JP2644138B2 - ポリエステル製植生シート - Google Patents

ポリエステル製植生シート

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JP2644138B2 JP4158189A JP15818992A JP2644138B2 JP 2644138 B2 JP2644138 B2 JP 2644138B2 JP 4158189 A JP4158189 A JP 4158189A JP 15818992 A JP15818992 A JP 15818992A JP 2644138 B2 JP2644138 B2 JP 2644138B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 本発明は、生分解性を有し、
実用上十分な高分子量と特定の溶融特性を有する脂肪族
ポリエステルを用いて成形された植生緑化用の植生シー
トに関するものである。さらに詳しくは、機械性能に優
れ、生分解性を兼ね備えた不織布に関するものである。
【0002】
【従来の技術】植生シートは植生用ネット、播種用テー
プに使用される。種子、肥料などを混合して播種後その
上を植生用ネットで被覆すると、植生用ネットは土の表
面に張りつき、遮光、保温により種子を守り安定発芽さ
せる効果をもち、ゴルフ場、道路法面、護岸工事の堤
防、鉄道路線等に用いられている。セルローズ系のネッ
ト、不織布、ペーパー類、PVAフィルム等の素材で作
ったものは吸水性、保水性、自然分解という特性をうま
く生かしているが、強度不足のために、道路の法面、護
岸工事の堤防などには使用されていない。一方、ポリプ
ロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンを主原料と
したモノフィラメント、フラットヤーン等を織編成した
クロス類が用いられているが、引張り強度等機械性能は
優れているものの生分解性は全くない。現在土木分野に
はこの両特性を具備した材料が見当らないためポリオレ
フィン製のフラットヤーンを織成したものが多く使用さ
れている。このために生分解性を有し、強度の強いプラ
スチックの出現が待望され、既に、例えば、微生物によ
る発酵法により製造されるポリ(3ーヒドロキシブチレ
ート)やブレンド系の天然高分子である澱粉と汎用プラ
スチックとのブレンド物等が知られている。しかし、前
者はポリマーの熱分解温度が融点に近いため成形加工性
に劣ることや微生物が作りだすため、原料原単位が非常
に悪い欠点を有している。また、後者は天然高分子自身
が熱可塑性でないため、成形性に難があり、利用範囲に
大きな制約を受けている。一方、脂肪族のポリエステル
は生分解性を有することは知られていたが、実用的な成
形品物性を得るに十分な高分子量物が得られないため
に、ほとんど利用されなかった。最近、εーカプロラク
トンが開環重合により高分子量になることが見いださ
れ、生分解性樹脂として提案されているが、融点が62
℃と低く、原料が高価なため特殊用途への利用に限定さ
れている。グリコール酸や乳酸などもグリコリドやラク
チドの開環重合により高分子量が得られ、僅かに医療用
繊維等に利用されているが、融点と分解温度が近く、成
形加工性に欠点を持ち土木資材や農業用資材等に大量に
使用されるには至っていない。
【0003】ポリオレフィンやポリエチレンテレフタレ
ート等の芳香族ポリエステルは機械性能は優れているも
のの、生分解性を有しないばかりか、これらに生分解性
を付与しようとする試みの報告はまだされていないのが
現状である。従って、上記ポリエステル系樹脂のジカル
ボン酸に脂肪族タイプを使用した、生分解性を有する脂
肪族のポリエステルを用いて、植生シートを実用化しよ
うとする思想は皆無といってよい。この実用化の思想の
生まれていない理由の一つは、植生シート用原糸が特殊
な成形条件と成形品物性が要求されるにかかわらず、た
とえ結晶性であったとしても、前記脂肪族のポリエステ
ルの融点は100℃以下のものがほとんどであり、その
上溶融時の熱安定性に乏しいこと、更に重要なことはこ
の脂肪族のポリエステルの性質、特に引張り強さで代表
される機械的性質が、上記ポリエチレンテレフタレート
と同一レベルの数平均分子量でも著しく劣った値しか示
さず、強度等を要する成形物を得ようとする発想をする
こと自体困難であったものと考えられる。さらに脂肪族
のポリエステルの数平均分子量をより上昇させて物性向
上を期待する研究は、その熱安定性の不良から十分に進
展していないこともその理由の一つと推察される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これら脂肪
族のポリエステルをその成分として用い、実用上十分な
