JP2647964B2 - 有機高分子複合めっき金属材およびその製造方法 - Google Patents

有機高分子複合めっき金属材およびその製造方法

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JP2647964B2 JP1135088A JP13508889A JP2647964B2 JP 2647964 B2 JP2647964 B2 JP 2647964B2 JP 1135088 A JP1135088 A JP 1135088A JP 13508889 A JP13508889 A JP 13508889A JP 2647964 B2 JP2647964 B2 JP 2647964B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は新規な電気めっき金属材およびこれらの製造
方法に係る。
更に詳しくは、塗料密着性、塗装後耐食性、加工性に
優れた新規な有機高分子複合電気めっき皮膜が形成され
ためっき金属材及びその製造方法に関するものである。
〔従来の技術〕
従来、金属表面、特に鋼板表面に美観および耐蝕性を
付与するため電気めっきが広く行われている。
これらのめっき金属材は、耐蝕性の増加および装飾性
付与等の目的から、めっきの上に塗装して使用されるこ
とが多い。ところがNi,Sn等の電気めっき表面は一般に
塗料密着性が悪いため塗装に先立って塗装下地処理が施
されるのが普通である。その方法は各種検討され実用化
されており、代表例としてはリン酸塩処理法やクロム酸
溶液によるクロメート処理法などの化学的な処理(化成
処理)とサンドブラスト、グリッドブラスト等により表
面に凹凸を付与する物理的処理等とがある。これらの方
法はいずれも有効接着表面積の増加やアンカー効果を主
に期待するものでいわゆる表面形態のコントロール技術
である。
また一方では塗装下地処理を必要としないめっき皮膜
も検討されている。例えばめっき浴中に水不溶性樹脂を
分散して共析させる分散めっき方法(米国特許第343494
2号及び同第3461044号)があり、この方法は樹脂複合に
より皮膜の塗料との親和性の増加を期待したものであ
る。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかるにリン酸塩処理やクロメート処理などの化成処
理は金属材の塗装下地処理として最も多く使用されてい
るが、工程の長さや浴管理の煩雑さばかりではなく、大
量に発生するスラッジや廃液処理などの点で制約、問題
が多く、又、塗料密着性が必ずしも良好でないという本
質的欠点を有している。
またこのような化学的処理によって被覆した無機酸化
物層は高度なプレス加工に耐えないという欠点を有して
いる。
サンドブラスト等による物理的処理はアンカー効果を
充分に発揮するまでの微細かつ複雑な凹凸を広範囲にわ
たって付与することが困難である。
水不溶性樹脂の分散めっき法は注目すべき技術である
が、樹脂粒子の均一分散安定化が難しく、スケールアッ
プが極めて困難、即ち大面積の鋼帯に均質なめっきを施
すのが難しい点や、塗料密着性が必ずしも充分でない、
プレス加工性が悪いなど物性の点でも問題が多い。
上述の如く、現行技術ではめっき性能、塗装下地処理
技術とも不完全でありながら、工業的ニーズとしては、
近年耐久年数の増加から、高度な塗料密着性や防錆性に
優れためっき金属材が強く求められている。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は従来の電気めっき皮膜、および塗装下地処理
のもっている欠点を鑑み、塗装下地処理を施さなくとも
充分塗料密着性に優れ、かつ耐食性、溶接性、プレス加
工性に優れた多機能めっき皮膜の完成を意図したもので
ある。即ち、本発明者らは従来の合金元素の調整とか、
化成処理およびブラスト処理などの塗装前処理の改良と
いった従来の発想から離れて、めっき表面の理想的化学
特性および理想的表面形態(表面の凹凸,結晶粒子径お
よびその形)を鋭意検討した結果、ある特定の化学構造
を有した水溶性有機高分子、即ち水酸基(−OH)を直接
結合した置換基として有する芳香環を分子構造中に有
し、水中に溶けると同時にめっき浴中でも実質的に水溶
性である有機高分子を用いて結晶粒子径およびその形態
をコントロールし、かつその特定の水溶性有機高分子を
めっきマトリックス中に複合すれば上記目的を達成でき
ることを見い出し、ここに本発明の完成をみたものであ
る。
即ち、本発明は鋼板、銅板などの金属材上にめっき皮
膜中(めっき結晶粒内又は結晶粒界中)に重量平均分子
量が1000〜100万の有機高分子であって分子量500単位当
たりに少なくとも1個以上の水酸基(−OH)を直接結合
した置換基として有する1個以上の芳香環を有し、かつ
分子量500単位当たりに平均0.1〜4個のスルホン基(−
SO3)、又は次のグループ(a)の極性基〔グループ
(a):リン酸基 (Rは水素原子又は炭化水素基、以下同じ)、亜リン酸
ホスホン酸基 亜ホスホン酸基 ホスフィン酸基 亜ホスフィン酸基 第3級アミノ基 第4級アンモニウム塩基 (R1,R2,R3は同種または異種であって、かつ直鎖または
分岐鎖アルキル基またはヒドロキシアルキル基、または
フェニル基、ベンジル基などの芳香族基、Xは対アニオ
ン)、カルボキシル基(−COOH)〕の中から選ばれる1
種以上の極性基を必須成分として平均0.1〜5個の範囲
で有するものであって、かつ芳香環と芳香環とを結ぶ主
鎖がC−C結合、C=C結合、エーテル結合(C−O−
C)のうちいずれか1種以上で構成されるアニオン性、
カチオン性または両性の水溶性有機高分子の1種以上を
めっき全重量に対して0.1〜30wt%含有し、かつめっき
マトリックスがNi,Sn,Cr,Cu,Feのいずれか1種以上を主
成分とするものであることを特徴とする有機高分子複合
電気めっき皮膜が構成されためっき金属材、及び Ni,Sn,Cr,Cu,Feイオンのいずれか1種を主成分として
1〜600g/含むめっき浴あるいはこのめっき浴にさら
に上記主成分以外の上記金属イオンまたはCo,Mn,Mo,Ti
等の異種金属の1種以上をそれぞれ0.1〜400g/含むめ
っき浴に、前記アニオン性、カチオン性または両性の水
溶性有機高分子の1種以上を必須成分として、その総和
が2〜200g/の範囲となる様に添加しためっき浴中で
導電性基材を陰極として電気めっきし鋼板、銅板などの
金属材表面に金属と水溶性有機高分子とを共析させ、水
溶性有機高分子の割合が全共析量に対し0.1〜30wt%の
範囲になるようにコントロールすることを特徴とする有
機高分子複合めっき金属材の製造方法を提供するもので
ある。
本発明によると、水溶性有機高分子の基本骨格(芳香
環、水酸基)、極性基の種類(スルホン基など)、分子
量(1000〜100万)の作用およびめっき浴への添加量
(2〜200g/)とめっき条件とを選択することによっ
て、めっき結晶粒子径および形態のコントロール(微細
化及び凹凸化)を行ない接着有効面積の増加を計り塗装
下地表面に好適な表面とすることができる。また、特定
の水溶性有機高分子の適量と金属とを分子レベルで複合
化(モレキュラーコポジット)させ、めっき表面の形態
