JP2642453B2 - 複合型誘電体フィルタ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、帯域阻止フィルタとして用いられる複合型
誘電体フィルタに関する。

〔従来の技術〕

誘電体フィルタによって構成される阻止フィルタ（リ
ジェクションフィルタ）は公知である。第13図および第
14図は、そのような従来の阻止フィルタを示すものであ
って、誘電体ブロック２の中心部に貫通孔４を有し、上
面を除く全側面、底面および貫通孔４の内面にアース電
位となるメタライズ層６を施している。貫通孔４の上面
側に端子ピン８が挿入されて帯域阻止フィルタが完成さ
れる。このようにして構成された阻止フィルタ10は、第
15図に示すように、結合コンデンサ12を介して主回路14
に接続される。

第13図および第14図に示すように構成された阻止フィ
ルタは、第５図に示すような減衰特性を備えることにな
る。第５図において、横軸は周波数ｆを示し、縦軸は減
衰量Ａ（dB）を示している。このようなフィルタを第６
図に実線で示すような帯域幅特性の図示していないメイ
ンフィルタと組合わせて用いた場合、阻止フィルタ10の
特性を同図に破線で示すようなものであるとすれば、両
者の合成の帯域阻止特性は、第７図に示すようなものに
なる。

〔発明が解決しようとする課題〕

第13図および第14図に示す型の従来の阻止フィルタは
単純な１段フィルタであって、広帯域のフィルタ特性を
持たせようとすると減衰量Ａを大きくすることができ
ず、逆に減衰量を重視してこれを大きくしようとすると
周波数帯域幅が狭くなってしまう。

本発明は以上の事情を考慮してなされたものであっ
て、十分な減衰量を有すると共に広帯域の阻止フィルタ
特性を持たせることの可能な誘電体フィルタを提供する
ことを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために本発明は、誘電体ブロック
の中心部に貫通孔を形成すると共に、その貫通孔を中心
としてその周りに複数の共振子孔を形成し、貫通孔の一
端側に入出力端子を設け、誘電体ブロックの全側面、入
出力端子を設けている側とは反対側の端面、および各共
振子孔の内面にそれぞれ互いに導電的に結合されたメタ
ライズ層を形成し、さらに誘電体ブロックのメタライズ
層を形成していない側の端面において貫通孔に設けた入
出力端子と各共振子孔との間にそれぞれ結合コンデンサ
を構成するための導電パターンを入出力端子およびメタ
ライズ層から離して形成することによって複合型誘電体
フィルタを構成したものである。

〔作 用〕

共通の誘電体ブロックに設けられた共通の貫通孔を挟
んで複数の共振子孔を形成することによって、互いに並
列的な複数の単位共振子を構成することができ、その結
果、減衰量が大きく、しかも帯域幅の広い帯域阻止フィ
ルタを小型に構成することができる。

〔実施例〕

第１図および第２図は、本発明によって構成された複
合型誘電体フィルタの一実施例を示すものである。この
実施例においては、円筒形の誘電体ブロック20の中心部
に貫通孔22を形成すると共に、その周りの、誘電体ブロ
ック20の周縁部に近い所に、軸方向に走る複数の（ここ
では５個の）共振子孔24が形成されている。誘電体ブロ
ック20の上面を除く全側面、底面および共振子孔24の内
面にはアース電位となるメタライズ層26が互いに導電的
に結合する形で形成されている。貫通孔22の上面側には
入出力端子を構成する端子ピン28が設けられている。誘
電体ブロック20の上面には、貫通孔22に設けた端子ピン
28と各共振子孔24との間にそれぞれ結合コンデンサを構
成するための導電パターン20が構成されている。これら
の導電パターン30は、端子ピン28およびメタライズ層26
に接触しないようにそれらから離して設けられている。

このように構成された誘電体フィルタ40は、第３図に
示すように、端子ピンを介して主回路36に接続して用い
られる。この場合、第４図に示すように、各共振子孔24
を中心として構成される５個の単位共振器32がそれと端
子ピン28との間にそれぞれ構成される結合コンデンサ34
を介して主回路36に接続される形の複合型誘電体フィル
タが構成されることになる。

