JP2620918B2 - 排水管用臭気止めトラップ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば高層住宅の各戸
に配設される排水管から臭気が室内に漏れるのを防止す
るための排水管用臭気止めトラップに関する。

【０００２】

【従来の技術】高層住宅等においては、洗濯機等からの
生活排水を排出するための排水管が各戸に設けてある
が、この排水管から臭気が上って室内に漏れることを防
止することが課題になっている。

【０００３】そこで、従来排水管からの臭気漏れを防止
するための各種の臭気止めトラップが提供されている
が、臭気止めトラップとしてはドラムトラップが一般に
広く用いられている。このドラムトラップは図４に示す
ように、排水ホースが挿入される流入用開口１Ａを上部
に有し、底部に管挿入口１Ｂを有する椀状のトラップ本
体１と、外周面に複数個の排水流入穴２Ａを有する釣鐘
体２とから大略構成されており、釣鐘体２は排水管３を
覆うようにトラップ本体１内に設けられている。そし
て、ドラムトラップは床４に設けた挿設穴５に係止した
状態で挿入支持されている。

【０００４】上記構成のドラムトラップにおいては、洗
濯機等からトラップ本体１に排水Ａが流入すると、排水
Ａは釣鐘体２が妨げとなって直接排水管３に流入するこ
となく、排水流入穴２Ａを通って釣鐘体２内に流入す
る。釣鐘体２内に流入した排水Ａは排水管３の突出高さ
を越えると排水管３から排出されるが、それ以下ではト
ラップ本体１内に滞留し、この滞留する排水Ａによって
排水管３から臭気が漏れるのを防している。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかして、上述した従
来のドラムトラップには次のような欠点がある。即ち、
トラップ本体１の底部にゴミが溜まりやすく、ゴミが増
大すると滞留排水量が減少するために、滞留排水の蒸発
が早いことである。そして、滞留排水が蒸発するとトラ
ップ効果がなくなり臭気の漏れを防ぐことができなくな
る。また、排水方法がオーバーフロー型であり、トラッ
プ本体１に流入した排水Ａは直ちに排水管３に流入しな
いために排水効率が悪いことである。特に、全自動洗濯
機等のように排水量が多い場合には、排水不能の事態が
生じることがある。

【０００６】本発明は上述した従来技術の欠点に鑑みな
されたものであり、その解決すべき課題は、トラップ本
体にゴミが溜ることがないし、臭気が外部に漏れる現象
を確実に防止することができ、しかも排水効率の高い排
水管用臭気止めトラップを提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に構成された本発明の手段は、上端側が開口部になり、
下端に排水流出口が形成された筒状のトラップ本体と、
該トラップ本体の上端側に取着されて該トラップ本体内
に吊下した中子と、上端側が該中子に支持されて吊下し
た弾性トラップ筒体とからなり、前記中子は前記トラッ
プ本体に支持され、前記弾性トラップ筒体の上端側を支
持する筒状のトラップ筒体支持部と、該トラップ筒体支
持部から下方に伸長する連結部と、該連結部の下端に連
設され、外周面の上部側は排水案内面になり、下部側は
前記弾性トラップ筒体の下端側が接離可能に常時は圧接
する閉塞面になったカップ状閉塞部とからなる。

【０００８】そして、前記弾性トラップ筒体は上端側が
前記トラップ筒体支持部の外周面に止めリングを介して
着脱可能に締着するとよい。

【０００９】

【作用】本発明に従って構成された排水管用臭気止めト
ラップは、排水が流入していない場合は、弾性トラップ
筒体の下端側内周面が弾性力によってカップ状閉塞部の
閉塞面に圧接して閉塞状態を保持している。

【００１０】排水が流入すると、初期においては弾性ト
ラップ筒体の下端側内周面はカップ状閉塞部の閉塞面に
圧接して閉塞状態を保っているが、弾性トラップ筒体内
に流入する排水が増大して滞留排水が所定量に達する
と、滞留排水の重量に抗しきれずに弾性トラップ筒体の
下端側内周面が半径方向外方に拡開し、カップ状閉塞部
の閉塞面から離間して開口状態となり、弾性トラップ筒
体内に流入する排水はストレートに落下して流出する。

