JP2632908B2 - 直流電動機 - Google Patents

直流電動機

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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の属する分野の説明〕 本発明は直流電動機の整流火花を抑制し、整流子と刷
子の長寿命と電気ノイズの低減をもたらすものである。
〔従来の技術の説明〕
直流電動機の整流火花を抑制するため整流子のライザ
ー間に抵抗,コンデンサー,バリスターなどの中から適
当なものを選んで附加するものが多かった。抵抗値のみ
の場合、それ相応の効果はあるものの大きな効果は期待
できず、反面、効果を増やそうとすると無効電流が増す
などの欠点があった。コンデンサーの場合はその数値に
よってかえってモーター動特性に異常をもたらす欠点が
あり使い勝手の面からも汎用性が低かった。この点バリ
スターは汎用性も高く効果も大で、多く利用されている
が使用電圧によっては熱暴走を起す致命的欠点を持って
いた。いずれにしても火花抑制に対して十分なものとは
云えず一長一短があった。
尚、近年になってマルチ・フアンクシヨン・セラミツ
ク素子と称するバリスタの新種が登場した。通常はコン
デンサーとして機能し一定以上の電圧(火花放電などの
サージ電圧)がかかるとバリスターとして機能するいわ
ゆる複合素子であるがこれも電圧依存性抵抗素子に容量
Cを に附加した容量性バリスタであって本願発明の「CとR
に」接続したものと、その本質を異にするものである。
〔発明の目的〕
本発明は上述従来例の欠点を除去すると同様に、その
結果について原理的には、インダクタンスに蓄えられ整
流の際スパークを発生させるエネルギーである高温の火
花放電々圧を極小に低減し整流子セグメント表面や刷子
表面を殆んど変化させない程度にスパークから保護する
ことを目的とするものである。例えば後述するプリント
基板方式の平面整流子の場合、表面の貴金属メツキ層の
厚さを1μm前後とした場合そのメツキ層の摩耗損傷は 火花抑制回路なしの場合 約1 時間 抵抗素子を附加の場合 約10時間 バリスターを附加の場合 約100時間 前後である。勿論テストモーターの大きさ、テスト条件
によってもこの数値は異なるが代表的実験の結果上記の
ように示すことができる。
コンデンサーの場合、バリスター以上の効果を期待し
ようとすると数μFを複数個搭載せねばならず、又その
ための反作用としてモーター動特性の異常をもたらすこ
とが多かった。或る種のモーターに本発明の「C+R」
火花抑制回路を附加した場合数1,000時間の寿命を達成
する程の効果を持つものも出来た。
表現が逆になるが本発明は上記プリント基板のような
薄い金属メツキの表面のみで実用に耐える整流子セグメ
ントを得んがための研究の結果得られた結実である。
〔発明の構成および作用の説明〕
電動機に限らず一般的に、接点〜接触子に生じる火花
を抑制してその寿命耐用を延伸しノイズを低減するに
は、インダクタンスに蓄積されたエネルギーをうまく吸
収し処理することであった。第1図に示すようにインダ
クタンスを持つコイル(L−ra)に並列に最適値のCと
Rの直列回路を挿入すると、スイツチSに加わるサージ
電圧即ち火花放電々圧を、理論上電源電圧E以上になる
ようにすることができる。一般には簡略的にC又はRの
みを用いていることは前記した通りである「C+R」方
式はモーターに実現されている例を知らない。一部の開
閉器、電鍵やリレーの長寿命化に応用されている程度で
あり、モータの場合はそのコイルが単なる静的なインダ
クタンス素子でなく複雑な整流条件下で行われる整流モ
ードとの関係、又モーター特有の逆起電圧等、後述する
単純な計算式では解明できない要因があるものと思われ
る。
一般には第1図においてコイルのインダクタンス(H
・ヘンリー)抵抗をra(Ω・オーム)とした時、火花抑
制回路の抵抗R(Ω・オーム)とコンデンサーの容量C
(F・フアラツド)との関係は次の通りである。
先ず前提としてR=raとし、更にL回路とC回路の時
定数を等しくする。即ちτ=L/ra=CR、又はL/C=ra
R=R2とした場合C=L/R2となり、マイクロモーターの
一例としてL=10mH、R=10Ωの場合C=10×10-3/102
=10-4F=100μFとなる。
マイクロモーターに100μFのような大容量のコンデ
ンサーを何個も搭載することは実装面の煩雑さからもコ
スト面からも到底不可能で、この方式は顧みられなかっ
た。
本願発明者はこの100μFという数値に対し10μF,1μ
