JP2630728B2 - 船倉のパネル式断熱工法 - Google Patents

船倉のパネル式断熱工法

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JP2630728B2
JP2630728B2 JP5229035A JP22903593A JP2630728B2 JP 2630728 B2 JP2630728 B2 JP 2630728B2 JP 5229035 A JP5229035 A JP 5229035A JP 22903593 A JP22903593 A JP 22903593A JP 2630728 B2 JP2630728 B2 JP 2630728B2
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良昭 井上
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INOE REINETSU KK
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、船倉の断熱工法に関す
る。
【0002】
【従来の技術とその問題点】例えば、冷凍船の船倉は、
高い断熱性を持った壁構造とすることが要求される、従
来、その断熱壁は、室形成用の板材と船倉の構成部材
(床及び天井ならデッキ、側壁なら船側外板又は隔壁)
との間にグラスウール、ウレタンフォーム等を充填して
形成していた。しかしながら、この方法では、デッキか
ら突出した梁やガーダー等を埋める分の厚さでグラスウ
ールを設置していたので、場所によりグラスウールの厚
さが異なっていた。また、側壁は、船殻から船内へ突出
するフレームに根太を設け、これにベニヤ板等の板材を
固定して形成していたので、フレームを通じた船外から
の熱伝導量が大きかった。これらの結果、断熱性の場所
によるバラツキが大きく正確な断熱設計が困難であり、
十分な断熱を得ようとすると、過度な断熱施工をせざる
を得ないという問題があった。また、この断熱設計の困
難さ故に適切な施工には高い技術力と経験の積重ねを要
していた。さらに、グラスウールを多量に設置する必要
があるため、施工に多大の時間と手間を要し、作業環境
も悪くなりがちであるという問題もあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来の問題を解決し、断熱設計を容易に正確に行なうこ
とができ必要十分な断熱施工を可能とし、施工の時間と
手間とが軽減され作業環境の点でも良好な断熱工法を提
供することを目的とする。
【0004】
【課題を達成するための手段】本発明の前記目的は、デ
ッキにより複数の階層に仕切られた船倉を断熱施工する
工法であって、デッキ下側に防熱パネルを吊り下げ固定
して防熱天井を形成し、船殻側壁の内側においては該側
壁に沿うフレーム又はデッキに対し防熱パネルを鉛直方
向に立設固定して側壁を形成し、最下段の階層の床面に
防熱パネルを敷き、船倉における前記船殻側壁、垂直な
パネル及びデッキに囲まれた部分においては該デッキ下
面並びに船殻側壁の上部及びパナル上部に断熱層を設
け、前記デッキとデッキ下方に形成された天井との間の
空間における前記船殻側壁近傍部分には断熱材を充填す
ことを特徴とする船倉のパネル式断熱工法により達成
される。
【0005】
【実施例】以下、本発明の実施例につき添付図面を参照
しつつ説明する。図1は、本願発明工法により断熱処理
された冷凍室を有する船体の横断端面図を示している。
図示の船倉部分は、船殻の底部A、船側外板B、暴露甲
板Cに囲まれ、デッキDにより4層に分割されている。
各層は、以下に詳述する天井2、側壁3、床4を備えて
いる。図2は、図1に示す部分の拡大図であり、船側外
板に沿って延びるフレームF、船側から水平に延びる梁
Gが示されており、これらに防熱パネル及び断熱材によ
る断熱施工がなされている。防熱パネル10は、例えば
図3に示すように、木製合板、金属板、強化プラスチッ
ク板等の板材11の間に発泡ウレタン12を充填したも
のとされるが、これに限らず、種々の断熱性パネルを使
用することができる。図示の例においては、デッキDに
より分割された船倉の内、各階層の船殻側壁の内側、最
下段の階層の床、並びに下から2段目及び最上段の階層
の天井に、各々防熱パネルによる断熱施工がなされてい
る。
【0006】図1におけるT1の箇所において防熱天井
を構成する防熱パネル10は、梁Gに対し天井レール2
0及び取付け金具30を装着し、これに支持されてい
る。その詳細を図3に示す。天井レール20は、図3に
示すように、断面U字形をしており、デッキの下面に沿
って延びる梁Gに支持支柱21を溶接して固定し、その
下端に溶接され、水平に支持される。取付け金具30