【００１１】また、流入する排水の量が減少して所定量
以下になると、弾性トラップ筒体の下端側は弾性力によ
り滞留排水の重量に抗して半径方向内方に縮小し、カッ
プ状閉塞部の閉塞面に再び圧接して閉塞状態となる。こ
のように、弾性トラップ筒体は流入する排水の滞留量に
よって閉塞状態と開口状態とを繰り返す。

【００１２】弾性トラップ筒体は止めリングを外してト
ラップ筒体支持部から取り外すことにより、新しい弾性
トラップ筒体と交換することができる。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の一実施例を添付図を参照しつ
つ更に詳細に説明する。図に於て、１１は例えば塩化ビ
ニル等の合成樹脂からなるトラップ本体を示し、該トラ
ップ本体１１は上端側が開口部１１Ａになった円筒状の
胴部１１Ｂと、該胴部１１Ｂの下端から半径方向内方に
湾曲した椀状部１１Ｃと、該椀状部１１Ｃの中央に開口
した排水流出口１１Ｄと、該排水流出口１１Ｄに連通し
て椀状部１１Ｃの下端中央から下方に突出した円筒状の
排水管接続部１１Ｅと、胴部１１Ｂの上端から半径方向
外側に突出する環状の外側係合段部１１Ｆと、胴部１１
Ｂの上端から半径方向内側に突出する内側係合段部１１
Ｇとを一体に成形したものからなっている。

【００１４】１２は前記トラップ本体１１と同様に合成
樹脂で成形した中子を示し、該中子１２はトラップ筒体
支持部１３と、連結部１５と、カップ状閉塞部１６とを
一体に構成したものからなる。先ず、トラップ筒体支持
部１３は支持筒１３Ａと、該支持筒１３Ａの上端から半
径方向外側に突出し、トラップ本体１１の内側係合段部
１１Ｇに嵌合する嵌合段部１３Ｂと、支持筒１３Ａの上
端側内周面に突出した係合突条１３Ｃとからなってい
る。そして、支持筒１３Ａの外周面には上、下に位置し
て一対の係合溝１４、１４が形成してある。

【００１５】１５はトラップ筒体支持部１３から下方に
伸長する連結部を示し、該連結部１５は円柱状の連結軸
１５Ａと、該連結軸１５Ａの上端から周方向に１２０度
の間隔を置いて斜め上方に伸長し、先端が支持筒１３Ａ
の下端に接続した３本の連結腕１５Ｂ、１５Ｂ、１５Ｂ
とから一体に形成してある。

【００１６】更に、１６は中子１２を構成し、前記連結
部１５の下端に形成されたカップ状閉塞部を示す。該カ
ップ状閉塞部１６は中空の下向きカップ状をなしてお
り、上側の湾曲状外周面は排水案内面１６Ａに、該排水
案内面１６Ａに続く垂直面は閉塞面１６Ｂになってい
る。

【００１７】次に、１７は厚さが約０，０２ｍｍの薄肉
厚ゴム材料からなる円筒状の弾性トラップ筒体を示す。
該弾性トラップ筒体１７は上端側１７Ａが支持筒１３Ａ
の外周に嵌合し、金属又はゴム製の止めリング１８、１
８によって係合溝１４、１４に締着されている。他方、
弾性トラップ筒体１７の下端側１７Ｂは前記カップ状閉
塞部１６の閉塞面１６Ｂに外嵌し、弾性力によって常時
は圧接しており、弾性トラップ筒体１７は中子１２の外
周を囲繞した状態になっている。

【００１８】１９はゴム材料によって形成した環状のホ
ース支持体を示し、該ホース支持体１９は内周面に嵌合
溝１９Ａが周設してあり、トラップ筒体支持部１３の係
合突条１３Ｃに嵌合して支持されている。

【００１９】次に、上記構成からなる本実施例の作用に
ついて説明する。図１は弾性トラップ筒体１７内に排水
Ａが流入していない状態を示している。この状態では、
図１に示すように、弾性トラップ筒体１７の下端側１７
Ｂ内周面はカップ状閉塞部１６の閉塞面１６Ｂに弾性力
によって圧接しており、少量の排水Ａが滞留したままで
閉塞状態を保っている。