高分子量を有し、引張強度に優れ、且つ、廃棄処分手段
のひとつとしての生分解性、即ち、微生物等による分解
も可能な、使用後廃棄処分のしやすい土壌汚染を発生す
ることのない植生シートを提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、高分子量
で十分な実用性をもった植生シート原糸の成形性を有す
るポリエステルを得るための反応条件を種々検討した結
果、生分解性を保持しつつ、実用上十分な高分子量を有
する特定の脂肪族ポリエステルを得、これから成形され
た繊維、フラットヤーン、スプリットヤーン、モノフィ
ラメントから構成された植生シートは上記生分解性を有
することはもちろん引張強度に優れていることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0006】即ち、本発明の要旨は、(A)温度190
℃、剪断速度100sec-1における溶融粘度が5.0
×102 〜5.0×104 ポイズであり、融点が70〜
190℃である脂肪族ポリエステルを主成分として押出
成形してなる繊維、フラットヤーン、スプリットヤー
ン、モノフィラメントから構成された植生シート、
(B)脂肪族ポリエステルが数平均分子量10,000
以上であり、0.03〜3.0重量%のウレタン結合を
含む(A)の植生シート、(C)数平均分子量が5,0
00以上、融点が60℃以上の脂肪族ポリエステルプレ
ポリマー100重量部に、0.1〜5重量部のジイソシ
アナートを反応させることにより得られる脂肪族ポリエ
ステルを用いてなる(A)又は(B)の植生シートにあ
る。以下、本発明の内容を詳細に説明する。
【0007】本発明でいう脂肪族ポリエステルとは、グ
リコール類と多塩基酸( またはその酸無水物)とから合
成されるポリエステルを主成分とするものであり、分子
量を高くするため、両端にヒドロキシル基を有する比較
的高分子量のポリエステルプレポリマーを選び、カップ
リング剤により、さらに反応させたものである。
【0008】従来から、末端基がヒドロキシル基であ
る、数平均分子量が2,000〜2,500の低分子量
ポリエステルプレポリマーをカップリング剤としてのジ
イソシアナートと反応させて、ポリウレタンとし、ゴ
ム、フォーム、塗料、接着剤とすることは広く行われて
いる。しかし、これらのポリウレタン系フォーム、塗
料、接着剤に用いられるポリエステルプレポリマーは、
無触媒で合成されうる最大限の、数平均分子量が2,0
00〜2,500の低分子量プレポリマーであり、この
低分子量プレポリマー100重量部に対して、ポリウレ
タンとしての実用的な物性を得るためには、ジイソシア
ナートの使用量は10〜20重量部にも及ぶ必要があ
り、このように多量のジイソシアナートを150℃以上
の溶融した低分子量ポリエステルに添加すると、ゲル化
してしまい、通常の溶融成形可能な樹脂は得られない。
従って、このような低分子量のポリエステルプレポリマ
ーを原料とし、多量のジイソシアナートを反応させて得
られるポリエステルは本発明の植生シート用原料には用
いえない。
【0009】またポリウレタンゴムの場合のごとく、ジ
イソシアナートを加えて、ヒドロキシル基をイソシアナ
ート基に転換し、さらにグリコールで数平均分子量を増
大する方法も考えられるが、使用されるジイソシアナー
トの量は前述のように実用的な物性を得るにはプレポリ
マー100重量部に対して10重量部以上であり上記と
同様の問題がある。比較的高分子量のポリエステルプレ
ポリマーを使用しようとすれば、そのプレポリマー合成
に必要な重金属系の触媒が上記使用量のイソシアナート
基の反応性を著しく促進して、保存性不良、架橋反応、
分岐生成をもたらし、好ましくないことから、ポリエス
テルプレポリマーとして無触媒で合成されたものを使用
しようとすれば、数平均分子量は高くても2,500位
のものが限界である。
【0010】本発明に用いられる脂肪族ポリエステルを
得るためのポリエステルプレポリマーはその合成用触媒
を含有する上記のような比較的高分子量のものであり、
末端基が実質的にヒドロキシル基であり、数平均分子量
が5,000以上、好ましくは10,000以上の比較
的高分子量であり、融点が60℃以上の飽和脂肪族のポ
リエステルであり、グリコール類と多塩基酸(またはそ
の無水物)とを触媒反応させて得られる。数平均分子量
が5,000未満、例えば2,500程度であると、本
発明で利用する0.1〜5重量部という少量のカップリ
ング剤では、良好な物性を有する植生シート用ポリエス
テルを得ることができない。数平均分子量が5,000
以上のポリエステルプレポリマーは、ヒドロキシル価が
30以下であり、少量のカップリング剤の使用で、溶融
状態といった苛酷な条件下でも、残存する触媒の影響を
受けないので反応中にゲルを生ずることなく、高分子量
