JP2643909B2 - 乾式バレル研摩法および乾式バレル研摩におけるメディアの再生法 - Google Patents

乾式バレル研摩法および乾式バレル研摩におけるメディアの再生法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、乾式バレル用の研摩槽
内でワークとメディアとの混合物よりなるマスを攪拌さ
せてワークを研摩するようにした乾式バレル研摩法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の乾式バレル研摩においては、乾式
バレル用の研摩槽内でワークとメディアとの混合物より
なるマスを攪拌させてワークを研摩するようにしている
が、このような乾式バレル研摩においては、切り粉、微
細破砕片等による粉塵が発生し、これがメディア表面に
付着して目詰まりの原因となって研摩力が低下し、ま
た、粉塵がワークの表面に付着しワークを黒っぽく変色
させて商品価値を低下させるなどの問題があった。この
ような問題を解決するため、メディア表面を粉塵が覆っ
た場合に研摩機を止めてメディアを研摩槽より取り出し
て水洗いする方法もあるが、この方法では加工を連続し
て行うことができないばかりか、その結果発生する汚水
の処理が必要となり乾式バレル研摩法のメリットが損な
われる。また、研摩槽内にメディアとドレッシング用の
砥粒とを投入して空運転を行うことによってメディア表
面の粉塵を掻き落とし集塵機へ吸引するなどの手段によ
りメディアから分離する方法があるが、この方法では加
工を連続して行うことができず、全体として研摩効率を
高めることには限界があった。そこで、本出願人は研摩
槽内からマス中のメディアの一部を吸引気流により槽外
に吸引して粉塵などを除去することにより研摩効率を高
め、且つワークの商品価値を向上させることを試みた
が、このような方法によっても未だ研摩効率やワークの
商品価値を所期の程度まで高めることが困難で、より研
摩効率やワークの商品価値の安定した乾式バレル研摩法
の開発が業界において要望されているところである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
するところは、前記のような要望に応えて極めて研摩効
率が高いうえにワークの商品価値を高めることができ、
しかも、設備が簡単なうえに人手もかからず低コストで
バレル研摩加工を行うことのできる乾式バレル研摩法お
よび乾式バレル研摩におけるメディアの再生法を提供す
ることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記のような課題を解決
した本発明は、乾式バレル用の研摩槽でワークとメディ
アとの混合物よりなるマスを攪拌させてワークを研摩す
るようにした乾式バレル研摩法において、研摩槽内のメ
ディア表面に湿り気が付与される程度の適量の液体を添
加しながら攪拌するマス中においてワークを研摩するこ
とを特徴とする乾式バレル研摩法と、乾式バレル用の研
摩槽で吸湿性を有する樹脂を結合材としたメディアを攪
拌させつつメディアに湿り気が付与される程度の適量の
液体を添加してドレッシングすることを特徴とする乾式
バレル研摩におけるメディアの再生法とよりなるもので
ある。
【0005】
【作用】このような乾式バレル研摩法は、研摩槽内にお
いてメディア、ワークなどの混合物よりなるマスを攪拌
させてワーク研摩を行うことは従来の乾式バレル研摩法
と同様であるが、攪拌するマス中におけるワーク研摩が
研摩中に添加される水などの液体により表面に湿り気が
付与されたメディアにより行われるので、液体の蒸発に
伴う吸熱反応によってマスの温度上昇が少なくなり、そ
の結果、メディアの結合材が微少破砕して生じる樹脂粉
末が軟化してメディアやワークの表面に強固に付着する
いわゆる目詰まりがなくなり、効率的な研摩を継続的に
行えるうえにワークの変色を防止できる。また、このよ
うな乾式バレル研摩におけるメディアの再生法は、使用
済のメディアの再生をバレル研摩を行う研摩槽内で空運
転させつつメディアに湿り気が付与される程度の適量の
液体を添加してメディアを再生することができるので、
ドレッシング用の設備が不要で再生のためのコストを押
さえることができるうえに、メディアが添加される水な
どの液体によって表面に湿り気が付与されるので温度上
