JP2638265B2 - 電子楽器 - Google Patents

電子楽器

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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は電子楽器に関し、特に擦弦楽器の楽音発生に
適した演奏コントローラを有する電子楽器に関する。
[従来の技術] 電子楽器の音源回路として、FM音源、波形メモリ型音
源等と共に、物理モデル音源が提案されている。
物理モデル音源においては、たとえば弦楽器をシミュ
レートする場合は、閉ループ回路が弦楽器の弦をシミュ
レートし、回路の特性が、弓速度、弓圧、ピッチ、音色
等の楽音パラメータによって制御される。このような楽
器の楽音発生動作を電気的にシミュレートする物理モデ
ル音源においては、自然楽器において楽音を制御するの
と同等の楽音パラメータが必要とされる。
このような物理音源用の演奏入力装置としては、たと
えば擦弦楽器用として弓速度と弓圧を与えるもの、管楽
器用としてアンブシュアと息圧を与えるもの等が考えら
れる。
電子楽器における楽音形成は、電気的に行なわれるの
で、演奏入力手段は、電気信号を形成できるものであれ
ばよい。したがって、弦楽器の楽音を発生する際にも楽
音のピッチは鍵盤の鍵を利用して発生させてもよい。し
かし、弦楽器の演奏に習熟した者は、電子楽器の弦楽器
においても演奏のできることが望ましい。
また、電子楽器は種々の楽音を発生することができる
ので、一種類の自然楽器に相当する演奏入力によって、
他の種類の楽器に対応する楽音を発生できることも望ま
しい。
[発明が解決しようとする課題] 自然楽器の擦弦楽器においては、楽音のピッチは指板
上の押指位置によって定まり、楽音は主に弓で弦を擦る
動作の弓圧、弓速、弓位置等によって定まる。従来の電
子楽器においては、演奏入力手段として鍵盤が主に利用
されている。ところが、鍵盤を用いた場合、これらの擦
弦楽器の楽音パラメータを任意に発生することは極めて
難しい。
本発明の目的は、擦弦楽器等の楽音を発生するのに適
したコントローラ有する電子楽器を提供することであ
る。
[課題を解決するための手段] 本発明による電子楽器は、導電性を有する弦相当部材
を有する本体と、自然擦弦楽器の弓と同様の棒部材と毛
を備え、毛を弦相当部材に係合させて演奏するための弓
部材であって、毛と棒部材との係合部分に歪検出手段が
設けられている弓部材と、歪検出手段の出力を弓圧信号
に変換する手段と、弓部材の毛にほぼ平行に配置された
抵抗部材を含み、弦相当部材と抵抗部材を係合させた
時、係合位置に対応した弓位置信号を発生させる弓位置
検出手段と、弓位置検信号を弓速信号に変換する手段
と、弓圧信号と弓速信号に基づいて楽音信号を発生させ
る音源回路とを有する。
[作用] 自然擦弦楽器の弓と同等の毛を備えた弓部材を用いる
ことにより、自然擦弦楽器の演奏に習熟したものは容易
に本電子楽器の操作を行なうことができる。
弓部材の毛にほぼ平行に配置された電気抵抗部材を用
いることにより、弓位置を電気信号として発生すること
が容易にできる。この弓位置信号から弓速信号を得るこ
とができる。
弓部材の毛と棒部材との結合部分に歪検出手段が設け
られているので、毛に働く力から弓圧信号を得ることが
できる。
これらの弓圧信号、弓速信号に基づいて擦弦楽器等の
楽音を発生することができる。
[実施例] 第1図に本発明の実施例による電子楽器の全体の構成
を示す。
本電子楽器は、演奏情報入力部1と、楽音パラメータ
処理部2と、物理モデル音源部3を含む。
演奏情報入力部1においては、自然擦弦楽器に対応し
て、指板相当部4と、擦弦部の弦相当部材6を有する本
体と、検出部材を備えた弓5を含む。
また、本実施例においては指板相当部4、弦相当部材
