JP2621715B2 - 樹脂コーティング装置 - Google Patents

樹脂コーティング装置

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JP2621715B2
JP2621715B2 JP3302622A JP30262291A JP2621715B2 JP 2621715 B2 JP2621715 B2 JP 2621715B2 JP 3302622 A JP3302622 A JP 3302622A JP 30262291 A JP30262291 A JP 30262291A JP 2621715 B2 JP2621715 B2 JP 2621715B2
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roll
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applicator roll
coating
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肇 小林
幸夫 伊藤
輝之男 三輪
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、樹脂コーティング装置
に関し、とくに繊維強化複合材料用のプリプレグの製造
に用いられる樹脂担持離型シート作製のための樹脂コー
ティング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】繊維強化複合材料の成形に用いられるシ
ート状プリプレグは、従来たとえば図3に示すように、
少なくとも一方が一面に樹脂(たとえばB−ステージの
熱硬化性樹脂)を担持した2枚の離型シート1、3間に
シート状に配列された強化繊維2を挟持し、たとえばプ
レスロール4で加圧、加熱し強化繊維2に樹脂を転移、
含浸させてプリプレグ5を作成し、一方の離型シート3
を剥離してプリプレグ5を他方の離型シート1とともに
ロ―ル状に巻取る方法によって製造されている。このよ
うな方法で製造されたプリプレグは、使用時にその片面
から離型シートが剥離され、必要に応じて複数枚同方向
又は異方向に積層され、繊維強化複合材料の成形に供さ
れる。
【0003】このようなプリプレグの製造に使用される
樹脂担持離型シートは、たとえば図4に示すようなリバ
ースロール方式のコーティング装置によって作製されて
いる。図4において、ブロック状の樹脂36は、メルタと
しての加熱ロ―ル35により溶融され、溶融された樹脂37
は、落下してアプリケータロール33とメタリングロール
38との間に樹脂溜り34を形成する。この樹脂溜り34中の
溶融樹脂が、アプリケータロール33とメタリングロール
38との間隙部で計量されながら定量づつアプリケータロ
ール33の回転に伴って送り出される。送り出された溶融
樹脂は、アプリケータロール33の表面上から、コーティ
ングロール32上を搬送される離型シート31上へと転移さ
れ、樹脂担持離型シート39が作製される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようなコーティング装置においては、以下のような問題
がある。加熱ロール35で溶融された溶融樹脂37は、落下
の途中で冷却されて樹脂溜り34に入るため、樹脂溜り34
の溶融樹脂に温度むらが生じ、それが離型シート31上へ
の樹脂のコーティングむらの原因となる。また、リバー
スロール方式のコーティング装置では、アプリケータロ
ール33およびメタリングロール38が図4の矢印の方向に
回転するので、両ロールの回転に伴って樹脂溜り34の溶
融樹脂は矢印の方向に回転される。このため、冷却され
て落下してきた溶融樹脂37は、樹脂溜り34で充分に混合
されずに、短絡的にアプリケータロール33上に供給され
てしまい、それが離型シート31のシート長手方向にすじ
状に延びるコーティングむらを生じさせることがある。
これらの問題は、とくに樹脂の粘度が高い場合に顕著に
なる。
【0005】上記のようなコーティングむらを抑えるた
めに、特開昭60−179205号公報に、樹脂溜りを
撹拌するようにした装置が開示されているが、単に樹脂
溜りを撹拌するだけでは、とくに高粘度樹脂に対し満足
できるだけのコーティングむら発生防止効果が得られな
