JP2653575B2 - カンチレバー体及びこれを用いた表面修正装置 - Google Patents

カンチレバー体及びこれを用いた表面修正装置

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JP2653575B2
JP2653575B2 JP3219941A JP21994191A JP2653575B2 JP 2653575 B2 JP2653575 B2 JP 2653575B2 JP 3219941 A JP3219941 A JP 3219941A JP 21994191 A JP21994191 A JP 21994191A JP 2653575 B2 JP2653575 B2 JP 2653575B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば半導体製造プロ
セスで形成される薄膜絶縁膜の表面欠陥を探索するとと
もに修正するのに適用されるカンチレバー体及びこれを
用いた表面修正装置に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体ICのような固体デバイスは、多
層配線及び絶縁層から形成されておりその微細化及び形
状の複雑化がより一層進んでいる。このような半導体I
Cの製造プロセスにおいて問題となっているところは、
隣接し合う又は上下に位置する各配線同士のリーク電流
の発生である。このリーク電流発生の原因は各配線間を
絶縁するために形成されるSiO2 などの薄膜絶縁層の
表面欠陥にあると言われている。この薄膜絶縁層の表面
欠陥はスケールが非常に小さく原子レベルのスケールと
同レベルになるものもある。
【0003】ところで、最近になって走査型原子間力顕
微鏡(AFM)により薄膜絶縁層の表面を原子レベルの
分解能で観察できるようになっている。このAFMは飛
込み板状で剛性の低いカンチレバー(片持ち梁)の先端
に先端の尖った探針を設け、この探針を試料上に走査し
たときのカンチレバーの変位を測定系により測定して試
料の表面形状を求めるものである。このとき、測定系は
探針先端の原子と試料表面の原子との間に働く原子間力
(およそ10-9Nの斥力)によるカンチレバーの湾曲つ
まり変位を検出している。
【0004】しかしながら、このAFMでは薄膜絶縁膜
の表面形状を原子レベルの分解能で測定できるが、表面
欠陥に対してはこれを検出するのみで、この表面欠陥を
修正することは全く不可能である。
【0005】これに対して表面欠陥を修正する方法とし
て電子ビーム又はイオンビームなどの荷電粒子を用いて
雰囲気中のガスを励起分解して堆積するものがある。こ
の場合、薄膜絶縁膜の表面観察は試料表面から放出され
る二次電子又は二次イオンを検出して行い、この観察結
果から表面欠陥位置に荷電粒子ビームを当て堆積させる
ことになるが、この表面観察では薄膜絶縁膜の表面欠陥
を検出できる分解能がない。又、荷電粒子ビーム径を絞
るにも限度があり、例えば原子スケールの微小な領域の
表面欠陥に荷電粒子ビームを当ることは不可能である。
【0006】又、その他の方法として走査型トンネル顕
微鏡を使用することが考えられるが、この走査型トンネ
ル顕微鏡では絶縁性の材料に対しての表面形状の測定は
不可能である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上のようにAFMで
は薄膜絶縁膜の表面形状を原子レベルの分解能で測定で
きるが、表面欠陥を修正することは全く不可能であり、
又イオンビームなどの荷電粒子を用いて雰囲気中のガス
を励起分解して堆積する方法では薄膜絶縁膜の表面欠陥
を検出できる分解能がない。そこで本発明は、表面形状
を原子レベルの分解能で測定するとともに表面欠陥に対
する修正に適用されるカンチレバー体を提供することを
目的とする。又、本発明は、表面形状を原子レベルの分
解能で測定できるとともに表面欠陥に対する修正ができ