の如何にかかわらずめっき表面と塗料との親和性、反応
性(結合性)を高め、また複合した有機高分子の作用に
よって耐食性を高めることができる。
本発明で用できる水溶性有機高分子としては、まずグ
ループaとして重量平均分子量が1000〜100万の高分子
であって、分子量500単位当たりに少なくとも1個以上
の水酸基(−OH)を直接結合した置換基として有する1
個以上の芳香環及び平均0.1〜4個のスルホン基とを必
須成分として有し、かつ芳香環と芳香環とを結ぶ主鎖が
C−C結合、C=C結合、エーテル結合(C−C−C)
のうちいずれか1種以上で構成される水溶性有機高分子
が挙げられる。
ここで芳香環と芳香環とを結ぶ主鎖のC−C結合、C
=C結合、エーテル結合(C−C−C)の概念の中には
ポリ−p−ヒドロキシスチレン、リグニンスルホン酸ソ
ーダ、ニトロフミン酸などが含まれる。縮合環(例えば など)をもって主鎖内に上記結合が存在するとは本発明
では見なさない。
本発明にいう水溶性有機高分子とは、水中に容易に溶
解すると同時にめっき浴中でも実質的に水溶性である有
機高分子を意味する。かかる水溶性有機高分子を添加し
ためっき浴に、例えばレーザー光を照射すると、光束が
観察されないのに対し、水不溶性樹脂或いは水性分散型
(自己水分散型)有機高分子の場合は、これらを含んだ
めっき欲にレーザー光を照射すると光束が観察される。
これらグループaの水溶性有機高分子の側鎖には上述
の官能基の他に、Cl,Brなどのハロゲン基、ニトリル
基、ニトロ基、エステル基など他の官能基を含んでいて
もよい。
即ちグループaの条件を満たす水溶性有機高分子とし
ては、例えば次のA−1)〜A−11)の化合物が挙げら
れる。
A−1) フェノールホルムアルデヒド樹脂(ノボラッ
ク樹脂、フェノール−フルフラール樹脂、レゾルシン−
ホルムアルデヒド樹脂、およびこれらの誘導体のスルホ
ン酸塩。
A−2) ビスフェノールA骨格を有するエポキシ樹
脂、エポキシアクリレート、およびフェノール(EO)
グリシジルエーテル等のエポキシ樹脂誘導体のスルホン
酸塩。
ビスフェノールAスルホン酸ソーダ、ビスフェノール
Sスルホン酸ソーダのホルマリン縮合物。
A−3) ポリヒドロキシビニルピリジンのスルホン酸
塩。
A−4) クレオソート油硫酸化物のホルマリン縮合物
の塩、m−クレゾールメチレンスルホン酸−ホルマリン
縮合物、m−クレゾールベークライトメチレンスルホン
酸ソーダとシェファー酸とのホルマリン縮合物、2−
(2′−ヒドロキシフェニル)−2−(2′−ヒドロキ
シ)−スルホメチルプロパン塩のホルマリン縮合物等の
例を含めたアルキルフェノールおよびこの誘導体のスル
ホン化物のホルマリン縮合物の塩、またはフェノール類
およびフェノールカルボン酸のスルホン化物のホルマリ
ン縮合物の塩。フェノール類としては、フェノール、o
−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、3,5
−キシレノール、カルバクロール、チモール、カテコー
ル、レゾルシン、ヒドロキノン、ピロガロール、フロロ
グルシンなどが挙げられる。
フェノールカルボン酸としてはサリチル酸、m−オキ
シ安息香酸、p−オキシ安息香酸、プロトカテチュ酸、
ゲンチシン酸、α−レゾルシル酸、β−レゾルシル酸、
γ−レゾルシル酸、オルセリン酸、カフェー酸、ウンベ
ル酸、没食子酸、3−オキシフタル酸などが挙げられ
る。
A−5) モノ又はポリヒドロキシナフタレンおよびこ
の誘導体のスルホン化物のホルマリン縮合物。
モノヒドロキシナフタレンとしてはα−ナフトールお
よびβ−ナフトールなどが挙げられる。ポリヒドロキシ
ナフタレンとしてはα−ナフトヒドロキノン(1,4−ジ
オキシナフタリン)、β−ナフトヒドロキノン(1,2−
ジオナフタリン)、ナフトピロガロール(1,2,3−トリ
オキシナフタリン)、ナフトレジルシン(1,3−ジオキ
シナフタリン)などが挙げられる。
A−6) フェニルフェノールスルホン酸塩のホルマリ
ン縮合物。
A−7) ジヒドロキシジフェニルスルホンのホルマリ
ン縮合物。
ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン・ナフタリンス
ルホン酸塩のホルマリン縮合物、ビス(ヒドロキシジフ
ェニル)スルホンモノメチルスルホン酸塩のホルマリン
縮合物、ヒドロキシジフェニルスルホン・モノスルホン
酸塩のホルマリン縮合物。
A−8) ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ポリ−p−
ヒドロキシスチレン臭素化物、ポリ−p−ヒドロキシメ
トキシスチレン、ポリ−p−ヒドロキシジメトキシスチ
レン、等のポリ−ヒドロキシスチレン誘導体のスルホン
酸塩。
A−9) リグニンスルホン酸またはリグニンスルホン
酸塩、これは、パルプ製造時に副生するパルプ廃液を種
々の方法で処理した化合物で、主成分はリグニンスルホ
ン酸塩またはリグニンスルホン酸である。
リグニンの化学構造はフェニルプロパン基を基本骨格
とし、これが3次元網目構造組織をとった化合物であ
る。
リグニンスルホン酸およびリグニンスルホン酸塩はパ
ルプメーカー各社から非常に数多くの商品が製造販売さ
れている。分子量も180〜100万にわたり、各種のスルホ
ン化度、各種の塩、化学変性したもの、重金属イオンを
調整したものなどバラエティーにとんでいる。これら各
種のリグニンスルホン酸およびその塩は全てが本発明の
目的に有効に作用するわけでなく、その効果はものによ
って大きなバラツキがある。本発明の目的の達成度は、
ある特定のリグニンスルホン酸およびその塩を用いたと
き最大となる。従って本発明に用いることができる好ま
しいリグニンスルホン酸およびその塩には制約がある。
即ち本発明には以下の1)〜3)の条件を全て満たすも
のが好ましい。
1) 分子量1000未満の低分子量成分および分子量10万
以上の高分子量成分が工業的に除去されたもの、または
分子量1000未満および10万以上の成分が非常に少ないも
ので分子量分布のピークを1000〜10万の間にもち、少な
くとも50%以上の成分がこの分子量領域に存在するも
の。
2) スルホン基密度(スルホン化度)が分子量500当
たり平均0.6以上〜3未満のもの。
3) 酸化処理を施して人工的にカルボキシル基を増や
していないもの。
本発明に用いることができるリグニンスルホン酸塩の
塩の種類は特に制約がなく、Na塩、K塩、Ca塩、アンモ
ニウム塩、Cr塩、Fe塩、Al塩、Mn塩、Mg塩等いずれでも
本発明に使用できるが、上記1)〜3)の条件を満たす
ものが好ましい。
また、Fe、Cr、Mn、Mg、Zn、Alなどの重金属イオンを
キレートさせたリグニンスルホン酸およびリグニンスル
ホン酸塩も本発明に使用できるが上記1)〜3)の条件
を満たすものが好ましい。
更にナフタレンやフェノールなど他の有機化合物また
は有機高分子を深したリグニンスルホン酸およびリグニ
ンスルホン酸塩も本発明に使用できるが上記1)〜3)
の条件を満たすものが好ましい。ところで、本発明に使
用できるリグニンスルホン酸およびその塩にはパルプ製
造時の不純物を含有していてもかまわないが、その量は
少なければ少ないほど好ましい。
