JP3005830B2 - 水中用圧電送受波シート - Google Patents

水中用圧電送受波シート

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JP3005830B2
JP3005830B2 JP3358887A JP35888791A JP3005830B2 JP 3005830 B2 JP3005830 B2 JP 3005830B2 JP 3358887 A JP3358887 A JP 3358887A JP 35888791 A JP35888791 A JP 35888791A JP 3005830 B2 JP3005830 B2 JP 3005830B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、海底地震探査機や魚群
探知機などのように、水中に音波または超音波を被検知
物体に向けて放射したり、あるいは被検知物体から反射
して戻ってくる反射波を受信する水中用圧電送受波シー
トに関するものである。
【0002】
【従来の技術】合成ゴム中にチタン酸ジルコン酸鉛,チ
タン酸鉛等の強誘電セラミック粒子を混合してなる圧電
ゴム板は、音響インピーダンスが水の音響インピーダン
スに近似する特性を有し、このため、これを圧電トラン
デューサとして水中を伝播する音響波を受波したり、超
音波を被検知物体に向けて放射する送受波器として用い
られる。
【0003】この圧電ゴム板を使用した水中用圧電送受
波シートの従来構成は、図5に示すように、前記圧電ゴ
ム板aの表裏面に電極b,cを形成し、該電極b,c間
に所定の直流電圧を印加して圧電ゴム板aを厚み方向に
分極し、該圧電ゴム板aをウレタン樹脂等からなるモー
ルド材dで覆って、矩形板状に形成してなり、これを水
中に浸漬して、電極b,cに交番電圧を印加して音波ま
たは超音波を発振したり、電極b,c間から出力信号を
取出して水中を伝播する音響波を受信するようにしてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記構成に
よる圧電ゴム板は、受波器として使用される場合にあっ
ては、静水圧力下における音響波を検知することとな
り、その感度は圧電定数gh によって定まる。このgh
は次の式により与えられる。 gh =g33+2g31 ここで定数g33は厚み方向( 分極方向)の圧力p1 に対
する感度を示し、定数g31は面方向( 分極軸に垂直な方
向)の圧力p2 に対する感度を示す。ところでg31は負
の値であるため、gh <g33となり、前記従来構成にあ
ってはgh の値は、g33の1/2 〜1/3 でしかなく、圧力
2 のために低感度しか得ることができなかった。この
ことは、送波器として使用される場合においても同じで
あり、面方向からの水圧により、圧電定数dh の低下を
生じていた。本発明は、面方向( 分極軸に垂直な方向)
の圧力p2 による影響を可及的に除去することにより、
定数g31を可及的に低下させ、定数gh をg33に近似さ
せて受波感度を向上させ、同じく定数dh を高めて送波
性能を向上させ得る水中用圧電送受波シートの提供を目
的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の水中用圧電送受
波シートは、表裏面に電極が形成され、かつ厚み方向に
分極された圧電ゴム板に、面方向への引張力を付与した
ことを特徴とするものである。
【0006】この引張力を作用させるための手段とし
て、表裏面に電極が形成され、かつ厚み方向に分極され
た圧電ゴム板の外周縁を、剛性枠体で間隔を置いて囲
み、少なくとも該間隔内に熱硬化性樹脂からなるモール
ド材を充填して加熱硬化し、さらに冷却して一体に結合
したものが提案され得る。
【0007】またかかる引張手段を用いたものにあっ
て、剛性枠体内で間隔をおいて圧電ゴム板を配設するこ
とを容易とするために、剛性枠体内に可撓性担持板を面
方向へ張設し、分極を施した圧電ゴム板を少なくともそ
の一面側に貼着して構成したものが提案され得る。
【0008】
【作用】図1で示すように、合成ゴムy中にチタン酸ジ
ルコン酸鉛,チタン酸鉛等の強誘電セラミック粒子zを
混合してなる圧電ゴム板xを面方向へ引張すると、図1
のイの状態から、図1のロのように、強誘電セラミック
粒子zの面方向周囲に合成ゴムyとの間で隙間sを生ず
る。このような状態を維持したままで、圧電ゴム板xの
周囲から静水圧等により周方向から圧力p2 が作用する
と、前記隙間sにより、該圧力p2 が緩和されて強誘電
セラミック粒子zに作用し、このため見掛け上、圧電定
数d31及び圧電定数g31が小さくなる。
【0009】この引張力を作用させる手段として、上述
のように、圧電ゴム板の外周縁を、剛性枠体で間隔を置
いて囲み、該間隔内にモールド材を充填し、高温化して
熱膨張させ、さらに温度を低下させて熱収縮させると、
この収縮工程により、前記剛性枠体の内周面と圧電ゴム
板の外周面間のモールド材は収縮方向へ緊張し、このた
め、その収縮力が圧電ゴム板の外周を外方へ引張する力
となって、該圧電ゴム板に面方向への引張力として作用
することとなる。
【0010】
【実施例】添付図面について本発明の一実施例を説明す
る。図2,3について、2は合成ゴム中に、チタン酸ジ
ルコン酸鉛(Pb(Ti・Zr)O3 ),チタン酸鉛
(PbTiO3 )等の圧電磁器粉末を混合した矩形状の
圧電ゴム板であって、厚み方向に分極され、その表裏面
には電極3,3が形成され、リード線4,4により電極
3,3間から信号を取出し得るようにしている。
【0011】前記圧電ゴム板1の外周縁には、該圧電ゴ
ム板1よりも厚が大きい矩形状剛性枠体10が矩形間隔
11を置いて遊嵌される。前記矩形状剛性枠体10は、
金属あるいはプラスチック等の剛性の高い(バネ定数の
大きい)材料を使用する。
