JP2646183B2 - 簡易雨養生シート - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は建設工事現場の足場に設
けられ、雨避となる養生シートに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の建設工事現場の足場は、組み立て
解体を容易にできるよう鉄パイプ、キャットウォーク、
継ぎ部材等の少ない部材で構成され、解体在庫のスペー
スもすくない。こうした足場は晴天用のもので雨天とな
った場合には、足場最上部にシートを覆うなどして雨を
しのぎ急ぎの工事をこなしていた。そこで用いられてき
たシートは一枚の揮水性のあるシートで各縁部に複数の
紐通し孔をあけたのみのものが用いられてきた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】足場ビティの上端に設
けられた屋根構体に雨養生シートを付設する時、風によ
る落下防止のため屋根構体や固定足場に対し、紐通し孔
を通した紐を結びつけ固定する必要があった。一方風雨
時にはシートのばたっきにより屋根構体とシートとの当
接部分がすり切れ、寿命が短かくなる。また、晴天にな
った時に湿気によって仕上り状態に影響があるシーリン
グや吹き付け作業ではシートを外す必要がある。しか
し、雨に濡れたシートは重く片付け作業を困難なものに
してきた。

【０００４】本発明は、従来の雨養生シートの問題点に
鑑みてなされたものであり、その目的とするところは丈
夫で、付設取り外しを容易にした簡易雨養生シートを提
供しようとするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明における簡易雨養生シートは建設現場用の固
定足場の上端に設けられた足場ビティの上端に設けられ
た屋根構体を覆う雨養生シートにおいて、屋根構体の棟
軒部に近接する位置および両端部に縫い込まれ、シート
のしわを生じにくくした補強芯と、互いに隣接して設け
られるシートの側部が重ね合わせられ、ボタン等の接続
部材を介して着脱される重ね合わせ部と、シートの側部
および補強芯のシート内側に略一定間隔をもって固定足
場に結合する紐等からなる結合部材と、シート長手方向
一端の少なくともシートの側部に一対のシート長さより
わずか長い紐を結合したシート引き上げ部材とよりなる
ものである。

【０００６】また、シートの付設取外しをより容易にす
るためにシート引き上げ部材に代わり、シート長手方向
の一端に縫着されシートを巻取るシート巻取りロール
と、シート巻取りロールをシート長さ以上離間した位置
から人為的に回転させシートを巻取るべくシート巻取り
ロールの一端に設けられたロープ掛部に巻回したシート
巻取りロープを用いることも良い。

【０００７】ロープ掛部については、シート巻取りロー
ルの端部でシートの縁より外方へ突出するロープ巻回部
と、シート巻取りロールの外径より大きな径を有する鋼
製円板からなり、シート巻取りロールの側端面に固定さ
れるロープガイドよりなるものである。

【０００８】一方、ロープ掛部は、シート巻取りロール
の端部でシートの縁より外方へ突出するロープ巻回部
と、ロープ巻回部を覆い、ロープ巻回部を巻くロープが
外れぬようガイドするとともに、ロープを巻回部より外
方に引き出す引き出し孔を設け、シート巻取りロールの
端部において滑らかに回転可能にされたロープガイド部
より構成することも良い。

【０００９】また、屋根構体の棟軒部に近接する位置お
よび少くとも長手方向一端部に縫い込まれシートのしわ
が生じにくいようにした補強芯と、互いに隣接して設け
られるシートの側部が重ね合わせられ、ボタン等の接続
部材を介して着脱される重ね合わせ部と、シートの側部
および補強芯のシート内側に略一定間隔をもって固定足
場に結合する紐等からなる結合部材と、シート長手方向
の一端の少なくとも両側部に設けた結合ワイヤーとより
構成することも良いものである。

【００１０】

【作用】補強芯は屋根構体の横方向の棟軒部に近接する
シートに縫い込まれた塩化ビニール板や鋼棒等成形部材
からなるもので、シートの縦方向のしわを生じにくくす
る。

【００１１】重ね合わせ部は、複数の簡易雨養生シート
を隙間なく屋根構体に覆う場合、取り付け作業をしやす
くするほか、ずれをなくするもので、ボタン等の接続部
材を介して隣接するシートの位置関係を定める。

【００１２】結合部材は紐からなり、屋根構体の棟軒部
や固定足場にシートを結び付け、風によるシートの浮き
上がり、シートの落下を防止するもので、補強芯および
縁に沿って略一定間隔をもってシートの裏面に縫い付け
られる。