は、図7に示すアンカー部材31と、係止部材32と、
これらを結合するボルト33及びナット34とを備えて
いる。アンカー部材31は、防熱パネル10内に埋設さ
れ、板材11内面に接しボルト通し孔を有した上部31
0と、上部から下方へ延びた後両側へ延びる翼部311
とを備え、上部310の下面にはナット34が溶接され
ている。係止部材32は、水平部320と、該水平部か
ら垂直に立上がった垂直部321と、該垂直部の上端で
天井レール20上端縁に係止するフック部322とを備
えている。これらは、図3のように組み立てられボルト
33により固定される。この例では、防熱パネル10と
天井レール20及び取付け金具30との間にゴムシート
35を介在させて振動、傷及び滑りの防止を図ってい
る。
【0007】図1におけるT2の箇所において防熱天井
を構成する箇所では、2枚の防熱パネルが高さを違えて
支持されており、図4に示すように、梁Gに固定された
天井レール20に対し、垂直部321の長さの異なる取
付け金具32を装着し、これに支持されている。他の構
成は、図3の例と同様である。
【0008】図1におけるT3の箇所において防熱天井
を構成する箇所では、デッキDから垂下するガーダーH
に対して防熱パネル10が支持されている。ここでは、
図5に示すように、取付け金具30は、防熱パネルに埋
設されたアンカー部材31と、ガーダーHに取付けられ
る係止部材36とを備えている。アンカー部材31は、
前述のものと同様である。係止部材36は、ガーダーH
に係止され水平に延びる上部360と、ボルト33によ
りアンカー部材31に取付けられ水平に延びる下部36
1と、これらを結合する垂直部362とを備え、ボルト
33の締結により、上部360と下部361とによりガ
ーダーHを挾持している。
【0009】側壁を構成する防熱パネル10は、図2の
上部に示す箇所では、船殻のフレームFに溶接により固
定した断面U字形の水平レール40に、取付け金具50
を介して支持されている。取付け金具50は、水平レー
ル40に係止する垂直部と防熱パネル10にねじ止めさ
れる垂直部とこれらを結合する中間部とを有し、ねじの
締結により水平レール40を挾持している。防熱パネル
10における取付け金具50を支持する部分には、前述
のアンカー部材31が埋設されている。図2の下部に示
す箇所では、鉛直方向に延びる柱体60を船殻に立設
し、これに水平レール40を取付け、該レールに取付け
金具50を介して防熱パネル10を支持している。柱体
60は、下端を船殻に沿うフレームF又はデッキ上に溶
接し、上端は図示のように梁Gに溶接している。
【0010】図6は、平面視において緩やかな曲面をな
す船殻の箇所に防熱パネル10で側壁を構成した例を示
している。ここでは、隣り合う防熱パネル10の結合部
の隙間を鋼板70、70で覆って連続面とし、間の空隙
にはグラスウール80等を充填している。また、隣り合
う水平レール40も結合プレート90で結合して支持強
度を高めている。
【0011】これらの結果、船側外板Bの傾斜した面に
拘らず、断熱室は図1に示すように、垂直な壁に囲まれ
た形態となる。図2に示すように、船側外板Bと垂直な
防熱パネル10との間における天井面付近には、発泡ウ
レタンの吹き付けや断熱材の貼付け等により断熱層10
0が形成される。また、熱伝導の比較的多い船殻に近い
デッキDと天井の防熱パネル10との間の部分には、グ
ラスウール101等の断熱材が充填され、熱伝導が防止
されている。
【0012】図1に示すように、断熱室は、多数の防熱
パネル10により形成されており、これらのパネルは図
8に示すように、側端面同志をジョイントファスナ11
0により堅固に結合されている。図9は、このジョイン
トファスナ110を分離した状態を示している。このジ
ョイントファスナ110は、防熱パネル10の相互に向
き合う側端面の側フレーム13から各々パネル内方へ延
びる係合部111、112と、これらを各々パネル内に
強固に固定するためのアンカプレート113、113と
を備えている。一方の係合部111は、直方体形状の枠
体の内部に回動可能に支持され側フレーム13外へ突出
したフック115と、これを後方(図8及び図9の右
方)へ引くための回動部116とを備えている。他方の
係合部112は、フック115に係合する水平に延びる
ピン117を備えている。防熱パネル10同志の結合に
は、このジョイントファスナ110に限らず、種々の手
段を適用することができる。
【0013】最下段の階層の床面にも、防熱パネル10
が敷かれている。この例では、他のデッキの床面には防
熱パネルが敷かれていない。これは、中間に位置するデ
ッキDの内、真中のデッキDの下方にのみ防熱天井を形
成して船倉を上下2つの断熱室に仕切り、各々の断熱室
は2つの階層で構成するようにしたことによる。尤も、
真中のデッキの床面にも防熱パネル10を敷いて、より
