JP2634196B2 - 飛行船の定位置保持制御装置 - Google Patents

飛行船の定位置保持制御装置

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は飛行船を定位置に復帰し、保持するための定
位置保持制御装置に関する。
〔従来の技術〕
飛行船は推進手段としてプロペラなどを用いたスラス
タを備えている。すなわち、第6図で示すように飛行船
1の下部にスラスタ2とスラスタ駆動手段3を装着して
おり、スラスタ駆動手段3によりスラスタ2を駆動し、
スラスタ2の駆動で得られる推力により飛行船1の運動
をコントロールしている。
そして、飛行船の多くは複数のスラスタを備えてい
る。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかして、飛行船はその用途上単に推進するだけでな
く、ある定位置に静止していることが要求されることが
多い。このため、飛行船に対してはある定位置に静止し
ている時に、風により流されて定位置から外れた場合で
も迅速且つ正確に定点に復帰し、常に定点位置に静止保
持していることが必要となる。
しかしながら従来の飛行船においては、飛行船を定位
置に復帰し保持するための充分な定位置保持制御装置が
装備されておらず、このため従来の定位置保持制御装置
では飛行船を常に定点に保持するようにスラスタを効率
良く駆動させることが難しく、定位置から外れた飛行船
を迅速且つ正確に定位置に復帰させて保持させることが
困難であった。
本発明は前記事情に基づいてなされたもので、飛行船
を常に定位置に保持できるように効率良くスラスタを駆
動でき、優れた定位置保持機能を備えた飛行船の定位置
保持制御装置を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
前記目的を達成するために本発明の飛行船の定位置保
持制御装置は、運転用の複数のスラスタを備えた飛行船
において、第1図で示すようにこの飛行船の位置および
角度を検出する手段11と、前記飛行船の位置および角度
を設定する手段12と、検出された前記飛行船の位置およ
び角度と予め設定した前記飛行船の位置および角度とを
比較し、この比較結果に基づいて前記飛行船を定位置に
復帰し保持する制御に必要な力およびモーメントを演算
する手段13と、この手段で求めた制御量を前記複数のス
ラスタ16にて最小のパワーで且つ前記各スラスタ16の最
大容量内で実現するように前記各スラスタ16の推力およ
びその方向の配分を定めた駆動指令信号を、前記複数の
スラスタ16を駆動する複数のスラスタ駆動手段15に対し
て出力する手段14とを具備することを特徴とするもので
ある。
本発明の定位置保持制御装置の構成について説明を加
える。具体的にはこの制御装置は、飛行船の位置座標
(X,Y,Z)を検出する位置検出器と、保持したい定位置
座標設定値(Xp,Yp,Zp)を出力する定位置設定器と、上
記位置検出器からの位置信号(,,)と上記定位
置設定器からの定位置設定値信号 との偏差(ΔX,ΔY,ΔZ)を演算する加減算器と、飛行
船の角度(ピッチ角θ,ロール角φ,ヨー角ψ)を検出
する角度検出器と、角度設定を行う角度信号設定値(θ
p,φp,ψp)を出力する角度信号設定器と、上記角度検
出器からの角度信号 と上記角度信号設定器からの角度設定値信号 との偏差(Δθ,Δφ,Δψ)を演算する加減算器とを
備えており、さらに上記位置偏差信号と上記角度偏差信
号を受けて、飛行船を定位置に復帰し保持するために必
要な力(Forceコマンド)とモーメント(Momentコマン
ド)を演算する制御演算器を備えている。
ここで、制御演算器によるForceコマンド(FXC
FYC,FZC)とMomentコマンド(Mc,Nc,Rc)の算出法は様
々なものが考えられるが、一例として次に説明する演算
アルゴリズムが挙げられる。
