JP2653125B2 - 血糖低下剤 - Google Patents

血糖低下剤

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JP2653125B2 JP63238482A JP23848288A JP2653125B2 JP 2653125 B2 JP2653125 B2 JP 2653125B2 JP 63238482 A JP63238482 A JP 63238482A JP 23848288 A JP23848288 A JP 23848288A JP 2653125 B2 JP2653125 B2 JP 2653125B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は血糖低下剤に関する。
従来の技術 糖尿病は主としてインスリン依存型糖尿病とインスリ
ン非依存型糖尿病とに分類される。前者は自己免疫的機
序によりランゲルハンス氏島のβ細胞が破壊され、イン
スリン分泌が極端に低下するものである。そして生命の
維持のためには毎日インスリン注射を行なうことが必須
である。一方我が国の全糖尿病患者の95%を占めるとい
われるインスリン非存在型糖尿病でも、膵β細胞機能の
障害が存在する。すなわちインスリン非依存型糖尿病患
者の膵β細胞は、グルコースに対する反応性が低下して
いることが特徴で、その結果血糖のホメオスターシスを
維持するに十分な量のインスリン分泌を行なうことが出
来ない。なぜインスリン非依存型糖尿病の膵β細胞にそ
のような機能障害が起こるのかは全く分かっていない。
インスリンは血糖値のホメオスターシスを維持するう
えで最も重要なホルモンであり、膵内分泌腺のβ細胞か
ら分泌される。膵内分泌組織にはα、β、δおよびPPの
4種類の細胞があり、それぞれグルカゴン、インスリ
ン、ソマトスタチン、パンクレアティクポリペプチドを
分泌していることが知られている。これら4種類の細胞
が多数集まってランゲルハンス氏島と呼ばれる膵内分泌
組織を構成する。ランゲルハンス氏島は膵外分泌組織の
間に散在し、豊富な神経および血管支配を受けている。
膵β細胞からのインスリン分泌の刺激因子として最も
重要なものがグルコースであることは疑う余地がない
が、GIPなどに代表される消化管ホルモンや自律神経系
による調節も生理的意義が少なくないと考えられる。さ
らに他の膵ランゲルハンス氏島ホルモン、すなわちソマ
トスタチンなどの関与も無視できない。
このようにインスリン分泌に影響を与える因子は少な
くないが、それらの膵β細胞における作用機序は不明な
点が極めて多い。
さて、このような糖尿病治療には、経口糖尿病薬及び
インスリン療法が用いられている。経口糖尿病薬として
は主としてインスリン分泌促進を介して血糖降下作用を
発現するスルフォニル尿素剤と、主として糖代謝系を介
して血糖降下作用を示すビグアナイド剤とが汎用されて
いるが、副作用の点等から必ずしも満足すべきものでは
ない。また、インスリン療法は、厳密な血糖制御を必要
とする糖尿病患者に用いられている。インスリンは血糖
低下作用の持続時間が短いため、臨床的にはインスリン
頻回注射療法およびインスリン皮下持続注入療法がイン
スリン療法として使用されている。しかし、これは患者
にとって苦痛であるうえ、低血糖、アレルギー、注射部
位の脂肪の萎縮などの副作用を伴うことが知られてい
る。
発明が解決しようとする課題 血糖低下剤として、特効性に優れ、副作用の少ないも
のが望まれている。本発明の課題は、このような条件を
満たし、糖尿病の治療に役立つ有効因子を見つけ出し、
新規な血糖低下剤を提供することにある。
課題を解決するための手段 本発明者等は叙上の課題を解決するため血糖低下作用
物質を検索した結果、ポリペプチドBUF−3もしくはそ
の類縁体であるBUF−4及びBUF−5が血糖を低下する作
用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明はポリペプチドBUF−4及び/又はBUF−
