JP2652247B2 - 無線伝送装置 - Google Patents

無線伝送装置

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JP2652247B2 JP1154201A JP15420189A JP2652247B2 JP 2652247 B2 JP2652247 B2 JP 2652247B2 JP 1154201 A JP1154201 A JP 1154201A JP 15420189 A JP15420189 A JP 15420189A JP 2652247 B2 JP2652247 B2 JP 2652247B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は複数個の素子アンテナと各素子アンテナに
つながれた移相器を有するフエーズドアレーアンテナを
送信アンテナとし,対向アンテナに信号またはエネルギ
ーを伝送する無線伝送装置に関するものである。
〔従来の技術〕
フエーズドアレーアンテナによつて所定の値の信号ま
たはエネルギーを対向アンテナに伝送するためには,各
素子アンテナの励振振幅位相を所要の値に設定する必要
があるが,これは全素子アンテナが動作している状態
(以下,全アレー動作状態),すなわちフエーズドアレ
ー全体として給電回路特性,素子アンテナ間の相互結
合,素子アンテナの特性のバラツキなどの種々の影響,
条件を含んだ状態で設定されなければ現実的に意味がな
い。このためには,前記全アレー動作状態において各素
子アンテナの励振振幅位相を正確に知ることが必要であ
る。
通常,フエーズドアレーアンテナを用いた無線伝送装
置は基本的に第5図のような構成になつている。図にお
いて,(1)は素子アンテナ,(2)は可変の移相器,
(3)は電力分配器,(4)は送信源,(5)は複数の
素子アンテナ(1)から成るアレーアンテナ,(6)は
対向アンテナである。第5図において,送信源(4)で
発生した信号電力は電力分配器(3)により所要の分配
比でもつて各移相器(2)に分配され,素子アンテナ
(1)から空間へ放射され,対向アンテナ(6)によつ
て受信される。この場合,所望の放射パターンを得るた
めのアレーアンテナ(5)に与えられるべき励振振幅位
相は従来のアンテナ工学のいわゆる指向性合成理論によ
つて決定される。従つて,第5図のフエーズドアレーア
ンテナでは,各素子アンテナ(1)に必要な振幅分布に
対応した電力分配比をもつ電力分配器(3)を用い,さ
らに,必要な励振位相は移相器(2)の位相を調整して
設定される。
しかし,実際問題として分配比や移相器の設定位相に
は必ず,誤差を伴う。すなわち,素子アンテナ(1)が
比較的接近して配列されるために素子アンテナ間の結合
などのために素子アンテナ(1)の入力インピーダンス
は素子アンテナ(1)が単独で置かれている場合とは異
なり,設定位相が所望の値からずれる。また,工作上の
精度によつて電力分配器(3),移相器(2),素子ア
ンテナ(1)の特性にバラツキが生じる。さらにアレー
アンテナ(5)の中央部と両端部とでは周囲環境が異な
るために素子アンテナ(1)の特性(入力インピーダン
スや放射パターンなど)が異なる。従つて,所定の値の
信号またはエネルギーを対向アンテナ(6)に伝送する
ための精密なパターン成形に必要な励振分布の実現には
まず,例えば第5図の全アレー動作状態で各素子アンテ
ナ(1)の振幅位相を正確に知る必要がある。これは,
その振幅位相が正確にわかれば,本来必要な励振振幅位
相に対する補正量がわかり,正しい振幅位相の設定が可
能となるからである。
しかるに,従来,全アレー動作状態における素子アン
テナ(1)の振幅位相測定法としては第5図の全アレー
動作状態において第n番目の素子アンテナ(1)の電界
ベクトルの位相回転に伴う主ビーム方向の合成電界ベク
トルの振幅の変化を対向アンテナ(6)で受信して測定
する方法があつた。従来のこの方法を第6図を用いて説
明する。
まず,第5図の全アレー動作状態において,主ビーム
方向の合成電界ベクトルは第6図に示すように各素子ア
ンテナ(1)による電界ベクトルの和で表わされる。こ
こで,第n番目の素子アンテナ(1)(以下,第n素
子)の電界ベクトルをn exp(jφ)として,この
位相φを変化させれば,全アレー合成の電界ベクトル
は第n素子の電界ベクトルの回転に伴つて変化する。こ
の合成電界ベクトルの振幅の変化にのみ測定することに