【００１３】シート引き上げ部材は、屋根構体の上方か
ら垂れ下がったシートの下端の少なくとも両側部に一端
を結びつけられるか縫い込まれ、シート長さより長い紐
で、シートを屋根構体上方より引き上げ片付けたり、シ
ートを屋根構体に覆う時に、屋根構体上方よりシート引
き上げ部材を手元で調整しながら安全に引き下ろすもの
である。

【００１４】シート巻取りロールはシート引き上げ部材
に代るもので、屋根構体の上方から垂れ下がったシート
の下端に滑らぬよう縫着された金属パイプ等からなる丸
棒材からなり、シート幅より外方に突出された部分にシ
ート巻取りロープを巻回するロープ掛部を形成する。シ
ート巻取りロープはシート長さの２倍以上の長さで、両
端を結ぶなどした大きな輪を形成し、ロープ掛部に一回
巻回することにより、屋根構体の上方から、ロープの輪
の一方を引くことによりシートを巻き上げあるいは巻き
下ろしができるものである。また、ロープ掛部を構成す
るロープガイド板はシート巻取りロールの側端部に設け
られロープがロープ掛部より外れることのないよう設け
られるものである。

【００１５】ロープガイド部材はロープガイド板に代わ
るものでロープ掛部に巻回された輪状のシート巻取りロ
ープがロープ掛部より外れることのないようロープを包
み込めるとともに、シート巻取りロールの端部において
滑らかに回転可能にされる。引き出し孔はロープガイド
部材の外周の一部に設けられたもので、ロープ掛部に巻
回されたシート巻取りロープを引き出し屋根構体の上方
からロープの輪の一方を引くことによりシートを巻き上
げあるいは巻き下ろしができるものである。

【００１６】結合ワイヤーはシートの上端を工事中の建
屋に設けられる付属物に結びつけられるようにし、足場
ビティが高くなって不安定になった場合でも、シート上
端は確実に固定するものである。

【００１７】

【実施例】実施例について図面を参照して説明する。第
１図は本発明簡易雨養生シートの使用説明図である。屋
根構体１および足場ビティ２等からなる固定足場３に
は、かすがい４、キャットウォーク５等を各現場に合わ
せて組み合わされ、高所作業を安全に行えるようにし、
現在ではどこの建設現場に行っても見受けられる。屋根
構体１は現場で継ぎ部材６を介して一体に接合されるも
ので、形は片流れにすると、雨が溜りにくく、また雨の
流れる方向が決められることから雨天作業には有効であ
る。簡易雨養生シート７は屋根構体１を構成する棟軒部
８を覆い雨天をしのぐものである。記号１４はシートの
重ね合わせ部である。

【００１８】第２図は建屋に上端を固定する簡易雨養生
シート７の取付実施例図である。屋根構体１に覆われた
簡易雨養生シート７は棟軒部８において曲げられる。こ
の棟軒部８に近接する位置と屋根構体１より垂れ下げら
れた長手方向端部には、塩化ビニール板や鋼棒等成形部
材からなる補強芯９が縫い込まれ、簡易雨養生シート７
の縦方向のしわを生じにくくし、設置、除去を容易にす
る。第２図においては、簡易雨養生シート７の上端部が
縁になっているものである。

【００１９】結合部材１１はシート裏面１０に縫いつけ
られた紐からなり、補強芯９および縁に沿って略一定間
隔に配され、屋根構体１の棟軒部８や固定足場３に結び
つけられ風等による浮き上がりを防止する。

【００２０】記号１２は結合ワイヤーで、簡易雨養生シ
ート７の上端に設けられているもので、建屋に既設され
ているワイヤーや丸管等の係止部材１３に簡易雨養生シ
ート７が落下することのないよう結び付けたり、結合ワ
イヤー１２の遊端部にパロットピーク２６等を設け容易
に係止できるようにするものである。

【００２１】記号１７は細いナイロンロープ等からなる
シート引き上げ部材で、簡易雨養生シート７の下端に縫
い込まれ、シート長さより長く構成されており、シート
引き上げ部材１７のシート７の下端に縫い込まれた一端
に対し、他の一端である遊端部は屋根構体１の上に引き
上げられており、落ちぬよ屋根構体１や固定足場３の任
意の部分に結びつけられている。そうして、シート７を
引き上げ片付けたり、その反対に簡易雨養生シート７を
屋根構体１に覆う時に、屋根構体１の上方よりシート引
き上げ部材１７を手元で調整することにより、安全にま
た早く作業ができる。