る表面修正装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、液体金属イオ
ン源の補給源としての第1の液体金属イオン源溜が形成
された支持体と、この支持体に設けられ、かつ先端に第
2の液体金属イオン源溜が形成されたカンチレバーと、
第1の液体金属イオン源溜からカンチレバーを通り第2
の液体金属イオン源溜に至る経路に形成された凹溝の流
路と、カンチレバーの先端に設けられ、かつ先端が尖鋭
に形成され、内部が空洞で第2の液体金属イオン源溜に
結ばれ、周囲に液体金属イオン源の流出孔が形成された
探針と、を備えたカンチレバー体である。
【0009】又、本発明は、液体金属イオン源の補給源
としての第1の液体金属イオン源溜が形成された支持体
と、この支持体に設けられ、かつ先端に第2の液体金属
イオン源溜が形成されたカンチレバーと、第1の液体金
属イオン源溜からカンチレバーを通り第2の液体金属イ
オン源溜に至る経路に形成された凹溝の流路と、カンチ
レバーの先端に設けられ、かつ先端が尖鋭に形成され、
内部が空洞で第2の液体金属イオン源溜に結ばれ、周囲
に液体金属イオン源の流出孔が形成されて、表面が液体
金属イオン源により覆われる探針と、この探針を被処理
体に対して走査したときの探針と被処理体との間に働く
原子間力により変位するカンチレバーの変位から被処理
体の表面形状を求める形状測定手段と、この形状測定手
段により求められた被処理体の表面形状から表面欠陥と
するところを検出し、かつこの表面欠陥とするところに
おいて探針と被処理体との間に電界を加えて探針の表面
を覆っている液体金属イオン源からイオンビームを放出
させて表面欠陥にイオンビームによる反応生成物を堆積
させる成膜手段と、を備えた表面修正装置である。又、
本発明は、液体金属イオン源の補給源としての第1の液
体金属イオン源溜が形成された支持体と、この支持体に
設けられ、かつ先端に第2の液体金属イオン源溜が形成
されたカンチレバーと、第1の液体金属イオン源溜から
カンチレバーを通り第2の液体金属イオン源溜に至る経
路に形成された凹溝の流路と、カンチレバーの先端に設
けられ、かつ先端が尖鋭に形成され、内部が空洞で第2
の液体金属イオン源溜に結ばれ、周囲に液体金属イオン
源の流出孔が形成されて、表面が液体金属イオン源によ
り覆われる探針と、この探針と被処理体との間に所定電
圧を印加する電圧印加手段と、探針を被処理体に対して
走査したときの探針と被処理体との間に働く原子間力に
より変位するカンチレバーの変位から被処理体の表面形
状を求めるとともに探針と被処理体との間の電圧印加時
に流れる探針と被処理体との間のリーク電流から被処理
体上の表面欠陥を求める形状測定手段と、この形状測定
手段により表面欠陥が検出された位置で探針と被処理体
との間の電界を高くして探針の表面を覆っている液体金
属イオン源からイオンビームを放出させて表面欠陥に前
記イオンビームによる反応生成物を堆積させる成膜手段
と、を備えた表面修正装置である。
【0010】
【作用】このようなカンチレバー体であれば、支持体に
形成された第1の液体金属イオン源溜の液体金属イオン
源は、この第1の液体金属イオン源溜からカンチレバー
を通り第2の液体金属イオン源溜に至る経路に形成され
た凹溝の流路を通って第2の液体金属イオン源溜に供給
され、さらに探針の流出孔から探針の表面を覆うものと
なる。しかるに、探針と被処理体との間に電界が印加さ
れると、液体金属イオン源からイオンビームが放出され
る。
【0011】又、上記表面修正装置であれば、探針を被
処理体に対して走査し、この走査したときの探針と被処
理体との間に働く原子間力により変位するカンチレバー
の変位から被処理体の表面形状を求める。そして、この
被処理体の表面形状から表面欠陥とするところを検出
し、かつこの表面欠陥とするところにおいて探針と被処
理体との間に電界を加えて探針の表面を覆っている液体
金属イオン源からイオンビームを放出させて表面欠陥に
イオンビームによる反応生成物を堆積させる。又、上記
