JP2654242B2 - 磁気ディスク装置のキャリッジリトラクト回路 - Google Patents

磁気ディスク装置のキャリッジリトラクト回路

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【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、磁気ディスク装置のキャリッジリトラクト
回路に関する。
(従来の技術) 一般に磁気ディスク装置(HDD)では、ディスク駆動
用のモータの停止時は磁気ヘッドが磁気記録媒体とに接
触し、モータの回転駆動時は磁気ヘッドが磁気記録媒体
に対して0.2μm程度浮上させて使用する所謂コンタク
ト・スタート・ストップ方式(CSS方式)を用いてい
る。このCSS方式では、磁気記録媒体の損傷、すなわ
ち、磁気ヘッドと記録媒体の接触による破壊、磨耗をな
るべく少なくするために磁気ディスクの内周側の専用の
CSS領域を設け、このCSS領域で磁気ヘッドを記録媒体か
ら浮上もしくは接触させる方法を取っている。
また、磁気ヘッドを移動する場合は、記録媒体上に記
録された位置情報により目的の位置、すなわち、目的の
トラックに移動する制御方式を用いており、上記したCS
S領域への移動も同様な方法で行なっている。この場
合、磁気ヘッドの移動は、ヘッド駆動用モータ例えばボ
イスコイルモータ(VCM)に一定の電流を供給すること
により行なっている。
しかして、記録媒体上の情報は、どのような場合でも
失われてはならないものであり、従って、動作中に突発
的な原因により電源が遮断された場合においても、磁気
ヘッドはCSS領域において記録媒体に接触することが望
ましい。磁気ヘッドの浮上、接触の原理は、記録媒体の
回転に伴って磁気ヘッドの前端に流入する気体により形
成されるエアベアリングにより浮上し、回転が止まって
磁気ヘッドへの気体の流入がなくなると媒体に接触する
というものである。従って、CSS領域で、磁気ヘッドを
浮上あるいは接触させるということは、記録媒体の回転
数がある回転数に上昇するまではCSS領域に磁気ヘッド
を位置させ、また、ある回転数以下に低下する前にCSS
領域に磁気ヘッドを戻すという制御動作を行なうことに
なる。そして、電源遮断時での通常のキャリッジ移動制
御が不可能になった場合に、磁気ヘッドをCSS領域まで
移動させる回転がキャリッジリトラクト回路であり、従
来では第2図に示すように構成されている。
第2図において1は通常のVCM駆動回路で、モータ制
御回路2、モータ駆動回路3からなっている。モータ制
御回路2は、ディスク・コントローラ(図示せず)から
の指示に従ってモータ駆動回路3を制御し、ヘッドキャ
リッジ駆動用のVCM4を駆動する。
また、5はキャリッジリトラクト回路で、NPN型トラ
ンジスタTr、電界効果トランジスタFETを主体として構
成される。上記トランジスタTrのベースには、上記ディ
スクコントローラからモータオン信号Monが与えられ
る。このモータオン信号Monは、記録媒体の駆動用モー
タを駆動する場合にハイレベル、停止する場合にローレ
ベルとなる。そして、上記トランジスタTrは、エミッタ
が接地され、コレクタが電界効果トランジスタFETのゲ
ートに接続される。
また、この電界効果トランジスタFETのゲートには、
電源電圧VDDがダイオードD、抵抗R1,R2を介して与えら
れる。そして、この抵抗R1,R2の接続点と接地との間に
コンデンサCが設けられる。
一方、上記電界効果トランジスタFETは、電圧源VEが
抵抗R3を介して供給され、ドレインの出力がVCM4に供給
される。
上記の構成において、記録媒体の駆動用モータが回転
している状態では、ディスクコントローラからトランジ
スタTrのベースにモータオン信号Monが与えられ、トラ
ンジスタTrがオンしている。従って、電界効果トランジ