【００２２】重ね合わせ部１４は、複数の簡易雨養生シ
ート７を屋根構体１に間隙なく覆う場合にシート同士を
上下に重ね合わせ、ずれを防止するもので、第３図
（ａ）に示すように、上側となる簡易雨養生シート７の
内側にボタン１６を付し下側の簡易雨養生シート７には
ボタン孔１５を設け掛け合わすことにより相互の位置関
係を定める。他方第３図（ｂ）に示すようにボタン１６
に代わり、紐状の結合部材１１をボタン孔１５に通し、
シート相互の位置関係を定めると同時に屋根構体１に結
合することも良い。これらボタン１６の、結合部材１１
は接続部材２５となるものである。なお、重ね合わせ部
１４について、たとえば左側のシートは上側となるよう
決めれば、ボタン孔１５は簡易雨養生シート７の左側縁
部にのみ設け、右側縁部にはボタン１６あるいは結合部
材１１を付すならば雨養生シート７の種類を不必要に増
やさなくてすませることができ取り扱いやすいものとな
る。

【００２３】第４図は、シート巻き上げ手段の第１の実
施例図である。屋根構体１の下端には、補強芯９を兼ね
て滑らぬよう縫着された金属パイプ等からなる丸棒材か
らなるシート巻取りロール１９が設けられている。シー
ト巻取りロール１９は、シート幅より外方に突出された
部分にシート巻取りロープ２０を巻回すロープ掛部２１
を形成する。シート巻取りロープ２０はシート長さの約
２倍以上の長さで両端を結ぶなどして大きな輪を形成
し、ロープ掛部２１に一回巻回すことによりシート巻取
りロープ２０とロープ掛部２１が確実に噛み合わされ、
シート巻取りロープ２０の輪を引くことによりシートを
巻き上げあるいは巻き下ろしができる。こうしたシート
巻取りロール１９を用いる手段においては、シートを巻
き上げ、巻き下げできることから簡易雨養生シート７の
屋根構体１への付設、収納を小容積に、かつ容易にでき
より取り扱いやすいものとなる。またロープガイド板２
２は、ロープ掛部２１の側端面に溶接等により一体に設
けられるもので、ロープ掛部２１の外径より大径の円板
で形成され、ロープ掛部２１よりシート巻取りロープ２
０が外れぬようガイドする。

【００２４】第５図は、シート巻き上げ手段の第２の実
施例図である。ロープガイド部材２３は、ロープガイド
板２２に代わるもので、ロープ掛部２１に巻回された輪
状のシート巻取りロープ２０が外れることのないよう、
ロープ掛部２１の略半周をシート巻取りロープ２０を完
全に包み込むよう、ロープ掛部２１の外周を略Ｕ字形を
形成する。ロープガイド部材２３は、ロープ掛部２１の
側端面に嵌合され、滑らかに回転される。滑らかな回転
をさせるためにベアリングを用いることも良いものであ
る。引き出し孔２４はロープガイド部材２３のうちロー
プ掛部２１を包み込んでいない略半周で形成されるもの
で、ロープ掛部２１に巻回されたシート巻取りロープ２
０をロープ掛部２１より引き出し、屋根構体１の上方迄
引き上げておく、したがって屋根構体１の上方からシー
ト巻取りロープ２０の輪を引くことにより、引き出し孔
２４を上方に向けた状態のままロープ掛部２１を回転さ
せ、第４図の場合と同じく簡易雨養生シート７を容易に
巻き上げ、あるいは巻き下ろしができる。

【００２５】

【発明の効果】以上説明のとうり、本発明簡易雨養生シ
ート７は、雨天時等で屋根構体１上に付設あるいは収納
作業をシート引き上げ部材１７、シート巻取りロール１
９を上方より引くことにより、容易にすることができ
る。

【００２６】また、補強芯９は簡易雨養生シート７の横
手方向の棟軒部に近接するシートに縫い込むことにより
シートの縦方向のしわを生じにくくでき、簡易雨養生シ
ート７の付設あるいは収納作業を容易にすることができ
る。

【００２７】重ね合わせ部１４は、複数の簡易雨養生シ
ート７を用いる場合に、ボタン１６あるいは結合部材１
１をボタン孔１５を介して位置決めをするもので、簡易
雨養生シート７を乱れなく付設できるものである。また
結合部材１１は、屋根構体１や固定足場３に結びつけら
れ風等による浮き上がりを防止できるものである。

【００２８】さらに結合ワイヤー１２は、簡易雨養生シ
ート７の上端に設けられるもので、工事対象の建屋付属
物に結びつけられあるいは係止されるもので、固定足場
３より安定な建屋に固定されることとなることから、固
定足場の振動等によるずれが生じにくくすることができ
るほか、収納保管についても建屋側に固定されることか
ら、安全になるなどの効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 簡易雨養生シートの使用説明図である。