表面修正装置であれば、探針を被処理体に対して走査し
たときのカンチレバーの変位から被処理体の表面形状を
求めるとともに探針と被処理体との間の電圧印加時に流
れる探針と被処理体との間のリーク電流から被処理体上
の表面欠陥を求める。そして、この表面欠陥が検出され
た位置で探針と被処理体との間の電界を高くして探針の
表面を覆っている液体金属イオン源からイオンビームを
放出させて表面欠陥にイオンビームによる反応生成物を
堆積させる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の一実施例について図面を参照
しながら説明する。
【0013】図1は表面修正装置の構成図である。この
表面修正装置は、走査型原子間力顕微鏡(AFM)を適
用したもので、探針を被処理体、例えば半導体プロセス
で形成される薄膜絶縁膜上に走査し、これら探針と薄膜
絶縁膜との間に働く原子間力により変位するカンチレバ
ーの変位から薄膜絶縁膜の表面形状を求め、かつこの薄
膜絶縁膜の表面上の表面欠陥を探索するとともに修正す
る機能を有している。チャンバ1には反応ガスのガス供
給ライン2及びガス排気ライン3が設けられている。こ
のチャンバ1の内部にはステージ4が設けられ、このス
テージ4上に被処理体5が載置されている。又、チャン
バ1の内部には圧電素子から成る微動素子6及び支持体
7を介してカンチレバー8が設けられている。
【0014】このカンチレバー8には探針9が設けら
れ、かつ図2に示すように凹溝の流路10が先端に向か
って形成されている。支持体7には液体金属イオン源1
1の予備的な補給源としての第1の液体金属イオン源溜
(以下、液体金属イオン源溜と称する)12が形成され
ており、この液体金属イオン源溜12に流路10が結ば
れている。又、カンチレバー8の先端における探針9の
上方にも第2の液体金属イオン源溜(以下、液体金属イ
オン源溜と称する)13が形成されている。この液体金
属イオン源溜13に溜められている液体金属イオン源1
1はカンチレバー8の形成材料よりも低い融点をもつ金
属である。
【0015】探針9は導電性材料により形成され、図3
に示すように先端ほど尖鋭に、かつその内部は空洞に形
成されて前記液体金属イオン源溜13と連結されてい
る。又、この探針9の周囲には液体金属イオン源11の
流出孔14が複数形成されている。従って、これ流出孔
14から液化された液体金属イオン11aが流出すると
図4に示すように探針9の先端部には液体金属イオン1
1aで覆われてその頂点にはテイラーコーンが形成され
る。
【0016】このテイラーコーンが形成されるのは表面
欠陥の修正時であって、表面形状の測定時にはテイラー
コーンは形成されず、探針9の先端部はただ単に液体金
属イオン11aで覆われているだけである。
【0017】ここで、表面形状測定時、表面欠陥修正時
における探針9の先端部の状態を図5を参照して説明す
ると、先ず表面形状の測定前、カンチレバー8は加熱さ
れ、この加熱により液体金属イオン源11は同図(a) に
示すように液化して探針9の先端部を濡らす。そして、
電界Eが加えられ、これにより探針9の先端部は同図
(b) に示すように液化された液体金属イオン11aによ
り覆われてテイラーコーンが形成される。このときのテ
イラーコーンの長さをΔyとする。
【0018】次に表面形状の測定は同図(c) に示すよう
に探針9に加えられる電界Eの強さが弱められ、これに
よりテイラーコーンは形成されず、探針9の先端部は液
体金属イオン11aにより覆われた状態となる。
【0019】次に表面欠陥の修正時は同図(d) に示すよ
うに探針9がテイラーコーンの長さΔyだけ上昇され、
この状態に同図(e) に示すように探針9に対してテイラ
ーコーンが形成される強さの電界が加えられる。そし
て、さらに電界が強められると、テイラーコーンの先端
からイオンビームが放出される。
【0020】一方、カンチレバー8は探針9と同様に導
電性材料から形成され、その上方には変位センサ15が