5を有効成分として含有する血糖低下剤である。ポリペ
プチドBUF−3、BUF−4及びBUF−5の理化学的性質は
以下の通りである。
(1) ポリペプチドBUF−3(以下BUF−3とする)の
理化学的性質 (a) 構 造:単量体A(第1図参照)のホモダイマ
ー (b) 分子量:単量体として16±1kd(1.0%メルカプ
トエタノール存在下、SDS−電気泳動法) ホモダイマーとして25±1kd(メルカプトエタノール非
存在下、SDS−電気泳動法) (c) 等電点:pI6.3±0.2(クロマトフォーカミング
法) pI7.3(等電点電気泳動法) (d) pH安定性:pH2.0〜10.0の範囲で安定 (e) 熱安定性:60℃,60分の加熱で安定 (f) 有機溶媒安定性:低級アルコール,アセトニト
リルに対し安定 (g) プロテアーゼ耐性:プロナーゼ処理で完全に失
活する。
(h) アミノ酸配列:単量体Aのアミノ酸配列は第1
図に示す。
(2) ポリペプチドBUF−4(以下BUF−4とする)の
理化学的性質 (a) 構 造:単量体A及び単量体B(第2図参照)
のヘテロダイマー (b) 分子量:単量体A及び単量体Bともに16±1kd
(1.0%メルカプトエタノール存在下、SDS−電気泳動
法) ヘテロダイマーとして25±1kd(メルカプトエタノール
非存在下、SDS−電気泳動法) (c) 等電点:pI7.3±0.5(等電点電気泳動法) (d) pH安定性:pH2.0〜10.0の範囲で安定 (e) 熱安定性:65℃,60分の加熱で安定 (f) 有機溶媒安定性:低級アルコール,アセトニト
リルに対し安定 (g) プロテアーゼ耐性:プロナーゼ処理で完全に失
活する。
(h) アミノ酸配列:単量体Aのアミノ酸配列は第1
図に、単量体Bのアミノ酸配列は第2図に示す。
(3) ポリペプチドBUF−5(以下BUF−5とする)の
理化学的性質 (a) 構 造:単量体Bのホモダイマー構造 (b) 分子量:単量体として16±1kd(1.0%メルカプ
トエタノール存在下、SDS−電気泳動法) ホモダイマーとして25±1kd(メルカプトエタノール非
存在下、SDS−電気泳動法) (c) 等電点:pI7.3±0.5(等電点電気泳動法) (d) pH安定性:pH2.0〜10.0の範囲で安定 (e) 熱安定性:65℃,60分の加熱で安定 (f) 有機溶媒安定性:低級アルコール、アセトニト
リルに対し安定 (g) プロテアーゼ耐性:プロナーゼ処理で完全に失
活する。
(h) アミノ酸配列:単量体Bのアミノ酸配列は第2
図に示す。
本発明に係るBUF−3、4及び5は第1図、第2図に
示すアミノ酸配列と全く同一のアミノ酸配列を有しなく
とも血糖低下作用を有すれば、その物質は本発明のBUF
−3、4及び5に含有される。
即ち、第1図又は第2図に示すアミノ酸配列中の1個
若しくは複数のアミノ酸を他のアミノ酸に置換した構造
を有する物質並びに、当該配列において1個もしくは複
数個のアミノ酸がN末端又はC末端に付加された構造を
有する物質、更には、当該配列のN末端又はC末端より
1個もしくは複数のアミノ酸が欠損し、かつ連続してい
るアミノ酸配列よりなる構造を有する物質も本発明のBU
F−3、4及び5に含まれる。
BUF−3はマウスフレンドウイルス誘発白血病細胞F5
−5に対する分化誘導作用を指標に精製されたポリペプ
チドである。
また、BUF−3はマウス白血病細胞を正常細胞に分化
成熟せしめる活性(特開昭62−234097、特開昭62−2407
0)以外にも貧血治療効果(特開昭62−234097、特開昭6
2−24070)及び卵胞刺激ホルモン分泌作用(Nature,32
1,776−779,(1986))を合せもつ有用な物質である。
尚、BUF−3はEDF(Erythroid Differentiation Fact
or)ともFRP(FSH Releasing Protein)とも呼ばれるが
本発明においては従来から用いられるBUF−3という名
称を用いることにする。
