JP2632334B2

JP2632334B2 - 水中用圧電送受波シート

Info

Publication number: JP2632334B2
Application number: JP62326154A
Authority: JP
Inventors: 幸治小倉
Original assignee: Nippon Tokushu Togyo KK
Current assignee: Nippon Tokushu Togyo KK
Priority date: 1987-12-22
Filing date: 1987-12-22
Publication date: 1997-07-23
Anticipated expiration: 2012-07-23
Also published as: JPH01166697A

Description

【発明の詳細な説明】〈産業上の利用分野〉本発明は、海底地震探査機や魚群探知機などのよう
に、水中に音波または超音波を被検知物体に向けて放射
したり、あるいは被検知物体から反射して戻ってくる反
射波を受信する水中用圧電送受波シートに関するもので
ある。

〈従来技術〉ポリ弗化ビニリデン，ポリ弗化ビニール，ポリ塩化ビ
ニリデン，ポリ塩化ビニール，ナイロン等の圧電性有機
物もしくは合成ゴムや合成樹脂の有機物中にチタン酸ジ
ルコン酸鉛，チタン酸鉛等の強酸電セラミック粒子を混
合してなる圧電性有機セラミック複合物等の圧電可撓性
シートは、音響インピーダンスが水の音響インピーダン
スに近似する特性を有し、このため、これを圧電トラン
デューサとして水中を伝播する音響波を受波するのに用
いられる。

これ以外に、圧電磁器板にあっても、圧電トランデュ
ーサとして用いられるものがある。

さらにまた圧電可撓性シート，圧電磁器板は音波また
は超音波を被検知物体に向けて放射する送波器としても
用いられる。

この圧電可撓性シート，圧電磁器板等からなる圧電板
を使用した水中用圧電送受波シートにあって、第４図に
示すように、上下に電極が形成され、かつ厚み方向に分
極された圧電板層b,bを、その分極方向が対向する様に
二枚積層してなる圧電板ａの外周を、断面略矩形状の金
属被覆ｄで覆い、圧電板ａの周縁と、金属被覆ｄの内面
との間に空隙e,eを形成し、かつ表裏面を金属被覆内面
に接触させて構成したものが提案された。尚、前記圧電
板ａは一枚の圧電板層のみによって構成することもでき
る。

かかる構成の圧電受波シートは、これを水中に浸漬し
て、各圧電板層b,bの電極に交番電圧を印加して金属被
覆ｄの主表面から音波または超音波を発振したり、また
は金属被覆ｄの主表面から反射波を捕捉し、電極間から
出力信号を取出して水中を伝播する音響波を受信するよ
うにしている。

〈発明が解決しようとする問題点〉前記構成による圧電板ａは、受波器として使用される
場合にあっては、静水圧力下における音響波を検知する
こととなり、その感度は各圧電板層の圧電定数g_nによっ
て定まる。この圧電定数g_nは次の式により与えられる。

g_n＝g₃₃＋2g₃₁ ここで定数g₃₃は厚み方向（分極方向）の圧力p₁に対
する感度を示し、定数g₃₁は面方向（分極軸に垂直な方
向）の圧力p₂に対する感度を示す。

ところで定数g₃₁は負の値であるため、g_n＜g₃₃とな
り、圧力p₂の影響が強いと、低感度しか得ることができ
ない。

このことは、送波器として使用される場合においても
同じであり、面方向からの水圧により、圧電定数d_nの低
下を招く。

そこで、前記従来構成にあっては、圧電板ａの両側面
と、金属被覆ｄの内面との間に空隙e,eを形成し、外面
方向からの圧力p₂を該空隙e,eの周囲の金属被覆ｄの撓
みにより緩衝し、この圧力成分を緩和する様にしてい
る。

ところが、この力は、金属被覆ｄの各角縁が湾曲して
いるために、金属被覆ｄの上下面の膨隆を生じ、第４図
に示す様に、厚み方向（分極方向）の外方圧力p₃を生じ
る。この圧力は、有効な圧力p₁と逆方向に作用するか
ら、結局厚み方向（分極方向）の圧力を減少させること
となる。