配置されている。この変位センサ15はカンチレバー8
の変位を検出してその変位検出信号を出力する。この変
位検出信号はフィードバック回路16に送られており、
このフィードバック回路16は変位検出信号を受けて探
針9の先端と被処理体5の表面との間隔が一定となるよ
うに微動素子6に電圧を印加するとともに、この印加電
圧つまりカンチレバー8の変位を処理装置17に送る機
能を有している。又、ステージコントローラ18はステ
ージ4をXY平面上に走査させる機能を有している。
【0021】一方、カンチレバー8には電圧コントロー
ラ19が接続され、この電圧コントローラ19はカンチ
レバー8を通して探針9と被処理体5との間に所定の電
圧を印加し、かつ処理装置17からの修正指令を受けて
探針9と被処理体5との間に印加する電圧を高く制御す
る電圧印加手段及び成膜手段として一部機能を有してい
る。
【0022】電流検出回路20は電圧コントローラ19
により所定電圧が探針9と被処理体5との間に印加され
ているときに、これら探針9と被処理体5との間に流れ
るリーク電流を検出してその電流検出信号を処理装置1
7に送出する機能を有している。
【0023】処理装置17はフィードバック回路16か
らのカンチレバー8の変位及びステージコントローラ1
8からの走査位置信号を受けて被処理体5の表面3次元
形状を求め、この被処理体5の表面3次元形状から凹部
等の表面欠陥とするところを検出する機能を有してい
る。又、この処理装置17はフィードバック回路16か
らのカンチレバー8の変位及びステージコントローラ1
8からの走査位置信号を受けて被処理体5の表面3次元
形状を求め、かつ電流検出回路20からの電流検出信号
を受けたときに表面欠陥位置と判断して電圧コントロー
ラ19に修正指令を発する機能を有している。次に上記
の如く構成された装置の作用について説明する。先ず、
被処理体5の表面形状の測定について説明する。
【0024】この表面形状の測定時に探針9は上記図5
(c) に示すように液化された液体金属イオン11aによ
り覆われた状態にあり、かつテイラーコーンは形成され
ていない。なお、カンチレバー8は表面形状の測定前か
ら加熱されており、この加熱により液化された液体金属
イオン源11は液化されて図7に示す流路10を流れて
液体金属イオン源溜13に到達し、さらに探針9の内部
に流込み、図7に示すように各流出孔14から流出す
る。このように各流出孔14から液化された液体金属イ
オン11aが流出することにより、上記の如く探針9は
液体金属イオン11aにより覆われる。
【0025】ステージコントローラ18はステージ4を
XY平面上に走査する。この状態に探針9の先端と被処
理体5の表面の原子との間に働く原子間力によりカンチ
レバー8は被処理体5の表面形状に応じて変位する。変
位センサ15はカンチレバー8の変位を検出してその変
位検出信号を出力する。フィードバック回路16は変位
検出信号を受けて図6に示すように探針9の先端と被処
理体5の表面との間隔dが一定となるように微動素子6
に電圧を印加するとともに、この印加電圧つまりカンチ
レバー8の変位を処理装置17に送る。これにより、微
動素子6は印加電圧に応じて変位し、探針9の先端と被
処理体5の表面との間隔dは一定に制御される。
【0026】一方、処理装置17はフィードバック回路
16からのカンチレバー8の変位及びステージコントロ
ーラ18からの走査位置信号を受けて図8に示すように
被処理体表面の3次元形状を求める。次に表面欠陥の修
正の作用について説明する。
【0027】すなわち、処理装置17は、上記の如くフ
ィードバック回路16からのカンチレバー8の変位及び
ステージコントローラ18からの走査位置信号を受けて
被処理体5の表面3次元形状、すなわちAFMの測定に
よる被処理体5の表面3次元形状を求め、この被処理体
5の表面3次元形状から凹部等の表面欠陥とするところ
を検出する。そして、この処理装置17は、この被処理