FXC=KXDΔ+KXPΔX+KXI∫ΔXαt …(4) FYC=KYDΔ+KYPΔY+KYI∫ΔYαt …(5) FZC=KZDΔ+KZPΔZ+KZI∫ΔZαt …(6) (KXD,KYD,KZD):微分ゲイン (KXP,KYP,KZP):比例ゲイン (KXI,KYI,KZI):積分ゲイン MC=KMDΔ+KMPΔψ+KMI∫Δψαt …(10) NC=KNDΔ+KNPΔθ+KNI∫Δθαt …(11) RC=KRDΔ+KRPΔφ+KRI∫Δφαt …(12) ・:微分(KMD,KND,KRD):微分ゲイン (KMP,KNP,KRP):比例ゲイン (KMI,KNI,KRI):積分ゲイン さらに、上記制御演算器からの出力を受けて、複数個
のスラスタのスラスタ駆動手段への駆動指令信号を、最
小パワー(エネルギー)で定位置保持制御を行うべく各
スラスタの推力配分を定めるスラスタ制御指令最適配分
器を備えている。
このスラスタ制御指令最適配分器の配分アルゴリズム
は、風等の外部擾乱によって生じた定位置からの飛行船
の位置ずれを補正して飛行船を定位置に復帰するのに必
要なForceコマンド(FXC,FYC,FZC),Momentコマンド
(Mc,Nc,Rc)に対して、複数個のスラスタによる全推力
パワーを最小にする最適問題として導かれる。すなわ
ち、評価関数は、 i:i番目のスラスタ n:スラスタの個数であり、Jを
最小化する問題を解く。
ここで (FXi,FYi,FZi):スラスタiのX,Y,Z軸方向推力成分 Fmi :スラスタiの最大スラスタ容量 スラスタ推力は、次の等式を満たさなければならな
い。(拘束条件) 力の等式条件: モーメントの等式条件: 但し、FXi,FYi,FZiは 0≦FXi≦Fmi …(21) 0≦FYi≦Fmi …(22) 0≦FZi≦Fmi …(23) ここで (lxi,lyi,lzi):飛行船重心Gからスラスタiまで
の位置座標 上記の最適問題を解くために、上記第(21)〜(23)式
の不等式条件を次の等式条件に置き換える。
FXi+xXi=Fmi …(25) FYi+xYi=Fmi …(26) FZi+xZi=Fmi …(27) 第(25)〜(27)式より FXi=Fmi−xXi …(28) FYi=Fmi−xYi …(29) FZi=Fmi−xZi …(30) 第(28)〜(30)式を第(13)〜(20)式に代入する
と、 ここでhi(i=1〜6)を次のように定義する。
λi(i=1〜6)をラグランジュ乗数として新たに評
価関数を次のように設定する。
J′を最小とするための必要条件は 第(25)〜(27)式を上記第(42)〜(44)式に代入す
る。
FXi=(−λ1+λ4lYi−λ5lZi)Fmi …(45) FYi=(−λ2−λ4lXi+λ6lZi)Fmi …(46) FZi=(−λ3+λ5lXi−λ6lYi)Fmi …(47) したがって、ラグランジェ乗数λi(i=1〜6)は第
(45)〜(47)式を第(15)〜(20)式なる等式条件に
代入して求めた次の連立方程式を解いて求められる。
ラグランジェ乗数λi(i=1〜6)は(48)〜(53)
式を解いて求められる。解法は第(48)〜(53)式をマ
トリックス形で表し、(54)のマトリックス方程式を解
いて求める。
評価関数を最小とするFXi,FYi,FZiは第(54)〜(5
7)式、第(45)〜(47)式により得られる。
すなわち、定位置保持のために要求されるx,y,z軸方
向全推力を得るためのForceコマンドFXc,FYc,FZcとMo
mentコマンドMc,Nc,Rcとにより第(54)〜(57)式のマ
トリックスを解いてラグランジュ乗数λi(i=1〜
6)を決定し、(45)〜(47)式により各スラスタの推
力配分を求める。すなわち、各スラスタの推力配分は FXi=(−λ1+λ4lYi−λ5lZi)Fmi FYi=(−λ2+λ4lXi+λ6lZi)Fmi FZi=(−λ3+λ5lXi−λ6lYi)Fmi (i=1〜n) i:i番目のスラスタ、n:スラスタ個数 (FXi,FYi,FZi):機体座標系(x,y,z)上での各スラ
