JP2643496B2 - 先端部表面硬質層被覆超硬合金製バックテーパー付きミニチュアドリル - Google Patents

先端部表面硬質層被覆超硬合金製バックテーパー付きミニチュアドリル

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JP2643496B2 JP1307882A JP30788289A JP2643496B2 JP 2643496 B2 JP2643496 B2 JP 2643496B2 JP 1307882 A JP1307882 A JP 1307882A JP 30788289 A JP30788289 A JP 30788289A JP 2643496 B2 JP2643496 B2 JP 2643496B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、プリント基板、その他金属材料基板に直
径:3mm以下の小径穴をあけるに際して使用する、使用寿
命が長くかつ耐折損性の優れた先端部表面硬質層被覆超
硬合金製バックテーパー付きミニチュアドリルに関する
ものである。
〔従来の技術〕
従来、一般に、プリント基板などに直径:3mm以下の小
径穴をあけるに際しては、切削工具として超硬合金製ミ
ニチュアドリルが使用されている。上記超硬合金製ミニ
チュアドリルには、一般に、ストレートタイプとアンダ
ーカットタイプとに種別され、これら超硬合金製ミニチ
ュアドリルは、刃部がリップ部より連続的にシャンク部
に近付くにしたがい径が小さくなるバックテーパーが付
いており、アンダーカットタイプのものは刃部に段が付
いている。上記ストレートタイプのものは、バックテー
パーが1μm/1mm程度付いており、またアンダーカット
タイプのものは、マージン長さ部にはバックテーパーの
ないものが多い。さらに、これら通常の超硬合金製ミニ
チュアドリルの全体、マージン部またはマージン部とフ
ルート部に、周期律表の4a,5aおよび6a族の金属の炭化
物、窒化物、炭窒化物、炭酸化物、炭窒酸化物、並びに
酸化アルミニウム、さらにこれらの2種以上の固溶体か
らなる群から選んだ1種の単層または2種以上の多重
層、またはダイヤモンド層等の被覆層(以下、これらの
被覆層を硬質層という)を厚さ:0.5〜20μm被覆して切
削性を向上せしめたものも知られている(特開昭56−31
19号公報)。上記硬質層を構造する具体的組成は、周期
律表の4a,5aおよび6a族の金属の炭化物、窒化物、炭窒
化物、これらの2種以上固溶体として、TiC,TiN,TiCN,Z
rC,HfN,VC,TaC,NbC,NbN,Cr3C2,Mo2C,WC,ZrCN,VCN,TaCN,
(Ti,Nb)C,(Ta,Cr)CN,(Nb,W)N,(Ti,Ta,W)CN,(H
f,V,Mo)Cなどがあり、周期律表の4a,5a族の金属の炭
酸化物、炭窒酸化物としては、TiCO,TiCNO,TaCO,TaCNO,
ZrCO,ZrCNO,HfCO,HfCNO、などがあり、さらに酸化アル
ミニウムまたはダイヤモンドなどがある。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、上記硬質層の被覆された表面被覆超硬合金製
バックテーパー付きミニチュアドリルは靭性が低下し、
硬質層被覆のない超硬合金製バックテーパー付きミニチ
ュアドリルよりも折れやすく、特に近年、半導体基板内
部の集積度の向上を計るためにドリル径を小さくし、さ
らに生産性を上げるために高速加工する方向に急速に進
んでいることが、上記硬質層の被覆された表面被覆超硬
合金製ミニチュアドリルの一層折れ易い原因となってい
る。
また、上記表面硬質層被覆超硬合金製テーパー付きミ
ニチュアドリルは、正確なバックテーパーの付いた基体
の表面に硬質層を被覆して製造するが、直径が3mm以下
の超硬合金製ミニチュアドリル基体に正確なバックテー
パーを付けることは特殊な数値制御を有する工作機械を
必要とするためにコストがかかる。
〔課題を解決するための手段〕
そこで、本発明者らは、切削性を低下させることなく
同時に耐折損性の優れた低コストの表面被覆超硬合金製
バックテーパー付きミニチュアドリルを開発すべく研究
を行っていたところ、 (a) 上記表面被覆超硬合金製バックテーパー付きミ
ニチュアドリルの折損箇所は、統計的にドリルボデーの
うち外周コーナーよりシャンク部に至る長さ:10mmを越
えたシャンク部に近い部分に集中していることがわか
り、切削性を低下させずに耐折損性を保持するために
は、外周コーナーからシャンク部に向かって長さ:0.1〜