ポリエステルを合成することができる。
【0011】用いられるグリコール類としては、例えば
エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6
−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、ネオペ
ンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル等があげられる。エチレンオキシドも利用することが
できる。これらのグリコール類は、併用してもよい。
【0012】グリコール類と反応して脂肪族のポリエス
テルを形成する多塩基酸(またはその酸無水物)には、
コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデ
カン酸、無水コハク酸、無水アジピン酸、などが一般に
市販されており、本発明に利用することができる。多塩
基酸(またはその酸無水物)は併用してもよい。
【0013】これらグリコール類および多塩基酸は脂肪
族系が主成分であるが、少量の他成分たとえば芳香族系
を併用してもよい。但し、他成分を導入すると生分解性
が悪くなるため、20重量%以下、好ましくは10重量
%以下、さらに好ましくは5重量%以下である。
【0014】本発明に用いられる脂肪族ポリエステル用
ポリエステルプレポリマーは、末端基が実質的にヒドロ
キシル基であるが、そのためには合成反応に使用するグ
リコール類および多塩基酸(またはその酸無水物)の使
用割合は、グリコール類を幾分過剰に使用する必要があ
る。
【0015】比較的高分子量のポリエステルプレポリマ
ーを合成するには、エステル化に続く脱グリコール反応
の際に、脱グリコール反応触媒を使用することが必要で
ある。
【0016】脱グリコール反応触媒としては、例えばア
セトアセトイル型チタンキレート化合物、並びに有機ア
ルコキシチタン化合物等のチタン化合物があげられる。
これらのチタン化合物は、併用もできる。これらの例と
しては、例えばジアセトアセトキシオキシチタン(日本
化学産業(株)社製“ナーセムチタン”)、テトラエト
キシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシ
チタン等があげられる。チタン化合物の使用割合は、ポ
リエステルプレポリマー100重量部に対して0.00
1〜1重量部、望ましくは0.01〜0.1重量部であ
る。チタン化合物はエステル化の最初から加えてもよ
く、また脱グリコール反応の直前に加えてもよい。
【0017】さらに、数平均分子量が5,000以上、
望ましくは10,000以上の末端基が実質的にヒドロ
キシル基であるポリエステルプレポリマーに、さらに数
平均分子量を高めるためにカップリング剤が使用され
る。カップリング剤としては、ジイソシアナート、オキ
サゾリン、ジエポキシ化合物、酸無水物等があげられる
が特にジイソシアナートが好適である。なお、オキサゾ
リンやジエポキシ化合物の場合はヒドロキシル基を酸無
水物等と反応させ、末端をカルボキシル基に変換してか
らカップリング剤を使用することが必要である。ジイソ
シアナートはその種類には特に制限はないが、例えば次
の種類があげられる。2,4−トリレンジイソシアナー
ト、2,4−トリレンジイソシアナートと2,6−トリ
レンジイソシアナートとの混合体、ジフェニルメタンジ
イソシアナート、1,5−ナフチレンジイソシアナー
ト、キシリレンジイソシアナート、水素化キシリレンジ
イソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、イ
ソホロンジイソシアナート、特に、ヘキサメチレンジイ
ソシアナートが、生成樹脂の色相、ポリエステル添加時
の反応性、等の点から好ましい。
【0018】これらカップリング剤の添加量は、ポリエ
ステルプレポリマー100重量部に対して0. 1〜5重
量部、望ましくは0. 5〜3重量部である。0. 1重量
部未満では、カップリング反応が不十分であり、5重量
部を超えると、ゲル化が発生し易くなる。
【0019】添加は、ポリエステルプレポリマーが均一
な溶融状態であり、容易に撹拌可能な条件下で行われる
ことが望ましい。固形状のポリエステルプレポリマーに
添加し、エクストルーダーを通して溶融、混合すること
も不可能ではないが、脂肪族ポリエステル製造装置内
か、或は溶融状態のポリエステルプレポリマー(例えば
ニーダー内での)に添加することが実用的である。
【0020】本発明において使用される脂肪族ポリエス
テルは押出成形して、繊維、フラットヤーン、スプリッ
トヤーン、モノフィラメントにするためには、特定の溶
融特性が要求される。即ち、温度190℃、剪断速度1
00sec-1における溶融粘度は5.0×102 〜5.