スタiのx方向,y方向,z方向のスラスタ力配分値 このようにしたスラスタ制御指令信号最適配分器は、
各スラスタの最大容量内で、定位置に復帰するために必
要な制御量を最小パワー(エネルギー)で実現するため
の各スラスタへの最適なスラスタ推力配分を定め、各ス
ラスタへの制御指令信号をつくり、このスラスタ制御指
令信号を上記各スラスタ駆動手段に出力するものであ
る。
〔作用〕
このような構成により、制御演算器において、位置設
定値と位置検出値との偏差、および角度設定値および角
度検出器との偏差に対して位置ずれ偏差および角度ずれ
偏差を補正し、飛行船を定位置に保持するために、要求
される制御量を演算し、さらに指令信号最適配分器にお
いて、制御演算器で算出した制御量を、複数のスラスタ
にて最小パワー(エネルギー)で且つ各スラスタの最大
容量内で実現すべく、複数のスラスタの推力およびその
方向の配分を定めた指令信号を出力して各スラスタ駆動
手段を駆動し、飛行船を定位置に保持するようにスラス
タの運動を制御する。
〔実施例〕
以下本発明を図面で示す実施例について説明する。
まず、本発明の定位置保持制御装置のシステム構成を
第2図を参照して説明する。
飛行船の位置座標(X,Y,Z)を検出する位置検出器21
と、保持したい定点位置座標設定値(Xp,Yp,Zp)を出力
する定位置設定器22と、上記位置検出器21からの位置信
号(,,)と上記定位置設定器22からの定位置設
定値信号 との偏差(ΔX,ΔY,ΔZ)を演算する加減算器23と、飛
行船の角度(ピッチ角θ,ロール角φ、ヨー角ψ)を検
出する角度検出器24と、角度設定を行う角度信号設定値
(θp,φp,ψp)を出力する角度信号設定器25と、上記
角度検出器24からの角度信号 と上記角度信号設定器25からの角度設定値信号(θp,φ
p,ψp)との偏差(Δθ,Δφ,Δψ)を演算する加減
算器26とが設けられ、上記位置偏差信号を受けて、比例
演算器27,積分演算器28,微分演算器29により定位置復帰
保持に必要なForceコマンド(FXC,FYC,FZC)をつく
る。このForceコマンドを作成するためには例えば前述
の演算法を用いる。また、上記角度偏差信号を受けて、
比例演算器30,積分演算器31、微分演算器32により、Mom
entコマンド(Mc,Nc,Rc)をつくる。このMomentコマ
ンドを作成するためには例えば前述の演算法を用いる。
上記のForceコマンド,Momentコマンドを受けて、スラス
タ制御指令最適配分器33により複数個(n個)のスラス
タ16のスラスタ駆動手段15への最小パワー(エネルギ
ー)で定位置保持が可能なスラスタ推力配分を定める。
この場合の演算は例えば前述の方法を用いる。以上によ
って求められた各スラスタ16への推力配分を定めた信号
を受けて、スラスタ駆動手段15によってスラスタ16を駆
動して飛行船の定位置復帰保持を行う。
この実施例において、飛行船の位置および角度を検出
する手段は位置検出器21と角度検出器24であり、飛行船
の位置および角度を設定する手段は定位置設定器22と角
度信号設定器25である。この実施例において、検出され
た飛行船の位置および角度と予め設定した飛行船の位置
および角度とを比較し、この比較結果に基づいて飛行船
を定位置に復帰し保持する制御に必要な力およびモーメ
ントを演算する手段は、加減算器23、比例演算器27、積
分演算器28および微分演算器29と、加減算器26、比例演
算器30、積分演算器31および微分演算器32とで構成され
ている。この実施例において、前記演算手段で求めた制
御量を複数のスラスタ16にて最小のパワーで且つ各スラ
スタ16の最大容量内で実現するように各スラスタ16の推
力およびその方向の配分を定めた駆動指令信号を、複数
のスラスタ16を駆動する複数のスラスタ駆動手段15に対
して出力する手段は、スラスタ制御指令最適配分器33で
ある。
次に本発明の定位置制御装置を飛行船の定位置保持制
御に適用した一例を第3図ないし第5図について説明す
る。