10mmの側面まで表面硬質層を被覆し、その他のシャンク
部に近い側面は被覆しないようにすることにより、切削
性については、従来のドリルボデー表面全体を硬質層被
覆した超硬合金製ミニチュアドリルに劣ることなく優
れ、また耐折損性についても通常の表面硬質層被覆なし
の超硬合金製ミニチュアドリルと同程度にすることがで
きる、 (b) 超硬合金製ミニチュアドリル基体が刃長全体に
わたってバックテーパーのない超硬合金製ミニチュアド
リル基体であっても、外周コーナーからシャンク部に向
って長さ:0.1〜10mmの側面まで外周コーナーからシャン
ク部に向って厚さが徐々に減じるような硬質層を被覆す
ると、見掛上バックテーパーの付いた表面硬質層被覆超
硬合金製バックテーパー付きミニチュアドリルを得るこ
とができる、 (c) 不十分なバックテーパーの付いた超硬合金製ミ
ニチュアドリル基体に外周コーナーからシャンク部に向
って長さ:0.1〜10mmの側面まで外周コーナーからシャン
ク部に向って厚さが徐々に減じるような硬質層を被覆す
ると、バックテーパーが助長され十分に正確なバックテ
ーパーが形成される、 などの知見を得たのである。
この発明は、かかる知見に基づいてなされたものであ
って、 バックテーパーの付いたままは付かない超硬合金製ミ
ニチュアドリル基体の先端から外周コーナーに至る逃げ
面全面および外周コーナーよりシャンク部に至る長さ:
0.1〜10mmにわたる側面に被覆されている表面硬質層被
覆超硬合金製ミニチュアドリルであって、上記外周コー
ナーよりシャンク部に至る長さ:0.1〜10mmにわたる側面
に被覆された硬質層は、外周コーナーからシャンク部に
向って厚さが徐々に減じるように形成されている先端部
表面硬質層被覆超硬合金製バックテーパー付きミニチュ
アドリルに特徴を有するものである。
ここで表面硬質層被覆範囲をドリルの先端から外周コ
ーナーに至る逃げ面全面および外周コーナーよりシャン
ク部に至る長さ:0.1〜10mmにわたる側面とした理由は、
先端から外周コーナーに至る逃げ面および外周コーナー
よりシャンク部に至る長さ:0.1〜10mmにわたる側面は、
最も苛酷な切削負荷を受ける部分であるから全面に被覆
する必要があり、一方、外周コーナーよりシャンク部に
至る長さ:10mmを越えたシャンク部に近い側面は、表面
硬質層被覆硬合金製ミニチュアドリルの折損確率の大き
い箇所であるから表面硬質層を形成しないようにした。
上記外周コーナーよりシャンク部に至る長さは、できる
だけ短い方がよく、0.1〜3mmであることが一層の好まし
い。
つぎに、この発明を図面に基づいて具体的に説明す
る。
第1図は、この発明の先端部表面硬質層被覆超硬合金
製バックテーパー付きミニチュアドリルの平面図、 第2図は、この発明の先端部表面硬質層被覆超硬合金
製バックテーパー付きミニチュアドリルの断面説明図、 第3図は、この発明の他の先端部表面硬質層被覆超硬
合金製バックテーパー付きミニチュアドリルの断面説明
図、 である。第1〜3図において、1は先端、2は逃げ面、
3はシャンク部、4は外周コーナー、5は硬質層、Aは
リップ部端部からシャンク部に向かっての硬質層被覆長
さである。
第2図に示されるバックテーパーの付いた超硬合金製
ミニチュアドリル基体6を用意し、このバックテーパー
の付いた超硬合金製ミニチュアドリル基体6のボデー部
を筒(図示せず)に隙間をあけて挿入し、先端を筒に隠
すか、ぎりぎりまたはほんのわずか出した状態で真空容
器に挿入し、通常の条件で物理蒸着し、硬質層5を上記
バックテーパーの付いた超硬合金製ミニチュアドリル基
体6の先端部表面に形成した。このようにして作製した
先端部表面硬質層被覆超硬合金製ミニチュアドリル先端
部は、硬質層5が基体6の先端1から外周コーナー4ま
で全面および外周コーナー4からシャンク部3へ向かっ
て厚さが徐々に減じるように硬質層被覆長さA:0.1〜10m
mが形成され、先端部表面硬質層被覆超硬合金製ミニチ
ュアドリルのバックテーパーがより助長される。また第
3図に示されるようにバックテーパーのない超硬合金製
ミニチュアドリル基体7に同様にして硬質層5を形成す
ると、見掛上バックテーパーの付いたことと同じことに
なり、実切削においても切り粉排出においても良好な結
果が得られるようになる。このようにして形成されたこ
の発明の先端部表面硬質層被覆超硬合金製バックテーパ
ー付きミニチュアドリルの外観を第1図に示す。
〔実施例〕
つぎに、この発明を実施例に基づいて具体的に説明す
る。
まず、JIS・B4104のKに相当する組成、および外径:
0.9mm、刃長:17mmの寸法を有するWC基超硬合金製ミニチ