い。とくに樹脂溜り34は図4の矢印の方向に回転するの
で、単なる撹拌のみでは、温度の低下した溶融樹脂37が
短絡的にアプリケータロール33上に供給されてしまうこ
とを防止し切れない。
【0006】本発明は、リバースロール方式のコータに
よる離型シートへの溶融樹脂コーティング装置におい
て、樹脂が高粘度である場合にもコーティングむらの発
生を確実に防止することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この目的に沿う本発明の
樹脂コ―ティング装置は、溶融樹脂供給手段からの溶融
樹脂を、対向配置されたメタリングロールとアプリケー
タロールとの間に供給して両ロール間に樹脂溜りを形成
し、該樹脂溜りの溶融樹脂を、前記両ロ―ル間を通して
定量づつ送り出して前記アプリケータロール上に担持
し、該担持された溶融樹脂を、アプリケータロール上か
ら、コーティングロール上を搬送される離型シート上に
転移させるようにしたリバースロール方式の樹脂コーテ
ィング装置において、前記樹脂溜りが形成される部位
に、メタリングロールおよびアプリケータロールの長手
方向に延びる、前記樹脂溜りを少なくともメタリングロ
ール側部分とアプリケータロール側部分との二つの部分
に分割する手段を、溶融樹脂がメタリングロール側部分
からアプリケータロール側部分へ流動可能に設け、前記
溶融樹脂供給手段からの溶融樹脂を前記メタリングロー
ル側部分に導入するとともに、少なくともメタリングロ
ール側部分には、該メタリングロール側部分の溶融樹脂
を撹拌する手段を設けたものからなる。
【0008】本発明のコーティング装置は、前述した、
いわゆるリバースロール方式のコーティング装置であ
り、コーティングロール上に離型シートを巻きつけ、コ
ーティングロールの回転に伴い、コーティングロール表
面とともに離型シートを連続的に走行させ、コーティン
グロールと平行に対向配置され、コーティングロールと
は逆方向に回転されるアプリケータロール上に溶融樹脂
を供給し、該溶融樹脂を離型シート表面上に転移させて
コーティングするものである。溶融樹脂は溶融樹脂供給
手段から供給され、平行に対向配置されたアプリケータ
ロールとメタリングロールとの間に溶融樹脂の樹脂溜り
が形成される。樹脂溜りの溶融樹脂は、アプリケータロ
ールの回転に伴いアプリケータロールとメタリングロー
ルとの間を通して所定量づつ送り出される。このコーテ
ィング装置の型式は、リバ―スロ―ル方式である限り特
に限定されない。
【0009】本発明で用いられる離型シートは、離型
紙、たとえば厚み0.05〜0.2 mm程度のクラフト紙、ロー
ル紙、グラシン紙などの紙の両面に、クレー、澱粉、ポ
リエチレン、ポリビニルアルコールなどの目止剤の塗布
層を設け、さらにその各塗布層の上にシリコーン系また
は非シリコーン系の離型剤、好ましくはポリジメチルシ
ロキサンとポリジメチルハイドロジエンシロキサンとの
縮合反応型または付加反応型シリコーンからなる離型剤
を塗布したようなものである。コロナ放電処理などによ
って離型性を付与した合成樹脂フィルムや、離型剤を塗
布した合成樹脂フィルムを使用することもできる(たと
えばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィル
ム)。
【0010】本発明においては、コーティングされる樹
脂が、とくにコーティング時の溶融粘度で300 ポイズ以
上のような高粘度樹脂である場合、顕著な効果が得られ
る。しかし上記粘度よりも低い粘度の樹脂であっても、
勿論本発明の適用は可能であり、コーティングむらの一
層の抑制、コーティング厚み制御精度の向上等の効果が
得られる。
【0011】本発明で得られる樹脂担持離型シートが、
プリプレグ作製用に用いられるものである場合、高粘度
コーティング樹脂は、とくに、強化繊維に2段又はそれ
以上の複数段、樹脂が転移、含浸される場合に要求され
る。たとえば、強化繊維に樹脂を転移、含浸させて一次
プリプレグを作製し、この一次プリプレグに、樹脂と、
該樹脂とは異なる他の樹脂を素材とする微粒子との混合
物とからなる樹脂を転移、含浸させて二次プリプレグを
作製することにより、プリプレグとしての優れた粘着
性、柔軟性を確保しつつ複合材料としたときに優れた層
間強度、層間靱性を発揮できるプリプレグが得られる
が、上記微粒子を離型シート上の樹脂担持状態にて所望
