JP2646330B2 - ブロック玩具 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、磁性体で成るブロック
本体へ１又は２以上の装着体を磁力により着脱自在に装
着することのできるブロック玩具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、特公昭５７−２３５８号公報に示
すような人形玩具が知られている。この人形玩具は、全
体が強磁性材料から成りその上部が球形に形成されたボ
ディ部と、強磁性材料から成りその下部が球形に形成さ
れた頭部とを有している。そして、マグネットをボディ
部と頭部との間に介在させて当該マグネットの磁力によ
りボディ部と頭部を連結させるようにしている。このマ
グネットの上面、すなわち頭部と対応する面は当該頭部
の球面の曲率半径と等しい曲率半径の凹球面状に形成さ
れている。同様に、マグネットの下面、すなわちボディ
部と対応する面は当該ボディ部の球面の曲率半径と等し
い曲率半径の凹球面状に形成されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来例では、ボデ
ィ部が球面となっており、マグネットとして既成の平板
状のものを用いると、ボディ部とマグネットとの吸着面
が点接触になり吸着力が低下するので、接触面積を大き
くして吸着力を維持するためにマグネットの形状をボデ
ィ部の球面の曲率半径と等しい曲率半径の凹球面状に形
成したものと思われる。しかしながら、特定の球面に合
致させるためには特定の曲率半径の凹球面状を有するマ
グネットを特別に加工しなければならなかった。このた
め、マグネット部品のコストが上昇し、これによって玩
具全体のコストも増大するという問題点を有していた。
そこで、マグネット部品のコストを押さえつつ、マグネ
ットの磁力不足を補ってボディ部との吸着力を確保する
ために、既成の平板状のマグネットをヨーク内に収容し
た状態で用いることが考えられる。ところが、ヨークを
用いることによってマグネットの磁力不足を補うことが
できる反面、ボディ部との吸着面が線接触であり、接触
面積が極めて少ないので小さな衝撃によって装着体がボ
ディ部の曲面上を滑ってしまい、装着体を所定の位置に
保持することができないという問題点を有していた。ま
た、希土類磁石等の強力な磁力を有するマグネットを用
いて上記問題点を解決することが考えられるが、このよ
うな強力な磁力を有するマグネットはそのコストが高
く、かえって玩具全体のコストを増大させるという問題
点を有していた。

【０００４】本発明は上記課題に鑑みてなされたもの
で、特殊な形状のマグネットを用いることなく、既成の
平板状のマグネットを用いることによりコストの軽減を
図り、このマグネットの磁力により複数の装着体をブロ
ック本体へ着脱自在に取り付けることができ、且つ、装
着体を任意の位置へ確実に保持することのできるブロッ
ク玩具を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明が提供する手段は、下記に示す要件を備えて
構成した。すなわち、 （イ）ブロック本体と、このブロック本体へ着脱自在に
装着される１又は２以上の装着体とを有すること。 （ロ）前記ブロック本体は、その一部又は全部が磁性体
により球面状に形成されていること。 （ハ）前記１又は２以上の装着体のそれぞれには磁力吸
着部が形成されていること。 （ニ）前記それぞれの磁力吸着部は、凹部を有するヨー
クと、当該ヨーク内に収容される平板状のマグネット
と、当該マグネット上に固着される滑り止め部材とを有
すること。 （ホ）前記ヨークの凹部縁の高さは前記マグネットの厚
みより大きく設定されていること。 （ヘ）前記マグネット上に固着される滑り止め部材は、
伸縮性を有する合成樹脂素材で形成され、その先端を前
記ヨークの凹部縁より外側に突出して成り、磁力吸着部
をブロック本体へ吸着させたときに当該ブロック本体球
面によって前記滑り止め部材先端がヨーク内に圧縮され
ること。

【０００６】

【作用】本発明が提供する手段は、ブロック本体の一部
又は全部が磁性体により球面状に形成され、このブロッ
ク本体へ１又は２以上の装着体が着脱自在に装着され
る。当該装着体のそれぞれには磁力吸着部が形成され、
それぞれの磁力吸着部は、凹部を有するヨークと、当該
ヨーク内に収容される平板状のマグネットと、当該マグ
ネット上に固着される滑り止め部材とを有する。このよ
うに構成することにより、特殊な形状のマグネットを必
要とせず、既成の平板状のマグネットにより磁力吸着部
を形成することができる。また、前記ヨークの凹部縁の
高さは前記マグネットの厚みより大きく設定されると共
に、マグネット上に固着される滑り止め部材は、伸縮性
を有する合成樹脂素材で形成されている。また、滑り止
め部材の先端をヨークの凹部縁より外側に突出して成
り、磁力吸着部をブロック本体へ吸着させたときに当該
ブロック本体球面によって滑り止め部材先端がヨーク内
に圧縮される。このように滑り止め部材がブロック本体
球面に押し付けられた状態となって、その摩擦力により
装着体は球面上を滑ることなく任意の位置へ確実に保持
される。