【００２０】排水Ａが図示しない排水ホースを介してト
ラップ筒体支持部１３から弾性トラップ筒体１７内に流
入すると、流入初期においては弾性トラップ筒体１７の
下端側１７Ｂはカップ状閉塞部１６の閉塞面１６Ｂに圧
接して閉塞状態を保っている。しかし、弾性トラップ筒
体１７内に流入する排水Ａが増大して滞留排水Ａが所定
量に達すると、滞留排水Ａの重量に抗しきれずに弾性ト
ラップ筒体１７は弾性変形をして半径方向外方に拡開
し、その下端側１７Ｂがカップ状閉塞部１６の閉塞面１
７Ｂから離間して開口状態となり、弾性トラップ筒体１
７内に流入する排水Ａは図３中矢印で示すようにストレ
ートに弾性トラップ筒体１７の下端側１７Ｂとカップ状
閉塞部１６の閉塞面１６Ｂとの隙間から落下し、排水流
出口１１Ｄを介して排水管３へ流出する。

【００２１】また、流入する排水Ａの量が減少して滞留
排水Ａが所定量以下になると、弾性トラップ筒体１７は
ゴムの弾性復元力により滞留排水Ａの重量に抗して半径
方向内方に縮小し、弾性トラップ筒体１７の下端側１７
Ｂがカップ状閉塞部１６の閉塞面１６Ｂに再び圧接して
閉塞状態となる。このように、弾性トラップ筒体１７は
内部に流入する排水Ａの滞留量によって閉塞状態と開口
状態とを繰り返す。

【００２２】なお、本実施例ではトラップ本体１１は下
端側を径方向内方に湾曲した椀状部１１Ｃに形成した
が、排水管３との接続性を考慮して直円筒状に形成して
もよいものである。

【００２３】以上、本発明を一実施例に基づいて詳細に
説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものでは
なく、本発明の範囲内において、さまざまな変形あるい
は修正ができるものである。

【００２４】

【発明の効果】本発明に従って構成された排水管用臭気
止めトラップによれば、排水が流入していない場合、弾
性トラップ筒体は下端側がカップ状閉塞部に圧接して閉
塞状態を保持しており、滞留排水によるトラップ効果に
よって臭気が排水管から上昇して室内に漏れるのを確実
に防止することができる。

【００２５】排水が流入した場合、初期においては弾性
トラップ筒体の下端側とカップ状閉塞部の閉塞面は圧接
して閉塞状態を保っているが、弾性トラップ筒体内に流
入する排水が増大して滞留排水が所定量に達すると、滞
留排水の重量に抗しきれず弾性トラップ筒体の下端側が
押し広げられ、その内周面がカップ状閉塞部の閉塞面か
ら離間して開口状態となり、弾性トラップ筒体内に流入
する排水はストレートに落下して流出するため排水効率
が高い。

【００２６】また、弾性トラップ筒体は直線的に下方に
向かって延びているため、ゴミが溜まらず、手入れの必
要がないので取扱いが非常に便利である。

【００２７】更に、弾性トラップ筒体はトラップ筒体支
持部に交換可能に締着する構成にすることにより、損傷
の生じた弾性トラップ筒体は新しい弾性トラップ筒体に
取り替えることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例に係る排水管用臭気止めトラッ
プの閉塞状態を示す縦断面図である。

【図２】排水管用臭気止めトラップを構成する中子の外
観斜視図である。

【図３】排水管用臭気止めトラップの開口状態を示す縦
断面図である。

【図４】従来のドラムトラップを示す縦断面図である。

【符号の説明】

１１ トラップ本体 １２ 中子 １３ トラップ筒体支持部 １５ 連結部 １６ カップ状閉塞部 １７ 弾性トラップ筒体 １８ 止めリング

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上端側が開口部になり、下端に排水流出
   口が形成された筒状のトラップ本体と、該トラップ本体
   の上端側に取着されて該トラップ本体内に吊下した中子
   と、上端側が該中子に支持されて吊下した弾性トラップ
   筒体とからなり、前記中子は前記トラップ本体に支持さ
   れ、前記弾性トラップ筒体の上端側を支持する筒状のト
   ラップ筒体支持部と、該トラップ筒体支持部から下方に
   伸長する連結部と、該連結部の下端に連設され、外周面
   の上部側は排水案内面になり、下部側は前記弾性トラッ
   プ筒体の下端側が接離可能に常時は圧接する閉塞面にな
   ったカップ状閉塞部とから構成してなる排水管用臭気止
   めトラップ。
2. 【請求項２】 前記弾性トラップ筒体は上端側が前記ト
   ラップ筒体支持部の外周面に止めリングを介して着脱可
   能に締着してなる請求項１記載の排水管用臭気止めトラ
   ップ。