またリグニンスルホン酸およびその塩のめっき浴への
添加量は不純物を除いた正味の量で2〜200g/の範囲
が使用できるが、好ましくは3〜100g/の範囲が、最
も好ましくは5〜50g/の範囲がよい。2g/未満の添
加量でも結晶の微細化、およびめっき表面の凹凸化はあ
る程度達成できるが、めっき表面の化学的特性(塗料に
対する密着性(結合性))の改善が充分でない。一方20
0g/を越えるとめっき皮膜がもろくなって加工性が悪
くなるので好ましくない。2〜200g/の添加量では塗
装下地処理で最も優れているとされているリン酸塩処理
を施したものと同等以上の塗料1次および2次密着性が
実現でき、3〜100g/の添加量で塗料1次および2次
(耐水)密着性、塗装後耐蝕性ともにリン酸塩処理を施
したものを大きく超える特性が実現できる。5〜50g/
の添加量では広範囲のめっき条件で塗料1次および2次
密着性はもちろん、塗装後耐蝕性の点でも著しい改善が
容易に達成できる。
本発明ではリグニンスルホン酸およびその塩などの水
溶性有機高分子をめっき浴に単独で添加配合すれば目的
とする効果が充分達成できる点に特徴がある。例えば光
沢剤組成物にみられるような第1光沢剤、第2光沢剤、
第3光沢剤(quick brightneer)など複数の配合を本質
的に必要としないばかりか、従来光沢剤として一般に使
用されている、ゼラチン、サッカリン、糖みつ、ポリエ
チレングリコール、ポリエチレングリコールノニルフェ
ニルエーテル、ベンゾキノン、オレイン酸、フルオロト
リ酢酸、などを配合すると本発明の効果を著しく低下さ
せる危険がある。
上記1)〜3)の制約を設けた理由は、上記1)〜
3)の条件中の因子が塗料密着性、耐蝕性の向上、およ
び結晶粒子の微細化およびめっき表面の凹凸化に著しく
影響を与えるためである。即ち、 1) 1000未満の低分子量のリグニンスルホン酸および
その塩では結晶粒子が微細化されるものの、塗料密着
性、特に2次(耐水)密着性の改善が不充分であり、10
万以上の高分子量のリグニンスルホン酸およびその塩で
はめっき浴への溶解性が悪くなるとともに、塗料密着性
(1次、2次)の向上が充分得られにくくなるからであ
る。
2) スルホン化度の制限は、0.6未満(分子量500単
位)のものではめっき浴への溶解性が低下してめっき浴
への添加量に制限がでてくること、結晶の微細化または
表面の複雑な凹凸化が充分達成できにくくなるからであ
る。
3) カルボキシル基の制限は、リグニンスルホン酸お
よびその塩中のカルボキシル基を増やしたものでは塗料
の2次(耐水)密着性が悪くなる傾向がでてくるからで
ある。
しかし、いずれにしてもリグニンスルホン酸系の有機
高分子はその品質(本発明の効果に対しての)の製造ロ
ットぶれが存在するため、本発明の工業的実施には慎重
な配慮が必要である。
A−10) ポリタンニン酸およびこの誘導体のスルホン
化物。
A−11) フミン酸またはニトロ化フミン酸およびこれ
らの誘導体またはこれらの塩のスルホン化物。
更に本発明に使用できる水溶性有機高分子としては、
次のbのグループが挙げられる。
グループb:重量平均分子量が1000〜100万の有機高分子
であって、分子量500単位当たりに1個以上の水酸基
(−OH)を直接結合した置換基として有する1個以上の
芳香環を有し、かつ上記単位内に平均0.1〜4個のスル
ホン基(−SO3)、またはリン酸基 (Rは水素原子または炭化水素基、以下同じ)、亜リン
酸基 ホスホン酸基 亜ホスホン酸基 ホスフィン酸基 亜ホスフィン酸基 第3級アミノ基 第4級アンモニウム塩基 (R1,R2,R3は同種または異種であって、かつ直鎖または
分岐鎖アルキル基またはヒドロキシアルキル基、または
フェニル基、ベンジル基などの芳香族基、Xは対アニオ
ン)、カルボキシル基(−COOH)の中から選ばれる1種
以上の極性基を必須成分として平均0.1〜5個の範囲で
有し、かつ芳香環と芳香環とを結ぶ主鎖がC−C結合、
C=C結合、エーテル結合(C−O−C)のうちいずれ
か1種以上で構成されるものであるアニオン性、カチオ
ン性および両性の水溶性有機高分子。
またこれらbグループの水溶性有機高分子の側鎖には
上述の極性基の他にCl,Brなどのハロゲン基、ニトリル
基、ニトロ基やエステル基などの他の官能基を含んでも
よい。
即ち条件を満たす水溶性有機高分子グループbの例と
しては次のB−1)〜B−4)の高分子が挙げられる。
B−1) 前述したA−1)〜A−11)の水溶性有機高
分子を母体に、下記のグループ(I)の中から選ばれた
1種以上の極性基を導入したアニオン型、両性型の水溶
性有機高分子。
グループ(I)の極性基:第3級アミノ基、第4級アン
モニウム塩基、カルボキシル基、リン酸基、亜リン酸
基、ホスホン酸基、亜ホスホン酸基、ホスフィン酸基、
亜ホスフィン酸基をさす。
またはA−1,A−2,A−3,A−4,A−8,A−9,A−10,A−1
1,のそれぞれの有機高分子のうち、スルホン化前の有機
高分子を原料に、上記のグループ(I)のなかからえら
ばれた1種以上の極性基を導入したアニオン型、カチオ
ン型、両性型の水溶性有機高分子。
または、A−4,A−5,A−6,A−7のホルマリン縮合物
のうち、スルホン基を含まない状態にしたものを原料に
して変成したもの。すなわち、 A−4′:フェノール、フェノールカルボン酸、または
アルキルフェノールおよびこれらの誘導体のホルマリン
縮合物。
A−5′:モノまたはポリヒドロキシナフタレンおよび
これら誘導体のホルマリン縮合物。
A−6′:フェニルフェノールのホルマリン縮合物。
A−7′:ジヒドロキシフェニルのホルマリン縮合物な
ど これらA−4′〜A−7′の高分子を原料に、グルー
プ(I)の中から選ばれた1種以上の極性基を導入した
アニオン型、カチオン型、両性型の水溶性有機高分子。
B−2) ポリ−p−ビニルヒドロキシスチレンと無水
マレイン酸との共重合物。この共重合物を更にアミノ化
あるいはリン酸化したもの。
B−3) フェニルホスホン酸およびこの誘導体とフェ
ノールおよびこの誘導体またはレゾルシンまたはこの誘
導体とのホルマリン縮合物のスルホン化物およびその
塩。
フェニルホスホン酸の誘導体としては、モノオクチル
フェニルホスホネート、ジフェニルホスホン酸、o−メ
チルハイドロゲンフェニルチオホスホン酸、ジフェニル
ホスヒン酸が挙げられる。
レゾルシンの誘導体としては2,6−ジヒドロキシアセ
トフェノン、2,4−ジヒドロキシアセトフェノン、レゾ
ルシノールモノメチルエーテル、レゾルシノールモノヒ
ドロキシエチルエーテル、2−メチルレゾルシノール、
7−ヒドロキシ−4−メチルクマリン、2−エチルレゾ
ルシノールなどが挙げられる。
フェノールの誘導体としてはA−4)に記載したフェ
ノール類、フェノールカルボン酸類およびアルキルフェ
ノール類全てが挙げられる。
B−4) フミン酸、ニトロフミン酸およびこれらの塩
または上記フミン酸のアミノ化物 以上のA,Bそれぞれのグループ内から、あるいはA,B両
方のグループの中から、1種または2種以上を選び出し
て混合して用いることも可能である。有機高分子の塩の
種類はNa塩、Ca塩、NH4塩等何でもよく制約を受けな
い。
本発明に用いることのできる水溶性有機高分子はその
重量平均分子量が1000〜100万の範囲に、好ましくは100