体5の表面3次元形状から例えば凹部を表面欠陥と判断
し、この表面欠陥位置と判断して電圧コントローラ19
に修正指令を発する。又、処理装置17は、AFMの測
定による被処理体5の表面3次元形状の表面欠陥を例え
ば再チェックするために探針9と被処理体5との間にリ
ーク電流を流して表面欠陥を検出する。これは、半導体
製造プロセスで形成される薄膜絶縁膜の表面欠陥として
は、例えば薄膜絶縁膜が凹部に形成されていたり、又、
薄膜絶縁膜がなくその下層の導電部が現れている場合を
表面欠陥とするからであり、リーク電流の流れにより薄
膜絶縁膜から導電部が現れたところを表面欠陥として再
チェックするためである。この場合、図5(d) に示すよ
うに探針9がテイラーコーンの長さΔyだけ上昇され、
この状態に同図(e) に示すように探針9に対してテイラ
ーコーンが形成される強さの電界が加えられる。
【0028】この状態にステージコントローラ18はス
テージ4をXY平面上に走査する。電圧コントローラ1
9はカンチレバー8を通して探針9と被処理体5との間
に所定の電圧を印加する。これとともに電流検出回路2
0は探針9と被処理体5との間に流れるリーク電流を検
出し、このリーク電流を検出したときにその電流検出信
号を処理装置17に送出する。
【0029】この処理装置17は電流検出回路20から
の電流検出信号の取込まれるのを待ち、この電流検出信
号が取込まれたときにステージコントローラ18からの
走査位置信号から被処理体5上における表面欠陥の位置
を判断する。そして、処理装置17は表面欠陥の位置を
判断すると、このとき電圧コントローラ19に対して修
正指令を発する。
【0030】しかして、この修正指令を受けると電圧コ
ントローラ19は、カンチレバー8を通して探針9と被
処理体5との間に印加する電圧をさらに高く制御する。
つまり、図5(e) に示すテイラーコーンが形成されてい
るときの電界よりもさらに大きい電界が加わるように電
圧を高める。そして、探針9と被処理体5とへの印加電
圧は、この印加電圧によって流れる電流により加熱され
るカンチレバー8の温度が液体金属イオン源11の融点
以上となる値である。これにより、カンチレバー8を通
して探針9、被処理体5に流れる電流量は増加し、かつ
探針9と被処理体5との間の電界の強さは大きくなる。
かくして、図9に示すように液体金属イオン11aはイ
オン化されてイオンビームとして放出され、陰極である
被処理体5に向かう。
【0031】このイオンビームが放出されると、被処理
体5には薄膜が形成されるが、次にこの薄膜形成の作用
について説明する。ガス供給ライン2からはガス分子3
0a、30bが供給されており、これらガス分子30は
イオンビームにより励起分解されて活性種31を生じ
る。次にこれら活性種31とガス分子30bとが反応し
て反応生成物32が被処理体5の表面上に堆積する。こ
の場合、探針9の先端は表面欠陥の上方に位置している
ので、反応生成物32は表面欠陥上に堆積する。
【0032】具体的に材料名等を挙げて説明する。カン
チレバー8及び探針9として導電性が良く高融点の金属
であるタングステンWを使用し、液体金属イオン源11
としてSi、Au−Si、Au−Si−Be等のSiを
含む共晶金属を使用し、かつ一方のガス分子30として
テトラメトキシシランSi(OCH34 を使用し、他
方のガス分子31としてO2 を使用した場合である。
【0033】この場合、液体金属イオン11からはSi
2+のイオンビームが放出される。このイオンビームが放
出されると、ガス分子30はイオンビームにより励起分
解されてSi系活性種31を生じる。次にこれら活性種
31とガス分子30bとが反応してSiO2 の反応生成
物32が被処理体5の表面上に堆積する。
【0034】このように上記一実施例においては、探針
9を例えば薄膜絶縁層の被処理体5に対して走査したと
きの探針9と被処理体5との間に働く原子間力により変
位するカンチレバー8から測定される被処理体5の表面
形状から表面欠陥を求め、又は探針9と被処理体5との