昇が少なくなって再生時間が短縮でき、しかも、再生後
に水洗する必要がないので汚水処理などの後処理の必要
がないものとなる。
【0006】
【実施例】次に、本発明の第1の実施例を第1図に示す
回転式の乾式流動バレル研摩装置を参考にしながら詳細
に説明する。1は基台2に支持された皿状の保持フレー
ムであって、この保持フレーム1上には筒状の固定槽3
が立設されて研摩槽4を構成してあり、この研摩槽4の
内部下方には保持フレーム2に軸支された皿状の回転盤
5が下部の駆動装置6により水平回転されるようになっ
ている。7は研摩槽4の内部と連通するように保持フレ
ーム1に接続された吸引管であって、この吸引管7を通
じて研摩槽4内に吸引気流を加えて研摩槽4内に生じた
切塵を研摩槽4の底部より外部に吸引し、図示しない集
塵機により除去するようになっている。
【0007】8は研摩槽4内に防錆剤、脱脂剤、界面活
性剤などの添加剤を必要に応じて添加した水などの液体
を供給する液体供給装置であって、この液体供給装置8
は液体タンク9に続かせたパイプ10の先端のノズル部
11を固定槽3の槽壁を通じて研摩槽4内に臨ませると
ともにこのパイプ10の中間に流量計12およびバルブ
13を介在させたもので、液体タンク9に入れられた液
体は流量計12およびバルブ13でマス量に応じた適量
に調節されてメディアに湿り気が付与される程度がノズ
ル部11より滴下または噴霧されるようになっている。
【0008】次に、以上のような乾式バレル研摩装置の
作動を説明する。まず、研摩槽4内へ所定量のワーク及
びメディアを装入して駆動装置6により回転盤5を回転
させると、メディア、ワーク等よりなるマスは螺旋運動
をしながら流動攪拌されてワークの全面研摩が行われる
が、この研摩作業の開始後適当時期に作業者がバルブ1
3を操作すれば、液体タンク9中の液体はその適量がパ
イプ10を通じて研摩槽4側に送られ、メディアに湿り
気が付与される程度の適量の液体がノズル部11より滴
下または噴霧され、研摩槽4内のメディアの表面には湿
り気が付与される程度の適量の液体が添加され、流動攪
拌するマス中の表面に湿り気が付与されたメディアによ
りワークが研摩される。このため、メディアの表面は付
着水分がマスを通過する気流による気化により冷却され
て温度上昇が少なくなるとともに、例えば、ポリアミド
樹脂などの吸湿性を有する樹脂を結合材として用いたメ
ディアを使用した場合には、メディア表面近傍の組織が
膨潤して結合力が低下し、メディアの自生発刃作用が活
発となってメディア表面が粉塵で覆われることがなく、
メディア表面には研摩力をもった研摩材が出ているため
に研摩力が著しく高められるとともにワーク表面に付着
した粉塵も研摩力が高められたメディアが速やかに削り
取ることとなってワークを清浄に保つことが可能とな
る。
【0009】しかして、ワーク研摩がほぼ終了したなら
ば、完全に終了する前に前記バルブ13を閉じて研摩槽
4内への液体供給を停止して従来の乾式バレル研摩と同
様な状態を所定時間保持して吸引管7を通じて研摩槽4
内に加えられる吸引気流による乾燥補助下にメディアお
よびワークを乾燥させたのち取り出せばよい。
【0010】なお、液体の添加方法を滴下式と噴霧式の
いずれかとしたり、連続式と断続的のいずれかとするの
は、ワークの量、材質、形状或いはメディアの種類など
により作業者が任意に選択すればよいが、いずれの場合
でも研摩作業終了前の所要時間は液体の添加を止めてメ
ディアおよびワークを乾燥させるようにすれば、ワーク
の汚れが殆どない状態で排出できるので後工程が簡略で
きるので好ましい。この場合、研摩作業終了前の所要時
間とは研摩槽4の大きさや吸引管7を通じて研摩槽4内
に加えられる吸引気流の有無或いは性能などで異なる
が、例えば、処理容量が40リッターの研摩槽に対して
メディアを10kg使用し、これに1分間に7mlの液体を
添加し90分の研摩作業を行う場合で最後の5〜15分
程度が適当であり、また、液体の添加量も研摩槽4内の
メディアに湿り気が付与される程度であればよく、実験
によれば一般のメディアではメディア量に対して0.0
05〜0.200重量%/分で充分で、それ以上の添加
は乾燥に時間を要することとなるうえ、例えば、ポリア
ミド樹脂などの吸湿性を有する樹脂を結合材として用い
たメディアを使用した場合には、過度な液体添加によっ