スタFETは、ゲートがローレベルとなってオフ状態とな
っている。このときコンデンサCは、電源電圧VDDを抵
抗R1,R2により分圧した電圧より充電されている。
この状態で電源が遮断され、モータオン信号Monがオ
フすると、VCM駆動回路1のモータ制御回路2及びモー
タ駆動回路3が非動作状態となると共に、キャリッジリ
トラクト回路5におけるトランジスタTrがオフし、電界
効果トランジスタFETのゲートには、コンデンサC1に蓄
えられた電圧が供給され、電界効果トランジスタFETが
オンする。これにより電圧源VEより抵抗R3で定まる電
流がVCM4に供給され、この電流によりVCM4が駆動されて
磁気ヘッドをCSS領域に移動させる。このときの電圧源
VEとしては、媒体駆動用モータの回転による起電力が
利用される。この場合、モータオン信号Monがオフして
もモータは慣性力によりしばらく回転しているので、そ
の起電力を利用することができる。
上記のようにして磁気ヘッドがCSS領域に移動する
と、その領域から移動しないようにロックする。このロ
ックは、キャリッジが移動してキャリッジストッパに当
たる時の衝撃力を利用して行なうのが一般的である。こ
の衝撃力は、力積で決まり、この力積F×T(時間)は F×T=m×V 但し、m=質量、V=速度 で与えられるので、ストッパ衝突時の衝突速度に依存す
ることになる。この衝突速度は、磁気ヘッドがストッパ
の近くにあるか、遠くにあるかによって異なり、遠くに
ある場合の方が大きい。即ち、V=αT(αは加速度)
であり、遠くにあれば加速度を受ける時間が長いので、
速度は大きくなる。
(発明が解決しようとする課題) 上記のように電源遮断時、磁気ヘッドをCSS領域に移
動する際、磁気ヘッドの位置によりストッパへの衝撃力
が異なったものとなる。従って、従来のキャリッジリト
ラクト回路では、弱い力でもストッパが正常に動作し、
かつ、強い力でも破壊しないように設計する必要があ
り、その設計が大変困難であった。また、時として大き
い衝撃力により磁気ヘッドの一部が破壊することがあっ
た。
本発明は上記実情に鑑みなされたもので、キャリッジ
リトラクト時に磁気ヘッドが記録媒体上の何処に位置し
ていても安定した衝突力でキャリッジをストッパに衝突
させることができ、磁気ヘッドの損傷を確実に防止得る
磁気ディスク装置のキャリッジリトラクト回路を提供す
ることを目的とする。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) 本発明は、磁気ディスク装置のキャリッジリトラクト
回路において、ヘッドキャリッジ駆動用モータにそれぞ
れ異なるリトラクト用駆動電流を供給する複数のキャリ
ッジリトラクト部を設け、キャリッジリトラクト時に記
録媒体上における磁気ヘッドの位置に応じて上記複数の
キャリッジリトラクト部の1つを選択して作動させるよ
うにしたものである。
(作用) 電源遮断時に記録媒体を回転駆動しているモータの駆
動信号がオフすると、その時の磁気ヘッドの位置に応じ
て複数のキャリッジリトラクト部の1つを選択して作動
させる。従って、この選択されたキャリッジリトラクト
部からヘッドキャリッジ駆動用モータに予め設定された
値の電流が供給される。即ち、キャリッジリトラクト時
に磁気ヘッドがCSS領域から遠い位置にあれば小さい電
流で、また、CSS領域から近い位置にあれば大きい電流
でヘッドキャリッジ駆動用モータが駆動される。この結
果、磁気ヘッドが記録媒体上の何処に位置しても、常に
一定範囲内の衝撃力でキャリッジをストッパに衝突させ
ることができ、磁気ヘッドの損傷を防止することができ
る。
(実施例) 以下図面を参照して本発明の一実施例を説明する。
第1図は本発明によるキャリッジリトラクト回路の構
成図であり、CSS領域が記録媒体の内周に設けられてい
る場合について示したものである。同図において、1は
通常のVCM駆動回路で、上記第2図の場合と同様にモー