0〜50万の範囲に、最も好ましくは2000〜10万の範囲に
限定される。この理由は有機高分子の分子量が本発明の
効果に影響を与え、分子量が1000未満の低分子体では大
きな塗料密着効果が得られにくく、反面分子量が100万
を越える有機高分子ではめっき浴への溶解性が悪くなる
と同時に本発明の効果も得られにくく、めっき浴への添
加濃度に限界が生じて問題となるからである。以上めっ
き浴への溶解性、塗料密着性などの機能発明の容易さを
考慮すると重量平均分子量が2000〜10万の範囲が最も好
ましい。
スルホン基、リン酸基等の極性基(水酸基、芳香環は
含まない)は有機高分子のめっき浴への溶解性を与える
点およびめっき結晶粒径の微細化、表面の凹凸化に特に
重要であり、その好ましい極性基密度の範囲は、分子量
500単位当たりスルホン基が平均0.1〜4個、他の極性基
が平均0.1〜5個の間に、更に好ましくは1〜3個の間
にある。極性基密度が0.1未満だとめっき浴への溶解性
が悪くて問題となり、スルホン基が4個、他の極性基が
5個を越えると得られるめっき皮膜の耐蝕性が低下して
問題となるからである。極性基としてはスルホン基が最
も好ましい。この理由はスルホン基をもつものが最も優
れた塗料密着性を示すためである。水酸基および芳香環
の存在は特に塗料密着性向上、塗装後耐蝕性向上の点か
ら本発明浴用の有機高分子には必須な構成成分であり、
かつバルキーな方が好ましいので一分子中に存在する数
が重要である。分子量500単位中に含まれる水酸基の数
は多いほど(〜10個)よく、かつ芳香環の数は2個以上
が好ましい。水酸基は芳香環に直接置換基としてついて
いた方がその効果がよく発揮されるので好ましい。芳香
環と芳香環とを結ぶ主鎖はヘテロ原子を含まないD−
C、およびC=C結合で構成されるものが最も好まし
く、次いでC−O−C結合が好ましい。エステル結合
(O・CO)、アミド結合(CONH2)を主鎖に含むものは
本発明には好ましくない。その理由はエステル結合、ア
ミド結合を主鎖に含むものでは塗料の2次(耐水)密着
性が改善されないからである。この原因は電解時、塗装
焼付時の分解変質あるいは塗膜下腐蝕時のpH上昇(pH12
以上)による加水分解など結合の安定性に問題があるた
めと考えられる。また上記の水溶性有機高分子の分子
量、構成単位、極性基、種類と密度、主鎖の種類等の因
子は本発明のめっき皮膜およびその製造方法にとって本
質的役割を果たす重要な因子である。
本発明に使用できるベースのめっき欲としては、Ni,S
n,Cr,Cu,Feイオンのいずれか1種を主成分として1〜60
0g/含む一般公知の、あるいは新規のめっき浴を用い
ることができるが、酸性浴が好ましい浴とし使用でき
る。例えば(1)硫酸塩を用いる硫酸塩浴、金属酸化物
を用いる酸化物浴、炭酸塩を用いる炭酸塩浴、塩化物を
用いる塩化物浴、ホウフッ化物浴あるいはこれらの混合
浴を含む一般公知の酸性浴、(2)塩化アンモニウムを
含む中性浴、(3)NaOH,KOH,Na4P2O5,Na2HPO4・12H2O,
K2P2O7・3H2O,K4P2O7・3H2Oなどを含むアルカリ浴、あ
るいは(4)シアン化物を含むめっき浴など一般の公知
の電気めっき浴が挙げられるが、このうち(1)のもの
が好ましい。
また本発明に使用できるベースの合金めっき浴として
は、上記のめっき浴(1)〜(4)の欲に更に合金元素
として考えられるCo,Mn,Mo,Ti,Pb,Mg,Alなどの元素の1
種以上をそれぞれの塩化物、硫酸化物、フッ化物、シア
ン化物、酸化物、有機酸塩、リン酸塩あるいは金属単体
等の中から選択してそれぞれ0.1〜400g/添加した一般
公知あるいは新規の合金めっき浴を用いることができ
る。このうち(1)の浴を基本に建浴されたものが好ま
しい。
めっき浴への水溶性有機高分子の添加量は2〜200g/
の範囲にあり好ましくは3〜100g/、最も好ましく
は5〜50g/添加しためっき浴が良い。その理由は2g/
未満の添加量ではめっき結晶粒子径およびめっき表面
の凹凸化はある程度達成できるが、めっき皮膜の化学的
特性(例えば塗料に対する1次および2次密着性(結合
性))の改善が充分に達成されず、一方200g/を超え
るとめっき皮膜がもろくなってプレス加工時の問題を生
ずるからである。塗料の1次密着性、2次(耐水)密着
性更には裸および塗装後耐蝕性、加工性までを含めたバ
ランスのとれた機能を実現するには3〜100g/の添加
量が好ましく、最も好ましくは5〜50g/の範囲にあ
り、この条件では広いめっき条件で上記機能の実現がで
きる。
本発明において用いるめっき浴は金属イオン、pH緩衝
剤、pH調整剤の必要量含んだ最もシンプルなめっき浴で
あり、このめっき浴に前記の特定の水溶性有機高分子の
1種(1種以上でもかまわない)を単独で添加配合すれ
ばそれで充分目的が達成できる点に大きな特徴があり、
本質的にその他のめっき浴助剤の添加を必要としない。
それどころか防錆剤とか、光沢剤、ピット防止剤、ミス
ト防止剤、消泡剤などの助剤(有機化合物)を添加をす
る場合、これら多くの有機化合物もしくは有機高分子に
よる助剤、例えば、α−ナフタレンスルホン酸、イソオ
クチルポリオキシエチレンエーテル、ゼラチン、クマリ
ン、プロパギルアルコールなど従来一般に使われている
助剤は、本発明のもっているめっき皮膜の本質的機能を
著しく低下させる危険があるので、使用に際してはその
配合量などに厳しい注意が必要である。しかし、本発明
では目的とする本質的機能−塗料密着性、耐蝕性−を阻
害しない範囲で添加剤を使用しても差支えない。
本発明のめっき浴は浴調整後は有機高分子が安定に溶
解しているため、分散均一化のための液撹拌の必要はな
くスケールアップも容易におこなうことができる。めっ
き浴のpH及び金属イオン濃度によっては、用いる水溶性
有機高分子の溶解性が悪くなる場合があるので注意を要
する。
めっき条件は電流密度1〜400A/dm2、浴温1〜80℃の
範囲が好ましい。めっき浴のpHはpH1〜12の範囲で使用
できるが酸性側の方が好ましい。電解電流としては直流
電流が好ましいが、パルス電流あるいは特殊波形電流を
用いることもできる。めっき浴の撹拌は高速めっきを行
う際は重要であり、鋼帯の高速連続めっきの場合には相
対速度(板とめっき浴の)で90〜120m/min程度の撹拌が
望ましい。
本発明の有機高分子複合めっき皮膜の製造方法は水溶
性高分子を用いているため、共析金属との複合化が分子
オーダーで起こる点に大きな特徴を有しており、マクロ
な分散・複合化しか達成し得ない従来の水不溶性粒子を
共析させる分散めっきと本発明とではこの点で大きく相
違するものである。ただし本発明の方法と従来の分散め
っきとを組み合わせることもできる。
また、めっき皮膜中の水溶性有機高分子の含有量はめ
っき皮膜全重量に対して0.1〜30wt%の範囲であり、好
ましくは0.2〜15wt%の範囲がよい。有機高分子の共析
量が少ないと金属単体めっきに近づくため塗料密着効果
や防錆効果が現れにくく、反面多すぎるとめっき皮膜が
もろくなるためプレス加工性が低下して問題となる。塗
料密着性、耐蝕性、プレス加工性の各機能のバランスを
考慮すると有機高分子の共析量の好ましい範囲は0.2〜1