6が単一の部材で形成されているので、自然擦弦楽器の
弦の切り替えに対応させて、音高範囲を切り替えるため
のペダル7が設けられている。
楽音パラメータ処理部2は楽音パラメータの、変換、
補正、記録、再生、編集等を行なう部分であり、たとえ
ばマイクロコンピュータ、パーソナルコンピュータ等に
よって形成される。演奏情報入力部1が発生した電気信
号を処理し、楽音パラメータを発生する。
物理モデル音源部3は、擦弦部の動作をシミュレート
する非線形回路8および制御された長さの弦の振動をシ
ミュレートする遅延回路9a、9bを含む閉ループ回路を有
し、楽音パラメータとして弓速、弓圧、ピッチ等をうけ
て擦弦楽器の楽音信号を発生する。
なお、楽音パラメータを変換することにより、同一の
構成によって管楽器等の楽音を発生させることもでき
る。管楽器の場合は、弓速の代りにアンブシュア、弓圧
の代りに息圧が用いられる。
以下、第1図に示した電子楽器の各部分についてさら
に詳細に説明する。
第2図(A)、(B)は、演奏情報入力部の指板相当
部を示す。第2図(A)はその構成を示す。指板相当部
4は、たとえば自然楽器の擦弦楽器同等の外形を有する
楽器本体の棹部表面上に設けられており、図中右側に示
すように、指板の長さ方向に延在したリボンコントロー
ラ11と、そのリボンコントローラに平行に配置され、任
意の位置で接触することのできる接触用導体12を備えて
いる。リボンコントローラ11は、たとえば長さ約50cm、
抵抗値約5KΩの抵抗帯で形成される。また、接触用導体
12は、リボンコントローラ11に平行に配置された導線等
の良導電帯で形成される。接触用導体12は、たとえば約
1KΩの保護抵抗13を介して接地される。また、リボンコ
ントローラ11の駒側の端子がたとえば、5Vの電源に接続
され、糸巻き側の端子は開放される。このような構成と
すると、接触用導体12がたとえば、2ケ所でリボンコン
トローラ11に接触した場合、自然楽器同様、2つの接触
点の内駒に近い方の接触点が有効となる。リボンコント
ローラ11の接触点から駒側の抵抗と、保護抵抗13によっ
て電源電圧は分圧され、分圧された電圧が出力端子14に
供給される。
第2図(A)に示すような指板相当部から得られる電
気信号の電圧の押指位置に対する関係を第2図(B)に
示す。横軸は押指位置を表わし、糸巻き側からの距離を
xとする。縦軸は出力電圧Eoutを表わす。リボンコント
ローラ11の駒側端子には+5Vの電源電圧が接続されると
する。
このように、指板相当部4を指で押すことにより、そ
の押指位置に応じた電気信号が発生する。リボンコント
ローラ11の配置、保護抵抗13の存在等により、得られる
電圧信号は、押指位置にリニアには比例せず、図に示す
ように、xの値が大きくなるに従って増加分は大きくな
る。この電気信号を処理することにより、発生する楽音
のピッチを制御できる。
第3図(A)、(B)は、演奏情報入力部1の弓5の
弓圧検出部を示す。第3図(A)は弓の毛取り付け部の
構成を示す。弓5は、自然楽器の弓同様毛16が張られて
いる。毛16の端部17は、金属板18を介して弓5の手許側
取付け部20に接続されている。金属板18の表側および裏
側の表面には、一対の歪みゲージ19a、19bが張り付けら
れている。
弓5の毛16を弦相当部に押し付けると、押し付け力に
従って、毛16は弓の木部側に変位させられる。この時、
毛16に接続された金属板18に力が作用する。この力によ
り金属板18は変形し、歪みゲージ19a、19bは電気信号を
発生する。
歪みゲージによる歪み検出回路の例を第3図(B)に
示す。検出回路は抵抗ブリッジ回路を構成しており、歪
みゲージの抵抗19a、19bが一方の電圧分割回路を形成
し、基準抵抗21a、21bが他方の電圧分割回路を形成す
る。電圧供給端子22a、22bに定電圧Eを与えた時、2つ
の電圧分割端子23a、23bに生じる電圧の差信号をオペア