タ制御回路2、モータ駆動回路3からなっている。モー
タ制御回路2は、ディスク・コントローラ(図示せず)
からの指示に従ってモータ駆動回路3を制御し、ヘッド
キャリッジ駆動用のVCM4を駆動する。
一方、10は本発明によるキャリッジリトラクト回路
で、複数の例えば第1ないし第3のキャリッジリトラク
ト部11,12,13を備え、これらのキャリッジリトラクト部
11,12,13を選択回路14がCPU15からの指示に従って選択
するようになっている。第1キャリッジリトラクト部11
はリトラクト時に磁気ヘッドが外周に位置している場
合、第2キャリッジリトラクト部12は磁気ヘッドが中周
に位置している場合、第3キャリッジリトラクト部13は
磁気ヘッドが内周に位置している場合に、選択回路14に
より選択される。
キャリッジリトラクト部11〜13は、同様の構成で、そ
れぞれ電界効果トランジスタFET1,FET2,FET3を備え、そ
のソースに電圧源VEがそれぞれ抵抗R4,R5,R6を介して
供給され、ドレイン出力がVCM4に供給される。この場
合、上記抵抗R4,R5,R6は、VCM4に供給する電流を調整す
るためのもので、「R4>R5>R6」の関係に設定される。
上記電圧源VEとしては、媒体駆動用モータの回転によ
る起電力、あるいは電源電圧VDDをコンデンサに蓄積し
た電力が利用される。
そして、上記電界効果トランジスタFET1,FET2,FET3の
ゲートは、モータオン信号Monによってオン動作するNPN
型トランジスタTr1のコレクタ・エミッタ間を介して接
地される。また、電界効果トランジスタFET1,FET2,FET3
のゲートには、電源電圧VDDがダイオードD、抵抗R1,R2
を介して与えられる。上記抵抗R1,R2の接続点は、それ
ぞれコンデンサC1,C2,C3を介して接地される。これらの
コンデンサC1,C2,C3には、それぞれ電界効果トランジス
タFET4,FET5,FET6のソース・ドレイン間が並列に接続さ
れる。これらの電界効果トランジスタFET4,FET5,FET6の
ゲートには、選択回路14から選択信号が与えられる。
選択回路14は、PNP型トランジスタTra,Trb,Trc及びセ
レクタ16からなり、セレクタ16にCPU15から制御信号が
与えられる。このCPU15は、磁気ヘッドの現在位置を常
に管理しており、磁気ヘッドの位置に応じて、つまり、
磁気ヘッドが外周、中周、内周の何れかに位置している
かを判断し、その位置に対応した制御信号をセレクタ16
に出力する。セレクタ16は、CPU15からの制御信号に応
じて出力端子A,B,Cからハイレベルあるいはローレベル
の信号をトランジスタTra,Trb,Trcのベースに出力す
る。これらのトランジスタTra,Trb,Trcは、エミッタが
接地され、コレクタが電界効果トランジスタFET4,FET5,
FET6のゲートに接続される。また、トランジスタTra,Tr
b,Trcのコレクタには、電源電圧VDDがそれぞれ抵抗R7,R
8,R9を介して供給される。
次に上記実施例の動作を説明する。
CPU15は、磁気ヘッドの位置を常に管理しており、磁
気ヘッドが外周、中周、内周の何れに位置しているかを
判断し、その位置に応じて制御信号を選択回路14のセレ
クタ16に出力する。セレクタ16は、CPU15からの制御信
号に応じて出力端子A,B,Cを選択し、選択した端子にハ
イレベル、非選択の端子にローレベルの信号を出力す
る。
今、磁気ヘッドが外周に位置しているとすると、CPU1
5からはセレクタ16に出力端子Aを選択するように制御
信号が送られる。セレクタ16は、CPU15からの制御信号
に従って出力端子Aにハイレベル、出力端子B,Cにロー
レベルの信号を出力する。これによりトランジスタTra
がオン、トランジスタTrb,Trcがオフし、第1キャリッ
ジリトラクト部11の電界効果トランジスタFET4がオフ、