てメディアの損耗を必要以上に大きくするので経費の増
加につながることとなるのであまり好ましくない。
【0011】さらに、研摩中に吸引管7を通じて研摩槽
4内に吸引気流を加えて研摩槽4内に生じたメディアの
一部や切塵を研摩槽4の底部より集塵機に吸引除去する
ようにした研摩槽と集塵機とを組み合わせたものは、吸
引気流がマス中を横切って通過してメディア表面の水分
を急速に蒸発させその気化熱による冷却効果が増すとと
もに切塵が常時除去されつつ研摩作業が行われることと
なってより効率的な研摩作業を継続できるので、このよ
うに研摩槽4内に吸引気流を加えることは特に好まし
い。しかしながら、液体の添加のみでも前記したように
メディアの温度上昇が少なくなってメディア表面の活性
化が押さえられ、相当程度の研摩効率の向上が認められ
る。なお、この明細書における本発明の説明は乾式遠心
流動バレル研摩法についてのみであるが、振動式その他
のあらゆる乾式バレル研摩法においても全く同様の効果
が得られるので、乾式遠心流動バレル研摩法以外の乾式
バレル研摩法に応用した場合も本発明の技術的範囲に属
することは勿論である。
【0012】また、使用済のメディアの再生のみを行い
たいときには、前記したバレル研摩装置の研摩槽4をそ
のまま使用してこれにポリアミド樹脂などの吸湿性を有
する樹脂を結合材として用いた使用済のメディアを投入
し、これを流動攪拌させるとともにメディアに湿り気が
付与される程度の適量の液体を連続的または断続的に添
加しながらドレッシングすれば、メディア表面近傍の組
織が膨潤して結合力が低下し、表面近傍の組織の脱落速
度が早くなって付着した粉塵が速やかに除去され、ま
た、メディアの自生発刃作用が活発となってより切れ味
のよい状態に再生されることとなる。
【0013】なお、前記した第1の実施例は、研摩槽4
を上部が開口とされた縦型の固定槽3としてその内部下
方に皿状の回転盤5を回転自在に設けた水平回転式の乾
式バレル装置の場合であるが、研摩槽4を公転軸の回り
に配置されて自公転する複数個のバレルポットとした旋
回式の遠心流動バレル研摩装置にも応用できることは勿
論であって、以下にその実施例を図7を参考にしながら
詳細に説明する。
【0014】21は遠心バレル研摩装置本体であって、
この遠心バレル研摩装置本体21は駆動用のモータ22
により回転する公転軸23の両側部分にタレット24、
24を回転自在に取付けるとともに、このタレット2
4、24間にバレルポット形の研摩槽25の4個を均等
間隔をおいて両端の自転軸25aをもって回転自在に軸
支させ、前記公転軸23を中心としてタレット24、2
4が回転すると、公転軸23の回りを逆方向に同じ速さ
で自転する遊星回転運動をする。そして、全ての研摩槽
25に乾式メディアと被研摩物との混合物であるマスの
適量を装入し、研摩槽25の自公転によりその内部で被
研摩物を乾式メディアにより乾式研摩する点では周知の
遠心バレル研摩装置と殆ど変わることはないが、この実
施例における各バレルポット形の研摩槽25は、胴部2
7の所要の一側面にマス中の乾式メディアおよび被研摩
物が通過不能な網板状の外気吸込部28を形成するとと
もに、この胴部27のうち外気吸込部28と対向する側
面を網板状の粉塵排出部30に形成してある。そして、
この粉塵排出部30の外側には膨出カバー31で覆われ
た空室を形成するとともにこの空室を一方の側板26の
外面中央に突設した短筒部26aに連通路26bをもっ
て連通させてポット側ダクト32を構成して該短筒部2
6aの端部を集塵口として前記した一方のタレット24
の片面に当接させる。さらに、前記したタレット24の
外側中央には円環状短筒33を連設してこの円環状短筒
33を前記したタレット24に設けられた連通路34を
もって前記したポット側ダクト32の端部の集塵口に連
通させてこれを研摩槽25の公転に合わせて公転するが
研摩槽25のようには自転しない中間ダクト35とし、
さらにまた、円環状短筒33の先端開口を覆うように公
転軸23にはダクト接続部を有する覆板39を装着して
このダクト接続部を集塵機36に配管して一端が集塵機
36に接続され他端は前記中間ダクト35に該中間ダク
ト35の回転が許されるように接続している集塵機側ダ
クト37とし、このようにして各研摩槽25の内部は粉
塵排出部30に連設されて研摩槽25とともに自公転す
る前記したポット側ダクト32と、各研摩槽25の公転