一方、BUF−4が卵胞刺激ホルモン分泌作用を有する
ことは既に報告されている(Vale,W.,River,J.,Vaugha
n,J.,McClintock,R.,Corrigan,A.,Woo,W.,D.and Spies
s,J.(1986)Nature321,776−777)。
尚、BUF−4はアクチビン(Activin)とも称される
が、本発明においてBUF−4という名称を用いることに
する。
更に、BUF−5は特開昭63−119679号公報に開示され
ている物質である。
上述のようにBUF−3、BUF−4及びBUF−5には卵胞
刺激ホルモン放出作用等の作用を有することは既に知ら
れているが、本発明の如き血糖低下作用については全く
報告されていない。
さて、本発明のBUF−3、BUF−4及びBUF−5のいず
れの物質も動物実験で優れた特効性血糖低下作用を有
し、また、マウス及びヒトの培養細胞に対して毒性を示
さないことより、ヒトの糖尿病の予防、治療に安全かつ
有効であると考えられる。
本発明の血糖低下剤はポリペプチドBUF−4及び/又
はBUF−5を有効成分として含有するものである。
更に本発明の血糖低下剤は膵臓等の機能を診断する目
的でも用いることができる。
さて、本発明の血糖低下剤は主として非経口的(静脈
内、皮下、筋肉内、経皮、経粘膜)に投与される。
さて、前記有効成分の投与量であるが、BUF−3若し
くはBUF−4又はBUF−5のいずれか1つの物質のみを単
独で用いる場合は、いずれの物質を用いる場合でも、通
常成人1日あたり約0.01mg〜100mgであり、これを1回
又は数回に分けて投与すれば良い。また、2種類以上を
組み合せて投与する場合(即ち、(a)BUF−3とBUF−
4、(b)BUF−3とBUF−5、(c)BUF−4とBUF−
5、(d)BUF−3、BUF−4及びBUF−5)も、各物質
も薬効はほぼ等しいことより、通常成人1日あたり約0.
01mg〜100mgを1回又は数回に分けて投与すれば良い。
もちろん、投与量は患者の血糖値、病状、患者の体重及
び当業者が認める他の因子によって変化するので、上記
投与量を厳守する必要はなく、臨機応変に決定すればよ
い。
本発明に使用するBUF−3等の有効成分の製剤化は通
常の方法によって行われ、主として注射剤とされるが、
他のカプセル剤、錠剤等の剤型へ製剤化される。注射剤
を調製する場合には主薬のBUF−4及び/又はBUF−5に
必要によりpH調整剤、緩衝剤、安定化剤、保存剤などを
添加し常法により静脈内、皮下、筋肉内用注射剤とすれ
ばよい。又、経口用製剤を調製する場合には主薬のBUF
−4及び/又はBUF−5に賦形剤、さらに必要に応じ
て、結合剤、崩壊剤、着色剤等を加え常法により錠剤、
カプセル剤等とする。
次に血糖低下作用を有するBUF−3、BUF−4及びBUF
−5の製造法について簡単に説明する。
まずBUF−3であるが、BUF−3は悪性白血病細胞の細
胞培養法又は、組換えDNA法のいずれを用いても生産で
きる。
まず、細胞培養法であるが、BUF−3を産生するヒト
悪性単球細胞としては、ヒト白血病細胞又はヒト骨髄細
胞を人為的に悪性化させたもの、より具体的に例示すれ
ば次のようなものが有る。ヒト慢性骨髄生白血病細胞
(U−937 ATCC CRL 1593.Int.J.Cancer 17:565(197
6),K562,Blood 45:321(1975))、急性単球性白血病
細胞(THP−1,Int.J.Cancer 26:171−176(1980)。も
ちろんBUF−3を生産していれば、上記以外のヒト白血
病細胞を用いてもかまわない。さて特定の分化誘導物質
は、悪性化単球細胞と接触させた時、この細胞をマクロ
ファージ、顆粒球の単球細胞に分化誘導させると共に、
BUF−3を生産せしめる作用を有する物質であり、具体
的にはアクチノマイシンD、マイトマイシンC、コンカ
ナバリンA及びホルボールエステル(TPA)等の特定の
分化誘導物等である。
本発明のBUF−3を生成せしめる方法は、悪性化単球