の分散状態に保持することが要求されるため、該微粒子
と混合される樹脂にはあるレベル以上の粘度が要求され
る。たとえば、コーティング時溶融粘度で300 ポイズ以
上(たとえば300 〜800 ポイズ)の高粘度が要求され
る。この微粒子と混合される樹脂は、上記プリプレグの
作製においては一次プリプレグ作製用の樹脂でもあるか
ら、結局上記のようなプリプレグ作製においては一次プ
リプレグ作製用の樹脂担持離型シートにも、高粘度の溶
融樹脂をコーティングしなければならない。
【0012】上記のようなプリプレグ作製用に用いられ
る離型シートにコーティングされる樹脂としては、熱硬
化性樹脂や、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を混合した樹
脂が挙げられる。好ましい熱硬化性樹脂としては、エポ
キシ樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂、アセチレ
ン末端を有する樹脂、ビニル末端を有する樹脂、アリル
末端を有する樹脂、ナジック酸末端を有する樹脂、シア
ン酸エステル末端を有する樹脂があげられる。これら
は、一般に硬化剤や硬化触媒と組合せて用いることがで
きる。また、適宜、これらの熱硬化性樹脂を混合して用
いることも可能である。
【0013】また、プリプレグ作製に適した熱硬化性樹
脂としてエポキシ樹脂が用いられる。特に、アミン類、
フェノール類、炭素炭素二重結合を有する化合物を前駆
体とするエポキシ樹脂が好ましい。具体的には、アミン
類を前駆体とするエポキシ樹脂として、テトラグリシジ
ルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−p−ア
ミノフェノール、トリグリシジル−m−アミノフェノー
ル、トリグリシジルアミノフレゾールの各種異性体、フ
ェノール類を前駆体とするエポキシ樹脂として、ビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキ
シ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノール
ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エ
ポキシ樹脂、炭素炭素二重結合を有する化合物を前駆体
とするエポキシ樹脂としては脂環式エポキシ樹脂等が、
あげられるが、これに限定されない。またこれらのエポ
キシ樹脂をブロム化したブロム化エポキシ樹脂も用いら
れる。テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンに代
表される芳香族アミンを前駆体とするエポキシ樹脂は耐
熱性が良好で強化繊維との接着性が良好なため、前述の
如きプリプレグ作製に最も適している。これらエポキシ
樹脂はエポキシ硬化剤と組合せて、好ましく用いられ
る。エポキシ硬化剤はエポキシ基と反応しうる活性基を
有する化合物であればこれを用いることができる。
【0014】さらに、上記の熱硬化性樹脂に熱可塑性樹
脂を混合して用いることも好適である。混合される熱可
塑性樹脂は、主鎖に、炭素炭素結合、アミド結合、イミ
ド結合、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結
合、ウレタン結合、尿素結合、チオエーテル結合、スル
ホン結合、イミダゾール結合、カルボニル結合から選ば
れる結合を有する熱可塑性樹脂であり、より好ましく
は、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリアラミド、ポ
リエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフ
ィド、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド、ポリエー
テルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポ
リエーテルエーテルケトンのようなエンジニアニングプ
ラスチックに属する熱可塑性樹脂の一群である。特に、
ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリ
エーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトンは耐熱
性に優れるので樹脂の一成分として最適である。
【0015】樹脂と混合される前記微粒子として熱硬化
性樹脂、熱可塑性樹脂、さらには両者の混合樹脂が使用
できる。
【0016】微粒子として用いる好ましい熱硬化性樹脂
としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリ
エステル樹脂、アミノ樹脂、アリル樹脂、シリコーン樹
脂、ウレタン樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂、
アセチレン末端を有する樹脂、ビニル末端を有する樹
脂、アリル末端を有する樹脂、ナジック酸末端を有する
樹脂、シアン酸エステル末端を有する樹脂があげられ
る。市販品として入手可能な熱硬化性樹脂微粒子として
は、たとえば、東レ(株)製エポキシ樹脂“トレパー
ル”EP−B、鐘紡(株)製フェノール樹脂“ベルパー
ル”R−800 などが挙げられる。また、微粒子を市販品
として入手することができない場合でも上記の樹脂を粉
砕することにより微粒子化することが可能であるし、さ
らに分級することにより希望の粒子径の範囲のものだけ
を使用することができる。
【0017】微粒子として熱可塑性樹脂を用いることも
できる。好適な熱可塑性樹脂としては、主鎖に、炭素炭
素結合、アミド結合、イミド結合、エステル結合、エー
テル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、尿素結
合、チオエーテル結合、スルホン結合、イミダゾール結
合、カルボニル結合から選ばれる結合を有する熱可塑性
樹脂であるが、分子内に部分的架橋構造を有するもので
もさしつかえない。具体的には、ポリアクリレート、ポ
リ酢酸ビニル、ポリスチロールに代表されるビニル系樹
脂、ポリアミド、ポリアラミド、ポリエステル、ポリア
セタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシ
ド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリ
ベンズイミダゾール、ポリイミド、ポリアミドイミド、
ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスル
ホン、ポリエーテルエーテルケトンのようなエンジニア
リングプラスチックに属する熱可塑性樹脂、ポリエチレ
ン、ポリプロピレンに代表される炭化水素系樹脂、酢酸
セルロース、酪酸セルロースに代表されるセルロース誘
導体が挙げられる。特に、ポリアミド、ポリカーボネー
ト、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリフ
ェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエステル、
ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、
ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエ
ーテルケトン、ポリアラミド、ポリベンゾイミダゾール
は耐衝撃性に優れるので、微粒子の素材として適してい
る。この中でもポリアミドの靱性は特に優れており非晶
質透明ナイロンに属するものを使用することにより耐熱
性をも兼ね備えることができる。市販品として入手可能
な熱可塑性樹脂微粒子としては、例えば、東レ(株)製
ナイロン12微粒子SP−500 、日本合成ゴム(株)製ア
クリル系微粒子MP−1000などが挙げられる。また、微
粒子を市販品として入手することができない場合でも上
記の樹脂を粉砕することにより微粒子化することが可能
であるし、さらに分級することにより希望の粒子径の範
囲のものだけを使用することができる。
【0018】微粒子として、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹
脂の混合物を用いることも好適である。その際の好適な
熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂は上述と同一である。例え
ばフェノール樹脂とナイロン樹脂との混合物とすればナ