5wt%にあり、最も好ましい有機高分子の共析量は0.5〜
5wt%の範囲に存在する。
水溶性有機高分子の共析量は、高分子濃度、電流密
度、撹拌および有機高分子の電荷によって主に変化す
る。高濃度、高電流密度、強い撹拌によって共析量が増
加する。また、分子骨格がほぼ同一のものであれば、共
析量はカチオン性高分子>両性高分子>アニオン性高分
子の順である。従ってめっき時においては、有機高分子
のめっき皮膜中への共析量は上記各因子を選択すること
によってコントロールするわけであるがこのコントロー
ルはかなり容易に達成できる。
本発明では水溶性有機高分子の作用によってめっき結
晶粒子径およびその形態をコントロールして、主に塗料
密着性や耐蝕性の向上を計ることを第2の目的としてい
る。これは結晶粒子の微細化(平滑化を意味するもので
はない)による接着有効表面積の増加と表面の凹凸化を
促進してアンカー効果の発現とを期待するものである。
従って、ここでは以下の2つの方向がある。1つは結晶
粒子径をより微細化して接着有効表面積を増やす方向で
ある。他の1つは結晶は粗大でもよいから特定の方位面
の結晶成長を制御して、例えばリン片状の結晶形状にし
てそれが3次元的に複雑に絡み合っためっき皮膜にし
て、アンカー効果が発現しやすい表面形態を形成する方
向である。もちろんこの2つの方向を組み合わせたもの
があってもよい。これらの中で、結晶が粗大でも複雑な
表面形状にしてアンカー効果を期待するものは塗料の1
次密着性の点ではよいが、2次(耐水)密着性および耐
蝕性の点では結晶粒径を微細化したものに比べると悪い
場合が多い。この原因はめっき皮膜が緻密でないことに
起因していると考えられる。
本発明のめっき皮膜の結晶の大きさは10μ〜50Åの範
囲のものがよい。ただしここで言う結晶粒子径とは、粒
子のx,yおよびz軸の長さのうち長い方のもの2つの平
均値で表したものである。結晶粒径と塗料密着性との関
係は結晶粒子径が10〜2μ近辺のめっき皮膜ではアンカ
ー効果が期待できる複雑な表面形態でないと優れた塗料
密着性を示さない傾向にある。3次元的に複雑なめっき
表面形状でなくとも、結晶粒子径が2μ以下になると塗
料密着効果が発現し始め5000Å以下で顕著となり1000〜
50Åの範囲で最も優れた塗料密着性が得られる。接着有
効表面積の増加の効果が5000Å以下特に1000Å以下で顕
著に作用するためと考えられる。
しかしながら、いずれにせよこの結晶粒子径の微細化
および、めっき表面の複雑化(アンカー効果)による物
理的効果では塗料の1次密着性には極めて有効であるも
のの、2次(耐水)密着性までは必ずしも保証されな
い。湿潤環境下では塗膜下で発生するアルカリによって
めっき皮膜の溶解、塗膜中の化学結合の切断がおこるた
めである。したがって、2次密着性、耐蝕性までの機能
を保証するには、めっき皮膜を耐アルカリ性にすると
か、めっき皮膜の化学的特性を改良する必要がある。水
溶性有機高分子をめっきマトリックス中にモレキュラー
コンポジットするのはこの点からも重要であり、本発明
の特定の水溶性有機高分子の複合によりアルカリ溶解性
の少ないめっき表面にすることが実現できる。
本発明の結晶粒子径・結晶形状および水溶性有機高分
子の複合の両者の効果を混合して得られた複合めっき皮
膜は塗料密着性、裸耐蝕性、塗装後耐蝕性、溶接性、プ
レス加工性に優れている。特に本発明は水溶性有機高分
子の複合により塗料との親和性に富んでいる。このため
に、塗装の際に従来必須工程として行われていたリン酸
塩処理やクロメート処理などの化成処理かブラスト処理
などの塗装下地処理を全く必要とせず、この点に本発明
のめっき金属材は大きな特徴を有している。塗装下地処
理を施さなくても、施したもの以上の高い塗料密着性お
よび塗装後耐蝕性を本発明は有している。
具体的評価結果で述べると、本発明の複合めっき鋼板
に塗装下地処理を施すことなく直接エポキシ樹脂系カチ
オン電着塗料を30μ、あるいは焼付型粉体ポリエステル
塗料を40μ塗布・焼付後、塗膜表面にアラルダイトで円
柱状の治具を接着し、垂直引張試験((株)モトフジ製
プルゲージ1000M)を行うと容易に100〜150kg/cm2以上
の塗膜1次密着力を示すめっき金属材が得られる。通常
のめっき皮膜に直接塗装したものでは20〜30kg/cm2以下
のオーダーの塗料密着力である。ゴバン目カット−エリ
クセン押出−セロテープ剥離テストでみてみると、8mm
の押出加工でも本発明品は100/100点(全く剥離なし)
を容易にクリヤーする。塗装前にリン酸塩処理かクロメ
ート処理などの化成処理を施したものでは20〜30kg/cm2
オーダーの塗料密着力である。また2次(耐水)密着性
を、40〜60℃、比抵抗50Ω/cm以上のイオン交換水を用
いて、評価(浸漬後、ゴバン目−セロテープ剥離テス
ト)した結果では、通常のめっき皮膜に直接塗布したも
のでは10〜60日間で50/100点以下になるのに対し、本発
明品は容易に100日間の浸漬試験においても100/100点を
容易にクリヤーする。化成処理を施した従来のめっき金
属材でもこのような優れた2次(耐水)密着性は示さな
い。
本発明においては従来のセラミック粒子または水不溶
性高分子の分散めっきを本発明の水溶性有機高分子と組
み合わせることにより高度な塗料密着性、塗装後耐蝕性
の機能を付与することができる。従来の分散めっき皮膜
では耐蝕性は向上しても、塗料密着性(特に2次(耐
水)密着性)や塗装後耐蝕性の点で不充分で塗装下地表
面としては大きな欠点を有していた。このような従来の
分散めっき皮膜を本発明の皮膜と組み合わせることは鋼
帯などの連続めっき用に少し難点があるが、小物金属材
などのめっき皮膜には最適である。
使用できるセラミックスとしては、一般公知のものが
使用でき、例えば、 酸化物:Al2O3、SiO2、TiO2、ZrO2、Y2O3、ThO2、CeO2
Fe2O3、カオリン、BeO、Eu2O3、BaCrO4 炭化物:B4C、Cr3C2、SiC、WC、ダイヤモンド(C)、Zr
C、TiC、黒鉛、ふっ化黒鉛 窒化物:BN、Si3N4、TiN ホウ化物:Cr3B2、ZrB2 硫化物:MoS2、WS2、CdS ケイ酸塩:2MgO・SiO2、MgO・SiO2、ZrO2・SiO2 などが挙げられる。
また使用できる水不溶性高分子としてはポリ塩化ビニ
ル、ポリエチレン、アクリルニトリル・ブタジエン・ス
チレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリアミ
ド、ポリイミド、ポリブタジエン、尿素・ホルムアルデ
ヒド樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリプロピレ
ン、ポリイソプレン、ポリウレタン、ポリカーボネー
ト、ポリ尿素、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、フェノ
ール樹脂、4−フッ化エチレン樹脂などの一般公知の水
不溶性高分子が挙げられる。
以上の中から、1種または2種以上を選びだして混合
して用いることもできる。これら粒子のめっき浴への配
合量はめっき浴1当たり5〜500gの範囲が望ましい。
また粒子の大きさは小さいものほど分散安定性に優れる