間に流れるリーク電流から被処理体5上の表面欠陥を求
め、これら探針9と被処理体5との間の電界を高くして
液体金属イオン11aからイオンビームを放出させて表
面欠陥に反応生成物32を堆積させるようにしたので、
原子レベルスケールと同一レベルの薄膜絶縁層における
表面欠陥が検出できるとともにこの薄膜絶縁層の表面欠
陥の修正ができる。この場合、探針9の先端にはテイラ
ーコーンが形成されるので、その形状は探針9の先端形
状がいかなる形状でも常にテイラーコーン形成で一定と
なり、安定で微小サイズのイオンビームを放出でき、こ
れにより一度に行える反応生成物32の堆積面積はイオ
ンビームの放出角度に依存し、よって探針9と被処理体
5との間隔が短い程小さくできる。従って、探針9と被
処理体5との間隔を調整することによって原子レベルの
表面欠陥に成膜をすることができる。又、表面欠陥の検
出と表面欠陥の修正とができる。
【0035】又、被処理体5が熱に強いものであれば、
探針9の先端にテイラーコーンを形成した状態で表面形
状の測定を行なってもよいが、被処理体5が熱に弱いも
のであれば、探針9の加熱を一時止めて表面形状の測定
行なうほうがよい
【0036】なお、本発明は上記一実施例に限定される
ものでなくその要旨を変更しない範囲で変形してもよ
い。例えば、探針9と被処理体5との間の電界を強くし
てイオンビームのエネルギを大きくし、その高エネルギ
のイオンビームによって被処理体5の表面をエッチング
することもできる。このエッチングを利用して被処理体
5の表面上に存在する微細なパーティクルの除去や配線
パターンの余分な凸部の補正、又絶縁膜を挟んで上下関
係にある電極同士を繋ぐ配線のための溝を形成できる。
又、液体金属イオン11を探針9の先端のみに覆うので
なく、カンチレバー8及び探針9の全体に覆うようにし
てもよい。
【0037】探針9と被処理体5との間の印加電圧を変
化させ、この印加電圧変化に対する探針9と被処理体5
との間の電流から被処理体5の表面形状等の分析を行っ
てもよい。又、この表面形状等の分析を微動素子6に一
定周期の周波数成分を含む電圧を印加することにより、
探針9と被処理体5との間の斥力から求めるようにして
もよい。さらに液体金属イオン源の種類を代えて各種金
属の堆積を行ったり、この堆積のときにステージを移動
させて任意のパターンを形成してもよい。
【0038】
【発明の効果】以上詳記したように本発明によれば、表
面形状を原子レベルの分解能で測定するとともに表面欠
陥に対する修正に適用されるカンチレバー体を提供でき
る。又、本発明によれば、走査型原子間力顕微鏡、すな
わち探針を薄膜絶縁層等の被処理体に対して走査したと
きの探針と被処理体との間に働く原子間力により変位す
るカンチレバーから測定される薄膜絶縁層等の表面欠陥
を原子レベルの分解能で測定でき、かつ走査型原子間力
顕微鏡の探針を用いて薄膜絶縁層等の表面欠陥を修正で
きる表面修正装置を提供できる。又、本発明によれば、
表面形状を原子レベルの分解能で測定できるとともに表
面欠陥に対する修正ができる表面修正装置を提供でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る表面修正装置の一実施例を示す構
成図。
【図2】本発明に係わるカンチレバー体の一実施例を示
す構成図。
【図3】同カンチレバー体における探針の具体的な構成
図。
【図4】同探針に形成されるテイラーコーンを示す図。
【図5】同探針先端部における測定及び修正での状態を
示す図。
【図6】同探針よる被処理体表面の走査を示す図。
【図7】表面修正時における探針の液体金属イオンの覆
う状態を示す図。
【図8】表面修正装置による表面形状の測定結果を示す
図。
【図9】表面修正時における反応生成物の堆積作用を示
す図。
【符号の説明】
1…チャンバ、2…カス供給ライン、3…ガス排出ライ
ン、4…ステージ、5…被処理体、6…微動素子、8…
カンチレバー、9…探針、10…溝、11…液体金属イ