F,0.1μF,0.01μF…と数値を低下させて実験を試みた
結果テストモーターのL=数μHのものから数10mHのも
の、R=数Ωから100Ω程度のものに関してコンデンサ
ー容量C=0.1μFから1μFの組み合せにおいて、前
述従来技術のバリスター或いは数μFのコンデンサーに
はるかに勝る好結果を得る事を定性的に確かめた。更に
これを定量的に、すなわちC=L/R2でなく0.1μF〜1
μFにおいて火花電圧が一体どの位発生しているかにつ
いてのデータがあるので次にそれを詳述する。
(1)電機子に装着するCとRの適値を見出すために、
本来 回転する電機子を固定して 外筒マグネツト側が
回転するようにしたテストモータを作り、固定側のCと
Rからリード線を導出してシンクロスコープで整流時の
火花波形を観察できる装置を作った。第10図はその回路
構成を含む構成概略図、駆動電圧はスリツプリングで供
給している。モーター部の仕様は 電機子コイルの 1コイルの抵抗 10.3 Ω 電機子コイルの 1コイルのインダクタンス 9.5 mH 火花抑制回路の R = 10 Ω C = 0.22μF 0.69μF 0.94μF モータ駆動電圧8Vで無負荷回転数4000rpm前後であ
る。そしてC=0.22μF,0.69μF(0.22+0.47),0.94
μF(0.47×2)の3種について、供給電圧8V,負荷電
流I=200mAまでのP−P/V(火花電圧)をグラフ化した
のが第11図で、観測した火花電圧の波形は第12図イ),
ロ),ハ)に示した。第11図によれば、火花電圧P−P/
Vは負荷電流Iの増加につれ2次凾数的に増大して(C
=0.22μF時)いるが、C値を増やすことによりカーブ
は急速に平坦化し、前記理論値C=L/R2を与えれば火花
電圧は駆動電圧8V以内に押えられるという、本論の火花
抑制原理が実証できると推測される。そして、特許請求
の範囲に記したC=0.1μF〜1μFに数値限定した根
拠は次のように説明できる。
a)C=0.94μF(≒1μF)でモーター駆動電圧8Vの
場合、火花電圧は負荷電流I=200mAで20V前後に抑制さ
れて居り、これ以上Cを増やしても幾分の効果はあるも
のゝ効果の飛躍的増大は望めない。
b)C=0.22μFのデータから類推すればI=100mA程
度のモーターで比較的低電圧駆動(1.5〜5V程度)の場
合、C=0.1μF以上を与えれば火花電圧は充分実用可
能の範囲内に押えられることが判った。これは数種の別
の実験モーターでも実用寿命が確認されている。
c)C=L/R2によって理論値を計算してみるとC=9.5/
1000×10.32≒9-5F=90μFとなり、この値と0.94μF
とを比較すると約95分の1にすぎず、スペースの極小化
による実用装着を可能にした理由となっている。
尚、この「C+R」火花制御回路は直列にCが入って
いるため、サージ電圧でない駆動電源の過電圧が加わっ
てもバリスタのように熱暴走を起すことはなく、また直
列に入っているRの抵抗値を数Ωという低い値にしても
無負荷電流の増加を来さず、そしてCの値が0.1〜1μ
Fという小体積であるので、実装面(後述の第6図参
照)からもコストの面からも実現可能の手段となった。
(2)以上述べた「C+R」火花抑制回路の附加は、通
常行われているように整流子ライザー間に接続すること
を基本に考えたものであり、第2図に示す3相△結線電
機子においても「整流が行われる電機子コイルに並列
に」挿入されている。第3図は3相Y結線電機子の場合
であり、この場合でも第3図(a)に示す上記同様の接
続でも勿論効果はある。今これについて説明すると、第
3図(a)のように整流子ライザー間に「C+R」を接
続すると電機子電流I aがコイル(1)+(2)から
(1)+(3)に整流される時、コイル(2)の電流は
I aから0に変化しコイル(3)は0からI aに変化する
がコイル(1)はI aに変化なく、結局整流されたコイ
ルはコイル(1)+(2)でなくコイル(2)のみであ
ることが判る。整流子ライザー間に「C+R」を挿入す
ることはコイル(1)+(2)に並列に入ることであっ
て、忠実に「整流されるコイル」に入っていることにな
らない。即ち「C+R」は第3図(b)のようにY結線
の共通接合点と各相コイルの他端との間に、各相コイル
に並列に挿入するようにした方が効果が大であることを
実験により確認した。
しかもこの場合、第3図(a)のように入れた火花抑
制回路では「整流が行われる電機子コイルに並列に入れ
たR或はC」に対して、他の2辺に入れたR或はCが並