細胞を少くとも1種又は2種以上の上記特定の分化誘導
物質の共存下で培養することによりなされ、BUF−3は
培養液中(細胞外)に産生される。
悪性化単球細胞を培養する培地は、動物細胞を培養す
る通常の培地が用いられる。例を挙げれば、ローズウェ
ル・パーク・メモリアル・インスティテュート1640培地
(Roswell Park Memorial Institute 1640、以下RPMI−
1640と略す。)が好適である。
悪性化単球細胞の培養は、通常1〜5×106個/mlの細
胞密度で、35〜38℃にて4〜6%の炭酸ガス気流中でゆ
るやかに撹拌しつつ行われる。特定の分化誘導物質は、
通常培養の最初より培地に添加しても良く又培養の途中
から添加しても良い。添加量は分化誘導物質の種類によ
って異なるがアクチノマイシンD、マイトマイシンC等
の場合には0.1〜10μg/ml、TPAの場合には1〜500μg/m
lである。このようにして1〜5日間培養するとBUF−3
は培養液中に蓄積される。
BUF−3は、血糖低下作用以外にもFriendウイルス誘
発白血病細胞F5−5(Bibl.Haemst.,43,37(1976))に
対する分化誘導作用を有するので、この作用を利用して
BUF−の定性及び定量分析ができ、F5−5を用いる分析
は、Proc.Nat1.Acad.Sci.,71,98,(1975)に記載の方法
に従って行われる。又活性の表示はF5−5細胞分化が明
瞭に確認される検体原液の稀釈率の逆数の値を原液1.0m
l当りの活性とする。この発明方法でBUF−3を生産した
時、培養液は4〜1000単位/mlの活性を示す。このよう
にして目的とするBUF−3が生産される。
尚、本方法の詳細は特開昭62−234097号公報、特開昭
62−24070号公報に記載されている。
組換えDNA法によるBUF−3の生産法、即ちBUF−3を
コードする遺伝子すなわち、単量体Aを含有するプラス
ミドにより形質転換された真核物細胞(具体的にはIFO
−50146等)を培養液中で培養し、培養液中に該BUF−3
を製造せしめるという方法をもちいてもかまわない(特
願昭62−210810、Masahiro Murata,Kazuya Onomichi,Yu
zuru Eto,Hiroshiro Shibai and Masami Muramatsu BI
OCHEMICAL AND BIOPHYSICAL RESEARCH COMMUNICATIONS
Vol.151,No.1,Pages 230−235(1988))。
BUF−4及びBUF−5の生産は組換えDNA法によるBUF−
3の生産に準じておこなわれるので以下にその概要のみ
を記載する。
BUF−4を生成せしめる方法は、BUF−4をコードする
遺伝子、すなわち単量体A及び単量体Bを含含有するプ
ラスミドにより形質転換された真核生物を培養液中で培
養し培養液中にBUF−4を製造させればよい(特開昭63
−119679)。
またBUF−5を生成せしめる方法はBUF−5をコードす
る遺伝子、すなわち単体Bを含有するプラスミドにより
形質転換された真核生物細胞を培養液中で培養し培養液
中にBUF−5を製造せしめるという方法をもちいればよ
い(特開昭63−119679)。
さて、このように生産されたBUF−3もしくはBUF−4
もしくはBUF−5の精製は通常のポリペプチドの精製法
に準じて行われる。例えば培養液を限外濾過法で濃縮
し、この濃縮液からポリペプチドを塩析し、透析後陰イ
オン交換体を使用するイオン交換クロマトグラフィーを
行うことにより粗ポリペプチド標品が得られる。この粗
標品について疎水クロマトグラフィー又はクロマトフォ
ーカシング法により殆んどの夾雑蛋白が除去される。又
この両者を組合せると更に精製倍率を向上することがで
きる。このようにして精製した標品について逆相高速液
体クロマトグラフィー(HPLC)又はスーパーローズ又は
Mono Q HR 5/5カラムを装備したFPLC(ファルマシア製F