0×104 ポイズであり、好ましくは3.0×103
3.0×104 ポイズであり、5.0×103 〜2.0
×104 ポイズが特に好ましい。5.0×102 ポイズ
未満では溶融押出し時における押出ムラや、未溶融物が
発生し易く、安定して引取りが困難であり、引取りがで
きても充分な物性が得られない。また、5.0×104
ポイズを超えると、溶融押出し時においてフィルムが均
一化せず、また延伸が困難であるか、あるいは低延伸倍
率のものしか得られない。 なお、溶融粘度の測定はノ
ズル径が1.0mmであり、L/D=10のノズルを用
い樹脂温度190℃で測定した剪断速度と見かけ粘度の
関係のグラフより剪断速度100sec-1の時の粘度を
求めた。
【0021】さらに、本発明において使用される脂肪族
ポリエステルの融点は70〜190℃であることが必要
であり、70〜150℃であることがより好ましく、特
に80〜135℃が好ましい。70℃未満では耐熱性が
不十分であり、190℃を超えるものは製造が難しい。
70℃以上の融点を得るためには、ポリエステルプレポ
リマーの融点は60℃以上であることが必要である。
【0022】本発明において使用される脂肪族ポリエス
テル中にウレタン結合を含む場合のウレタン結合量は
0.03〜3.0重量%であり、0.05〜2.0重量
%がより好ましく、0.1〜1.0重量%が特に好まし
い。ウレタン結合量はC13NMRにより測定され、仕込
み量とよく一致する。0.03重量%未満ではウレタン
結合による高分子量化の効果が少なく、成形加工性に劣
り、3.0重量%を超えるとゲルが発生する。
【0023】本発明に係る植生シート用原糸のため、上
記の脂肪族ポリエステルを使用するに際しては、必要に
応じて酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等の他、滑
剤、ワックス類、着色剤、結晶化促進剤等を併用できる
ことは勿論である。すなわち、酸化防止剤としては、p
−tブチルヒドロキシトルエン、p−tブチルヒドロキ
シアニソール等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、
ジステアリルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジ
プロピオネート等のイオウ系酸化防止剤等、熱安定剤と
しては、トリフェニルホスファイト、トリラウリルホス
ファイト、トリスノニルフェニルホスファイト等、紫外
線吸収剤としては、p−t−ブチルフェニルサリシレー
ト、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2
−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾ
フェノン、2,4,5−トリヒドロキシブチロフェノン
等、滑剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリ
ン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、パルミチン酸ナトリ
ウム等、帯電防止剤としては、N,N−ビス(ヒドロキ
シエチル)アルキルアミン、アルキルアミン、アルキル
アリルスルホネート、アルキルスルフォネート等、難燃
剤として、ヘキサブロモシクロドデカン、トリス−
(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、ペンタブ
ロモフェニルアリルエーテル等、無機充填剤としては、
炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタン、タルク、マイ
カ、硫酸バリウム、アルミナ等、結晶化促進剤として、
ポリエチレンテレフタレート、ポリートランスシクロヘ
キサンジメタノールテレフタレート等があげられる。
【0024】本発明において用いられる脂肪族ポリエス
テルを主成分とする原料は、繊維紡糸装置を用いて繊維
化出来ると共にフラットヤーン、スプリットヤーン、モ