に合わせて公転するが自転しない前記した中間ダクト3
5と、集塵機36に一端が接続され他端は前記中間ダク
ト35に該中間ダクト35の回転が可能なように接続し
ている集塵機側ダクト37よりなる集塵機接続機構38
により、各研摩槽25が自公転する間にその内部が常時
集塵機36に連通接続されて外気が外気吸込部28から
研摩槽25の内部に採り入れられたうえマスを通過して
集塵機36に吸引されるようになっている。
【0015】さらに、公転軸23の他端方部には中空管
路40を形成してこれを液槽41にポンプ42付の給液
管43をもって接続するとともに、この中空管路40を
回転継手44をもって分岐される分岐管45により各研
摩槽25の自転軸25aの管路47に回転継手46を介
して研摩槽25の回転が可能なように接続し、この管路
47に噴霧用のノズル部48を連結してこの噴霧ノズル
48から噴霧される液体が集塵機36の前記した吸引力
で外気吸込部28から研摩槽25の内部に採り入れられ
て研摩槽25内のメディアに湿り気を付与しながらワー
クを研摩したり、メディアに湿り気を付与しながらドレ
ッシングするようにしてある。なお、噴霧するドレッシ
ング液はメディア1リットル当り6〜10ml程度でよ
く、また、この実施例は研摩槽25を公転軸23の回り
に配置されて自公転する複数個のバレルポットとする場
合の1例を示すためのものに過ぎず、研摩槽25内のメ
ディアに湿り気が付与される程度の適量の液体を添加す
れように構成されるものであればその具体的構成はこの
実施例に示したものに限定されるものではなく、例え
ば、図8に示すように胴部27の外気吸込部28を端部
が外気取込口として開放されたカバー49で覆ってこの
カバー49で覆われている部分に噴霧用のノズル部48
を臨ませて研摩槽25の内部に効率よく供給できるよう
にしたり、図示しないが胴部27の両端を閉塞する側板
を通じてノズル部が直接槽内に介入するようにしたり、
バレルポットの外気吸込部へ直接臨むように配置したノ
ズルより噴霧するようにするなど任意に設計すればよい
ことは勿論である。
【0016】実験例1 新東ブレーター社製の乾式遠心流動バレル研摩機(EV
Fー08RD)に、新東ブレーター社製のポリアミド樹
脂製高能率タイプメディア(RTー15)70kgと、ア
ルミダイカスト製自動車部品10kgを装入し、110RP
M で回転盤を回転させつつバレル研摩を行った実験結果
を、溶液として水の添加が1分間0.143%(100
ml)の場合と、1分間0.014%(10ml)の場合
と、無添加の場合について示せば、図2に示すとおりで
あった。なお、図における研摩効率はマス中に混入させ
た真鍮製のテストピース(Φ22mm×15mm・重量48
g)が研摩時間30分当り減少した重量の値で示す。ま
た、目視による外観検査では無添加の場合、加工後のメ
ディアおよびワークは黒く変色したが、水を添加した場
合はいずれも変色が見られなかった。この結果から溶液
の添加が研摩効率を高めるうえで極めて有効であること
が確認された。 実験例2 新東ブレーター社製の乾式遠心流動バレル研摩機(EV
Fー04D)に、新東ブレーター社製のポリアミド樹脂
製高能率タイプメディア(RTー15)10kgと、鉄系
プレス部品である電気スイッチ部品2kgを装入し、20
0RPM で回転盤を回転させつつバレル研摩を行った実験
結果を、溶液として3%の防錆剤が水に添加された市販
の防錆液の添加が15分毎に100ml(1分当り0.0
67%)の場合と、メディアに湿り気が付与されたとは
いい難い15分毎に5ml(1分当り0.003%)の場
合と、無添加の場合について示せば、図3に示すとおり
であった。なお、図における研摩効率は実験例1と同様
のが研摩時間当り減少した重量の値で示す。この結果か
らもメディアに湿り気が付与される程度の溶液の添加が
研摩効率を高めるうえで極めて有効であることが確認さ
れた。また、溶液添加は断続的添加でも定量を連続して
添加する場合と同様の効果を生じることが確認された。 実験例3 新東ブレーター社製の乾式遠心流動バレル研摩機(EV
Fー08RD)に、新東ブレーター社製のポリアミド樹
脂製中能率タイプメディア(RTー10)70kgと、鉄
系部品であるベアリングトラストレース30リットルを
装入し、110RPM で回転盤を回転させつつバレル研摩