ast Protein Peptide Polynucleotide Liquid Chromato
graphy)システムによる高性能ゲル濾過法又はイオン交
換クロマトグラフィーを行うことにより精製することが
できる。
また、上述のようなポリペプチドの一般的精製法とは
別に本発明者等が開発した所定の濃度の有機酸を含む有
機溶媒を駆使する精製法(特願昭63−131268)を用いて
精製してもかまわない。
以下、本発明を実施例に従って具体的に説明する。
実施例 1 BDF1マウス(雄,10週令,日本チャールズリバー
(株))を用い、1群6匹を被験動物として用いた。比
活性約2×106U/mgのBUF−3(賦形剤として6培量の純
化マウス血清アルブミンを添加した凍結乾燥品)を生理
的食塩水に溶解したのち、過減菌し、100μg/mlの注
射用投与液を調製した。BUF−3投与群には上記投与液
を1日1回0.1ml(BUF−3 10μg)を5日間、静脈内投
与を行なった。対照群には、純化マウス血清アルブミン
のみを生理的食塩水に溶解したのち過減菌し、1日1
回0.1ml宛5日間、静脈内投与を行なった。BUF−3投与
群及び対照群のどちらも5日目夕方より絶食させ、6日
目午前中に両群のマウスをエーテル麻酔下で心臓採血
し、全血中血糖値を常法により測定した。また、血糖値
以外のいくつかの血清成分についても同時に常法により
測定した。血糖値の測定結果を第3図に示した。BUF−
3投与群の血糖値は平均115mg/dlであり、対照群の平均
148mg/dlに比べて低値で、明らかな有意差が認められ
た。
血糖値以外の血清成分の測定結果を第1表に示した。
調べられた5種の血清成分はいずれもBUF−3投与群と
対照群の間に有意な差はみらなかった。
尚、BUF−4及びBUF−5についても前述のBUF−3と
同様の実験を行い、全血中血糖値を測定した。
第3図に示したように、この場合も血糖値の有意の低
下が認められた。
参考例1 BDF1マウス(雄,10週令,日本チャールズリバー
(株))を用い1群6匹を被験動物として用いた。
実施例1で用いたものと同じBUF−3を用い、実験例
1で同じ方法で400μg/mlの投与液を調製し、ミニ浸透
圧ポンプ(米国ALZA社製Model 2001)に充填した。BUF
−3投与群マウスをペントバルビタール麻酔下で開腹の
のち、腹腔内に上記ミニ浸透圧ポンプを移入し、ただち
に開腹部を縫合した。
対照群には、純化マウス血清アルブミンのみを含む投
与液を充填したミニ浸透圧ポンプを同じ方法で腹腔内に
移入した。ミニ浸透圧ポンプは、充填した投与液を一定
速度で7日間以上にわたって放出しつづける装置であ
る。本実験に用いたModel 2001は、放出速度1μ/hou
rなので、BUF−3は、400ng/hourの速度で連続的に腹腔
内に投与される。投与開始5日目の夕方より絶食し、6
日目午前に両群のマウスをエーテル麻酔下で心臓採血
し、全血中血糖値を常法により測定した。測定結果を第
4図に示した。BUF−3投与群の血糖値は平均67mg/dl
で、対照群の平均144mg/dlに比べて有意に低く、BUF−
3を静脈内に投与したときよりもさらに顕著な血糖の低
下作用が見られた。
参考例2 ラット膵よりランゲルハンス氏島を以下のように単離
した。
ウィスター系雄ラット200g程度を断頭、断血後開腹し
た。
総胆管の十二指腸開口部を結さつし、肝臓側からカニ
ュレーションし、HANKS−HEPESバッファーで膵を膨潤さ
せ、膵臓をとり出した。
膵をバッファー入りのシャーレ上で脂肪、リンパ節、
膵管等をとりのぞき小ビーカー内で0.5mm程度の均一な
状態になるように中ばさみで細断した。リンスを数回行
ない、脂肪組織等を除去した。
コラゲナーゼ(和光細胞分散用)を2000U/mlの割合
(1パンクレアスあたり25mgコラゲナーゼ/2.5ccKRBバ
ッファー(37℃,pH7.4))で添加し、37℃インキュベー
ター中で6分間激しく振とうした。コラゲナーゼ消化後