ため1μ以下、好ましくは0.1μ以下の超微粒子のもの
がよい。めっきマトリックス中へのセラミックス粒子ま
たは水不溶性有機高分子の複合化率は、全析出量に対し
1〜30vol%の範囲が好ましい。その共析量が少ないと
目的とする複合効果が発現せず、また30vol%を超える
とめっき皮膜がもろくなったり、基材との密着性が低下
して問題となる。最も好ましい共析量は2〜15vol%の
範囲にある。また水溶性有機高分子の共析量は全析出量
に対し0.1〜30wt%の範囲が使用できるが、好ましくは
0.2〜15wt%の範囲がよい。この際用いる水溶性有機高
分子はセラミックスおよび水不溶性有機高分子粒子の分
散剤の役割を同時に果たすことができる。
本発明において、対象となる被めっき金属材には特に
制限はない。例えば鉄鋼、銅、鉛、真鍮、アルミニウム
などの金属材料が使用できる。
本発明による複合めっき浴は、金属材の耐蝕性、美観
を一段と向上させるため、得られるめっき皮膜上に直接
塗料を塗布することを前提として考えているので、塗料
に対する密着機能は有機高分子複合めっきに求められて
いる本質的機能である。
本発明においては、上記金属材料表面に電気めっきま
たは溶融めっきが施されているものを被めっき金属材と
して用いて多層めっき金属材を得ることもできる。この
方法は従来行われている、事実上有機高分子を含まない
電気めっきおよび溶融めっき皮膜とのハイブリッド化を
考慮したものである。即ちこのようにして得られた多層
めっき金属材は従来の電気めっきおよび溶融めっき皮膜
を下層とし、その特性を生かしたまま、その上層に塗料
密着性に優れた有機高分子複合めっきを施して従来のめ
っき皮膜のもつ欠点(塗料密着力不足)をカバーしよう
とするものである。
下層となるめっき金属材には特に制限はなく、電気め
っきでは、ZnおよびZnめっき、Snめっき、Niめっき、Cr
めっき、Pb及びPb合金めっき、あるいは無機粒子または
水不溶性樹脂を複合した複合めっき金属材などが挙げら
れる。溶融めっきではZnおよびZn合金めっき、Alめっき
金属材などが挙げられる。上層となる有機高分子複合め
っき層の厚さは0.1μもあれば充分その特徴を発揮する
が、厚くてもよい。
かかる多層めっき金属材およびその製造方法はめっき
工程の最終セルを有機高分子複合めっき浴に切り換えれ
ば容易に生産可能であり、後続のリン酸塩処理やクロメ
ート処理などの塗装下地処理ラインは不要となる。
ところで、水溶性の有機化合物を電気めっきに使用す
ることは古くから行われている。これは比較的低分子量
の界面活性剤をめっき浴助剤として極く少量(0.001〜
0.05%)添加する用い方で、主に装飾性の向上(光沢
剤)をねらいとしたものである。その他の目的としては
ミスト防止剤、不純物除去剤(錯形成剤)、消泡剤、不
溶性懸濁剤、不純物の凝集沈澱剤、あるいは分散めっき
法においては、共析粒子の分散剤として用いられてい
る。従って、上記の場合、用いた助剤の水溶性有機化合
物によって本発明のような塗料密着性および耐蝕性は改
善されないばかりかあるいは逆に悪くなる場合も多々見
受けられる。従来はこれらの界面活性剤はめっき物性
(もろさ、耐蝕性など)を悪くするという認識から、そ
の添加量はできるだけ低く押さえられ、極めて低い濃度
で使用されるのが常であった。このように従来用いられ
てきた有機化合物あるいは種類は少ないがゼラチン、サ
ッカリン、糖みつなどの有機高分子はその化学構造に問
題を有しているため積極的にめっき浴に配合してめっき
皮膜中に取り込んでも光沢作用以外大きなメリットは得
られなかった。本発明は従来の使用目的とは大きく異な
り、主に塗料密着性および耐蝕性の向上を主な目的とし
たものでそのため使用の方法も異なっている。例えば光
沢剤は一般に第1〜第3光沢剤など3成分を配合して始
めて効果がみられるのに対し、本発明では水溶性高分子
1成分でも充分目的が達成できる。本発明においてはめ
っき金属と従来にないある特定の化学構造を有する水溶
性有機高分子と積極的に共析、複合させることにより上
記の機能を発現させるものである。
本発明の複合めっき皮膜では従来一般に行われている
リン酸塩処理かクロメート処理あるいはブラスト処理な
どの塗装下地処理を全く施すことなく直接めっき表面に
塗装できるので、塗装下地処理に伴う公害問題等や工程
管理の煩雑さなどのさまざまな問題から解放し、かつ省
力、省エネ化を容易に達成できる。
塗装方法としては電着塗装、静電噴霧塗装、スプレー
塗装、ロールコート塗装等公知の塗装方法を適用するこ
とができる。塗料としては熱硬化型塗料、常温乾燥型塗
料、あるいは紫外線(UV)硬化型塗料、電子線(EB)硬
化型塗料のいずれでも使用できる。
〔作 用〕
本発明の複合めっき皮膜は、以下の1)〜5)に示す
特徴的作用を有する。
1) めっき皮膜内に分子オーダーでミクロに複合され
た水溶性有機高分子の作用により塗料との親和性・結合
性(水素結合、キレート結合など)の増加が得られる。
その結果極めて優れた塗料密着性および2次(耐水)密
着性の機能が発現する。
2) めっき皮膜内、即ちめっき結晶粒子内および粒界
に共析した水溶性有機高分子の絶縁効果あるいは防錆性
により耐蝕性が増加する。
3) また結晶の微細化およびめっき表面の凹凸化によ
り、有効表面積の増加やアンカー効果が発現して塗料密
着性が向上し、また結晶の微細化により緻密な膜となっ
て耐蝕性が向上する。
4) 1)と2)の相乗効果により、一層優れた塗料密
着性、耐蝕性に優れためっき皮膜となる。
5) セラミックス粒子、水不溶性有機高分子の分散め
っきに本発明の水溶性有機高分子を複合することにより
分散めっき皮膜のもっている欠点、例えば塗装後耐蝕
性、塗料密着性が改良されためっき皮膜が生成する。
また、本発明による複合めっき皮膜の製造方法による
と、めっき浴に配合する水溶性有機高分子の分子量、基
本骨格、極性基の種類とその密度、配合濃度および電解
条件の相互作用により、めっきマトリックス中への水溶
性有機高分子の共析量が決まる。また上記相互作用によ
りめっき結晶粒子径およびその形状がコントロールでき
るが、特に分子量と極性基の種類とその密度が結晶粒子
径および形状に大きな影響を与える。
〔実 施 例〕
以下実施例を用いて本発明を更に詳細に説明する。
実施例 1 (1) めっき方法 前処理:冷延鋼板をアルカリ電解脱脂、水洗後、次の条
件でめっきを施した。
めっき浴:用いためっき基本浴の組成を表1に、水溶性
高分子の種類を表2に示した。これらを組み合わせた有
機高分子複合めっき浴の組成をそれぞれ表3,表4に示し
た。
めっき条件:電流密度4〜200A/dm2の直流電流を用い、
浴温30〜60℃の範囲でめっきを行った。めっき皮膜厚は
全て3μとした。膜厚測定には過電流式膜厚計(サンコ
ウ電子(株)、SL−2L−SM型)を用いた。
なお、多層めっき金属材製造の実施例(表4)中の各
種電気めっきおよび各種溶融めっき鋼板は市販のものを
使用した。
(2) 塗装方法 表3及び表4に記載している塗膜は塗料として熱硬化
型メラミンアルキッド樹脂系塗料(日本ペイント(株)
製オーデスーパW−40)を用い、めっき表面にバーコー
ターにて直接塗装を行い、150℃で20分焼付後の塗膜厚
さを30μとなるように調整した。