を行い、4時間は従来の乾式バレル法によるマスの温度
上昇の様子を測定し、その後15分毎に500ml(1分
当り0.048%)の水を添加して溶液添加によるマス
の温度低下の様子を観察したところ図4に示すとおりで
あった。この結果からもメディアに湿り気が付与される
程度の溶液の添加がマスの温度上昇を防止するうえで極
めて有効であることが確認された。 実験例4 新東ブレーター社製の乾式遠心流動バレル研摩機(EV
Fー04D)に、新東ブレーター社製のポリアミド樹脂
製高能率タイプメディア(RTー15)10kgを投入
し、200RPM で回転盤を回転させて使用済のメディア
のドレッシング実験を行った結果、溶液として水を15
分毎に150ml(1分当り0.100%)の場合と、1
5分毎に200ml(1分当り0.133%)の場合と、
15分毎に300ml(1分当り0.200%)の場合
と、無添加の場合のメディア重量減少速度は図5に示す
とおりで、メディアに湿り気が付与される程度の適量の
液体を添加することにより温度上昇が少なくなって再生
時間が短縮できた。この結果からメディアをドレッシン
グする際に湿り気が付与される程度の溶液を添加するこ
とが極めて有効であることが確認された。 実験例5 新東ブレーター社製の乾式遠心流動バレル研摩機(EV
Fー08RD)に、新東ブレーター社製のポリアミド樹
脂製高能率タイプメディア(RTー15)70kgと、鉄
系部品であるタペットシム(Φ22mm×2.3mm)15
00枚と、真鍮製のテストピース(Φ22mm×15mm・
重量48g)1個を装入し、110RPMで回転盤を回転
させつつバレル研摩を行い、2.5時間は従来の乾式バ
レル法によるマスの温度上昇の様子を測定し、その後溶
液として15分毎に500ml(1分当り0.048%)
の水を添加して溶液添加による研摩効率の変化の様子を
観察したところ図6に示すとおりであった。この結果か
らもメディアに湿り気が付与される程度の溶液の添加が
従来のバレル研摩法により生じたメディアの目詰まりに
よる研摩能率の低下を著しく改善し極めて有効であるこ
とが確認された。 実験例6 新東ブレーター社製の公転軸の回りに配置されて自公転
する4個のバレルポット(内容量各8リットル)を研摩
槽として用いた旋回式の乾式遠心流動バレル研摩機(S
KCー32ED)に、1研摩槽当り新東ブレーター社製
のポリアミド樹脂製高能率タイプメディア(RTー1
0)6kgと、鉄系プレス品3kgまたはアルミ部品2kg
と、真鍮製のテストピース(Φ22mm×15mm・重量4
8g)2個を装入し、180RPM で各研摩槽を自公転さ
せつつバレル研摩を行い、2時間は従来の乾式バレル法
によるマスの温度上昇の様子を測定し、その後溶液とし
て15分毎に10ml(1分当り0.022%)の水を添
加して溶液添加による研摩効率の変化の様子を観察した
ところメディアに湿り気が付与される程度の適量の液体
を添加することにより温度上昇が少なくなって再生時間
が短縮できた。この結果からもメディアに湿り気が付与
される程度の溶液の添加が従来のバレル研摩法により生
じたメディアの目詰まりによる研摩能率の低下を著しく
改善し極めて有効であることが確認された。
【0017】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の乾式バレル研摩法は、研摩槽内のメディアに湿り気が
付与される程度の適量の液体を添加しながら攪拌するマ
ス中においてワークを研摩するようにしたので、メディ
アの温度上昇が少なくなって粉塵のメディアやワークへ
の付着が減少するとともにメディアは常に切れ味のよい
状態に保たれるので、研摩効率を著しく高め且つ品位の
高いワークを得ることができる。しかも、液体の添加は
極めて簡単な手段で行えるので、設備が簡単なうえに人
手もかからず低コストで行うことのできるなどの利点が
ある。また、研摩槽内に吸引気流を加えながら研摩を行
うときは、メディア表面の水分を急速に蒸発させその気
化熱による冷却効果が増すとともに切塵が常時除去され
つつ研摩作業が行われるので、より効率的な研摩作業を
継続でき、さらに、ワーク研摩の終了前に液体の添加を
止め、マスおよびワークが乾燥した後取り出すようにし
たときは、ワークの汚れが少ないので後処理を簡略化で
きることとなる。次に、本発明の乾式バレル研摩におけ
るメディアの再生法は、乾式バレル用の研摩槽で吸湿性