よい断熱効果を得ることもできる。この他、1つの階
層、或いは3つ以上の階層で1つの断熱室を形成するこ
ともできる。
【0014】各階層の床面又はその上の防熱パネル10
には、根太を介して床板120が敷かれる。この根太に
より床板の下側に形成される空間には、冷風が送り込ま
れ、床板に設けられた多数の孔から冷風が噴き上がり、
室内を冷却する。
【0015】
【発明の効果】本発明に係る船倉のパネル式断熱工法に
おいては、デッキ下側に防熱パネルを吊下げ固定して防
熱天井を形成し、船殻側壁の内側においては該側壁に沿
うフレーム又はデッキに対して防熱パネルを鉛直方向に
立設固定して側壁を形成することにより断熱室を形成す
るので、デッキから突出した梁やガーダー等の存在に関
係なく防熱パネルによる均一な厚さの断熱壁が得られ
る。また、側壁は、傾斜した船側に対しても鉛直方向に
設けられるので、積み荷を安定的に収容することがで
き、従来のように傾斜面に対し別個の垂直壁形成部材
(荷崩れ防止装置)を固設する必要がない。また船側外
板に対して垂直壁を独立して設けるので、船側からの伝
熱を防止することができる。このように、均一厚さの断
熱壁と優れた断熱性とにより、断熱室全体の断熱特性を
正確に把握することが可能となり、その結果船倉の断熱
設計を容易に且つ精度よく行なうことができ、必要十分
な断熱施工が可能となる。また、施工はパネルの設置に
よりほとんどの部分を形成できるので、簡単にして迅速
であり、グラスウールを多用する場合のような作業環境
の悪化もない。
【0016】また、船体のデッキや船側と防熱パネルと
の間にパネル取り付けのためのスペースができるので、
このスペースを利用して電線や各種配管等の施工をする
ことができる。特に、防熱パネルをデッキや船側に取付
ける前にその施工を行なうことができるので有利であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明工法により断熱処理された冷凍室を有
する船体の横断端面図である。
【図2】図1に示す部分の一部を詳細に示す横断端面図
である。
【図3】図1の部分における天井を形成する防熱パネル
の支持部を詳細に示す横断面図である。
【図4】図1の部分における天井を形成する防熱パネル
の他の支持部を詳細に示す横断面図である。
【図5】図1の部分における天井を形成する防熱パネル
のさらに他の支持部を詳細に示す横断面図である。
【図6】図1の部分における側壁を形成する防熱パネル
の支持部を詳細に示す水平断面図である。
【図7】防熱パネルに埋設される取付け金具の1例を示
す正面図である。
【図8】防熱パネル同志の結合部を示す断面図である。
【図9】図8の結合部を分離状態で示す正面図である。
【符号の説明】 A 船殻の底部 B 船側外板 C 暴露甲板 D デッキ F フレーム G 梁 H ガーダー 2 天井 3 側壁 4 床 10 防熱パネル 11 板材 12 ウレタン 20 天井レール 21 支持支柱 30 取付け金具 31 アンカー部材 32 係止部材 36 係止部材 40 水平レール 50 取付け金具 60 柱体 100 断熱層

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 デッキにより複数の階層に仕切られた船
    倉を断熱施工する工法であって、デッキ下側に防熱パネ
    ルを吊り下げ固定して防熱天井を形成し、船殻側壁の内
    側においては該側壁に沿うフレーム又はデッキに対し防
    熱パネルを鉛直方向に立設固定して側壁を形成し、最下
    段の階層の床面に防熱パネルを敷き、船倉における前記
    船殻側壁、垂直なパネル及びデッキに囲まれた部分にお
    いては該デッキ下面並びに船殻側壁の上部及びパネル上
    部に断熱層を設け、前記デッキとデッキ下方に形成され
    た天井との間の空間における前記船殻側壁近傍部分には
    断熱材を充填することを特徴とする船倉のパネル式断熱
    工法。
  2. 【請求項2】 船殻の側壁内側においてデッキから垂直
    に延びる柱体を立設し該柱体に防熱パネルを固定して側
    壁を形成することを特徴とする請求項1に記載の船倉の
    パネル式断熱工法。
  3. 【請求項3】 船殻のデッキ下側において水平に天井レ
    ールを設置し、該天井レールに防熱パネルを固定して防
    熱天井を形成することを特徴とする請求項1又は2に記
    載の船倉のパネル式断熱工法。
JP5229035A 1993-09-14 1993-09-14 船倉のパネル式断熱工法 Expired - Lifetime JP2630728B2 (ja)

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