イロン樹脂の靱性を維持したままナイロン樹脂の吸水率
を低下させてガラス点転移温度を上げるため耐熱耐水性
に優れた粒子成分とすることができる。
【0019】上記の如き、樹脂又は樹脂と微粒子との混
合樹脂が、比較的高粘度の溶融樹脂として溶融樹脂供給
手段から供給され、アプリケータロールとメタリングロ
ールとの間に樹脂溜りが形成される。樹脂溜りは、アプ
リケータロールおよびメタリングロールの長手方向に延
びる仕切板等からなる分割手段により、少なくともアプ
リケータロール側部分とメタリングロール側部分との二
つの部分に分割され、溶融樹脂供給手段からの溶融樹脂
はメタリングロール側部分に供給される。分割手段は、
溶融樹脂がメタリングロール側部分からアプリケータロ
ール側部分に、たとえばオーバフローにより流動できる
ように構成される。
【0020】樹脂溜りの少なくともメタリングロール側
部分に対して、該メタリングロール側部分を撹拌する手
段が設けられる。勿論、アプリケータロール側部分に対
しても、同様に撹拌手段を設けることが好ましい。この
メタリングロール側部分の撹拌は、溶融樹脂供給手段か
ら供給されてきた溶融樹脂と、樹脂溜りのメタリングロ
ール側部分中の樹脂とを混合して温度を均一化すること
が目的であるので、この目的を達成できるものであれ
ば、撹拌手段の形式は特に問わない。たとえば、樹脂溜
り内を、メタリングロールの長手方向にヘラ状のものを
往復動させる手段、樹脂溜り内にハスバ歯車や羽根付き
ロールを設けてそれを回転させる手段がある。アプリケ
ータロール部分に対して撹拌手段を設ける場合にも、同
様の手段でよく、メタリングロール部分に対する撹拌手
段とアプリケータロール部分に対する撹拌手段とを同一
駆動手段により同時駆動してもよい。
【0021】メタリングロール側部分の溶融樹脂は、溶
融樹脂供給手段からの溶融樹脂供給量が増えるにつれて
その量が増大し、オーバフロー等により分割手段(たと
えば仕切板)を越えてアプリケータロール側に流動し、
樹脂溜りのアプリケータロール側部分を形成する。溶融
樹脂供給手段から供給されてくる溶融樹脂は、その途中
で冷やされるが、撹拌手段による撹拌、混合により樹脂
溜りのメタリングロール側部分で溶融樹脂の温度が十分
に均一化され、温度の均一化された溶融樹脂が樹脂溜り
のアプリケータロール側部分を形成する。また、溶融樹
脂供給手段からの溶融樹脂は、アプリケータロール側部
分に至る前に一時的にメタリングロール側部分に滞留
し、そこで撹拌、混合されることになるので、温度の低
下した溶融樹脂が短絡的にアプリケータロール表面部に
供給されることはない。したがって、樹脂溜りのアプリ
ケータロール側部分には、所定温度でかつ、十分に温度
が均一化された溶融樹脂が供給される。このアプリケー
タロール側部分についても撹拌すれば、この部分でもさ
らに温度の均一化をはかることができるとともに、樹脂
の滞留を防止できるので、アプリケータロール側部分に
対しても撹拌手段を設けることが好ましい。
【0022】樹脂溜りのアプリケータロール側部分か
ら、溶融樹脂が、アプリケータロールの回転に伴ってア
プリケータロールの表面の移動とともに、アプリケータ
ロールとメタリングロール間を通して所定量づつ送り出
され、送り出された溶融樹脂が、アプリケータロール表
面上から、コーティングロール上を搬送される離型シー
ト上に転移される。アプリケータロールの表面上を該表
面とともに送り出される溶融樹脂は、上述の如く既に十
分に温度が均一化されているから、温度むらに起因する
コーティングむらの発生は防止される。また、送り出さ
れる溶融樹脂は、アプリケータロールとメタリングロー
ルとの隙間で計量されるが、計量前のアプリケータロー
ル側部分で溶融樹脂の温度が十分に均一化されているの
で、計量精度(溶融樹脂の厚み精度、ロール長手方向厚
み分布精度)も向上されることになる。
【0023】なお、溶融樹脂供給手段から溶融樹脂を樹
脂溜りに供給する際、途中に案内板を設け該案内板を加
熱するようにすれば、供給樹脂の温度低下を抑制できる
ので好ましく、本発明と組み合せて適用できる。また、
アプリケータロールは、供給された溶融樹脂を溶融状態
を維持しつつコーティング位置まで移動させるという機
能上、加熱制御できるようにしておく。さらに、高粘度
樹脂のコーティングの場合、アプリケータロール上から
離型シート表面上への溶融樹脂の転移をより円滑に行な