【０００７】

【実施例】以下、本発明に係る一実施例を図面に基づい
て説明する。まず、図１、図２及び図３を参照してブロ
ック玩具１の全体的な構成を説明する。ブロック玩具１
は、磁性体で成る球状のブロック本体３と、このブロッ
ク本体３へ着脱自在に装着される複数の装着体とで構成
される。すなわち、ブロック本体３の上部には頭部５が
装着され、ブロック本体３の両側面には一対の腕部７，
９が装着され、ブロック本体３の下部には一対の脚部１
１，１３が装着される。頭部５、一対の腕部７，９、一
対の脚部１１，１３は合成樹脂などの比較的軽量な部材
から形成され、それぞれの重さは後で説明する磁力吸着
部の吸着力を考慮して適宜に設定される。また、一方の
脚部１１は図３に示すように、上脚部１５と、下脚部１
７と、この上脚部１５と下脚部１７を連結する軸１９と
で構成されている。上脚部１５には穴１５ａが設けら
れ、下脚部１７には穴１７ａ，１７ｂが設けられてお
り、軸１９を穴１７ａ，１５ａ，１７ｂへ挿入すること
により上脚部１５が下脚部１７へ連結される。また、穴
１５ａ，１７ａ，１７ｂの内径は、軸１９の外径と等し
いか、僅かに大きく設定されているので、上脚部１５は
軸１９を中心に回動することができ、且つ、適宜の回動
位置に保持される。また、他方の脚部１３の構成も図３
に示したと同様であり、詳細な説明を省略する。

【０００８】前記複数の装着体のそれぞれには磁力吸着
部が形成されている。すなわち、頭部５、一対の腕部
７，９、一対の脚部１１，１３には、それぞれ磁力吸着
部５ａ，７ａ，９ａ，１１ａ，１３ａが形成されてい
る。次に、図４を参照して頭部５に設けられた磁力吸着
部５ａを詳細に説明する。磁力吸着部５ａは、凹部を有
するヨーク２１と、当該ヨーク２１内に収容される既成
の平板状のマグネット２３と、当該マグネット２３上に
固着される滑り止め部材２５とから構成されている。こ
のヨーク２１と、当該ヨーク２１内に収容されるマグネ
ット２３のそれぞれの底面の形状は、円形や四角形等、
適宜の形状のものが用いられる。ヨーク２１の凹部縁２
１ａの高さはマグネット２３の厚みより大きく設定され
ている。そして、マグネット２３上に固着される滑り止
め部材２５は、伸縮性を有する合成樹脂素材、例えば、
発泡性ポリウレタンから形成され、その先端がヨーク２
１の凹部縁２１ａより外側に突出している。従って、磁
力吸着部５ａをブロック本体３へ吸着させたときにはブ
ロック本体３の球面によって滑り止め部材２５の先端が
ヨーク２１内に圧縮されることになる。また、他の装着
体、すなわち、一対の腕部７，９、一対の脚部１１，１
３に設けられるそれぞれの磁力吸着部７ａ，９ａ，１１
ａ，１３ａの構成も、上記磁力吸着部５ａと同様であ
り、詳細な説明を省略する。

【０００９】尚、図１及び図２に示した実施例では複数
の装着体を設けて構成したが、任意の単一の装着体のみ
をブロック本体３へ着脱自在に装着しても良い。また、
ブロック本体３は球形に限定されず適宜の形状にするこ
とができる。例えば、ブロック本体３の全体的な形状を
直方体に形成し、且つ、装着体の個数に応じて当該装着
体が装着される特定の箇所のみを球面状に形成しても良
い。

【００１０】次に、本発明に係る実施例の作用を説明す
る。頭部５、一対の腕部７，９、一対の脚部１１，１３
には、それぞれ磁力吸着部５ａ，７ａ，９ａ，１１ａ，
１３ａが形成されており、これらの１又は２以上の装着
体がブロック本体３へ着脱自在に装着される。それぞれ
の磁力吸着部は、凹部を有するヨークと、当該ヨーク内
に収容される平板状のマグネットと、当該マグネット上
に固着される滑り止め部材とを有する。このように構成
することにより、特殊な形状のマグネットを必要とせ
ず、既成の平板状のマグネットを用いることにより磁力
吸着部が形成される。