HANKS−HEPESバッファー(室温でpH7.4)で希釈し、沈
降静置させた。60秒後に上清を25cc除去した。同様に計
8回行ない、最後上清除去後沈殿物をチューブにとり10
00rpmで10分間遠心を行なった。
上清をデカンテーションにより除去後、ペレットに27
%フィコールを加えホルテックスにかけ均一にした。そ
こに23%,20.5%,11%のフィコールを順次層を乱さぬよ
うに重層し、2000rpm,15分間遠心した。
20.5%と11%の間の浮遊物をパスツールでとり出し、
実体顕微鏡下でランゲルハンス氏島のみをマイクロピペ
ットですばやくひろった。集めたランゲルハンス氏島は
KRBバッファーで遠沈管50cc内で洗い、フィコールを完
全にとり除いた(計3回)。
洗浄後は潅流測定用としては、30コずつ、形大きさの
同じもののみをひろいなおした。
スタティックインキュベーション用としては、0.5cc
の培地(グルコース濃度50mg/dl)を入れたチューブ
に、1コずつマイクロピペットでひろいなおした。
この際、いずれのチューブについても同じ形、大きさ
のIsletになるようにした。
使用した培地(Hanks−HEPES)の組成はNaCl 136.9m
M、KCl 5.36mM,Na2HPO4,12H2O 0.338mM,KH2PO4 0.441m
M,MgSO4・7H2O 0.811mM,CaCl2・2H2O 1.258mM,NaHCO3
3.57mM,HEPES 25mM,である。
参考例 3 潅流測定法として以下の方法を用いた。
基本培地としてクレブス−リンガーバイカーボネイト
バッファー(Krebs−Ringer bicarbonate buffer)を用
いた。
クレブス−リンガーバイカーボネイトバッファーの組
成はNaCl 115mM,KCl 5mM,Na2HPO4 1mM,MgSO4 1mM,CaCl2
2.2mM,NaHCO3 24mM,HEPES 20mM,BSA 0.17%である。
基本培地はあらかじめフィルター(ポアサイズ0.45μ
m)に2度かけた。
基本培地はCO2 5%−O2 95%混合ガスでみたし、37℃
インキュベーター中で保温した。
次に上記基本培地にグルコース50mg/dl含有させた培
地とグルコース300mg/dl含有させた培地をそれぞれ別の
チューブに流しておいた。流速を0.5ml/minに調節し
た。
チェンバーにフィルター(ミリポアフィルター日本ミ
リポア工業ポアサイズ10μm)をセットし、チェンバー
上部から実施例3で得たランゲルハンス氏島3個を注射
器(針は不要)を使って入れた後、チェンバーを回路に
接続した。ランゲルハンス氏島の安定を保つため、20分
間グルコース50mg/dlを含む培地を流しつづけた。洗滌
終了の5分前に1分ごとサンプリングを行なった。BUF
−3をグルコース50mg/dlを含む培地に10-8Mもしくは10
-9M濃度になるように加え、それぞれ20分(BUF−310-8M
の時)又は40分(BUF−3、10-9Mの時)流した。その間
5分ごともしくは1分ごとにサンプリングを行なった。
20分ないし40分後からグルコース300mg/dlを含有する
培地を流した。BUF−3(+)側にはBUF−3を加えた。
1分ごとに10分間、その後は5分ごとに30分から最大20
0分サンプリングを行なった。
サンプリングした培地中のインスリン濃度を125Iイン
スリンRIAキット(第1ラジオアイソトープ社)で測定
した。
BUF−3の濃度が10-9Mの時の結果を第5図に、10-8M
の時の結果を第6図に示した。
いずれの場合でも、インスリン分泌の上昇は観察され
た。
参考例 4 BUF−3の濃度依存性についてスタティックインキュ
ベーション法を用いてしらべた。培地は参考例3と同じ
ものを用いた。グルコース50mg/dlの培地を試験管に1ml
入れ、実施例3で得たランゲルハンス氏島を1個加え
た。種々の濃度になるようにBUF−3を10μ加え、CO2
5%混合ガスを封入し、ゴム栓をした。2時間後に上清2