ュアドリル基体および内径:11mmの筒を用意し、このWC
基超硬合金製ミニチュアドリル基体を上記筒内に同心状
態に挿入し、ドリルの先端から外周コーナーよりシャン
ク部にかけての先端部を突出した状態で、通常の物理蒸
着装置および人工ダイヤモンド蒸着装置に装入して上記
WC基超硬合金製ミニチュアドリル基体の先端部表面のみ
に第1表に示される外周コーナーからシャンク部に向っ
て厚さが徐々に減じる被覆長さおよび外周コーナー近傍
の膜厚を有する硬質層を形成し、本発明にミニチュアド
リル1〜20を作製した。さらに、比較のために、上記JI
S・B4104のK10に相当する組成、および外径:0.9mm、刃
長:17mmの寸法をするWC基超硬合金製ミニチュアドリル
基体刃長全長にわたって均一に被覆した第1表に示され
る被覆長さおよび膜厚を有する硬質層を形成した従来ミ
ニチュアドリル1〜2を作製した。
これらミニチュアドリルを用いて、基板と上板をそれ
ぞれベークライトと純アルミニウムで構成し、この間に
ガラスエポキシFRP板のCu板による両面サンドイッチ体
が2セット存在する厚さ:3.2mmのプリント基板を、 ドリル回転数:80000r.p.m. 送 り:90μm/rev の条件で穴明けを行い、これらミニチュアドリルが折損
するまでの穴明け加工数を測定してそれらの測定結果を
第1表に示した。
第1表に示された測定結果から、先端部表面のみに硬
質層を形成した本発明ミニチュアドリル1〜20は、従来
ミニチュアドリル1〜2よりも折損し難たく、優れてい
ることがわかる。
〔発明の効果〕
この発明の先端部表面硬質層被覆超硬合金製バックテ
ーパー付きミニチュアドリルは、 (1) 従来の表面に均一な硬質層を全面被覆した超硬
合金製ミニチュアドリルに比べて切削性を低下させるこ
となく、また耐折損性についても通常の表面硬質層被覆
なしの超硬合金製ミニチュアドリルと同程度にすること
ができる。
(2) この発明では、上記硬質層をドリル先端部表面
にのみ形成することにより、見掛上バックテーパーの付
いたことと同じ効果を奏するので、超硬合金製ミニチュ
アドリルにバックテーパーを付ける必要がなく、製造が
簡単であり、バックテーパーを付けるための特殊な数値
制御を有する工作機械を必要とせず、さらに表面硬質層
被覆面積が少なくてもすむため、コストがかからない などの優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明の先端部表面硬質層被覆超硬合金製
バックテーパー付きミニチュアドリルの平面図、 第2図は、この発明の先端部表面硬質層被覆超硬合金製
バックテーパー付きミニチュアドリルの断面説明図、 第3図は、この発明の他の先端部表面硬質層被覆超硬合
金製バックテーパー付きミニチュアドリルの断面説明図
である。 1……先端、2……逃げ面、 3……シャンク部、4……外周コーナー、 5……硬質層、 6……バックテーパーの付いた超硬合金製ミニチュアド
リル基体、 7……バックテーパーのない超硬合金製ミニチュアドリ
ル基体、 A……外周コーナーからシャンク部に向かっての硬質層
被覆長さ。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】超硬合金製ミニチュアドリル基体の先端か
    ら外周コーナーに至る逃げ面全面および外周コーナーよ
    りシャンク部に至る長さ:0.1〜10mmにわたる側面に硬質
    層を被覆してなる表面硬質層被覆超硬合金製ミニチュア
    ドリルであって、上記外周コーナーよりシャンク部に至
    る長さ:0.1〜10mmにわたる側面に被覆された硬質層は、
    外周コーナーからシャンク部に向って厚さが徐々に減じ
    るように形成されていることを特徴とする先端部表面硬
    質層被覆超硬合金製バックテーパー付きミニチュアドリ
    ル。
  2. 【請求項2】上記超硬合金製ミニチュアドリル基体は、
    刃長全体にわたってバックテーパーのない超硬合金製ミ
    ニチュアドリル基体であることを特徴とする請求項1記
    載の先端部表面硬質層被覆超硬合金製バックテーパー付
    きミニチュアドリル。
  3. 【請求項3】上記超硬合金製ミニチュアドリル基体は、
    刃長全体にわたってバックテーパーの付いた超硬合金製
    ミニチュアドリル基体であることを特徴とする請求項1
    記載の先端部表面硬質層被覆超硬合金製バックテーパー
    付きミニチュアドリル。
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