うために、コーティングロールを加熱制御する。
【0024】
【実施例】以下に、本発明の望ましい実施例を、図面を
参照して説明する。図1および図2は、本発明の一実施
例に係るリバースロール方式の樹脂コーティング装置40
を示している。巻出機41にセットされたロール42から離
型シート43単体が巻き出され、コーティングロール44上
でアプリケータロール45を介して定量づつ連続供給され
るコーティング用溶融樹脂46が離型シート43の一面上に
コーティングされる。所定のコーティング厚さになって
いるか否かが、たとえばβ線目付計47により、離型シー
ト43単体と樹脂コーティング離型シート60の厚さを測定
することによりチェックされ、樹脂担持離型シート60と
してロール48に巻き取られる。このロ―ル48が、前述の
プリプレグ作製工程に供される。
【0025】樹脂ブロック49は、溶融樹脂供給手段およ
びメルターとしての、ヒータ52で加熱制御された加熱ロ
ール50で溶融され、該溶融樹脂61は、下方に落下し、ア
プリケータロール45とメタリングロール51との間に形成
される樹脂溜り62のメタリングロール側部分62a に導か
れる。
【0026】樹脂溜り62は、アプリケータロール45およ
びメタリングロール51のロール長手方向に延びる、分割
手段としての仕切板63により、メタリングロール側部分
62aとアプリケータロール側部分62b の二つの部分に分
割されている。図2にも示すように、仕切板63の下端
は、実質的にメタリングロール51の表面に摺接され、上
端の高さは、樹脂溜り62のメタリングロール側部分62a
における溶融樹脂量がある量を越えると、該溶融樹脂の
一部が仕切板63を越えてアプリケータロール側部分62b
にオーバフローできる高さに設定されている。樹脂溜り
62のメタリングロール側部分62a には、撹拌手段として
の撹拌翼66a が設けられており、本実施例では、アプリ
ケータロール側部分62b にも、撹拌翼66b が設けられて
いる。撹拌翼66a 、66b は、一体的にロ―ル長手方向に
往復動するよう互に連結されて撹拌手段66を構成し、駆
動手段67によって駆動される。なお本実施例では、内部
ヒータあるいは熱媒により加熱された案内板64が設けら
れており、加熱ロール50で溶融された樹脂を樹脂溜り62
へ導くに際し、加熱により溶融樹脂61の温度低下を抑制
できるようになっている。65は、メタリングロール51の
表面の移動とともに持ち去られようとする溶融樹脂をか
き取るためのスクレーパを示している。
【0027】樹脂溜り62のアプリケータロール側部分62
b から、溶融樹脂が、アプリケータロール45とメタリン
グロール51との間隙によって規制される所定量づつ、ア
プリケータロール45の回転に伴って送り出される。アプ
リケータロール45およびメタリングロール51は、それぞ
れ内部ヒータ53、54により加熱制御されるようになって
おり、両ロール間の間隙、両ロールの周速、加熱の調
整、制御によって、送り出される溶融樹脂の厚みが制御
される。送り出された溶融樹脂は、アプリケータロール
45の表面とともにコーティング位置まで運ばれ、コーテ
ィングロ―ル55上を搬送されてくる離型シート43上に転
移される。本実施例では、コーティングロール44にも内
部ヒータ55が設けられており、コーティングロール44上
の離型シート43を加熱あるいは保温できるようになって
いる。さらに、コーティングロール44上流側のガイドロ
―ル56にも内部ヒータ57が設けられており、離型シート
43のコーティング面側の温度も制御できるようになって
いる。
【0028】このような装置においては、樹脂ブロック
49が加熱ロール50で溶融され、案内板64で加熱あるいは
保温された後、樹脂溜り62のメタリングロール側部分62
a に落下する。落下の際、溶融樹脂61は多かれ少なかれ
冷却されてしまうが、樹脂溜り62のメタリングロール側
部分62a に入った溶融樹脂は、このメタリングロール側
部分62a に一旦滞留されるとともに、撹拌翼66a で撹拌
されるので、メタリングロール側部分62a では落下して
きた溶融樹脂とそれまでに既に滞留していた溶融樹脂と
が撹拌、混合され、メタリングロール側部分62a 中での
溶融樹脂の温度むらは解消される。温度の均一化された
溶融樹脂が、オーバフローにより順次仕切板63を越えて