00μをサンプリングし、125Iでインスリン濃度を測定
した。結果は第7図に示した。
第7図に示すようにBUF−3の濃度に従って、インス
リンの分泌が観察された。
実施例 2 BUF−4、BUF−5の活性についても参考例に準じた方
法を用いて調べた。
BUF−4、BUF−5ともに100ng/mlの濃度になるように
ランゲルハンス氏島1個を含む反応液中に加え、2時間
後に上清中のインスリン濃度を測定した。尚、培地は参
考例3で示すグルコース50mg/dlおよび300mg/dlで含む
培地を用いて行った。また、比較の為にBUF−3につい
ても同じ条件で実験した。結果は第8図に示した。
第8図に示すように、BUF−3、4、5はいずれもイ
ンスリン分泌を促進した。
本発明の効果 本発明に係るBUF−4及び/又はBUF−5を有効成分と
する血糖低下剤は持効性に優れている。従来、臨床で用
いられているインスリン頻回注射療法では、皮下注射で
の血糖低下作用持続時間が2ないし4時間であるのに対
し、BUF−3若しくはBUF−4又はBUF−5は、動物実験
で静脈内投与24時間後でも血糖低下作用が持続してい
る。このためBUF−4又はBUF−5は、従来用いられてい
るインスリン療法に替る糖尿病治療剤として使用でき
る。また、上記ポリペプチド類はヒト由来蛋白なので、
抗原性が低く、アレルギーを起こしにくい為に長期間の
使用が可能である。
本発明の血糖低下剤は、インスリン療法によって症状
改善のみられない糖尿病患者に対しても効果を発揮する
可能性を有する。
BUF−3、BUF−4、BUF−5は新たに発見された強力
なインスリン分泌刺激因子であり、その作用機序の研究
は膵β細胞におけるsignal transductionの解明によっ
て有望なアプローチである。さらに重要なことは、BUF
−3等は膵ランゲルハンス氏島内にインスリン分泌のlo
cal regulatorとして存在し生理的にも重要な役割を果
たし、その何らかの機能異常がインスリン非依存型糖尿
病の発症に関与している可能性も考えられる。その場合
BUF−3等の持つ強力なインスリン分泌刺激作用と合
せ、インスリン非依存型糖尿病の極めてユニークな治療
薬としての発展が期待できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は単量体Aのアミノ酸配列を示す。 第2図は単量体Bのアミノ酸配列を示す。 第3図はBUF−3を静脈内投与した場合の血糖低下作用
を示すものである。 第4図はBUF−3を腹腔内に投与した場合の血糖低下作
用を示すものである。 第5図は潅流法により測定したBUF−3のインスリン分
泌促進作用を示すものである。 第6図は潅流法により、長時間にわたり測定したBUF−
3のインスリン分泌促進作用を示すものである。 第7図はスタティック・インキュベーション法を用いて
測定したBUF−3のインスリン分泌促進作用の濃度依存
性を示すものである。 第8図はスタティック・インキュベーション法を用いて
測定したBUF−3、BUF−4及びBUF−5のインスリン分
泌促進作用を示すものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柴井 博四郎 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1―1 味 の素株式会社中央研究所内 (72)発明者 江藤 譲 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1―1 味 の素株式会社中央研究所内 審査官 田村 聖子 (56)参考文献 特許2517956(JP,C2)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリペプチドBUF−4及び/又はBUF−5を
    有効成分として含有する血糖低下剤。
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