なお比較品の化成処理は日本ペイント(株)製リン酸
鉄スズ系化成処理剤(アロデン265)を用いた。Cu用ク
ロメート処理は、Na2CrO7 83g/、CrO3 33/、KBr 27
g/を含んだ浴を用いて、60℃、30秒化成処理を行っ
た。
(3) 耐食性評価 板橋理化(株)製塩水噴霧試験機を用いてJIS 2371に
基づいて5%NaClを2週間連続噴霧を行った。
(4) 加工性 エリクセン押し出し試験器を用いて評価した。
(5) 結果 第1図は本発明によって得られた水溶性有機高分子複
合めっき皮膜(表5のNo.87のもの)の表面を走査型電
子顕微鏡(日立製作所製S−800)で観察(Ptコーティ
ング)した写真である。水溶性有機高分子を複合しため
っき浴皮膜(第1図)では結晶粒子径が300〜600Åと極
めて微細化され、且つ球状に近い形をもった結晶(電子
線回折法により確認)の集合体であることがわかる。
第2図は第1図のめっき皮膜の断面を観察したもので
ある。約300Åの超薄切片に切りだし、最新分析型透過
電子顕微鏡(日本電子(株)製2000−FX)を用いて観察
した写真である。断面写真からも結晶粒径が300〜600Å
と超微細化されているのがわかる。
第3図は1個1個の粒子中にCが存在するのか、電子
線損失スペクトル法(EELS:Electron Energy loss spec
−trometer)により解析したものである。第3図には1
個の粒子の中に約70Åに絞った電子ビームのスポットを
当てて(この際、粒子と粒子の重なった部分はさけてい
る)EELS分析を行ったものである。第3図から明らかな
ように、結晶の粒子の中から、またこのサンプルでは粒
子と粒子との間、粒界からもCが検出されている。従っ
て共析した有機高分子は粒子内、粒界どちらにも存在し
ていることがわかる。ただし用いる水溶性高分子によっ
てはどちらかにCが偏在しているものも観察される。純
Znめっき皮膜からは、EELS分析によってもCは検出され
ない。
表3は本発明に係る水溶性有機高分子複合めっきの製
造方法により得られた各種めっき皮膜の塗膜1次密着
性、耐蝕性を比較品とともに示したものである。
ゴバン目試験による塗膜密着性評価結果においては、
本発明品(No.1〜50)と比較品(No.51〜89)との間に
有意差は認められない。
しかし、エリクセン押出試験による厳しい条件下での
塗膜密着性評価結果においては、顕著な差が存在してい
ることがわかる。即ち、先ず有機高分子を全く含まない
めっき皮膜(No.51〜60)と比較すると、有機高分子を
複合した本発明品(No.1〜50)の塗膜密着性が極めて優
れていることがわかる。つぎに本発明の条件を満たさな
い水溶性有機高分子を含んだめっき浴から得られるめっ
き皮膜の場合を、比較品No.62〜82として示す。これら
の浴により得られるめっき皮膜によって塗料の1次密着
力は有機高分子を全く含まないめっき皮膜に比べて改善
される場合もあるが、しかし本発明品に比べてみると機
能的に著しく劣っていることがわかる。また、本発明の
条件を満たす水溶性有機高分子をめっき浴に含んでいて
も、その配合量が少なく、且つめっき皮膜中への共析量
が少ない複合めっき(No.61)では塗料密着性の改善が
充分に行われないことがわかる。更に、本発明の条件を
満たす水溶性有機高分子をめっき浴中に含んでいても、
本発明の条件を満たさない添加剤を同時に配合しためっ
き浴の場合(No.68,71,76)では、本発明の効果が充分
に発現されないケースもあることが理解できる。つぎに
化成処理を施しためっき鋼板(No.86〜89)と本発明品
とを比較すると、比較品No.86が本発明と同等である以
外は、すべて本発明品が比較品を上回る塗膜1次密着性
を示すことがわかる。
耐水密着性評価結果においては、有機高分子を含まな
いNo.51〜60の比較品およびNo.61〜82の比較品、化成処
理鋼板(No.86〜89)の比較品と本発明品(No.1〜50)
とを比較すると、本発明品(No.1〜50)が全ての比較品
を上回る性能を示すことが判明した。
以上の結果から、水溶性有機高分子を少量金属と共析
させることによってめっき表面の塗料の1次および2次
密着性が著しく改善されることがわかった。
耐食性についてはNo.1が比較品(No.87,89)と同等で
ある以外は本発明品(No.2〜50)が比較品(No.51〜8
9)のいずれをも大幅に上回る結果が得られ、本発明に
よる複合めっき皮膜は耐食性改善にも顕著な効果がある
ことがわかる。
プレス加工法に関しては、エリクセン加工、四方変形
加工、1mmφ折り曲げ加工にも良好 プレス加工性に関しては、エリクセン加工(8mm押
出)において良好な加工性を示した。
以上、ある特定の化学構造をもった水溶性有機高分子
を電気めっきに応用することにより従来のめっき皮膜の
もっていた欠点を克服することが可能で、本発明のめっ
き浴を使用することにより化成処理技術を施すことなく
塗料密着性および耐蝕性、溶接性、プレス加工性に優れ
ためっき皮膜が得られることがわかった。
表4は本発明に係る多層複合めっき金属材の組成とそ
の塗料密着性、耐蝕性を比較品とともに示したものであ
る。純亜鉛系めっきの単層皮膜上に化成処理を施したも
のと比較しても上層に有機高分子複合めっきを施すこと
により塗料密着性、耐蝕性ともに大幅に向上しているこ
とがわかる。この結果から、下層めっき皮膜のもつ物性
を生かしつつ、その表面層に本発明の特徴である塗料密
着性、耐蝕性などの機能を付与できることがわかる。
(注) *1:金属中炭素分析装置(堀場製作所製EMIA−110)を
用いて1350℃に加熱し、発生するCO2、CO量を検出して
めっき皮膜中の全炭素量を定量(wt%)にした。この値
(炭素含量)をもって有機高分子の共析量とした。水溶
性と水不溶性の有機高分子が共析しているめっき皮膜の
場合は、皮膜を硫酸水溶液に溶解し、メンブレンフィル
ターで水不溶性高分子を分離除去後上記測定を行った。
*2:下地めっき面に達するゴバン目を1mm間隔に100個描
き、セロテープで剥離した時の塗膜残存数で示した。
*3:下地めっき面に達するゴバン目を1mm間隔に100個描
いた後、エリクセン押出加工、7mmを行い、引き続きセ
ロテープ剥離試験を行った際の塗膜残存率。
評価基準 ◎…テープ剥離による剥離が全く認められない ○…テープ剥離による剥離がわずか(1〜5%)に認め
られる △…テープ剥離による剥離がやや(5〜15%)認められ
る ×…テープ剥離による剥離が相当程度(15〜35%)認め
られる ××…テープ剥離による剥離が大部分(65%)以上を占
める *4:ゴバン目を描かない状態で60℃のイオン交換水に10
0日間浸漬し、注*2のゴバン目試験を行った際の塗膜
残存率で示した。評価基準は注*3と同じ。
*5:塗装後クロスカットを入れた調整片をJIS 2371に基
づいて5%塩化ナトリウム水溶液を2週間連続噴霧を行
い、クロスカット部のテープ剥離試験を行った。
評価基準 ◎…0〜1mm(カットラインからの片幅)、周辺部のふ
くれなし ○…1〜2mm(カットラインからの片幅)、周辺部にふ
くれなし △…2〜4mm(カットラインからの片幅)、周辺部のふ
くれ認められる ×…4〜10mm(カットラインの片幅)、周辺部にふくれ