ンプOP1で検出する。歪みゲージ19a、19bに力がまった
く作用していない時は、2つの電圧分割端子23a、23bは
まったく同等の電圧を生じ、出力電圧は“0"である。弓
5が弦相当部に押し付けられ、歪みゲージ19a、19bが変
形すると、その曲げに対応した信号が検出される。な
お、第3図(B)に示すブリッジ回路は、歪みゲージ19
a、19bがまったく同等の変化を示した時には出力電圧を
発生しない。このような回路構成により、歪みゲージの
伸びは無視し、曲げのみが検出される。
金属板18としては、たとえば厚さ約1.5mmの金属板を
用い、弓圧検出回路25の出力電圧としては、たとえば−
5Vから+5Vの領域の電圧を発生するようにする。このよ
うにして、弓圧信号が得られる。
第4図(A1)、(A2)、(B1)、(B2)は、演奏情報
入力部1の弓5の弓位置検出部を示す。第4図(A1)
は、弓の手許部側面を示す。
第3図(A)を参照して説明したように、弓5の手許
側取付け部20には、歪みゲージ19を取り付けた金属板18
を介して毛16が取り付けられている。この毛16の端部17
に抵抗線27が金属板28、ゴム部材29、取付け具25aを介
して取り付けられている。
第4図(A2)に示すように、抵抗線27の他端は、取付
け具25bを介して弓5の先端に取り付けられている。す
なわち、抵抗線27は金属板28、取付け具25bの間に接続
され、金属板28はゴム部材29を介して保持されている。
第4図(B1)、(B2)は、この弓5を底面側から見た
側面図である。抵抗線27は図中毛16の上側に、毛と平行
して張られており、その両端間に一定電圧を印加する。
弦楽器を実際に演奏する場合、弓は上の木部が棹寄り、
下の毛部が駒寄りに少し寝かせた状態で使用する。この
ため、図に示したように、抵抗線27を弓の毛部16と少し
離して配置することで弓の毛16よりも先に抵抗線27が弦
に接する。図示の抵抗線の配置は楽器本体を床に置く、
チェロ、ベース等の弓の場合であり、楽器本体を持ち上
げる、バイオリン、ビオラの場合は反対側に張るのが好
ましい。抵抗線と弓の毛との距離は数ミリ程度である。
抵抗線27の片側にゴム部材29を用いているのは、演奏中
に抵抗線27が延びて弛みが生じることを防止するためで
ある。
第5図は、第4図に示すような弓を用いて、本体の弦
相当部を擦るように摺動させて演奏操作を行う時の弓位
置の検出機構を示す。楽器本体の弦相当部材6は、金属
棒等の導体で形成されており、その電気抵抗は無視でき
る。弓5には、毛16と平行して抵抗線27が張られてお
り、その両端間に定電圧が印加されている。弓5を操作
し、弦相当部材6に接触させると、抵抗線27が弦相当部
材6に接触し、その位置で分圧された電圧を弦相当部材
6が信号として取り出す。この電圧信号がオペアンプOP
2を介して取り出される。電圧信号は抵抗線27の位置に
従って変化するので、出力電圧によって先弓、元弓等を
表わす弓位置を知ることができる。なお、弦相当部材6
は、抵抗R1、R2によって分圧された負電圧源−Vに接続
されている。このため、弓5が弦相当部材6に接触して
いない時は、負電圧が出力電圧として発生する。抵抗線
27は、たとえば径約0.12mm、長さ約50cm、抵抗値約50Ω
程度の抵抗線で形成できる。出力電圧としてはたとえば
0〜5V程度の電圧を発生する。
たとえば自然楽器のバイオリンにおいては、4本の弦
が張られているが、本電子楽器においては弦相当部材6
は単一部材である。このため、弦を切り替えて発生する
楽音のピッチを変更する時には、ペダル7を踏み込んで
踏み込み量により弦を選択する。たとえば、踏み込み量
に応じて0から127の128段階の信号が発生し、この領域
を4つの弦に対応させて分割し、弦に応じた音高を発生
させる。4弦の切り替え位置にクリック感を与える機構