ノフィラメントを溶融押出により製造することができ
る。押出温度は一般に170〜230℃、好ましくは1
80〜210℃である。230℃を超えると未溶融のゲ
ル化物や、焼コゲが発生し易く好ましくない。特にスプ
リットヤーン、フラットヤーンを使用した植生シートは
保水性の点で好ましい。
【0025】本発明に係る数平均分子量10,000以
上、望ましくは20,000以上の脂肪族ポリエステル
は、融点が70〜190℃で結晶性があれば、強靭な植
生シートとすることができる。本植生シートは緑化用途
のみでなく、播種用としても利用できる。即ち、催芽種
子をシートに被覆し、テープ状にスリットして播種が可
能であり、均一な播種が可能となるばかりでなく、作業
の省力化にも寄与する。
【0026】
【実施例】以下、本発明を実施例、比較例により説明す
る。 (実施例1)700Lの反応機を窒素置換してから、
1,4−ブタンジオール183kg、コハク酸224k
gを仕込んだ。窒素気流下に昇温を行い、192〜22
0℃にて3.5時間、更に窒素を停止して20〜2mm
Hgの減圧下にて3.5時間にわたり脱水縮合によるエ
ステル化反応を行った。採取された試料は、酸価が9.
2mg/g、数平均分子量(Mn)が5,160、また
重量平均分子量(Mw)が10,670であった。引続
いて、常圧の窒素気流下に触媒のテトライソプロポキシ
チタン34gを添加した。温度を上昇させ、温度215
〜220℃で15〜0.2mmHgの減圧下にて5.5
時間、脱グリコール反応を行った。採取された試料は数
平均分子量(Mn)が16,800、また重量平均分子
量(Mw)が43,600であった。このポリエステル
(A1)は、凝縮水を除くと収量は339kgであっ
た。
【0027】ポリエステル(A1)339kgを含む反
応器にヘキサメチレンジイソシアナート5.42kgを
添加し、180〜200℃で1時間カップリング反応を
行った。粘度は急速に増大したが、ゲル化は生じなかっ
た。ついで、抗酸化剤としてイルガノックス1010
(チバガイギー社製)を1.70kgおよび滑剤として
ステアリン酸カルシウムを1.70kgを加えて、更に
30分間撹拌を続けた。この反応生成物をエクストルー
ダーにて水中に押出し、カッターで裁断してペレットに
した。90℃で6時間、真空乾燥した後のポリエステル
(B1)の収量は300kgであった。
【0028】得られたポリエステル(B1)は、僅かに
アイボリー調の白色ワックス状結晶で、融点が110
℃、数平均分子量(Mn)が35,500、重量平均分
子量(Mw)が170,000、MFR(190℃)は
1.0g/10分、オルトクロロフェノールの10%溶
液の粘度は230ポイズ、温度190℃、剪断速度10
0sec-1における溶融粘度は1.5×104 ポイズで
あった。平均分子量の測定は、Shodex GPC
System−11(昭和電工社製ゲルクロマトグラフ
ィー)、溶媒はCF3 COONaのHFIPA5mmo
l溶液、濃度0.1重量%、検量線は昭和電工(株)製
PMMA標準サンプルShodex Standard
M−75で行った。
【0029】本ポリエステル(B1)を露点調節型を熱
風循環乾燥機を用いて120℃、2時間乾燥後、60φ
の押出機に300φサーキュラダイ、リップギャップ
1.0mmで溶融押出し、冷却固化してインフレ原反を
成形後、7mm幅にスリットして延伸、緩和して100
0デニールのフラットヤーンを製造した。得られたフラ
ットヤーン単糸物性は引張強度(JIS Z1533)
5.3g/d、伸度28%であった。本フラットヤーン
を用いて、110インチスルザータイプ織機で経、緯糸
10×10本/インチで織成した。また、土中に5ヶ月
埋めておいたところ約半分が分解していた。
【0030】(実施例2)ポリエステル(B1)を成形
温度230℃でノズル(1.0mmφ、L/D=10)
より押出し、30℃の水槽で冷却固化した未延伸糸を8
0℃の湿式延伸槽で6倍に延伸して400デニールのモ
ノフィラメントを製造した。得られたモノフィラメント
の引張強度を測定したところ5.8g/d、伸度21.