第3図は飛行船の一例を示しており、飛行船1の両方
の側面部および後部の合計3箇所にスラスた2A,2B,2Cを
装着してある。飛行船1の機体軸はx,yおよびzであ
る。この例ではy軸まわりに回転するスラスタを考え
る。
第4図は飛行船1が初期の定位置Pに静止していた状
態1から、上方から正面向風を受けて流されていく状態
2の変化を示したものである。
第5図(a)〜(i)はこのような飛行船1の状態変
化に対応して定位置保持制御装置が飛行船1の運動を制
御する一例を示す線図である。すなわち、第5図は飛行
船1が正面の向風(向って上30°方向、風速10m/sec)
を受けた場合に本発明の定位置保持制御装置を用いるこ
とによって定位置に復帰保持することを示したものであ
る。飛行船1は初期に定点(X,Z)=(0,0)に静止して
いたものとする。定点設定を(0,0)、また飛行船1が
風の方向を向いて復帰保持するようにピッチ角度設定を
−30°とした。この例では、正面向風を受けるので、飛
行船1の航行中Y座標は常に定位置座標を保ち続ける。
例えばY=0である。また、角度設定を−30°としてあ
るので、飛行船1は風の方向を向いて定位置を保持す
る。第5図(h)(i)で示すx座標およびy座標によ
り明らかなように風速10m/秒の強風を継続的に受け続け
る場合でも、飛行船1は設定の位置に設定角度で復帰保
持できる。
このように本発明の装置により、風等の影響で飛行船
が流された場合でも、飛行船を定位置に復帰させ保持し
続けることができる。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明の飛行船の定位置保持制御
装置によれば、飛行船が、定位置に、定められた角度で
保持するために必要なForce,Momentコマンドを、最小パ
ワー(エネルギー)でかつスラスタの容量内で複数個の
スラスタに対してスラスタ推力配分を行うことができ、
従って効率良くスラスタを駆動し、飛行船の運動を迅速
且つ正確に制御して定位置に復帰し保持することができ
る優れた定位置保持機能を備えている。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の定位置保持制御装置のシステム構成を
示す図、第2図は本発明の定位置保持制御装置の一実施
例を示すブロック図、第3図ないし第5図は本発明の定
位置保持制御装置を適用して飛行船の運転を制御する場
合を示すもので、第3図は飛行船を示す斜視図、第4図
(a)は定位置および定位置から外れた位置にある飛行
船を示す正面図、第4図(b)は定位置にある飛行船を
示す側面図、第5図は飛行船の運転を制御する方法を示
す線図、第6図は飛行船の機体を示す正面図である。 1……飛行船、2,2A〜2C……スラスタ、3……スラスタ
駆動手段、11……検出手段、12……設定手段、13……制
御演算手段、14……スラスタ指令最適配分手段。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】運転用の複数のスラスタを備えた飛行船に
    おいて、この飛行船の位置および角度を検出する手段
    と、前記飛行船の位置および角度を設定する手段と、検
    出された前記飛行船の位置および角度と予め設定した前
    記飛行船の位置および角度とを比較し、この比較結果に
    基づいて前記飛行船を定位置に復帰し保持する制御に必
    要な力およびモーメントを演算する手段と、この手段で
    求めた制御量を前記複数のスラスタにて最小のパワーで
    且つ前記各スラスタの最大容量内で実現するように前記
    各スラスタの推力およびその方向の配分を定めた駆動指
    令信号を、前記複数のスラスタを駆動する複数のスラス
    タ駆動手段に対して出力する手段とを具備することを特
    徴とする飛行船の定位置保持制御装置。
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