よつて第n素子の相対振幅位相n/o−φが以
下のようにして求められる。
第n素子の位相をΔだけ変化させたときの合成電界ベ
クトルは次式で表わされる。oexp(jφ) −nexp(jφ)(1−exp(jΔ)) (1) 従つて, X=φ−φ (2) とおいて,式(1)を変形すれば、次のようになる。 ={(ocosX+ncosΔ−) +j(−osinX+nsinΔ)}exp(j(X+φ)) (3) 従つて, とおけば,式(3)より次式が導かれる。
但し, Y2=(cosX−K)+sin2X (6) すなわち,第n素子の位相変化により合成電力レベル
は式(5)のようにcosineで変化する。ここで,cosine
の変化の最大値と最小値の比をr2とすれば,式(5)よ
り, となる。また,式(5)より,−Δはcosine変化の最
大値を与える位相変化量である。これらrとΔは式
(5)の相対電力の測定により求められる量であり,こ
のrとΔより第n素子の相対振幅(k=n/)と
相対位相(x=φ−φ)が以下のようにして決定さ
れる。
式(8)より であり,正符号の場合を考えると, となり,また式(7)より, となる。従つて,式(10),(11),(12)よりYを消
去すればKとXの連立方程式, が得られ,これを解けば結局次式が得られる。
以上は式(9)の右辺が正符号の場合であるが,同じ
く負符号の場合は同様にして次式が得られる。
すなわち,第n素子の位相を移相器(2)によつて変
化させて合成電力レベルの変化を対向アンテナ(6)で
測定すれば位相変化に対するcosine状のレベル変化(式
(5)に対応)が得られ,そのデータより最大/最小比
r及び最大点Δが求められる。これらrとΔを用い
て式(15),(16)または式(18),(19)を計算すれ
ば位相変化させた素子アンテナ(1)の相対振幅,位相
が決定されることになる。初期設定を同じにして全ての
素子アンテナ(1)について同様の測定とデータ処理と
計算を繰り返し行えば全ての素子アンテナ(1)の相対
振幅,位相を知ることができる。また,式(15),(1
6)と式(18),(19)の2組の解のいずれを採るべき
かについては,得られる相対振幅K1,またはK2と電力分
配器(3)の設計電力分配比との対応,あるいは初期設
定の位相分布を変えてもう一度全ての素子アンテナにつ
いて上記の測定を行つてKとXを求め1回目の結果と比
較してKが同じとなる解を選ぶなどして決めることがで
きる。
〔発明が解決しようとする課題〕
従来の無線伝送装置は以上のような測定法により所定
の値の信号またはエネルギーを対向アンテナ(6)に伝
送するものであり,1つの素子アンテナ(1)の位相変化
による合成電界ベクトルの変化が十分観測できる。すな
わち,Kの値が十分大きくとれるようにするために全素子
アンテナの初期設定の位相分布をばらつかせて観測して
いる主ビームのレベルを第7図のように低く抑える必要
があつた。従つて,大電力を伝送する場合や通信,放送
に使用する場合にこの装置を運用状態で所定の値の信号
を伝送するように調整することは,アレーアンテナ
(5)の主ビームの利得を下げられず,また不要なサイ
ドローブを上昇させてはいけないという制約から非常に
困難であるという課題があつた。
この発明は上記のような課題を解消するためになされ
たもので,素子アンテナ(1)の初期設定の位相分布を
ばらつかせず,主ビームの利得を低下させないよう,例
えば,素子アンテナ間の結合や工作の精度などによる特
性のバラツキは小さいとして無視し、各移相器(2)の
位相を合わせた状態で各素子アンテナ(1)の相対振幅
位相を測定し,所定の値の信号を対向アンテナ(6)に
伝送するよう調整することが可能な無線伝送装置を得る
ことを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
この発明に係る無線伝送装置は全アレー動作状態にお
いて,主ビーム方向に設置した対向アンテナ(6)と別
の位置に検出アンテナ(7)を設け,各素子アンテナ
(1)の移相器(2)の位相を変えて検出アンテナ方向
の合成電力を検出アンテナ(7)で測定し,その電力レ
ベルの最大/最小比r2と最大値を与える位相変化量Δ
を求め,これらrとΔから素子アンテナの相対振幅,
位相を算出するようにしたものである。またこの発明の
別の発明に係る無線伝送装置は複数の検出アンテナ
(7)を複数の位置に設けることにより,アレーアンテ
ナ(5)の電気軸と機械軸のずれを算出するようにした
ものである。
〔作用〕