4%の値を示した。ここで、引張強度(g/d)はJI
S L1069の繊維の引張試験方法に準じ、破断時強
力(g)を引張前の単糸デニールで除した値である。本
モノフィラメントを経糸に用い、緯糸に実施例1で使用
した1000デニールのフラットヤーンを緯糸に経糸5
×2本/インチ、緯糸10本/インチでからみ織した植
生シートを作った。土中に5ヶ月埋めておいたところ植
生シートとして使用に耐えない程度に分解していた。
【0031】(実施例3)ポリエステル(B1)を用
い、0.6mmφ、68ホールからなるマルチフィラメ
ント用紡糸ノズルにより40mmφ押出機を用いて30
g/dの吐出量で押出し、未延伸糸を作り延伸し、カッ
トしてステープルファイバーを作った。繊度4.3d、
強度は4.9g/d、伸度は43%であった。その後ラ
ンダムウェバーを用いて堆積させ、ウェブ化し、エンボ
スロールで圧着して目付30g/m2 の不織布とし、植
生シートとした。この植生シートを土中に5ヶ月間埋め
ておいたところ分解して、不織布として実用性のあるも
のではなかった。
【0032】(実施例4)700Lの反応機を窒素置換
してから、1,4−ブタンジオール177kg、コハク
酸198kg、アジピン酸25kgを仕込んだ。窒素気
流下に昇温を行い、190〜210℃にて3.5時間、
更に窒素を停止して20〜2mmHgの減圧下にて3.
5時間にわたり脱水縮合によるエステル化反応を行っ
た。採取された試料は、酸価が9.6mg/g、数平均
分子量(Mn)が6,100、また重量平均分子量(M
w)が12,200であった。引続いて、常圧の窒素気
流下に触媒のテトライソプロポキシチタン20gを添加
した。温度を上昇させ、温度210〜220℃で15〜
0.2mmHgの減圧下にて6.5時間、脱グリコール
反応を行った。採取された試料は数平均分子量(Mn)
が17,300、また重量平均分子量(Mw)が46,
400であった。このポリエステル(A2)は、凝縮水
を除くと収量は337kgであった。
【0033】ポリエステル(A2)333kgを含む反
応器にヘキサメチレンジイソシアナート4.66kgを
添加し、180〜200℃で1時間カップリング反応を
行った。粘度は急速に増大したが、ゲル化は生じなかっ
た。ついで、抗酸化剤としてイルガノックス1010
(チバガイギー社製)を1.70kgおよび滑剤として
ステアリン酸カルシウムを1.70kgを加えて、更に
30分間撹拌を続けた。この反応生成物をエクストルー
ダーにて水中に押出し、カッターで裁断してペレットに
した。90℃で6時間、真空乾燥した後のポリエステル
(B2)の収量は300kgであった。
【0034】得られたポリエステル(B2)は、僅かに
アイボリー調の白色ワックス状結晶で、融点が103
℃、数平均分子量(Mn)が36,000、重量平均分
子量(Mw)が200,900、MFR(190℃)は
0.52g/10分、オルトクロロフェノールの10%
溶液の粘度は680ポイズ、温度190℃、剪断速度1
00sec-1における溶融粘度は2.2×104 ポイズ
であった。
【0035】ポリエステル(B2)を実施例1と同様に
して押出原反成形し、実施例1と同様に延伸緩和して3
m/m巾、1000デニールの植生シートを作った。引
張強度5.6g/dの頗る強靭なものであった。経緯糸
10×10本折込みの密度でクロスを織成して植生シー
トとした。得られた植生シートを土中に5ヶ月間埋めて
おいたところ、実用的強度がない程度にまで分解してい
た。
【0036】(実施例5)700Lの反応機を窒素置換
してから、エチレングリコール145kg、コハク酸2
51kg、クエン酸4.1kgを仕込んだ。窒素気流下
に昇温を行い、190〜210℃にて3.5時間、更に
窒素を停止して20〜2mmHgの減圧下にて5.5時
間にわたり脱水縮合によるエステル化反応を行った。採
取された試料は、酸価が8.8mg/g、数平均分子量
(Mn)が6,800、また重量平均分子量(Mw)が
13,500であった。引続いて、常圧の窒素気流下に
