JP2620247B2 - 絹糸によるパイル織物の織成方法 - Google Patents

絹糸によるパイル織物の織成方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 この発明は、絹糸によるパイル織物の織成方法に関す
る。
(ロ) 従来の技術 従来、パイル織物は、地糸にパイル糸をパイル状に織
込んで織成されるものであるが、通常織物の素材は、地
糸、パイル糸共に綿や、混紡等の糸に限定されたもので
あった。
(ハ) 発明が解決しようとする問題点 その理由は、絹のような軽くて吸水性の良好なものを
素材にしようとしても、伸び、弾力性がある為、パイル
状に毛ば立った状態に構成することが困難であり、また
表面が滑動的であるために、パイル基部での緊締が充分
に行えず、パイル抜けを起しやすい等の問題があった。
(ニ) 問題点を解決するための手段 この発明では、パイル織物の地を構成すべき地糸にセ
リシンが表面に付着した絹糸を使用すると共に、この地
糸に、表面にセリシンを若干残留させた状態の絹糸より
なるパイル糸をパイル状に織成してなる絹糸によるパイ
ル織物の織成方法を提供せんとするものである。
(ホ) 作用・効果 この発明では、パイル糸にセリシンの付着した絹糸を
使用しているために、セリシン付着の絹糸たるパイル糸
と、地糸とを織込むことになり、従って、織成もやりや
すく、かつ絹糸がセリシンにより滑りにくくなりパイル
糸が地糸から抜けにくく、パイル糸の抜けを完全に防止
しうることになる。しかも絹糸に特有の性質が立毛した
パイル糸によって発揮され、パイル織物全体に絹糸特有
の性質が帯有され、例えば、重量か軽く、空気の流通性
に富み、水分の吸収性、透過性、発散性が良好となり、
保温効果もよく、紫外線の透過、吸収、反射が適当にな
され、健康的な衣服に使用でき、また弾力性があって、
手ざわり、肌ざわりもよく、感触的にも従来の綿、混紡
等と比較にならないパイル織物地とすることができる効
果を有する。
(ヘ) 実施例 本発明の実施例を図面にもとづき詳説すれば、第1図
は、本発明方法で織成したパイル織物の組織図を示す。
すなわち、パイル織物(A)の地を構成すべき地糸
(1)に絹糸よりなるパイル糸(2)をパイル状に織成
したものである。
地糸(1)は、セリシンが表面に付着したままの絹糸
(すなわち生糸)を使用すると共に、パイル糸の起立を
良好にする為にパイル糸に使用する絹糸にも若干のセリ
シンを残留させた状態で織成すると、絹糸が滑りにくく
なり、均一なる起立状態を生起することができ、織成起
立後に残留したセリシンを必要に応じて除去することも
できる。
なお、地糸(1)にセリシンが表面に付着した絹糸
(生糸)を使用した場合は、絹糸のパイル糸(2)を織
成した後溶融接着し、ホルマリン液に浸漬する等のセリ
シン固化技術を使用することによって、パイル糸(2)
の基部を地糸(1)に接着固定することができ、パイル
糸(2)の抜けを完全に防止できる。
また、地糸(1)に、化学処理された絹糸を使用する
こともでき、この場合は絹の組成を科学的に一部改変し
て、絹糸に特有の表面滑動機能を除去したものを使用す
るものであり、パイル糸(2)の基部と、化学処理され
た地糸(1)とが織成後スリップしない為に、パイル糸
(2)の抜け防止を行うことができる。
また、地糸とパイル糸の繊維相互を分子的に結合させ
て、パイル糸基部と地糸との固定を行うこともでき、例
えば、織成前の地糸或はパイル糸を化学処理し、織成
後、分子的結合をさせる為の処理を行う場合や、織成
後、地糸或はパイル糸の繊維相互を結合させる化学処理
を行う場合等が考えられる。
また、地糸(1)に、加熱による収縮によって寸断状
態となる収縮性の熱可塑性繊維と、綿糸等の他の糸と撚
り合せて撚り地糸としたものを使用することもできる。
この場合には、パイル糸(2)を織成した後に加熱に
よってパイル基部を地糸に溶着せしめてパイル糸(2)
の抜け防止を行うものである。
また、地糸(1)の種類にかかわらず、パイル糸
(2)と地糸(1)とをからみ織りして織成することも
でき、からみ織りによって絹糸のパイル糸(2)が抜け
るのを防止するものである。
この発明の実施例は、上記のように構成されているも
のであり、パイル織物(A)のパイル糸(2)にセリシ
ンが表面に付着したままの絹糸を使用しているために、
絹糸に特有の性質が、パイル織物(A)に帯有されるこ
とになり、軽くて、空気の流通性がよくて、吸水性、水
分透過性、水分発散性等が良好であって、保温性に優れ
て、紫外線の透過、吸収、反射が適当にあって、しか
も、弾力性に富み、適当な薄さで肌ざわりがよいパイル
織物とすることができ、更には、絹糸の表面に付着した
セリシンが絹糸の滑りを少なくしてパイル糸の起立を良
好にしうる効果を有し、パイル糸の抜け防止を確実に行
うことができ、従って、かかるパイル織物を用いて衣
服、タオル、マフラーその他の布製品を製造すると、従
来にない新しい機能を有した商品の開発が行える。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明方法のパイル織物の織成方法を示す組
織図。 (A):パイル織物 (1):地糸 (2):パイル糸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 宏昭 福岡県福岡市南区塩原4丁目12−1 重 松コーポ201号室 (72)発明者 諌山 宗敏 福岡県太宰府市大字国分712−3 (72)発明者 石内 寿子 福岡県筑紫野市大字上古賀152 (72)発明者 宮下 征一 福岡県宗像郡福間町2266 (72)発明者 吉田 恭子 福岡県筑後市蔵数45 (72)発明者 北原 常雄 福岡県福岡市南区井尻2丁目35番地の9 (72)発明者 森下 浩光 福岡県福岡市博多区吉塚本町8番地11号 (72)発明者 土谷 倫稔 福岡県福岡市東区多々良1丁目33番1号 (72)発明者 松本 一志 福岡県大野城市山田3丁目6番地27号 (56)参考文献 登録実用新案16096(JP,Z1)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】パイル織物の地を構成すべき地糸に、セリ
    シンが表面に付着した絹糸を使用すると共に、この地糸
    に、表面にセリシンを若干残留させた状態の絹糸よりな
    るパイル糸をパイル状に織成してなる絹糸によるパイル
    織物の織成方法。
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JP5824131B1 (ja) * 2014-10-08 2015-11-25 森博多織株式会社 生糸によるパイル織製品の製造方法及びパイル織製品
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