列に入ってしまうが、第3図(b)によればこのような
ことが起らず比較的正確な「C+R」値が忠実に入るこ
とゝなる。
(3)同様のことは3相巻線でない一般の多重重ね巻き
結線例えば第4図の5コイル電機子についても同じ事が
云える。第4図(a)は4極5コイル10セグメント整流
子を有する電動機電機子の結線であり、a,b,c,d,e,a′,
b′,c′,d′,e′は10セグメントの整流子片を示してあ
り、a〜a′など同種符号のセグメントは同電位となる
ように短絡してある。整流子ライザーには図においてb,
d,a′,c′,e′の5ケ処でコイルに接続されて居り、こ
のライザー間に火花抑制回路は接続される。ところで一
般に、図(a)のような結線図は各電機子コイルの両コ
イル端が、相隣る整流子セグメント片に接続されるよう
に画いて図(b)のように書き換えることが出来、その
電機子としての動作は同じである。図(b)においても
a,b…各同符号のセグメントは短絡されていることは図
(a)と全く同じで、この図においてセグメントa〜b,
c〜d,e〜a′,b′〜c′,d′〜e′の間に夫々「C+
R」を挿入することが、「整流が行われる電機子コイル
に並列に」忠実に挿入されていることが一目瞭然に判
る。第4図において、図(a)にようにe′〜b,b〜d,d
〜a′,a′〜c′,c′〜e′間に接続したのでは「整流
が行われるコイル」以外のコイルを含んだ複数コイルに
対して並列に挿入されることとなる。例えば図(b)の
c〜d間に接続した「C+R」はコイル2に「忠実に並
列に」挿入されているが、図(a)においてb〜d間の
「C+R」は2ケ乃至3ケのコイルに並列となってお
り、前記3相の時の第3図(a)と同じような状態とな
る。第4図(a)の挿入方法で「C+R」を挿入した場
合でも火花制御効果はそれ相応のものがあるが、各種多
ポールモーターのうち結線の種類によってはモーター出
力特性に第5図に示すようなCの影響と思われる異常発
振現象が言われることがある。この場合第4図(b)の
挿入方法にすれば正常の特性となることが確認されてい
る。
(4)本発明の「C+R」火花制御回路は従来技術の火
花抑制では「実用化できないモータ」として捨て去られ
ていた、アイデア段階のモータを実用段階まで持って来
ることができたことを次に説明する。
永久磁石モーターにおいて環状磁石を多極着磁し、モ
ーターの垂下特性をなだらかにして、効率と出力特性
を向上させる方策は、永久磁石の磁性向上(高品質、高
価な磁石)によってモーターの性能向上を図るのと同等
以上の効果をもたらすものである。
(※N0=無負荷回転数、Ts=起動トルクとした時、m≒
Ts/N0のm値を大きくする事) (K:トルク定数g・cm/A、R:抵抗Ω) ここで、2極の永久磁石、3コイル鉄心電機子を持
ち、整流子セグメント数が3ケのものを2−3−3と表
現することにすると、 2極モータ 4極モータ 6極モータ 2−3−3 4−3−6 6−5−15 2−5−5 4−5−10 2−7−7 4−6−6 2−9−9 などが実用乃至は実用可能と思われる整流子電動機の例
である。
又、特公昭44−4450によれば、上記4−−5−10の図
示例と共に、 も可能であると提案されている。
しかしながら、2−5−5方式4−5−10方式6
−5−15方式という組合せ変化は理解できるが6−5−
10の組合せは整流子セグメント数が少なくどうしても整
流に無理がある。同様に8−9−18の組合せもコイル数
の2倍の整流子セグメント数では整流に無理がある筈で
事実試作テストの結果は、本願発明者が考案採用した第
9図に示すコイル間結線によれば出力特性と効率はまず
まずとしても、火花が強大で従来技術の火花抑制回路で
は数時間で異常が発生してしまうものであった。本願発
明者はこの8−9−18結線のモーターに対して第9図に
示した「C+R」方式火花抑制回路を附加した実用化テ
ストを行い通常使用条件で数1,000時間の使用に耐える
可能性のあるモータが製作出来る目途を得た。電気ノイ
ズも正常値にあり、反トルク等の異常も認められなかっ
た。この8−9−18方式のモータは、前記m値が2ポー
ル方式のモータに較べて数倍の大きさとなり、永久磁石
を高品質,高価格のもので設計製作するより、価格はも
とより軽量化,薄型化の面などで、はるかにメリツトの
ある手段である。
(5)第6図は3相△結線用のプリント基板式平面整流
子の平面図、第7図はそれを装着した扁平型電機子の側
面図である。第6図(a)は平面整流子のオモテ面、
(b)はそのウラ面である。図においては12分割され
たセグメント部、はセグメントの同電位部を短絡する