を設けてもよい。4つのスイッチを用いてもよい。
このようにして、ピッチ、弓位置、弓圧等の楽音パラ
メータが発生されるが、演奏操作によるこれらの楽音パ
ラメータの変化の仕方は、自然楽器における同様のパラ
メータの変化の仕方とは異なっている場合が多い。たと
えば、指板相当部における押指位置と出力電圧との関係
は、第2図(B)に示すように、非線形となっている。
このような非線形の特性を用いて、正確な音高信号を
発生させるには、まず検出された出力電圧Eoutを押指位
置xに対して直線的に変化する量に変換し、駒から押指
位置までの弦長を計算し、この弦長に対応したキーコー
ドを発生させて音高信号を形成する。これらの処理は、
数式を用いた演算によって行っても、テーブルによって
行ってもよい。また、音高処理の際、別の制御信号に基
づいてビブラートやポルタメントを表現することもでき
る。また他の方式による変換を用いてもよい。
第3図に示す弓圧検出部から得られる信号も、補正を
行う必要がある。
第6図に弓圧検出部の特性を示す。図中上方に示すよ
うに、歪みゲージ19は弓5の手許側に設けられている。
このため、抵抗線27のどの部分が弦相当部と接触するか
により、歪みゲージ19に生じる変形量は変化する。第6
図のグラフは、500g重の一定の力を抵抗線27に加えた場
合、その力を加えた弓の位置による弓圧信号の値の変化
を示す。図中横軸が弓位置を示し、縦軸が弓圧出力を示
す。図で示すように、弓位置が手許(元弓)の場合、出
力信号は大きく、先弓になるに従って出力信号は低下す
る。このような特性を有する弓圧信号を1次回帰直線を
用いて補正し、一定の弓圧に対しては、弓位置に拘らず
ほぼ一定の弓圧出力信号を発生するようにする。1例に
おいて、1次回帰直線を用いた補正により相関係数は0.
992であった。
弓位置は抵抗線と導体との機械的接触によって検出す
るため接触ノイズを生じることがある。特に弓と弦相当
部材とが接したり離れたりする瞬間にノイズが発生しや
すい。このようなノイズを減らすために、フィルタ等を
用いることができる。
第7図は、弓位置信号の補正を行うフィルタ回路を示
す。
弓位置の生データatが3点メジアンフィルタF1に供給
される。3点メジアンフィルタF1は連続する3点の測定
値の中央値を採用するフィルタである。たとえば、連続
する3入力の内、最初のものが最も大きく、次の値が最
も小さく、最後のものがその中間であれば出力信号とし
ては最後の信号の値を出力する。このようにして3点メ
ジアンフィルタF1は、連続する3つの測定値の内中央の
値をとって、その時の出力mtとして出力する。この3点
メジアンフィルタF1の出力は、3点平均回路F2に供給さ
れる。3点平均回路F2は、連続する3つの入力をとり、
その平均値を出力する。このようにして、補正値Atが形
成され、弓位置の補正データとして利用される。
3点のメジアンフィルタF1を用いることにより、例外
的な値が除外される。さらに、平均値フィルタを用いる
ことにより、急激な変化の影響が和らげられる。
物理モデル音源では微分値をパラメータとして用いる
場合が多い。たとえば、弓と弦相当部材との相互作用を
考える場合、弓位置も楽音パラメータであるが、弓速は
さらに重要な楽音パラメータである。そこで、弓位置を
弓速に変換することが望ましい。位置を時間微分すれば
速度が得られる。このような場合、普通に差分をとって
微分演算を行うと、速度の精度が極端に悪くなり易く、
満足な楽音パラメータが得られないことが多い。
第8図は、弓位置から弓速への変換を行う回路を示
す。まず、弓位置の補正データAtが差分回路DFに供給さ
れる。差分回路DFは連続する入力信号の差分をとり、差
分列Vtを発生する。このようにして得られた差分列は3
点平均回路F3に供給され、連続する3点の平均値Vt′が
とられる。この平均値がさらに1次のIIRローパスフィ
