挿入部に流れる高周波電流は周波数が高くなる程大き
くなる。
従って、電流比IP/IAが設定値以下となった理由が第
6図(a)に示すように浮遊容量Cによるものであれ
ば、周波数をf1からf2又はf2からf1に変えたならば当然
電流比IP/IAの値も変化する(例えば高周波を高くなる
程ブレード12に流れる高周波漏れ電流が多くなる為に、
電流IPは小さくなり、従って、周波数が高くなるように
変えると電流比IP/IAは小さくなる)。
上述のように、600kHzのf1から300kHzのf2に変える
と、f1の周波数の信号時に比べ、浮遊容量Cによるイン
ピーダンスが2倍となり、高周波漏れが減少するため、
電流比IP/IAは増加する。
一方、電流比IP/IAの値が設定値以下になった理由が
例えば第6図(b)に示すように処置具6と内視鏡挿入
部9の金属露出部の接触であれば、周波数が600kHzから
300kHzとなっても、電流比IP/IAの値は殆ど変化しな
い。
これらの相違になり、電流比IP/IAが設定値以下にな
った原因が、単なる浮遊容量Cによるものか、異常な電
流経路が生じてしまったのか識別できる。
検出信号制御回路42は、電流比IP/IAの値が設定値以
下の場合、f1の周波数からf2の周波数を変えて、これら
の電流比IP/IAの値の変化から正常であるか異常である
かを識別し、正常であると識別すると、スイッチ33を切
換えて発振器31の高周波信号をパワーアンプ34側に出力
できるようにする。
一方、異常であると識別した場合には、スイッチ33の
切換を行わないで、図示しない警告手段、例えばブザー
による警告音とかLEDの点滅等で術者に警告するように
している。
この1実施例によれば、電流比IP/IAの値が設定値以
上であるか否かにより、使用可能な状態であるかの判別
を行うと共に、設定値以下の場合でもさらに周波数を変
えて使用可能な状態であるか否かの識別を行うようにし
ているので、挿入部が通常の内視鏡よりも長尺である内
視鏡とか、挿入部が細くて浮遊容量が大きい場合でも確
実に対処できる。
即ち、設定値以下の場合には、周波数を変えて電流比
IP/IAの値を求めて、その値があまり変化がない場合に
は処置具6と挿入部9の金属露出部の接触等による異常
な状態であり、使用することは危険である。
この状態で使用すると、その接触部において、患者に
対して火傷をおこす恐れがあり、従って出力を制御、つ
まり発振器31からの高周波を出力させないように制御す
ることは非常に有効である。
一方、設定値以下となった原因が単に浮遊容量Cによ
るものである場合には、焼灼の為のエネルギー効率は減
少するが、患者に対して危険性はない。このような状態
で機器の出力を出さないように制御してしまうことは、
手術を中止しなければならない事態にもなりかねないの
で、効率は落ちるが発振器31の出力を出せるようにする
ことは十分に意味がある。
又、手術を行わなければならない部位の制約から、ど
うしても細径の挿入部の内視鏡を使用しなければならな
い場合には、処置具チャンネルとその周囲のブレード部
分との間隔が小さくなり、浮遊容量が大きくなり易い。
このような場合にも1実施例は有効に機能することにな
る。
上記1実施例では光学式内視鏡7を用いているが、本
発明はこれに限定されるものでなく、第7図に示すよう
に電子内視鏡装置50を構成する電子内視鏡51を用いるこ
ともできる。
この電子内視鏡51は、挿入部9の先端部に設けた対物
レンズ52の焦点面に固体撮像素子として、例えばCCD53
が配設されている。
このCCD53は、第8図に示す挿入部9の断面図に示す
ように、信号ケーブル54と接続され、このケーブル54は
操作部(保持部)8から延出されたユニバーサルコード
55をして光源装置及び信号処理装置を内蔵した制御装置
56と接続される。この制御装置56は表示手段としてのモ
ニタ57と接続され、信号処理された映像信号がカラー表
示される。
第8図に示すように上記挿入部9は、外被20で被覆さ
れ、この外被20の内側にはブレード12が密着するように
設けられている。
このブレード12の内側には、照明光を伝送するライト
ガイド21、処置具用チャンネルチューブ23、シールドさ
れた信号ケーブル54等が挿通されている。
この電子内視鏡51の処置具チャンネル内に挿通して、
光学式内視鏡7と同時に使用できる。
尚、電子内視鏡51の場合には電流比IP/IAが一定値以
下の場合、さらに周波数を変えて正常か異常かを判断す
るが、異常と識別した場合、モニタ57の画面上に表示す
るようにしても良い。
又、電流比IP/IAの値を求める場合、これらの電流値I
P,IAの大きさもチェックし、電流比IP/IAの誤差範囲も
表示し、より確実な電流比IP/IAを求めるようにしても
良い。
さらに、電流ISとか他の電流IP,IAとの比等も求めて
総合的に識別するようにしても良い。
[発明の効果] 以上述べたように本発明によれば、処置具用電極に流
れる電流IAと患者電極、つまりリターン側となる電極を
流れる電流IPの比から電流経路が正常であるか否かの識
別を行うと共に、さらに周波数を変えて、その電流経路
が正常であるか否か識別するようにしているので、挿入
部が長尺である場合とか、挿入部の外径が細い内視鏡等
の場合にも、確実に正常あるいは異常であるか識別でき
る。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第6図は本発明の1実施例に係り、第1図
は1実施例の高周波電気メス装置の構成図、第2図は1
実施例を使用状態に設定した様子を示す説明図、第3図
は内視鏡挿入部の断面図、第4図は周波数に対する心筋
の感度を示す特性図、第5図はレベル検出比較回路の回
路図、第6図は1実施例を使用した場合における高周波
電流の経路を示す説明図、第7図は電子内視鏡装置の全
体構成図、第8図は電子内視鏡の挿入部の断面図であ
る。 1……高周波電気メス装置 2……Aコネクタ、3……Sコネクタ 4……Pコネクタ、6……処置具 7……内視鏡、9……挿入部 10……生体、10A……患部 12……ブレード、15……Pプレート 31……発振器、33……スイッチ 41……レベル検出比較回路 42……検出信号制御回路 43……検出信号発生回路

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】生体の患部に接触させて高周波電流で切除
    等の処置を行うための処置具用電極と、前記処置具用電
    極とは異る生体部位に広い面積で接触させる患者用電極
    と、前記処置具用電極の導線が挿通される内視鏡の導電
    性部材に接続されるスコープ電極とを有する高周波電気
    メス装置において、 前記処置具用電極と患者用電極に少くとも2つの異る周
    波数の高周波信号を出力する検出用高周波出力手段と、
    前記処置具用電極及び患者用電極をそれぞれ流れる電流
    IA,IPの電流比IP/IAを求める電流比算出手段と、異る周
    波数での電流比IP/IAから処置のための高周波電流の出
    力を制御する制御手段とを設けたことを特徴とする高周
    波電気メス装置。
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