このため、前記従来の構成にあっても、圧力p₂の影響
により見掛けの水中受波感度の低下を生じていた。

本発明は、面方向（分極軸に垂直な方向）の圧力p₂に
よる金属被覆ｄの上下面の外方への膨隆を除去し、受波
感度を向上させ得る水中用圧電送受波シートの提供を目
的とするものである。

〈問題点を解決するための手段〉本発明は、金属被覆の角縁に、外方への膨隆部を形成
したことを特徴とするものである。

〈作用〉前記構成にあって、圧電板の周縁から面方向（分極軸
に垂直な方向）に圧力p₂が作用すると、金属被覆の各角
縁に形成した膨隆部により、上下面は、内方へ膨らもう
とする。このため、前記圧力p₂は、その厚み方向にあっ
て、内方への分力p₄を生ずることとなる。従ってこの圧
力p₄は、反射波による圧力p₁と同方向であるから、受波
感度を向上させる方向で作用することとなる。

〈実施例〉第１〜３図について、１は圧電板であって、合成ゴ
ム，合成樹脂等の有機基材中に、チタン酸ジルコン酸鉛
（Pb(Ti・Zr)O₃），チタン酸鉛（PbTiO₃）等の圧電磁器
粉末を混合した複合材料よりなる圧電可撓性シートや圧
電磁器焼結体からなり、厚み方向に分極された矩形状の
二枚の圧電板層2a,2bをその分極方向が対向する様に、
相互に二枚積層して成る。前記圧電板層2a,2bの表裏は
夫々電極3,4が形成されている。

前記圧電板１の外周には、略矩形状の金属被覆10が該
圧電板１の周縁に空隙11を置いて被覆される。また、金
属被覆10の上下内面は、圧電板１の表裏面に接触してい
る。

この空隙11の上下の角縁全周には、本発明の要部にか
かる図中鋭角状の膨隆部12,12が形成されている。

而て、かかる構成からなる圧電送受波シートにあっ
て、その周縁から圧力p₂がかかると、その力は、厚み方
向にあって、前記膨隆部12,12により、金属被覆10の上
下部を内方に膨らませる分力を生じる。この分力による
圧力p₄（第３図参照）は、金属被覆10が圧電板１の表裏
面に圧接する圧力p₄となり、受波すべき音響波による厚
み方向の圧力p₁と同一方向となり、かかる圧力を補強す
る。従って、受波感度を向上させることとなる。そし
て、かかる厚み方向への圧力波による出力信号は、各圧
電板層2a,2bで、電極3,4間に発生し、この出力の和が図
示しない結線手段により取り出される。

前記実施例に置いて、水中受波感度を従来のものと比
較すると、次表に示す通り、3.6dBの改善向上が認めら
れた。

前記実施例において、膨隆部12,12の形状は、円弧状
等種々適用され、金属被覆10の角縁周囲から膨隆してい
るものであれば良い。

また、圧電板１は二枚の圧電板層2a,2bを積層して構
成したが、一枚または多数枚の圧電板層により構成する
ことができる。

〈発明の効果〉本発明は前記の説明によって明らかにしたように、圧
電板１を被覆する金属被覆10の角縁に膨隆部12,12を形
成したから、該膨隆部12,12が面方向からの力による厚
み方向の分力を該金属被覆10の上下部を内方へ膨隆させ
る力に変換されることとなり、従来の様に、斯かる分力
により受波感度が低下することはなく、かえって、その
感度を向上し得ることとなる等の優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の圧電受波シートの一部切欠
斜視図、第２図は同一部切欠平面図、第３図は同縦断側
面図、第４図は従来構成の縦断側面図である。 1;圧電板 10;金属被覆 11;空隙 12,12;膨隆部

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】上下に電極が形成され、かつ厚み方向に分
極された圧電板の外周を、断面略矩形状の金属被覆で覆
い、圧電板の周縁と、金属被覆の内面との間に空隙を形
成し、かつ圧電板の表裏面を金属被覆内面に接触させた
ものにおいて、金属被覆の角縁に、外方への膨隆部を形成したことを特
徴とする水中用圧電送受波シート。
【請求項２】前記圧電板が圧電可撓性シートであること
を特徴とする特許請求の範囲第１項記載の水中用圧電送
受波シート。
【請求項３】前記圧電板が圧電磁器板であることを特徴
とする特許請求の範囲第１項記載の水中用圧電送受波シ
ート。