ルタF4に供給され、前回出力した値と今回得られた値を
一定の比率で混合し、出力信号としての弓速データVt
得る。たとえば、ローパスフィルタの係数bとして0.3
を用いる。
このような回路を用いることにより、ノイズを含む弓
位置データに基づいて使用に耐える弓速データを提供す
ることができる。
以上のように、変換、補正された演奏情報は、擦弦楽
器の物理モデル音源に直接パラメータとして送ることが
できる。また、擦弦楽器以外の物理モデル音源の場合
も、その音源に適したパラメータに変換することでその
物理モデル音源を駆動することができる。
また、必要に応じて演奏情報を記録し、再生すること
もできる。さらに、音そのものを記録する場合に比べて
パラメータを記録することにより情報量を圧縮すること
も可能である。また、一旦記録した演奏情報を編集する
ことにより、生演奏では避けられないミス等を修正する
こともできる。また、現実には不可能な演奏を合成する
こと等もできる。
第9図は物理モデル音源の要部を示す回路である。
この音源回路には、上述のように形成された楽音パラ
メータである弓速信号、ピッチ信号、弓位置信号、弓圧
信号等が供給される。弓速信号は加算回路52に入力され
る。なお、管楽器の場合は、息圧または唇の構えを表わ
すアンブシュアが速度信号に対応する。この速度信号
は、起動信号であり、加算回路53、除算回路54を介して
非線形回路55に供給される。非線形回路55はバイオリン
の弦の非線形特性等を表す非線形特性の回路である。
非線形回路55の非線形特性は、原点からある範囲まで
のほぼ線形な領域とそれよりも外側の特性の変化した領
域との2つの部分を含む。バイオリン等の擦弦楽器の弦
を弓で擦る場合、弓速が遅い間は、弦の変位はほぼ弓の
変位と同等であり、弦の運動を静摩擦係数によって表わ
すことができる。この場合、ほぼ線形の特性が表われ
る。弓の弦に対する相対速度がある値を越えると、弓の
速度と弦の変位速度とは同一ではなくなる。すなわち、
静摩擦係数に代わって静摩擦係数が運動を支配するよう
になる。この静摩擦係数から動摩擦係数への切り替えに
より、非線形特性が生じる。
第9図において、このような非線形特性を有する非線
形回路55の出力は、乗算回路56を経て2つの加算回路4
4、45に供給される。
非線形回路55の入力側の除算回路54、出力の乗算回路
56は、弓圧信号を受けて、非線形回路55の特性を変更さ
せる。なお、弓圧信号は、管楽器の場合はアンブシュア
または息圧に対応する。入力側の除算回路54は、入力信
号を除算することによって、小さな値に変更する。除算
回路54がある場合、大きな入力を受けても小さな入力を
受けたかのような出力を与える。出力側の乗算回路56
は、非線形回路55の出力を増大させる役割を果たす。除
算回路54と非線形回路55で形成される特性63aを出力側
に増大した特性を作る。なお、同一の弓圧信号を受け
て、入力を初めに除算し、後で出力を乗算することは、
除算回路54で係数Coで除算し、乗算回路56で同一の係数
Coを乗算することを表す。この場合は、総合特性は非線
形回路55のみの時の特性を横軸、縦軸にCo倍した形状を
有する。なお、乗算回路の係数を除算回路の係数と異な
るように変化させることにより、異なる形状を作るよう
にさせてもよい。非線形特性は弓位置信号を受けて修飾
される。弓移動の向きによってさらに変化させてもよ
い。
加算回路44、45は半循環信号路31a、31bの内に設けら
れている。2つの半循環信号路を合わせた循環信号路31
は、擦弦楽器の弦に対応して楽音信号を循環させる閉ル
ープを構成する。すなわち、弦においては振動が両端で
反射して往復する。また、管楽器においては、共鳴体中
を振動が往復する。これを信号が循環する閉ループで近
似する。この循環信号路内には、2つの遅延回路32、3
3、2つのLPF(ローパスフィルタ)34、35、2つの減衰