顕著 ××…全面剥離(カットラインからの片幅) 〔発明の効果〕 本発明は上記のように、特定の化学構造を有した水溶
性の有機高分子を用いたところに大きな特徴を有してい
る。本発明のめっき浴ではめっき金属と有機高分子との
複合化が分子オーダーで生じるため、比較的少量の有機
高分子の共析で高水準の塗料密着性、耐蝕性等の付与が
可能である。従って、従来一般に行われていたリン酸塩
処理やクロメート処理などの塗装下地処理(化成処理)
を全く施すことなく直接塗装できるので、本発明のめっ
き浴を用いることにより、煩雑で且つ公害対策の必要な
化成処理を省略することが可能である。この工業的メリ
ットは多大である。
本発明の皮膜は塗料密着性、裸耐食性、塗装後耐食性
に特に優れており、溶接性も兼備できるので、家電機器
用表面処理鋼板、自動車用防錆鋼板に応用すれば、極め
て優れた多機能性表面処理鋼板となりうる。
また、本発明は食罐などの罐用材料、銅箔などの電子
材料の製造あるいは装飾品の製造に利用できる。
また、本発明の皮膜は塗料のみでなくゴム、有機フィ
ルム、セラミックスなどのラミネート下地表面としても
利用できる。
また、本発明による水溶性有機高分子複合めっき法に
おいては、従来の電気めっき設備で容易に生産でき、高
価な設備や多大の労力を必要とせず、工業的価値が高
い。
【図面の簡単な説明】 第1図は、本発明によって得られた水溶性有機高分子複
合めっき皮膜(表4のNo.90)の表面の結晶構造を示す
電子顕微鏡写真であり、第2図は第1図のめっき皮膜の
断面の結晶構造を示す電子顕微鏡写真であり、第3図は
表4のNo.90の複合めっき層の電子線損失スペクトル法
(EELS)による解析図であり、1個の粒子の中のCの存
在状態を示すものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C25D 3/56 C25D 3/56 A B C Z 15/02 15/02 H

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼板、銅板などの金属材上に、重量平均分
    子量が1000〜100万の有機高分子であって、分子量500単
    位当たりに少なくとも1個以上の水酸基(−OH)を直接
    結合した置換基として有する1個以上の芳香環を有し、
    かつ上記分子量単位当たりに平均0.1〜4個のスルホン
    基(−SO3)、又は下記のグループ(a)の極性基〔グ
    ループ(a):リン酸基 (Rは水素原子又は炭化水素基、以下同じ)、亜リン酸
    ホスホン酸基 亜ホスホン酸基 ホスフィン酸基 亜ホスフィン酸基 第3級アミノ基 第4級アンモニウム塩基 (R1,R2,R3は同種または異種であって、かつ直鎖または
    分岐鎖アルキル基またはヒドロキシアルキル基、または
    フェニル基、ベンジル基などの芳香族基、Xは対アニオ
    ン)、カルボキシル基(−COOH)〕の中から選ばれる1
    種以上の極性基を必須成分として平均0.1〜5個の範囲
    で有するものであって、かつ芳香環と芳香環とを結ぶ主
    鎖がC−C結合、C=C結合、エーテル結合(C−O−
    C)のうちいずれか1種以上で構成されるアニオン性、
    カチオン性または両性の水溶性有機高分子の1種以上を
    めっき全重量に対して0.1〜30wt%含有し、かつめっき
    マトリックスがNi,Sn,Cr,Cu,Feのいずれか1種以上を主
    成分とするものである有機高分子複合電気めっき皮膜が
    形成されためっき金属材。
  2. 【請求項2】水溶性有機高分子が分子量500単位あたり
    平均2〜10個の水酸基(−OH)を有することを特徴とす
    る特許請求の範囲第1項記載のめっき金属材。
  3. 【請求項3】水溶性有機高分子中のスルホン基またはグ
    ループ(a)から選択される極性基の1種が分子量500
    単位当たり平均0.1〜4個のスルホン基であることを特
    徴とする特許請求の範囲第1項または第2項記載のめっ
    き金属材。
  4. 【請求項4】鋼板、銅板などの金属材が、当該表面に既
    に電気めっきまたは溶融めっきが施されているものであ
    る特許請求の範囲第1項〜第3項のいずれか一項に記載
    のめっき金属材。
  5. 【請求項5】めっき皮膜の平均結晶粒子径が10μ〜50Å
    である特許請求の範囲第1項〜第4項のいずれか一項に
    記載のめっき金属材。
  6. 【請求項6】めっき皮膜の平均結晶粒子径が5000〜50Å
    である特許請求の範囲第1項〜第5項のいずれか一項に
    記載のめっき金属材。
  7. 【請求項7】めっき皮膜の平均結晶粒子径が1000〜50Å
    である特許請求の範囲第1項〜第6項のいずれか一項に
    記載のめっき金属材。
  8. 【請求項8】めっき皮膜の平均結晶粒子径が1000〜50Å
    であって、かつ、その結晶の形状を球状もしくは楕円球
    面状に近い形である特許請求の範囲第1項〜第7項のい
    ずれか一項に記載のめっき金属材。
  9. 【請求項9】Ni,Sn,Cr,Cu,Feイオンのいずれか1種を主
    成分として1〜600g/含むめっき浴あるいはこのめっ
    き浴にさらに上記主成分以外の上記金属イオンまたはC
    o,Mn,Mo,Ti等の異種金属の1種以上をそれぞれ0.1〜400
    g/含む合金めっき浴に、重量平均分子量が1000〜100
    万の高分子であって、分子量500単位当たりに少なくと
    も1個以上の水酸基(−OH)を直接結合した置換基とし
    て有する1個以上の芳香環を有し、かつ上記単位当たり
    に平均0.1〜4個のスルホン酸基(−SO3)、または下記
    のグループ(a)の極性基〔グループ(a):リン酸基 (Rは水素原子または炭化水素基、以下同じ)、亜リン
    酸基 ホスホン酸基 亜ホスホン酸基 ホスフィン酸基 亜ホスフィン酸基 第3級アミノ基 第4級アンモニウム塩基 (R1,R2,R3は同種または異種であって、かつ直鎖または
    分岐鎖アルキル基またはヒドロキシアルキル基、または
    フェニル基、ベンジル基などの芳香族基、Xは対アニオ
    ン)、カルボキシル基(−COOH)〕の中から選ばれる1
    種以上の極性基を必須成分として平均0.1〜5個の範囲
    で有するものであって、かつ芳香環と芳香環とを結ぶ主
    鎖がC−C結合、C=C結合、エーテル結合(C−O−
    C)のうちいずれか1種以上で構成されるアニオン性、
    カチオン性または両性の水溶性有機高分子の1種以上を
    必須成分として、その総和が2〜200g/の範囲となる
    様に添加しためっき浴中で導電性基材を陰極として電気
    めっきし鋼板、銅板などの金属材表面に金属と水溶性有
    機高分子とを共析させ、水溶性有機高分子の割合が全共
    析量に対し0.1〜30wt%の範囲になるようにコントロー
    ルすることを特徴とする有機高分子複合めっき金属材の
    製造方法。
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