アプリケータロール側部分62b に入る。したがってアプ
リケータロール側部分62b を形成する溶融樹脂は、流入
時から均一な温度のものとされるが、本実施例ではアプ
リケータロール側部分62b でも撹拌翼66b によって撹
拌、混合されるので、アプリケータロール側部分62b に
おいては一層均一な温度の樹脂溜りが形成される。
【0029】均一な温度の溶融樹脂がアプリケータロー
ル45の回転に伴って送り出されるので、ロール長手方向
に均一な樹脂厚みが得られ、かつ厚みの絶対値もより高
精度に制御可能となる。このアプリケータロール45上の
溶融樹脂46が、離型シート43上に転移され、コーティン
グされる。
【0030】均一にかつ所定厚みに精度よく溶融樹脂46
がコーティングされた離型シート43は、樹脂担持離型シ
ート60としてロール48に巻きとられ、プリプレグの製造
に供される。樹脂担持離型シートにコーティングむらが
ないので、プリプレグ作製過程においても、離型シート
に担持されていた樹脂は、均一にむらなく強化繊維に含
浸され、均一な物性のプリプレグが得られる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の樹脂コー
ティング装置によるときは、アプリケータロールとメタ
リングロールとの間に形成される樹脂溜りを少なくとも
二分割し、溶融樹脂を、メタリングロール側部分で撹
拌、混合して温度むらを解消した後アプリケータロール
側部分に流動させ、該アプリケータロール側部分からア
プリケータロール表面とともに送り出してコーティング
するようにしたので、コーティング位置での樹脂の温度
を極めて均一にすることができ、高粘度樹脂に対しても
コーティングむらの発生を防止して均一なコーティング
処理を達成できる。そして、得られた樹脂担持離型シー
トをプリプレグ製造に用いることにより、樹脂むらの少
ない均一な物性のプリプレグを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る樹脂コーティング装置
の側面図である。
【図2】図1の装置の拡大部分側面図である。
【図3】プリプレグ製造プロセスの一例を示すプリプレ
グ製造装置の概略側面図である。
【図4】従来のリバースロール方式コーティング装置の
部分側面図である。
【符号の説明】
40 コータ 41 巻出機 43 離型シート 44 コーティングロール 45 アプリケータロール 46 アプリケータロール上の溶融樹脂 47 目付計 49 樹脂ブロック 50 メルタとしての加熱ロール 51 メタリングロール 52、53、54、55、57 ヒータ 56 加熱ガイドロール 60 樹脂担持離型シート 61 溶融樹脂供給手段からの溶融樹脂 62 樹脂溜り 62a メタリングロール側部分 62b アプリケータロール側部分 63 分割手段としての仕切板 64 加熱案内板 66 撹拌手段 66a 、66b 撹拌翼 67 駆動手段

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融樹脂供給手段からの溶融樹脂を、対
    向配置されたメタリングロールとアプリケータロールと
    の間に供給して両ロール間に樹脂溜りを形成し、該樹脂
    溜りの溶融樹脂を、前記両ロ―ル間を通して定量づつ送
    り出して前記アプリケータロール上に担持し、該担持さ
    れた溶融樹脂を、アプリケータロール上から、コーティ
    ングロール上を搬送される離型シート上に転移させるよ
    うにしたリバースロール方式の樹脂コーティング装置に
    おいて、前記樹脂溜りが形成される部位に、メタリング
    ロールおよびアプリケータロールの長手方向に延びる、
    前記樹脂溜りを少なくともメタリングロール側部分とア
    プリケータロール側部分との二つの部分に分割する手段
    を、溶融樹脂がメタリングロール側部分からアプリケー
    タロール側部分へ流動可能に設け、前記溶融樹脂供給手
    段からの溶融樹脂を前記メタリングロール側部分に導入
    するとともに、少なくともメタリングロール側部分に
    は、該メタリングロール側部分の溶融樹脂を撹拌する手
    段を設けたことを特徴とする樹脂コーティング装置。
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