回路38、39、2つの乗算回路42、43を含む。遅延回路3
2、33は音高ピッチ信号と係数αないし(1−α)との
積を設け、所定の遅延時間を与える。
循環信号路31a、31bを信号が循環し、元の位置に戻る
までの全遅延時間によって、楽音の基本ピッチが定ま
る。すなわち、主として2つの遅延回路32、33の遅延時
間の和、ピッチ×[α+(1−α)]=ピッチ、が基本
ピッチを定める。一方の遅延回路は、弓と弦との接触す
る位置から駒までの距離、他方の遅延回路は弓と弦の接
触する位置から押指位置までの距離に対応する。
なお、遅延回路32、33によってピッチがほぼ決定する
が、この循環信号路中に含まれる他の要素、たとえばLP
F34、35、減衰コントロール38、39等によっても遅延が
発生する。厳密には、発生する楽音のピッチを定めるの
はこれらのループ中に含まれる全遅延時間の和である。
LPF34、35は循環している波形信号の伝達特性を変更
することにより、種々の弦の振動特性をシミュレートす
る。楽器本体上の音色スイッチの選択等によって、音色
信号を発生させ、LPF34、35に供給して、その特性を切
り替え、所望の擦弦楽器の楽音をシミュレートする。
弦を振動が伝搬する際に、振動は次第に減衰する。減
衰コントロール38、39はこの弦を伝わる振動が減衰する
減衰量をシミュレートするものである。
乗算器42、43は弦固定端での振動の反射に対応して反
射係数−1を乗算するものである。すなわち、減衰なし
の固定端での反射を想定して弦の振幅を逆位相に変化さ
せる。係数−1がこの逆相反射を示す。反射における振
幅の減衰は、減衰コントロール38、39の減衰量に組み込
んである。
このようにして、弦に相当する循環信号路31a、31bの
上を振動が循環することによって擦弦楽器の弦の運動を
シミュレートする。
また、擦弦楽器の弦の運動はヒステリシス特性を有す
る。これをシミュレートするため乗算回路56の出力は、
LPF58と、乗算回路59を介して非線形回路55の入力側に
フィードバックされている。LPF58はフィードバックル
ープの発振を防止するためのものである。
今、加算回路52から加算回路53への入力をuとし、フ
ィードバック路から加算回路53への入力をvとし、除算
回路54、非線形回路55、乗算回路56を合わせた増幅率を
Aとすると、乗算回路56の出力wは、(u+v)A=w
で表される。LPF58と乗算回路59を含む負帰還回路のゲ
インがB(負の値)であるとすると、帰還量vはv=wB
で表される。これらの2つの式を整理すると、(u+w
B)A=w、∴w=uA/(1−AB)となる。
フィードバックなし、すなわち、B=0の場合は、w
=uAであり、入力uが単に係数A倍されて出力する。ゲ
インBの負帰還をかけた場合、同じ出力を得るには、B
=0の場合の(1−AB)倍(Bは負)の入力を印加しな
ければならない。
一旦入力が閾値を越してから、再び減少する場合に
は、出力wが小さいので、フィードバックされる量v=
Bwも小さい。すなわち、非線形回路55に入力する信号の
大きさが同じでも、静摩擦係数領域の場合と比べて、動
摩擦係数領域の場合は、負のフィードバック量が小さい
ので、加算回路52から加算回路53への入力uは小さな値
となる。
非線形回路55の入力が、閾値になる時の加算回路52か
らの入力uの大きさを考えると、入力増大時には静摩擦
係数が支配し、大きい出力に対応して強い負帰還を受け
るので、より大きな入力でこの切り替えが起るが、入力
減少時には動摩擦係数が支配し、小さな出力に対応して
負帰還量が小さいので、より小さな入力uの値で切り替
えが起る。ヒステリシスの大きさは、乗算回路59のゲイ
ンによって制御される。
このようにして、第9図に示す楽音信号形成回路によ
れば、擦弦楽器の弦の運動がシミュレートでき、楽音の
基本波形を作ることができる。