この発明における無線伝送装置は主ビーム方向の利得
すわなち対向アンテナ(6)の受信電力を所定の値程度
に保ちならがら,合成電界ベクトルの振幅が素子アンテ
ナ(1)の電界ベクトルの振幅に対してあまり大きくな
らない位置(方向)で合成電力を検出アンテナ(7)で
測定するため,無線伝送装置を運用しながら素子アンテ
ナ(1)の位相の変化に対する合成電力の変化を測定
し,各素子アンテナ(1)の相対振幅位相を算出して所
定の値の信号が伝送されるように調整することができ
る。
〔実施例〕
以下にこの発明の実施例を図について説明する。第1
図に示す座標系に一次元に素子アンテナ(1)がN個配
列されているとする。このときの2軸からとつた観測角
θ方向の合成電界ベクトルは次式で表わされる。
φ(θ)=K Xnsinθ+φ (21) 但し,kは波数で,波長をλとすれば, k=2π/λ (22) Xnは第n素子のx座標,φはθ=0度方向で観測され
る位相である。
観測角θ方向での式(20)の合成電界ベクトルは第n
素子の位相をΔ変化させることによつて式(1)と同
様, (θ)=(θ)exp(jφ(θ)) −(θ)exp(jφ(θ))(1−exp(jΔ)) (23) で変化し,同様に とおくことにより,合成電力は として,cosineで変化する。
例えば,1000素子のアレーアンテナ(5)で全素子ア
ンテナ(1)の初期設定の位相がほぼ揃つた状態で主ビ
ーム方向,つまり第2図に示すように(θ=0度)方向
で第n素子の位相を変化したときの対向アンテナ(6)
が受信する合成電力の最大/最小比r2は,式(8)を用
いて,Y=999,K=1とおいて計算することができ, r2=1.004(=0.017dB) (26) となり,通常使用される受信機ではその変化を検出する
ことは困難である。しかるに,第2図のθ=θ方向の
利得が主ビームに対して,例えば−30dBであるとすれ
ば,同様に第n素子の位相を変化したときの合成電力の
最大/最小比r2はY=30.6,K=1であるから, r2=1.14(=0.57dB) (27) となり,合成電力の変化は十分に測定することができ
る。従つて,主ビームの利得に対して十分低い利得とな
る方向θ=θに検出アンテナ(7)を設ければ,素子
アンテナ(1)の位相を変化したときの合成電力の変化
を測定することにより従来と同様,rとΔを求めること
ができる。
今,θ=θ方向の検出アンテナ(7)の受信レベル
の変化を測定した場合, X=φ(θ)−φ(θ) (28) として,従来と同様の方法により式(15),(16),
(18),(19)からKとXが求められる。式(21)から φ(θ)=KXnsinθ+φ (29) であり,kとxnは既知の値であるから式(28),(29)よ
り, φ−φ(θ)=X−kxnsinθ (30) として,第n素子の相対位相が求められる。式(30)の
右辺の絶対値が第2項のためにπを超えることがある
が,知りたいのは相対位相であるので,左辺は絶対値が
πより小さいものとすればよい。
また上記無線伝送装置において検出アンテナ(7)を
複数とし,これらを複数の位置に設ければ,第3図に示
すように素子アンテナ(1)の配列された機械軸(座標
系x′−z′)と所望のビーム方向を規定する電気軸
(座標系x−z)が未知の角度θだけずれているとき
に,複数の観測角で上記と同様の測定を行い,各素子ア
ンテナ(1)の相対振幅,位相と機械軸と電気軸のずれ
角θを求めることができる。以下に,その原理を説明す
る。
電気軸z軸からとつた角度θ方向のアレーの合成電界
ベクトルは次式で表わされる。
φ(θ)=kX′nsin(θ+θ)+φ (32) 従つて,第n素子の位相をΔ変化させることにより,
合成電界ベクトルは式(23)で変化し,合成電力は式
(25)のようにcosineで変化する。従つて,θ=θ
びθ=θとして2つの角度方向に検出アンテナ(7)
を設ければ,それぞれの位置で合成電力の最大/最小比
と最大点の位相がr1o1,r2Δo2として測定される。
X1=φ(θ)−φ(θ) (33) X2=φ(θ)−φ(θ) (34) とすれば,式(32)から, φ(θ)=kX′nsin(θ+θ)+φ (35) φ(θ)=kx′nsin(θ+θ)+φ (36) であるので次式が得られる。
φ−φ(θ)=X1−kx′nsin(θ+θ)(37) φ−φ(θ)=X1−kx′nsin(θ+θ)(38) φ(θ)とφ(θ)はθ方向とθ方向に
おける合成電界ベクトルの初期位相であるから,一方を
基準とした相対値φ(θ)−φ(θ)は測定に