【００１１】次に図５を参照して頭部５をブロック本体
３へ吸着させる場合の作用を説明する。ヨーク２１の凹
部縁２１ａの高さはマグネット２３の厚みより大きく設
定されると共に、マグネット２３上に固着される滑り止
め部材２５は、伸縮性を有する合成樹脂素材である発泡
性ポリウレタンによって形成され、この滑り止め部材２
５の先端をヨーク２１の凹部縁２１ａより外側に突出し
ているので、磁力吸着部５ａをブロック本体３へ吸着さ
せたときには、当該ブロック本体３の球面によって滑り
止め部材２５の先端がヨーク２１内に圧縮される。この
ように滑り止め部材２５が押し付けられた状態となっ
て、磁力吸着部５ａとブロック本体３との摩擦力が大き
くなり、頭部５を任意の位置へ確実に保持することがで
きる。従って、頭部５を取り替えたり、その位置や向き
を変化させるためにマグネット２３を移動し、回動させ
た場合であっても、頭部５を任意の位置へ確実に保持す
ることができる。また、他の装着体である一対の腕部
７，９や一対の脚部１１，１３をブロック本体３へ吸着
させる場合の作用も上記と同様であり、詳細な説明を省
略する。以上のごとく、１または２以上の装着体をブロ
ック本体３へ着脱自在に吸着させ、その位置や向きを容
易に変化させることができ、それらの装着体を任意の位
置へ確実に保持することができる。

【００１２】尚、本発明に係る実施例は上記に限定され
ることなく、動物玩具や自動車おもちゃ、若しくは、適
宜のロボット玩具等にそのまま適用することができる。

【発明の効果】以上説明してきたように本発明は、ブロ
ック本体へ着脱自在に装着される１または２以上の装着
体のそれぞれには磁力吸着部が形成され、それぞれの磁
力吸着部は凹部を有するヨークと、当該ヨーク内に収容
される平板状のマグネットと、当該マグネット上に固着
される滑り止め部材とを有する。このように、特殊な形
状のマグネットをわざわざ用いることなく、既成の平板
状のマグネットを用いることによりコストの軽減を図る
ことができるという効果が得られる。また、ヨークの凹
部縁の高さはマグネットの厚みより大きく設定されると
共に、マグネット上に固着される滑り止め部材は、伸縮
性を有する合成樹脂素材で形成され、滑り止め部材の先
端をヨークの凹部縁より外側に突出させて構成したの
で、磁力吸着部をブロック本体へ吸着させたときに当該
ブロック本体球面によって滑り止め部材先端がヨーク内
に圧縮される。そして、滑り止め部材がブロック本体球
面に押し付けられた状態となって、その摩擦力により装
着体は球面上を滑ることなく任意の位置へ確実に保持さ
れるという効果を有する。このため、磁力によりブロッ
ク本体へ吸着された１または２以上の装着体の位置や向
きを容易に変更させることができ、その変更した適宜の
位置へ確実に保持することができるという効果を有す
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るブロック玩具の分解斜視図であ
る。

【図２】本発明に係るブロック玩具の全体斜視図であ
る。

【図３】図１に示した脚部の分解斜視図である。

【図４】磁力吸着部の断面図である。

【図５】磁力吸着部をブロック本体に吸着させた場合の
作用を示した断面図である。

【符号の説明】

１ ブロック玩具 ３ ブロック本体 ５ 頭部 ５ａ 磁力吸着部 ７ 腕部 ９ 腕部 ７ａ 磁力吸着部 ９ａ 磁力吸着部 １１ 脚部 １１ａ 磁力吸着部 １３ 脚部 １３ａ 磁力吸着部 ２１ ヨーク ２１ａ 凹部縁 ２３ マグネット ２５ 滑り止め部材

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 下記の要件を備えたことを特徴とするブ
   ロック玩具。 （イ）ブロック本体と、このブロック本体へ着脱自在に
   装着される１又は２以上の装着体とを有すること。 （ロ）前記ブロック本体は、その一部又は全部が磁性体
   により球面状に形成されていること。 （ハ）前記１又は２以上の装着体のそれぞれには磁力吸
   着部が形成されていること。 （ニ）前記それぞれの磁力吸着部は、凹部を有するヨー
   クと、当該ヨーク内に収容される平板状のマグネット
   と、当該マグネット上に固着される滑り止め部材とを有
   すること。 （ホ）前記ヨークの凹部縁の高さは前記マグネットの厚
   みより大きく設定されていること。 （ヘ）前記マグネット上に固着される滑り止め部材は、
   伸縮性を有する合成樹脂素材で形成され、その先端を前
   記ヨークの凹部縁より外側に突出して成り、磁力吸着部
   をブロック本体へ吸着させたときに当該ブロック本体球
   面によって前記滑り止め部材先端がヨーク内に圧縮され
   ること。