第9図に示すように、循環信号路31のいずれかの点か
ら出力を取り出して、擦弦楽器の胴の特性をシミュレー
トするフォルマントフィルタ61を介して出力信号をサウ
ンドシステムに供給する。フォルマントフィルタ61も音
色信号を受けてその特性を変化させるようにすることが
できる。このようにして、所望の楽音信号を発生させる
ことができる。
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこ
れらに制限されるものではない。たとえば指板相当部、
弦相当部材として単一の部材を用いる場合を説明した
が、自然楽器に合せて4本なり複数の指板相当部、弦相
当部材を用いることもできる。押指位置を抵抗以外の手
段で検出してもよい。その他種々の変更、改良、組み合
わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明によれば、自然楽器の弓
と同等の弓部材を用いて演奏操作を行うことができるた
め、自然楽器同様の演奏が行なえる。
擦弦楽器の演奏技法を習熟した者は、直ちに本電子楽
器による演奏を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の実施例による電子楽器の全体の構成
を示す概略図、 第2図(A)、(B)は、演奏情報入力部の指板相当部
を示し、第2図(A)は構成を示す概略図、第2図
(B)は特性を示すグラフ、 第3図(A)、(B)は、演奏情報入力部の弓の弓圧検
出部を示し、第3図(A)は毛取付け部の構成を示す側
面図、第3図(B)は検出回路の回路図、 第4図(A1)、(A2)、(B1)、(B2)は、演奏情報入
力部の弓の弓位置検出部を示し、第4図(A1)は手許部
の側面を示す側面図、第4図(A2)は先端部側面を示す
側面図、第4図(B1)は手許部底面を示す底面図、第4
図(B2)は先端部底面を示す底面図、 第5図は、弓位置の検出機構を示す概略図、 第6図は、弓圧検出部の特性を示すグラフ、 第7図は、弓位置の補正機構を示す回路図、 第8図は、弓位置から弓速への変換を示す回路図、 第9図は、物理モデル音源要部を示す回路図である。 図において、 1……演奏情報入力部 2……楽音パラメータ処理部 3……物理モデル音源部 4……指板相当部 5……弓 6……弦相当部材 7……ペダル 16……毛 17……金属板 19……歪みゲージ 27……抵抗線 29……ゴム部材

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性を有する弦相当部材を有する本体
    と、 自然擦弦楽器の弓と同様の棒部材と毛を備え、毛を弦相
    当部材に係合させて演奏するための弓部材であって、毛
    と棒部材との係合部分に歪検出手段が設けられている弓
    部材と、 前記歪検出手段の出力を弓圧信号に変換する手段と、 前記弓部材の毛にほぼ平行に配置された抵抗部材を含
    み、前記弦相当部材と前記抵抗部材を係合させた時、係
    合位置に対応した弓位置信号を発生させる弓位置検出手
    段と、 前記弓位置検信号を弓速信号に変換する手段と、 前記弓圧信号と前記弓速信号に基づいて楽音信号を発生
    させる音源回路と を有する電子楽器。
  2. 【請求項2】さらに、発生すべき楽音の音高を指定し、
    音高信号を発生する音高指定手段を有し、前記音源回路
    が前記弓圧信号、前記弓速信号、前記音高信号に基づい
    て、楽音信号を発生させる請求項1記載の電子楽器。
  3. 【請求項3】さらに、音域を切り替える切替信号を発生
    する手段を有し、前記音高指定手段が前記切替信号に基
    づいて音高信号を変更する請求項2記載の電子楽器。
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