オン源、12,13…液体金属イオン源溜、14…流出
孔、15…変位センサ、16…フィードバック回路、1
7…処理装置、18…ステージコントローラ、19…電
圧コントローラ、20…電流検出回路。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体金属イオン源の補給源としての第1
    の液体金属イオン源溜が形成された支持体と、 この支持体に設けられ、かつ先端に第2の液体金属イオ
    ン源溜が形成されたカンチレバーと、 前記第1の液体金属イオン源溜から前記カンチレバーを
    通り前記第2の液体金属イオン源溜に至る経路に形成さ
    れた凹溝の流路と、 前記カンチレバーの先端に設けられ、かつ先端が尖鋭に
    形成され、内部が空洞で前記第2の液体金属イオン源溜
    に結ばれ、周囲に前記液体金属イオン源の流出孔が形成
    された探針と、 を具備したことを特徴とするカンチレバー体。
  2. 【請求項2】 液体金属イオン源の補給源としての第1
    の液体金属イオン源溜が形成された支持体と、 この支持体に設けられ、かつ先端に第2の液体金属イオ
    ン源溜が形成されたカンチレバーと、 前記第1の液体金属イオン源溜から前記カンチレバーを
    通り前記第2の液体金属イオン源溜に至る経路に形成さ
    れた凹溝の流路と、 前記カンチレバーの先端に設けられ、かつ先端が尖鋭に
    形成され、内部が空洞で前記第2の液体金属イオン源溜
    に結ばれ、周囲に前記液体金属イオン源の流出孔が形成
    されて、表面が前記液体金属イオン源により覆われる探
    針と、 この探針を被処理体に対して走査したときの前記探針と
    前記被処理体との間に働く原子間力により変位する前記
    カンチレバーの変位から前記被処理体の表面形状を求め
    る形状測定手段と、 この形状測定手段により求められた前記被処理体の表面
    形状から表面欠陥とするところを検出し、かつこの表面
    欠陥とするところにおいて前記探針と前記被処理体との
    間に電界を加えて前記探針の表面を覆っている前記液体
    金属イオン源からイオンビームを放出させて前記表面欠
    陥に前記イオンビームによる反応生成物を堆積させる成
    膜手段と、 を具備したことを特徴とする表面修正装置。
  3. 【請求項3】 液体金属イオン源の補給源としての第1
    の液体金属イオン源溜が形成された支持体と、 この支持体に設けられ、かつ先端に第2の液体金属イオ
    ン源溜が形成されたカンチレバーと、 前記第1の液体金属イオン源溜から前記カンチレバーを
    通り前記第2の液体金属イオン源溜に至る経路に形成さ
    れた凹溝の流路と、 前記カンチレバーの先端に設けられ、かつ先端が尖鋭に
    形成され、内部が空洞で前記第2の液体金属イオン源溜
    に結ばれ、周囲に前記液体金属イオン源の流出孔が形成
    されて、表面が前記液体金属イオン源により覆われる探
    針と、 この探針と被処理体との間に所定電圧を印加する電圧印
    加手段と、 前記探針を被処理体に対して走査したときの前記探針と
    前記被処理体との間に働く原子間力により変位する前記
    カンチレバーの変位から前記被処理体の表面形状を求め
    るとともに前記探針と前記被処理体との間の電圧印加時
    に流れる前記探針と前記被処理体との間のリーク電流か
    ら前記被処理体上の表面欠陥を求める形状測定手段と、 この形状測定手段により表面欠陥が検出された位置で前
    記探針と前記被処理体との間の電界を高くして前記探針
    の表面を覆っている前記液体金属イオン源からイオンビ
    ームを放出させて前記表面欠陥に前記イオンビームによ
    る反応生成物を堆積させる成膜手段と、 を具備したことを特徴とする表面修正装置。
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