パターン、はコンデンサーCは、は印刷方式でで設
けられた抵抗R、は3相コイルのコイル引出線を接続
する半田付部分、は平面整流子を電機子軸に正しく直
角に支持するための中央穴である。部分のパターン幅
は出来るだけ狭くする。これはコンデンサ3の半田熱の
印刷抵抗4に悪影響を与えないようにするためである。
直流整流子電動機で界磁の多極化を図ると電子機コイ
ルの増加と共に整流子セグメント数が急増する。それに
同電位部の接続短絡線をいちいち電線で接続することは
極めて大変である。従来は円筒整流子では勿論のこと、
平面整流子でもプリント基板方式以外のものではやはり
この接続線は必要であった。本願発明者はこれをプリン
ト方式で置換出来れば、セグメント数の多少に関係な
く、セグメントと接続パターンを一括して一定の工数で
完成できると考え、この「C+R」方式搭載のプリント
平面整流子を発明したのである。
このほか、5コイル5相モータ(第4図)や9コイル
9相モータ(第9図)等は各相に1対の「C+R」を附
加せねばならず、この点3相モータで多ポールのモータ
を作ればコイルが3の倍数であれば「C+R」は3対で
すむこととなる。第8図は第6図に示した12セグメント
の平面整流子が適用できる8−6−12△結線の多ポール
直流電動機の結線図である。このモータにおいては1相
のコイルが直列の2ケのコイルから成り、この1相のコ
イルに1対の「C+R」が挿入されていることは第2図
に示したと同様である。
尚、8−6−12Y結線も第3図(b)に準ずる「C+
R」の挿入方法で可能である。
〔効果の説明〕
前記実施例で説明し主フレームとして記述した技術は
「C+R」方式の火花抑制回路であるが、実はこの発明
のトリガーとなったのはクレーム(4)に記したプリン
ト基板方式の平面整流子の実用化研究の一環として開発
した成果であり、従来技術の火花抑制では「微小出力」
の計器用モータなどにしか用いることのできなかったプ
リント整流子を「C+R」との結合で汎用マイクロモー
タとして実用化できる道を拓いた。更にこの火花抑制回
路機能の応用として、従来技術の火花抑制では「実用で
きないモータ」として捨て去られていた8−9−18結線
方式(特公昭44−4450号)を「C+R」技術との結合と
前記特公昭では示されていない新規のコイル間結線で実
用化の見透しが立ったことは前述の通りである。
【図面の簡単な説明】
第1図は「C+R」を用いた火花抑制の基本回路。 第2図は3相△結線に本発明の「C+R」を附加した模
型図。 第3図は3相Y結線に本発明の「C+R」を附加した模
型図。 第4図は4−5−10方式に本発明の「C+R」を附加し
た結線図。 第5図は異常現象を示すモーターの特性図。 第6図は3相△結線用プリント基板式平面整流子図。 第7図は上記を搭載したモーター電機子の側面図。 第8図は8−6−12△結線モーターに本発明の「C+
R」を附加した結線図。 第9図は8−9−18式結線モーターに本発明の「C+
R」を附加した結線図。 第10図は火花波形を観察する装置の構成図。 第11図は負荷電流と火花電圧の関係を示す図。 第12図は火花電圧の波形図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−22501(JP,A) 特開 昭53−128704(JP,A) 実開 昭51−31004(JP,U) 実開 昭49−54009(JP,U) 実開 昭48−444(JP,U) 実公 昭55−2700(JP,Y1)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】直流抵抗RとコンデンサーCを直列に接続
    した火花抑制回路を有した直流電動機において、前記直
    流抵抗RとコンデンサーCの直列回路を整流が行なわれ
    る電機子コイルに並列に接続し、前記直流抵抗Rの値を
    前記電機子コイルの直流抵抗値とほぼ同じ値にし、前記
    コンデンサーCの容量を0.1μF〜1.0μFにしたことを
    特徴とする直流電動機。
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DE102019112828A1 (de) * 2019-05-16 2020-11-19 Schaeffler Technologies AG & Co. KG Elektromotor und Antrieb mit einem Elektromotor

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