【図２】 建屋に上端を固定する簡易雨養生シートの取
付実施例図である。

【図３】 重ね合わせ部説明図である。

【図４】 シート巻き上げ手段の第１の実施例図であ
る。

【図５】 シート巻き上げ手段の第２の実施例図であ
る。

【符号の説明】

１〜屋根構体 ２〜足場ビティ ３〜固定足場 ４〜かすがい ５〜キャットウオ−ク ６〜継ぎ部材 ７〜簡易雨養生シート ８〜棟軒部 ９〜補強芯 １０〜シート裏面 １１〜紐状の結合部材 １２〜結合ワイヤー １３〜係止部材 １４〜重ね合わせ部 １５〜ボタン孔 １６〜ボタン １７〜シート引き上げ部材 １９〜シート巻取りロール ２０〜シート巻取りロープ ２１〜ロープ掛部 ２２〜ロープガイド板 ２３〜ロープガイド部材 ２４〜引き出し孔 ２５〜接続部材 ２６〜パイロットピ−ク

Claims (5)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 建設現場用の固定足場の上端に設けられ
   た足場ビティの上端に設けられた屋根構体を覆う雨養生
   シートにおいて、前記した屋根構体の棟軒部に近接する
   位置および両端部に縫い込まれシートのしわを生じにく
   くした補強芯と、互いに隣接して設けられるシートの側
   部が重ね合わせられ、ボタン等の接続部材を介して着脱
   される重ね合わせ部と、シートの側部および補強芯のシ
   ート内側に略一定間隔をもって屋根構体や固定足場に結
   合する紐等からなる結合部材と、シート長手方向一端の
   少くともシートの側部に一対シート長さより長い紐を結
   合したシート引き上げ部材とより構成されたことを特徴
   とする簡易雨養生シート。
2. 【請求項２】 建設現場用の固定足場の上端に設けられ
   た足場ビティの上端に設けられた屋根構体を覆う雨養生
   シートにおいて、前記した屋根構体の棟軒部に近接する
   位置および両端部に縫い込まれシートのしわが生じにく
   いようにした補強芯と、互いに隣接して設けられるシー
   トの側部が重ね合わせられ、ボタン等の接続部材を介し
   て着脱される重ね合わせ部と、シートの側部および補強
   芯のシート内側に略一定間隔をもって固定足場に結合す
   る紐等からなる結合部材と、シート長手方向の一端に縫
   着されシートを巻取るシート巻取りロールと、該シート
   巻取りロールをシートの長さ以上離間した位置から人為
   的に回転させ、シートを巻取るべくシート巻取りロール
   の一端に設けられたロープ掛部に巻回したシート巻取り
   ロープとより構成されたことを特徴とする簡易雨養生シ
   ート。
3. 【請求項３】 請求項２において用いられるロープ掛部
   が、シート巻取りロールの端部でシートの縁より外方へ
   突出するロープ巻回部と、シート巻取りロールの外径よ
   り大きな径を有する鋼製円板からなり、シート巻取りロ
   ールの側端面に固定されるロープガイド板とより構成さ
   れることを特徴とする簡易雨養生シート。
4. 【請求項４】 請求項２において用いられるロープ掛部
   が、シート巻取りロールの端部でシートの縁より外方へ
   突出するロープ巻回部と、該ロープ巻回部を覆い、ロー
   プ巻回部を巻ロープが外れぬようガイドするとともに、
   ロープを巻回部より外方に引き出す引き出し孔を設け、
   シート巻取りロールの端部において、滑らかに回転可能
   にされたロープガイド部材とより構成されることを特徴
   とする簡易雨養生シート。
5. 【請求項５】 建設現場用の固定足場の上端に設けられ
   た足場ビティの上端に設けられた屋根構体を覆う雨養生
   シートにおいて、前記した屋根構体の棟軒部に近接する
   位置および少なくとも長手方向一端部に縫い込まれシー
   トのしわが生じにくいようにした補強芯と、互いに隣接
   して設けられるシートの側部が重ね合わせられ、ボタン
   等の接続部材を介して着脱される重ね合わせ部と、シー
   トの側部および補強芯のシート内側に略一定間隔をもっ
   て固定足場に結合する紐等からなる結合部材と、シート
   長手方向の一端の少なくとも両側部に設けた結合ワイヤ
   ーと、より構成されたことを特徴とする簡易雨養生シー
   ト。