第2キャリッジリトラクト部12及び第3キャリッジリト
ラクト部13の電界効果トランジスタFET5,FET6がオンす
る。従って、第1キャリッジリトラクト部11ではコンデ
ンサC1に電源電圧VDDが充電され、第2キャリッジリト
ラクト部12、第3キャリッジリトラクト部13のコンデン
サC2,C3は充電されない。
この状態で電源が遮断されると、モータオン信号Mon
及びセレクタ16の出力がすべてローレベルとなり、トラ
ンジスタTr1,Tra,Trb,Trc、電界効果トランジスタFET4
〜FET6、FET2,FET3がオフする。しかし、第1キャリッ
ジリトラクト部11では、コンデンサC1に電荷が蓄えられ
ているので、電界効果トランジスタFET1がオンとなり、
抵抗R4で定まる比較的小さい電流がVCM4に供給され、磁
気ヘッドをリトラクトさせる。
同様にして磁気ヘッドが中周に位置する場合は、セレ
クタ16の出力端子Bよりハイレベルの信号が出力されて
トランジスタTrbがオンし、コンデンサC2に電荷が蓄え
られる。従って、モータオン信号Monがオフした際に電
界効果トランジスタFET2がオンとなり、抵抗R5で定まる
電流がVCM4に供給され、磁気ヘッドをリトラクトさせ
る。
また、磁気ヘッドが内周に位置する場合は、セレクタ
16の出力端子Cよりハイレベルの信号が出力されてトラ
ンジスタTrcがオンし、コンデンサC3に電荷が蓄えられ
る。従って、モータオン信号Monがオフした際に電界効
果トランジスタFET3がオンとなり、抵抗R6で定まる比較
的大きな電流がVCM4に供給され、磁気ヘッドをリトラク
トさせる。
上記のようにキャリッジリトラクト時に、磁気ヘッド
の位置に応じてVCM4に流れる電流が制御されるので、そ
の電流を適宜に設定することにより、キャリッジがスト
ッパに衝突する衝撃力を適当に抑えることができ、磁気
ヘッドの破壊が防止される。
なお、上記実施例では、キャリッジリトラクト時に磁
気ヘッドの位置に応じてVCM4に流れる電流を3段階に切
換える場合について説明したが、この切換え数は3段階
に限らず任意に設定し得るものである。
[発明の効果] 以上詳記したように本発明によれば、磁気ディスク装
置において、キャリッジリトラクト時に、磁気ヘッドの
位置に応じてキャリッジ駆動用モータに流れる電流を複
数段階に切換え制御するようにしたので、キャリッジが
安定した衝撃力でキャリッジストッパに衝突させること
ができ、設計が非常に容易になると共に、磁気ヘッドの
損傷を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例に係る磁気ディスク装置のキ
ャリッジリトラクト回路を示す回路構成図、第2図は従
来の磁気ディスク装置のキャリッジリトラクト回路の構
成図である。 1……VCM駆動回路、2……モータ制御回路、3……モ
ータ駆動回路、4……VCM、11……第1キャリッジリト
ラクト部、12……第2キャリッジリトラクト部、13……
第3キャリッジリトラクト部、14……選択回路、15……
CPU、16……セレクタ、FET1〜FET6……電界効果トラン
ジスタ。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁気ディスク装置のキャリッジリトラクト
    回路において、ヘッドキャリッジ駆動用モータと、上記
    ヘッドキャリッジ駆動用モータにそれぞれ異なるリトラ
    クト用駆動電流を供給する複数のキャリッジリトラクト
    部と、キャリッジリトラクト時に記録媒体上におけるヘ
    ッドキャリッジの位置に応じて上記複数のキャリッジリ
    トラクト部の1つを選択して作動させる選択手段とを具
    備したことを特徴とする磁気ディスク装置のキャリッジ
    リトラクト回路。
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