を有する樹脂を結合材とした使用済のメディアを攪拌し
つつメディアに湿り気が付与される程度の適量の液体を
添加してドレッシングするようにしたので、ドレッシン
グ用の設備が不要で再生のためのコストを押さえること
ができるうえに、攪拌されるメディアが添加される水な
どの液体により表面に湿り気が付与されることにより温
度上昇が少なくなって再生時間が短縮でき、しかも、再
生後に水洗する必要がないので汚水処理などの後処理の
必要がないものとなる。従って、本発明は従来のこの種
乾式バレル研摩法および乾式バレル研摩におけるメディ
アの再生法の問題点を解決したものとして業界の発展に
寄与するところ極めて大きいものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する装置の1例を示す一部切欠正
面図である。
【図2】本発明の実験例1の結果を示すグラフである。
【図3】本発明の実験例2の結果を示すグラフである。
【図4】本発明の実験例3結果を示すグラフである。
【図5】本発明の実験例4の結果を示すグラフである。
【図6】本発明の実験例5の結果を示すグラフである。
【図7】本発明を実施する装置の他の実施例を示す一部
切欠正面図である。
【図8】図7に示す装置の研摩槽の他の実施例を示す一
部切欠正面図である。
【符号の説明】
4 研摩槽 7 吸引管 10 パイプ 11 ノズル部 13 バルブ 25 研摩槽 48 ノズル部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 丹羽 聡 愛知県海部郡大治町大字西條附田71番地 の2 新東ブレーター社内寮 (72)発明者 平賀 幹敏 愛知県岩倉市東新町燈明庵1 岩倉団地 40−305

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乾式バレル用の研摩槽でワークとメディ
    アとの混合物よりなるマスを攪拌させてワークを研摩す
    るようにした乾式バレル研摩法において、研摩槽内のメ
    ディアに湿り気が付与される程度の適量の液体を添加し
    ながら攪拌するマス中においてワークを研摩することを
    特徴とする乾式バレル研摩法。
  2. 【請求項2】 研摩槽内に吸引気流を加えながら研摩を
    行う請求項1に記載の乾式バレル研摩法。
  3. 【請求項3】 ワーク研摩の終了前に液体の添加を止
    め、マスおよびワークが乾燥した後取り出す請求項1ま
    たは2に記載の乾式バレル研摩法。
  4. 【請求項4】 液体の添加量がメディア量に対して0.
    005〜0.20重量%/分である請求項1または2ま
    たは3に記載の乾式バレル研摩法。
  5. 【請求項5】 液体の添加を連続的に行う請求項1また
    は2または3または4に記載の乾式バレル研摩法。
  6. 【請求項6】 液体の添加を断続的に行う請求項1また
    は2または3または4に記載の乾式バレル研摩法。
  7. 【請求項7】 研摩槽として上部を開口とし縦型の固定
    槽を用いてその内部下方に設けた皿状の回転盤の水平回
    転によりマスを攪拌させてワークを研摩する請求項1ま
    たは2または3または4に記載の乾式バレル研摩法。
  8. 【請求項8】 研摩槽を公転軸の回りに配置されて自公
    転する複数個のバレルポットとして各バレルポットの内
    部でマスを攪拌流動させてワークを研摩する請求項1ま
    たは2または3または4に記載の乾式バレル研摩法。
  9. 【請求項9】 乾式バレル用の研摩槽で吸湿性を有する
    樹脂を結合材としたメディアを攪拌させつつメディアに
    湿り気が付与される程度の適量の液体を添加してドレッ
    シングすることを特徴とする乾式バレル研摩におけるメ
    ディアの再生法。
  10. 【請求項10】 研摩槽が、上部を開口とした縦型の固定
    槽である請求項9に記載の乾式バレル研摩法におけるメ
    ディアの再生法。
  11. 【請求項11】 研摩槽が、公転軸の回りに配置されて自
    公転する複数個のバレルポットである請求項9に記載の
    乾式バレル研摩法におけるメディアの再生法。
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