【0012】次に、剛性枠体10の内側にはエポキシ樹
脂,ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂からなるモールド材
12を、前記圧電ゴム板2を囲繞して剛性枠体10とほ
ぼ等しい肉厚となるように図3のイのように充填する。
そしてこのモールド材12を加熱し、図3のロのように
熱膨張した状態で硬化させる。そしてさらに、常温で温
度硬化させて、モールド材12を収縮させ、図3のハの
ようにする。この収縮工程により、前記剛性枠体10の
内周面と圧電ゴム板2の周面間の間隔11内のモールド
材12は、矢線のように収縮方向へ緊張しこのため、そ
の収縮力が圧電ゴム板2の外周を外方へ引張する力とな
って、該圧電ゴム板2に面方向への引張力として作用す
ることとなる。このため、図1で示したように、合成ゴ
ムy中の強誘電セラミック粒子zの面方向の周囲には合
成ゴムyとの間で間隙sを生じることとなり、見掛け
上、圧電定数d31及び圧電定数g31が小さくなる。尚、
モールド材12は、前記間隔11内にのみ充填して、剛
性枠体10の内周面と圧電ゴム板2の周縁部とを架橋
し、前記圧電ゴム板1の主表裏面を露出するようにして
も良い。
【0013】而して、前記水中用圧電送受波シート1が
構成され、水中にあってその周囲から圧力p2 が作用し
た場合にあって、前記間隙sによる圧電定数d31及び圧
電定数g31が零に近似し、前記剛性枠体10による抗圧
作用により、該圧力p2 による影響を除去でき、厚み方
向( 分極方向)の圧力p1 に対する感度(圧電定数d33
又はg33)が相対的に高まり、定数gh が向上して高感
度となるとともに、送波にあっては定数dh が高まって
送波性能が向上する。
【0014】実験によれば、静水圧等により周方向から
の圧力p2 によるノイズが低減され、出力の変動が従来
構成のものが3.1dBであったのが、1.5dBに低
減された。また、受波感度も4〜7dB向上した。
【0015】図4は、上述のように剛性枠体10内に圧
電ゴム板2を間隔11を生じさせて配設することを容易
とするものであって、前記剛性枠体10の内部にその周
縁を剛性枠体10の内周面に固定して、ガラス繊維、カ
ーボン繊維、アラミド繊維等からなる可撓性担持板20
を面方向へ張設し、その表裏面に厚み方向に分極され、
その表裏面には電極3,3が形成された圧電ゴム板2
a,2bを貼着したものである。そして可撓性担持板2
0により圧電ゴム板2a,2bを保持し、さらに剛性枠
体10内に図3と同様にモールド材12を充填し、加熱
して硬化させ、さらにこれを常温で冷却して水中用圧電
送受波シート1を構成したものであって、上述と同様の
作用効果を奏するものである。尚、前記可撓性担持板2
0の一面側にのみ、圧電ゴム板を配設するようにしても
良い。
【0016】
【発明の効果】本発明は上述の説明によって明らかにし
たように、圧電ゴム板xを面方向へ引張させて、合成ゴ
ムy中の強誘電セラミック粒子zの面方向の周部に間隙
sを生じさせて水中用圧電送受波シートを構成したか
ら、水中用圧電送受波シートの周縁に面方向の圧力が作
用しても、これが減殺され、このため見掛け上、圧電定
数d31,g31が低減し、圧電定数gh が向上して、高感
度となるとともに、送波にあっては定数dh が高まって
送波性能が向上する優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】圧電ゴム板xの面方向への引張による作用を示
す縦断側面図である。
【図2】水中用圧電送受波シート1の分離斜視図であ
る。
【図3】水中用圧電送受波シート1のモールド材12の
充填と、加熱及び冷却工程を示す縦断側面図である。
【図4】剛性枠体10の内部に可撓性担持板20を張設
した水中用圧電送受波シート1を示す縦断側面図であ
る。
【図5】従来構成の縦断側面図である。
【符号の説明】
1 水中用圧電送受波シート 2 圧電ゴム板 10 剛性枠体 11 間隔 12 モールド材 20 可撓性担持板 x 圧電ゴム板 y 合成ゴム z 強誘電セラミック粒子 s 間隙
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04R 17/00 330 G01S 7/521 H04R 1/44 330

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表裏面に電極が形成され、かつ厚み方向
    に分極された圧電ゴム板に、面方向への引張力を付与し
    たことを特徴とする水中用圧電送受波シート。
  2. 【請求項2】 表裏面に電極が形成され、かつ厚み方向
    に分極された圧電ゴム板の外周縁を、剛性枠体で間隔を
    置いて囲み、少なくとも該間隔内に熱硬化性樹脂からな
    るモールド材を充填して加熱硬化し、さらに冷却して一
    体に結合したことを特徴とする水中用圧電送受波シー
    ト。
  3. 【請求項3】 剛性枠体内に可撓性担持板を面方向へ張
    設し、該可撓性担持板の少なくとも一面側に、表裏面に
    電極が形成され、かつ厚み方向に分極された圧電ゴム板
    を貼着し、剛性枠体内に熱硬化性樹脂からなるモールド
    材を充填して加熱硬化し、さらに冷却して一体に結合し
    たことを特徴とする水中用圧電送受波シート。
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JP5546978B2 (ja) * 2010-07-16 2014-07-09 Necトーキン株式会社 水中用送受波器及びその製造方法
JP5691410B2 (ja) * 2010-11-01 2015-04-01 日本電気株式会社 発振装置

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