より求めることができ, Δφ=φ(θ)−φ(θ) (39) とおく。式(37)と(38)から, kx′{(sinθ−sinθ)cosθ +(cosθ−cosθ)sinθ}=X1−X2−Δφ (40) 第3の角度θに設けた検出アンテナ(7)について
測定した結果をX3,Δφ3=φ(θ)−φ
(θ)とすれば,同様に, kx′{(sinθ−sinθ)cosθ +(cosθ−cosθ)sinθ}=X1−X3−Δφ (41) が得られ,式(40),(41)を連立方程式として解け
ば, となる。但し, A2=kx′(sinθ−sinθ) (43) B3=kx(sinθ−sinθ) (44) A2=kx(sinθ−sinθ) (45) B3=kx(cosθ−cosθ) (46) C2=X1−X2Δφ (47) C3=X1−X3−Δφ (48) 従つて,式(37),(38)の右辺の絶対値がπを超え
ないように座標原点付近の素子アンテナ(1)について
この測定と計算を行えば,θを求めることができる。こ
のθを式(37)あるいは(38)に代入すれば,全ての素
子アンテナ(1)の相対振幅位相を求めることができ
る。
〔発明の効果〕
以上のように,この発明によれば,対向アンテナ
(6)と異なる位置に設けた検出アンテナ(7)によつ
て素子アンテナ(1)の位相の変化に対するアレーアン
テナ(5)の合成電力の変化を測定するので,主ビーム
の利得をほとんど変えず,従つて対向アンテナ(6)に
所定の値に近い値の信号を伝送することができるため運
用状態で素子アンテナ(1)の相対振幅位相を測定で
き,所望の値に調整できる効果がある。また,別の発明
によれば,複数の検出アンテナ(7)を設けたので素子
アンテナ(1)の相対振幅位相だけでなく,アレーの機
械軸と電気軸のずれ角を求められ,これを基にして機械
軸の調整ができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本無線伝送装置を説明するための座標系を示す
図,第2図は放射パターンの説明図,第3図はこの発明
の別の実施例を説明するための座標系を示す図,第4図
は複数の角度方向に複数の検出アンテナを設けたときに
本方法を実施するときの放射パターンの説明図,第5図
は従来の無線伝送装置の概略構成図,第6図は素子アン
テナの電界ベクトルと合成電界ベクトルの説明図,第7
図は従来の無線伝送装置の原理を説明するための放射パ
ターンの説明図。 (1)は素子アンテナ,(2)は移相器,(3)は電力
分配器,(4)は送信源,(5)はフエーズドアレーア
ンテナ,(6)は対向アンテナ,(7)は検出アンテ
ナ。 なお,図中,同一符号は同一または相当部分を示す。
フロントページの続き (72)発明者 片木 孝至 神奈川県鎌倉市上町屋325番地 三菱電 機株式会社鎌倉製作所内 (56)参考文献 特開 昭62−47561(JP,A) 特開 昭61−224603(JP,A) 特開 昭54−16154(JP,A) 実開 昭61−52812(JP,U)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数個の素子アンテナと各素子アンテナに
    つながれた移相器を有するフェーズドアレーアンテナを
    送信アンテナとし、主ビーム方向に設けた対向アンテナ
    に信号またはエネルギーを伝送する無線伝送装置におい
    て、主ビームを形成するのに必要な励振位相を各素子ア
    ンテナに与えた状態で主ビームの利得に対して低い利得
    となる方向に検出アンテナを設け、上記素子アンテナに
    設けた移相器によって、各素子アンテナの位相を変化さ
    せ、そのときの検出アンテナの出力振幅の変動より各素
    子アンテナの位相変化を算出し、その結果に基づいて送
    信アンテナの各素子アンテナの位相を調整し、伝送され
    る信号またはエネルギーを所定の値に保つことを特徴と
    する無線伝送装置。
  2. 【請求項2】上記検出アンテナを複数個の位置に設け、
    上記手順によって送信アンテナの各アンテナ素子の位相
    及び位置の変化を求め、その結果に基づいて送信アンテ
    ナの各素子アンテナの位相を調整し、伝送される信号ま
    たは、エネルギーを所定の値に保つことを特徴とする特
    許請求の範囲第(1)項記載の無線伝送装置。
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