本発明によって構成された複合型誘電体フィルタは第
８図に示すような減衰特性を持たせることができる。こ
の減衰特性は、第９図に実線で示す特性のメインフィル
タと組合わせて用いることにより、本発明のフィルタ特
性を同図に破線で示すものとすれば、その合成の結果と
して第10図に示すように、より広帯域で、より減衰量の
大きな帯域阻止フィルタを構成することができる。

また、第11図に実線で示すような特性のメインフィル
タと組合わせて用いる場合、本発明のフィルタの特性が
2fo帯（foはフィルタ周波数帯域の中心周波数）におい
て同図に破線で示すような特性のものであったとすれ
ば、第12図に示すように、2fo帯での周波数成分を良好
に抑制することができる。

以上述べた実施例においては、誘電体ブロックが円柱
形をしているものとして説明した。しかし、誘電体ブロ
ックとしては、円柱形に限られることなく、四角柱形な
ど、他の形状のものを用いてもよい。また、共振子孔の
個数も５個に限られることなく、４個以下であってもよ
いし、６個以上であってもよい。

〔発明の効果〕

以上述べた本発明によれば、インバンドにおいて用い
た場合、相手周波数帯における減衰量不足をカバーする
ことができる。これにより、相手側のインバンドにおけ
るノイズの低減を計ることができる。

同様に2fo帯において本発明のフィルタをメインフィ
ルタに組合わせて用いることにより、2fo帯を抑制する
ことができ、それによりメインフィルタの不足特性をカ
バーし、フィルタ全体として小型化を達成することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による複合型誘電体フィルタの一実施例
を示す平面図、第２図は第１図の複合型誘電体フィルタ
の縦断面図、第３図は本発明の複合型誘電体フィルタを
主回路に接続した状態を示す説明図、第４図は本発明の
複合型誘電体フィルタを主回路に接続したときの等価回
路図、第５図は一般的な誘電体フィルタの減衰量特性を
示す特性線図、第６図は第５図の特性を有するフィルタ
に組合わせて用いられるメインフィルタの減衰量特性を
示す特性線図、第７図は第５図の特性を有するフィルタ
を第６図の特性を有するメインフィルタと組合わせたと
きの合成の減衰量特性を示す特性線図、第８図は本発明
の複合型誘電体フィルタの減衰量特性を示す特性線図、
第９図は第８図の特性を有するフィルタに組合わせて用
いられるメインフィルタの減衰量特性を示す特性線図、
第10図は第８図の特性を有するフィルタを第９図の特性
を有するメインフィルタと組合わせたときの合成の減衰
量特性を示す特性線図、第11図は本発明の複合型誘電体
フィルタに組合わせて2fo帯で用いられるメインフィル
タの特性を示す特性線図、第12図は第11図の特性を有す
るメインフィルタに本発明の複合型誘電体フィルタを組
合わせて用いたときの合成の減衰量特性を示す特性線
図、第13図は従来の誘電体フィルタの構造例を示す縦断
面図、第14図は第13図の誘電体フィルタの平面図、第15
図は従来の誘電体フィルタを主回路に接続した状態を示
す説明図である。 20……誘電体ブロック、22……貫通孔、24……共振子
孔、26……メタライズ層、28……端子ピン、30……導電
パターン、32……単位共振子、34……結合コンデンサ、
36……主回路、40……複合型誘電体フィルタ。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】誘電体ブロックの中心部に貫通孔を形成す
   ると共に、その貫通孔を中心としてその周りに複数の共
   振子穴を形成し、前記貫通孔の一端側に入出力端子を設
   け、前記誘電体ブロックの全側面、前記入出力端子を設
   けている側とは反対側の端面、および前記各共振子穴の
   内面にそれぞれ互いに導電的に結合されたメタライズ層
   を形成し、さらに誘電体ブロックのメタライズ層を形成
   していない側の端面において前記貫通孔に設けた入出力
   端子と各共振子穴との間にそれぞれ結合コンデンサを構
   成するための導電パターンを前記入出力端子およびメタ
   ライズ層から離して形成したことを特徴とする複合型誘
   電体フィルタ。