触媒のテトライソプロポキシチタン20gを添加した。
温度を上昇させ、温度210〜220℃で15〜0.2
mmHgの減圧下にて4.5時間、脱グリコール反応を
行った。採取された試料は数平均分子量(Mn)が3
3,400、また重量平均分子量(Mw)が137,0
00であった。このポリエステル(A3)は、凝縮水を
除くと収量は323kgであった。
【0037】ポリエステル(A3)323kgを含む反
応器にヘキサメチレンジイソシアナート3.23kgを
添加し、180〜200℃で1時間カップリング反応を
行った。粘度は急速に増大したが、ゲル化は生じなかっ
た。ついで、抗酸化剤としてイルガノックス1010
(チバガイギー社製)を1.62kgおよび滑剤として
ステアリン酸カルシウムを1.62kgを加えて、更に
30分間撹拌を続けた。この反応生成物をエクストルー
ダーにて水中に押出し、カッターで裁断してペレットに
した。90℃で6時間、真空乾燥した後のポリエステル
(B3)の収量は300kgであった。
【0038】得られたポリエステル(B3)は、僅かに
アイボリー調の白色ワックス状結晶で、融点が96℃、
数平均分子量(Mn)が54,000、重量平均分子量
(Mw)が324,000、MFR(190℃)は1.
1g/10分、オルトクロロフェノールの10%溶液の
粘度は96ポイズ、温度190℃、剪断速度100se
-1における溶融粘度は1.6×104 ポイズであっ
た。
【0039】ポリエステル(B3)を実施例1と同様な
条件でフラットヤーンを製造した。得られたフラットヤ
ーンの強度は5.3g/d、伸度は30%であった。こ
のフラットヤーンを織成して植生シートとした。この一
片を土中に5ヶ月間埋めておいたところ、植生シートと
しての実用物性のない状態にまで分解していた。
【0040】(比較例1)実施例1の押出温度条件を1
80℃に変更した。モーターアンペアが急上昇すると共
にしばらくすると原反が肌荒れしてサージングも起こし
た。一応スリットして延伸したが、延伸切れが多くスト
ップした。フラットヤーン成形が不可能で、植生シート
を作るまでに至らなかった。
【0041】(比較例2)実施例1と同じ条件でポリエ
ステル(A1)を成形したが、延伸途中で切断し、目的
とする植生シートを得ることができなかった。
【0042】
【発明の効果】本発明の脂肪族ポリエステルを主成分と
してなる繊維、フラットヤーン、スプリットヤーン、モ
ノフィラメントから構成された植生シートは、土壌等に
埋めた場合生分解性を有し、焼却処理したとしても燃焼
発熱量はポリエチレンやポリプロピレンと比較して低
く、引張り強さに優れており、植生シートとしては緑化
用、播種用に優れた展開が可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭50−9210(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 温度190℃、剪断速度100sec-1
    における溶融粘度が5.0×102 〜5.0×104
    イズであり、融点が70〜190℃である脂肪族ポリエ
    ステルを主成分とした繊維、フラットヤーン、スプリッ
    トヤーン、モノフィラメントから構成された植生シー
    ト。
  2. 【請求項2】 脂肪族ポリエステルが数平均分子量1
    0,000以上であり、0.03〜3.0重量%のウレ
    タン結合を含む脂肪族ポリエステルからなる請求項1に
    記載の植生シート。
  3. 【請求項3】 数平均分子量が5,000以上、融点が
    60℃以上の脂肪族ポリエステルプレポリマー100重
    量部に、0.1〜5重量部のジイソシアナートを反応さ
    せることにより得られる脂肪族ポリエステルを用いてな
    る請求項1または請求項2に記載の植生シート。
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